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DTTL M&A 20 年 のコンシューマーグローバル 企 業 動 向

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2014 年の

コンシューマー

グローバル企業動向 進化するネット消費者

トーマツグループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそれら の関係会社(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング株式会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 株式会社および税理士法人トーマツを含む)の総称です。トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつで あり、各社がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内約40 都市に約7,600名の専門家(公認会計士、税理士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細 はトーマツグループWebサイト(www.tohmatsu.com)をご覧ください。

 

Deloitte(デロイト)は、監査、税務、コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場の

クライアントに提供しています。全世界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネス に取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています。デロイトの約200,000名 を超える人材は、“standard of excellence”となることを目指しています。

 

Deloitte(デロイト)とは、英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのネット

ワーク組織を構成するメンバーファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTLおよび各メンバーファームはそれぞれ法的に

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2014年のコンシューマーグローバル企業動向

世界経済の見通し

消費財業界のグローバルトレンド 2014 上位250社の動き

M&A活動は消費財関連産業で回復傾向 Qレシオ分析

調査手法および情報源 巻末注

連絡先

目次 2014 年 コンシューマーグローバル企業動向

デロイト トウシュ トーマツ リミテッド( DTTL )は、年に 1 度発行して いるレポート「コンシューマーグローバル企業動向」を今年も発行 できることを光栄に思う。7冊目となる本レポートでは、2012年度

(2013年6月までに期末を迎える各企業の会計年度が対象)につ いて一般に入手可能な情報に基づき、消費財に関連する全世界 の企業のうち大手250社を分析する。

また本レポートでは、世界経済の今後の見通しや消費財産業の 時価総額について分析している。さらに、消費財セクターにおける

M&A 活動の観察や、消費財関連企業に影響を及ぼす主要なトレ

ンドに関する議論も行う。

(3)

各国はこれまで、銀行救済のための小規模なファンドの設 立や、ファンドが枯渇した際に各国政府が協力するという 要件、またユーロ圏加盟国が銀行を支援するための救済資 金の使用承認について完全合意を行うという要件で合意 している。言い換えれば、問題を抱えた銀行を支援し救済 するリソースを持った強力な中央権力がないということ だ。そのため、この改革は金融市場活動を調和させるのに 必要な措置が行えない。より統合的なアプローチがなけれ ば、金融市場活動をいかに速やかに正常化できるかの見極 めが難しいだろう。また、ユーロ圏が長期的に成功する方 法の見極めも困難と思われる。通貨同盟が成功を収めるに は、現存するものとは異なる構造が必要であることがます ます明らかになってきている。金融システムの統合によっ て、膨大なリソースと独立した意思決定能力を持った中央 権力がすべての銀行を管理・支援することが求められる。

これは現在協議されているプランの範疇にはないものだ。

またユーロ圏には、いまだ大きなリスクも存在する。たと えば、ギリシャのような債務国における潜在的な問題や、

主要国における反欧州政府樹立の可能性、各国が生産性 を向上させるために大規模な経済改革を制定しなかった こと、ドイツが内需押し上げをしなかったこと(それによっ て欧州の同胞を支援しなかったこと)などが挙げられる。

実際、ユーロ圏の構造改革に関するこうした怠慢の多く は、ドイツとその他の諸国間における不一致に由来する。

ドイツが懸念しているのは、金融機関を巻き込んだ連帯 責務は事実上ドイツの責務になることだ。したがってドイ ツは、金融改革に対する統合的なアプローチに対し積極 的ではない。

欧州全体の見通しは、国によって異なる。とくに注目したい 点を以下に挙げる。

ドイツ

欧州最大の経済国であるドイツの成長は、2014年に加速 することが予想される。加速の要因となるのは、個人消費 や事業投資、輸出の増加だ。最低賃金の導入は、消費者所 得を増加させると考えられるものの、一方で失業も微増さ せるだろう。これ以外の与党連合による合意は、競合性に マイナスの影響を与えると思われる。ドイツは依然として、

資本財の輸出に大きく依存している。中国に対する投資の 鈍化は、ドイツ経済にとってマイナス要因となるだろう。し

フランス

フランスは、ユーロ圏で最も弱いリンクとなった。経済はか ろうじて成長している程度で、2014年は弱含みの年とな ることが予測される。政府が大幅な労働市場改革の実施を 怠ったことで生じた景況感の悪化が、投資を抑制するだろ う。税率を大幅に上げるという政府の計画は部分的に破棄 されたが、これによって企業による投資が促進されること はなかった。生産性は衰え、フランスは競合性を失った。そ の結果、他のユーロ圏の経済で見られる輸出の復興は、フ ランスは経験していない。

スペイン

スペインはようやく長い不況から回復しつつあり、2014 年は軽度の成長が見込まれる。スペインの財政状態は改善 しており、国債の利回りは現在、比較的低いレベルだ。緊縮 財政は緩和され、競合性の向上に伴って輸出部門も好調 だ。一方で金融部門は弱含みであり、銀行による貸し出し は落ちこみが続いている。経済は依然として脆弱だ。

イタリア

イタリアの戦後最長の不況は、ついに終わりを迎えようと している。さらに、改革派の新首相の登場により、経済改革 に向けた新たな取り組みもあるかもしれない。政府は現 在、緊縮財政から労働市場改革へとシフトしつつある。加え てイタリアは競合性を高めつつあり、輸出の幸先も良い。そ の結果、2014年は軽度の成長が見込まれる。一方で、イタ リアは多くの問題にも直面している。たとえば国債残高の 多さや人口動態の悪さ、失業率の高さ、金融市場活動の脆 弱さなどが挙げられる。

日本

日本の経済は2013年上半期に急成長したものの、下半期 では減速した。それでも2013年度の景気は、ここ数年で 最良だった。これはおもに、アベノミクスの金融政策面の成 果である(アベノミクスにはほかに、財政刺激策と規制撤 廃の側面がある)。この金融政策は中央銀行による大量の 資産購入を利用したもので、債券利回りの抑制やインフレ の発生、円安の促進、個人や企業による支出の向上を狙っ ている。これまでのところ、この政策はそれなりの成功を収 めている。軽度ではあるが、インフレはついに日本に帰って きた。債券利回りは低水準で推移し、これが投資を促進す る低資本コストの環境を生み出している。円安は大幅に進 昨年度のレポートで我々は、「財務上の激変が起こらない

限り、米国の経済は来年度には加速する可能性が高い」こ とを指摘した。かくして財務上の激変は起こった。その結 果、とくに高い伸びは見られなかった。また、中国ではハー ドランディングは発生しないと予測した。これは的中し、実 際に中国経済は経済成長の新しい次元で安定している。

