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密教文化 Vol. 2000 No. 204 002有賀 匠「星曼荼羅と妙見菩薩の図像学的研究 P25-63」

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有 賀 匠 序 論 人 は 古 代 よ り 夜 空 に 光 る 星 を 神 と 崇 め、 星 が 人 の 運 命 を 支 配 す る と 考 え て き た。 星 が 人 の 人 生 に 影 響 を 与 え る と 考 え て い る 人 は 月 に 行 く こ と が で き る よ う に な っ た 現 代 で も 数 多 く、 密 教 寺 院 で は 星 宿 神 を 描 い た 星 曼 茶 羅 を 本 尊 と す る 星 供 (北 斗 供) が 今 も 盛 ん に 修 さ れ て い る。 古 く か ら 尊 敬 と 畏 怖 の 対 象 で あ っ た 星、 特 に 北 極 星、 北 斗 七 星、 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 が ど の よ う に 仏 教 に お い て 図 像 化 さ れ て き た の か、 そ し て 星 の 神 々 を 集 め た 星 曼 茶 羅 ( 北 斗 曼 茶 羅) が ど の よ う に 成 立 し た の か に つ い て 考 察 し た の が 本 論 で あ る。 ま ず、 第 一 章 で は 星 曼 茶 羅 の な か で は 最 も 数 が 多 い 北 斗 曼 茶 羅 の 成 立 と 星 曼 茶 羅 に 描 か れ る 星 宿 神 の 像 容 に つ い て 明 ら か に し た い。 延 命 や 息 災 を 願 っ て 修 さ れ る 星 供、 北 斗 供 の 本 尊 で あ る 北 斗 曼 茶 羅 は 日 本 に お い て 創 図 さ れ た と 考 え ら れ て お り、 そ の 成 立 に つ い て は 二 つ の 説 が あ る。 本 論 で は 特 に 九 曜 星 な ど の 星 宿 神 の 配 置 に 注 目 し て 北 斗 曼 茶 羅 の 成 立 を 論 じ た い。 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 第 二 章 は 北 極 星 を 神 格 化 し た 妙 見 菩 薩 に つ い て み て い き た い。 妙 見 菩 薩 は 奈 良 時 代 よ り 朝 廷 貴 族 か ら 一 般 庶 民 ま で あ ら ゆ る 人 々 の 信 仰 を 集 め て き た。 こ の 妙 見 菩 薩 の 信 仰 に つ い て ま と め た 後 に、 多 種 多 様 な そ の 像 容 に つ い て 明 ら か に す る。 特 に、 今 ま で 明 ら か に さ れ て い な か っ た 院 政 期 に 多 く 制 作 さ れ た と 思 わ れ る 片 足 を 上 げ た 妙 見 菩 薩 像 の 典 拠 に つ い て 解 明 し た い。 第 一 章 星 曼 茶 羅 第 一 節 古 代 ア ジ ア に お け る 星 宿 信 仰 古 来 よ り 暗 い 夜 空 の な か で 光 り 輝 く 星 は、 世 界 各 国 で 畏 怖 の 目 で 見 ら れ 神 と し て 崇 め ら れ て き た。 ま た 星 は 神 と し て 崇 拝 さ れ る だ け で な く、 星 の 力 ・ 動 き を 神 の 意 志 と し て と ら え、 星 が あ ら ゆ る 地 上 の 現 象 に 対 し て 影 響 力 を も つ と さ れ 占 星 術 が う ま れ た。 た と え ば、 と き お り 起 き る 日 食 ・ 月 食 や 彗 星 は 戦 争 ・ 疫 病 ・ 飢 饒 の 前 兆 と し て、 ま た、 星 の な か で も 特 異 な 動 き を 見 せ る 五 惑 星 (火 ・ 水 ・ 木 ・ 金 ・ 土) が 東 や 西 を さ ま よ う 現 象 は、 星 に 宿 る 神 や 霊 が 吉 凶 を し め (1) し て い る の だ と 考 え ら れ て い た。 星 の 中 で も 北 極 星 (dhruva)、 北 斗 七 星 (saptarsi)、 九 曜 星 ( 九 執・nava-graha)、 (2)(3) 十 二 宮 (rasi)、 二 十 八 宿 (naksatra) は 特 に 崇 拝 と 観 察 の 対 象 と な っ た。 日 本 人 は も と も と あ ま り 星 に 対 し て 関 心 を も っ て い な か っ た が、 推 古 天 皇 十 年 (六 〇 二) の 百 済 僧 観 勒 に よ る 暦 本 ・ 天 文 学 ・ 遁 甲 方 術 書 の 移 入 や 遣 唐 使 の 派 遣 以 降、 星 宿 信 仰 と 密 接 な 関 係 を も つ 中 国 陰 陽 思 想 の 影 響 を う け て 星 宿 に 対 す る 考 え 方 は 大 き く 変 わ っ た。 古 代 日 本 に お け る 星 宿 信 仰 は 陰 陽 思 想 を 基 礎 と す る も の で あ っ た が、 平 安 時 代 に な る と 新 し い 星 の 知 識 が 日 本 に 伝 わ っ た。 そ

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れ は、 空 海 以 降 密 教 と と も に に 伝 え ら れ た イ ン ド と 西 洋 の 占 星 術 ・ 天 文 学 ・ 星 宿 信 仰 で あ る。 こ れ ら の そ れ ま で に は な か っ た 新 し い 要 素 は や が て、 そ れ ま で あ っ た 古 い 要 素 と 混 じ り 合 っ て 平 安 時 代 中 期 に 新 し い 星 宿 信 仰 の 形、 北 斗 曼 茶 羅 を 生 ん だ の で あ る。 第 二 節 星 曼 茶 羅 の 成 立 と 展 開 先 に 書 い た よ う に 密 教 が 日 本 に 伝 え ら れ る 前 の 星 宿 に 関 す る 知 識 は 中 国 か ら も た ら さ れ た も の で あ り、 占 星 術 や 星 を 祭 る 儀 式 も 中 国 に な ら っ た。 し か し、 奈 良 時 代 に は 雑 部 密 教 と と も に 中 国 以 外 の 宿 曜 に 関 す る 経 典 で あ る 竺 律 炎、 支 謙 訳 ﹃ 摩 登 伽 経 ﹄ (大 正 新 脩 大 蔵 経 第 二 一 巻、 三 九 九-四 一 〇 頁)、 竺 法 護 訳 ﹃ 舎 頭 諌 太 子 二 十 八 宿 経 ﹂ ( 大 正 蔵 第 二 (4) 一 巻、 四 一 〇-四 一 九 頁) が 伝 わ っ て い る。 そ の 後 空 海 に よ っ て 密 教 が 日 本 に 伝 え ら れ る と、 以 後 密 教 経 典 と と も に 宿 (5) 曜 に 関 す る 経 典 も 数 多 く 請 来 さ れ た。 占 星 に 関 す る も の で は 不 空 訳 ﹃文 殊 師 利 菩 薩 及 諸 仙 所 説 吉 凶 時 日 善 悪 宿 曜 経 ﹄ (6)(7) (大 正 蔵 第 二 一 巻、 三 八 七-三 九 九 頁)、 ﹃ 都 利 皐 斯 経 ﹂、 ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 二 六-四 五 二 頁) な ど が あ り、 星 を 祭 る こ と で 不 祥 災 厄 を 除 く 修 法 で は 羅 践 陀 羅 訳 ﹃ 大 聖 妙 吉 祥 菩 薩 説 除 災 教 令 法 輪 ﹄ (大 正 蔵 第 一 九 巻、 三 四 二-三 四 七 頁)、 不 空 訳 ﹃ 仏 説 熾 盛 光 大 威 徳 消 災 吉 祥 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 大 正 蔵 第 一 九 巻、 三 一二 七-三 一二 九 頁) な ど が あ る。 こ の 他 (8) に も 占 星 法 や 星 宿 に 関 す る 修 法 を 説 く 経 典 は 多 い。 そ し て 時 代 が 下 る に つ れ て 星 に 関 す る 修 法 に 人 々 の 関 心 が 集 ま り、 修 法 の 本 尊 と し て 星 曼 茶 羅 が 描 か れ る よ う に な っ た。 こ の 星 曼 茶 羅 は 一、 釈 迦 金 輪 を 中 尊 と し て 周 囲 に 北 斗 七 星、 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 を 廻 ら す 北 斗 曼 茶 羅 二、 妙 見 菩 薩 を 中 尊 と し て 周 囲 に 北 斗 七 星、 十 二 支 神 を 廻 ら せ る 妙 (9)(10) 見 曼 茶 羅 ( 図 1) 三、 北 斗 七 星 を 中 心 と し た 道 教 色 の 強 い 終 南 山 曼 茶 羅 四、 降 臨 す る 熾 盛 光 仏 と 諸 星 を 描 い た 熾 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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(11) 盛 光 仏 降 臨 図 (図 2) に 分 類 で き る。 こ の 他 に も、 胎 蔵 (12) 曼 茶 羅 の よ う に 星 宿 神 を 配 す る 曼 茶 羅 は 多 い。 星 曼 茶 羅 の な か で 最 も 中 心 的 な も の は 北 斗 曼 茶 羅 で あ る が、 請 来 さ れ た 図 像 類 や 経 典 の な か に は 北 斗 曼 茶 羅 の 典 拠 と な る も の は み ら れ ず、 日 本 に お い て 北 斗 曼 茶 羅 が 成 立 し た と 思 わ れ る。 こ こ で は 北 斗 曼 茶 羅 が ど の よ う に 成 立 し た の か に つ い て み て い こ う。 こ の 北 斗 曼 茶 羅 に は 方 形 式 と 円 形 式 の 二 種 類 が あ り、 方 形 式 の 代 表 作 が 久 米 田 寺 本 ( 図 3)、 円 形 式 の 代 表 作 が 法 隆 寺 甲 本 ( 図 4) で あ る。 誰 が こ の よ う な 北 斗 曼 茶 羅 を 創 図 し た の か に つ い て ﹃ 玄 秘 抄 ﹄ 四 ( 大 正 蔵 第 七 八 巻、 四 一 四 頁) に は、 三 院 分 諸 星。 並 内 院 四 隅 安 十 二 宮 事 等。 依 香 隆 寺 伝。 即 天 暦 年 中。 於 内 裏 被 勧 行 曼 茶 羅 大 略 如 此。 但 二 十 八 宿 次 第 依 孔 雀 経 図 之。 と あ り、 ﹃ 覚 禅 紗 ﹄ 一 〇 一 北 斗 法 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 五 巻、 四 〇 二 頁) に は、 図2 奈良蛮之坊 熾盛光仏頂大威徳消災吉祥陀羅尼経見返絵(『 日本の美術 三七七 妙見菩薩 と星曼茶羅』35頁、『星曼茶羅の研究』図11) 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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-29-密

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星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究 図4 奈 良 法 隆 寺北 斗 曼茶 羅(甲 本)

