2
接 続
歴史的にみてみると,接続は,ユークリッド空間の部 分多様体の
Levi‑Civita接続からリーマン空間の
Levi‑ Ci vita接続へ,そしてアフィン接続から共形および射影 接続,さらに一般の主ファイパ一束の接続へと発展して きたのであるから,教育的立場からはその順を追うのが 望ましい.
しかし,それは時間的にも頁数の上でも非能率である.
論理的には,まず主ファイパー束の場合を説明して,あ とはその特別な場合として扱うのが近道であるが,
Lie群に慣れていない読者には好ましい道順ではあるまい.
そこで折衷案として,ベクトル束の接続から始めるこ とにする.主ファイパ一束の言葉で、いえば,構造群が一 般線形群
GL(r;R)の場合である.応用上は一般の
Lie群でなく,行列で与えられるいわゆる古典群の場合で充 分であるから
GL(r;R)から始めるのは自然であろう.
『接続の微分幾何とゲージ理論』
(小林昭七著/裳華房)36 2.
接 続
§ 1 . ベ ク ト ル 束 の 接 続
この節では, M は n次元多様体,
Eはファイパーが RTの M 上のベクトル 束とする.
π:E→Mをその射影,すなわち,
x E Mに対し
Ex=
π−l(x)が m 上のファイパーである.写像~: M → E で π (~(x))
= Xとなるものを Eの
M上の切断と呼んだ.切断 5 は各点
X E Mt こ対し,
x上の ファイバ−
Ex
の
1点 ι を対応させる.徴分可能な切断だけを考え,
Eの切断の全体を
I'(E)と書く.
I'(E)は(無限次元)のベクトル空間で、ある
. M上の(徴分可 能な)関数の全体を
AO(M)と書くことにした.
A0(M)は可換環である. 関 数 fεAO(M)と切断~
EI'(E ) の積はまた切断 f~
E I'(E)である.(代数 の言葉でいうと
I'(E)は
AO(M)上の加群(
AO(M)‑module)である.しかし このような術語はどうでもよい.)
関数
fεA0(M)に対して,徴分
dfεA1(M)が定義された.(一般に
AP(M)は
M上の ρ 次微分形式のつくる ベク トル空間と定義した) .ま た,
Mの接ベクトル
Xに対し
X方向の徴分
Xf= df(X)も定義した. このような 微分作用素を
I'(E)に対しても定義したい . Eが直積 M ×RTならば,切断 5 は T 個の関数 ~1,…, F から成り立っていると考え, d~l,・・・, dごT を 5 の徴分と 考えてもよいだろう.しかし,一般のベクトル束 Eは,局所的に直積に書ける だけで,
M全体の上では直積とならない
. Mを座標近傍系{孔}で覆い各
Uα上で
Eを直積として表わし,上のように微分を定義すると,
Uα円
Up上で
U
α ×
RT と
Up×RT に対する徴分が一致しない.
一般にベクトル東の切断に対しては直積の場合のように一つだけ自然な徴分 があるのではなく,無限にたくさん微分となり得るものが存在する.関数に対 する徴分
dは,線形写像
d: A0(M
)ー→
A1(M)であって,
Leibnizの式
•I
§ 1.
ベクトル東の接続
37d
(! .
g)=
df • g+
f • dgが成り立つ.ここで,
1次微分形式全体の空間
A1(M)とは,共変接ベクトル
東 T*Mの切断の全体
I'(T*M)にほかならないことに注意 して,
Eの共変 微分作用素あるいは単に共変微分(
covariantdi百erentiation)とは,線形写
像︑ ︑ ︐ ︐ ︐ ︐
唱 −
EA
.
唱EA
︐ ︐ ︐ ︑ ︑
V: I'(E
)一 一 →
I'(T*MRE)で
Leibnizの公式
c1. 2)
v Cf~
) = df R~ + J ・ v~ , J
εA0(M),~
E I'(E)を満たすものであると定義する. v~ を E の共変微分(covariant
derivative)と呼ぶ.
I'(T*MRE)の元を
Eに値をもっ
1次徴分形式と呼んだりする.接 ベグトル X E TxM に対し v~ の値 V~ (X )は Ex の元である.
(1. 3) V~(X)
=
'vxご
とも書き, 'vx~ を 5 の X 方向の共変徴分と呼ぶ.したがって各 Xε TxM に 対し
(1. 4) V x : I' (E
)ー→
Exは線形写像で
(1.
