3.2 スイッチングの方法
電源の回路図表記
2
シミュレーション しない場合は、
省略してよい。
電源ラインの記号
GNDラインの記号 ポイント:
• 実際にはVCCとGND配線が必要だが、線を 描かないですっきりした表記にする
• 複数の電源電圧を使用する回路もあるので、
電源ラインにはV などのラベルを付ける
LED のスイッチング回路
MCU: MicrocontrollerまたはMicro Control Unit (CPU, メモリ, タイマ, IOな どを1チップに集積化したもの。)
I
CI
BLED の明るさを MCU (マイコン)で制御する回路。
1 0
LEDに流す電流ではなく、
Duty cycle(1/0の時間比)
で明るさを制御。(※)
1 0 1 0 出力波形
Vcc
R1でIBを調整。
注) IOに十分な電流を流せるタイプの MCUの場合は、トランジスタは不要。
LED スイッチング回路の設計
電源電圧 VCC = 3.3V (赤/黄/緑)
LED1順方向電流 IF = 15mA を流すように設計してみよう。
トランジスタの特性は、データシートま たは特性シミュレーションで調べておく。
VBE (IB) ≒ 0.73V(@IC = 15mA) hFE = 302 (@ IC = 15mA)
2SC1815Y
IO PORTが論理値’1’の場合、VOUT = 3.3Vが出力される。このとき、IF = 15mA となるように、R1を決定する。
VOUT
I
B𝑉 𝑉 R1 · 𝐼
𝐼 𝐼 ℎ · 𝐼
R1/ ≅ 51k
npn トランジスタと pnp トランジスタ
IO PORT MCU
R1
LED1 Vcc Vcc
IO PORT MCU
R1 LED1
Vcc Vcc
pnp
npn
VBE > 0.7V でON VBE
VBE < - 0.7V でON
論理値 1 を出力 → ON 論理値 0 を出力 → OFF 論理値 1 を出力 → OFF
論理値 0 を出力 → ON
論理値とON/OFFの関係が逆になるので、プログラムの開発時に注意が必要。
C
C B
B E
E
7セグメント LED
a b
c d e
f g
dp dp
a b c d e f g
7seg common dp common
dp common 7seg common
dp a b c d e f g
内部回路 (Anode Common)
一桁の数字とアルファベットを表示する。
7seg commonがプラス電圧、a ~ g, dpが Ground(GND)のとき、対応するLEDの セグメントが発光する。発光には、1セグ メント当たり10mA程度の電流が必要。
Anode commonタイプ(pnp用)と
Cathode commonタイプ(npn用)がある。
7セグメントデコーダ
表示文字 a b c d e f g 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 2 0 0 1 0 0 1 0 3 0 0 0 0 1 1 0 4 1 0 0 1 1 0 0 5 0 1 0 0 1 0 0 6 0 1 0 0 0 0 0 7 0 0 0 1 1 1 1 8 0 0 0 0 0 0 0 9 0 0 0 0 1 0 0 A 0 0 0 1 0 0 0 B 1 1 0 0 0 0 0 C 1 1 1 0 0 1 0 D 1 0 0 0 0 1 0 E 0 1 1 0 0 0 0 F 0 1 1 1 0 0 0
LED配置 7セグメントデコーダの真理値表(※)
このままでは、使いにくいので、2進数を LEDの発光パターンに変換するロジック(7 セグメントデコーダ)と接続して使用する。
※ 論理値'0'に対応するLEDが発光。
7 セグメント LED の制御回路
a ~ dp の論理値='0'のとき発光。
電流IFの制限。ただし、大きくし過ぎると、トランジスタ が飽和領域に入る(次スライド)。
7セグメント デコーダ
※ sa = '0' のとき LED L1 は点灯可能。
sa = '1' のとき LED L1 は全て消灯。
sa = “Low” のときトランジ スタがON(コレクタ電流が 流れる状態)になる。
sa
ab cd ef dpg 2進数入力
4bit
R1が大きくなりすぎないように 調整(無くても動作可能)。
MC14511B
R1 R2
複数桁の表示方法
• 直流駆動では 10 x 4 = 40 本の制御線が必要(多すぎる) → ダ イナミック駆動により配線を削減
