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第24回学術大会 一般講演抄録

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(1)

第24回学術大会 一般講演抄録

著者 北海道医療大学歯学会

雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

巻 25

号 1

発行年 2006‑07‑15

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00010167/

(2)

ANCヘッドホンによる歯科治療時騒音の低減

○粟倉あずさ,石崎晴彦,李 皓,中島啓介,古市保志 北海道医療大学歯学部歯科保存学第一講座

【目的】歯科用タービンによる歯の切削時に発生する騒音は,患者 にとって大変,不快である.近年,レーザー照射や研磨粒子噴射に よる切削器具の開発により騒音への取り組みが行われているが,現 状ではこれらの器具のみで切削を完了することは困難である.本研 究では歯科用タービン使用時に患者が感じる騒音を低減させる目的 で,アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)ヘッドホン装着 の効果を検討した.

【方法】2個のイヤホン型コンデンサーマイクロホンをパーソナル コンピュータのライン入力端子に接続し,コンピュータ内部でA/D 変換(解像度1

bit,サンプリングレート4

4.

kHz)後,波形解

析ソフトウェア(SignalScope Pro)によって解析した.イヤホン型 マイクロホンを,通常使用するように(内向き)あるいは逆向き

(外向き)に被験者の外耳孔に固定して,各操作によって被験者が

感じる騒音を測定した.

【結果および考察】診療室内の環境音はヘッドホンの装着により,

外向き測定では40−1

Hzで2

dB低減されたが,内向き測定

では30−8

Hzで2

dB低減された.また,ANCにより1

5−4

Hzで5dB低減された.タービンを使用した際に発生する騒音はヘ

ッドホンの装着により,外向き測定ではすべての周波数において2

dB低減されたが,内向き測定では3

0−4

Hzを除き5−1

dB低

減された.また,いずれの測定でも3

Hz付近の周波数では環境

音と同じレベルまで低減された.環境音と同様に騒音はANCによ り15−4

Hzで5dB低減された.

【結論】本研究の結果から,ANCヘッドホンの装着は口腔内でタ ービンを動作させた際に患者が感じる騒音の低減に有効であると考 えられた.

根管治療に関するアンケート調査(第2報)

○伊藤泰城,森 真理,小林孝雄,塚越 ,加藤幸紀,衣笠裕紀,斎藤隆史,中島啓介,古市保志 北海道医療大学歯学部歯科保存学第一講座,浦臼町歯科診療所,北海道医療大学歯学部歯科保存学第二講座

【目的】根管治療は頻繁に行われる治療であるにも関わらず歯科医 師の経験により根管貼薬剤の使用方法や回数,処置方法が異なって いると考えられる.24年に本学会で行った急性発作の発現に関す る報告では,基本的な根管器具の使用方法を徹底することが重要で あると報告した.今回の報告では,根管貼薬剤の種類と使用方法お よび臨床症状が消退しない症例の原因と処置方法についてアンケー ト調査を行い検討した.

【方法】北海道医療大学歯学部に在籍する歯科医師11名に対し,

平成16年2月にアンケート調査を実施した.回答者の臨床経験は1

〜30年で,平均臨床経験年数は7.3±6.0年であった.各質問に対 する回答は,臨床経験1年以下(18名),2〜4年(34名),5〜9年

(22名)0年以上(36名)の4群に分けて集計し,質問の集計結果 をχ検定を用いて解析した.

【結果及び考察】アンケートの回収率は64.3%(11名中10名)で あった.

ほとんどの歯科医師が症状により根管貼薬剤を使い分けていた.

また症状が消退しない難治症例の経験があると回答した.原因とし て,大きな病巣があった,あるいは根尖孔の破壊などの歯内療法に 伴う偶発症を挙げていた.処置としては外科的歯内療法を行うと答 えたものが最も多かった.

【結論】根管治療で使用する貼薬剤は歯科医師が経験に基づいて選 択していることが明らかになった.

症状が消退しない難治症例の原因として偶発症を挙げている者が 多かった.これにより基本的な根管器具の使用方法を徹底すること が重要であると考えられた.

[学会記録]

北海道医療大学歯学会第2 4回学術大会 一般講演抄録

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(3)

北海道医療大学病院矯正歯科外来における,唾液う蝕活動性試験を用いたカリエス予防処置について

〇前崎有美,城市由紀,梶 美奈子,山崎敦永,齋藤正人,溝口 **,川上智史 北海道医療大学病院歯科部 北海道医療大学歯学部個体差医療科学センター 北海道医療大学歯学部矯正歯科学講座**

【目的】矯正治療中に口腔内に装置を装着することにより,口腔内 細菌数は増加することが知られており(Rosenbloom et al., Am JOr-

thod,

1),近年矯正治療中のカリエスや歯周疾患について十分に

ケアする責任が大きくなってきている.そこで本院矯正科外来で は,平成17年度より矯正科受診患者様に対し専任の歯科衛生士が唾 液う蝕活動試験を行いカリエスリスクの判定を行っている.カリエ スリスクの結果から各個人にカリエス予防プログラムを作成し,矯 正治療中のカリエス予防を行っている.今回,我々は予防プログラ ムの中にDental Drug Delivery System(以下3DS)などとり入れ,

有効な結果が得られたので報告する.

【方法】本院矯正科外来で治療を開始するすべての患者様を対象と した.矯正治療開始前精密検査をした後から診断までの約1か月の 間に検査を行う.検査の項目は以下の通りである.1.パラフィン刺 激唾液流質量2.唾液緩衝能3.唾液中のlactobaciliレベル4.唾液中の

mutans streptococciレベル5.

4日間食事調査6.

