平成
29年度 東北大学 大学院理学研究科 数学専攻 入学試験問題
数学 − 選択問題
平成28年 8月 23 日(13 時 30分 から 15時 30 分まで)
注意事項
1) 開始の合図があるまで問題冊子を開けないこと.
2) 問題は 9題ある.3 題を選択して解答すること.
3) 各問題ごとに1 枚の解答用紙を用いること.
4) 解答用紙の左肩上部の に選択した問題番号を記入し,受験番号を( )内に 記入すること.また,氏名は書かないこと.
5) 問題冊子は 2 ページから 7ページまでである.
記号
Z : 整数全体のなす集合 Q : 有理数全体のなす集合 R : 実数全体のなす集合 C : 複素数全体のなす集合
1
R×=R\{0}とする. a∈R× と b∈R に対して,S(a, b) =
(1−b 1−a−b b a+b
)
とおき,集合 B, T,U を
B ={S(a, b) | a∈R×, b ∈R}, T ={S(a,0) | a∈R×}, U ={S(1, b) | b∈R}
で定める. 以下の問いに答えよ.
(1) B, T,U が GL2(R) の部分群であることを示せ. ただし, GL2(R)は実の2次正則 行列全体が行列の積についてなす群をあらわす.
(2) T は B の正規部分群かどうか, 理由とともに答えよ.
(3) U は B の正規部分群であり, 剰余群B/U は T と同型であることを示せ. (4) T と U は, 群として同型ではないことを示せ.
2
A=Q[x, y, z]/(x2y2−z3)とし,p∈Q[x, y, z]の同値類に対応する Aの元をp¯と書く. 以下の問いに答えよ.(1) A は整域であることを示せ.
(2) イデアル I = (¯x,y),¯ J = (¯x,z)¯ はそれぞれ素イデアルであるか, 説明せよ.
(3) 単項イデアル(¯x¯z)を含む素イデアルで, 極大イデアルでないものをすべて求めよ. また, その理由を述べよ.
3
3次元ユークリッド空間R3 の以下の4点a0 = (0,0,0), a1 = (1,0,0), a2 = (0,1,0), a3 = (0,0,1)
をそれぞれ 0-単体とみなす. また, 2点 ai, aj を頂点とする 1-単体を aiaj と書き, 3点 ai, aj, ak を頂点とする 2-単体を aiajak と書く. X を
a0, a1, a2, a0a1, a0a2, a1a2
からなる単体的複体とし, Y を
a0, a1, a2, a3, a0a1, a0a2, a0a3, a1a2, a1a3, a2a3, a0a1a3
からなる単体的複体とする. 以下の問いに答えよ. (1) 単体的複体 X の整係数ホモロジー群を求めよ. (2) 単体的複体 Y の整係数ホモロジー群を求めよ.
(3) X に属する単体全体の和集合を |X| とし, |Y| も同様に定める. ここで, 写像 f : |Y| → |X| を f(x, y, z) = (x, y,0) で定義する. このとき, f から誘導される f∗ :H1(Y,Z)→H1(X,Z) は全射であること,および, 単射でないことを示せ.
4
D を 2次元ユークリッド空間 R2 の領域とし,S(u, v) = (x(u, v), y(u, v), z(u, v)) ((u, v)∈D)
を 3 次元ユークリッド空間 R3 内の C∞ 級曲面とする. 曲面 S が R3 の標準内積に関 して
Su·Su =Sv ·Sv, Su·Sv = 0 を満たすと仮定する. ここで
Su = (∂x
∂u, ∂y
∂u, ∂z
∂u )
, Sv = (∂x
∂v, ∂y
∂v, ∂z
∂v )
である. S の単位法線ベクトルを N, 平均曲率を H とし,E =Su·Su とおく. また,
∆ = ∂2
∂u2 + ∂2
∂v2
とする. ただし, S :D→R3 は埋め込みとし, N の向きは各自が定めてよい. 以下の問 いに答えよ.
(1) ベクトル
∆S(u, v) = (∆x(u, v), ∆y(u, v), ∆z(u, v)) は, 点 S(u, v)での S の接平面と直交することを示せ.
(2) ∆S=pN となる関数 p=p(u, v)を,E と H を使ってあらわせ.
(3) 3 つの複素数値関数
F1 = ∂x
∂u −√
−1∂x
∂v, F2 = ∂y
∂u −√
−1∂y
∂v, F3 = ∂z
∂u −√
−1∂z
∂v が, いずれもz =u+√
−1v を複素変数とする正則関数となるためには,平均曲率 H が恒等的に 0となることが必要十分であることを証明せよ.
