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仏教系大学の「僧侶」養成とその類型

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Academic year: 2021

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(1)

はじめに

本稿では、仏教系の3大学(立正大学・大正大学・駒澤大学)で各々行なわれている日蓮 宗・浄土宗・曹洞宗の「僧侶」(1)養成に焦点をあて、教団法規(2)やカリキュラム等の資料を 通して、「僧侶」養成に関する大学ごとの類似点や特徴を明らかにしていく。また、これらの 比較を通して養成に関する類型を提示することも企図している。

そもそも拙稿(武井 2018)で示したように、歴史的な文脈における「僧侶」養成の研究は 数多くあるが、現代の大学における「僧侶」養成に関する研究蓄積は脆弱である。そこで、は じめに各宗派が規定する僧侶と教師について教団法規にもとづき提示した上で、「僧侶」が、

大学という高等教育機関のなかでどのようなカリキュラムによって養成されているのかを具体 的な科目を提示する。そしてこれらを踏まえ、3大学、3宗派の僧侶養成に関して比較し、そ の特徴を見出したい。

1.各大学が養成する「僧侶」とは何か

ここでは、各宗派の教団法規のなかに規定されている僧侶や教師をみることを通して、各大 学(宗派)がどのような「僧侶」を養成しようと企図しているのかを整理したい。ただし、具 体的に養成すべき「僧侶」像として明言されているわけではない。そのため、ここではあくま でも教団法規内の僧侶と教師の意味を確認するにとどめたい。

まずは、日蓮宗における僧侶と教師の区分についてみていきたい。日蓮宗においては僧侶と 教師は同一の条項の中で規定されている。規定されている箇所は、『日蓮宗宗制』(以下、日蓮 宗の教団法規は『日蓮宗宗制』を常に用いるため『日蓮宗宗制』は表記せず省略する)の「日 蓮宗宗憲」「第十一章 僧侶、寺族及び檀信徒」「第七十・七十一条」である。

(僧侶)

第七十条 度牒の交付を受けた者は、本宗の僧籍に編入する。

―立正大学・大正大学・駒澤大学を事例として―

武 井 順 介

(2)

2 本宗の僧籍に編入された者を僧侶といい、これを教師、教師補及び沙弥に分ける。

3 教師は、僧階を叙任された者をいう。

第七十一条 僧侶は、三宝給仕、行学二道に励み、常に檀信徒を教化してその救護に努力 し、和合協力し宗風宣揚及び寺門興隆に努めなければならない。

(日蓮宗 2015: 9)

上記でわかるように、日蓮宗における僧侶とは、日蓮宗の僧籍に入った者のことであり、教 師は僧侶かつ僧階を叙任された者のことである。この僧階には、僧正、権大僧正、僧正、権僧 正、大僧都、権大僧都、僧都、権僧都、大講師、権大講師、講師、准講師、補導、沙弥の 14 級の階位がある。

次に浄土宗における僧侶と教師の区分についてみてみたい。僧侶に関しては『宗教法人浄土 宗規程集』(以下、浄土宗の教団法規は『宗教法人浄土宗規程集』を常に用いるため『宗教法 人浄土宗規程集』は表記せず省略する)「第1編 基本法規」「浄土宗宗綱」「第五章 僧侶」

において規定されている。

(僧侶)

第二十七条 本宗の僧侶は、得度を受け、度牒を授与され、一定の寺院又は教会に所属し、

本宗の僧籍台帳に登録された者をいう。

2 僧侶は、教師、助教師及び宗徒とする。

(僧侶の任務)

第二十八条 僧侶は、仏祖に奉仕し、総本山に帰向し、大本山を尊崇し、その護持にあた り、宗門の和合及び宗風の宣揚を念じ、自行化他、寺門の興隆に努めなければならない。

2 僧侶は、本宗の教旨及び目的を尊ぶとともに宗門法制を遵守しなければならない。

(浄土宗 2015)

では、教師はどうだろうか。「第7編 僧侶」「僧階、教階及び学階査定に関する規程」の

「第六章 教師」をみてみよう。

(教師)

第三十一条 教師とは、宗徒又は助教師で教師検定に合格し、伝宗伝戒を受け、年齢満

(3)

二十年に達した者で僧階を叙任された者をいう。ただし、叙任を取り消され、その資格 を回復していない者は、この限りでない。

(浄土宗 2015)

以上のように、浄土宗においては、僧侶は「得度を受け、度牒を授与され、一定の寺院又は 教会に所属し、本宗の僧籍台帳に登録された者」であり、教師は「教師検定に合格し、伝宗伝 戒を受け、年齢満二十年に達した者で僧階を叙任された者」のことである。ここで提示されて いる浄土宗の僧階には、大僧正、正僧正、僧正、大僧都、僧都、少僧都、律師の7級の階位が ある。

最後に曹洞宗における僧侶と教師の区分についてみてみたい。僧侶に関しては『曹洞宗宗 制』(以下、曹洞宗の教団法規は『曹洞宗宗制』を常に用いるため『曹洞宗宗制』は表記せず 省略する)「第1編 曹洞宗宗憲」「第7章 僧侶及び教師」において明確に規定されている。

(僧侶及び教師の定義)