DMFT.dft.dmfs.プラ

ーク量等の一般臨床診査,以上の項目を元にカリオグラム(オーラ

ルケア社)ソフトウエアによるカリエスリスクの判定を行う.結果 を参考にし,個人に合ったカリエス予防プログラムを立案する.カ リエスリスクによって,リコール間隔を定め来院してもらい,矯正 装置が撤去されるまで継続する.リスクの程度によっては3DSを 用いる.3

DSはハイリスクであれば必ず実施,基準値を下回ってい

ても細菌以外のリスクファクター(DMFT,唾液の性状,量,糖質 の摂取頻度)が高い場合,矯正治療前などでは実施の対象としてい る.

【結果および今後の展望】カリエスリスク判定を行い各個人に合わ せた予防プログラムを作成し実施したところ,初回から3か月後の プラーク付着量に減少が認められた.今後は3DSをより有効なも のとするために薬剤の選択,使用頻度,持続効果についても検討を 行う予定である.また,矯正治療を始めてから矯正治療が終了する まで「カリエスフリー」を目指し,現在治療中の患者様に対しても この予防プログラムを実施していく予定である.

臨床実習の学びを左右する影響因子

○岡橋智恵1),小田島千郁子1),沢辺千恵子1),大山静江1),長田真美1),五十嵐清治1)2)

1)北海道医療大学歯学部附属歯科衛生士専門学校

2)北海道医療大学歯学部小児歯科講座

【研究目的】本校では臨床実習成果をより高めるための対応策の一 つとして,形成的評価法である個人内評価表を導入し,その効果に ついて報告してきた.その分析を重ねる中で,学生の臨床実習にお ける学習効果には,学生を取り巻く様々な要因の関与が明らかとな った.そこで今回,学生が臨床実習で学ぶべき学習項目の影響因子 の分析を行い検討したので報告する.

【対象及び方法】影響因子のアンケート調査対象は22年〜24年 の第2学年15名である.さらに24年度の第2学年59名について は,臨床実習終了後に学生に実施した臨床実習に関する自己評価,

実習指導者によって個人内評価表に記入された評価の集計に加え,

実習指導者からのコメントを追加して月毎にカテゴリー集計して分 析を行った.

【結果】①学生が臨床実習で学ぶべき学習項目に影響を及ぼしてい るのは,実習指導者,自助努力,友人,専任教員の順に高かった.

②個人内評価の集計結果では積極性,責任感,協調性,礼節の評価

が高かった.③実習指導者のコメントを分類して集計したところ情 意領域が高かった.④学生の自己評価の結果は認知領域が1.9/3 点,精神運動領域が2.3/3点,情意領域が2.5/3点であった.

【考察】歯科医療現場で患者のニーズを最優先する現場の働きを常 に把握する立場にある実習指導者が,学生の学習効果に影響を与え るのは当然の結果と思われる.実習指導者の視点が情意領域に注が れているのは個人内評価表自体が観察評価であることも考えられる が,それだけではなく人や物事に対しての興味や関心を示す感性や 積極性といった態度教育の重要性も含まれてきているのではないか と思われた.また学生の自己評価でも情意領域が高いことから,実 習指導者の働きかけが学習効果に関係していると推察された.しか し知識の応用や患者対応の評価は低くとどまっていることから,学 校内の授業と臨床実習の学習形態の違いなどから,自分で考え,判 断して行動する項目については評価が低くなっているのではないか と推察された.

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開発途上国における口腔保健活動報告

○大山静江1),岡橋智恵1),梶美奈子2),M.H.Abusayeed3),杉浦千尋4),山崎 5),千葉逸朗6)

1)北海道医療大学歯学部附属歯科衛生士専門学校 2)北海道医療大学病院

3)

Office of Deputy Provincial Director of Health Services, Plonnaruwa

4)北海道大学大学院歯学研究科 5)西岡デンタルクリニック

6)北海道医療大学歯学部口腔衛生学講座

【目的】近年,開発途上国における国際保険協力に対する要請は増 加の一途を辿っており,それに伴い歯科衛生士が国際的な歯科保健 事業に参加する機会も増えてきている.そこで我々は,開発途上国 の児童・生徒における口腔保健状況を知り,学校での口腔保健教育 を普及させることを目的として,スリ・ランカの紅茶園内にある学 校にて歯科疾患調査と視覚教材による口腔保健教育・個別ブラッシ ング指導よりなる口腔保健活動を行ったので,その結果について報 告する.

【対象及び方法】本活動はスリ・ランカの紅茶園内の学校3校の児 童・生徒(5歳〜16歳)19名を対象とした.方法は最初に現地歯 科医師による導入を行い,歯科衛生士が,現地の言語であるタミル 語,シンハラ語を用いた人形劇にて口腔の健康の重要性や規則正し い食生活,口腔清掃の必要性についての口腔保健教育を行った.次 いで現地の歯科医師が口腔清掃習慣の聞き取りを行い,日本人歯科 医師が口腔内診査を行った.口腔清掃指導については歯科衛生士が 歯垢染色液を用いて染め出しをし,歯ブラシの使用法を個別指導し

た.

【結果】①歯ブラシの所有率は96%であり,学校間で差は認められ なかった.歯ブラシを所持していない残りの4%については手指を 使用してのブラッシング方法であった.②口腔清掃習慣は45%が朝 のみ,23%が朝・昼,18%が朝・夜,13%が毎食後であり,いずれ も朝に磨く習慣であった.③平成11年度歯科疾患実態調査における 5〜14歳のう蝕有病者率が78%であるのに対しスリランカは52%で あった.④5〜10歳のdft指数は0.8,df者率は平均33%,11〜16歳 のDMFT指数は1.5,DMF者率は平均24%であった.⑤乳歯う蝕経 験歯の全てが未処置歯であった.