5
µ を Rn 上のルベーグ測度とし,可測集合 Ω ⊂ Rn がµ(Ω) < ∞ を満たし, fk (k = 1,2,3,· · ·) と f は Ω 上の2乗可積分関数であるとする. また,∫
Ω
|fk|2dµ≤M (k = 1,2,3,· · ·)
を満たす定数M > 0 があるとし, µに関して, ほとんどすべての点 x∈Ωにおいて,
k→∞lim fk(x) =f(x) が成り立つとする. r >0と k = 1,2,3,· · · に対し,
Ak(r) = {
x∈Ω |fk(x)−f(x)| ≥r }
とおく. 以下の問いに答えよ.
(1) 次の条件を満たす定数C > 0が存在することを示せ.
任意の r >0と k = 1,2,3,· · · に対し, µ(Ak(r))≤ C
r2 となる. (2) 任意の r >0に対し, lim
k→∞
∫
Ω\Ak(r)
|fk−f|dµ= 0 が成り立つことを示せ.
(3) lim
k→∞
∫
Ω
|fk−f|dµ= 0 が成り立つことを示せ.
6
実ベクトル空間X がノルム k · k で定まる位相をもち, K ⊂X は条件 ある r >0があって, {x∈X | kxk ≤r} ⊂K を満たすとする. p:X →R をp(x) = inf {
α >0 x α ∈K
}
(x∈X) と定める. 以下の問いに答えよ.
7
複素平面 Cと2次元ユークリッド空間 R2 を自然な対応 z =x+√−1y7→(x, y) で同 一視する. 複素平面 Cの開集合上で定義された C2 級の実数値関数w=w(x, y) が
∂2w
∂x2 +∂2w
∂y2 = 0
を満たすとき,調和関数であるという. 以下の問いに答えよ.
(1) f を正則関数とする. f の実部 u= u(x, y) と虚部 v =v(x, y) がそれぞれ調和関 数であることを示せ.
(2) 関数 u = u(x, y) を複素平面 C 上の調和関数とする. 原点 0 と複素数 z = x+
√−1y∈Cを結ぶ C∞ 級曲線を Cz とあらわす. このとき,関数
v(x, y) = v(z) =
∫
Cz
∂u
∂xdy−∂u
∂ydx
が曲線 Cz のとり方によらないことを示せ.
(3) 複素平面 C 上の調和関数 u = u(x, y) に対して v = v(x, y) を (2) のように定め る. このとき, f(x+√
−1y) = u(x, y) +√
−1v(x, y) が複素平面 C 上の正則関数 になることを示せ.
(4) C\ {0}上の実数値関数 u を
u(x, y) = log(x2+y2)
で定める. このとき, 関数 u は C\ {0} 上の調和関数であるが, u を実部に持つ C\ {0}上の正則関数は存在しないことを示せ.
8
A を次の性質 (i) (ii) を満たす関数f :R→R 全体のなす集合とする. { (i) f(1) = 1(ii) 任意の実数 r1, r2 に対して, f(r1+r2) =f(r1) +f(r2) となる. 以下の問いに答えよ.
(1) 任意の有理数q と f ∈A に対して, f(q) =q となることを示せ.
(2) 無理数 r を固定する. このとき,f(r) = 0 となる f ∈A が存在することを示せ. (3) A の部分集合 {f ∈A |f は, R のある点で不連続である} の濃度を求めよ.
9
E を, 2 次元ユークリッド空間 R2 内の線分からなる空でない有限集合とし, V を, E に属する線分の端点全体のなす, R2 の有限部分集合とする. E に属する任意の相異な る 2 つの線分が, 交わらないか, または双方の線分の端点の 1 つでのみ交わるとき, 組(V, E) を単純平面グラフと呼ぶことにする.
以下では (V, E) を単純平面グラフとし, Γ を E に属する線分全体の和集合とする. p
を 3 以上の整数とし,さらに (V, E) や Γが以下の (i)(ii)(iii) を満たすと仮定する. (i) Γ は連結である.
(ii) 任意の v ∈V に対して,v を端点とする, E に属する線分が 3 本以上ある.
(iii) R2\Γ の各連結成分の境界は, E に属するちょうど p本の線分の和集合となる.
このとき, 以下の問いに答えよ.
(1) |V| を, |E| と pで表せ. ここで |V|,|E| は,それぞれ V, E の元の個数である.
(2) p≤5を示せ.