第28条 得度を受け僧籍に編入された者を「僧侶」といい、僧侶で更に一定の資格を具備 する者を「教師」という。

(曹洞宗 2018: 55)

また、日蓮宗や浄土宗と同様に教師には、大教正、権大教正、大教師、権大教師、正教師、

1等教師、1等教師補、2等教師、2等教師補、3等教師、座元、上座、沙弥の 13 級の階位 がある。

以上、3宗派における僧侶と教師の規程についてみてきた。3宗派において僧侶は、①得度 した者、②度牒に記されている者、③寺院に所属する者、④僧籍を登録された者、といった要 素をもちあわせていることがわかる。教師に関しては、①僧侶であること、②ある一定の教師 養成「プログラム」を経て教師資格をもつ者、である。このようにみると、包括概念としての 僧侶があり、そのなかに教師概念があることがわかる。

それではこの「僧侶」が各大学でどのように養成されているのだろうか。次章においてその 詳細をみてみたい。

(4)

2.各大学の僧侶(教師)養成カリキュラムとその特徴

第1章でみたような「僧侶」を各大学はどのように養成しているのだろうか。ここでは、日 蓮宗、浄土宗、曹洞宗の「僧侶」を大学で養成している立正大学、大正大学、駒澤大学の具体 的な僧侶養成のカリキュラムをみることを通して、その特徴を見出したい。その際、①教団法 規における大学の位置づけ、②「僧侶」になるための基本的なルート、③養成科目の3点をと りあげたうえで、その特徴を提示したい。なお、「僧侶」になるルートには、ここで取り上げ る大学における養成以外にも各宗派が独自で行なっているプログラムもある。しかし、各宗派 が大学以外で行なう僧侶養成は、非常に複雑であり、捉えることが容易でない。そのため、本 稿においては扱わないことにする。

2-1.立正大学における日蓮宗「僧侶」の養成(3)

はじめに、日蓮宗の教団法規における大学の位置づけをみてみたい。これは「日蓮宗規程」

「第十号 教育規程」の中に記されている。

第一条 本宗の教師養成機関は、左の通りとする。

一 立正大学及び身延山大学

二 立正高等学校及び身延山高等学校 三 宗学林

2 前項第一号及び第二号の僧侶の卒業生名簿並びに宗学林卒業生名簿は、それぞれの学 校長より毎年三月末日までに宗務院に提出しなければならない。

3 宗務総長は、教師養成上必要と認めたときは、宗学林を許可することができる。

(日蓮宗 2015: 84)

これをみてもわかるように、日蓮宗において立正大学は、教師養成機関、つまり本稿でいう

「僧侶」養成機関と教団法規のなかに位置付けられている。

では、具体的な科目をみるまえに、このような「僧侶」養成機関を経てどのように「僧侶」

になるのが一般的なのだろうか。

大学を経由して「僧侶」になるためには、立正大学仏教学部宗学科開設の僧階講座を受講す る必要がある。この講座は、立正大学仏教学部宗学科が開設している科目を日蓮宗が僧階講座

(5)

として認定する形をとっている。そのため立正大学仏教学部宗学科の学生は、以下で示す通り 卒業するために必要とする科目と重複がある。この講座の単位を取得したのち、経典読誦考 査を行ない、僧道林を5日間経験し、信行道場にて修練を行なう。この信行道場に関しては、

「第十号 教育規程」の中で以下のように規定されている。

第十四条 教師となる修練は、日蓮宗信行道場において行う。

2 信行道場は、身延山久遠寺に置く。

3 信行道場における修練期間は三十五日とし、その開設期日は宗務総長がこれを定める。

但し、特別の場合は短縮又は延長することができる。

4 信行道場において次の科目を修練する。

一 三宝給仕 二 正助二行

三 法要式及び布教法 四 宗学及び仏教学大意 五 信行訓話

(日蓮宗 2015: 85)

この信行道場での修練を終え、大学を卒業する際に日蓮宗に申請し、日蓮宗から僧階が叙任 される。このような手続きをとる。その際に得られる僧階は権僧都である。この僧階はあくま でも立正大学仏教学部宗学科の学生に対して叙任されるもので、出身大学や出身学部によって 叙任される僧階が異なる。これは「第二十号 叙任規程」によって以下のように規定されてい る。

第二条 学歴による僧階の叙任は、次のとおりとする。

一 宗学林卒業者は准講師

二 立正大学仏教学部又は身延山大学仏教学部に二年以上在籍し、所定の僧階講座十二単 位を修得した者は准講師

三 立正大学仏教学部を除く他の学部に二年以上在籍し、仏教学部所定の僧階講座二十単 位を修得した者は准講師

四 身延山高等学校卒業者で、所定の宗教科目全単位を修得したものは講師

(6)

五 第二号に該当する者で、立正大学仏教学部宗学科及び仏教学科又は身延山大学仏教学 部仏教学科の卒業者は権大講師、身延山大学仏教学部仏教福祉学科卒業者は講師 六 立正大学仏教学部又は身延山大学仏教学部において、所定の僧階講座全単位を修得し

