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Home - The New Lifestyle in the Seamless Network Environment B7 GIIC GIS

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(1)
(2)

世界情報通信サミット

Digital @ Home

The New Lifestyle in the Seamless Network Environment

-デジタル@ホーム

∼シームレス時代のライフスタイル∼

目 次

プログラム

2

主催者挨拶

3

オーバービュー

4

キーノートスピーチ

5

セッション

1

8

レセプション

10

緊急セッション

11

セッション

2

12

セッション

3

14

クロージング・セッション

16

チャット会議

17

ネット会議

18

ネット会議参加者

19

ネット会議抄録

24

受講者属性

28

報道・広報一覧

30

記事・社告

32

デジタルコアGISフォーラム会員

42

開催概要

会   期

2005

2

14

日(月)・

15

日(火)

会   場

東京国際フォーラム ホール

B7

主   催

日本経済新聞社

後   援

世界情報基盤委員会フォーラム(

GIIC

特 別 協 賛

デジタルコア

GIS

フォーラム

企画・構成

日経デジタルコア事務局

(3)

プログラム

2

14

日(月)

主催者挨拶  杉田 亮毅[日本経済新聞社 代表取締役社長] オーバービュー  秋草 直之 氏[世界情報基盤委員会フォーラム(GIIC)アジア共同議長、 富士通 代表取締役会長] キーノートスピーチ  安藤 国威 氏[ソニー 代表執行役社長] キーノートスピーチ  エリ・ノーム 氏[コロンビア大学ビジネススクール 教授] キーノートスピーチ  岡村 正 氏[東芝 代表執行役社長] セッション

1

「デジタルホームでくらしはこう変わる」 パネリスト: ジョシュア・ダノビッツ 氏[ティーボ(米)ゼネラルマネージャー日本担当] 塚本 昌彦 氏[神戸大学工学部電気電子工学科 教授] 藤原 まり子 氏[博報堂生活総合研究所 客員研究員] 村瀬 澄夫 氏[信州大学医学部附属病院 医療情報部 教授] 司 会: 國領 二郎 氏[慶應義塾大学 環境情報学部 教授] ※講師の肩書きは、2 月 14 日、15 日現在のものです。 13:00 - 13:05 13:05 - 13:20 13:20 - 14:10 14:20 - 15:10 16:20 - 17:50 15:10 - 16:00

2

15

日(火)

セッション

2

「シームレス時代のネットワーク戦略」 パネリスト: 井上 友二 氏[NTT 取締役] ハワード・ハーテンバウム 氏[スカイプ・テクノロジーズ 取締役]  ジェフリー・ニック 氏[EMCコーポレーション シニア・バイス・プレジデント 兼 CTO]  マリオ・メッラ 氏[ファストウェブ(伊) ネットワーク・プランニング・ディレクター] グレゴリー・アームストロング 氏[ジュピターテレコム 取締役副社長] 司 会: 関口 和一[日本経済新聞社 産業部編集委員兼論説委員] 緊急セッション 「デジタルホーム時代のセキュリティーをどう守るか」 パネリスト: トーマス・マネシス 氏[ビザ・インターナショナル 新規事業部門責任者] 内田 勝也 氏[日本セキュリティ・マネジメント学会(JSSM)常任理事、 情報セキュリティ大学院大学 助教授] 司 会: 加藤 幹之 氏[富士通 経営執行役 法務・知的財産権本部長] セッション

3

「ライフスタイルに浸透するコンテンツの創造」 パネリスト: 石原 恒和 氏[ポケモン 代表取締役社長・CEO] 金 正勲 氏[慶應義塾大学 デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 助教授] 利重 孝夫 氏[ショウタイム 代表取締役副社長] 朴 仁鐸(パク・インテク)氏[ユン's カラー(韓) 代表理事] 司 会: 中村 伊知哉 氏[スタンフォード日本センター 研究部門所長] クロージング・セッション パネリスト: 加藤 幹之 氏、國領 二郎 氏、中村 伊知哉 氏、関口 和一 司 会: 坪田 知己[日本経済新聞社 日経デジタルコア事務局 代表幹事] 9:20 - 10:20 10:30 - 12:30 13:30 - 15:30 15:30 - 16:00

(4)

杉田 亮毅

日本経済新聞社 代表取締役社長

日本経済新聞社が

1998

年に創設した世界情

報通信サミットも、今年で

8

回目を迎えまし

た。今回の総合テーマは「デジタル@ホーム

∼シームレス時代のライフスタイル」です。

一昨年ごろから、

「新・三種の神器」といわ

れる、デジタルカメラ、薄型テレビ、

DVD

コーダーのブームが起きました。家電製品が

デジタル化し、コンピューターやインターネ

ットと連携して、家庭生活を変えていくとい

う方向に進んでいるわけです。

これは、日本の電機産業、情報通信産業に

とって、一大チャンスと言えるのではないで

しょうか。こうした動きが、この先どうなっ

ていくのか。それを見据えていくことが今回

のサミットの大きな目的です。

基調講演にはこの分野における世界的な

リーディング・カンパニーである、ソニーの

安藤国威社長、東芝の岡村正社長をお招きし

ています。また、米国の通信政策に精通した、

コロンビア大学のエリ・ノーム教授も基調講

演のために来日していただきました。

パネル討論にも、米国のほか、イタリア、

韓国など、各国からご参加いただいています。

家庭の情報化、通信産業の将来像、コンテン

ツ産業の行方、セキュリティーの問題などで、

白熱した議論が展開されるものと期待してお

ります。

毎年、本会議の前に電子メールを使って行

っている「ネット会議」には、内外の専門家

250

人が参加し、

1

20

日から議論を続けて

きました。この討論の結果は、新聞やインター

ネットで紹介しています。

本サミットにご後援をいただきました

GIIC

(世界情報通信基盤委員会フォーラム)をはじ

め、デジタルコア

GIS

フォーラムにご参加い

ただき、多大なるご支援をいただいている企

業の皆様、そしてご協力いただきました関係

各位に改めて厚く御礼を申し上げまして、開

会のご挨拶とさせていただきます。

2

14

日(月)

主催者挨拶

(5)

秋草 直之

世界情報基盤委員会フォーラム(GIIC)アジア共同議長 富士通 代表取締役会長 あきくさ・なおゆき 1961年早大政経卒、富士通信機製造 (現富士通)入社、88年取締役、91年常務、92年専務、98 年社長に就任、2003年から現職。04年から世界情報基盤委 員会フォーラムのアジア共同議長を務め、05年3月同フォ ーラム会長に就任。