我々は「現在の日本の経済情勢を観察すると、引き続き販 売の伸びは弱く、価格の下落は続くだろう」と書いたが、こ れは間違いであった。原因は単純で、新しい総理大臣が根 本的に異なった方向に進むことを予測しなかったからで ある。また欧州は、不況にもかかわらず、ユーロ安と賃金の 抑制が合わさり、欧州の輸出は競合性を増したことに言及 していた。実際に現在も、景気回復が大きく進んでいる主 要な要因は、輸出の実績向上にあると言える。

全般的に見て、我々の予測はまずまずだった。読み違いを した点については、米国と日本における政治的環境を予測 できなかったことによるところが大きい。逆に正しかった 点については、経済的潮流に基づく推測を合理的に行え たからであろう。このように今後は、政治的環境における 変化が経済の見通しに大きな影響を与えうるという点が 問題となる。世界には、いくつかの重大な政情不安が存在 する。たとえば、ユーロ圏が銀行同盟の導入を行うか、また 行うとすればどのように行うか、欧州中央銀行(ECB)がよ り積極的な金融政策に乗り出すかどうか、日本の政府が革 新的な規制撤廃のプログラムを支持するかどうか、中国の 政府が経済の不均衡にどう対処するか、その他の新興市場 が新たな世界的経済環境にどう対処するかといった問題 が挙げられる。

以下では、主要な市場における経済的見通しと、それが消 費財関連企業に与えうる影響について見解を述べる。この 見解がベースラインとなるが、指導者や有権者による予期 せぬ政治的決断によって予測がごみクズ同然となる可能 性もあることを承知されたい。ただしその場合も、我々の 予測が有益な指針として機能することを願っている。

ユーロ圏

ユーロ圏は現在、国債危機の結果である長い不況から回 復しつつある。危機以前は、共通通貨の創造によって利率 の調和や欧州全体で比較的低い借入コストが実現されて いた。危機とともにユーロの存続性に対する信頼が失われ

その結果、南欧諸国の借入コストは劇的に増加し、金融市 場の急激な落ちこみを招いた。さらに大半の欧州の国は、

関与する金融市場を財政再建に持っていくべく財政緊縮 政策を採用した。その結果が不況であったが、それが今終 わろうとしている。

回復が生じた理由は、大きく3つ挙げられる。まず、ECBが ユーロ救済のためなら「手段を選ばない」ことを誓約した。

それはつまり、ECBが債務国に対して債務不履行を容赦 しないことを意味する。その結果、債券の利回りは下降し、

借入コストは低下した。さらにこれは、各国政府の国債の 返済能力向上にも役立った。またこれが2つめの要因、す なわち財政政策の緩和にもつながった。現在、欧州におけ る国家財政は数年前に比べるとはるかに良 好な状態に なっている。これは、各国が財政規律に対して(少なくとも 短期的には)もっと肩の力を抜いた姿勢をとることができ ることを意味する。3つめに、ユーロ安が挙げられる。これ に賃金の抑制や生産性の上昇が合わさって、輸出の再成長 が促進された。

2014年のユーロ圏は、穏やかな成長が見込まれる。現在 インフレ率は非常に低いが、ECBがより積極的な金融政 策を選択する場合、これが維持され、彼らに大きな自由が 与えられることになる。ECBは金融市場活動を高めるため に、通常ではない政策手段を採用する可能性を研究してい る。これには、量的緩和(米国や英国、日本で導入されてい る)に類似するものや、銀行に貸し出しを強要するために 手数料を採用するといったものが含まれうる。国レベルで は、雇用コストを削減し、それによって失業を低減するため に労働市場の改革に注力している国もある。

しかしながら、欧州の景気を向上させるうえで最大の障害 は、おそらく統合金融市場の不在だろう。欧州の銀行はお もに各国の政府によって管理されている。銀行に問題が発 生した場合は、その国の政府が銀行の債務を負わされて いる。ギリシャの国債を保有する銀行はヘアカットを受け ており、キプロスの銀行は預金の差し押さえを余儀なくさ れている。欧州全土での銀行預金保険や、欧州全土で銀行 の問題を解決するシステムは存在しない。銀行同盟の設立 を目標とした交渉は行われているが、これまでに合意に達 している輪郭は真の統合金融市場とは程遠いものだ。

世界経済の見通し

(4)

2012年は、欧州の不景気が米国の回復に悪影響を与え た。2013年は、おそらく米国の厳しい財政引き締め政策 によって、経済成長が1.5ポイント低減した。しかし2014 年は、こうした要因は関与してこない。むしろ欧州は回復 期にあり、米国の財政政策は(とくに連邦議会が歳出削減 を縮小する方向で合意したことを考えると)緩やかながら 経済成長に対してプラスの影響をもたらすだろう。

加えて、多くのプラスの要因がある。これには、海外からの 需要の上昇やエネルギー生産に対する投資の増加、世帯 形成への需要の累積、金融市場の機能の改善が挙げられ る。実際に、経済は強化の兆候を見せている。たとえば、消 費者支出の増加(とくに自動車)がそれだ。また、米国の住 宅市場に大規模な回復が起きたことも大きい。住宅の価 格は上昇し、新築や中古の住宅販売が目立ち、居住用財産 の建築が増加した。住宅の強化が反映しているのは、抵当 金利の低さや失業の減少、信用状態の改善、さらには未公 開株式投資会社が抵当流れの財産に多く投資したという 事実だ―この事実は不動産価格の上昇に貢献し、それが 何百万人もの住宅保有者を市場に戻らせた。

一方で、米国連邦準備銀行は量的緩和プログラムの漸減 に取りかかっている。これは資産購入のペース低下を伴う だろう。今後数か月、経済状況によって連邦政府は資産購 入の削減を継続する。同時に彼らは比較的緩やかな貨幣 政策を維持し、これによって事前の計画よりも長期にわ たって歴史的に低い金利が続く。また、彼らは金融市場活 動を高めるための行動を起こすだろう。それでもなお、漸 減によってすでに高い利回りと抵当金利が生み出されて いる。これらは今後も上昇することが予測され、住宅市場 活動に下降圧力をかけると思われる。さらに、連邦政府の 政策はドルの価値に対して上昇圧力を与えている。これが 輸出の競合性にマイナス影響となり得る。短期的には、連 邦政府は通貨価値が圧力下にある新興市場において混乱 を起こしていると言える。

オバマケアの実施が経済に与える影響については、まだ不 確実性が残る。多くの健康な若者が保険に加入しなけれ ば、保険料は上がることになり、おそらく企業に対して逆 効果となるだろう。しかし多くのこうした人々が保険に入 れば、保険料は実際に下がる可能性がある。