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密 教 文 化 謹 師 記 云。 金 剛 寿 院 法 眼 被 示 云。 北 斗 丸 曼 茶 羅。 台 山 慶 円 座 主 廻 案 図 絵 也。 と あ っ て、 方 形 式 は 東 密 広 沢 流 の 香 隆 寺 大 僧 正 寛 空 が 天 暦 年 中 (九 四 七-九 五 七) に、 円 形 式 は 延 暦 寺 の 天 台 座 主 慶 円 が 十 世 紀 末 か ら 十 一 世 紀 初 期 に 創 図 し た と さ れ、 方 形 式 が 先 に 成 立 し た こ と に な る。 で は、 寛 空 は 何 を 根 拠 と し て 北 斗 曼 茶 羅 を 創 図 し た の だ ろ う か。 そ れ に つ い て 武 田 和 昭 氏 は、 熾 盛 光 曼 茶 羅 を も (13) と に し て 創 図 し た と い う 見 解 を 示 さ れ た。 こ の 熾 盛 光 曼 茶 羅 と は、 天 変 の 際 の 息 災 に 効 果 が あ る と さ れ る 熾 盛 光 法 の 本 尊 で あ る。 熾 盛 光 法 の 主 要 儀 軌 で あ る ﹃ 大 聖 妙 吉 祥 菩 薩 説 除 災 教 令 法 輪 ﹄ が 円 仁 に よ っ て 承 和 十 四 年 ( 八 四 七) に 請 来 さ れ 嘉 祥 二 年 ( 八 四 九) に 鎮 護 国 家 の た め に 熾 盛 光 法 を 初 め て 修 法 す る と そ の 後、 天 変 時 に 山 門 僧 侶 に よ っ て 熾 盛 光 法 図5 七 十 天 図(『 阿娑 縛 抄 』 一 六九(大 正 蔵 図 像 篇 第 九 巻、549頁))

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を 修 法 す る こ と が 恒 例 化 し、 台 密 に と っ て 重 要 な 秘 法 の 一 つ と な っ た。 こ の 熾 盛 光 法 の 本 尊 で あ る 熾 盛 光 曼 茶 羅 に は 懸 曼 茶 羅 と 敷 曼 茶 羅 の 二 種 類 が あ り、 そ の う ち の 敷 曼 茶 羅 の 構 造 は 第 一 院 に 八 葉 蓮 華 中 央 に ボ ロ ン 字 を 梵 字 で 書 き、 八 葉 蓮 弁 中 に 熾 盛 光 仏 頂、 毘 倶 砥、 金 剛 手、 観 自 在、 仏 眼 仏 母、 不 思 議 慧、 文 殊、 救 護 慧 を 表 す。 第 二 院 に 九 曜 星、 大 梵 天、 浄 居 天、 那 羅 延 天、 都 使 多 天、 帝 釈 天、 摩 醗 首 羅 天、 第 三 院 に 十 二 宮、 二 十 八 宿、 第 四 院 に 八 方 天、 外 周 に 四 大 明 王 を 配 す る と い う も の で 北 斗 曼 茶 羅 と 同 じ く 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 を 描 い て い る。 武 田 氏 は こ の 熾 盛 光 曼 茶 羅 を も と に し て 作 ら れ た ﹃ 阿 娑 縛 抄 ﹄ 一 六 九 (大 正 蔵 図 像 篇 第 九 巻、 五 四 九 頁) の 七 十 天 図 ( 図 5)、 平 等 房 永 厳 の 七 十 天 図 を も と に し て 作 ら れ た 静 然 撰 ﹃ 行 林 抄 ﹄ 七 一 (大 正 蔵 第 七 六 巻、 四 五 六 頁) の 北 斗 曼 茶 羅 と 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 を 比 較 し、 永 厳 は 寛 空 の 後 輩 に あ た る た め 時 代 は 前 後 す る が、 熾 盛 光 曼 茶 羅 か ら 七 十 天 図、 ﹃ 行 林 抄 ﹄ の 北 斗 曼 茶 羅、 そ し て 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 と い う 変 遷 過 程 が 指 摘 で き る と さ れ て い る。 こ れ に 対 し て 林 温 氏 は、 寛 空 と 同 時 代 の 石 山 内 供 淳 祐 が 著 し た ﹃ 要 尊 道 場 観 ﹄ 巻 下 北 斗 道 場 観 ( 大 正 蔵 第 七 八 巻、 五 五-五 七 頁) に、 壇 上 有 叉 字 成 宝 宮 殿。 其 中 有 妙 壇 場。 其 上 有 七 荷 葉 座。 其 座 上 有 七 で 字 成 星。 星 変 成 北 斗 七 星。 相 好 威 儀 円 満。 九 曜 二 十 八 宿 等 前 後 園 続。 と あ る、 北 斗 道 場 観 を 図 化 す れ ば 北 斗 曼 茶 羅 に 近 い 図 様 に な る こ と か ら、 ﹃ 要 尊 道 場 観 ﹂ や 同 じ く 道 場 観 を 説 く 一 行 (14) 撰 述 ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 法 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 五 七-四 五 九 頁) を も と に し て 創 図 し た と さ れ て い る。 こ こ で も う 一 度、 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 の 構 造 を 詳 し く み て み よ う。 中 尊 釈 迦 金 輪 の 周 囲 に 西 南 か ら 右 回 り に 貧 狼 星、 巨 門 星、 禄 存 星、 文 曲 星、 廉 貞 星、 武 曲 星、 破 軍 星 の 順 に 北 斗 七 星 を 廻 ら し、 北 西 の 隅 の 羊 宮 か ら 右 回 り に 十 二 宮 を、 南 に 土 曜 星 を 配 す る。 第 一 重 に は 北 に 水 曜 星、 北 東 に 日 曜 星、 東 に 木 曜 星、 南 東 に 羅 喉 星、 南 に 火 曜 星、 南 西 に 計 都 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 星、 西 に 金 曜 星、 北 西 に 月 曜 星 を、 第 二 重 に は 北 東 の 昴 宿 か ら 右 回 り に 二 十 八 宿 を 配 し て い る (図 6)。 こ の 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 と 熾 盛 光 曼 茶 羅、 七 十 天 図 に は い く つ か の 構 造 上 の 違 い が あ る が、 そ の 中 の 一 つ に 七 曜 星 の 配 置 の 違 い が あ る。 熾 盛 光 曼 茶 羅、 七 十 天 図 の 七 曜 星 の 配 置 は 日、 月、 火、 水、 木、 金、 土 と い う 曜 日 の 順 序 に な っ て い る の に 対 し て、 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 で は 北 ー 水、 東 -木、 南 -火、 西 -金、 中 央 -土 と い う よ う に 陰 陽 五 行 説 に 従 っ て い る。 ま た 熾 盛 光 曼 茶 羅 の 十 二 宮、 二 十 八 宿 の 配 置 は 左 周 り な の に 対 し て、 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 で は 右 周 り で あ り、 こ れ は 胎 蔵 曼 茶 羅 の 十 二 宮、 二 十 八 宿 の 配 置 と 同 じ で あ る。 特 に 胎 蔵 曼 茶 羅 の 十 二 宮 は 東 1 羊、 牛、 夫 妻 宮 北 -蟹、 師 子、 女 宮 西 ー 秤、 蜴、 弓 宮 南 1 磨 端、 瓶、 魚 宮 と い う よ う に 三 宮 つ つ 配 さ れ る が、 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 も 同 じ よ う に 三 宮 つ つ 配 置 し て い る。 以 上 の こ と か ら 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 の 成 立 は 次 の よ う に 考 え ら れ る。 当 時、 山 門 で は 熾 盛 光 法、 寺 門 で は 尊 星 王 法 (妙 見 法) と い う よ う に 台 密 で は 星 を 祭 る 修 法 が 行 わ れ、 星 に 関 す る 修 法 に 人 々 の 関 心 が 集 ま っ て い た。 そ こ で 東 密 独 自 の 修 法 で あ る 北 斗 法 を 勧 修 す る た め に、 寛 空 は 諸 星 の 王 と し て 一 字 金 輪 を 中 尊 に す え、 そ の 周 囲 を ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 図6 寛空様北斗曼茶羅

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図9 法隆寺本系北斗曼茶羅 図7慶 円様 北斗曼茶羅 図8 寛助 様北斗曼茶羅 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 法 ﹄、 ﹃ 要 尊 道 場 観 ﹄、 胎 蔵 曼 茶 羅 な ど を 参 考 に し て 北 斗 七 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 を 配 す る 曼 茶 羅 を 創 図 し た。 し か し、 胎 蔵 曼 茶 羅 の 九 曜 星 の 配 置 は 北 ー 金 曜 星 東 ー 日 曜 星、 計 都 星 南 ー 羅 喉 星、 木 曜 星、 火 曜 星 西 ー 土 曜 星、 月 曜 星、 水 曜 星 と い う も の で、 四 方 に 等 し く 数 を 配 す る こ と が で き な い た め 五 星 は 陰 陽 五 行 説 を も と に し て 配 し、 他 の 四 星 は 四 隅 に す え た。 こ の よ う に し て 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 は 成 立 し た と 思 わ れ る。 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 成 立 の 後、 円 形 式 の 慶 円 様 北 斗 曼 茶 羅、 方 形 式 の 寛 助 様 北 斗 曼 茶 羅、 円 形 式 の 法 隆 寺 本 系 北 斗 曼 (15) 茶 羅 が 登 場 し た。 慶 円 様 北 斗 曼 茶 羅 は 東 密 の 北 斗 法 を う け て 成 立 し た も の で、 九 曜 星 の 配 置 は 寛 空 様 と 同 じ く 陰 陽 五 行 説 に よ る が、 円 形 式 で あ る こ と や 十 二 宮、 二 十 八 宿 の 配 置 は 熾 盛 光 曼 茶 羅 を も と に し て い る ( 図 7)。 寛 助 様 北 斗 曼 茶 羅 は 東 密 広 沢 流 の 寛 助 に よ っ て 白 河 法 王 の 御 治 世 ( 一 〇 八 六-一 一 二 九) に 制 作 さ れ た 北 斗 曼 茶 羅 で、 久 米 田 寺 本 な ど 現 在 み ら れ る 方 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 は ほ と ん ど が 寛 助 様 で あ る。 寛 助 様 北 斗 曼 茶 羅 は 北 斗 七 星 が 中 尊 の 下 部 に 天 空 上 の 配 列 と 同 じ 様 に 並 ぶ こ と や、 十 二 宮、 二 十 八 宿 の 並 び 方 が 左 回 り で あ る こ と な ど 台 密 の 慶 円 様 北 斗 曼 茶 羅 の 影 響 が み ら れ る ( 図 8)。 法 隆 寺 本 系 北 斗 曼 茶 羅 は 十 二 世 紀 中 期 以 前 に 成 立 し た も の で、 他 の 北 斗 曼 茶 羅 が 北 に 瓶 宮 と 虚 (16) 宿 を 配 す る の と は 違 い、 北 に 師 子 宮 と 星 宿 を 配 し て い て 並 び 方 は 寛 空 様 と 同 じ 右 回 り で あ る ( 図 9)。 上 之 坊 蔵 熾 盛 光 仏 頂 大 威 徳 消 災 吉 祥 陀 羅 尼 経 見 返 絵 も 北 に 師 子 宮 と 星 宿 を 配 し て い る の で、 こ の よ う な 宋 本 の 熾 盛 光 仏 降 臨 図 の 影 (17) 響 を う け て 成 立 し た と さ れ る。 第 三 節 北 斗 曼 茶 羅 に 描 か れ る 北 斗 七 星、 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 に つ い て ( 一) 北 斗 七 星