た者のうち、次に該当する者は、それぞれ掲げるところによる。

イ 立正大学仏教学部宗学科又は身延山大学仏教学部仏教学科を卒業し、同大学院で仏 教学を修了し、修士の学位を得た者は僧都

ロ 立正大学仏教学部仏教学科を卒業し、同大学院で仏教学を修了し、修士の学位を得 た者は権僧都

ハ 立正大学仏教学部宗学科又は身延山大学仏教学部仏教学科卒業者は権僧都

ニ 立正大学の仏教学部卒業者を除く、学士の学位を有する者で、立正大学大学院で仏 教学を修了し、修士の学位を得た者は大講師

ホ 立正大学仏教学部仏教学科卒業者は大講師

へ 身延山大学仏教学部仏教福祉学科卒業者は権大講師

ト 立正大学の仏教学部卒業者を除く、学士の学位を有する者は権大講師

チ 第四号に該当する身延山高等学校卒業者は権大講師、その他の高等学校卒業者は講 師

(日蓮宗 2015: 113)

ここから、日蓮宗においては立正大学仏教学部宗学科を卒業したのか否か、立正大学大学院 文学研究科仏教学専攻を修了したのか否かによって、つまり学歴によって、同じ僧階講座を受 講していても最初に叙任される僧階に差異が生じることがわかる。

では、具体的にどのような科目で「僧侶」を養成しているのだろうか。その科目が表1であ る。表1をみると僧階講座として開講されている科目は、全部で 26 科目 50 単位である。「宗 学科での位置づけ」をみると、立正大学仏教学部宗学科では、この僧階講座の科目が卒業単位 に含まれる。そのため、立正大学仏教学部宗学科入学生以外の学生は、自らの学部学科を卒業 するために必要な科目にプラスして、表1の 50 単位を履修しなければならない。なお、次節 と次次節に他宗の科目の設定根拠を提示するが、日蓮宗・立正大学においては、教団法規内に これらの科目を設定する根拠は見出せない。

(7)

さて、これらの科目はどのような特徴を有しているのだろうか。その科目の内容を宗派の長 年の宗教的知識を学ぶ「宗派の専門知識教育」、宗派を超えた仏教や宗教の専門的知識を学ぶ

「宗教・仏教の専門知識教育」、宗派が独自に行なう儀礼や実践について学ぶ「宗派の実践教育」、

これら3つに分類できない「それ以外の教育」に分類したうえで、どこに力を入れているのか みてみたい。表1の開目抄講義から法華経概論までの 14 科目 28 単位は、宗派の専門知識教育 と位置付けることができる。日本仏教史から宗教法人法までの6科目 12 単位は、宗教・仏教 の専門知識教育と位置付けることができる。仏教カウンセリングと仏教デス・エデュケーショ ンは、たしかにシラバスから講義内容を確認すると日蓮宗と切り離すことは難しいが、ここで はそれ以外の教育とし、これは2科目4単位になる。最後に宗派の実践教育であるが、これは 教化学と法要実習の4科目6単位である。なお、立正大学での宗派の実践教育は、立正大学仏

授業科目 単位 学年 宗学科での位置づけ

開目抄講義1 (法)選必(日)選択

開目抄講義2 (法)選必(日)選択

観心本尊抄講義1 (法)選必(日)選択

観心本尊抄講義2 (法)選必(日)選択

宗学概論1 (法)必修(日)選必

宗学概論2 (法)必修(日)選必

日蓮聖人伝1 (法)(日)選必

日蓮聖人伝2 (法)(日)選必

宗史概論1 (法)選必(日)選択

宗史概論2 (法)選必(日)選択

宗学史概論1 (法)選必(日)選択

宗学史概論2 (法)選必(日)選択

法華経概論1 (法)(日)必修

法華経概論2 (法)(日)必修

日本仏教史1 (法)選必(日)必修

仏教学概論1 (法)選必(日)必修

天台学概論1 2・3 (法)(日)選必

天台学概論2 2・3 (法)(日)選必

現代宗教研究 2・3・4 (法)(日)選択

宗教法人法 2・3・4 (法)(日)選択

仏教カウンセリング 2・3・4 (法)(日)選択 仏教デス・エデュケーション 2・3・4 (法)(日)選択

教化学1 2・3・4

教化学2 2・3・4

法要実習1

法要実習2

表1 僧階講座開設表(平成27~平成29年度入学生用)

(立正大学仏教学部 2017: 107)より作成。「宗学科での位置づけ」における「法」は仏教学部宗学科法華仏教コ ース、「日」は仏教学部宗学科日本仏教コースをあらわしている。また、「必修」は必修科目、「選必」は選択必 修科目、「選択」は選択科目をあらわしている。

(8)

教学部宗学科の学生であっても卒業単位に含まれない、いわば学校教育法外の科目である。

以上、科目の内容を詳細にみた結果、立正大学における日蓮宗「僧侶」の養成においては、

宗派の専門知識教育に特化しているといえよう。

2-2.大正大学における浄土宗「僧侶」の養成

次に大正大学における浄土宗「僧侶」の養成についてみてみよう。はじめに、浄土宗の教団 法規における大学の位置づけである。浄土宗では、「第 10 編 教育及び学事」「教育学事規程」

「僧侶養成機関」において浄土宗の「僧侶」を養成できる機関が規定されている。

第三条 本宗が直轄する僧侶の養成機関は、次のとおりとする。

一 教師養成道場 二 尼僧道場 三 宗徒教養道場 四 助教師養成講座 五 宗門子弟教養講座

2 前項第一号、第二号、第三号及び第四号の受講資格は、年齢満十八歳に達した本宗宗 徒で学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による義務教育修了者及びこれと同等 の学力を有する者とする。ただし、開教総監が主催する養成講座については、この限り でない。