英国

2013年の英国は、豊かな世界における落ちこぼれ国から 安定したパフォーマーへと転身した。このことは、文字通り 誰しもを驚かせた。しかしながら、感心する前に我々は英国 のビジョンを大局的に見なければならない。平均的な経済 学者の予測によると、英国は2014年に2.3%の成長が見 込まれている。財政危機の前であれば、取り立てるほどの ことはないにしても標準的な成長率と認識されていただ ろう。しかし経済が縮小した5年間を経た現在なら、2.3%

の成長率は比較的良好に思われる。そしてもし実現すれ ば、2007年以降で最も目覚ましい成長となる。

なぜ景気が回復したのか?これにはいくつかの要因があ る。まず、実際の収入が大幅に減少したにもかかわらず消 費者支出が成長していることが挙げられる。明らかに相当 な需要の累積があり、消費者は貯蓄に手を付け新たな債 務を負う傾向にある。それに加え、賃金が方向転換をし始 めている。2つめに、住宅購買に拍車をかけるための政府に よる計画によって、住宅部門が急騰した。3つめに、金融政 策が拡大しており、中央銀行も量的緩和に取り組んでい る。4つめに、政府が財政面での目標達成に近づくにつれ、

これまで緊縮していた財政政策が緩み始めている。最後 に、ユーロ圏の回復がプラスの影響を与えている。

一方で、企業投資はこれに応じて上昇しているわけではな い。おそらく企業は、まだ景気回復の持続性に確信を抱い ていない。また消費者支出の上昇は、消費者の収入の低さ を考えると持続的なものではない可能性がある。負債ベー スの支出上昇は、過去10年に起きた事例と同様に、確固た る回復の基盤にはなりにくい。英国は輸出を増やす必要が あるだろう。

新興市場 ブラジル

ブラジルにおける経済成長は、大きく減速した。ブラジルは インフレや通貨の下落、社会不安、企業の悲観的ムードに 悩まされている。中央銀行は、インフレや通貨下落への対 策として通貨政策を引き締めた。結果、短期的な見通しは あまり良くない。長期で見ると、良好な人口動態や、エネル ギー生産における劇的増加の可能性、製造部門での外国 からの関心の高まり、サービス輸出の増加など、ブラジル は好ましい要素が多い。一方で、ブラジルは法の制定を必 要とする課題も引き続きたくさん抱えている。たとえば労 働市場に規制が多すぎることや、不適切なインフラ投資、

貿易制限などが挙げられる。

アベノミクスの好成績にもかかわらず、懸念材料もいくつ かある。1つめに、日本は4月に消費税の大幅な増税があ る。これは、安倍首相が就任前からすでに進行中だった政 策であり、将来的な日本の年金制度の持続性を改善する 意図で作られた。しかし増税は消費者の支出にマイナス影 響を与えることが予測される。さらに、上述の個人消費の 跳ね上がりは、部分的には増税前に消費者が大きな買い 物をしたことによるものだった。政府は増税の影響を相殺 する大幅な財政刺激策を導入する予定ではあるものの、4 月以降は経済が大きく鈍化する可能性がある。

2つめに、個人消費が継続的に成長するためには賃金の増 加が必要になる。しかしながら、物価は上昇しているにも かかわらず賃金は上昇していない。これはつまり、消費者 にとっての実質的な購買力の低下を意味する。これに対し 政府は、企業に賃金の増加を促し、ある主要圧力団体はメ ンバー 企 業 に 対して 行 動 を 起 こすよう推 奨してきた。

2014年に賃金が上がるかは不透明だ。停滞を続ける場 合、経済の成長に影響が出るだろう。

3つめに、アベノミクスが長期的なメリットを得るには、抜 本的な経済の規制撤廃が必要である。政府の詳細な意図 はいまだ不明であり、規制撤廃のいくつかの要素について は導入を遅らせている。大改革なくして、アベノミクスは生 産性拡大や経済成長に対する継続的な効果を維持するこ とはできないだろう。

中国

中国経済は大きく鈍化した。同国にとって重要な製造部門 は、海外の低成長や人民元高、賃金の急上昇によって苦し められ、それらはすべて輸出の成長を損なっている。その代 わりに、経済は内需(とくに固定資産への投資)に依存して いる。これは地方自治体や企業、活況な不動産市場に投資 する個人による大規模な借入によって促進されてきた。残 念ながら、負債の膨張(大半は銀行の賃借対照表の外にあ り、いわゆる影の銀行システムに含まれる)は中国経済に 大きなリスクを生み出している。これは、経済成長を脱線さ せるか、あるいはすでに重大な不均衡に苦しんでいる経済 にさらなる問題を与えるおそれがある。固定資産への大規 模な投資は雇用を支えているものの、一方でマイナスの利 益も多々生み出しており、経済の成長力に貢献していない。

政府はおそらく、問題を抱えた金融機関を救済し、融資を 減らさせることになるが、これは経済成長を低下させると 考えられる。深刻な危機を回避する最善の方法は、できる 限り早急に金融システムの抜本的改革を行うことだろう。

このような背景があって、政府は最近、経済を正常化させ るためのさまざまな改革を発表した。

中国政府が提起した改革プログラムは、革新的であると同 時に慎重だ。国営企業(SOE)による競争の激化を提起す る一方で、SOEの民営化には触れていない。また、私有財 産権の保護を提起している一方で、国による土地の所有権 を放棄するつもりはない。民間部門を強化することで経済 力の地方分散化に注力するものの、(地方自治体や地域の 政府を犠牲にしてまでも)中央政府にはより強大な力を採 り入れようとしている。つまり、寄せ集め的な改革だ。

このような曖昧さは見られるものの、政府の総体的な達成 目標は明確だ。改革が成功裏に導入されれば、経済成長が 促進され、金融リスクが低減し、固定資産への投資から離 れた成長シフトが可能になるはずだ。加えて、これらの改 革はさまざまな社会問題にも対処する。所得均等の促進 を通じた公正さの拡大や、より強力で腐敗のない司法につ ながるだろう。また、予測可能性が高まることによって経 済や社会が安定する方向へと導くという意味で、これらの 改革はある意味で保守的なものだ。金融市場やSOEの財 政の透明性を高め、SOEを厳格に管理し、気まぐれな地方 公務員による決定への依存を減らし、資源の分配を決定 する市場原理への依存性を高めることが必要だ。

改革の潜在的効果は、導入までのスピードや、どの程度の 導入を行うのかによる。多くの案件は、比較的長期でなけ れば実を結ばないだろう。しかし金融システムの改革につ いては、より早期の段階で金融市場の機能に影響を与える と考えられる。銀行システムに見られる諸々の問題を考え ると、なるべく早急に金融サービス業界の効率性を改善す ることが望ましい。