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北 斗 七 星 は 大 熊 座 の 一 部、 柄 杓 型 の 七 つ の 星 で あ り、 イ ン ド で は 北 斗 七 星 の こ と を ﹁ 七 人 の 聖 者 ﹂ (saptarsi) と 呼 び、 師 匠 で あ る 北 極 星 (dhruva) の 命 に 従 っ て 回 転 す る と さ れ る。 七 人 の 聖 者 の 名 前 は 大 熊 座 (18) α星、 枡 の 口 の 方 か ら ク ラ ト ゥ ( 貧 狼 星)、 プ ラ ハ (巨 門 星)、 プ ラ ス テ ィ ヤ ( 禄 存 星)、 ア ト リ ( 文 曲 星)、 ア ン ギ ラ ス ( 廉 貞 星)、 ヴ ァ シ シ ュ タ (武 曲 星)、 マ リ ー チ ( 破 軍 星) と 呼 ば れ、 こ の う ち 最 高 の 聖 人 で あ る ヴ ァ シ シ ュ タ に は 信 仰 の 厚 い 女 人 ア ル ン ダ テ ィ ー ( 輔 星) が 寄 り 添 っ て い る。 た だ し、 イ ン ド は 赤 道 に 近 い た め 北 斗 七 星 は 天 の 低 い 位 置 に 姿 を 現 し、 あ ま り 重 要 視 さ れ な か っ た。 こ れ に 対 し て 中 国 で は 天 帝 の 乗 る 車、 陰 陽 の 調 和 を 保 ち、 春 夏 秋 冬 の 季 節 の 移 り 変 わ り や 五 行 の 作 用 を 整 え る も の と し て と て も 尊 ば れ た。 ま た 南 斗 が 人 の 誕 生 を、 北 斗 が 人 の 死 を 記 録 す る と さ れ、 人 々 は 北 斗 に 延 (19) 命 を 祈 願 し た と い う。 仏 教 経 典 の な か に も 北 斗 七 星 に 関 す る 経 典 は 多 く 一 行 撰 ﹃ 宿 曜 儀 軌 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 二 二-四 二 一二 頁)、 金 剛 智 訳 ﹃ 北 斗 七 星 念 請 儀 軌 ﹂ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 二 一二-四 二 四 頁)、 婆 羅 門 僧 将 到 此 経 唐 朝 受 持 ﹃ 仏 説 北 斗 七 星 延 命 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 二 五-四 二 六 百 ○、 一 行 撰 ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 法 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 五 七-四 五 九 頁) な ど が 図10『 仏 説 北 斗 七 星 延 命 経 』 所 載 図(大 正 蔵 第二 十一 巻、425頁) 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 あ る。 こ れ ら の 多 く は 金 剛 智 訳、 一 行 撰 と な っ て い る が、 中 晩 唐 期 に 道 教 の 影 響 を 受 け て 作 ら れ た 偽 経 の 可 能 性 が 高 ( 20) い。 (21) さ て、 こ れ ら 北 斗 七 星 の 像 容 は 一、 天 部、 菩 薩 形 ( ﹃ 火 羅 図 ﹄、 七 星 如 意 輪 曼 茶 羅 な ど) 二、 唐 服 を 着 た 執 笏 載 冠 の 男 性 形 (北 斗 曼 茶 羅 な ど) 三、 女 人 形 ( ﹃ 北 斗 七 星 延 命 経 ﹄ 所 載 図 (図 10)、 終 南 山 曼 茶 羅 な ど) 四、 夜 叉 形 (妙 見 曼 茶 羅 な ど) に 分 け ら れ る。 ま ず 天 部 形、 菩 薩 形 で 描 か れ て い る の は ﹃ 火 羅 図 ﹂ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 七 〇 一-七 〇 二 頁) や 七 星 如 意 輪 曼 茶 羅 の 北 斗 七 星 ( ﹃ 曼 茶 羅 集 ﹄ 下 七 星 如 意 輪 曼 茶 羅 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 四 巻、 二 六 九 頁)、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 一 八 如 意 輪 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 二 一二 〇-二 三 一 頁) な ど) で あ る。 火 羅 図 で は 北 斗 七 星 は 図 の 最 上 部 に、 向 か っ て 右 か ら 貧 狼 星、 巨 門 星、 禄 存 星、 文 曲 星、 廉 貞 星、 武 曲 星、 破 軍 星 が 並 ん で い て、 そ の 像 容 は 髪 を 結 う 天 部 形 で あ る。 七 星 如 意 輪 曼 茶 羅 は ﹃ 七 星 如 意 輪 秘 密 要 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 〇 巻、 二 二 四-二 二 五 頁) を 典 拠 と す る 撰 災 の た め に 修 さ れ る 七 星 如 意 輪 法 の 本 尊 で、 ﹃ 七 星 如 意 輪 秘 密 要 経 ﹄ に、 中 央 造 五 色 輪 象 如 車 輪。 或 十 道 或 十 二 道。 輪 約 問 書 波 折 羅 相。 輪 輻 上 亦 爾。 中 央 安 如 意 輪 王 菩 薩。 一 一 輻 問 七 星 像 及 詞 利 低 母。 と あ り、 八 輻 輪 の 中 心 に 如 意 輪 観 音 を 描 き、 輻 の 問 に 天 の 北 斗 七 星 と 地 の 詞 利 帝 母 を 配 す と さ れ る。 北 斗 七 星 の 像 容 は ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 如 意 輪 曼 茶 羅 其 三 で は 荷 葉 座 に 坐 す 菩 薩 形、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 如 意 輪 曼 茶 羅 其 四 で は 観 饒 座 に 坐 す 天 部 形 で、 特 に ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 如 意 輪 曼 茶 羅 其 四 の 像 容 は 火 羅 図 に 近 い。 次 の 唐 服 を 着 た 執 笏 載 冠 の 男 性 形 は 多 く の 北 斗 曼 茶 羅 で み ら れ る 像 容 で あ る。 法 隆 寺 甲 本、 久 米 田 寺 本 の 北 斗 七 星

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は、 貧 狼 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形 が 坐 し、 周 囲 に 四 神 (玄 武、 青 龍、 朱 雀、 白 虎) を 描 く、 巨 門 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形 の 前 に 男 女 が 坐 す、 禄 存 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形 の 前 に 男 三 人 が 坐 す、 文 曲 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形、 廉 貞 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形、 武 曲 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形 の 上 に 日、 月 と 雲 を 描 く、 破 軍 星 -執 笏 載 冠 の 男 性 形 の 周 り に 男 三 人 が 坐 す、 と い う も の で 久 米 田 寺 本 で は 武 曲 星 の 横 に 執 笏 載 冠 の 男 性 形 で 輔 星 が 描 か れ て い る。 御 物 本、 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 を 除 く 他 の 北 斗 曼 茶 羅 も、 ほ ぼ 法 隆 寺 甲 本、 久 米 田 寺 本 と 同 じ 像 容 で あ る。 次 に、 北 斗 七 星 を 女 人 形 で 描 い た も の と し て は ﹃ 仏 説 北 斗 七 星 延 命 経 ﹄ 所 載 図 (大 正 蔵 第 二 十 一 巻、 四 二 五 頁) が あ る。 ﹃ 仏 説 北 斗 七 星 延 命 経 ﹄ 所 載 図 の 像 容 は 七 星 と も 垂 髪 執 笏 し た 女 性 形 で、 輔 星 は 唐 服 を 着 て 撲 手 し た 男 性 形 で あ る。 ま た、 漢 の 武 帝 (松 尾 寺 本、 道 隆 寺 本 で は 明 帝 と さ れ る) が 終 南 山 で 遊 ん だ と き に 北 斗 七 星 の な か の 文 曲 星 に (22) 会 い、 人 の 生 命 が 北 斗 七 星 に よ っ て 決 め ら れ る こ と を 告 げ ら れ る、 と い う 終 南 山 遇 斗 説 話 を も と に 描 か れ た 松 尾 寺、 道 隆 寺 蔵 終 南 山 曼 茶 羅 も 北 斗 七 星 を 垂 髪 の 女 人 形 で 表 し て い る。 夜 叉 形 は ﹃ 別 尊 雑 記 ﹂ 四 八 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 三 二 頁)、 個 人 蔵 の 妙 見 曼 茶 羅 (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 六 九 三 百 ○ に み ら れ る も の で、 ﹃ 覚 禅 砂 ﹄ 一 〇 〇 尊 星 王 (大 正 蔵 図 像 篇 第 五 巻、 三 九 八 頁) に は、 尊 星 王 軌 云。 富 中 央 書 大 月 輪。 中 董 菩 薩 像。 ⋮ 又 書 七 小 月 輪。 北 斗 七 星 神 形 為 内 院 衆。 西 南 書 貧 狼 星 ⋮ 西 垂 巨 門 星 ⋮ 西 北 禄 存 星。 ⋮ 次 北 方 月 輪 豊 文 曲 星。 ⋮ 東 北 月 輪 書 廉 貞 星。 ⋮ 東 方 月 輪 書 武 曲 星。 ⋮ 次 東 南 月 輪 垂 破 軍 星。 ・ 是 諸 星 皆 作 夜 叉 形。 と あ り、 ま た ﹃ 白 宝 口 抄 ﹄ 一 五 六 (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 三 〇 四 頁) に は こ の よ う な 夜 叉 形 の 北 斗 七 星 が ﹃ 妙 見 菩 薩 神 呪 経 ﹄ に も と つ い て い る こ と が 書 か れ て い る。 こ れ ら ﹃ 尊 星 王 軌 ﹄、 ﹃ 妙 見 菩 薩 神 呪 経 ﹄ を も と に 描 か た の が 妙 見 曼 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 茶 羅 で、 夜 叉 形 の 北 斗 七 星 は 坐 し て 日 輪、 月 輪、 宝 珠、 剣 な ど を 持 っ て い る。 北 斗 曼 茶 羅 で は 御 物 本 と 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 の 北 斗 七 星 は 夜 叉 形 で、 こ れ ら は 個 人 蔵 妙 見 曼 茶 羅 に 描 か れ る 北 斗 七 星 と 同 じ 像 容 で あ る こ と か ら 妙 見 曼 茶 羅 (23) の 影 響 を う け た と 推 察 さ れ て い る。 ( 二) 九 曜 星 太 陽 ・ 月 ・ 五 惑 星 は 古 来 よ り 観 測 さ れ、 神 と し て 崇 拝 さ れ て き た。 仏 教 に お い て も そ の こ と に は 変 わ り が な く 七 曜 星 ・ 九 曜 星 な ど の 星 々 が 仏 典 の 中 に 登 場 す る。 漢 訳 仏 典 の な か で 七 曜 星 を 説 く も の と し て ﹃ 摩 登 伽 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 〇 五 頁)、 ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹂ (大 正 蔵 第 一 三 巻、 三 七 三 頁)、 ﹃ 宿 曜 経 ﹂ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 三 九 一 頁)、 九 曜 を 説 く も の と し て ﹃ 仏 母 大 孔 雀 明 王 経 ﹄ ( 大 正 蔵 第 一 九 巻、 四 三 七 頁)、 ﹃ 大 方 広 菩 薩 蔵 文 殊 師 利 根 本 儀 軌 経 ﹄ ( 大 正 蔵 第 二 〇 巻、 八 四 六 頁) な ど が あ る。 九 曜 星 の こ と を 九 執 と い う が、 こ れ は イ ン ド で は 九 曜 星 の こ と を Navagraha (nava は 九、 graha は 執 る ・ つ か ま え る を 意 味 す る) と い う た め、 中 国 で は 九 執 と 訳 さ れ た。 九 曜 星 (九 執) と は、 日 曜 星 (太 陽 ・ Aditya)、 月 曜 星 (太 陰 ・Candra、Soma)、 火 曜 星 ( 榮 惑 ・Mangala、Angaraka)、 水 曜 星 ( 辰 星 ・Budha)、 木 曜 星 ( 歳 星 ・Brhaspati、 金 曜 星 ( 太 白 ・Sukra)、 土 曜 星 ( 鎮 星・Sani、Sanaiscara) 羅 喉 星 (Rahu) 計 都 星 (Ketu) (24) の こ と で あ る。 羅 喉 星 と 計 都 星 は 一 般 的 に 羅 喉 が 日 月 食 を 起 こ す 魔 物、 計 都 が 彗 星 を 表 わ す と さ れ る。 さ て、 こ の 九 曜 星 の 像 容 は 大 き く 一、 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 二 巻、 二 六 六-二 七 九 頁)、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ ( 大 正 (25) 蔵 図 像 篇 第 二 巻、 五 〇 六-五 六 〇 頁)、 現 図 曼 茶 羅 な ど の イ ン ド 起 源 の も の 二、 ﹃ 梵 天 火 羅 九 曜 ﹄ ( 大 正 蔵 第 二 一 巻、 (26) 四 五 九-四 六 二 頁)、 ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹄ ( 大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 四 九 頁)、 ﹃ 九 曜 星 図 像 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 七 三 七-七 四 八