(浄土宗 2015)

しかし、ここには大学は規定されておらず、宗門が直轄する養成機関のみが規定されている。

では、大学はどこに出てくるのだろうか。大学が出てくるのは、具体的には、「第 10 編 教育 及び学事」「教育学事規程」「宗立学校及び宗門学校、教師の養成及び教育の委託」である。

第二十五条 本宗は、僧侶、檀信徒及びその他の者を教化育成し、教学の振興を図るため、

宗綱に定める教旨をその建学の精神、教育の理念若しくは方針に掲げる学校と提携し、

その学校へ必要に応じて助成する。

2 前項に定める学校は、学校教育法第一条に定める学校のうち、大学、高等専門学校、

高等学校、中学校及び小学校とし、その創立の経緯、沿革により宗立学校及び宗門学校

(9)

(以下「宗立宗門校」という。)の二種に種別する。

3 宗立宗門校の設置法人、区分及び学校名は、別表第一のとおりとする。

4 宗立宗門校を設置する法人が設ける専修学校又は各種学校(学校教育法第百二十四条 又は第百三十四条に定める学校)については、第一項の規定を準用し、設置法人、区分 及び学校名は、別表第二のとおりとする。

第二十六条 本宗は、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)の定めに基づき設置 された次の各号に掲げる大学に、本宗教師の養成、教育を委託し、その助成については、

毎年本宗の予算に計上するものとする。

一 大正大学 二 佛教大学

2 本宗は、前項に定める事項のうち、本宗教師の養成、教育の委託を円滑に進めるため、

本宗及び両大学の当該担当者をもって構成する教師養成に関する連絡協議会を設置し、

毎年一回以上開催する。

以上をみてわかるように、浄土宗の教団法規においては「本宗教師の養成、教育を委託」す る機関として大正大学が位置づけられている。

では、この委託先である大正大学においてはどのような流れで「僧侶」になるのだろうか。

大正大学仏教学部宗学コース(浄土学)に入学した学生を例にしてみてみよう。入学した学生 は、まず浄土宗教師資格における律師の単位を所得しなければならない。この律師単位の取得 の過程において、大学や科目に付随した道場が開設され、そこへの参加も義務付けられている。

そして律師単位取得後、浄土宗宗務庁が管轄し、毎年、知恩院と増上寺で開筵される伝宗伝戒 道場(=加行)に3週間入行、律師が叙任される。その後、小僧都単位を取得し、卒業ととも に小僧都が叙任される。この小僧都単位を取得する過程において、大正大学では教師資格であ る僧階以外にも布教に関する資格である教階の輔教と研究活動に関する資格である学階の擬講 も取得可能である。しかし、本稿では教師資格を主軸にすえるため、教階と学階は取り扱わな

(浄土宗 2015)

種別 設置法人名 区分 学校名

宗立学校 大正大学 大学 大正大学 宗立学校 佛教教育学園 大学 佛教大学 別表第1(第25条第3項関係)

(10)

いこととする。

上記の流れをみてもわかるように浄土宗においては、まずは律師、次に小僧都と、日蓮宗の ように学歴によって僧階が変わるのではなく、取得単位によって僧階が変わる。では、具体的 に律師や小僧都はどのような科目によって養成されるのであろうか。まずは、教団法規におい てこれらの科目がどのように位置づけられているのかからみてみたい。

日蓮宗では、僧階講座の科目が教団法規内に規定されてはいなかった。しかし、浄土宗にお いては、教団法規内に規定されている。具体的には「第7編 僧侶」「僧侶分限規程」の別表 に規定されている(表2)。

表2の浄土宗が定める科目(=宗定科目)を基準にして、大学が以下の表3と表4のように 読替え、科目を設定している。なお、これらの科目は大正大学仏教学部宗学コースの学生にと って卒業するために履修すべき科目に含まれる(大正大学教務部教務課 2017a)。

(浄土宗 2015)を一部改変 律師(三十六単位) 単位 小僧都(十八単位) 単位

浄土学に関する科目

法然上人の生涯と思想

12

浄 土 教 の 思 想 と 展 開( 三 部 経・選択集・三巻書・円頓戒

等) 12

浄土学の基礎 三部教の思想

浄土宗日常勤行式の解説 浄土教の歴史

法然門下の思想 選択集の思想

浄土宗の歴史 仏教学に関する科目 釈尊の生涯と思想

6 仏教の受容と展開

6

仏教学の基礎 仏教史

日本仏教の歴史と教え 各宗の概要等

現代社会と教団に関 する科目

現代社会と人間

6 浄土宗と加行(伝法と円頓戒)

宗教法制 仏教と人権 仏教の儀礼と儀式 僧侶の実践に関する

科目

法式(初級)

法式(上級) 12 伝道Ⅰ(念仏講話)

詠唱

表2 『宗教法人浄土宗規程集』内に規定されている宗定科目

(11)

(大正大学教務部教務課 2017: 78)

(大正大学教務部教務課 2017: 78)