米国

不況脱出後の米国経済は、西欧や日本よりも速いスピード で成長している。にもかかわらず、米国内には成長ペースに 関して大きな落胆があり、おもに失業率の高さがその原因 となっている。2014年に入ってからの米国経済は、長く続 いた伸び悩みから順調に回復しつつある。過去2年間に は、成長を抑制する要素がいくつかあった。

(5)

「来年は非常に多くの消費者が支出を減らそうと計画しているものの、消費を犠牲に しようとしているわけではない。ディスカウントショップやプライベートブランドの活 用などを通じて、支出を減らす新たなルートを開拓している。」

ユーロモニター・インターナショナル、2013年度グローバル消費者トレンド調査より 3年前に我々が「コンシューマー2020」で書いた主なトレ

ンドは、グローバル化や経済(景気)、健康、サステナビリ ティ、テクノロジーだったが、これらは現在も少なくとも同 程度には重要だ。異なるのは、デジタル革命が消費者にも たらしているもののレベルである。当時は目新しかった各 種のテクノロジーも現在は定着し、消費者にかつてないほ どの力を与えるものとして収束している。その結果、今日の 消費財関連企業はいささか混乱した状況にあり、事業戦 略の再吟味を迫られている。つまり、テクノロジーの発展 や近い将来に起こりうるテクノロジーの混乱に対応でき るよう、企業は革新的かつ機敏な戦略を立てる必要があ る。以下に述べるのは、企業がこうしたネット消費者の進化 によってどのような影響を受けるかについての短期的な見 解である。

真にグローバル化した消費者たち

消費者は今や世界中の人々と交流し、グローバルな市場で ショッピングを行い、ほとんど世界のどこからでも情報を 入手することができ、グローバルな旅行を楽しんでいる1。 困難な経済的環境にもかかわらず、国際線を利用した旅行 の需要は2013年は5.4%上昇し、2014年には30億人 以上の国際線・国内線旅行者が見込まれている2

新市場への参入に熟練している消費財企業もあるが、世界 的および地域的ニーズに応える商品を開発し、グローバル な消費者にマーケティングを行うという課題が残ってい る。企業には、グローバルな消費者ニーズとローカルな消 費者ニーズ間のバランス確保や、収益性のある管理と拡大 の実践、グローバルなポートフォリオを最適化する売買が 求められている。同時に、あらゆる経路で世界のどこから の需要にも一貫して応えるために必要なインフラや管理 体制、透明性、柔軟性を伴った末端間のグローバル供給 チェーンを開発する必要もあるだろう。

彼らはまた、新しいアプローチを採用したり、より賢明な 方法によって競合すること(物理的にではなくバーチャル 上で新市場に参入する等)を学んでいる。フォレスター社に よると、2014年には「さらに多くのブランドが伝統的な小 売方法を、世界中の直販サイトを通じた販売で補完するこ とに よって、グ ロ ーバ ルな オン ライン 購 買 者 に 対して ディープなブランド体験や新たな購買機会を提供すると 考えられる。

ネット販売を行っているブランドは、現地に代理店のない市 場の消費者にも手が届くよう、海外発送にも対応するケー スが増えるだろう。また、グローバルな市場はオーディエン スも多く、現地の消費者ニーズを知ることができるため、各 ブランドはグローバル市場に店舗をオープンするだろう3。」

少ない予算でより多くを求める消費者たち

消費者は、支出している一方で節約もしている。不況脱出 後の先進国市場における消費者は、購買行動を順応させ、

キャンペーンやディスカウント探しや、まとめ買い、プライ ベートブランドの購入、予算組み、ショッピング旅行の計 画、販 路をまたいだ購買、ディスカントショップやアウト レットの活用、グループ購入への参加といった方法を学ん でいる。

かつてはお金を使い放題だった新興市場の消費者も、発 展途上市場における長引く景気後退が原因で、現在は価 格に敏感になり、より賢い買い物をするようになってきて いる。消費財関連企業も、彼らに増益を依存することはで きなくなるだろう。たとえば、新興市場の消費者は今後さ らに贅沢な消費を切望するため、高級品の売上は増加が 期待される一方で、見栄を張ることは「センスの悪い」行為 になっていることから、消費者はさりげなく目立たない消 費に移行している。また消費者は、「手ごろな贅沢」を求め ており、アウトレットや中古ショップでの買い物や、コー ヒーやシャンプーといった日用品のグルメ版や高級版の購 入を行っている4

消費者はまた、商品やサービス以上のもの、つまり買い物 や購入のプロセスでのユニークかつ楽しい体験を求めて おり、そのためには多少の支出が増えることもやぶさかで はない。たとえば、Adidasは中国においてハイコンセプト でインタラクティブな小売店舗をオープンする計画を発表 した。「この店舗はアリーナを模したもので、アスリートが スポーツイベントの前にやるように、お客様は観衆に応援 されながら通路の中を歩いていく体験ができる5。」

インド

ここ数年インドは驚異的な成長を続けてきたが、それは持 続的なものではなかった。インフレを引き起こす障害へと つながったのだ。それに加え、この成長は持続するはずの ない対外債務の累積によって経済的に支えられてきた。中 央銀行は、インフレの鎮静化と通貨安定を図って通貨政 策を大幅に緊縮した。一方で政府は、生産性の向上や投資 の増加、成長ペースの加速が期待できる改革の多くを実施 しなかった。むしろ、こうした変革は2014年に行われる次 の選挙を待つべきだ。つまり、現在のインドは低成長の軌 道にあると言えるだろう。

ロシア

ロシア経済は、過去2年間で大幅に遅延した。この20年、

ロシアの景気はおおむね石油価格と連動してきた。しかし ながら、この相関性は変わった。現在、石油価格は比較的高 いものの、成長は停滞している。ロシアが根本的な脆弱性 を抱えているのは明白だ。エネルギーへの不十分な投資 を続けてきた結果、生産が低下した。非エネルギーの産業 への投資は非常に軽度だ。人口は減少しており、それによ る労働者不足が賃金の上昇や失業率の低下につながって いる。消費者支出は多いものの負債は増加傾向にあり、成 長の可能性を阻害している。インフレは引き続き非常に高 く、それゆえ中央銀行は成長停滞にもかかわらず政策の緩 和を行っていない。さらにロシアは、中 核 であるエネル ギー輸出ベースにおいて競争の激化が起こっている。した がってロシア経済の見通しは、良くても小幅なものだろう。

その他の市場

多くの新興市場では、昨年は成長が鈍化した。それ以前に は、いくつかの要因によって推進された非常に急速な成長 期があった。その要因とは、先進国市場におけるローリター ンによって促進されたインバウンドの投資の多さや、対外 負債の過度な累積(とくに借入コストの安さによるもの)、