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頁) な ど の 中 国 起 源 の も の 三、 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻 八 一 五-八 四 一 頁) の 三 つ に 分 け ら れ る。 ま ず 胎 蔵 曼 茶 羅、 北 斗 曼 茶 羅 の 九 曜 星 を み る 前 に、 イ ン ド の ナ ヴ ァ グ ラ バ の 像 容 を み て お こ う。 清 水 乞 氏 は 梵 語 文 献 の Dharmadhatuvagisvarmandala、Durgatiparisodhanamandal、Kriya II 、 ジ ャ イ ナ 教 の Jnanaprakasadiparnava、 ヒ ン ド ゥ ー 教 の Rupamandana に 説 か れ る ナ ヴ ァ グ ラ バ の 像 容 に つ い て 比 較 さ (27) れ て い る。 各 文 献 に よ っ て 若 干 の 像 容 の 違 い は あ る が、 だ い た い ア ー デ ィ テ ィ ヤ ー 日 輪 を 載 せ た 蓮 華 を 持 ち、 七 頭 の 馬 が 引 く 馬 車 に 乗 る チ ャ ン ド ラ ー 月 輪 を 載 せ た 蓮 華 を 持 ち 白 鳥 ( 十 頭 の 馬 が 引 く 馬 車) に 乗 る マ ン ガ ラ ー 人 間 ( 人 頭) と 剣 ( 金 図11 羅喉星(『胎蔵図像』(大正 蔵 図像篇第二巻、279頁)) 図12 ラ ー フ(ニ ュー デ リー 国立 美 術 館 蔵(「 占星 術 師 た ち の イ ン ド』132頁) 星 曼 奈 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 ( 金 剛) を 持 ち、 山 羊 に 乗 る ブ ダ i 弓 矢 を 持 ち、 蓮 華 に 坐 す ブ リ ハ ス パ テ ィ ー 数 珠 と 瓶 を 持 ち、 蛙 に 乗 る シ ュ ク ラ ー 数 珠 と 瓶 を 持 ち、 蓮 華 に 坐 す シ ャ ニ ー 棒 ( 棒 と 金 剛) を 持 ち、 亀 に 乗 る ラ ー フ ー 日、 月 を 持 つ、 上 半 身 ( 顔) の み ケ ー ト ゥ ー 蛇 索 と 剣 を 持 つ、 下 半 身 は 蟻 と い う よ う な 姿 と さ れ る。 イ ン ド で は こ の よ う な 像 容 で あ っ (29) (30) た ナ ヴ ァ グ ラ バ と 胎 蔵 曼 茶 羅 ( ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄、 現 図 曼 茶 羅) の 九 曜 星 を 比 較 す る と、 計 都 星 を 除 い て ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹂、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ の 像 容 は イ ン ド の ナ ヴ ァ グ ラ バ の 像 容 を よ く 伝 え て い る と い え る。 特 に 羅 喉 星 は ラ ー フ 像 と ほ ぼ 同 じ 像 容 を し て い る (図 11、 12)。 し か し、 現 図 曼 茶 羅 で は 日 曜 星、 月 曜 星 の 御 者 や 車 を 引 く 馬、 鵡 の 数、 五 (31) (32) (33) 星 の 持 物 な ど の 簡 略 化 や、 土 曜 星、 計 都 星 な ど の 中 国 的 な 変 化 が み ら れ る。 北 斗 曼 茶 羅 の な か で 胎 蔵 曼 茶 羅 の 九 曜 星 を 描 く も の は み ら れ な い が、 御 物 本 と 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 の 計 都 星 は 現 図 曼 茶 羅 の 計 都 星 ( 珠 の 付 い た 蓮 茎 を 持 つ 菩 薩 形) と 同 じ 像 容 で あ る。 次 に、 北 斗 曼 茶 羅 の 九 曜 星 の 像 容 を ま と め る と 日 曜 星 ー 日 輪 を 持 つ 菩 薩 形 が 五 頭 の 馬 に 乗 る、 月 曜 星 -月 輪 を 持 つ 菩 薩 形 が 五 羽 の 鵡 に 乗 る、 火 曜 星 1 赤 肉 身 で 一 面 四 腎 の 分 心怒 形 が 弓、 矢、 戟、 刀 を 持 つ、 水 曜 星-女 人 形 が 右 手 に 筆、 左 手 に 紙 を 持 つ、 木 星 ー 卿 相 形、 老 相 形 が 花 器 を 持 つ、 金 曜 星 1 女 人 形 が 琵 琶 を 持 つ、 土 曜 星 -右 手 に 杖 ま た は 錫 杖 を 持 つ 老 相 形 が 牛 に 乗 る、 羅 喉 星 -頭 部 に 九 匹 の 蛇 を 置 い た 三 面 の 分 心怒 形 が、 首 部 の み を 雲 中 か ら 出 す、 計 都 星-頭 部 に 三 匹 の 蛇 を 置 い た 三 面 の 葱 怒 形 が、 首 部 の み を 雲 中 か ら 出 す と い う 姿 で 表 さ れ て い る。 ま た、 中 国 に お い て (34) (35) も 大 英 博 物 館 蔵 熾 盛 光 仏 降 臨 図、 パ リ 国 立 図 書 館 蔵 熾 盛 光 仏 降 臨 図 の 五 星 も 同 様 の 姿 で あ る。 こ れ ら 北 斗 曼 茶 羅 に 描 か れ て い る 九 曜 星 の 典 拠 と な っ た の が ﹃ 梵 天 火 羅 九 曜 ﹂、 ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹂ で あ る。 ﹃ 梵 天 火 羅 九 曜 ﹂ の 像 容 は、 日 曜 星-(36) 鵡 の 冠 を 戴 き、 日 輪 を 持 つ 菩 薩 形 が 五 羽 の 鵡 に 乗 る 月 曜 星 -月 輪 を 持 つ 菩 薩 形 が 五 頭 の 馬 に 乗 る 火 曜 星-﹁ 神 形