インターネットを中心としたネットワーク

は、社会の中で着実に拡大している。例えば

医療は病院の中だけのネットワークではなく、

病院と診療所、さらに地域や家庭のネットワ

ークにつながってくる。教育、製造業、金融、

行政などそれぞれのネットワークがリンクし、

家庭とつながる大きなネットワークになって

いる。

今までのネットとは大きく変わって、小さ

な会社のコンピューターダウンが、あちこち

に伝染して影響が出るようなリスクもある。

人の体が病原菌に対し防衛しながら生きてい

くように、これからのネットワークは内部に

ウイルスが絶えず存在するという前提で、自

分で被害を最小限に抑えるような仕組みを考

える必要がある。

世界中で大型汎用機からパソコンまで、基

本ソフト(

OS

)を持っている中央演算処理装

置(

CPU

)は

10

億個ぐらい。ところが最近の

無線

IC

タグ(荷札)になると、携帯電話から

自動車、機械、家電、物流のパレット、個々

の商品まで膨大な数の端末がネットにつなが

り、すぐ

100

億、

1000

億、

1

兆という数にな

る。どこか

1

カ所でコントロールするのは不可

能で、安全性や信頼性などについて、今まで

と違うものを考えなくてはいけない。

生活面では家庭で主婦が当たり前のように

デジタルカメラを使い、携帯電話や医療、自

動車、ゲームなどの現場でネットにつながる。

しかもそれが閉じているのでなく、絶えず外

の世界とつながっている。

これを企業から見ると、もう企業の都合で

は情報システムを止めることができなくなる

ということだ。銀行が

24

時間、

365

日の運用

を始めると、絶えずサービスを供給しなくて

はいけない。だんだん企業の情報システム自

身も変わってくる。

結局企業と家庭のネットワークはさらに融

合して、別々なものではあり得なくなる。企

業にとっては生活者の視点での発想がますま

す必要になってくる。どこかが壊れていても

ネットワークは健全に動くような信頼性、安

全性技術の重要性が高まってくる。さらに今

後は技術の進歩とネットを使う人間の心のギ

ャップ、教育の問題をどうするのか、といっ

たことまで大きな課題になってくるだろう。

2

14

日(月)

オーバービュー

(6)

安藤 国威

ソニー 代表執行役社長 あんどう・くにたけ 1969年東大経卒、ソニー入社。94年 取締役、執行役員専務などを経て00年から現職。スウェー デンのエリクソンとの携帯電話端末事業統合などを推進し た。3月7日に退任を発表し、6月22日付で同社顧問に就く 予定。

今年で政府の情報技術(IT)戦略会議発足から

5年がたった。その間、日本ではブロードバンド(高

速大容量)通信の普及率も向上し、低料金化も進展

した。普及に伴って人々のライフスタイルは大きな

変化を遂げつつある。デジタル家電は世界で爆発的

に売れているが、今年から2010にかけて市場は急拡

大する。そして、インフラやハードだけでなくコンテ

ンツ(情報の内容)やサービスが大事な要素になっ

てくる。

テレビチューナー搭載のパソコンが一般的になる

などAV(音響・映像)とIT、通信が融合し始めて

いる。ソニーがパソコン事業を始めたのもそれを見越

してのこと。デジタル家電市場の拡大に伴って一気

に価格が下落するのは、この融合によるところが大

きい。

こうした中で、ソニーの強みはAV、IT、携帯電

話、ゲーム、コンテンツの5つの大きな分野を手掛け

ていることだ。ただ、これまで強かった企業がこれか

ら先の時代も強いとは限らない。例えば米IBMのパ

ソコン事業を買収した中国の聯想集団(レノボグ

ループ)のようなニューカマーの台頭も現に起きてい

る。また、従来にはなかった新しい商品も出てきて

いる。MP3プレーヤーのようなデジタル携帯オー

ディオや、最近米国で車の必需品になってきている

サテライト(衛星)ラジオはその代表格だ。

大競争時代に勝ち残るには新しいライフスタイル

に合った価値を創造することが求められる。その価

値に合ったハード、コンテンツを提供できるところが

最終的には勝者になる。

では価値を生み出すには何が必要になるのか。コ

ンテンツ、ユーザーの使いやすさ、ハードウエアの

3つをいかにうまく組み合わせられるかだと考える。

ユーザーの使いやすさを取ってみても、米アップ

ルコンピュータの「iPod」は成功例だ。現在、社会

現象になっているが、最初に発売されたのは2001年

10月。人気に火が付いた昨年10-12月の3カ月間で過

去3年間の売り上げ台数を超えた。その秘密はイン

ターネット経由の音楽配信サービス「iチューンズ」

の使いやすさだといえる。

日本は現在、家庭のデジタル化「デジタルリビン

グ」でも先進的で、非常に恵まれた立場にある。た

だ、一方では課題も数多く抱えている。今のうちに

解決しておかないと後れを取ってしまうだろう。

課題の一つは、ユーザーの視点に立った業界標準

を作ることだ。ソニーや東芝、松下電器産業などの

機器同士の互換性も持たせなければならない。著作

権保護も整えなければ誰もコンテンツを出したがら

ないようになるだろう。

ハードは強いがコンテンツになるとやや精彩を欠

く日本。アニメなどコンテンツそのものは非常に強い

が、その資産を生かし切れていない。日本もこれか

らはコンテンツ政策と、コンテンツという資産をどう

利用するかについて国も民間も真剣に考えなければ

ならない。そうしなければ国を挙げてコンテンツ政策

を支援している中国、韓国に大事なところで負けて

しまう。ソフトの開発も日本は相変わらず弱い。こ

ういう分野で、もう少し魅力的なものを出していか

ないと競争には勝てない。

2000年からAVとITの融合を進め、2005年から

2010年にかけて大きな飛躍のチャンスを迎えている。

日本のメーカーは圧倒的な力を持っているにもかか

わらず、デジタル家電の価格下落によって収益は必

ずしも上がっていない。要はコンテンツとユーザーの

使いやすさとハードを、魅力的な形で訴求していく

ことだ。デジタルリビングによる市場創造を考えれ

ば、我々は強さを守るのではなくもっと攻めていく

必要がある。

2

14

日(月)

キーノートスピーチ

(7)