中国の莫大な投資支出によって促進されたコモディティ ブームなどだ。しかし現在は状況が変わった。これ以上の 負債累積は非現実的だ。加えて、債券利回りが米国で上昇 した今、資本の流れは反転している。またこれによって、新 興市場の通貨の価値が下がり、中央銀行は為替レート安 定化のための通貨政策引き締めを余儀なくされた。このよ うな事実は成長に対し大きな打撃を与える。さらに、近年 の極端な急成長によって、インフレにつながる障害が起 こった。これもまた、中央銀行による引き締めの理由となっ ている。またコモディティブームが終わったことで、商品の 輸出国の成長は停滞している。

今後の新興市場は1〜2年の不調が続くことが予想され、

不均衡が緩むこともないだろう。しかしながら長期的に は、見通しは引き続き前向きだ。むしろ、あまり負債を累積 していない新興市場にとっては、展望は非常に良好と言え る。期待の持てる市場としては、コロンビアやメキシコ、

フィリピン、サハラ以南のアフリカ地域などが挙げられる。

これらの国では、統治力の向上や競合性のある産業、好ま しい人口動態が見られる。今後10年で、安定した伸びを見 せるだろう。

消費財業界のグローバルトレンド  2014

進化するネット消費者

(6)

「現代の市場において、責任能力を持ち、真の競合者であ るのは消費者だ。彼らはこれまでになく力があり、それゆ えに私たちは今、彼らの需要の世界へとシフトしている。」

Frito-Lay上級副社長 兼 最高マーケティング責任者 Anindita Mukherjee18

また新興市場の消費者のあいだでも、「エコ」への関心が 高まっている17

最近オープンしたTOMS Marketplace(http://www.

toms.com/marketplace)は、消費者に消費に対する責 任感を意識させ、「与える」というメッセージを伝えること に重点を置いた革新的なチャンネル作りを行っているが、

ここでの消費財関連企業の多さを見ていただきたい。消 費財関連企業は社会の役に立つことを行い、それを伝える ための機会がたくさんある。しかしながら、この努力は誠 実なものでなければならない。なぜなら、消費者には不誠 実さを見抜く力があり、不誠実に対して反感を抱くから だ。また、企業がしていることと、企業がしていると消費者 が考えていることのあいだにはギャップがある。したがっ て、企業が有益な活動を行うときは、消費者がきちんと理 解できるように伝えることが肝要である。

消費財関連企業にとってサステナビリティプログラムの実践 は、収益成長率やブランド価値の向上、またリスクや運営コ ストの削減といった事業機会が確認されている。たとえば、

サステナビリティの数量的な実績をソーシャルメディアやデ ジタルのプラットフォームを通じて「向上心のある消費者」や その他の利害関係者(投資家など)に伝える能力は、売上や ブランド価値の増加、「事業運営のための社会的ライセン ス」を推進しうる。「事業運営のための社会的ライセンス」は、

新興市場においてとくに価値が高い。ソーシャルメディアの 力は、「エコ」な企業と「エコな消費者」間に見られるこのダイ レクトなつながりを加速している。物価が上昇中かつ不安定 な世界において消費財関連企業にとってのもう一つのメ リットは、収益成長率を資源利用(水、エネルギー、資材等)

から切り離すことでリスクを軽減でき、さらにはこうした資源 の使用を減らすことで運営コストを削減できることだ。

「エコな活動」やサステナビリティによる内在的な事業価 値を求める消費者と利害関係者の結束は、誰にとっても Win-Winとなる結果を創出している。

増え続ける賢いネット消費者は影響力が大きい

現代の消費者は世界中の人々とつながっていて、自らのメ ディアを制作・配信したり、商品やサービス、体験、人、企業 に関して瞬時に肯定的あるいは否定的なメッセージを発 信したり、コミュニティを作ったりすることができる。皆イ ンターネットが大好きで、レビューを読んだり書いたり、あ るいは企業の広告に関する他人の意見から大いに影響を 受けている。

2014年、より多くの消費者がネットにつながり、その媒体は モバイル機器であるケースがますます増えてくる。世界のオ ンライン人口の割合はここ2年で30%から40%に上昇し た。北米と西欧に限れば、どの国もゆうに80%を超えるだろ

19、20、21。2014年は、消費者はスマートフォンやタブレット

などのガジェット類に1.055兆ドルを支出するだろう22。ス マートフォンは世界的に12億台が出荷されると予想され23、 デロイトではスマートグラスやスマートフィットネスバンド、ス マートウォッチといった着用型のコンピュータ機器が30億ド ルを生み出すと予測している24。モバイルの加入者数は、1人 の消費者が複数の加入を行うことから世界人口を超えると予 測される。モバイルの普及率は、アジアでは90%、米国では 117%である。ラテンアメリカは平均的なモバイル普及率で 世界の最先端におり、アフリカ大陸の全電話回線の95%は モバイルネットワークである25。加えて、mコマースからの売 上は世界中のほぼすべての市場で成長している。「フォレス ターが分析した国では、eコマースからの総売上高の割合と してモバイルが縮小している国はない26。」

その結果、より多くの消費財関連企業が、ソーシャルショッ ピングコミュニティなどのオンラインを用いて意見やトレン ドの調査をし、ソーシャルメディアを通じて商品を販売する ようになっている。オンライン販売によって彼らは、従来のイ ベントに比べて幅広い消費者により迅速にリーチし、ほとん ど瞬間的とも言えるフィードバックが受け取れるようになり、

またオンラインでの先行販売やモバイルの活用も行ってい

27、28。Unileverは、店頭でよく見られる無料の商品サン

プルというアイデアを採用し、小売業者と共同で顧客に発 送される荷物の中にヘアケア商品のサンプルを入れている が、その顧客が購入した商品に基づいて特定のサンプル品 を決定することで、従来のランダムなサンプル配布よりも高 い投資利益率を狙っている29。Kelloggのシリアルブランド

「Special K」では、新しい70カロリーのスナックバーの宣 伝でモバイル広告を利用し、クリックで地図に誘導するシス テムを使って顧客を小売店に呼び込んでいる。シカゴにある Iris MobileのCezar Kolodziej最高経営責任者/社長 は、「スマートフォン利用者の78%は、場所をベースにした 広告があれば購入を検討する」と言う30

企業はまた、消費者にパーツの色を選んだり商品を自身でデ ザインさせるなど、全面的なカスタマイズを可能にしており、

これによって次の新製品開発に向けたクラウドソースを行っ ている。Lay s(PepsiCoのFrito-Lay部門が出しているブ ランドの一つ)は、2012年に実施して成功した「Do Us A  Flavor」コンテストを再び行った。これは消費者が3種類のポ テトチップスの形状から好きなものを選んで、専用サイトや Twitter、YouTube、Facebook、携帯メールを通じてフ レーバーのアイデアを応募し賞を狙うものだ6