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如 外 道。 首 戴 騙 冠。 四 手 兵 器 刀 刃 ﹂ 水 曜 星 1 ﹁其 神 状 婦 人。 頭 首 戴 猿 冠。 手 持 紙 筆 ﹂ 木 曜 星 1 ﹁其 神 形 如 卿 相。 著 青 衣。 載 亥 冠。 手 執 華 菓 ﹂ 金 曜 星 1 ﹁形 如 女 人。 頭 戴 酉 冠。 白 練 衣 弾 絃 ﹂ 土 曜 星-﹁其 形 如 婆 羅 門。 牛 冠 首 手 持 錫 杖 ﹂ 羅 喉 星-頭 部 に 三 匹 の 蜷 を 置 い た 三 面 の 分 心怒 形 が、 上 半 身 を 雲 中 か ら 出 す、 計 都 星-頭 部 に 九 匹 の 蛇 を 置 い た 三 面 の 葱 怒 形 が、 上 半 身 を を 雲 中 か ら 出 す と い う も の で あ り、 ﹃七 曜 壌 災 決 ﹄ も こ れ と ほ ぼ 同 じ 像 容 を 説 い て (38) い る。 ﹃ 梵 天 火 羅 図 ﹄ の 五 星 は そ れ ぞ れ 特 定 の 動 物 と 関 係 づ け ら れ て い る が、 こ の 関 係 は 六 世 紀 か ら 八 世 紀 に 描 か れ (39) た 大 阪 市 立 美 術 館 蔵 ﹃ 五 星 二 十 八 宿 神 形 図 ﹂ に も み ら れ、 少 な く と も 六 世 紀 頃 に は こ の よ う な 像 容 が 成 立 し て い た と (40) 思 わ れ る。 ま た、 こ の 他 の 七 曜 星、 九 曜 星 の 像 容 を 説 く ﹃ 九 曜 秘 暦 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 七 六 九-七 七 三 頁) (41) な ど の 他 の 経 典 の 像 容 も 一 部 を 除 い て 概 ね 一 致 す る。 一 致 し な い の は ﹃ 九 曜 秘 暦 ﹄ の 羅 喉 星、 計 都 星 と 七 曜 星 奥 図、 ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 二 六-四 二 七 頁) の 始 め の 部 分 に 説 か れ る 五 星 の 像 容 で あ る。 ま ず ﹃ 九 曜 秘 暦 ﹄ の 羅 喉 星、 計 都 星 の 像 容 は 羅 喉 星 -三 面 四 腎 の 葱 怒 形 が 日 輪、 月 輪、 剣、 天 部 形 を 持 ち、 牛 に 乗 る 計 都 星 -三 面 六 腎 の 分 心怒 形 が 日 輪、 月 輪、 人、 兎、 棒 を 持 ち、 龍 に 乗 る。 口、 四 腎、 両 足 に 蛇 が 巻 き 付 く と い う も の で、 こ の よ う な 羅 喉 星 と 計 都 星 は 東 寺 蔵 ﹃ 火 羅 図 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 六 九 六、 六 九 九 頁)、 醍 醐 寺 本、 親 王 院 本、 西 蓮 寺 本 北 斗 曼 茶 羅 に み ら れ る。 次 に ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹂ に は ﹃ 梵 天 火 羅 九 曜 ﹄ と ほ ぼ 同 じ 像 容 と、 ま っ た く 違 う 像 容 の 二 種 類 が 記 さ れ て い る。 そ の う ち の 後 者 は 日 曜 星 1 ﹁ 形 如 人 而 以 獅 子 頭。 人 身 著 天 衣 手 持 宝 瓶 而 黒 色 ﹂ 月 曜 星 1 ﹁ 形 如 天 女 著 青 天 衣 持 宝 剣 ﹂ 火 曜 星 1 ﹁ 形 如 象 黒 色 向 天 大 呼 ﹂ 水 曜 星 1 ﹁ 形 如 黒 蛇 有 四 足 而 食 蟹 ﹂ 木 曜 星 1 ﹁ 形 如 人 人 身 龍 頭。 著 天 衣 随 四 季 色 ﹂ 金 曜 星 ー ﹁ 形 如 天 女 手 持 印 騎 白 鶏 ﹂ 土 曜 星 1 ﹁ 形 如 婆 羅 門 騎 黒 沙 牛 ﹂ と い う 像 容 で、 こ の 記 述 を も と に し て 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 (42) 描 か れ た の が ﹃ 九 曜 秘 暦 ﹄ の 奥 図 で あ る。 水 曜 星 が 四 足 の 黒 蛇 の 姿 を し て い る の は 四 神 の う ち、 五 行 説 で 水 が 配 さ れ る 北 を 治 め る の が 玄 武 だ か ら だ ろ う か。 そ う 考 え る と、 木 曜 星 が 龍 頭 人 身 像 な の は 木 が 配 さ れ る 東 を 治 め る の が 青 龍 だ か ら と い う こ と に な る。 ま た、 金 曜 星 の 像 容 は ﹃ 五 星 二 十 八 宿 神 形 図 ﹄ の 太 白 星 の 像 容 に よ く 似 て い る こ と か ら、 少 な く と も 水 曜 星、 木 曜 星、 金 曜 星 は 中 国 に お い て 成 立 し た と 思 わ れ る。 こ の よ う な 像 容 で 描 か れ た 七 曜 星 は 北 斗 曼 茶 羅 に は み ら れ な い。 さ て、 唐 代 の ﹃ 梵 天 火 羅 九 曜 ﹄ や ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹄ な ど の 九 曜 星 像 は 時 代 が 下 り 宋 代 に な る と、 敦 煙 莫 高 窟 第 六 一 窟 熾 盛 光 仏 降 臨 図、 エ ル ミ タ ー ジ ュ 美 術 館 蔵 星 曼 茶 羅 図 な ど に み ら れ る よ う な 日 曜 星 -執 笏 載 冠 の 卿 相 形 月 曜 星-笏 を 持 つ 女 人 形 羅 喉 星、 計 都 星-頭 に 蛇 を 置 く 一 面 二 腎 の 葱 怒 形 が 剣 を 持 つ と い う よ う に 一 部 変 化 す る。 こ の よ (43) う な 宋 風 の 九 曜 星 は ﹃ 九 曜 星 図 像 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 七 三 七-七 四 八 頁) な ど に よ っ て 日 本 に 伝 わ り、 ボ ス ト ン (44) 美 術 館 蔵 九 曜 七 星 降 臨 図 な ど の 成 立 に 影 響 を 与 え た と さ れ る。 (45) ほ と ん ど の 北 斗 曼 茶 羅 の 七 曜 星 は ﹃ 梵 天 火 羅 図 ﹄ な ど の 像 容 に 従 っ て い る が、 御 物 本 と 醍 醐 寺 本 の 七 曜 は 菩 薩 形 が 獅 子、 馬、 象 な ど に 乗 る 姿 を し て い る。 こ れ は ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ に 描 か れ て い る 七 曜 星 を も と に し て い る と 考 え ら れ る。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 像 容 は 日 曜 星 1 左 手 に 日 輪、 右 手 に 蓮 華 を 持 つ 菩 薩 形 が 一 頭 の 馬 に 乗 り、 前 に 御 者 を 配 す 月 曜 星-右 手 に 蓮 華 を 持 つ 菩 薩 形 が 一 羽 の 鵡 に 乗 り、 前 に 御 者 を 配 す 火 曜 星-右 手 に 剣 を 持 つ 菩 薩 形 が 獅 子 に 乗 る 水 曜 星-太 刀、 剣、 法 輪、 蓮 華 を 持 つ 一 面 四 腎 の 菩 薩 形 が 髭 饒 座 に 坐 す 木 曜 星-左 手 に 水 瓶、 右 手 に 宝 珠 を 持 つ 菩 薩 形 が 牛 に 乗 る 金 曜 星-宝 珠、 棒、 戟 を 持 つ 菩 薩 形 が 観 饒 座 に 坐 す 土 曜 星-剣、 鉢、 戟 を 持 つ 菩 薩 形 が 象 に 乗 る と い う も の で あ る。 た だ し、 御 物 本 で は 月 曜 星 が 牛 に、 水 曜 星 が 龍 に、 金 曜 星 が 牛 に の る こ と や、 醍 醐 寺 本 で は 水 曜

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星、 金 曜 星、 土 曜 星 が 二 腎 で あ る こ と な ど の 相 違 点 も あ る。 こ の ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 日 曜 星、 月 曜 星 に ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ の 日 天、 月 天 と 同 じ よ う に 御 者 が み ら れ る こ と や、 イ ン ド の ナ ヴ ァ グ ラ バ に み ら れ る よ う な 獣 座 に 座 す こ と か ら ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ は イ ン ド 起 源 と 思 わ れ る。 ( 三) 十 二 宮 十 二 宮 と は バ ビ ロ ニ ア で 成 立 し た 十 二 星 座 の こ と で あ り、 こ の 十 二 星 座 は ギ リ シ ア 占 星 術 と と も に 紀 元 二-三 世 紀 (46) 頃 イ ン ド に 伝 わ っ た と さ れ る。 十 二 宮 が み ら れ る 経 典 と し て ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ 月 蔵 分 (大 正 蔵 第 一 三 巻、 二 九 八-三 八 ○ 頁)、 ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ 日 蔵 分 ( 大 正 蔵 第 一 三 巻、 二 三 三-二 九 七 頁)、 ﹃ 宿 曜 経 ﹂ 上、 下 巻 ( 大 正 蔵 第 二 一 巻、 三 八 七、 三 九 五 頁)、 ﹃ 文 殊 根 本 儀 軌 経 ﹂ (大 正 蔵 第 二 〇、 八 四 六-八 四 七 頁)、 ﹃難 禰 計 灘 嚇 曜 天 説 支 輪 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 (47) 四 六 一二-四 六 四 頁) な ど が あ る。 十 二 宮 の 名 称 は 経 典 に よ っ て 異 な る が、 こ こ で ﹃ 宿 曜 経 ﹄ に 説 か れ る 十 二 宮 の 名 称 と 梵 語 の 名 称 を あ げ る と 一、 羊 宮・mesa 二、 牛 宮・vrsa 三、 夫 妻 宮・mithuna 四、 蟹 宮・karkata 五、 獅 子 宮・simha 六、 女 宮・kanya 七、 秤 宮・tula 八、 蜴 宮・vrscika 九、 弓 宮・dhanus (dhanvin) 一 〇、 磨 端 宮・ makara (mrga) 一 一、 瓶 宮・kumbha 一 二、 魚 宮・mina と な り、 こ れ ら 十 二 宮 の 名 称 と 像 容 は 西 洋 十 二 星 座 を も と に し て い る が い く つ か 異 な る 点 も あ る。 夫 妻 宮 ( 男 女 宮) は 西 洋 で は 双 子 座 と 呼 ば れ 男 子 の 双 子 の 姿 を す る の に 対 し、 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ で は 一 体 が 相 手 の 肩 に 手 を 当 て て い る 二 体 の 菩 薩 形 と し、 現 図 曼 茶 羅 で は 東 方 の 牛 宮 の 右 に 菩 薩 形 を 一 体 で あ ら わ し て い る。 北 斗 曼 茶 羅 の な か で 胎 蔵 曼 茶 羅 と 同 じ よ う に 菩 薩 形 な の は 御 物 本 で、 他 の 多 く の 北 斗 曼 茶 羅 で は 唐 風 の 服 を 着 て 向 か 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 図13 摩 端(『 胎 蔵 図 像 』(大 正 蔵 図 像篇 第 二 巻、286頁)) 図14 摩 蜴(『 胎 蔵 旧 図 様 』(大 正 蔵 図 像 篇 第二 巻、559頁)) 図15 摩 端(『大 悲 胎 蔵 大 曼 茶羅 』(大 正-蔵 図 像 篇 第 一 巻、768頁))