【考察】今回の結果を我が国の平成11年度歯科疾患実態調査結果と 比較すると,う蝕有病率は低値であり,飲料水中の高いフッ素濃度 が関与していると考えられる.しかしながら未処置う歯が多く,こ の傾向は成人でも認められることから,紅茶園労働者の口腔保健管 理レベルの向上と定期的口腔健診が必要であると考えられる.

歯科内科クリニックにおける臨床実習到達度の調査 第2報

―歯科衛生士専門学校生の小児歯科でのアンケート調査より―

○駒木千絵,棟方志摩,武井貴子,五十嵐清治**

北海道医療大学歯科内科クリニック歯科衛生部

**北海道医療大学歯学部小児歯科学講座

【目的】本学歯科衛生士専門学校生の小児歯科における平成16年度 の臨床実習について,アンケート調査を行ったところ,今後の課題 として次のことが明らかとなった.

1. 事前実習の強化について.

2. 患児数の少ない時間帯の有効活用について.

3. 10%の学生に口腔衛生指導と口腔ケアの実技を体験させるシ ステムの導入について.

これらの項目について検討したところ,臨床実習ガイダンスプリ ントおよびシミュレーション実習の見直し,午前中の時間を利用し 口腔衛生指導,および口腔ケアの相互実習を導入したことである.

これらを踏まえ臨床実習到達度を把握するために,アンケート調査 を実施したので報告する.

【対象と方法】対象者は平成17年度2年生の臨床実習生である.ア ンケートは小児歯科臨床実習終了後に無記名で記述させた.調査内

容はガイダンスプリント,オリエンテーション,口腔衛生指導と口 腔ケア,診療補助,患者対応,臨床実習の満足度についてであり4 段階形式と記述式で行った.

【結果および考察】集計結果より判断すると,実習生は患者さんを 前にすると緊張や経験不足から知識や能力が十分に発揮されないこ とが示唆された.また患者さんとのコミュニケーションの良否と臨 床実習の満足度は相互に関連していると推測できた.実習中の満足 出来た理由,出来なかった理由としてはコミュニケーションに関わ る意見が大半を占め,臨床実習を通してコミュニケーションの大切 さや難しさが再確認できたようである.小児の歯科診療では,歯科 衛生士の役割は重要であり,コミュニケーション,知識,技術など の高い能力が要求されるなどであった.なお,今後も臨床実習のあ り方を検討していくことが必要と思われた.

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あいの里地区某小学校,3,4年生の児童に実施した口腔保健指導について

○上西明子,城市由紀,前崎有美,梶美奈子,齊藤正人,野呂大輔,舞田健夫,川上智史 北海道医療大学病院 北海道医療大学個体差科学センター

【指導目標】児童期からの口腔の健康作りを実践することは,生涯 の口腔衛生において重要である.我々は,あいの里地区某小学校か ら『歯に関する支援事業』の依頼を受け,平成17年11月に全校児童 を対象にした口腔保健指導を行った.1年生から6年生までを低・

中・高学年の3つのグループに分け,歯科衛生士がそれぞれのグル ープを担当し,むし歯のでき方について理解してもらえるような指 導内容とした.

今回は,中学年(3,4年生)の児童に実施した口腔保健指導の内 容について報告する.

【対象および実施内容】中学年の児童(3年生59名,4年生47名,

計16名)を対象とした.総合学習の授業時間(45分間)に視覚媒 体(紙芝居・スライド)を使用し口腔保健指導を行った.また,児 童の口腔保健指導に対する理解度を把握するため,口腔保健指導前

後に同一のアンケート調査を実施し,指導前後の結果を比較した.

口腔保健指導前では,むし歯の原因はお菓子や歯みがきをしない ことと,とらえている傾向がみられたが,指導後は,プラーク,む し歯菌と,指導内容に出てきた言葉を使用し,おおまかなう蝕発生 のメカニズムを理解している児童の増加がみとめられた.

【まとめおよび今後の展望】小学校中学年児童に対する,視覚媒体 を使用した口腔保健指導により,むし歯のでき方についての正しい 知識の向上がアンケート調査結果より確認することができた.

今後の展望として,学校の保健便りに口腔保健指導の掲載を検討 している.今後も学校側と定期的に意見交換を繰り返し,この事業 をよりよいものにしていきたいと考えている.歯科衛生士がこのよ うな活動を継続することで,地域医療に貢献し,子供たちのむし歯 を減らせるよう努力していきたい.

無歯顎補綴学の基礎実習に関する一考察

義歯を作る実習 から 患者を診る実習 へ−

○横山雄一,平井敏博,越野 寿,寺澤秀朗,木花八友,牧浦哲司,

松実珠千,田中慎介,冨田泰子,川西克弥,佐藤絹江,伊東由紀夫 北海道医療大学歯学部歯科補綴学第1講座

【目的】近年の国民の健康意識の向上や急速な医療の変化などに対 応すべく,本年度から全国の医学部・歯学部学生に対して「臨床実 習開始前の共用試験」が導入,実施されている.この試験には,医 療倫理,コミュニケーション能力,技能・態度教育および医療にお ける安全性の配慮と危機管理に関する教育の充実が求められてお り,歯学部学生への歯科補綴学教育の在り方についての検討が必要 であると考える.そこで我々は,平成18年度から,改修が完了した 本学歯学部臨床系基礎実習室に整備された種々の機器を利用し,第 4学年に実施されている無歯顎補綴学(全部床義歯補綴学)実習の 内容を見直し,従前からの 義歯を作る実習 から, 患者を診る 実習 へと変更することとした.