消費者が少ない予算でより多くを求め、消費者支出の停滞 が予測される2014年は、誰もが消費者の限られた予算を 巡って争っている。消費財関連企業はさらなる努力と革新 性、また神様である顧客を満足させるための新しい商品や サービス/体験による新境地の開拓が求められる。した がって企業は、革新性のある人材を雇用し、革新と機動性 を促進する企業文化や組織、インセンティブ構造を整備し ていく必要があるだろう。

健康が主流に。デジタル化も

消費者は従来よりも健康の重要性に気づき、知識を身に付け ているだけでなく、実際に行動を起こしている。正しい食事を し、より健康的なライフスタイルを導入するようになった。ま た食品やパーソナルケア商品はオーガニックで加工が少な く、より健康効果の高いものを選んでいる。データモニター の「2013 Global Consumer Survey(2013年度世界の 消費者調査)」によると、世界中の消費者の59%ができる限 り少ない原材料で構成された食品や飲料に魅力を感じてい るという7。「Kraftは、新商品を通じて新鮮でシンプルな素材 を使った商品を求める消費者需要に資本投下を行おうと考え ている8。」同社は、新商品開発やブランド革新計画に新鮮か つシンプルというコンセプトを導入予定だ。「Hain Celestial は2014年に100の新商品を予定しているが、その多くは オーガニックや非遺伝子組み換えの原材料を重視している。

これらが、同社の2,000種のオーガニック認定商品と500 種以上の非遺伝子組み換え実証済み商品のリストに加わ る9。」データモニターが行った同調査によると、世界中の消 費者の55%はなるべく多く野菜を食べるようにしているとい う。この傾向は、ケールのような流行食品や、野菜入り飲料の 豊富さ、ジューサーの売上増加、野菜やフルーツなどの体に 良い食材を使った新商品発売などとも比例している10

ユーロモニター・インターナショナルの「2013 Global  Consumer Trends Survey(2013年度グローバルな消 費者トレンド調査)」では、消費者の大多数がなんらかの健康 上のメリットがある食品(栄養成分の追加や低脂肪など)によ り高い金額を払うことに前向きであることが分かった11

消費財関連企業は、商品の改良や新バージョンの発売を行う ことで、引き続き低脂肪や低糖、減塩に取り組んでいる。機能 性食品および飲料の世界市場は、2015年までには1,300 億ドルに達することが見込まれている12。消費財や健康科学 関連の企業は、この動向に積極的に投資している。たとえば、

プロバイオティクスを含む初のコーヒーポッド製品が今年発 売された。(プロバイオティクスを生産するバイオ企業であ る)「Ganedenのマイケル・ブッシュ上級副社長によると、

コーヒーは毎日飲むものなので、食生活にプロバイオティク スを採り入れるにあたって習慣を変える必要がなく、プロバイ オティクスを加える食品として理想的だ13。」

消費者はまた、デジタルを利用した健康管理にも積極的 だ。情報をオンラインで検索し、デジタル機器やスマート フォンのアプリを使ってコンディションや健康状態を記録 管理し、メールで医療サービス機関とのコミュニケーショ ンを行っている。本稿執筆時点で、iTunesに200以上の

「ヘルス&フィットネス」アプリが存在する。また2014年 は、スマートフィットネスバンドが世界で400万個以上売 れ、5.5億ドルの収益を生み出すことが見込まれている14

健康分野は、消費財関連企業の役員が揃う会議においても最 重要議題になっている。最近のConsumer Goods Forum

(CGF)のレポートでは、企業は「健康に関する決議」について の方針と活性化プログラムを打ち立てた(1.商品およびサー ビスのアクセス性と安定供給、2.商品の情報と責任ある販 売、3.健康的な食生活とライフスタイルの普及と教育)15。し かしながら、世界中の消費者にとって健康というジャンルには 永遠に改善すべき機会がある。消費財関連企業にとっての課 題は、どこで勝負し、どうやって勝利し、どのようにインパクト を与えるかになるだろう。企業は健康に関して、それぞれの能 力やコンセプトに見合った明確なビジョンや戦略を持つ必要 がある。また、小売店から生活科学関連企業、医療サービス機 関、市民団体まで、他の機関との共同も必要になる。

責任ある買い物や行動を望む消費者の増加

ある最近のグローバルな調査では、世界の消費者の3分の1

(25億人)が「向上心のある消費者」であると認識され、その 理由は78%が買い物が好きであること、92%が責任ある消 費の願望、58%が社会の利益を最優先した行動を行う企業 への信頼だった16。またユーロモニターの消費者調査による と、オンラインの消費者のうち3分の2は「日々の行動を通じ て環境に良い影響を与えようとしており、半数近くが気候の 変動に不安を抱いていると答えた」そうだ。

(7)

「企業が生み出す有益な発明の数は、1週間に、あるいは 1か月間、1年間に行うことのできる実験の数に直接的に 比例する。実験の回数を増やせば、失敗の数も増える。長 期的には、誤解されることもいとわない姿勢が必要だ。」

ジェフ・ベゾス

世界経済の新たな混乱により、消費財への需要が弱まった

2012

年 2012年は、世界的に景 気が再び 衰 退の兆候を見せた。欧 州の大半は 2011年の不景気へと立ち返り、年を越えても引き続き不況に見舞われる ことになった。2012年の上半期は、ユーロ圏破綻というリスクの認識に 伴って大規模な金融不安があった。欧州の危機は、世界の主要経済大国の 多くにマイナス影響を与えた。中国では、輸入品に対する欧州の需要が減 退したことで、2012年の成長が大幅に鈍化した。日本では、2011年3月 の震災から最初は力強く復興していたものの、経済成長は乏しかった。米 国は、2012年の最初は少し勢いがあったが、雇用や収入の増加が弱く、消 費者の支出は制限された。

世界経済の新たな混乱は、消費財関連企業の成長見込みに大きな被害を 与えた。成熟した市場と輸出依存の経済国の両方において、2012年の消 費財業界の全体的な成長率は2010年および2011年に比べて大幅に鈍 化した。世界の消費財関連企業大手250社における為替調整後の売上高 成長率の平均は、2010年の8.4%、2011年の7.0%から、2012年には 5.1%に冷えこんだ。上位250社のうち78%(195社)は2012年に売上 が増加したが、成長率の減速は広がり、60%以上(上位250社のうち154 社)が2011年に比べ2012年の成長遅滞を報告している。

一方で、原材料の価格上昇にもかかわらず収益性は強まった。純利益を公 開した224社のうち、損失が出たのはわずか19社だった。これら企業の平 均純利益率は、2011年の6.5%から上昇の8.2%と堅調で、大不況後の 回復が業界に起こった2010年の8.5%に迫った。これら企業(224社)の うち3分の2近く(142社)が、2012年は純利益率で改善を見せた。資産 回転率は0.9回と安定し、その結果、純資産利益率の平均は2011年の 6.0%に対し2012年は7.3%だった。