律師 宗定科目 単位 大正大学開講科目 単位 取得

年次 備考

浄土学に関する 科目

法然上人の生涯と思想

12

浄土教団史研究A・B 各2 2 2科目4単位必修 浄土宗の歴史

浄土学の基礎 浄土学教理体系A・B 各2 2 2科目4単位必修 浄土教の歴史

三部教の思想

浄土学宗典概説A・B 各2 2 2科目4単位必修 選択集の思想

浄土宗日常勤行式の解説 仏教学に関する

科目

釈尊の生涯と思想

6 基礎仏教学Ⅰ 2科目8単位必修 仏教学の基礎

日本仏教の歴史と教え 基礎仏教学Ⅱ

現代社会と教団 に関する科目

現代社会と人間

6

仏教の人権論 2科目4単位必修 仏教と人権

宗教法制 宗教法人法

浄土宗と加行(伝法と円頓戒) 浄土学宗典購読A

2科目選択必修 仏教学基礎ゼミナールⅠ 2

仏教学基礎ゼミナールⅡ 2 仏教の儀礼と儀式 仏教学基礎ゼミナールⅢ 2 仏教学基礎ゼミナールⅣ 2

僧侶の実践に関 する科目

法式(初級)

12

浄土宗法儀研究Ⅰ

全科目必修 浄土宗法儀研究Ⅱ

法式(上級) 浄土宗法儀研究Ⅲ

浄土宗法儀研究Ⅳ

伝道Ⅰ(念仏講話) 浄土宗伝道学Ⅰ

詠唱 浄土宗詠唱Ⅰ

※上記から38単位必修。

表3 大正大学における律師資格科目

小僧都 宗定科目 単位 大正大学開講科目 単位 取得

年次 備考

浄土学に関する 科目

浄 土 教 の 思 想 と 展 開

(三部経・選択集・三巻 書・円頓戒等) 12

浄土学教理研究A 3~4

全科目必修 浄土学教理研究B 3~4

選択集Ⅰ 3~4

選択集Ⅱ 3~4

法然門下の思想 浄土学教理研究C 3~4

浄土学教理研究D 3~4 仏教学に関する

科目

仏教の受容と展開

基礎仏教学Ⅲ

仏教史

各宗の概要等 基礎仏教学Ⅳ

※20単位必修

表4 大正大学における小僧都資格科目

(12)

では、これらの科目はどのような特徴を有しているのだろうか。律師と小僧都に分けて考え てみたい。律師では大きく分けて「浄土学に関する科目」「仏教学に関する科目」「現代社会と 教団に関する科目」「僧侶の実践に関する科目」の4つに分けられている。「浄土学に関する科 目」と「現代社会と教団に関する科目(浄土宗と加行)」は宗派の専門知識教育で9科目 18 単 位、「仏教学に関する科目」「現代社会と教団に関する科目(浄土宗と加行以外)」は宗教・仏 教の専門知識教育で6科目 16 単位、「僧侶の実践に関する科目」は宗派の実践教育で6科目 12 単位となっている。小僧都では「浄土学に関する科目」「仏教学に関する科目」の2つに分 けられ、「浄土学に関する科目」は宗派の専門知識教育で6科目 12 単位、「仏教学に関する科 目」は宗教・仏教の専門知識教育で2科目8単位である。ここから、大正大学における浄土宗

「僧侶」の養成においては、日蓮宗同様、宗派の専門知識教育を重視しているといえよう。

2-3.駒澤大学における曹洞宗「僧侶」の養成

最後に駒澤大学における曹洞宗「僧侶」の養成についてみてみよう。まずは曹洞宗の教団法 規における大学の位置づけである。曹洞宗では、「第3編 曹洞宗規定」「第2章 教学部関係 規定」「曹洞宗教育規程」の「第1章 総則」において、僧堂、教師養成機関を規定している。

第1条 この規程は、曹洞宗(以下「本宗」という。)における宗門有為の人材を養成す るため曹洞宗宗憲の精神に基づき、本宗が設置する教育施設等の管理、運営及び教育研 究に資することを目的とする。

(設置基準)

第2条 本宗の教育施設等の設置基準は、別に定めるものとする。

(教育施設等の設置)

第3条 本宗は、第1条に規定する目的を達成するため、次の各号に掲げる教育施設等を 設置する。

(1)僧堂 ア 特別僧堂 イ 特別尼僧堂 ウ 本山僧堂 エ 宗立専門僧堂 オ 専門僧堂

(13)

カ 専門尼僧堂

(2)教師養成機関としての学校

(大学院)

ア 駒澤大学大学院人文科学研究科仏教学専攻博士及び修士課程 イ 愛知学院大学大学院文学研究科宗教学仏教学専攻博士及び修士課程

(大学仏教学部・文学部宗教文化学科)

ア 駒澤大学仏教学部

イ 愛知学院大学文学部宗教文化学科

(大学仏教専修科)

ア 駒澤大学仏教学部以外の各学部に設置する仏教専修科

イ 愛知学院大学文学部宗教文化学科以外の各学部科に設置する仏教専修科 ウ 東北福祉大学の各学部に設置する仏教専修科

エ 駒澤大学に設置する仏教専修科(本条第1項第2号大学仏教専修科アに掲げるも のを除く。)

オ 鶴見大学文学部に設置する仏教専修科

(曹洞宗 2018: 1593)