5)む (!~) =
(Xf) ・ ~+ f·'vx~, fEAO(M),~ε I'(E) を満たし,また
'vxは X に関しでも線形である.
各
Uα上で
Eが直積になるような局所有限な
Mの開被覆{
Ua} ,およびそ れに対する
lの分解 2ι =
1を使えば,
Eに必ず共変徴分
Vの存在するこ
とがわかる.すなわち,
Eluの共変徴分丸をえらび,
(1.6)
v~
= LJ'vaんご, ~
E I'(E)とおけば,
Vが共変徴分になる.
共変徴分を接続(
connection)とも呼ぶ. Eに接続は無限にたくさん存在す
る.
5章
) 6章では接続の全体を考える.それまでは主に,一つの接続の性質
を調べる.
38 2.
接 続
ベ ク ト ル 束
Eは局所的には直積だから,局所的には一次独立な切断九…, e r が存在する.そのような(e
1, … ,
γ)をe Eの局所標構場(l
ocalframe field)と 呼ぶ
. Eの任意の切断
5は局所的には,
(1. 7)
~
= Ljご
.le,1と一意的に書ける.いま,
Vを
Eの共変徴分とすると,
Ve』ε
I'(T*MRE)は
e1, ・ ・ ・4 の一次結合として書けるから
(1. 8
) V e , i
=I J
w,iμ μeとおく.ここで,
W,iμは(局所的に定義された) 1 次徴分形式である.一般の切 断~ = IJe 引に対しては,(1
.2)により
(1. 9
) 時 = I J C d e + I J
μ守μw)
e』となる.したがって, 局所的には Vは(e
1,・・・, eγ)と
w=( w , i μ)によって決ま る.
w =( w , i μ)を Vの接続形式(c
onnectionform)と呼ぶ.
次に局所標構場を(e
1,・・・, eγ)から(e
'i,・・・, e'
γ) に 変 え た と き , 接 続 形 式
w =( w , i μ)がどう変化するかを調べる.
(1.10) e' .i
= I J
a,iμeμとおく. ここで,各
a,iμは関数であるから,
a =(α/)は,
T次の一般線形群 GL(r; R
)に値をもっ関数である.次に
(1.11) Ve'
ぇ= I J
w',iμe' μにより, l次微分形式の行列
w'= ( w ' , i μ)を定義する. これに(
1.10)を代入 し,(1
.9)を使えば
( 1 . 1 2 ) I J
)μ(J切/+
da/ =I J
μa』ω γ
を得る.行列の記号で書けば,(1
.1 2 )は
すなわち,
(1. 13)
となる.
ωα
+
da=
aw,
ω
=
α−lwα+ a‑1da{ U
" ' } を
Mの開被覆で,各
Uαの上で
Eは直積 u
"'×I , ? , : T に同型であると ,
§ 1.
ベクトル東の接続
39し , 同型対応をえらんでおく
. Rγの自然な基に対応して, Eの u a の切断
e1 <α) , … ,
γe(α)がある . Eの接続
Vのe
1<α) , … ,e
γ{α)に関する接続形式の行列を
ωαとする . Eの変換関数を(仇
iS}とすると ( 1 章 S
lを参照) ,
(1. 13)を
ω=ωα,w' = wp, a=
ψ吋に適用して,
(1. 14)
叫 = 仇p
‑1(l)α仇p +仇p
‑ldψαp (UaηUp上で)を得る.
逆に,各
Uα上に 1次微分形式の
(r×r )の行列
ωα=
(waμ ‑l)が与えられて いて,
UαnUp上ではωαとW
pは変換関数件α
Fにより関係式(
1.14)で結ばれ ていると,
Eに{叫)を接続形式とするような接続
Vがただ一つ存在する.実 際 ,
E¥u.では,局所標構場
e/
α) , … ,
e/
α)を使って
Vを
(1. 15) v'e
/
αl =I J w
αf e/α) μで定義し,あとは(
1.9 )を使って
E¥uの任意の切断
5に対し時を定義すれば よい.このようにして
E¥u, と
Elupで定義した接続が
Uan
Upで一致するこ とを証明するのに(
1.14)を使うのである.証明は機械的に計算するだけのこ とだが,次のように行列の記号を使えば少々簡単である.記号を簡単にするた め引
ω,
ωα=
(waμ‑l)等は
αを消して
e.l,w = (wμ』)と書き, e/Pl,wp = (wp/)は戸の代わりにダッシュを使って
e',i, w'=
(wソ)と書く. また,仇
pを
aと 書く
. Eの
UαnUp 上の切断を二通りに IJ~..le』=
IJe』
e',iと書く.ベクト ルの記号で、 2 J ~,l 引を e ・~.
