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原子核と放射線

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Academic year: 2021

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(1)

原子核と放射線

2013年8月17日 於福岡

(2)

原子の構造

原子核の周りの軌道上に電子が安定して存在する(ボーアの原子模型)

電子の軌道を内側から順にK殻、L殻、M殻・・・とよぶ。

原子核を中心として、質量m、速さvの電子が半径rの円軌道を描くとき、

次の条件を満足する場合だけ、定常状態をとりうる。(量子条件)

mv × 2πr = nh

n =1,2,3,…:量子数、h: プランク定数(6.6x10-34J・s)

電子が高いエネルギー準位(軌道)から低いエネルギー準位へ移るときに、

電磁波を発生する(特性X線)

水素原子→

3(陽子=クォーク3つ)+1(電子)

「物質世界とイデア」

(MyISBN-デザインエッグ社)

(3)

原子核の構成

原子核は陽子と中性子からなる。(2つをまとめて核子という)

陽子(p): 正の電荷を持ち、電子の約1840倍の質量を持つ。

中性子(n): 電気的に中性。陽子とほぼ等しい質量を持つ。陽子、電子、

反ニュートリノに崩壊する(半減期=約10分)

𝑛 → 𝑝 + 𝑒

+ 𝜈

𝑒

原子核の陽子の数Zを原子番号といい、Zによって元素の化学的性質が決 定される。(Z=1:水素、Z=2:ヘリウム・・・)

Zと中性子の数Nの和A=Z+Nを質量数といい、原子核の質量を決定す る。

Zが同じだがAが異なる原子を同位体(アイソトープ)という。

元素記号

12 C

6

原子番号 質量数

(4)

安定な核種と放射性核種

原子核を陽子数、中性子数に従って並べた図を、核図表という。

安定な核種(原子核)=安定核はZが小さいところでN~Z(A~2Z)、

Zが大きいところで、N~1.6Z(A~2.6Z)

安定核以外は時間とともに崩壊し放射線を発する。これを放射性同位体

(=放射性核種=ラジオアイソトープ)という。

(5)

放射線の種類

放射性核種は崩壊(壊変)の際に放射線を放出する。放射線を出すはたら き(能力)を放射能という。(単位:ベクレル[Bq]=1/s)

崩壊の種類(モード)はα崩壊、β崩壊などがある。

α崩壊: ヘリウム4原子核(陽子2個、中性子2個)=α線を放出する。

原子番号が2減り、質量数が4減る。

β崩壊: 弱い相互作用による崩壊。原子番号が1増加し、質量数は変化 しない。電子=β線および反ニュートリノを放出するβ-崩壊(n→p)や、

陽電子およびニュートリノを放出するβ崩壊(p→n)などがある。

α崩壊やβ崩壊などの際、原子核の状態の変化によって放出される電磁波 をγ(ガンマ)線という。

(6)

放射性核種の寿命

放射性核種の数(=放射線の強度)は時間とともに、指数関 数的に減少する。

数が半分になる時間を半減期という。

短寿命核種→すぐ崩壊 長寿命核種→放射能は 小さい

人間社会に対する影響 が大きいのは寿命が数 年~数十年の核種

693 .

0 ) (

2 / 1

0

T

e N t

N

t

(7)

質量欠損と結合エネルギー

原子核の質量は個々の核子の質量の総和より小さい。

その差を質量欠損(

∆m

)という。

例:ヘリウム

4

原子核=

4.0015u

, 陽子

2

個+中性子

2

=

4.0319u

u

: 原子質量単位=炭素

12

原子の質量の

1/12 = 931 MeV

MeV = 10

6電子ボルト))

質量欠損をエネルギーに換算した

∆m ∙ 𝑐

2を原子核の結合エネ ルギーという。

鉄より重 い元素→

核分裂 鉄より軽い

元素→核融

(8)

核分裂

ウランやトリウムなど原子番号が

90

以上の原子核は、中性 子や高エネルギーの荷電粒子と衝突すると、質量数が ~

95

と ~

140

の原子核に分裂(核分裂)し、核分裂生成物を生成 する。

例:

1回の核分裂の際放出される中性子によって次の核分裂が引 き起こされるならば、核分裂が次々に連続して起きる(連鎖 反応)。連鎖反応を引き起こすのに十分な量を臨界質量とい う(数

kg

程度)。

連鎖反応が一瞬にして起きる→原子爆弾

連鎖反応を制御しながら除々に起こさせる→原子炉

n 3 Kr

Ba n

U

14456 8936

235

92

   