以上のように、曹洞宗においては大学だけではなく、大学院に関しても「宗門有為の人材を 養成するため」の施設として詳細に規定されている。

次に、上記の教育施設において「僧侶」になる一般的なルートを提示したい。「僧侶」を目 指し、駒澤大学仏教学部に入学した学生は、大学で設定されている卒業に関わる科目を履修し 単位所得する。途中、曹洞宗指定の本山僧堂等で安居を行なう。駒澤大学仏教学部での卒業に 関わる単位を全て修得し、卒業する際に、各個人で曹洞宗に申請をすることによって、2等教 師の叙任を受ける。この2等教師などの曹洞宗の僧階に関しては「曹洞宗僧侶教師分限規程」

「第3章 教師」「第2節 僧階」に記されているが内容が広範にわたるため、下記の表に要約 した。

(14)

表5をみてもわかるように日蓮宗のような学歴による僧階の差異は設けておらず、正教師ま での僧階であれば、安居期間によって僧階を上げることができる。ここから曹洞宗においては 安居が重要であるといえよう。

さて、このような流れで「僧侶」となる曹洞宗であるが、駒澤大学仏教学部において具体的 にどのような科目で教育がなされているのだろうか。まずは教団法規内に大学で教えるべき科 目が規定されているか否か確認したい。

教団法規内では「第3編 曹洞宗規程」「第2章 教学部関係規程」「曹洞宗教育規程」「第 4章 学校」において、以下のように大枠の学科目が規定されている。

(履修科目等)

第38条 駒澤大学仏教学部、愛知学院大学文学部宗教文化学科、駒澤大学仏教専修科、

愛知学院大学仏教専修科、東北福祉大学仏教専修科、苫小牧駒澤大学仏教専修科、鶴見 大学仏教専修科及び高等学校仏教専修科の入学者は、学科目のほか、宗門の行持、威儀、

作法その他本宗の教師として必要な事項について指導を受けなければならない。

2 前項に規定する大学等の当該大学長又は校長は、在学者について、毎学年末に学科目 のほか、本宗の教師として必要な事項に関する学事報告を作成し、4月末日までにこれ を教学部長に提出しなければならない。

3 第36条及び第1項に規定する仏教専修科の履修学科目及び単位数は、次に掲げるとお りとする。

(曹洞宗 2018: 1493-1506)

僧階 内容

3等教師 高等学校を卒業。本山僧堂等で1年以上安居。中学卒業で2年以上。あるいは教師検定会が認 める者。

2等教師 駒澤大学仏教学部または同大学で仏教専修科を修了し、在学中仏教研修館竹友寮に3年以上在 寮し、同大学を卒業した者。または在学中に特殊安居を2回以上修了した者。または本山僧堂 等において3カ月以上安居した者。

1等教師 駒澤大学仏教学部を卒業し本山僧堂等で1年6か月以上安居した者。

正教師 駒澤大学仏教学部を卒業し本山僧堂等で3年以上安居した者。

権大教師 年齢55歳以上の者から審査選考。

大教師 年齢60歳以上の者から審査選考。定員200人。

権大教正 定員30人。

大教正 貫主および前貫主。

表5 曹洞宗の僧階区分

(15)

(1)大学仏教専修科

(曹洞宗 2018: 1599 の 3-1600)

この教団法規内の科目を大学側(駒澤大学仏教学部)が、下記のように大学設置科目に読替 えを行なっている。なお、下記科目は駒澤大学仏教学部入学の学生にとっては、卒業に関わる 科目のため、「僧侶」を目指す学生にとっては、卒業を目指しさえすれば(安居をし、曹洞宗 に申請する必要はあるが)、僧階を叙任される。

(駒澤大学 Web サイト)より作成。

では、曹洞宗「僧侶」になるための各科目の内容から特徴をみてみよう。その際、表6の

「分野」に着目して分類をしてみたい。宗乗の8単位は、曹洞宗に関係する内容の科目が多い ため「宗派の専門知識教育」と位置付けることができる。余剰、布教、教化の 20 単位は、科 目の名称だけでは判断は難しいが、比較的広い宗教的知識に関する科目のようにみえるため

「宗教・仏教の専門知識教育」と位置付けてよいだろう。参禅、法式声明は身体訓練や実習を ともなうため「宗派の実践教育」と位置付けられる。ここから、駒澤大学における曹洞宗「僧 侶」の養成は、分類するならば「宗教・仏教の専門知識教育」に特化しているといえよう。

学科目 単位数

宗乗 8単位

余乗 8単位

布教 4単位

教化 4単位

参禅 4単位

法式声明 2単位

30単位

分野 科目 単位 備考

学科

宗乗 宗典、禅学研究A ~ C、禅籍購読Ⅰ~Ⅲ 科目の中から2つ以上履修 余剰 仏教学入門、仏教と人間、仏教研究A ~ C、

仏典購読Ⅰ~Ⅲ 科目の中から2つ以上履修

布教 仏教と社会、宗教教育、書道、宗教法概論、

宗教科教育法、日用経典 科目の中からいずれか1科目履修 教化 文化と宗教、社会と宗教、作詞作法、

自然と宗教、青少年問題研究 科目の中からいずれか1科目履修

術科 参禅 坐禅Ⅰ、坐禅Ⅱ 科目の中からいずれか1科目履修

法式声明 法式実習

30

表6 駒澤大学仏教学部開設科目

(16)