– C0 ~ C3 を順番に論理値 '0' に切り替え、Cn='0' のとき、n番目の7セグメン トLEDに表示するデータをa ~ g, dp端子に入力
– a ~ g, dp, C0 ~ C3の合計12本の制御線で、4桁の7セグLEDを点灯させる
10
4 桁ダイナミック駆動回路の例
前ページのアナログ回路部
ディジタル回路部
14 bit 分周回路 2 bit カウンタ Clock
(33MHz)
7SEG LED 7SEG
LED 7SEG
LED
ダイナミック駆動制御回路
4chセレクタ x4
(2.02kHz)
7 セグメント デコーダ Data
4bit×4ch 2bitデコーダ
7SEG LED a ~ g, dp
2 bit
4 bit
C1
C3 C2 C0
8 bit
ドットマトリクス LED
ROW1 ~ ROW8 をダ イナミック駆動により 切り替えて 64 ドットの 画面を表示させるこ とができる。
ROW1
ROW2
ROW3
ROW4
ROW5
ROW6
ROW7
ROW8
LED フラッシュの実験(回路)
R2を大きくしすぎると、B-E 間のpn接合容量CBEに充 放電する時間がかかるた め、R1, R2を使用してD1 の電流を制限している。
CBE
※ 市販されている抵抗の値 は、一定比率となるようにライ ンアップされている。”E系列” で検索して調べてみよう。E24 系列が入手しやすい。
(※)
NSCW100(白色LED)
• VF = 3.5V, IF = 20mA
• Vcc = 5V (制御回路は3.3V)
PULSE 波形の設定
• 波形を設定する電流源または電圧源を右クリック
• Advancedボタンをクリック
Time Vinitial
Von
Tdelay
Tperiod Ton
Trise Tfall
Ncycle = 繰返し回数
LED フラッシュの実験(結果)
14
入力電圧ベース電流LED電流
R2の抵抗値が小さい ほど、ベース領域に 電子が蓄積する。
ベース領域に蓄積し た電子を放出する逆 方向の電流。
ベース領域に蓄積した 電子を放出する時間 分だけLEDの消灯が 遅れる(短時間フラッ シュができない)。
時間 (s)
スイッチング遅延の原因
IC(mA)
VCE(V) IB
VCE(sat) = 0.1~0.2V 飽和領域
(ON状態)
VBE(sat) = 0.6 ~ 0.7V VCE(sat) = 0.1 ~ 0.2V
このとき、VCB ≒ - 0.5V(負電圧)。
B-E間、B-C間ともに順方向電圧
B-C間=順方向 B-E間=順方向
のとき、エミッタとコレクタの両側か ら電子が流れ込み、ベース内に蓄 積してしまう。
ベースに蓄積した電子が再結合ま たは放電して消えるまでOFF状態 にならない。
ON→OFFの時に遅延時間が生じる。
遮断領域 (OFF状態)
飽和領域にならない改良
LED電流を20mA以下 に調整。
VCE = VBE - VF(D2) > VCE(sat) となるように出力電圧を制限 する。
※ ショットキーダイオードとい う半導体-金属構造の素子。
ショットキーダイオードには、
VFが0.1~0.2Vと低いものが ある。
※
(ショットキーダイオードクランプ)
課題3.2
1. 前スライドのシミュレーションを実行し、 LED の電流、トラ ンジスタのベース電流、入力電圧 V1 の波形を調べ、レ ポートに上記の波形を貼り付けよ
2. ON→OFF 時のスイッチング遅延が解消されていることを 確認し、 R1 = 1kΩ のとき、入力電圧が立ち下がってから
、 LED 電流が半分に減少するまでの時間を求めよ
3. トランジスタ Q1 について、 V
CE> V
CE(sat)の条件( Q1 が飽
和領域に入らない条件)を満足していることを、シミュレ
ーション結果のグラフを用いて示せ
3.2節のまとめ
• トランジスタにベース電流を流すと、コレクタ-エミッタ間がONとなり電 流が流れる
• トランジスタのベース電流を切ると、コレクタ-エミッタ間がOFFとなり 電流が遮断される
• コレクタに流す電流は、ベースに接続した抵抗またはコレクタに接続 した抵抗により調整できる
• トランジスタが飽和領域(ON)から遮断領域(OFF)に遷移するときに 遅延が生じる
– 遅延の原因は、トランジスタが飽和領域に入ると、E-B間、C-B間のpn接 合が順方向電圧となり、ベースに電子が蓄積するため、ベース領域の 電子が無くなるまで電流が流れ続けてしまうためである
• トランジスタが飽和領域(VCE < VCE(sat))に入らないようにする方法とし て、ショットキークランプがある