【内容】これまでの全国歯科大学・歯学部の全部床義歯補綴学基礎 実習は,無歯顎石膏模型を使って上下顎全部床義歯をその臨床術式 に従い製作するものであった.すなわち,診察・診断から義歯の装 着・調整に至までの治療過程の中で,全国の多くの歯学部での基礎

実習では,咬合床製作,咬合採得,人工歯排列,埋没・重合,削 合,研磨など,技工作業が中心であった.しかし,「共用試験」を 経た臨床実習では,講義で得られた知識に基づいた診療室で必要と される臨床技術・技能の修得が重要となることから,その基礎実習 は,技工作業ではなく,診療術式を中心とした内容に変更する必要 があると考えられる.

そこで次年度から,基礎実習室に新たに導入されるDR−11(モ リタ製作所)を使用して,概形印象採得,個人トレーによる精密印 象採得,咬合採得とGoA描記,完成義歯の口腔内装着,装着後長期 間経過への対応など,実際の補綴治療に即した術式や各種器具・器 材の基本的な扱い方などを修得する内容に変更することとした.こ れにより,診療参加型臨床実習へのスムーズな移行,さらには国民 のニーズに応えることのできる歯科医師の養成が可能になると考え る.

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本学歯科内科クリニック地域支援医療科活動報告 第5報

○松原国男1),千葉逸朗1,2),越野 寿1,3),平井敏博1,3),柳谷昌士1)

1)北海道医療大学歯科内科クリニック地域支援医療科

2)歯学部口腔衛生学講座

3)歯学部歯科補綴学第1講座

本学歯学部附属病院は地域からの要望に応えるべく,平成12年1 月に「地域支援医療科」を新設し,訪問歯科診療室所属の歯科医師 の増員と各科・部署の担当者が診療にあたる体制を整備した.

今回は,平成17年1月から12月末までの「地域支援医療科」とし ての活動について報告する.

1.訪問歯科診療の実績

訪問診療を実施した患者数は14名(平成16年同期間:14名)で あり,延べ訪問診療回数は11回(平成16年同期間:14回)であ った.

訪問先については,高齢者・障がい者施設が59回(42.2%)で 最も多く,居宅が41回(37.8% ), 入 院 中 の 医 科 病 院 が21回

(20%)であった.

訪問先の地域別分布では,厚田村が57回(41.3%),当別町が 4回 (32.6% ), 江 別 市 が19回 (14.5% ), 岩 見 沢 市 が11回

(7.8%),月形町が38回(2.9%),札幌市が11回(0.8%)であっ た.

施設・居宅の訪問回数については,当別町が増加し,厚田村はほ ぼ横ばいであった.当別町の増加は今まで単発的であった医科病院 の往診が,定期的になったことが挙げられる.またそれに伴い,歯

科医師2人の体制とし,人数の増加に繋がった.

2.地域住民への啓発活動

地域住民に対して,疫学調査を含む研究結果をもとに口腔・顎・

顔面領域の機能を概説し,顎口腔系機能の全身の健康維持に果たす 役割の重要性を啓発するための活動として,講演会への講師派遣は 2回であった.

3.歯の健康プラザ

当別町によって立案された健康推進計画の推進に対して,本学 は,「当別町二万人歯の健康プロジェクト」を立ち上げ,町民の口 腔の健康の維持・増進に関する種々の啓発活動を行っている.その 一環として,平成16年8月にJR当別駅前に「歯の健康プラザ」を 開設した.

本年度は,医療施設としての「歯の健康プラザ」の機能を果たす 他に,「食育」に関わるイベントを企画し,町民との交流を深め た.これには本学学生も参加し,学生のコミュニケーション学習に も寄与する機能を発揮した.

今後も,「地域支援医療科」としては,「治療」の観点からの訪問 歯科診療と,「予防」の観点からの啓発活動に対して,さらなる積 極的な取り組みが必要であると考える.

マウスの大および小唾液腺の筋上皮細胞のグリア細胞株由来神経栄養因子

○恒川寛明,鈴木裕子,小原伸子,武田正子 北海道医療大学歯学部口腔解剖学第二講座

【目的】グリア細胞株由来神経栄養因子,GDNF(glial cell line−de-

rived neurotrophic factor)は,中枢および末梢神経系のニューロン

の発達,生存,維持を促進する働きを持っている.正常マウスの大 唾液腺および小唾液腺の筋上皮細胞がこのGDNFを発現するかどう かを検索した.

【方法】RT−PCR解析法と,光学顕微鏡,および電子顕微鏡による 免疫組織化学的方法を用いた.

【結果】RT−PCR解析により,顎下腺にはGDNF mRNAとGFR

α1 mRNAが存在することが証明された.免疫電顕法により,高電子

密度を呈するGDNF免疫陽性細胞が,終末部分泌細胞と基底膜の間 に位置していた.二重免疫蛍光染色法を行った切片の共焦点レーザ

ー走査顕微鏡観察により,終末部周囲のほとんどの抗GDNF免疫陽 性細胞と抗アクチン陽性細胞が重なることがわかった.抗GDNFと 抗PGP9.5による二重免疫蛍光法により,漿液腺の耳下腺,顎下 腺,舌エブネル腺には,多数のPGP9.5陽性の神経線維が分布して いたが,GDNF免疫陽性細胞の発達の程度はあまり良くなかった.

一方,粘液腺の舌下腺と舌粘液腺では,神経線維の分布は乏しい が,GDNF免疫陽性細胞は非常に良く発達していた.

【結論】マウスの大唾液腺,および小唾液腺の筋上皮細胞はGDNF を発現することがわかった.GDNFの機能として,唾液腺の分泌細 胞,さらに所属神経節のニューロンに対する栄養作用が推測され る.