3.3大学の比較を通して―類型化への試み

ここまで立正大学、大正大学、駒澤大学における日蓮宗、浄土宗、曹洞宗「僧侶」の養成に ついて詳細にみてきた。本章では、上記の内容を「僧侶」への基本的なルートと養成科目の特 徴の2点に着目し整理し、比較した上で、類型化を試みたい。なお、「僧侶」への基本的なル ートに関しては、各大学の「僧侶」養成を主軸としている学部学科に入学し、「僧侶」を目指 す学生を例として考えている。

立正大学仏教学部宗学科の学生は、卒業に関わる科目と重複する「僧階講座」を履修し、そ の単位を全て(50 単位)修得したうえで、信行道場に行くことによって、卒業と同時に権僧 都の僧階が叙任される。信行道場の期間は 35 日である。またこの僧階は、あくまでも仏教学 部宗学科を卒業した学生にのみ叙任されるものであり、それ以外の学部学科を卒業した学生に は異なる僧階が叙任されることは確認した。この養成に際して履修される科目は、宗派の専門 的知識、宗教・仏教の専門知識、宗派の実践、それ以外があるなかで、特に宗派の専門的知識 教育に比重がおかれていた。なお、これらの科目は日蓮宗の教団法規内に規定されてはいない。

大正大学仏教学部宗学コース(浄土学)の学生も立正大学と同様、卒業に関わる科目と重複 する律師の科目(38 単位)を修得し、伝宗伝戒道場(=加行)に 21 日間入ったうえで、次に 小僧都の科目(20 単位)を修得し、卒業と同時に小僧都の僧階が叙任される。この小僧都の 僧階に関しては、他学部他学科であっても同様であった。このような養成を担う科目は、浄土 宗の教団法規内に宗定科目として規定され、内容としては宗派の専門的知識教育が中心的であ った。

駒澤大学仏教学部の学生は、上記2大学同様、卒業に関わる科目と重複する僧階に関わる科 目を履修し、安居を 21 日以上行なうことで、卒業とともに2等教師が叙任される。2等教師 叙任に関しては、どの学部学科であっても同様である。養成に際して履修すべき科目は、浄 土宗同様、曹洞宗の教団法規内に規定され、それらの科目は上記2大学2宗派とは異なり、宗 教・仏教の専門知識教育に関する科目が多かった。ただし、宗派の専門的知識教育が行なわれ ていないわけではなく、あくまでも割合的に多かったといえる。

これらを整理し、表化したものが以下である。

(17)

大学・宗派 立正大学・日蓮宗 大正大学・浄土宗 駒澤大学・曹洞宗 基本的なルート 大学→信行道場→「僧侶」 大学→加行→「僧侶」 大学→安居→「僧侶」

単位数 50 58 30

修行日数 35日 21日 21日以上

学歴と僧階の差異 あり なし なし

教団法規内規程 なし あり あり

科目群の特徴 宗派の専門知識教育 宗派の専門知識教育 宗教・仏教の専門知識教育 表7 各大学における「僧侶」養成の特徴

これらの特徴からいくつかの類型の析出を試みていきたい。まず、単位数と修行日数に着目 してみよう。「僧侶」になるために大学での座学が重視されているのか、それとも大学外での 修行が重視されているのか、つまり「僧侶」になる期間内で何が重要視されているのかに着目 することによって、「大学」重視型と「修行」重視型の2類型が析出できる。「大学」重視型の 特徴としては、宗派の専門知識を重視することが考えられ、「修行」重視型では、知識よりも むしろ実践が重視されていると考えることができる。なお、「大学」重視型には、日蓮宗と浄 土宗、「修行」重視型には曹洞宗を位置づけられる。

次に学歴と僧階の差異に着目すると学歴重視型と学歴非重視型の2類型を析出できるであ ろう。学歴重視型は、どの大学の学部学科を出て「僧侶」になったのかが重視される、いわば

「僧侶」としての「純血性」が重要となる。他方、学歴非重視型は「純血性」よりも、その「僧 侶」個人が何を学び、何を実践したのかが重視される。この意味で、これは知識・実践重視型 ともいえよう。学歴重視型には日蓮宗、学歴非重視型には浄土宗と曹洞宗を位置づけられる。

最後に養成科目の特徴に着目したい。この特徴に着目することによって、各宗派がどのよう な「僧侶」を養成したいと考えているのかがわかるであろう。本稿で対象とした3大学3宗派 の養成科目の特徴は、立正大学・日蓮宗と大正大学・浄土宗が宗派の専門知識教育、駒澤大 学・曹洞宗が宗教・仏教の専門知識教育に特化していた。しかし、ほかの科目内容を踏まえて 考えると、4つの類型を析出できる。それは、宗派専門知識教育型、宗教一般専門知識教育型、