エリ・ノーム

コロンビア大学ビジネススクール教授 Eli Noam ハーバード大で博士号を取得。1976年以来、 コロンビア大学ビジネススクールで経済学および財政学の 教授を務める。コロンビア大通信情報研究所所長でもある。 2003年には米国政府から大統領直属情報技術諮問委員会の 委員に任命された。世界経済フォーラム特別会員、外交問 題評議会員。 家庭の内外がネットワークでつながるシームレス(継ぎ 目のない)デジタルホームが実現した場合、どういう影響 があるか。100年前の自動車の登場と同様、すべての家庭 に普及するには時間がかかるが、馬の代わりに自動車を使 うというだけでなく、生活の仕方、買い物の仕方、仕事の 仕方も大きく変わってくるだろう。 新しいやり方が登場する時は、確立した古いやり方が破 壊されることになる。デジタルホームが生み出すものとし て次のような破壊がある。まず一つは家電製品の破壊。そ れがこれまでの電機産業のビジネスサイクルや経済サイク ルを破壊し、さらに企業のあり方をも変えていく。 家電製品の破壊とは、家庭用電気機器の今の形が破 壊・分解されるということである。テレビ、VTR、ゲーム 機など従来の機器は基本的に自己完結型だった。だが家 庭のあらゆる機器が相互接続されれば自己完結の必要は なくなる。記憶装置も入力装置も、ディスプレーも個々の 機器で重複させる必要がなくなる。むしろ、機能を特化し たより大容量な記憶装置やアンテナなどが求められ、それ らをネットワークを通じて使えばいいことになる。 重要なのは、こうした特定機能の機器は家庭内に置く 必要が必ずしもなく、遠隔地の企業に預けることも可能な 点だ。預かる企業はより高性能な機器やソフトを持ってお り、信頼できる形で1日24時間、週7日間サービスを提供 する。運用や保守は遠隔地の専門家に任せればいい。この ようなシナリオで、家庭用電気機器はハードウエアビジネ スからサービス業に移行すると考えられる。 こうした動きでコンシューマーエレクトロニクス産業は どう影響を受けるか。まず、新しい需要が新世代のハード ウエアに生まれる。二つ目に、ブランドがそれほど重要で なくなる。続いて、時間が経てばハードウエアがそれほど 売れなくなる。遠隔地からサービスを提供する機器は大型 だが、各家庭に機器を販売していた時に比べれば、台数は 少ないと考えられるからだ。そして四つ目として、各機能 により特化したメーカーが活躍する余地が増えると考えら れる。 標準化の問題も考える必要がある。消費者の家庭内で、 分解された個々の機器は簡単に相互接続できなければいけ ない。だが標準化の前に技術を確立して自分の技術を標準 にしたい企業もある。提携を通じて同じ目的のために動い ている企業群もある。最終的に各装置が相互接続できるよ うになることがお互いの利益になることは間違いない。 最終的に誰がコントロールするかだが、物事はそう簡単 ではない。多くの国や業界、企業が介入してくるので非常 に難しい。私は誰も圧倒的なコントロール力を持つことは ないと考える。つまり、これからは分散化の社会になって くるということだ。 家電のサービスプロバイダー側で様々な機器を個々に相 互接続できれば、標準化はそう重要でない。最も高機能の 機器を購入し、それを自前で接続すればいい。それではこ のサービスブロバイダーは誰なのか。通信会社やゲーム会 社、家電メーカーなど様々な可能性が考えられる。1人の 消費者が複数のサービスプロバイダーを利用する可能性も 十分にある。 最後のテーマとして経済への影響も考えなければいけな い。家庭内の各機器が融合するデジタルホームが実現する と、業界の垣根はますます低くなる。競争が激化して値下 げ圧力がさらに高まる。そして業界の危機が別の業界に広 がっていく。結論として導き出せるのは、今後、融合が進 めば進むほど景気の変動が大きくなり、循環的なものにな っていくということだ。 シームレスなデジタルホームは、シームレスなオフィス をもたらす要因でもある。家庭とオフィスが互いにシーム レスに存在し、仕事とプライベートの垣根はますます小さ くなる。既に多くの人が家で仕事をするようになった。車 での移動中も携帯電話で仕事をしている人が増えている。 いつでもどこでも、という考え方が仕事にも適用され、長 期的には労使関係、企業組織などの構図も変わっていくだ ろう。 自動車が登場してから我々の世界は大きく変わってき た。これに匹敵するだけの大きな変化が今まさに起ころう としている。

2

14

日(月)

キーノートスピーチ

(8)

岡村 正

東芝 代表執行役社長 おかむら・ただし 1962年東大法卒、東芝入社。94年取締 役、96年常務、98年上席常務執行役員、99年情報・社会シ ステム社社長、00年から代表執行役社長。6月下旬に会長 に就任予定。5月下旬から日本経団連副会長も務める。 デジタルネットワークが進歩するにしたがって、ビジネ スモデルが大きく変わろうとしている。顧客が必要な時に、 必要な場所に、望む方法でモノを届けるようになる。当然 生産・販売・物流も変わっていく。 しかし、いつでもどこでも情報が手に入るユビキタス ネットワーク社会の到来で変わるのは、ビジネスだけにと どまらない。社会がどう変わっていくかということに着目 しないとデジタルネットワーク化への対応を間違うことに なる。 今、我々はネットワーク社会のどの位置にいるのだろう か。1995年の「ウィンドウズ95」の登場からパソコンの ネットワーク時代に入り、文字情報や音声情報を世界のど こでも自由に、不特定多数に伝達できるようになった。 これをデータネットワーク時代と定義すると、その世界 はまさしく「ウィンテル」の世界である。米マイクロソフト と米インテルが世界のネットワーク化を牛耳った。 しかしここ数年、ブロードバンド(高速大容量)化が進 み、地上デジタル放送が開始されて、映像ネットワーク時 代に入った。文字と音声の情報に映像が加わったわけで、 これは飛躍的な変革だ。 それはラジオがテレビに変わったぐらいの大きなインパ クトがあると思う。「パソコンと映像」という次なる本格的 な映像ネットワーク時代において、日本企業は絶対のチャ ンスをつかみつつある。 ただ映像ネットワーク時代においては、著作権保護技 術の確立が欠かせない。環境をきちんと整備することによ り初めてコンテンツ(情報の内容)提供者との共生が図れ るわけで、大変重要な技術であると認識している。 ユビキタス社会のメリットは、医療や防災、教育といっ た社会インフラ分野での展開があってはじめて、本当の意 味で享受しているという実感を得られる。 まず医療の面で、デジタル化が進展すべきだろう。生体 の画像情報技術の開発は非常に進み、従来の体の断面像 が立体画像へとすでに進化している。さらには各臓器の機 能や代謝状態も画像化することが可能になってきている。 そうした多様な患者情報から患者の病気を見つけ出し、患 者に負担の少ない治療を行う必要がある。 サイバー空間上で過去の疾病や遺伝の情報を持つ仮想 の患者を形成し、その仮想患者の情報を利用することで多 様な情報を融合したり、事前に治療効果をシミュレーショ ンしたりすることも可能である。 次には防災だ。新潟県中越地震でもわかるように、い ま一番問題になるのは、災害の中で孤立した人たちとの情 報のやり取りをどうするかだ。阪神大震災や先日のインド 洋での津波のときもそうだったが、災害の中心にあって孤 立した人たちの情報が得られないために二次災害、三次災 害が頻発する例がある。 我々は現在、衛星から情報を降らせており、それを無 指向性の端末で受信しテレビを見られるシステムの運用サ ービスを開始した。サービス開始前ながら、中越地震のと きは100台の無指向性の移動体テレビを貸し出し、被災地 の救済に役立てた。 最後に教育面での活用だ。データベースで教育のコンテ ンツを管理、教育の進展度合いもシステムでチェックす る。さらに教育機関同士の連携によって、映像教材のライ ブ配信をして、それぞれの学校が持つノウハウをお互いに 交換できるようにすべきだ。 わたしたちは間もなく到来するユビキタス社会の入り口 に立ったところだ。「映像ネットワーク」を一つの大きなキ ーワードにしてユビキタス社会をつくるために、企業も貢 献していく。

2

14

日(月)

キーノートスピーチ

(9)