Implantを用いて7の水平埋伏を治療した症例

!

○田中 信久,武藤 壽孝**,溝口 北海道医療大学歯学部矯正歯科学講座 北海道医療大学歯学部口腔外科学第I講座**

【目的】臨床上,下顎第二大臼歯の近心傾斜や埋伏等の位置異常を 認めることがある.大臼歯部の位置異常により咬合咀嚼機能障害や

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口腔衛生の悪化などが問題となる場合がある.一般的に大臼歯部の 整復方法には,切開や牽引,移植,および再植などが挙げられる が,矯正学的に整復する際には固定源不足による隣在歯の傾斜,圧 下,挺出等の反作用を十分考慮する必要がある.一般的にはloop-

mechanics,upright spring,partial bracket system等が用いられている

が,最後方臼歯の埋伏では牽引に必要となる固定源の設定が困難で あり,矯正装置の複雑化や,隣在歯への反作用や固定力の不足のた めに抜歯が適応されることが少なくない.近年,implantを不動固 定源として用いた矯正歯科治療が行われるようになり,固定源の設 定を比較的自由に行えるようになった.今回,完全水平埋伏した下 顎左側第二大臼歯に対し,implantを用いて整復を試みた.

【症例】初診時年齢20歳1か月の女性.7の水平埋伏と上下顎正中 線の不一致による審美障害を主訴として当科を受診した.既往歴,

家族歴に特記事項は認められない.口腔内所見として,上下顎正中

線のずれは2.

mm,大臼歯の咬合関係は右側Angle Class I,左側 Angle Class IIと左右非対称であり,anterior tooth size ratioに不調和

が認められた.口腔内エックス線写真所見より7の水平埋伏が認め られた.側面頭部エックス線写真所見より,skeletal Class I,short

faceであった.

【結果および考察】完全水平埋伏した 7を整復するために,下顎 枝部に埋入したscrew implantとmulti bracket applianceを使用するこ とにより良好な結果が得られた.

質問対策

1)今回の治療と従来の治療法を比較して,治療期間の相違につい

2)埋伏は遺伝するのか?

精神的不安定により不登校となった児童における歯科治療経過の一例

○関口五郎 東京都立心身障害者口腔保健センター

【目的】近年さまざまな理由によって,学校への不登校となる児童 が増加していることが報告されている.今回精神的不安定により不 登校となり,またう蝕が多発した児童における歯科治療経過の一例 について報告する.

【症例】0歳男児.2年前に路上で突然の息苦しさを訴えて医科を 受診するも,明確な原因が判明しなかった.また同時期より小学校 へは不登校となり,現在フリースクールに通っている.そしてそれ まで受診していた地域歯科医院への通院も本人が拒否するようにな り,う蝕治療が中断していた.しかしその後う蝕が非常に進行した ことから,母親より相談を受けた地域保健所の紹介で当センターを 受診した.

【経過及び考察】本人の理解力に問題はなかったが,治療に対する 不安,緊張が強く,口腔内はう蝕が多発していたことから全身麻酔 法での集中歯科治療を検討した.しかし保護者は全身麻酔施行に対

して慎重な意向であった.そこで本人に治療内容を十分に説明しな がら治療を試みたものの,通常下の治療には限界があり,再度保護 者への説明を行い,承諾を得て全身麻酔法での治療を実施した.結 果として複数回の全身麻酔施行が必要であったなど,治療期間が長 期にわたることとなった.現在も治療継続中であるが,歯科治療に も慣れ,通常下での治療がほぼ可能となったほか,歯科衛生士によ るPMTCなどの予防処置を継続している.

【結論】本症例ではう蝕が多発した口腔内状況を踏まえ,患児や保 護者への対応の仕方や診療方針について,十分な検討と相互の理解 をもってすすめる必要があるものと思われた.なお患児が通うフリ ースクールでは,歯科治療などの医療的な対応については各個人や 家庭の判断に任されており,今後スクール担当者とも連絡を密にし て対応してゆく予定である.

顎関節症におけるサイトカイン遺伝子多型に関する多施設共同研究

○金澤 香,柴田 考典 北海道医療大学歯学部口腔外科学第1講座

【背景】顎関節における変型性関節症の発症および増悪因子につい ては未だ不明であり,膝あるいは股関節の変形性関節症の発症ある いは増悪に関与しているinterleukin(IL)−1,

IL−1 receptor an- tagonistの遺伝子多型を,顎関節における変型性関節症の候補遺伝

子多型とした多施設共同比較試験を計画した.

【目的】顎関節症患者における炎症性サイトカイン遺伝子多型

〔IL−1A−8

C/T, IL−1B+3

C/T, IL−1B+5

G/A, IL−1 RN variable number of tandem repeat(VNTR)〕の発現頻度を解析

し,関節症状の増悪・促進因子としての遺伝子多型の関連性につい て検討する.

【方法】同意の得られた顎関節部痛が6か月以上持続する顎関節症 患者23名を患者群,臨床的顎関節無症状者12名を対照群とした.

Swab法を用いて採取した口腔粘膜細胞からDNAを抽出し,PCR−

RFLP法にてIL−1A−8

C/T, IL−1B+3

C/T, IL−1B+5

G /A, PCR法でIL−1RN VNTRの多型判別を行い,それぞれの多型の

頻度を求め,P<0.5をもって有意性の判定を行った.なお,検体 採取には高木律男(新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科),覚 道健治(大阪歯科大学附属病院口腔外科),米津博文(東京歯科大 学千葉病院口腔外科),木野孔司(東京医科歯科大学歯学部附属病 院維持系診療科顎関節治療部),濱本宜興(山形大学医学部附属病 院歯科口腔外科)のご協力を頂いた.

