• 検索結果がありません。

2020年度牧会サマーセミナー : 新型コロナウィルス感染渦の中での牧会 : 講演者:堀肇・花井百合子(聖学院大学総合研究所牧会心理研究主催) 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2020年度牧会サマーセミナー : 新型コロナウィルス感染渦の中での牧会 : 講演者:堀肇・花井百合子(聖学院大学総合研究所牧会心理研究主催) 利用統計を見る"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 2020年 9 月14日(月)、第12回牧会サマーセミナー が開催された。前回(2019年 9 月)は、台風の影 響で波乱の幕開けとなったが、今回はさらに新型 コロナウイルス禍というおよそ 1 年前には予想も しなかった状況での開催となった。そのため ZOOMによる自宅からの参加方式となった。

 今回ZOOMによる開催ははじめてであり、参加 する牧師のなかには操作がうまくできない人もい るだろうし、そもそも参加者が集まるのかどうか わからないという心配があった。しかしながら、

当日を迎えてそれらは杞憂であることがわかった。

参加牧師はほぼ定員の18名。当日参加者には接続 状態が悪かった人はいたが、それもなんとかカバー され、全体の進行を乱すことはなかったと思う。

それはネット環境やZOOMの恩恵という以上に、

事務側でかなり細かい準備をしていただいたこと が大きかったと思う。オリジナルな操作マニュア ルを配布したり、希望者には事前に操作テスト日 を設けたりして、懇切丁寧な対応をしていただいた。

 さて当日は、10時30分からセミナーが始まった。

画面上、入室してもらう際に、音声と映像のチェッ クを行い、それが人によっては時間がかかった。

そのため、一時的に行列が出来るような感じとな り、少し遅れての開始となった。しかし司会者の 短い挨拶の後、参加者の自己紹介が行われたころ には、画面の前でも、例年と同じように自由な雰 囲気となり、いつしかZOOMでつながっていると いうことも忘れて、同じ会場にいるような錯覚を 味わった。

 さて今回のテーマは、「新型コロナウイルス感染 渦の中での牧会」と掲げられた。まず牧師の立場 から堀肇先生が語り、心理士・信徒の立場から花 野井百合子先生が語った。

 堀先生は、講演冒頭で、新型コロナウイルス感 染症が中国で発生したことをニュースなどで伝え 聞いたときの私たちの「感覚」を取り上げた。確 かに多くの人はまさかここまで日本でもまん延し、

日々の生活と社会を変えてしまうことになろうと は思わなかったのではないか。知らぬ間に大きな 危機が訪れ、医学的な感染のみにあらず、さまざ まな分野での危機対応が求められていることを今 さらながら思い知らされた。

 さて、堀先生の講演では、今回のコロナ禍をど のように受け止め得るかを、牧会という観点から お話しくださった。まず「信仰共同体の本質を問 う契機」として受け止める。そこには単なる集会 再開ではなく、信仰共同体のあり方を再考するこ とが求められていると理解するのだった。また、「成 熟した連帯性の形成」の機会としても受け止めら れる。多様性を持ちつつも一つの体であるという 連帯性を失わないことが大事であること。そして、

聖学院大学総合研究所 牧会心理研究主催

2020 年度 牧会サマーセミナー

新型コロナウイルス感染渦の中での牧会

講演者:堀肇・花野井百合子 報 告

講演者・コーディネータ 

上:堀肇先生 下:花野井百合子先生

21

聖学院大学総合研究所 NEWSLETTER vol.30, No.1・2, 2020

(2)

コロナ禍の日常は、外出自粛が余儀なくされ、三 密を回避し、人と離れることが求められる世界で ある。そうした環境は、考え方次第では、「自分と 神に向き合う好機」とすることができると勧めら れた。

 花野井先生は、信徒として、心理士として、語 られたが、プログラムの都合上、短い時間でその エッセンスを述べられた。印象深かったのは、コ ロナ禍に遭遇する体験というのが、病気受容とも 共通するプロセスがあること。また、意味を性急 に求めすぎることの危険性を述べられたことで あった。筆者には、堀先生が冒頭で「感覚」をと りあげたことに対する応答になっているようにも 思われた。

 昼休憩をはさみ、午後からは 3 つのグループに 分かれグループ討議の時間をもった。このグルー プでの話し合いは 2 時間を使い、参加者が午前中 の講演で引き出された思いや課題、また現に直面 している困難な状況や事例を語り合い、分かち合 うことを目指している。

 今回の「コロナ禍の中での牧会」というテーマは、

様々な問題を内包しており、礼拝の動画配信の技 術的なことから、牧師個人としてのメンタルヘル スの問題、牧師が教会員とコミュニケーションを 取る実際、オンラインでの聖餐式の可能性など、

話題は多岐にわたった。それに加え、筆者の参加 したグループでは、進行役(筆者)が発言者を指 名することが多くなり、自由に発言する雰囲気を 削いだ気もする。ZOOM方式の課題でもあると思う。

 一方で、たまたま存じ上げている牧師が同じグ

ループにおられたが、その人はカジュアルな服装 で、自宅にいることや、会場への移動がないこと などから来るリラックス感に溢れており、これは ZOOM方式の恩恵であると思えた。

 さて、その後全体で集まり、グループごとに語 り合った内容を報告してもらい、全体でわかち あった。

 最後に花野井百合子先生、堀肇先生が「まとめ のコメント」を行い、セミナーは予定通り16時に 終了した。

(報告者:藤掛 明[ふじかけ・あきら]聖学院大 学総合研究所カウンセリング研究 研究代表、聖 学院大学心理福祉学部心理福祉学科教授、同大学 院教授)

司会・コーディネータ 藤掛明先生

    書籍のご案内

お近くの書店、Amazon.co.jpからお買い求めいただけます。

世界社会の

宗教的コミュニケーション

──共鳴の醸成 土方 透編著 2020年3月10日発行 3,520円(10%税込)

誰もが共存を欲し、しかし自己の 優越性は疑わない世界社会。

宗教間の共鳴は可能か。

スピリチュアルケア研究

──基礎の構築から実践へ 窪寺俊之著

2017年11月20日発行 5,280円(10%税込)

臨床体験から創出した スピリチュアルヒストリー法である

「<信望愛>法」を紹介。

聖学院大学出版会 TEL:048-725-9801 FAX:048-725-0324 URL:https://www.seigpress.jp

22 聖学院大学総合研究所 NEWSLETTER vol.30, No.1・2, 2020

参照

関連したドキュメント

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

老: 牧師もしていた。日曜日には牧師の仕事をした(bon ma ve) 。 私: その先生は毎日野良仕事をしていたのですか?. 老:

私が点訳講習会(市主催)を受け点友会に入会したのが昭和 57

22 日本財団主催セミナー 「memento mori 広島− 死 をみつめ, 今 を生きる−」 を広島エリザベト音楽大

本稿で取り上げる関西社会経済研究所の自治 体評価では、 以上のような観点を踏まえて評価 を試みている。 関西社会経済研究所は、 年

 今日のセミナーは、人生の最終ステージまで芸術の力 でイキイキと生き抜くことができる社会をどのようにつ

また、当会の理事である近畿大学の山口健太郎先生より「新型コロナウイルスに対する感染防止 対策に関する実態調査」 を全国のホームホスピスへ 6 月に実施、 正会員

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課