セッション1「デジタルホームでくらしはこう変わる」 では、テレビやパソコンなど家庭の内外の機器がネッ トワークで自由自在につながる時代が来たとき、映像 や音楽の楽しみ方、わたしたちの生活スタイルや家族 のあり方などにどんな変化が出るかを、国内外の有識 者や企業人が様々な角度から議論した。 (本文中は敬称略) 国領 デジタルホームとは何なのか。暮らしはどう変わ るのか。 村瀬 私は遠隔医療の分野で医療の情報化を進めてい る。病院でなければ受けられなかった診療が今は遠隔医 療、在宅医療という形で自宅で受けられるようになってき た。次は、医療を受けていること自体に気付かない診療の 時代に入る。これをサポートするのがデジタルホームだ。 例えばトイレの中に色々なセンサーを組み込み、異常値 を測る。生活習慣病や糖尿病、血圧、肥満、代謝障害な どが普通にトイレを使っているだけで診断することが可能 になる。またベッドにセンサーを付けると、寝ているだけ で睡眠障害や睡眠時無呼吸症、不整脈などがわかってし まう。 こうした情報は、医師から見ると多くの内容を含んでい る。日常的に健康状態を見ていると、病気を予知すること はそれほど難しくない。いよいよ病院に行かなくても、普 通に暮らしているだけで健康管理ができる時代になる。ま た、デジタル技術が家庭に入ってくる方法として、患者と の接点になるようなロボットも期待されている。 塚本 私は4年ほど前からヘッド・マウンテッド・ディ スプレーを研究の一環として装着し、普段使っている。そ の結果、自分なりに感じたことを紹介したい。これから10 年、どう変わるのか。まず、情報機器が小さくなることは 間違いない。小さくなったコンピューターが人やモノ、場 所に埋め込まれ、実生活でコンピューターを使う新しい時 代がくる。 そのとき、駅やコンビニエンスストアで情報を受信し、 家庭内の機器を制御するのは体に装着して使う情報端末 になる。現在は携帯電話がその役目を担いつつあるが、使 う頻度が1日に100回、200回と増えれば、もはや手に持って 歩いていられず、装着型情報端末への移行が進むだろう。 装着型の情報端末はファッションとして広がり、街角 情報配信がビジネスになる。あそこの交差点に行けばこん なキャラクターが毎日配信されるとか、娯楽コンテンツ (情報の内容)の配信を呼び水に若者中心に広がるに違い ない。子供や高齢者も腰にテレビゲーム機を装着し、公園 でゲームや出会いを楽しむだろう。 情報化によって、人々は家の中にこもるのではなく、外 に出て遊ぶ、あるいはほかの人と会うようになる。デジタル ホームは人と機器の拠点、くつろぎの場所として使われる。 ダノビッツ 家庭での娯楽が今、変わりつつある。ハー ドディスク(HD)の記憶容量が毎年のように倍増し、私 たちは安い価格で映像を何百時間も録画できるようになっ た。またブロードバンド(高速大容量)通信によって家庭 での娯楽の選択肢が広がった。 音楽、写真、ホームビデオ、個人的な娯楽、あるいは広 告。これだけ選択肢があるなかで、簡単にそれを検索する 方法がないことが問題になっている。解答は簡単ではな い。消費者は自分の好きなときに好きな番組を見たい。音 楽を聴くときもコンピューターではなくステレオで聴きた い。広告は興味があるものだけを見たい。 だから当社の理念は家庭の誰もが便利に使えるように、 ひとつのサービスですべてを満たそうということだ。そう

2

14

日(月)

セッション

1

「デジタルホームでくらしはこう変わる」

パネリスト

ジョシュア・ダノビッツ

氏 ティーボ(米) ゼネラルマネージ ャー 日本担当 Joshua Danovitz 米カリフォルニ ア大で国際政治と日本語を専攻。上 智大在学を含め15年間日本などアジ ア市場向けのビジネスに携わる。コン サルティング会社役員を経て、2004 年ティーボのゼネラルマネジャー。

塚本 昌彦

氏 神戸大学 工学部 電気電子工学科 教授 つかもと・まさひこ 1989年京大 大学院修士課程修了、シャープ入社。 96年阪大工学部情報システム工学科 助教授、2002年阪大大学院助教授。 04年から神戸大学工学部教授。ウェ アラブルコンピュータ研究開発機構の 理事長を兼任。

藤原 まり子

氏 博報堂生活総合研究所 客員研究員 ふじわら・まりこ 1972年米スタン フォード大で人類学修士号取得。81 年から博報堂生活総合研究所客員研 究員を務め、日本人のライフスタイル などを調査研究。91年からコンサルタ ントグループBFNの日本パートナーも 兼務。

村瀬 澄夫

氏 信州大学医学部附属病院 医療情報部 教授 むらせ・すみお 1987年三重大大 学院医学研究科博士課程修了。94年 三重大学医学部付属病院医療情報部 助教授。98年から信州大学医学部付 属病院医療情報部教授。ネットを活 用した遠隔医療を研究する遠隔医療 研究会会長。

(10)

いった技術で、消費者は忙 しいという制約から抜け出 し、欲しいものを欲しいとき に手に入れることができる。 藤原 家族とは一家のメ ンバーや近親者のネットワー クであり、それが友人、地 域社会、仕事など外のネッ トワークに連なっている。 ではホームとは何かといえ ば、物理的な居住スペース でもあり、家族のネットワー クがいろいろな感情、思い、 考え方を構築したりシェア したりする社会的スペース でもある。 デジタルホームが実現す れば、家族のネットワークは 外の様々なネットワークと 連携やコミュニケーションを 取りやすくなる。わたしたち がホームと呼んでいるものは そのセンター、つまり拠点と して意識していくようになる のではないかと思う。 ホームが仕事や娯楽、学 習など様々な目的のセンターとなると、必要な機能も増え ていく。そこで問題となるのは外部とのインターフェース をどう築くかだ。外部の人間と接する時、友人か上司かと いうことでインターフェースが違う。つまり、単につなが れば済むということではなく、つながりの設計が重要にな る。 国領 いろいろなデジタル技術が開発されていくなか、 インターフェース、つながることのぎこちなさを感じさせ ない設計で大事なことは。 村瀬 使いやすいインターフェースということに尽き る。インターフェースの目的とは、人と人とをいかに結び つけるかということ。遠隔医療の場合では、離れていて受 信するのがなかなか難しいところをネットワークを使って いかに結びつけるかということだ。 デジタル技術が進むなかで、見えなくなった人と人との ネットワークをもう一度どうやってつくり上げるかという ところにインターフェースの意味がある。 ダノビッツ すばらしい技術が生まれても日常生活にう まく溶け込まないと役に立たない。インターフェースをう まく作らないと日常生活の方を変えなければいけなくなる。 国領 ティーボが提供する家庭向けサービスのインター フェースは世代を超えて受け入れられているという手応え を感じるか。 ダ ノ ビ ッ ツ 高齢者でも子供でも使えるインター フェースを考えているが、まだ足りないところがある。た だ、今の高齢者が使えるインターフェースと、50年後に使 えるインターフェースは違うだろう。タイミングの問題も ある。 国領 装着型情報端末は人とコンピューターのイン ターフェースを追求する技術と考えていいか。 塚本 いいえ。まずは個人用途だが、その後は人と環 境、人と人の交流を考えた新しいコミュニケーション手段 として使っていきたい。 国領 藤原さんがイメージするデジタルホーム時代の ホームは家族のつながりも改善するのか。 藤原 20世紀後半から、家族は家庭という場を共有し ながら一日の大半を外で費やし、ほんのわずかな時間だけ 戻ってくる。家族同士が細切れに生活し、細切れにしか接 触しないようになった。 しかし、デジタルホームが家庭の内外をつなぐセンター となることで、家族が何をやっているのかがなんとなく感 じられる、または人々の動き、感情をより近くで得ること ができるようになるのではないか。 村瀬 今の情報化社会は、言葉にできる部分、いわゆ るバーバルなコミュニケーションについてはおそろしく広 がっているが、ノンバーバルな部分――目と目で会話がで きる、特に日本人はそういう傾向があるかもしれないが、 その部分のコミュニケーションが忘れ去られてしまった。 メールなどのデジタルコミュニケーションが増える一方、 それを担保するノンバーバルな感情を含めた情報がない。 そこをどうフィードバックしていくかが大事だ。 国領 デジタルホームへの期待は。 村瀬 安心できる場がホームだとすれば、医療の場では ホームを提供することは簡単だ。デジタル技術の上に安心 感を与える情報をどう載せるかが大事だ。 塚本 これから実生活で小型コンピューターが使われる ようになると、人はより身体を使った活動をするようにな るはずだ。そうなると懸念されているネット社会への没入 などは減り、家の中でも人と人とのつながりを増やしてい く機会が多くなるはずだ。 藤原 この数世紀の間に家族の機能は大きく変わった。 教育や医療などは外部機能として専門化してしまった。デ ジタルホームはこれらの機能との連携を強化する動きに なってもらいたい。 ダノビッツ デジタルホームがうまくいくためには、日 常生活に簡単に入り込まなくてはだめだ。インターフェー スをあまり感じさせず便利なものになれば成功するはずだ。 司会