【結果及び考察】対照群ではIL−1A−89のT allele,IL−1B+

4のT allele,IL−1B+50のA allele,IL−1RN VNTRの2alleleの 頻 度 は そ れ ぞ れ0.5,0.3,0.2,0.6で あ り ,

Loughlinら , Sternらの白人健常人群と比べて,IL−1B+5

0のAallele頻度は有 意に高くIL−1A−89のT allele, IL−1B+34のT allele, IL−1

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RN VNTRの2alleleの頻度は有意に低かった.なお,対照群におけ

る性差は認められなかった.また,患者群の検体が未だ十分でない ことから,今回は統計的判定を行わなかった.今後さらに,患者群

の検体を増やした上で検討を行いたいと考える.

【結論】4つの遺伝子多型の頻度には人種差があることが判明し た.

上顎大臼歯部にインプラントを単独植立し脱落した症例

○南 誠二,細川洋一郎,越智守生,田中力延,佐野友昭,大西 隆,篠崎広治,金子昌幸 北海道医療大学歯学部歯科放射線学講座,

北海道医療大学歯学部歯科補綴学第2講座

【目的】上顎大臼歯部にインプラントを用いる際,歯槽骨頂から洞 壁までの距離が1

!以下のケースでは,一般には,上顎洞底挙上術

を行うか,ショートインプラントを用いるかの選択になる.今回,

単独で用いたショートインプラントが,比較的早期に脱落した2例 を経験したので報告する.

【症例1】1歳男性.上顎左67欠損であったが左下7が欠損のため 左上6部のみに直径4.

!長さ8!のインプラントを単独植立.5ヵ

月後に上部構造を仮着したが,直後に動揺をきたし撤去.即時に直 径4.

!長さ8!,直径4.

!長さ8!の2本を植立.

【症例2】3歳男性.上顎右6欠損であったが上顎洞壁までの距離 が6!しかないため直径4.

!長さ6!のインプラントを単独植

立.5ヵ月後に上部構造を仮着したが,その4ヵ月後に動揺をきた し撤去再埋入.今度は直径3.

!

長さ8

!

のインプラントを近心に

追加埋入した.

【結果及び考察】上部構造装着より症例1は約2年,症例2は約1 年半経過するが,臨床的にも,画像診断的にも異常は見られない.

症例1では,当初より歯槽骨が吸収していたため,歯冠長が大きく なり,単独で咬合力に耐えられなかったと思われる.症例2では,

欠損部の距離に対して,インプラントの直径がその半分以下であ り,それと比較して歯冠径のほうが大きいため,単独では支えきれ なくなったと思われる.

【結論】2症例共にインプラントの植立本数を2本に変更すること により安定したが,手術回数が増え治療期間も延長した.治療計画 の時点で,力学的な配慮をすべきであったと考えられる.今後は,

ショートインプラントの単独植立は回避し,より成功率を向上した いと考えている.

Esthetic Resin Coating of Metal Clasp for Removable Partial Dentures

〇Takashi Todo, Mariko Hotta, Takashi Kado, Mayumi Takakura, Naoho Tanizume, Masatomo Watanabe, Yusuke Ida

Health Sciences University of Hokkaido, School of Dentistry

【Introduction】Metallic materials have long been used in dentistry

because of their excellent mechanical properties such as a high fracture toughness and excellent elastic characteristics compared with those of ceramics, polymers and composites. However, the esthetic qualities of metallic materials in matching the adjacent tooth structure in translu- cence and color are inadequate. In the present study, we attempted to make a resin−coated cast clasp with both sufficient functioning and ade- quate esthetic qualities using a novel mechanical retention method for resin and gold alloy bonding by creating a microporous structure on the alloy surface.

【Materials and Methods】A 14K gold alloy containing 59%(in mass

%)Au, 3% Pd, 14% Ag, and 24% Cu was used. Clasps and plate speci- mens were cast by the conventional dental casting technique. Micropor- ous structures were created on the alloy surface by hightemperature oxi- dation at 800℃ and subsequent pickling. One coat of a dental flowable resin containing 1% benzoic peroxide was applied on the microporous surface with ultrasonic vibration. After the resin paste had impregnated into micropores, a prosthetic hard resin was placed on the alloy surface and was subsequently cured by irradiation of visible light, followed by

heating at 70℃ for 30 min . The resin − coated plate specimens were mounted with the use of hard resin . The section perpendicular to the metal/resin interface was mechanically polished and was observed by a scanning electron microscope. The resin−coated clasps were subjected to 15,000 thermal cycles from 60℃ water to 0℃ water for 60 sec each and were subsequently subjected to 100 cycles of attachment and removal test using a model die.

【Results and Discussion】Secondary electron image of the cross−

section of the resin−bonded specimen showed that numerous micropores of 1−5 µ m in diameter and 25 µ m in depth were formed on the alloy sur- face and each micro−pore was filled with the applied flowable resin . There was no gap between the alloy and resin, suggesting that good me- chanical resin/metal bonding had been achieved. The coated resin was not detached even with 15,000 thermal cycles and subsequent 100 cycles of attachment and removal of the clasp using a model die.

【Conclusion】The results of the present study suggest that a clasp

with both sufficient functioning and adequate esthetic qualities can be made using a novel mechanical retention method for resin and gold alloy bonding by creating a microporous structure on the alloy surface.