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い 合 う 男 女 の 姿 を し て い る。 女 宮 は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄、 現 図 曼 茶 羅 と も に 菩 薩 形 が 一 体 で 変 化 が な い。 そ れ に 対 し て 北 斗 曼 茶 羅 で は 唐 風 の 服 を 着 た 二 人 の 少 女 が 描 か れ る。 こ れ は ﹃ 支 輪 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 六 一二 頁) な ど で 双 女 宮 と 漢 訳 さ れ た た (48) め と さ れ る。 御 物 本、 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 は 菩 薩 形 二 体 で そ の う ち の 一 体 が 相 手 の 肩 に 手 を あ て て お り、 同 じ 菩 薩 形 二 体 の 姿 を す る 夫 妻 宮 と 入 れ 違 っ た と 思 わ れ る。 秤 宮 は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 北 斗 曼 茶 羅 で は 秤 の み が 描 か れ、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ で は 菩 薩 形 が、 現 図 曼 茶 羅、 御 物 本、 東 寺 本、 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 で は 半 裸 の 老 人 が 秤 を 持 っ て い る。 同 じ 秤 で も ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄ の 秤 に は 台 が 無 い の に 対 し て、 北 斗 曼 茶 羅 で は 台 が あ る。 ま た、 宝 積 院 本 は 宮 殿 の 中 に 秤 を 置 い て い る。 弓 宮 は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ で は 上 半 身 は 人 身、 下 半 身 は 馬 と い う 姿 で 弓 と 矢 を 持 っ て い る。 こ れ は 西 洋 で 射 手 座 を 半 身 半 馬 の 姿 で 表 わ す こ と に よ る。 た だ し 西 洋 で は 四 足 な の に 対 し て ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ で は 二 足 で あ る。 現 図 曼 茶 羅、 御 物 本、 醍 醐 寺 本、 東 寺 本、 東 寺 宝 菩 提 院 旧 蔵 本 で は 左 手 に 弓、 右 手 に 矢 を 持 つ 青 年 相 に 変 化 し 下 半 身 は 馬 で は な く な る。 他 の 北 斗 曼 茶 羅 で は 弓、 も し く は 弓 と 矢 を 描 く。 宝 積 院 本、 敦 燈 莫 高 窟 第 六 一 窟 で は 馬 と 人 物 だ け で 弓 を 持 た な い が、 そ れ は ﹃ 根 本 儀 軌 経 ﹄ (大 正 蔵 第 二 〇 巻、 八 四 六 頁)、 ﹃ 支 輪 経 ﹄ ( 大 正 蔵 第 二 一 巻、 四 (49) 六 一二 頁) で は 弓 宮 を 人 馬 宮 と 訳 し た た め と さ れ る。 磨 端 宮 は イ ン ド に お い て 山 羊 (mrga) ま た は 鰐 (makara) と 呼 ば れ た。 こ の makara は 鯨、 象 と 鰐 と 魚 の 特 徴 を も つ 想 像 上 の 動 物 と も さ れ る。 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄ ( 図 13)、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ ( 図 14) で は 象 の 鼻 を も つ 怪 魚 の 姿 を し て い る が、 現 図 曼 茶 羅 (図 15)、 北 斗 曼 茶 羅 で は 象 の 鼻 は な く な り 胸 鰭 の 大 き な 怪 魚 に 表 わ さ れ て い る。 ま た 敦 捏 莫 高 窟 第 六 一 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 窟、 上 之 坊 本 で は 大 き な 鳥 の 姿 を し て い る。 敦 捏 の 磨 端 の 頭 部 を み て み る と、 上 の 階 は 象 の 鼻 の よ う に 太 く 長 く て 頭 に は 角 の よ う な も の が あ り、 こ れ は 象 の 鼻 が あ り 頭 に 角 の よ う な も の を も つ ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ の 磨 端 と 似 て い る。 ま た 敦 煙 本 の 身 体 に は 模 様 が 描 か れ て い な い が、 上 之 坊 本 で は 魚 の 鱗 の よ う な 模 様 が あ り 翼 を 大 き く 広 げ て い る。 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹂、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹂、 現 図 曼 茶 羅 を 比 べ て み る と 胸 鰭 は し だ い に 強 調 さ れ 大 き く な り、 ま た 現 図 曼 茶 羅 で は 上 に 向 か っ て 広 が っ て い る。 こ の 現 図 曼 茶 羅 の 磨 端 の 胸 鰭 を も う 少 し 大 き く し 体 を 細 く す れ ば 上 之 坊 本 に 近 い 姿 に な る こ と か ら、 こ の よ う な 鳥 の 姿 を し た 磨 端 は 想 像 上 の 動 物 で あ る 磨 端 が 伝 承 の 過 程 で 胸 鰭 が 強 調 さ れ、 鳥 の 翼 の よ う に な っ た た め 成 立 し た と 思 わ れ る。 最 後 に 魚 宮 は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄、 現 図 曼 茶 羅、 北 斗 曼 茶 羅 と も に 二 匹 の 魚 を 描 く。 た だ し、 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄、 法 隆 寺 甲 本 で は 二 匹 の 魚 は 同 じ 方 向 を 向 き、 現 図 曼 茶 羅、 久 米 田 寺 本、 御 物 本、 東 寺 本 で は 二 匹 の 魚 は 逆 方 向 を 向 い て い る。 西 洋 で は 二 匹 の 魚 は 逆 方 向 を 向 い て お り、 他 の 宮 の 像 容 は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ が 西 洋 の 像 容 に 近 か っ た の に 対 し て、 魚 宮 の 像 容 は 現 図 曼 茶 羅、 北 斗 曼 茶 羅 の ほ う が 西 洋 に 近 い と い え る。 十 二 宮 の 像 容 に つ い て み る と、 こ れ ら の な か で 西 洋 に 比 較 的 近 い の は ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ で あ り、 現 図 曼 茶 羅 を へ て 北 斗 曼 茶 羅 に な る と、 秤 宮 の 秤 に 台 が つ く こ と や 弓 宮 が 弓、 も し く は 弓 と 矢 の み 描 く こ と な ど ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ と 異 な る 点 が 多 く な る。 宋、 元 代 に 成 立 し た と さ れ る エ ル ミ タ ー ジ ュ 美 術 館 蔵 星 曼 茶 羅、 上 之 坊 本、 唐 本 北 斗 曼 茶 羅 図 に み ら れ る 十 二 宮 は、 女 宮 を 双 女 と す る こ と や 秤 宮 に 足 が あ る こ と、 弓 宮 が 弓 と 矢 で あ る こ と な ど 北 斗 曼 茶 羅 と 共 通 す る 点 が 多 く、 北 斗 曼 茶 羅 の 十 二 宮 の 像 容 は こ の よ う な 中 国 の 熾 盛 光 仏 降 臨 図 の 十 二 宮 を 参 考 に 描 か れ た と 考 え ら れ る。

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( 四) 二 十 八 宿 二 十 八 宿 は 前 に 述 べ た 通 り 白 道 上 に あ る 二 十 八 の 明 る い 恒 星 の こ と で あ る。 こ の 二 十 八 宿 の 像 容 は 大 き く 一、 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 二 巻、 二 八 ○-二 八 三 頁)、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ (大 正 蔵 第 二 巻、 五 四 二 頁、 五 四 五 頁、 五 五 九 頁、 五 六 一 頁)、 現 図 曼 茶 羅 な ど の 胎 蔵 曼 茶 羅 系 二、 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 参 考 図 像 M 二 三 -五 〇) 三、 ﹃ 五 星 二 十 八 宿 神 形 図 ﹄、 ﹃ 二 十 八 宿 図 像 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 七 七 六-八 ○ ○ 頁)、 上 之 坊 本 な ど の 中 国 で 成 立 し た 像 容 の 三 つ に 分 類 さ れ る。、 ま ず ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹄、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹄ の 二 十 八 宿 は 未 敷 蓮 華、 開 敷 蓮 華、 宝 珠、 独 鈷、 数 珠、 戟、 鈴、 皿 な ど を 持 つ 菩 薩 形 で、 像 容 は 各 宿 い ず れ も 違 っ て い る。 そ れ に 対 し て 現 図 曼 茶 羅 の 二 十 八 宿 は、 菩 薩 形 が 左 手、 右 手、 も し く は 両 手 で 宝 珠 を の せ た 蓮 茎 を 持 つ 像 が ほ と ん ど で 各 宿 に あ ま り 違 い が な い。 細 か く み れ ば 津 田 徹 英 氏 が 指 摘 し て い る よ う 図16 星 宿(『 護 摩 炉 壇 様 』(大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 参 考 図 像30、 『密 教 占星 法 』 下 巻、161頁))

宿

星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 (50) に 印 や 手 勢、 坐 り 方 が 各 宿 異 な っ て い る が、 ﹃ 胎 蔵 図 像 ﹂、 ﹃ 胎 蔵 旧 図 様 ﹂ と 比 べ る と 現 図 曼 茶 羅 の 二 十 八 宿 は 単 純 化 さ れ て い る。 北 斗 曼 茶 羅 の な か で 宝 積 院 本 は 現 図 曼 茶 羅 の 二 十 八 宿 を 描 い て い る。 次 に ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ ( 図 16) は 常 暁 に よ っ て 承 和 六 年 ( 八 三 九) に 請 来 さ れ た も の 範、 先 に ふ れ た と お り 七 曜 の 像 容 か ら イ ン ド 成 立 と 思 わ れ る。 そ の 像 容 は 菩 薩 形、 分 心怒 形、 老 相 形 が 観 謡 座、 獣 座 に 坐 す と い う も の で、 持 物 も 剣、 独 鈷、 戟、 宝 珠、 蓮 華、 水 瓶 な ど 多 種 多 様 で あ る。 こ こ で 特 徴 の あ る 宿 の 像 容 を あ げ る と 参 宿-四 腎 菩 薩 形 が 水 牛 に 乗 る 井 宿 -甲 冑 形 鬼 宿 -老 相 形 柳 宿-葱 怒 形 が 二 匹 の 蛇 を 持 つ 星 宿-菩 薩 形 の 横 に 一 侍 坐 す 琢 宿 -菩 薩 形 の 横 に 一 侍 が 坐 す 診 宿 -老 相 形 尾 宿-六 腎 の 菩 薩 形 牛 宿 -三 面 二 腎 の 菩 薩 形 女 宿 -四 腎 の 菩 薩 が 金 翅 鳥 に 乗 る 危 宿 -老 相 形 婁 宿-菩 薩 形 が 馬 に 乗 る な ど が あ る。 こ の 他 の 宿 は 二 腎 の 菩 薩 形 で 臨 號 座 に 坐 す が、 手 勢 や 持 物 が そ れ ぞ れ 異 な り 像 容 は す べ て 違 う。 北 斗 曼 茶 羅 の 二 十 八 宿 は 宝 積 院 本 を 除 い て こ の ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹂ を も と に し て (52) 描 か れ、 覚 鍵 上 人 の 法 弟 で あ る 謹 印 の 命 で 仁 平 三 年 ( 二 五 三) に 書 写 さ れ た と さ れ る 高 山 寺 蔵 ﹃ 廿 八 宿 図 ﹄ も、 張 宿 が ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ と 違 っ て 老 相 形 で あ る 点 を 除 い て 各 宿 の 像 容 は ほ ぼ ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ と 同 じ で あ る。 (53) 最 後 に ﹃ 五 星 二 十 八 宿 神 形 図 ﹄ な ど の 二 十 八 宿 は、 胎 蔵 曼 茶 羅、 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ と は 異 な る 特 異 な 像 容 を し て い る。 武 田 和 昭 氏 は 大 阪 市 立 美 術 館 蔵 ﹃ 五 星 二 十 八 宿 神 形 図 ﹄ の な か の 充 宿 ( 天 秤 を 持 つ)、 房 宿、 心 宿 (蝋 を 頭 に 載 せ る)、 牛 宿、 女 宿 ( 山 羊 頭 人 身 像)、 虚 宿 ( 大 き な 瓶 か ら 上 半 身 を 出 す) の 像 容 が そ の 宿 の 属 す る 十 二 宮 と 関 係 し て い る こ (54) と を 指 摘 さ れ て い る。 こ の よ う な 二 十 八 宿 は ﹃ 二 十 八 宿 図 像 ﹄、 上 之 坊 本 に も み ら れ、 西 洋 起 源 の 十 二 星 座 が 中 国 の 二 十 八 宿 像 に 影 響 を 与 え た こ と は、 非 常 に 興 味 深 い。