國領 二郎

氏 慶應義塾大学 環境情報学部 教授 こくりょう・じろう 1982年 東大 経済学部経営学科卒業、日本電信電 話公社入社。86年ハーバード・ビジネ ススクールに留学。92年ハーバード大 学経営学博士号取得後、NTTに勤 務。93年慶應大学大学院経営管理研 究科助教授。2000年教授。03年慶應 大学環境情報学部教授。

(11)

日 時:

2005

2

14

日(月)

18:00

19:30

会 場:東京国際フォーラム

ホール

B5

2

14

日(月)

レセプション

(12)

2

15

日(火)

緊急セッション

「デジタルホーム時代のセキュリティーをどう守るか」

緊急セッション「デジタルホーム時代のセキュリティー をどう守るか」ではフィッシングなどネット犯罪の問題 について、国内外の企業幹部・専門家が議論した。消 費者を守るために被害時の過失限度額を設けるなど法 整備の必要性を指摘する声が聞かれた。 (本文中は敬称略) 加藤 クレジットカード会社などを装いメールを送りつけ消費者のカード 番号を聞いて詐欺を働くフィッシングの被害が米国で急増している。日本 でも社会問題になりつつあり対策が求められる。 マネシス インターネットのブロードバンド(高速大容量)化とデジタル家 電の普及で人々が利便性を享受する時代が到来している。音楽ダウンロード や電子商取引(EC)が増加し、これらの決済需要はクレジットカード会社に とってもプラスだ。 パソコンや携帯電話といったすべてのデバイスに対応し、購入内容やカー ドの情報が安全に保存・送信されることが課題となる。安全の代償として 消費者や商店の利便性が損なわれないことも必要だ。 内田 最近多い個人情報漏えいの問題をみると、顧客情報を管理すべき 企業の管理不在が目立つ。これでは犯罪が増えても仕方がない。一方、仮 想現実の世界で現在起きているフィッシングなどの犯罪は一件あたりの被害 単価が小さく、部外者が容易に仕掛けている点に注目している。 犯罪者は簡単に人のメールアドレスを探り当て手当たり次第にメールす る。引っかかった人からだまし取る金額が1件1000円だったとしてもネット を最大限活用し1000件、10000件と積み重ねることで採算の合う金額に膨 らむ。フィッシングは現実世界の犯罪である「振り込め詐欺」と根底で一 緒。人間の心理的な弱さにつけ込んでいる。 加藤 安全確保のため実際にどんな試みがされているのか。 マネシス まず商店には取引データを確実に保管し犯罪発生後の処置を 素早くできるようにしてもらっている。カード自体もホログラムや顔写真を 導入。個々のカードの決済をシステム上で監視する体制も作った。これか ら重要なのは個人が持つパソコンや携帯電話自体が安全性を確保した上で 通信できる機能を持つことだ。 対策効果もあって不正取引の件数は世界で減ってきている。カード利用者 は犯罪の危険性があることを認識すべきだが、過度に不安がる必要はない。 加藤 日本では新手のカード詐欺が増え、対応が後手に回っている。 内田 銀行のキャッシュカードで見ると日本はいまだに磁気ストライプの カードしかないのが問題だ。フランスは10年前にすべてのカードをIC化し犯 罪は10分の1になったという。ICならカードを偽造できない効果が大きい。 米国のように盗難や詐欺の被害に あった消費者の過失限度額を50ドル までとするようなルールの徹底も必 要だろう。 マネシス 被害にあったことを証明 できれば多くの銀行の場合、消費者 の過失は問われない。言っておきた いが、クレジットカードは日本でも この1年で不正取引が減っている。 カードの安全機能を高めたからだ。 だからといってフィッシングなどを軽 視はしていない。ビザの場合、金融 界全体で安全のための基準作りを進 めている。 米イーベイやマイクロソフトとも組 み、毎月フィッシングに関するレ ポートも出している。情報を集めて 分析し、被害を未然に防ぐための策 を練っている。 加藤 国としてクレジットカード や情報技術(IT)社会の様々な詐欺 について施策が必要だと思うが、そ の分野で日本は進んでいるのか遅れ ているのか。 内田 海外すべてを知っているわ けではないが、外から見ると日本は 安全な部分と危険な部分で大きな落 差があるように感じる。振り込め詐 欺に関しては、昨年約26000件起き ており、その前の年は6600件。警察 庁は今年1月に首都圏に専従班を置 くと決めたが、1年遅いと思う。 キャッシュカードについては、IC カード化がなぜできなかったのか不思議だ。ICカード化しないのなら被害額 の補償は銀行側がすべきだ。スキミングは以前から起きているのだから対応 できたはず。金融庁や銀行関係者は猛反省してほしい。 マネシス 私自身もロンドンでスキミング被害を受けたことがあるが、犯 人は1週間以内に特定された。銀行やカード会社だけでなく現地当局や国 際機関にはこの種の犯罪者を追跡する機構がある。 加藤 IT社会の問題は国際的な問題。日本で対応しても他国から攻撃を 受けてはどうしようもない。各国協力しての対応状況はどうなっているか。 内田 OECD(経済協力開発機構)がスパム(迷惑メール)対策に取り 組んでいる。コンピューターウイルスやフィッシング詐欺の問題も含めて ワーキンググループができており、色々な提言がある。スパムなどの問題は 一国、一社、一個人で解決できる問題ではなく、国際的な形での協力関係 は必須だ。 加藤 米国での場合は法律を作って規制するというより民間でルールを 作って運用する動きが強いのではないかと思うが、現状はどうか。 マネシス 米国では、消費者が取引していないと主張した場合は50ドル までしか責任を問われない法律がある。だが、ほとんどの銀行は実際にして いない取引に対しては1ドルも払わなくてよいと公言している。 ただその制度を乱用して二度も三度も「取引をやっていない」という主 張をする人は信頼されなくなるだろう。取引をした事実がなく、それをきち んと証明できる人は保護されるのが米国の仕組みだ。 加藤 日本で同様の問題が出てきた場合、米国と同じような責任限定の 仕組みを設ける必要はあるか。 内田 あると思う。日本でもクレジットカードの被害は保証されているは ずだが、明確な形に仕組みを決めておくべきだ。スキミングなどの事件が非 常に大きな問題になっており、監督官庁や執行機関はこのあたりの検討を きちんとしてほしい。明確になっていないから混乱を起こす事例が最近たく さん出てきている。 加藤 バイオメトリクス(生体認証)などの技術を使って安全を守ると いう点については。 内田 認証技術は有効だと思うが、バイオメトリクスについては私は懐 疑的な見方をしている。バイオメトリクスの大部分はアナログで、本人であ ることを判断する基準があいまいだ。 暗証番号の場合は1ケタでも間違えればはねられてしまう。しかしバイオ メトリクスは本人でないものでも通過してしまう可能性があり、金融機関 で利用するには向かないと考えている。 マネシス 我々は信頼を大切にしているから安全なシステムを構築しなけ ればならないが、同時に使い勝手が良くなければならない。セキュリティー と利用しやすさのバランスが重要だ。 パネリスト 司会