IJご ' 』
e',iを
e'.e と書けば,
可 〔
e・ミ〕 =可
e・ミ キ
e・dミ =
e・
ω・ミ キ
e.dミ
= ea(α−1 (l)α + α-1da) α-1~
+
ea・d(a‑1f)= ewf
+
e ・ da ・ a-1~ ‑ e・
da・a‑1f+
e・
df=v'(e・f).
これで我々の主張が証明された.
要約すると,接続は(
1.2)を満たす線形写像
Vとして定義されるが,
Uα上
の行列値の
1次徴分形式
ωαで
UαnUp上では, (1.̲ 14)が成り立つようなも
のとしても与えられるのである.
40 2.
接 続
多様体
M上に二つのベクトル束
Eと
E' があり , そ れ ぞ れ に 接 続
V,V' が 与えられているとする.そのとき,
EφE ' に自然に接続
VEB V'を定義する
のは簡単である.すなわち,(1. 1
6 ) ( V
EBV ' ) (ご EB~ ') =
V~ EB V~ ',~ EB ~IE I'(EEB E
) =
I'(E) EB I'(E) .
E
と
E' の局所標構場を
e1, … ,
eγと
ei'' … ,
es'とし,対応する接続形式を
ωと
ω
とすれば
VEB V'の接続形式が
r+s次の行列値の
l次徴分形式
(1. 17)( ; ; )
で与えられることも明らかであろう.
テンソル積E③E'に対しては,接続 'v(i!)[E,
+
[E(i!)V' が
(1. 18) (V0
IE'+
IE ③V')ご ( 0
~’)= v~0e + ~0v'e,
~ E
r c E ) , e
Er c E ' )
で定義される.対応する接続形式は
rs次の行列
(1. 19) ω③Is+ Iγ③ωで与えられる.
E
*を Eの双対ベクトル束とすると, Eの接続 Vは E
*の接続 v (同じ記号
V
を使う)を引きおこすが,それは,次の関係式で与えられる.
(1. 20)
dく~*.~> =くV~*, O
+くe*,V e > '
eEI'(E), e*EI'(E*).ここでく,〉は双対を定義する内積である . Eの局所標構場
e1, …,
erに対し,
その双対基
ei, … ,
erを E
*の 標 構 と し て 使 え ば く
ei,ei>=
i5i1・だから(1
.20)を ゲ =
ei,e =
ejに 適 用 し て 一 切 が E
*に対する接続形式となる. (ここで
t(V
は
ωの転置行列である.)(1. 18
)と(1
.20)を使えば,
Eの接続から
EndE=
E⑧
E本の接続が得られる.
ψ EI'(EndE)に対し
V<pは
(1. 2
1 ) V(
ψ・
e)=
vψ・
e+ψ−ve, eEA0(E)によって与えられる.
§ 1.
ベクトル束の接続
41 M上のベクトル東
Eと写像
f: M'→
Mが与えられたとき,
M上にベク トル束
E'=f*Eが誘導された
(1章(1
.14)参照).
Eが
Mの開被覆{ u .
α) と変換関数{仇
s.}で与えられているならば,
E'は
M'の開被覆 u ‑ 1 u .
α}と 変換関数 { !勺
α.s}で与えられる. さらに
Eの接続
Vが接続形式(叫)で与え
られているならば,
(1. 22) ωα=f*wα
によって定義された{
w'α)が
E'に接続を定義する.この接続
'i/'= ! 吋 を
Vから f によって誘導された接続とか,引きおこされた接続(
inducedconnec‑ tion)と呼ぶ.
問題 1 .1 E とFをM 上のベクトル東とする.その切断の空間の聞に写像
<p:I'(E)→I'(F
) が与えられていて,
ψcg1
+
g2)=
<p(g1). +ψ(
g2), g1,g2 E I'(E),ψCH
)=!ψ (
g), g E I'(E), f E A0(M)が成り立つならば, v は
Eから
Fへの写像によって与えられる.すなわち ψ 巴
I' (Hom
( E ,
F))と考えられることを証明せよ.
問題 1 .2
VとV'をベクトル束 E の接続とするとき,その差
V−V: I'(E)→
I'(T*MRE
)は E 本③ E に値をとる M 上の 1次徴分形式である.すなわち
V'‑V E A1(End E)であることを証明せよ.(ここで,
EndE= Hom(E,
E)= E
ネRE.)問題 1 .3 Eの接続 Vを
E(T,S) = R E⑧E* = E R… ⑧
E
⑧E*R…R Eキ
に拡張する.