世界の消費財大手上位250社は2012年、3兆1,000億ドルを超える売 上を生み出した。その結果、企業規模は平均で125億ドルとなった。消費財 産業の世界的企業上位250社に参入するための閾値は、2012年は30億 ドルであった。

さらに、テクノロジーが発達した今日の世界では、消費者 は商品やサービス、体験を「唯一のもの」にするカスタマイ ズやオーダーメイドに慣れ親しんでいる。Frito-Layの上級 副社長 兼 最高マーケティング責任者であるAnindita  Mukherjeeは、「私たちは1対1マーケティングの時代に突 入しつつある。マスマーケティングの時代は影を薄め、単に 商品を外に出すだけの時代もまた終わろうとしている」と 話す31。1対1ということは、利用可能なデータを認識・収 集・理解し、それを消費者へのリーチ方法を特定するため の材料として使うインフラや才能があることを意味する。

しかしながら企業は、消費者の信用を損なわないよう、こ うしたデータの取り扱いには慎重にならざるを得ない。消 費者は、プライバシーが侵害されたと感じることに抵抗が あるからだ。「世界の消費者の82%が、企業は消費者に関 する情報を集めすぎていると思っている。32

常にネットにつながっている消費者を引きこむには、ブラ ンドへの投資から消費者への投資にシフトする必要があ る。消費者への投資は体験のカスタマイズや、迅速かつ洗 練された運営モデルを通じて行う。組織は、あらゆる経路 を通じたシームレスな消費者体験を実現し、供給チェーン や需要のプランニング工程を推し進めることでコンスタ ントかつ高品質な消費者体験を提供する必要がある。

さらに消費財関連企業は今後、人工知能やロボット工学の ようなテクノロジー(すでに大半の作業を人間よりも優秀 にこなしており、10年後にはサービス業務の半分以上を 廃絶する可能性がある)や、ユビキタスセンサー(いつ、ど こで、どんなことでも知ることができ、プライバシーを脅 かす)、3Dプリント(地理的に独立した製造を可能にし、個 人が独自の商品を発明したり生産したりできるようにな る)が与えうる破壊的影響について考慮する必要があるだ ろう33。企業は、このことが自身の商品やサービスに対して どういった意味を持つのか、消費者とどう交流するのか、

また組織としてこのような発展に対応するためにどう変化 しないといけないのかを考えなければならない。

進化するネット消費者へのサービス提供

進化するネット消費者にサービスを提供するには、消費財 関連企業は才能と革新性、信頼に重点を置く必要が出てく るだろう。企業は、適切なスキルと才能を持った適材を持 つ必要がある。たとえば、データに強く優れた分析力を持 ち、洞察を深めて適切な決定ができる人材が必要だ。また、

革新的で技術力に長け、テクノロジーやデジタル革命の急 速なペースに遅れをとらない人材も必要だろう34。このよ うな人材は、どこにでもいるものではない。したがって企 業は、こうした人々を魅了・保持し、成長させるプログラム や企業文化、労働環境を整備しなければならない。これま で雇用してきた人材とは異なることを認識しておく必要が ある。

また革新性にも、これまでとは異なるアプローチで取り組 まなければならない。緩やかな商品開発サイクルは過ぎし 日のものだ。企業は今後、急速な革新を行える組織になる 必要があるだろう。中にはすでに、革新を行うことに特化 した独立チームを持つ企業もある。成功するためには、継 続的かつ迅速な実験と失敗を何度も繰り返すことに慣れ る必要があるだろう。

最後に、企業は消費者からの信頼を当たり前のものと認識 したり、信頼を運に任せたりしてはならない。たとえば、

データの安全保護の検討や投資、責任ある利用を怠ると、

企業は顧客や収益を失い、これまで資金を投入して築き上 げてきた信頼あるブランドを損なうリスクを負うことにな る。メディアのグローバル化に伴って、企業はこれまでにな いほど消費者の信用を失うリスクを大きく背負っている。

1つの出来事や言葉でも、瞬時に世界中に広がってしまえ ば一貫の終わりだ。ブランド展開や品質、プライバシーな ど、企業が行うことはすべて消費者の信頼を確保するもの でなければならない。

消費財産業の世界的企業 上位 250 社の動き

上位

250

社に関する主要データ(

2012

年)

3兆1,300億ドル ̶上位250社の売上高の合計(米ドル) 

125億ドル ̶ 消費財関連企業上位250社の平均規模 30億ドル ̶上位250社に入るために必要な最低限の売上高 5.1% ̶ 前年比の売上高成長率の250社平均

8.2% ̶ 純利益率の250社平均 0.9回 ̶ 資産回転率の250社平均 7.3% ̶ 総資産利益率の250社平均

28.8% ̶上位10社の売上高が、上位250社の売上高に占める 割合

5.7% ̶ 2007-2012年における年平均の売上高成長率の 250社平均

(8)

消費財関連企業上位250社 消費財関連企業上位250社 2012

年度の 売上高 順位

会社の名称 本拠国 地域 主要な製品セクター

ドル)

2012年度の 売上高

(100万米

2012年度の 売上高 成長率

2012年度の 純利益率

2007-2012年 における 年平均の売上高 成長率1

2012 年度の 売上高 順位

会社の名称 本拠国 地域 主要な製品セクター

ドル)

2012年度の 売上高

(100万米

2012年度の 売上高 成長率

2012年度の 純利益率

2007-2012年 における 年平均の売上高 成長率1

1年平均成長率 n/a=入手不可

ne= 存在せず(合併または事業分割により設立)

e= 見通し

* 当該企業が報告した売上高から物品税が除外されているか判断できない 出典:各企業が公表したデータ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

16 17 18 19 20 21

22 23 24 25 26 27 28

Samsung Electronics Co., Ltd.

Apple Inc.

Nestlé S.A.

Panasonic Corporation The Procter & Gamble Company Sony Corporation

Unilever Group PepsiCo, Inc.

The Coca-Cola Company LG Electronics Inc.

Anheuser-Busch InBev SA/NV JBS S.A.

Nokia Corporation Bridgestone Corporation Mondelēz International, Inc.

(旧Kraft Foods Inc.)  Lenovo Group Limited Tyson Foods, Inc.

Mars, Incorporated

Philip Morris International Inc.

L'Oréal S.A.

Compagnie Générale des Établissements Michelin S.C.A.

Danone

Haier Group Company Japan Tobacco Inc.

NIKE, Inc.

British American Tobacco plc Heineken N.V.