トーマス・マネシス

氏 ビザ・インターナショナル 新規事業部門責任者 Thomas Manessis 米郵政公社を 経て1996年にビザ・インターナショナ ル入社。eコマース事業やオンライン 決済認証の業界標準策定などを担当。 現在は新規事業グループでデジタルコ ンテンツなどでの新市場開発を指揮す る。

内田 勝也

氏 日本セキュリティ・マネジメント学会 (JSSM)常任理事、 情報セキュリティ大学院大学 助教授 うちだ・かつや 電気通信大経営工 学卒。大手損保会社で情報セキュリ ティー調査研究などに従事。現在は日 本セキュリティ・マネジメント学会常 任理事のほか、情報セキュリティ大学 院大学助教授などを務める。

加藤 幹之

氏 富士通 経営執行役 法務・知的財産権本部長 かとう・まさのぶ 1977年東大法学 部卒。富士通入社。84年ミシガン大 学ロースクール留学(法学修士)。87 年サンフランシスコの法律事務所にて 紛争処理担当。89年富士通ワシント ンD.C.事務所開設に伴い駐在。2002 年帰国。04年より現職。

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2

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日(火)

セッション

2

「シームレス時代のネットワーク戦略」

セッション2「シームレス時代のネットワーク戦略」 では、光ファイバーなどブロードバンド(高速大容 量)の通信ネットワークを通じ映像・音楽などの 多彩な情報を接ぎ目なくやり取りできる時代の通 信サービスの可能性や課題などについて日米欧の 現状を踏まえながら議論した。インターネットで無 料で電話ができるサービスについては、経済モデル として成り立つかとの意見も出た。 (本文中は敬称略) 関口 ユビキタスには4つの条件がある。ブロードバ ンド、モバイル、シームレス、セキュリティーが重要な 要素になる。 井上 シームレスには、ネットワークとブロードバン ドの二つのとらえ方がある。ネットワークのシームレス 化が実現すると、どこにいても光ファイバーや無線な ど、インフラの違いを意識せずにデータを伝送できるよ うになる。一方、無線LAN(構内情報通信網)や光 ファイバーなどのブロードバンド環境が整備されると、 音声や映像などを大量に送受信できるようになり、メ ディアのシームレス化にもつながっていく。 NTTが光のインフラ技術に着手したのは30年以上前 のことだ。家庭まで光ファイバーを敷設するファイ バー・ツー・ザ・ホーム(FTTH)の技術は、20年前に 開催された筑波万博で展示した。光を本格的に家庭で 利用してもらおうと考えたのは今から10年前だ。当時 は毎秒最大10メガ(メガは100万)ビットの伝送速度で 月額1万円のサービスを始めようと考えていた。 現在、NTTは2010年に3000万人の光加入者を確保 するとの目標を掲げる。どんなサービスを実現するか は、知恵を絞っている最中だが、ネット接続とIP(イン ターネットプロトコル)電話、映像配信を組みあわせた トリプルプレーと呼ばれるサービスもその一つだ。今後 は放送と通信の連携がますます課題となっていくが、 技術的な準備は整っている。 アームストロング ケーブルテレビの取り組みを説明 したい。我々には160万人強の会員がいる。力を入れて いるのは高精細画像のテレビ放送だ。放送に双方向通 信を取り入れることで、番組を見ながら視聴者が衝動 買いなどもできるようにしたい。見たい時に好きな番組 を視聴できるビデオ・オン・デマンドにも意欲的に取 り組む。 ネット環境では日本は世界の中でも進んでいる。米 国は毎秒最大1メガ程度で、3メガへの高速化を進めよ うとしており、伝送速度で後れを取っている。ケーブル テレビによるネット接続は30メガ程度で、100メガが次 の目標になる。 関口 次は欧米の報告を。 メッラ イタリアではパソコンの普及率は50%にと どまる。パソコン中心のビジネスモデルではターゲット となる顧客は市場全体の半分になってしまう。ビジネ スの中核となるのは、普及率の高いテレビだ。 テレビも単なる受像機からマルチメディアセンターに シフトすると考える。ビデオや映画、エンターテインメ ントなどをフル画面で提供することが重要になる。ブ ロードバンド競争は速度だけではなく、魅力あるコンテ ンツ(情報の内容)をどれだけ提供できるかにかかって いる。 ハーテンバウム スカイプは利用者同士であれば世界 中無料で通話できる。電子メールを送るように、音声 会話が可能になるのだ。5人で話せる会議通話もあり、 パネリスト

井上 友二

氏 NTT 取締役 いのうえ・ゆうじ 九大大学院修了、 1973年日本電信電話公社(現NTT) 入社、2000年NTTデータ取締役。 2002年から現職。

ハワード・ハーテンバウム

氏 スカイプ・テクノロジーズ 取締役 Howard Hartenbaum 米マサチ ューセッツ工科大卒。ヒューズ・エレ クトロニクスなどを経て投資会社ドレ ー パ ー ・ リ チ ャ ー ズL Pの パ ー ト ナー。スカイプ・テクノロジーズ設立 に出資し取締役に就任。

ジェフリー・ニック

氏 EMCコーポレーション シニア・バイス・プレジデント 兼CTO

Jeffrey Nick 米IBMで24年間コン ピューター技術者として活躍し、技術 者として最も名誉あるIBMフェローを 務める。2004年EMC入社。最高技術 責任者(CTO)を兼務し同社の技術 戦略を率いる。

マリオ・メッラ

氏 ファストウェブ(伊) ネットワーク・プランニング・ ディレクター Mario Mella 1999年のファストウ ェブ創設時に入社し、光ファイバーで ネット接続、電話、放送のトリプルプ レーサービスを提供する事業のプラン ニングマネジャーなど歴任。現在はネ ットワーク戦略を担当。