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第 二 章 妙 見 菩 薩 第 一 節 妙 見 菩 薩 の 信 仰 天 の 真 北 に あ る 不 動 の 星、 北 極 星 は 中 国 に お い て 天 を 支 配 す る 天 帝、 ﹁太 一 ﹂ と さ れ 重 要 視 さ れ た。 こ の 北 極 星 を (55) 仏 教 に お い て 尊 格 化 し た の が 妙 見 菩 薩 で あ る。 ﹃ 覚 禅 砂 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 五 巻、 三 九 七 頁) に ﹁ 宿 曜 問 答 云。 北 極 者 北 辰 也。 北 辰 者 妙 見 也。 妙 見 者 尊 星 王 也。 ﹂ と あ る よ う に、 妙 見 菩 薩 は 尊 星 王 や 北 辰 菩 薩 と も 呼 ば れ た。 そ の 名 前 の (56) 由 来 に つ い て ﹃七 仏 八 菩 薩 所 説 大 陀 羅 尼 神 呪 経 ﹄ 二 (大 正 蔵 第 二 一 巻、 五 四 六 頁) に は、 我 北 辰 菩 薩 名 日 妙 見。 今 欲 説 神 呪 擁 護 諸 国 土。 所 作 甚 奇 特 故 名 日 妙 見。 庭 於 閻 浮 提。 衆 星 中 最 勝。 神 仙 中 之 仙。 菩 薩 之 大 将。 光 目 諸 菩 薩。 畷 済 諸 群 生。 有 大 神 呪 名 故 奈 波 晋 言 擁 護 国 土 佐 諸 国 王 消 災 却 敵 莫 不 由 之 ⋮ 中 略 ⋮ 我 時 當 率 諸 大 天 王。 諸 天 帝 釈 伺 命 都 尉 天 曹 都 尉。 除 死 定 生 減 罪 増 福 益 算 延 寿。 白 諸 天 曹 差 諸 善 神 一 千 七 百。 濯 衛 国 界 守 護 国 土。 除 其 災 患 滅 其 姦 悪。 風 雨 順 時 穀 米 豊 熟。 疫 氣 消 除 無 諸 強 敵。 人 民 安 楽 称 王 之 徳。 と あ っ て、 諸 法 の 実 相 を 知 見 し 衆 生 界 に 向 か っ て 難 思 の 妙 用 を 垂 れ る た め に 妙 見 と い い、 祈 願 す れ ば 国 と 国 王 を 擁 護 し て 災 い を 除 き 罪 を 減 じ て 寿 命 を 延 ば す と さ れ る。 妙 見 菩 薩 を 説 く 経 典 と し て 他 に ﹃北 辰 菩 薩 陀 羅 尼 経 ﹄、 ﹃北 辰 妙 見 (57) 尊 星 王 菩 薩 所 説 陀 羅 尼 経 ﹄、 ﹃北 辰 妙 見 菩 薩 陀 羅 尼 成 就 功 徳 経 ﹄ な ど が あ り、 奈 良 時 代 に は ﹃北 辰 菩 薩 経 ﹄ (﹃ 七 仏 八 菩 (58) 薩 所 説 大 陀 羅 尼 神 呪 経 ﹄ の 妙 見 菩 薩 所 説 の 部 分 を 抜 き 出 し た も の と 思 わ れ る) が 日 本 に 伝 え ら れ た。 正 倉 院 文 書、 (59) ﹃ 南 天 竺 婆 羅 門 僧 正 碑 文 ﹄ に 妙 見 菩 薩 像 の 記 事 が み ら れ、 ﹃ 日 本 霊 異 記 ﹄ に は 妙 見 に 祈 願 を し て 盗 ま れ た 衣 を 取 り 返 し 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 た 話 ( 上 巻 第 三 四)、 変 化 し た 妙 見 が 盗 人 を 顕 し た 話 (下 巻 第 五)、 海 難 に あ っ た 漁 師 が 妙 見 に 祈 願 し て 命 を 救 わ れ た 話 ( 下 巻 第 三 二) が あ る こ と か ら、 奈 良 時 代 末 期 に は 妙 見 信 仰 が 庶 民 の あ い だ に ま で 広 が っ て い た と 思 わ れ る。 妙 見 菩 薩 は 国 家 的 な 災 厄 を 取 り 除 く と さ れ る が、 庶 民 の 闇 で は 航 海 安 全 と 失 せ 物 の 発 見 を 祈 願 す る 仏 と し て 崇 拝 さ れ て い た。 ま た 眼 病 の 治 癒 に も 効 験 が あ る と さ れ ﹃ 阿 娑 縛 抄 ﹄ 第 一 四 四 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 九 巻、 四 六 二 頁) に は、 一 院 住 云。 鳥 羽 御 目 御 祈。 依 入 道 殿 下 住 云。 宇 治 入 道 云 々 教。 於 平 等 院 僧 房。 被 修 妙 見 供。 ⋮ と あ り、 鳥 羽 上 皇 の 眼 病 治 癒 を 祈 念 し て 藤 原 忠 実 が 延 暦 寺 僧 に よ る 妙 見 供 を 計 画 し た と い う 話 が 記 さ れ て い る。 こ の 鳥 羽 上 皇 の 話 に 続 い て ﹁ 此 法 三 井 寺 秘 法 也。 尊 星 王 法 是 也。 ﹂ と あ っ て、 東 密 や 山 門 で は 妙 見 と 言 う の に 対 し て 三 井 寺 ( 園 城 寺) で は 尊 星 王 と 言 い、 尊 星 王 法 が 園 城 寺 独 自 の 修 法 で あ っ た こ と が わ か る。 尊 星 王 法 は 院 政 期 に 特 に 修 法 (60) さ れ た。 妙 見 菩 薩 を 信 仰 し た の は 公 家 や 庶 民 に 限 ら ず、 平 安 時 代 後 期 か ら 関 東 に は 妙 見 菩 薩 を 一 族 の 守 護 神 ( 弓 箭 神、 戦 勝 神) と す る 武 士 団 が 現 れ た。 妙 見 菩 薩 を 守 護 神 と し た 武 士 団 と し て 下 総 の 千 葉 氏 や 武 蔵 の 秩 父 氏 な ど が あ る。 特 に 千 (61) 葉 氏 は 妙 見 信 仰 を 武 士 団 形 成 に 利 用 し た と さ れ る。 ま た、 鎌 倉 時 代 末 期 以 降 日 蓮 宗 の 寺 院 で は ﹃ 法 華 経 ﹄ を 擁 護 す る 善 神 の 一 つ と し て 妙 見 菩 薩 が 祭 ら れ る よ う に な っ た。 身 延 久 遠 寺 の 日 乾 に よ っ て 開 山 さ れ た 無 漏 山 真 如 寺 ( 能 勢 妙 見) は 特 に 有 名 で あ る。 第 二 節 妙 見 菩 薩 像 に つ い て あ る 時 は 国 家 的 な 災 厄 を 除 く 仏、 ま た あ る 時 は 航 海 安 全 を 祈 願 す る 仏 や 一 族 の 守 護 神 と い う よ う に、 様 々 な 顔 を も

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つ 妙 見 菩 薩 は ﹃ 図 像 抄 ﹄ 十 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 二 頁) に ﹁ 本 朝 往 古 図 書 妙 見 形 像 非 一 途。 印 相 不 同。 ﹂ と (62) あ る よ う に、 多 種 多 様 な 像 容 が 知 ら れ て い る。 こ こ で ﹃ 図 像 抄 ﹄、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 七 九-五 八 八 頁)、 ﹃ 妙 見 菩 薩 図 像 集 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 六 六 六-六 八 五 頁) な ど に み ら れ る 妙 見 菩 薩 を ま と め る と 一、 菩 薩 形 が 北 斗 七 星 を 載 せ た 蓮 茎 を 持 つ 二、 一 面 四 腎 の 菩 薩 形 が 龍 に 乗 る ( 図 17) 三、 甲 冑 形、 童 子 形 が 剣 を 持 ち、 亀 の 上 に 立 つ と い う 三 種 類 に 分 類 で き る。 ま ず、 左 手 に 北 斗 七 星 を 載 せ た 蓮 茎 を 持 ち、 右 手 に 説 法 印 を 結 ぶ 菩 薩 形 は ﹃ 図 像 抄 ﹄ 十 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 参 考 図 像 一 三 一)、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 八 二 頁) な ど に み ら れ る も の で、 ﹃ 図 像 抄 ﹄ に は、 殿 中 有 五 色 雲。 雲 中 有 叉 字 変 成 如 意 宝。 宝 変 成 妙 見 菩 薩。 左 手 持 蓮 華。 華 上 有 北 斗 七 星。 右 手 作 説 法 印。 此 五 色 雲 中 結 珈 跣 坐。 北 斗 七 星 等 囲 邊 之。 と あ り、 東 京 国 立 博 物 館 蔵 玄 証 本 尊 星 王 図 像 や 奈 良 春 日 図17 妙 見 菩 薩(「 別 尊 雑 記 』 四 八 妙 見(大 正 蔵 図像 篇 第 三 巻、 図 像132)) 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 (63) 奥 山 聖 人 窟 妙 見 菩 薩 磨 崖 像 も 同 じ 像 容 で あ る。 次 に 一 面 四 腎 の 菩 薩 形 は ﹃ 図 像 抄 ﹄ 十 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 参 考 図 像 一 三 二)、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 八 四 頁) な ど に み ら れ る も の で、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 八 ○ 頁) に は、 四 腎 像。 赤 白 肉 色。 噸 眉 而 慈 怒 形。 右 第 一 手 持 筆。 第 二 手 持 月 輪。 左 第 一 手 持 紀 籍。 第 二 手 持 日 輪。 天 衣 理 路 皆 如 前。 身 立 馳 走。 青 龍 背 引 上 右 足 腰 屈 視 地 相。 右 邊 垂 持 硯 侍 者。 形 如 夜 叉。 而 令 著 天 衣 理 略。 為 赤 肉 色。 甚 可 畏 之 形。 皆 令 現 黒 雲 中。 と あ り、 筆 と 紙 ( 紀 籍) を 持 ち 龍 の 背 に 乗 る 菩 薩 形 と 硯 を 持 つ 夜 叉 形 の 侍 者 を 説 い て い る。 た だ し ﹃ 図 像 抄 ﹄ の 侍 者 は 紙 と 筆 を 持 つ 菩 薩 形 と 夜 叉 形 の 二 人 で あ り、 飛 鳥 法 輪 寺 に は こ れ と 同 じ く 二 侍 を 従 え る 平 安 時 代 に 制 作 さ れ た 四 腎 (64) 妙 見 菩 薩 立 像 が あ る。 妙 見 菩 薩 が 龍 に 乗 る の は 中 国 に お い て 龍 は 皇 帝、 天 子 の 象 徴 と さ れ る こ と か ら、 妙 見 菩 薩 が 諸 星 の 王、 星 界 の 皇 帝 で あ る こ と を 表 わ し て い る と 思 わ れ る。 ま た、 筆 と 紀 籍 を 持 つ の は ﹃ 七 仏 八 菩 薩 所 説 大 陀 羅 尼 神 呪 経 ﹄ に ﹁ 除 死 定 生 ﹂ と あ る よ う に、 中 国 で は 北 斗 が 人 の 死 を 記 録 す る と さ れ る か ら で あ ろ う。 菩 薩 形 で は な い が、 筆 と 紀 籍 を 持 つ 一 面 四 腎 の 葱 怒 形 が ﹃ 図 像 抄 ﹄ 十 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 参 考 図 像 一 三 三)、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 八 三 頁) に み ら れ る。 さ て、 こ れ ら ﹃ 図 像 抄 ﹄、 ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ の 妙 見 菩 薩 は 右 足 を 蹴 り 上 げ て 左 足 の 膝 裏 に 付 け る と い う 特 異 な 像 容 を し て い る。 こ の よ う な 右 足 を 蹴 り 上 げ る 妙 見 菩 薩 は 他 に ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 四 八 (大 正 蔵 図 像 篇 第 三 巻、 五 八 五、 五 八 七 頁)、 ﹃ 妙 見 菩 薩 図 像 集 ﹄ ( 大 正 蔵 図 像 篇 第 七 巻、 六 七 三、 六 八 一、 六 八 二、 六 八 四 頁) な ど に も み ら れ、 園 城 寺 に は ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ 所 載 図 妙 見 其 六 と ほ ぼ 同 じ 像 容 の 十 三 世 紀 半 ば 頃 に 制 作 さ れ た 彩 色 本 が あ る。 そ の 像 容 は 日 輪、 月 輪、 戟、 錫 杖 を 持