宗派実践教育型、一般教養型である。宗派専門知識教育型では、求める(養成したい)「僧侶」

像が宗派の知識を主軸とした「僧侶」である。宗教一般専門知識教育型では、求める「僧侶」

像が宗教一般の知識を主軸とした「僧侶」である。宗派実践教育型では、求める「僧侶」像が 実践的「僧侶」といえよう。一般教養型では、求める「僧侶」像が現代社会の多様性を重視す る「僧侶」といえよう。これらの類型に本稿で対象とした大学と宗派をあてはめてみると、立 正大学・日蓮宗と大正大学・浄土宗が宗派専門知識教育型、駒澤大学・曹洞宗が宗教一般専門 知識教育型といえる。

(18)

おわりに

以上、立正大学・日蓮宗、大正大学・浄土宗、駒澤大学・曹洞宗における「僧侶」養成の実 態について整理し、そこから特徴を見出し、その特徴から類型を析出した。この類型は、いま まで各大学、各宗派の特徴をイメージとして語っていたものを、「僧侶」養成に着目すること により根拠にもとづいた特徴を見いだせたのではないだろうか。また、この類型により、いま までと異なる宗派イメージが形成されるかもしれない。しかし、この類型化は、あくまでも試 みであり、確定的なものではない。したがって、今後、他の大学・宗派への調査を通して、精 緻化しなければならない。

しかしながら、この類型はあくまでも理念型である。「僧侶」養成の実態やその特徴から析 出したものとはいえ、全て綺麗に分類することは難しい。たとえば、単位数と修行日数に着目 して析出した「大学」重視型と「修行」重視型で、「大学」重視型に分類できたとしても、そ れは決して修行に手を抜いているわけではない。あくまでも教団法規や大学でのカリキュラム 上では、どちらに比重がおかれているか、というだけである。学歴と僧階の差異に着目した学 歴重視型と学歴非重視型であっても、学歴重視型が「僧侶」個人の知識や実践を重要視してい ないわけではない。養成科目の特徴に着目した宗派専門知識教育型、宗教一般専門知識教育型、

宗派実践教育型、一般教養型であっても、宗派専門知識教育型の大学や宗派が、実践に力を入 れていないわけではない。この点に関しては、注意が必要であろう。

(1) 1章でふれるように、僧侶は、3宗派ともに大様にいえば得度し、度牒に名が記され、かつ寺院に所 属する者のことをいう。その意味では、大学で養成しているのは僧侶ではなく、教師である。しかし、

教師養成とした場合、表記的な問題ではあるが、学校基本法で定める教師と見誤る可能性がある。また、

宗教教師という言い方もできるだろうが、その場合、キリスト教系大学で養成している牧師や神父との 区分が曖昧になる。そのため、ここでは各仏教教団の教師のことを「僧侶」と記す。ただし、厳密な意 味での僧侶や教師を扱う場合には、それぞれ僧侶、教師と記す。

(2) 日蓮宗においては『日蓮宗宗制』、浄土宗においては『宗教法人浄土宗規程集』、曹洞宗においては『曹 洞宗宗制』というが、それらを総合して本稿では教団法規とする。なお、日蓮宗と曹洞宗の教団法規は 現在でも冊子として出版されているが、浄土宗の教団法規は近年になり冊子として出版されず、インタ ーネット、あるいはそれをプリントアウトしたものになった。そのためページが不明であり、本稿で参

(19)

照する場合、ページまでは書かないことにする。本稿では 2015 年9月 11 日に改訂されたものを参照し た。

(3) 立正大学における「僧侶」養成に関しては、拙稿(武井 2018)において詳細に論じている。なお、用 いる資料に関しては本稿と重複する箇所があるが、本稿は他宗、他大学との比較が目的のために、再掲 せざるを得ない箇所に関しては、再掲する。

参考文献

浄土宗, 2015, 『宗教法人浄土宗規程集』浄土宗.

日蓮宗, 2015, 『日蓮宗宗制』日蓮宗宗務院.

立正大学仏教学部, 2017, 『平成29年度講義案内 仏教学部 宗学科・仏教学科』立正大学仏教学部事務室.

曹洞宗, 2018, 『曹洞宗宗制』曹洞宗宗務庁.

大正大学教務部教務課, 2017a, 『2017年度入学者用履修要項』大正大学.

大正大学教務部教務課, 2017b, 『2017 資格要項』大正大学.

武井順介, 2018, 「宗教系大学における宗教者養成の現状と課題―立正大学の僧侶養成を事例として」, 『立正大 学社会学論叢』17, 1-12.

参考資料

駒澤大学Webサイト, 「仏教専修科について 駒澤大学仏教専修科教育課程要領(平成30年4月1日改正)」, https://www.komazawa-u.ac.jp/campuslife/files/youkou.pdf(2019年1月24日アクセス).

付記

本稿を執筆する前に、大正大学の石川琢道先生、駒澤大学の岩永正晴先生、熊本英人先生、角田泰隆先生に

「僧侶」養成に関する調査にご協力をいただいた。記して感謝したい。ただし、本稿で用いた資料は、そこでの インタビューにもとづいたもの、またインタビュー時にいただいたものではなく、既存の資料(教団法規や大 学発行のシラバス等)である。そのため執筆内容に関しての責任の全ては執筆者にある。

また、本稿は科学研究補助金・基盤研究(B)「新制大学制度における宗教関連の学問・養成・資格に関する 多角的研究」(2018年度~ 2021年度、課題番号18H00616)の研究助成金を受けて執筆したものである。

(2019年1月24日受理、2019年2月13日採択)

(20)

参照

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