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通話する前に相手が不在かどうかを確認することもで きる。ネットを使った電話は多いが、品質や使い勝手 に問題があるケースが多かった。スカイプはこうした課 題を解決した。 現在2500万人の登録ユーザーがいるが、すべて口コ ミで広がったものだ。世界22カ国語で提供しており、 日々15万人の新規ユーザーが加入している。ネット ワークインフラのコストはかからず、マーケティング費 用には1銭もかけていない。 ニック 現在、コンテンツが爆発的に増え、それを 高度に管理する情報管理サービスが情報技術(IT)イ ンフラとして成長している。だが、これは非常に難しい 課題でもある。現在のIT環境は非常に分断されている。 個々のコンテンツやプラットフォームは共通性が欠如し 「情報の孤島化」が進んでいる。その中でどうやって一 貫性のある管理を行うかが重要だ。 当社ではその一つとして、ある情報に関する情報を とらえる「インフォメーションメタストラクチャー」の モデルを作り上げていく。データやアプリケーションの 間にどういう関連があるか検証する。これを通じて情報 の価値を明らかにすることができる。 関口 今後、どのような技術が必要になっていくの か。特にスカイプのような新しいサービスについてはど う考えているのか。 井上 (会場の)かなりの方は私に「スカイプには 困ったよ」という答えを期待しているのだろうが、一技 術者として見ればスカイプのような新しい技術が普及 するのは大変良いことだと思う。光通信は情報を双方 向でやり取りできるのが特徴だ。そういう意味でスカイ プのような双方向のコミュニケーションは大変ウエルカ ムだ。 NTTが電話を現在の料金体系で提供しているのは、 そこまでの技術しかないからだ。スカイプそのものは無 料ソフトだから当てはまらないが、インフラには皆がそ れなりの社会的コストを払う。そういったインフラを提 供するのがNTTのこれからの仕事だ。 関口 電話はどういう形で進化するのだろうか。 ハーテンバウム スカイプはブロードバンドのプロバ イダーにも大きな収益のチャンスを与える。電話のシス テムは今後も長年残るだろう。電子メールができたから といってファクスがなくならないのと同じだ。 関口 ファストウェブとスカイプの違いは。 メッラ ファストウェブはネットワーク運営会社であ り、インフラを持っている点が大きな違いだ。インフラ 整備にもかなり投資してきた。 関口 ジュピターテレコムが運営するCATV局J― COMはケーブルテレビ会社としてどのような対抗策が あるのか。 アームストロング 当社はインフラから出発した。本 来、市場において技術は消費者より先端に立っている。 つまり、まず技術が開発され、次にそれに適合する経 済モデルが開発される。では、インフラを提供する側は スカイプをパートナーとして、どうやって利益を生むこ とができるのか、考えてしまう。 サービスが無償で消費者に提供されるなら、誰かが そのコストを負担しなければならない。この経済モデル がまだ十分に理解されていないと思う。 関口 今後、今の流れを加速させるために何が必要 なのか。また、日本はメーンプレーヤーになれるのか。 井上 今の世の中では「振り込め詐欺」などで通信 社会に対する不安の方が大きくなっている。この不安 を取り除く方法を真剣に議論しなければならない。技 術だけでなく制度の面でも皆で知恵を出し合わなけれ ばならない。 日本の消費者の感性は世界でも非常に優れていると 思う。日本の顧客の不安に応えられるシステムをつく ることができれば、日本は必ず世界をリードできるはず だ。 パネリスト 司会

グレゴリー・アームストロング

氏 ジュピターテレコム 取締役副社長 Gregory Armstrong 1971年米バ イアコム・ケーブルビジョン・オブ・ サンフランシスコ入社。リバティ・メ ディア・インターナショナルのラテン アメリカ支社長などを経て2002年1月 から現職。

関口 和一

日本経済新聞社 産業部編集委員 兼 論説委員 せきぐち・わいち 1982年一橋大法 卒。日本経済新聞社入社、編集局流 通経済部配属。88年フルブライト研 究員として米ハーバード大国際問題研 究所留学。90年ワシントン支局特派 員。96年産業部編集委員。2000年論 説委員兼務。

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2

15

日(火)

セッション

3

「ライフスタイルに浸透するコンテンツの創造」

セッション3「ライフスタイルに浸透するコンテン ツの創造」では、デジタル化の進展がコンテンツ (情報の内容)ビジネスにどのようなチャンスを開 くか、政府のコンテンツ政策のあり方や著作権管 理など今後検討しなければならない課題は何か、 などについて国内外の専門家から活発な意見が出 された。(本文中は敬称略) 中村 デジタルの環境が整備され、コンテンツ産業 が注視されるようになった。コンテンツビジネスの今後 について、議論を重ねていきたい。まず、出席者のプレ ゼンテーションからお願いする。 石原 「ポケットモンスター」は任天堂の携帯ゲーム 機向けソフトとして1996年に発売された。ポケモンをつ かまえて育てる内容が瞬く間に人気化。現在はカード ゲームやアニメ、映画などに派生しており、市場規模は 累計で国内約1兆円。海外では約2兆円になっている。 重要なのは、ゲームの原作を他メディアにタイムリー に展開することだ。イベントなども頻繁に開催し、映 画、ゲーム、関連商品が連動する販促を図ってきた。 その結果、映画のヒットで登場キャラクターの人気が 上がり、関連商品が売れ、新作ゲームソフトの予約に つながるという好循環を生み出している。 パク 韓国のドラマが日本で大ヒットしている。 我々は「冬のソナタ」のユン・ソクホ監督の作品をプ ロデュースしているが、様々な出口にコンテンツを提供 することで、顧客との接点を拡大させる手法などを重 視してきた。 自社でコンテンツを企画、制作し、テレビ、DVD (デジタル多用途ディスク)、ネットなどで利益を上げ る。コンテンツの出口はデジタル化の進展で拡大し、 我々のチャンスも広がる。海外市場にもコンテンツを展 開し、利益を最大化することも目指している。 実際に、ユン監督が手がけた「冬のソナタ」や「夏 の香り」は世界40カ国、35億人の視聴者を獲得した。 現在は新ドラマ「春のワルツ」を制作しているが、映画 やミュージカル、アニメも企画している。 利重 親会社の楽天が保有する東北楽天ゴールデン イーグルスのコンテンツ配信事業の準備を進めている。 現時点ではネットでのコンテンツ配信は有料にし、球 団運営の新たな収益機会ととらえていきたい。 ネット配信とテレビ放送の関係については、ネット を限定的なサービスとして位置付ける。今後は、ネッ トを通じて好きな試合を好きなときに閲覧できるサービ スを展開することも可能だ。ただ、現時点ではユーザー の反応を見ながら保守的に展開するつもりだ。テレビ にはないプログラムを充実させ、テレビと競合しない サービスをつくり上げる考えだ。 キム コンテンツ産業の付加価値は高く、政策的に もかなり注目されている。主要国でいうと、米国政府は コンテンツ産業への関与が少ない。民間の自律性に任 せ、政府は間接的に支援してきた歴史がある。フランス は米国とは対照的に政府主導の支援政策を取っている。 自国のコンテンツを守り、育成することで自国のアイデ パネリスト

石原 恒和

氏 ポケモン 代表取締役社長CEO いしはら・つねかず 1983年筑波大 大学院芸術研究科を修了。95年ク リーチャーズを設立、「ポケットモンス ター 赤・緑」をプロデュースし世界 的なヒットゲームに育てる。98年ポケ モンセンター(現ポケモン)設立、社 長に就任。

金 正勲

氏 慶應義塾大学 デジタルメディア・コンテンツ 統合研究機構 助教授 キム・ジョンフン 1999年米インディ アナ大テレコミュニケーション学部ア ソシエイトインストラクター。04年か ら現職。知的財産研究所外国人招へ い研究員、ドイツ連邦防衛大標準化 研究部門客員研究員などを兼務。韓 国生まれ。

利重 孝夫

氏 ショウタイム 代表取締役副社長 とししげ・たかお 1988年東大教養 学部卒、旧日本興業銀行入行。94年 コロンビア経営大学院(MBA)卒業。 2001年楽天グループ入社。サッカー 「ヴィッセル神戸」の運営会社クリム ゾンフットボールクラブの取締役を兼 務。

朴 仁鐸

氏 ユン'sカラー(韓) 代表理事 パク・インテク 1987年韓国KBS入 社。企画調整室企画部などを経て98 年秘書室次長。2002年に編成本部コ ンテンツ政策次長。04年KBSグローバ ルセンターグローバル戦略海外事業 ヘッド。現在、ユン’sカラー代表理事 を務める。