£<r,s)の切断 K は各点
x E Mで多重線形写像
Ex×…×Exー→
Ex8 ・ ・ ・
REx= ③
Exを定義するが, Xを M のベグトル場,
gl, … ,
gsを Eの切断とすると き ,
(VxK) (gi, ... , gs)
=
Vx(K(g1, … ,
gs)) ‑~K ( g i , . . . ,
Vxgi, … ,
gs)となることを証明せよ.
4
我々は
deRhamコホモロジーを使うので,特性類も 微分形式で表わす.歴史的に一番古いのは
Euler類で,
それを曲率で表わすのが
Gauss‑Bonnetの式である.
Pontrjagin
類や
Chern類を表わす式は,初め多様体(の
接ベクトル東)に対して得られたが,接続が一般の主フ
ァイパー東に定義されるに及んで一般のベクトル束にま
で拡張された.そのような一般化により,特性類の公理
的扱いも可能になり理論も簡単になった.ユニタリ群の
方が直交群より構造が簡単なので,
Chern類を基にして
Pontrjaginを定義するのがいまでは慣例であるので我
我もそれに従った.
§ 8の葉層構造における
Bottの定理
は後で必要としないが,
Pontrjagin類の微分形式による
表現と接続が本質的役割を演ずるので
2章と
4章で学ん
だことの理想的応用といえる.
130 4.
特 性 類
§ 1 . 複 素 ベ ク ト ル 束
1章の§ 1で(実)ベグトル束を定義したが,この節では,複素ベクトル束を 必要とする.その定義はほとんど明らかであろうが一応説明しておく.
M
を
n次元多様体とする . Eが
M上の複素ベクトル束(
complex vector bundle)であるとは, まず
1章
§1で定義したように, (実)ベクトル束で、あ
り
, さらに次の条件を満たすもので、ある. 各点
x E Mでファイパー
Ex=,.‑1
(x )は一定次元(例えば
γ次元)の複素ベクトル空間で
1章(1
.1)の局所同 型写像
(1. 1) ψ−l(U
)一一歩
U×e r
は各点
UE Uで複素同型写像
ψ(
y) : Ey→{
y}× e r 勾 e r を引きおこす.
したがって変換関数仇 p :
Uan
Up‑1→ GL(2r; R)は,実は部分群 GL(r; e)
cGL(2r; R)に値をとることになる(1 章(
1.4)参照);
(1. 2
) 仇 p : u α n
Upー→GL(r; e ) .
M
が複素多様体で,変換関数(1
.2)が正則ならば,
Eを正則ベクトル束
(holomorphic vector bundle)と呼ぶが,ここではそのような仮定はしない.
Eが複素ベクトル東ならば,複素数を Eの元に掛けるとし、う作用がある.
特に i = 〆 = ‑ r を掛ける作用を J と書く.
(1. 3)
J:E 一一→ E , R =
i~.J は
Eの自己同型写像で
(1. 4)
J 2 =ー
I (]2~ = -~'ご
εE) となることは明らか.
逆に,
Eを実ベクトル東で,(1
.4)を満たす自己同型写像 J をもっていると 仮定すると,複素数
α= a+
biを
Eに掛けることができる.すなわち,
(α+ bi)~ = ( a
+
b])~
,~
E Eと定義すれば,
Exは複素ベクトル空間になる.局所的に
U× e r となること
§ 1.
複素ベクトル東
131もすくやわかる.まず, 実ベクトル束としての局所標構
e1, … ,
e2γを , 点♂の近 傍でとる. 線形変換で
fe1(x)=
e2(x) ,…,
fe2γー1(x)=
e2r(x) とできる.
zの充分小さい近傍ではe1,fe1
, … ,
e2γー1,fe2γ1は 1次独立,したがって局所標 構になる.対応
(1. 5) ~
=
a1e1 + bife1 + … + are2γー1+bγ fe2r‑lモー守ca1+ b1 i
, … ,
Gγ+ b r i ) によって Eは局所的に U × e r の形であることがわかる.
したがって,複素ベグトル束とは実ベクトル束で,
(1. 4)を満たす自己同型 写像 J をもつものであるということができる.