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つ 龍 冠 を 載 せ た 四 腎 菩 薩 形 が 右 足 を 蹴 り 上 げ て 龍 に 乗 り、 周 囲 に 龍 頭、 虎、 象 と 日 輪、 龍 頭、 豹、 白 狐 と 月 輪 を 配 す る と い う も の で あ る。 ﹃ 阿 娑 縛 抄 ﹄ 一 四 四 (大 正 蔵 図 像 篇 第 九 巻、 四 六 一二 頁) に は、 凡 此 尊 形 像 不 同 也。 後 唐 院 亀 上 鏡 立。 其 表 裏 各 一 形 像 計 打 顕。 一 像 黄 色 四 腎 乗 龍。 一 像 白 色 二 腎 坐 蓮 華。 世 間 乗 亀 乗 龍 二 様 有 之。 依 此 鏡 欺。 件 鏡 像。 宇 治 殿 奉 請 平 等 院 宝 蔵 安 置 之 給 云 々 と あ る こ と か ら、 こ の よ う な 龍 に 乗 り 右 足 を 跳 ね 上 げ る 像 容 の 妙 見 菩 薩 は 園 城 寺 後 唐 院 に あ っ た 鏡 を も と に し て 描 か (65) れ た と さ れ る。 後 唐 院 は 円 珍 が 唐 か ら 請 来 し た 諸 物 を 納 め た 建 物 な の で、 中 国 に お い て こ の よ う な 像 容 の 妙 見 菩 薩 が 成 立 し た と 思 わ れ る。 で は、 こ の よ う な 右 足 を 跳 ね 上 げ る 像 容 は 何 を 典 拠 に し て 成 立 し た の だ ろ う か。 現 存 す る 妙 見 菩 薩 を 説 く 経 典 に は 妙 見 菩 薩 の 像 容 に つ い て 記 さ れ た も の は な い の で 明 確 に で き な い が、 起 源 と し て 考 え ら れ る も の に 那 連 提 耶 舎 訳 ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ 四 一 日 蔵 分 中 星 宿 品 第 八 (大 正 蔵 第 一 三 巻、 二 七 〇-二 八 二 頁) に 登 場 す る 騙 唇 仙 人 (怯 盧 風 吃 仙 人) の 苦 行 の 姿 が あ る。 ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ 六 〇 巻 は 北 涼 の 曇 無 識、 陪 の 那 連 提 耶 舎 に よ っ て 六 世 紀 後 半 に 訳 さ れ た も の で、 そ れ ぞ れ 各 品 独 自 に 成 立 し た 経 典 群 を 一 括 し て 集 め 編 纂 し た 経 典 で あ る。 こ の ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ の 宝 橦 分 ( 巻 一 九-二 一)、 日 密 分 ( 巻 三 一-三 三)、 日 蔵 分 ( 巻 三 四-四 五、 日 密 分 と の 重 複 が あ る)、 月 蔵 分 (巻 四 六-五 六) に は 宿 曜 に 関 す る 記 述 が あ り、 日 蔵 品 中 星 宿 品 第 八 に は 騙 唇 仙 人 と 仙 人 の 説 い た 二 十 八 宿 の 物 語 が 記 ざ れ て い る。 そ の 内 容 を 簡 単 に ま と め る と、 あ る 時、 魔 王 波 旬 と 悪 竜 神 た ち が 軍 師 の 戒 依 止 と 釈 尊 を 打 ち 破 ろ う と 図 る が、 仏 力 に は か な わ な い と 悟 っ て 後 悔 し、 須 弥 山 の 下 で 四 天 王 や 聖 者 た ち を 礼 拝 し て 悪 業 か ら 救 っ て く れ る よ う に 嘆 願 し た。 そ の 時、 雪 山 に は 六 人 の 仙 人 が い て、 そ の 中 の 光 味 仙 人 ( 殊 致 阿 羅 娑 菩 薩、 殊 致 羅 娑 菩 薩) が 他 の 五 人 に 釈 尊 の 徳 を 讃 嘆 し て い た が、 竜 王 た 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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密 教 文 化 ち の 救 い を 求 め る 声 を 聞 い て 竜 神 た ち の も と へ 飛 ん で 行 き、 星 宿 の 法 を 詳 し く 聞 か せ る こ と に し た。 娑 伽 羅 竜 王 が ﹁ 星 宿 の 法 を 初 め て 説 い た 人 は ど な た で す か ﹂ と 尋 ね た こ と か ち 光 味 仙 人 は、 あ る 国 の 王 妃 と 騙 馬 と の 間 に 生 ま れ た 騙 唇 仙 人 の 出 生 の 物 語 と、 彼 が 星 宿 の 法 を 初 め て 説 い た こ と を 話 し た。 こ の 騙 唇 仙 人 の 物 語 の 中 で 語 ら れ る 仙 人 の 苦 行 に つ い て ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ 四 一 日 蔵 分 中 星 宿 品 第 八 ( 大 正 蔵 第 一 三 巻、 二 七 四 頁) に は、 是 騙 仙 人 学 於 聖 法。 経 六 萬 年 翅 於 一 脚。 日 夜 不 下 無 有 倦 心。 天 見 大 仙 如 是 苦 行。 時 諸 梵 衆 及 帝 釈 天。 # 飴 上 方 欲 色 界 等。 和 合 悉 来 禮 拝 供 養。 乃 至 龍 衆 修 羅 夜 叉 一 切 雲 集。 所 有 仙 聖 修 梵 行 人。 皆 来 到 此 騙 聖 人 邊。 種 種 供 奉 讃 歎 称 揚。 如 是 苦 行 生 来 未 観。 設 供 養 己 合 掌 問 言 ⋮ と あ り、 片 足 を 上 げ て 日 夜 下 ろ さ ず 少 し も 倦 こ と の な い 騙 唇 仙 人 の 様 子 を 見 た 諸 天 は 彼 に 供 物 を さ さ げ て 星 宿 の 法 を 説 い て く れ る よ う に 懇 願 し、 騙 唇 仙 人 は そ の 求 あ に 応 じ て 初 め て 星 宿 の 説 い た と さ れ る。 さ て、 こ の 騙 唇 仙 人 と 妙 見 菩 薩 を 比 較 し て み る と い く つ か の 共 通 点 が あ る。 そ れ は、 ど ち ら も 星 宿 に 関 係 す る と い う こ と と、 片 足 を 上 げ る 姿 を し て い る こ と で あ る。 ま た ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ に ﹁ 所 有 仙 聖 修 梵 行 人。 皆 来 到 此 騙 聖 人 邊。 種 種 供 奉 讃 歎 称 揚。 ﹂ と あ り、 ﹃ 七 仏 八 菩 薩 所 説 大 陀 羅 尼 神 呪 経 ﹄ に ﹁ 衆 星 中 最 勝。 神 仙 中 之 仙。 ﹂ と あ る よ う に、 ど ち ら も 仙 人 の な か の 仙 人 と さ れ て い る。 騙 唇 仙 人 が 左 右 ど ち ら の 足 を ど の よ う に し て 上 げ て い た の か は わ か ら な い が、 星 宿 の 法 を 初 め て 説 い た 騙 唇 仙 人 の 姿 が 星 宿 の 王 で あ る 妙 見 菩 薩 の 像 容 に 影 響 を 与 え た こ と は 十 分 考 え ら れ る。 た だ し、 片 足 を 上 げ る 苦 行 法 は イ ン ド に お い て 一 般 的 な 苦 行 法 で あ る し、 亀 に 乗 る 甲 冑 形 の 妙 見 菩 薩 の よ う に 道 教 の 影 響 を 受 け て 成 立 し た 可 能 性 も あ る。 騙 唇 仙 人 の 姿 が 起 源 と す る と ﹃ 大 方 等 大 集 経 ﹄ が 漢 訳 さ れ た の が 六 世 紀 後 半 な の で、

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片 足 を 上 げ る 妙 見 菩 薩 は 六 世 紀 後 半 以 降 に 成 立 し た こ と に な る。 な お、 妙 見 菩 薩 と 同 じ く 右 足 を 蹴 り 上 げ る 像 容 の も (66) の に 六 字 尊 が あ る。 最 後 に、 亀 に 乗 る 甲 冑 形 や 童 子 形 は 東 密、 台 密 の 図 像 集 に は 見 ら れ な い も の で ﹃ 阿 娑 婆 抄 ﹄ (大 正 蔵 図 像 篇 第 九 巻、 四 六 三 頁) に は、 又 外 書 中 殊 奉 崇 之。 陰 陽 周 易 術 道 等 皆 所 崇 也。 或 俗 形 束 帯。 或 童 子 形。 或 童 女 形。 皆 是 外 法 所 崇 敬 歎 云 々 と あ っ て、 陰 陽 師 な ど が 用 い て い た 像 容 と さ れ る。 千 葉 堀 内 神 社 蔵 妙 見 菩 薩 立 像、 個 人 蔵 妙 見 菩 薩 立 像 な ど に み ら れ る よ う な 甲 冑 形 が 亀 に 乗 る 姿 は、 道 教 に お い て 四 神 の な か で 北 を 司 る 玄 武 神 を 人 格 化 し た 真 武 神 の 影 響 を 受 け た た め (67) と さ れ る。 ま た、 亀 に は 乗 ら な い が 剣 を 持 つ 甲 冑 形 の 読 売 新 聞 社 蔵 妙 見 菩 薩 立 像 や 千 葉 妙 光 寺 蔵 伝 妙 見 菩 薩 碕 像 も 道 教 の 影 響 を 受 け て 成 立 し た の で あ ろ う。 絵 画 で は、 園 城 寺 に 玄 武 と 鎮 宅 霊 符 神 を 描 い た 鎮 宅 霊 符 神 像 と 版 本 ﹃太 上 秘 (68) 宝 鎮 宅 霊 符 ﹄ が あ る。 結 論 以 上、 仏 教 に お い て 星 ( 北 極 星、 北 斗 七 星、 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿) が ど の よ う に 造 形 化 さ れ て き た の か に つ い て 概 観 し た。 本 論 で は 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 に し か ふ れ る こ と が で き な か っ た が、 星 宿 神 を 描 く 遺 品 は 曼 茶 羅 に 限 ら ず 多 く、 ま た、 七 福 神 の う ち の 福 禄 寿 (寿 星、 ヵ ノ ー プ ス) や 辟 邪 絵 に 描 か れ た 天 刑 星 ( 歳 星 の 七 衛 星 の う ち の 一 つ) の よ う に 星 宿 神 は 他 に も あ る。 細 か く み る こ と は で き な か っ た が 概 観 し て 明 ら か な こ と は、 仏 教 に お い て 星 が 西 洋、 星 曼 茶 羅 と 妙 見 菩 薩 の 図 像 学 的 研 究

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