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ンティティーを高め、国家 の魅力につなげる狙いだ。 英国は米国とフランス の中間。政府は金を出す が、実際の使用方法に関 しては専門家や関連機構 に一任する。韓国は1990 年代後半から産業的な側 面を徹底的に重視し、自 国のコンテンツが育つ環 境を構築した。 こうしたなか、日本は 2000年度から知的財産を 重視する政策を打ち出し てきた。業界主導から、 政府が介入をして振興促 進をする体制に変化して いる。ただ、政府の積極 姿勢にもかかわらず、ここ 数年の日本のコンテンツ 産業は苦戦が続いている。 今後の重点は、いかにコ ンテンツの流通を促進し、 人材を育成し、技術を開発するかという点になる。 中村 デジタル化が進むことでコンテンツ業界は拡 大するか。 石原 私はデジタルとアナログをあまり区別はして いない。ポケモンはいかに新鮮な驚きをお客さんに与え ることができるか、というところを中心にいつも考えて いる。 そもそもポケモンはゲームカートリッジから始まり、 通信技術の進歩にともなって遊び方が変わってきてい る。ポケモンを通じ新たなビジネスの展開の方法を子供 たちに驚きと一緒にメッセージとして伝えているつもり だ。 新しい技術を使って顧客に新しい驚きを提供できて いないのは、アイデアが枯渇してきているか、ソフトを 作るパワーそのものが落ちてきているという問題なので はないか。 中村 デジタル化が進むと世界で事業展開できるよ うになる。国際競争力はいかに高めるのか。 キム 日本の問題はいいコンテンツを持っていなが ら、それをビジネスとしてしっかり活用できていないこ と。閉鎖的な流通の構造などいろいろな要因がある。 コンテンツ価値を最大化するための制度も整っていな い。 現在ネット流通はCDなどのパッケージ流通に負けて いるが、成長率ではネットが優位。将来的にはネット 流通に照準をあわせるのが賢明な戦略だろう。 中村 ネットでテレビのコンテンツは今後どんどん 流通するか。 利重 そうあるべきだが、現状は使い勝手の面で課 題が多い。デジタル家電を購入しても、コードの配線 やボタンの操作方法がわからないなど、まだ消費者との 距離が遠い。 中村 個人のコンテンツを世に広めやすくなる時代、 クリエイターをどう育てていくか。 石原 自身の作品や自慢したいものをホームページ で見せる動きはますます拡大していくだろう。子供たち が大人より高度なことができる環境はもうそろっている。 今の日本のネット環境は非常によいが、公共機関や 学校などで使い方のほかにモラルやエチケットを教える 機会が足りない気がする。そこを踏まえたうえで、積極 的にクリエイターを支援すべきだろう。 中村 韓国コンテンツの隆盛の背景には政府の支援 があったと聞く。日本政府はこれから何をすべきだろう か。 パク 韓国政府は表現の自由についての干渉を最小 限にとどめながらも、コンテンツ産業を国の次世代産 業として位置づけた。経済的支援は多くなかったが、 未来のビジョンとして立て、そこに道があると提示して くれただけでこの分野に対する関心と企業の投資が増 えたことは間違いない。 日本政府もコンテンツ制作への介入は控えるべき。 ただ、流通業者が制作業者を支配している構造問題は 解決しなければならないのでは。 中村 著作権管理はどのようにあるべきか。過剰な 保護は創造性を侵害するとの見方もある。 キム 確かに。著作権保護を強化する動きが日米を 中心に進んでいる。今はいろいろなシステムが対立し、 競争しあっている状態。競争状態を経て最終的にシス テムは進化していく。著作権を重視する動きは全体に とっていいのではないかと思う。 司会

中村 伊知哉

氏 スタンフォード日本センター 研究部門 所長 なかむら・いちや 京大経卒。在学中 はロックバンド“少年ナイフ”のディ レクターを務める。1984年郵政省入 省。93年パリに駐在。95年帰国。98 年郵政省を退官。CSK特別顧問に就 くとともに渡米、MITメディアラボ客 員教授に就任。2002年現職を兼務。

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日(火)

クロージング・セッション

パネリスト

加藤 幹之

氏 富士通 経営執行役 法務・知的財産権本部長

國領 二郎

氏 慶應義塾大学 環境情報学部 教授

中村 伊知哉

氏 スタンフォード日本センター 研究部門 所長

関口 和一

日本経済新聞社 産業部編集委員 兼 論説委員 司会

坪田 知己

日本経済新聞社 日経デジタルコア事務局 代表幹事 つぼた・ともみ 1972年日本経済新 聞社入社。大阪本社編集局経済部、 同社会部、名古屋支社報道部、東京 本社編集局産業部(情報産業担当) 記者、日経BP社「日経コンピュータ」 副編集長、日本経済新聞社東京本社 編集局産業部次長、社長室マルチメ ディア担当次長、マルチメディア局企 画開発部長、電子メディア局企画担 当部長を経て、2000年3月から現職。 03年11月より慶應義塾大学大学院政 策・メディア研究科教授(非常勤) に就任。

「デジタル@ホーム」をテーマにした「世界情報通信サミット(

GIS

2005

」は、各セッションの司会者が全体を総括するクロージングセッショ

ンで幕を閉じた。家庭にデジタル技術が浸透していく時代は、

VTR

など単

品の製品で世界制覇した時代とは環境が大きく違い、

「総合的なサービス

を意識した新たなビジネスモデルを構築する必要がある」という意見でま

とまった。

議論のテーマとなったのは、

「勝利の方程式」だった。

「ハード重視から

サービス志向へ」

「グローバルな視点」

「社会の変化」を押さえることが、そ

の回答だと司会者はそれぞれ述べた。

國領二郎・慶大教授は「テレビや

VTR

がどんどん売れた昭和

40-50

年代

のモデルに頼るのは危険」と指摘。さらに、村瀬澄夫・信州大教授の遠隔

医療の話を引用して、

「ハードではなく、サービスが大事。しかも使い易さ

が非常に重要だ」と強調した。

加藤幹之・富士通経営執行役は「世界で使えるものをターゲットとすべ

き」としたうえで、

「日本が勝つためには『これは米国でも使えるか』とい

うような勘を働かせた先読みが重要」とした。

中村伊知哉・スタンフォード日本センター研究部門所長はコンテンツ産

業育成の視点で、

「国際市場の開拓」

「新たなビジネスモデル」

「必要な政策

対応」の

3

点が課題だとした。

また中村氏は、

「デジタル化の進展で、コンテンツは

P2P

で共有するのが前

提になるだろうし、ウェブログでの情報発信も進んで、誰でもクリエイター

になれる状況が実現しつつある」として、

「このようにコンテンツの消費と生

産の構造が根本的に変わるのがデジタルの力ではないか」と結論づけた。

最後に、まとめ役の坪田知己・日経デジタルコア事務局代表幹事が

「韓国のドラマ作りや、ファストウェブのサービスなど、学ぶところの多い

サミットだった。それに勝るビジネスモデルを作るために、日本の創造力が

問われている」と締めくくった。

参照

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Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Q discrep : Predefined empirical constant corresponding to the minimum value of the module of total discrepancy between estimated gas supply volumes, which is of practical

支払方法 支払日 ※② 緊急時連絡先等 ※③.

※3 J.H.Wilson and P.C.Arwood, Summary of Pretest Aerosol Code Calculations for LWR Aerosol Containment Experiments (LACE) LA2, ORNL. A.L.Wright, J.H.Wilson and P.C.Arwood,

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