【はじめに】建物における消費電力のうち , かなりの割合を照明によるものが占めていることが知られてい る
[1]。人のいない空間を照らしている時間を減らすことで , 照明による無駄な電力消費を大幅に削減するこ とができる。一方で , 人がいるのにもかかわらず適切に照明を点灯しないような状況が生じると , ユーザの 快適さを損なうことになる。本研究では , 省電力とユーザ快適性を両立する照明制御システムを構築するこ とを目的としている。
【システムの概要】提案するシステムでは , PIR モーションセンサを用いて人の移動を検知し , それに基づい て照明の制御を行う。このとき , センサによる検知時刻から実際の制御を行う時刻までの時間の長さの違い によって , 次の 3 種類の制御手法を持つ。
リアルタイム制御:人の接近に対応して , ノードに直接接続された照明に対し即座に点灯・消灯を行う。
予測的制御:隣接する複数のノードのセンシング結果から , 近い将来の人の動きを予測し , 先回りして照 明の点灯・消灯を行う。
履歴からのスケジュール生成:過去のセンシング履歴を用いて周期的な人の移動を予測し , 照明の制御ス ケジュールを生成する。
【実験】ここでは予測的制御の具体的な実現に向けた実験の方法について述べる。
本研究は主にオフィス等の廊下での照明制御を目的としている。そのような場所では不特定多数の人間が 移動を目的として歩いていると想定され , 個人の特定やその人の特性に合わせた照明の制御などは困難であ り , また不要であると考えられる。したがって , 提案するシステムにおいては , 個人の区別は行わず , 利用者 からみて十分自然な照明の制御結果が得られればよいものとする。
実験では , 一人の人間が始点から終点まで約 10 秒かけて歩き , 終点で 10 秒待機した後 , 終点から始点まで 約 10 秒かけて歩き , 始点で 10 秒待機する。これを 1 セットとして連続で 12 セット分のデータ取得を行った。
この間 3 つのノードは常に 1 秒間隔でセンシングを行い , 結果をホスト PC に送信した。図 1 は , ノード 2 で 検知した場合 , 過去の全てのノード 1 での検知時刻と照
合してノード 3 への到達時刻の予測を行った結果をノー ド 4 のセンシング結果として示したグラフである。
【考察】実際のノード 3 での検知時刻を参照すると , すべ てのデータが予測結果に含まれていることがわかる。こ のほかにいくつかの人間の行動パターンを想定した実験 を行い , いずれも同様の結果が得られた。よって , この 予測方法はおおむね使用に支障はない結果が得られると 考えられる。
[ 1 ] Delaney, D. T., O'Hare, G. M. P., and Ruzzelli, A. G., 2009. Evaluation of energy-efficiency in lighting systems using sensor networks. In Proceedings of the First ACM Workshop on Embedded Sensing Systems for Energy- Efficiency in Buildings ( BuildSys '09 ) . ACM, New York, NY, USA, 61-66
図 1 線形近似に基づく予測結果
無線センサネットワークを用いた予測的照明制御システム
高 山 悠 希(指導教員 横田裕介)
日本女子大学紀要 理学部 第29号(2021)
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