完全有向グラフにおける重み付き 競争グラフ
斎藤研究室4年 栗山慶史
研究動機
グラフ理論を使って離散数学の中だけで研究 するのではなく、社会の問題について研究
してみたい
現実の社会の状態を考える
研究動機
グラフ理論 頂点の集合 と辺集合で
構成されるグラフの性質について 研究する学問
社会の状態 人 の集合と人の繋がりの集合 で構成されるネットワークについて
研究する学問
頂点、辺 人、人の繋がり
研究動機
グラフ理論において頂点一つ一つの大きさ を気にしない
現実の社会では、人は一人一人違う
頂点の差別化を図る
競争グラフ
競争グラフとは、有向グラフで、どの頂点が競争関係 になっているのかを表しているグラフ
重み付き競争グラフ
競争グラフに対して、頂点に[0,1]の実数を割 り振って、足して1以上になった頂点対のみ辺 で結んだもの
0.4
0.6 0.5
0.7 0.2
0.8
0.4+0.2=0.6 <1.0
0.4+0.6=1.0
0.6+0.5=1.1 0.4+0.5=0.9
=>1.0
=>1.0
<1.0
重み付き競争グラフ
重み付き競争グラフを特徴付けたい
有向グラフが完全有向グラフの時に特徴付け が得られた
誘導部分グラフ
誘導部分グラフと部分グラフの違い
誘導部分グラフに 取りたい
OK NG
研究結果 1
定理:
グラフGが完全有向グラフの重み付き競争グラ フであるための必要十分条件は
Gが のいずれも誘導部分
グラフに含まない連結グラフことである
証明 ( 必要条件 )
Gが のいずれかを誘導部 分グラフ に含むと仮定する
a1
a2
a3
a4
a1+a2>=1 --- ① a3+a4>=1 --- ② a1+a3< 1 --- ③ a2+a4< 1 --- ④ a1+a4< 1 --- ⑤ a2+a3< 1 --- ⑥
①
②
a1+a2+a3+a4>=2
③
④
a1+a2+a3+a4< 2 矛盾
証明 ( 必要条件 )
a1+a2>=1 --- ① a2+a4>=1 --- ② a3+a4>=1 --- ③
a1
a2
a3
a4 a1
a2
a3
a4
a1+a3< 1 --- ④ a1+a4< 1 --- ⑤ a2+a3< 1 --- ⑥
①
③
a1+a2+a3+a4>=2
⑤
⑥
a1+a2+a3+a4< 2 矛盾 a1+a2>=1 --- ①
a1+a3>=1 --- ② a2+a4>=1 --- ③ a3+a4>=1 --- ④ a1+a4< 1 --- ⑤ a2+a3< 1 --- ⑥
①
④
⑤
⑥
証明 ( 必要条件 )
Gが のいずれかを誘導部 分グラフに含むと仮定する
a1
a2
a3
a4
a1+a2>=1 --- ① a3+a4>=1 --- ② a1+a3< 1 --- ③ a2+a4< 1 --- ④ a1+a4< 1 --- ⑤ a2+a3< 1 --- ⑥
①
②
a1+a2+a3+a4>=2
③
④
a1+a2+a3+a4< 2 矛盾
仮定が
間違い 証明された
証明 ( 十分条件 )
次に、Gが を 誘導部分
グラフに含まない連結グラフとする Gの最大次数の頂点をxとする
xは全ての頂点と繋がっていることを示す
証明 ( 十分条件 )
xと繋がっていない点があると仮定する
xの近傍
(n点) x
・・・・・・・・・・・・・・
矛盾
・・・・・・・
n-1 + 1 + 1 = n+1 > n = xの次数 矛盾
仮定が
間違い
証明 ( 十分条件 )
次に、Gが を 誘導部分
グラフに含まない連結グラフとする Gの最大次数の頂点をxとする
xは全ての頂点と繋がっていることを示す 証明できた
証明 ( 十分条件 )
G
x G-x
C1 C2 Cr
・・・・・・・・・
但し、 |C1|>= |C2|>=・・・>= |Cr|
|C2|= 1を示す
誘導部分グラフ が導かれてしまう
|C3|>= |C4|>=・・・・・・>= |Cr|=1
証明 ( 十分条件 )
C1
を誘導部分グラフ にもたない
数学的帰 納法
[0,1]
C2 C3 Cr
・・・・・・・・・
0 0 0
1 x
QED
研究結果 2
定理:
完全有向グラフの重み付き競争グラフの補グラ フも完全有向グラフの重み付き競争グラフであ る
証明
もし、補グラフに が誘導部分 グラフに含むと仮定する
その補グラフである元のグラフには
矛盾
QED
今後の課題
• 一般の有向グラフの重み付き競争グラフに 対しての特徴づけをしてみたい
• 社会の複雑な対象をモデル化、分析できるよ うな定理を提案したい