実ベクトル束に同伴する主ファイパ 一 束を 2 章の §4 で、考えた.複素ベクト ル束 Eに同伴する主ファイパ一束 P としては, もう少し小さな束を使うのが 自然である.すなわち
2章の(
4.1)のごとく実同型写像 u :
R2r→
Ex全部を 考えず複素同型写像 u : e r →
Ex,すなわち
(1.6)
u ( i z ) = ] ( u ( z ) ) , z E Cr
となる同型写像だけ考えると
GL(2r;R)の部分群
GL(
γ;C)を構造群とす る主ファイパ 一 束 Pが得られる.
2
章の§
3では内積をもった実ベクトル束を考えた. 複素ベクトル束
Eの 場合には内積というとき,
Hermite内積の意味である. 以下は複素ベクトル 空間の
Hermite内積
hについての一般論であるから,
V=Exとおいて説明 する.定義により,
hは写像
(1. 7) h: V
×
V一 一→C で次の性質をもつものである.
(i)
h(z,w )は
zに関して C上線形,すなわち,
Z,z ' ,
WE V ,
CE Cに対し
(ii) (iii)
h ( 写 + z ' , w) = h ( z , w) + h ( z ' , w), h ( c z , w) = c
• h( z , w), h ( w , z ) = h ( z , w ) ,
̲ .0
手
ZE Vならば, h ( z , z ) >
0.132 4.
特 性 類
V = erの場合,自然なHermite内積は,
(1. 8) h(z, w)
= L J
zi wi, z=
(z1,…, zr), w=
(w1,…, wr) E Cr である. zi =xi+ i yi, wi=
ui+
i viとおけば,(1. 9) h (z, w)
= L J
(xi ui+
yi vi)+
iI J
(yi ui ‑ xi vi)であるから, h(z,w)の実部
I J
(xi ui+
yi vi)は erを R2γとみなしたときの R2Tの自然な内積になっている.したがって,一般の場合にも, hの実部を gと定義する.
(1.10) g(z, w)
=
Re(h(z, w)).このとき, gはVを2r次元実ベク
ト
ル空間とみなしたときの内積になってい る.すなわち,( i ) g
( z ,
w)はzに関して R上線形,(ii) g(w,z)
=
g(z,w),(iii) O
学
ZE Vならば, g(z,z)>O である.さらに,この内積は,条件(iv) g(Jz, Jw)
=
g(z, w) (ここで ]z= iz, ]w = iw) を満たすこともすぐわかる.逆に, ( i )〜 (iv)を満たすgが与えられたとき, gを実部とする Hermite 内積hがただ一つ定まる.実際 h(iz,w)
=
i・h(z,w)だから, hの虚部lmh はImh(z, w)=
Re(h(Jz, w)) でなければならない.したがって(1.11) h(z,w)
=
g(z,w)+
ig(Jz,w) とhを定義すればよい.このように er,hの代わりに R2r,J,gを使って,すべてを実数の範囲ですま すことも可能であるが,我々は主に hを使うことにする.
e 1
,…,e γ
を Vの基とするとき(I. 12) h
勾 =
h(e;., eμ)と定義すれば, (h;.p.)は正値Hermite行列になる. 戸と書くのは h(z,cw)
=
ch(z,
w
)だから計算上その方が都合がよいというテンソル解析の約束にもと§ 1.
複素ベクトル東
133ずく.
2
章の
§Iで実ベクトル束の接続を定義した. 複素ベクトル束
Eの場合を 考えるために,
A0(M)を M 上の
O:oの複素関数の全体とする.そして
2章の 式(
1.2 ),すなわち
(1.13) V(ff;)
=dfRf;+f・Vf;, fEA0(M), f ;
εI'(E)
が複素関数 f に対して成り立つと仮定する. これは(
1.13)が実関数 f に対し 成り立ち,さらに
(1.14) V(cf;)
=
cV(f;), cεC , f ;
EI'(E)
が成り立つとし、う条件と同値である. 条件(
1.14)は
c= v こ I に対して成り 立てば充分であるから,(
1.14)の代わりに
(1. 15) V (ff;)
=
JV (f;),f ;
EI ' (E)
としてもよい.一般に,
AE I'(End E)に対し(
2章(
1.21)参照)
V(Af;) = (VA)f;
+A・ V f ; であるから,(
1.15)は
(1.16) VJ= 0
とも書ける.今後,複素ベクトル束の接続というときは,ことわらない限り,
この条件が満たされているものとする.