8 3

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抜歯後感染により咽頭気道の狭窄をみとめた重症糖尿病患者の一例

○内田暢彦,永易裕樹,川上譲治,北所弘行,有末 ,柴田考典**,辻 昌宏 北海道医療大学個体差医療科学センター,北海道医療大学歯学部口腔外科学第2講座 北海道医療大学歯学部口腔外科学第1講座**

【目的】優れた抗菌薬が各種開発された現在,歯科口腔外科領域に おける感染症が重篤な経過をたどることが少なくなった.しかし,

重症糖尿病患者のように感染防御機能が低下している場合,時とし て感染症が重篤化することがある.今回われわれは,重症糖尿病患 者が抜歯後感染をきたし,感染巣の進展によって広範囲膿瘍を形成 し,咽頭気道の狭窄をきたした1例を経験したので報告する.

【症例】患者:54才の男性.初診:平成17年7月8日.主訴:口腔 内の腫脹と抜歯窩からの排膿.既往歴:約20年前に糖尿病を指摘さ れたが,その後自己判断で治療を中断していた.現病歴:平成17年 6月下旬に近医歯科にてP3にて左側上顎46の抜去を受けた.そ の後,経過に異常を認めなかったが,約1週間後に突然,抜歯窩よ りの排膿を生じ抗菌薬を投与された.しかし排膿が減少しないた め,紹介歯科医を経由し,7月8日当科受診に至った.現症:BT 7.3℃ ,

WBC

0.9×14,

CRP

8.

mg / dl

HbA

c

1.5%.顔面所見では著明な発赤,腫脹および圧痛を認めず,口腔

内所見では,抜歯窩周囲に発赤,腫脹および,同部よりの排膿を認 めた.また,左側口峡咽頭部の腫脹が著明で,口蓋垂が著しく右側 に偏位し,嚥下時咽頭痛および開口障害を認めた.

【診断】基礎疾患に重症糖尿病を有する重度歯性感染症.口峡咽頭 炎,咽頭気道の狭窄,縦隔洞炎疑い.

【経過】初診日,ロセフィン1g点滴静注し入院を勧めたが,同意 が得られなかったため,フロモックス3

mg/dayを2日分持参し帰

宅した.自覚症状の増悪により7月12日入院に至った.入院後,直 ちに切開排膿処置を実施し,再度ロセフィン点滴静注2g/dayを再 開し,7日間継続した.X線CT検査にて左側上顎骨骨炎に伴う腐骨 を認め,7月22日腐骨掻爬・除去術を行った.7月30日に軽快退院と なった.

現在,歯性感染症は消退しており,基礎疾患である糖尿病につい ては,当院内科の糖尿病専門医が治療中である.

本講座におけるマルチメディア教材を用いた臨床基礎実習の取組み

○尾立達治,伊藤修一,安田善之,永井康彦,畑良明,斎藤隆史 北海度医療大学歯学部歯科保存学第二講座

【目的】これまで本講座では,保存修復学実習において効率的,効 果的な教育システムを構築することを目的として種々検討を重ねて きた.マルチメディア教材に関しては平成9年度から検討を開始 し,11年度にはオンデマンド方式の自立学習支援マルチメディア示 説教材と三次元計測を応用した客観的窩洞評価システムとを組合せ た実習システムを一部導入し,13年度から本システムを本格運用し ている.さらに16年度からは,マルチメディア示説教材と対応する ように実習書に写真・画像を多く挿入し,学生が実習内容をより理 解しやすいように実習書を改訂してきた.ここでは,本講座におけ るマルチメディア教材を用いた臨床基礎実習の取り組みを紹介す る.また教材に対するアンケートを学生対象に実施したところ,い くつかの知見を得たので報告する.

【対象と方法】平成17年度歯学部3年次学生に対してマルチメディ ア示説教材に関するアンケート調査を実施し,平成13年度のマルチ メディア示説教材導入時の調査と比較検討した.

【結果及び考察】調査の結果から,パーソナルコンピューターの操 作経験に関しては,「操作したことがある」「日常的に活用してい る」をあわせて95%の学生が操作経験ありと回答した.このうち日 常的に活用していると回答した学生は43%で,平成13年度の15%よ り顕著に増加していた.またコンピューターの保有率も平成13年度 の72%から86%と増加していた.従来の実習との比較に関しては,

「こちらのほうが良い」88%,「どちらでも良い」6.8%で,平成1 年度調査における結果より「こちらのほうが良い」と回答した学生 が多かった.以上のことから,現在の学生はマルチメディアに精通 していることが明らかになった.来年度からはオンデマンドマルチ メディア教育対応の臨床基礎実習室が利用できるようになるが,現 在の学生は新実習室におけるマルチメディア教育システムにも順応 が早いと推測された.今後は,新実習室に対応した新しいマルチメ ディア教材の開発を行う予定である.

歯学部3年生および5年生に対するレーザー照射実習の教育的効果

○安田善之,伊藤修一,尾立達治,永井康彦,斎藤隆史 北海道医療大学歯学部歯科保存学第二講座

【目的】近年,レーザーがその適応の広さ(う蝕除去,軟組織切 開,根管内殺菌,歯石除去など)から日常臨床で使用される頻度が 高まっている.そこで,実習教育において歯学部学生にレーザーに

直接触れる機会を与えることはどのような教育的効果があるのか,

また,今後実習に取り入れる必要があるならば,どの学年に行うの が最も効果があるのかを検討した.

8 4

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【方法】本研究は,本学平成17年度歯学部3年生21名,5年生20名 を対象にして行った.炭酸ガスレーザー(Takara, Bel Luxar LX−

SP)とEr:YAGレーザー(モリタ,Erwin Adverl)を使用し,被

照射体としてとりささみと硬石膏に植立したヒト抜去歯を用いた.

実習の流れは,初めにレーザーの原理や特徴について説明してか ら,実際に機器を使用しながら教員によるデモを行った.その後,

学生にレーザー照射を体験させ,最後に無記名によるアンケート調 査を実施し,結果を分析検討した.