(9)

放射線の人体への影響

放射線の電離作用(原子中の電子を弾き飛ばして、イオン化 する)によって、遺伝子が損傷を受ける。

放射線の強度が強く、遺伝子の修復が間に合わない場合、傷 害が発生する。

100mSv以下の線量では「確定的影響」はないとされている。

(10)

放射線防護に用いられる諸量

• 吸収線量 Gy(グレイ)[J/kg] 単位質量 あたりに吸収される放射線のエネルギー

• 等価線量 Sv(シーベルト)[J/kg] 吸収 線量に放射線の種類やエネルギーによる影響 の違い(放射線加荷重係数)を掛けたもの

(X、γ線=1、中性子=5~20、α線=

20)

• 実効線量 Sv それぞれの組織・臓器ごと

に等価線量に影響の違い(組織荷重係数)を

掛けて足し合わせもの

(11)

内部被ばくと外部被ばく

• 外部被ばく

人体の外部で発生した放射線による被ばく。時間、

距離、遮蔽の三原則により低減する。

• 内部被ばく

呼吸、食事、経皮吸収などにより、体内に取り込 まれた放射性核種による被ばく。外部被ばくに比 べてアルファ線の影響が大きい。

(12)

自然放射線と人工放射線

われわれは常に自然界に存在する放射線(自然放射 線)を受けている(被ばくしている)。

自然放射線による年間線量(世界1人あたり平均)=

2.4mSv

内部被ばく ラドン(1.2mSv)、食物(0.3mSv)

外部被ばく 宇宙線(0.4mSv)、大地から

(0.5mSv)

人工的に発生させる放射線を人工放射線という。

レントゲン撮影(胸部) (0.05mSv)

CTスキャン (6.9mSv)

法令により、被ばく線量を制限 一般1mSv/年(医療を 除く)、放射線作業従事者100mSv/5年、50mSv/年

日本人平均3.75mSv(医療2.25mSv) 世界平均

3.13mSv(医療0.61mSv)

(13)
(14)

放射線検出器

放射線は目に見えず、熱もない。→検出のため特 別な道具が必要。

測定したい線種と目的に応じて適切な器具を選ぶ

個人の被曝線量→フィルムバッジ、ガラス線量計

表面汚染の検出→ガイガーミュラー(GM)計数管

空間線量の測定→シンチレーション検出器(シンチ

レータ)、電離箱

放射線(エネルギー)スペクトルの分析→シンチ レーション検出器、半導体検出器

(15)

放射線検出器の種類

電離現象を利用

気体型 電離箱、比例計数管、GM計数管

固体型 半導体検出器

発光(蛍光)現象を利用→シンチレータ

無機結晶シンチレータ(NaI、CsIなど)

液体シンチレータ

感光(写真)作用を利用

フィルムバッジ

X線(レントゲン)写真

(16)

気体封入型検出器(電離箱)

気体中を放射線が通過すると、気体分子が電離され、陽イオンと電子(イ オン対)が生成される。

それらは2つの電極(陽極(アノード)と陰極(カソード))間に形成さ れる電場によって移動(ドリフト)する。

最終的に陽極と陰極に集められたイオン対を電気信号として取り出す。

β線、γ線の検出に利用される。

+電極(アノード)

-電極(カソード)

-

+ + + + + - - - -

信号として取 り出す。

放射線

電子 イオン

(17)

比例計数管とGM計数管

陽極として細いワイヤーを用いると、陽極近傍の電場(電界)が非常に高 くなる。

電界が106V/m 以上になると、ドリフト電子がさらに気体分子を電離する ようになり、陽極に達するまで電離がなだれ的に起こる(電子なだれ)。

この電子なだれによるガス増幅を利用したものが、比例計数管およびGM 計数管である。

下図は陽極-陰極間の印可電圧と得られるパルス波高の関係を表したもので ある(対数的)。比例領域で動作させるのが比例計数管、GM領域で動作 させるのがGM計数管である。

比例領域では、イオン対の数に比例したパルス波高が得られる。

GM領域では、パルス波高はイオン対の数によらず一定となる。

A: 再結合領域 B: 電離箱領域 C: 比例領域 D: GM領域 E: 放電領域

(18)

シンチレーション検出器(シンチ レータ)

放射線を吸収し、励起状態になったシンチレータ が基底状態に戻るときに光を発生する(蛍光作 用)。

シンチレータは以下のような物質から作られる

無機結晶(NaI、CsIなど)

プラスチック

有機物の液体(液体シンチレータ)

参照

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