Kirin Holdings Company, Limited 韓国 米国 スイス 日本 米国 日本

オランダ及び英国 米国

米国 韓国 ベルギー  ブラジル フィンランド 日本 米国 

香港 米国 米国 米国 フランス フランス

フランス 中国 日本 米国 英国 オランダ 日本

アジア・太平洋 北米 欧州 アジア・太平洋 北米 アジア・太平洋 欧州 北米 北米 アジア・太平洋 欧州 ラテンアメリカ 欧州 アジア・太平洋 北米

アジア・太平洋 北米 北米 北米 欧州 欧州

欧州 アジア・太平洋 アジア・太平洋 北米 欧州 欧州 アジア・太平洋

エレクトロニクス製品 エレクトロニクス製品 食品・飲料・タバコ エレクトロニクス製品 パーソナルケア・家庭用品 エレクトロニクス製品 パーソナルケア・家庭用品 食品・飲料・タバコ  食品・飲料・タバコ エレクトロニクス製品 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ エレクトロニクス製品 タイヤ

食品・飲料・タバコ

エレクトロニクス製品 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ パーソナルケア・家庭用品 タイヤ

食品・飲料・タバコ 家庭用家具・設備 食品・飲料・タバコ  ファッションアイテム  食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ

178,982 156,508 98,372 88,367 84,167 68,864 66,007 65,492 48,017 45,354 39,758 38,969 38,809 38,118 35,015

33,873 33,278 33,000e 31,377 28,889 27,617

26,839 25,876 25,654 25,313 24,078 23,642 23,458

21.9%

44.6%

10.2%

-6.9%

0.6%

3.0%

10.5%

-1.5%

3.2%

-6.1%

1.8%

22.5%

-21.9%

0.5%

-35.6%

14.5%

3.1%

0.0%

0.9%

10.4%

3.6%

8.0%

8.1%

4.2%

4.9%

-1.4%

7.4%

7.0%

11.9%

26.7%

12.0%

-10.6%

13.5%

1.5%

9.6%

9.5%

18.9%

0.2%

23.7%

1.0%

-12.6%

5.9%

8.7%

1.9%

1.7%

n/a 29.2%

12.8%

7.3%

8.6%

5.5%

16.6%

9.8%

27.1%

15.6%

3.9%

15.3%

44.8%

n/a -4.2%

0.2%

-7.0%

5.0%

10.7%

10.7%

-0.9%

15.0%

39.9%

-10.0%

-2.2%

-1.2%

15.7%

4.3%

8.4%

ne 5.7%

4.9%

10.3%

6.7%

n/a 6.3%

8.7%

7.9%

6.0%

29 30 31

Suntory Holdings Limited Imperial Tobacco Group PLC Henkel AG & Co. KGaA

日本 英国 ドイツ

アジア・太平洋 欧州 欧州

食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ パーソナルケア・家庭用品

23,219 23,135 21,233

2.7%

-3.4%

5.8%

2.4%

4.8%

9.4%

4.4%

34.9%

4.8%

1年平均成長率 n/a=入手不可

ne= 存在せず(合併または事業分割により設立)

e= 見通し

* 当該企業が報告した売上高から物品税が除外されているか判断できない 出典:各企業が公表したデータ

32 33

34 35 36 37 38

39

40 41 42 43 44

45 46 47 48

49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59

Kimberly-Clark Corporation The Goodyear Tire &

Rubber Company Groupe Lactalis adidas AG

Kraft Foods Group, Inc.

Whirlpool Corporation Fomento Económico Mexicano, S.A.B. de C.V. (FEMSA) Cargill Meat Solutions Corporation Diageo plc General Mills, Inc.

Altria Group, Inc.

SABMiller plc

LIXIL Group Corporation

(旧JS Group Corporation)

Colgate-Palmolive Company Kao Corporation

AB Electrolux

Gree Electric Appliances, Inc. of Zhuhai

ConAgra Foods, Inc.

ASUSTeK Computer Inc.

Reckitt Benckiser Group plc BRF - Brasil Foods S.A.

Acer Incorporated Asahi Group Holdings, Ltd.

Kellogg Company Ajinomoto Co., Inc.

Dr. August Oetker KG Uni-President Enterprises Corp.

Meiji Holdings Co., Ltd.

米国 米国

フランス ドイツ 米国 米国 メキシコ

米国

英国 米国 米国 英国 日本

米国 日本 スウェーデン 中国

米国 台湾 英国 ブラジル 台湾 日本 米国 日本 ドイツ 台湾 日本

北米 北米

欧州 欧州 北米 北米 ラテンアメリカ

北米

欧州 北米 北米 欧州 アジア・太平洋

北米 アジア・太平洋 欧州 アジア・太平洋

北米 アジア・太平洋 欧州 ラテンアメリカ アジア・太平洋 アジア・太平洋 北米 アジア・太平洋 欧州 アジア・太平洋 アジア・太平洋

パーソナルケア・家庭用品 タイヤ

食品・飲料・タバコ ファッションアイテム 食品・飲料・タバコ 家庭用家具・設備 食品・飲料・タバコ

食品・飲料・タバコ

食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 住宅改装用品

パーソナルケア・家庭用品 パーソナルケア・家庭用品 家庭用家具・設備 家庭用家具・設備

食品・飲料・タバコ エレクトロニクス製品 パーソナルケア・家庭用品 食品・飲料・タバコ エレクトロニクス製品 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ  食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ 食品・飲料・タバコ

21,063 20,992

20,191 19,141 18,339 18,143 18,037

18,000e

17,940 17,774 17,500 17,458 17,380

17,085 16,268e 16,257 15,757

15,491 15,215 15,165 14,681 14,565 14,505 14,197 14,187 14,072*

13,850 13,631

1.0%

-7.8%

4.7%

11.7%

-1.7%

-2.8%

17.4%

n/a

6.2%

6.7%

5.3%

4.5%

11.2%

2.1%

6.7%

8.3%

19.4%

16.8%

16.8%

0.9%

10.9%

-9.6%

10.5%

7.6%

-2.1%

9.3%

9.8%

1.6%

8.7%

1.1%

n/a 3.5%

9.0%

2.3%

11.8%

n/a

22.7%

10.6%

23.9%

20.1%

1.5%

15.4%

4.4%

2.4%

7.4%

5.1%

5.0%

19.2%

2.9%

-0.7%

5.0%

6.8%

4.7%

n/a 4.3%

1.5%

2.9%

1.3%

10.3%

7.6%

n/a -1.3%

10.0%

n/a

7.2%

5.4%

-14.4%

0.5%

5.4%

4.4%

-0.3%

1.0%

21.2%

5.9%

-9.3%

12.7%

33.9%

-1.5%

3.6%

3.8%

-0.7%

7.1%

7.9%

ne

60 Royal FrieslandCampina N.V. オランダ 欧州 食品・飲料・タバコ 13,258 7.1% 2.7% ne

参照

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