【結果】実習前のレーザーに対する興味は3年生に比べて5年生の 方が高かった.レーザーに対する実習前の印象は,3年生が「難し そう」「痛そう」という意見が多かったのに対して,5年生が「疼痛

予防,口内炎,歯槽膿漏に対して用いられる」など対象疾患につい て具体的な意見が多かった.両学年とも実習の満足度は高く,全て の学生が実習前に比べてレーザーに対する理解度が高まり,また本 実習が学生に対して意義があると答えた.

【結論】実際にレーザーに触れて操作することで,講義だけでは十 分に分からなかったレーザーの原理や特性について,いずれの学年 の学生も理解度が増した.特に5年生に対しては,さまざまな疑問 を持って積極的に実習に臨んでいる態度が伺えた.アンケートの結 果からもレーザー照射実習は,歯科医師としての自覚を向上させ,

高い教育的効果が得られることが分かり,実習教育における本実習 の導入の必要性が認められた.

グレートテーパーガッタパーチャの根管封鎖性

○立松祐哉,畑 良明,甕 富美子,永井康彦,斎藤隆史 北海道医療大学歯学部歯科保存学第二講座

【目的】最近,Ni−Ti合金が根管拡大用ファイルとして使用され根 管治療にかかる時間が短縮される傾向にある.しかし,最終根管形 態のテーパーが.4〜.0となるように根管形成されているのもかか わらず,根管充填では,ステンレススチールファイルで拡大した根 管と同様にテーパー.2のガッタパーチャポイントを使用すること が多い.そこで,最終根管形態のテーパーに合致したガッタパーチ ャポイントを用いて根管充填を行い,その操作性,根尖封鎖性につ いて比較検討した.

【材料および方法】ヒト下顎前歯60本を被検歯としてNi−Tiファイ ル:K3(SybronEndo)を用い,ア ピ カ ル シ ー ト #40, テ ー パ ー.6に規定して根管拡大・形成を行った..6グレートテーパーガ ッタパーチャ(Analytic Endodontics)または.2テーパーガッタパ ーチャ(Pierce)とシーラペックス(SybronEndo)を用いて以下の 方法にて根管充填を行った.

①.6グレートテーパーガッタパーチャとアクセサリーポイントに よる側方加圧法

②.6グレートテーパーガッタパーチャとオブチュレーションガッ

とNTコンデンサーによるハイブリッド法

③.2ガッタパーチャとアクセサリーポイントによる側方加圧法 根管充填を施した歯を墨汁中に浸漬した後,通法に従って透明標 本を作成し,根尖孔からの墨汁浸漬距離について3群を比較した.

【結果】①根管充填に要した時間は,.6グレートテーパーガッタ パーチャによる側方加圧法:10.9秒,ハイブリッド法:15. 秒,.2ガッタパーチャによる側方加圧法:19.1秒であった.②墨 汁浸透距離は,.6グレートテーパーガッタパーチャによる側方加 圧法:0.

!,ハイブリッド法0.

!,.

2ガッタパーチャによる 側方加圧法:0.

!であった.二項検定の結果,ハイブリッド

法,.6グレートテーパーガッタパーチャによる側方加圧法,通常 の.2テーパーガッタパーチャによる側方加圧法の順で封鎖能が高 いことが明らかになった.

【結論】最終根管形態のテーパーに合致したグレートテーパーガッ タパーチャを用いる根管充填法は,従来の.2テーパーのガッタパ ーチャによる根管充填法と比較して,操作時間が若干短縮し,封鎖 性も従来と同等かそれ以上の封鎖性を示すことが判明した.

生体内吸収性ポリ乳酸(PLLA)プレート破損症例の臨床的検討

○吉本良太,奥村一彦,辻 祥之,有末 眞,柴田考典 北海道医療大学歯学部口腔外科学第2講座 第1講座

【目的】顎骨骨片固定に用いたPLLAプレートの破損症例を検証 し,臨床使用上の問題点とその適応について考察すること.

【症例】当科にて,PLLAプレートによる顎骨骨片固定を行い早期 に膿瘍形成,破損を生じプレート除去を行った2例について,臨床 経過の検討とともに,除去したプレート,スクリューを実体顕微鏡 および走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した.

【経過および考察】症例1は,1歳男性の下顎骨骨折症例で,術後 8週で左側下顎角部相当で限局性の皮下膿瘍をきたし切開排膿処置 を行った.その後同部は瘢痕化したが,9か月経過し同部の違和感を 患者が訴えたため,口腔内よりプレート,スクリューとともに周囲 瘢痕組織の除去を行った.症例2は,4歳女性の上顎前突症例で,

術後口腔内の切開創が〓開し創部の洗浄を継続したが,術後10週で プレート周囲に粘膜下膿瘍が形成され,洗浄に続けてプレート,ス

クリューの除去と周囲不良肉芽組織の掻爬を行った.いずれも除去 したプレート,スクリューの破損を認めた.実体顕微鏡では,プレ ートの完全な破断と表面の裂開を認め,

SEMでは破断面の捻

り,ねじ穴周囲の微小裂開がみられ,スクリューにはねじ山の破壊 とロット部に捻りを生じて表面に裂開が認められた.以上より固定 時の過大入力により材料に変形・微小裂開を来し,その後の顎運動 の応力ひずみにより,破損を来した可能性が示唆された.

【結論】チタンと比較し,PLLAは素材として脆弱であることか ら,適用部位の表面性状に合わせて形態修正を行った後,スクリュ ーへの過剰なトルクを回避して,プレートに対し垂直にスクリュー 固定を行うことが肝要であることが示された.また,顎間固定の延 長も考慮すべきであると思われた.

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