複素ベクトル束
Eに 同 伴 す る 主
GL(r;C)束を
Pとしたが
Eを実ベクト ル束とみなしたときの主
GL(2γ;R )束を P
'としよう.もちろん,
Pc P
'で ある. Eを実ベクトル束とみなしたときの接続,すなわち(
1.13)を実関数 f
に対してだけ仮定し(
1.14)を仮定しない接続は, P
'の接続であり,
Eを複素 ベクトル東として(
1.14)も仮定した接続は
Pの接続になる.
2
章の
§4(特に(
4.12)参照)で内積をもった実ベクトル束に対し,同伴す る主ファイパ一束を構成した. 同様に内積をもった複素ベクトル束
Eには,
ユニタリ群 U(r )を構造群とする主ファイパ一束
Q己P が定義される.そし
て ,
Eの内積を保つ接続とは
Qの接続にほかならない.
134 4.
特 性 類
複素ベクトル束
Eの接続
Vの曲率
Rは
A2(EndE)に属するが, この場合
End Eは
Eの複素自己準同型写像(すなわち, J と可換な実自己準同型写像)
の束であることに注意しておく.
E
の内積を保つ接続の曲率
Rが歪
Hermiteであることは,実ベクトル東の 場合
Rが歪対称になるのと同様にして確かめられる. また, これはユニタリ 群 U(r)の
Lie環
u(r)が査
Hermiteな行列から成り立っていることからきて いる.
§ 2. Chern 類
この節では, M は
n次元多様体, Eは M 上の複素ベクトル束で、そのファイ ミーは e r ,π : E→
Mは束の射影
Ex=
π−1 c 幼 児 e r は
X E M上のファイ ノミーとする . Eに 同 伴 す る 主 フ ァ イ バ 一束を P とする . そ の 構 造 群 は
GL(
γ;C) である.また,
Eの接続
Vは,前節で説明したように,条件(
1.14)(すなわち,(
1.16))を満たすものとする.
前節同様, A0(M)は
M上の徴分可能な複素関数全体(のつくる多元環)と する. AP(E ) は ,
Eに値をもっ
M上の
P次徴分形式の全体のつくる加群とす る. (! ε A0(M) と~
EAP(E) に対し,自然に f~
EAP(E )が定義され,
AP(E )は A0(M )上の加群になる ) . 接続 v : A0(E ) → A1(E)を共変外徴分
( 2 . 1 ) D : AP(E )ー→ AP+l(E) に拡張し,曲率
RεA2(EndE)を
(2. 2)
R = D 。 D:A0(E)ー→ A2(E)
によって定義した(
2章(
2.2) , (2. 7)参照).
Vが(
1.14)を満たすことから,
R
は
Eの複素ベクトル束としての
EndEに値をもつことも
§1で注意したと
おりである.
句h•I
§ 2. Chern
類
135一般に,ベクトル空間
Vの線形変換
L:V→
Vが与えられたとき,
Lの 不変量(すなわち,
Vの基に依存しない量)として
Lの固有値の対称関数が ある.それらは,例えば,
det(U‑L)を展開したとき
Pの係数として得ら れる.したがって我々は,
(2. 3)
叫 ー か
=
Ar+
C1 (E, V) ir‑l+
C2 (E, V) ir‑2+ … +
Cr(E, V)とし、う展開を考える.ここで,
Iはもちろんベクトル束
Eの恒等変換である
.曲率
Rは
AO(EndE)の元ではなく,
A2(EndE)の元であるが,偶数次の微 分形式は他の徴分形式と可換なので,行列式
detの定義の式に 2次の徴分形式 が入ってきても普通の数のように扱える.分母の
211:iは後でわかるように,上 式で定義された
C1(E, V) , … ,
Cγ(
E, V)が単にコホモロジ−
H*(M; C) の元を 与えるだけでなく
H*(M;Z) の元を与えるようにするために必要で
、ある.
Rが
2次 微 分 形 式 的 ,
ck( E ,
V) ~i 2k次徴分形式になる 刈
Iーか
を局所標構を使って説明しておく.
2章(2
.14)で示したように,曲率
RはUα上の局所標構をえらぶことにより,
gl(r;C) 値の
2次微分形式。
αで表わされ,
Uαn Up
上では
(2. 4) Dp
= 仇
p‑lQα仇
pが成り立つ.したがって,
Uαnq 上で
/
ο
ー \ I I Q ¥ ¥(2. 5) det( U
− τ ' . t . ‑ )
= det( 向 一
1( え
I− τ 合 ) 向 )
\ ムπZ/ \ \ 臼品b/ /
= det( Al ‑