微動観 測 に よる松本盆地の地盤振動特性 の検討
一 松 本 盆地 西部地域 につい て一
荏 本 研 究室 200203942 佐藤 宏 樹
1,は じめに
近年、地震 に対 しての被害予測が都道府県規模で行わ れ、より詳細 に市町村規模でも期待 されてい る。 こ うし た調査活動の背景には、同じ規模の地震が発生 した蕩 合、
地震動の伝播特性や地盤特性が地域 ご とに異なるため、
被害の程度が相違す ることが予測 され るか らである。 こ れまで、異な る地形 ・地質の形成過程有す る長野県の盆 也 (長野盆地 、諏訪盆地、松本盆地東部)で微動観測に
よる地腹振動特性の調査を実施 して、その有用性につい て考察 した。
本研究では、昨年度に引き続 き松本盆地において、微 動の定点連続観測に よる卓越周期の時間的な変軌特性、
高密度移動観測 による盆地内の地盤振動特性 を解析 して、
松本盆地西部地域の地盤振動特性 を推定す ることを 目的 とした。
2.地形 ・地質の概要
長野県松本市付近 に存在す る午伏寺断層は 1996年 9 月 n 日以降にわかに注 目されてい る。政府の地 震調査研 究推進本部の発表で 「午伏寺断層 を含む区間では、現在 を含めた今後数百年以内に、M8程度 の規模の地震が発生 す る可能性が高い」 と公表 され、地震災害の危険性が指 摘 された ことによる。
松本盆地内の地形は丘陵地、河岸段丘、沖積面の 3つ に区分 され る。丘陵地は松本市や塩尻市の縁辺域に分布 し、起伏 の多い地形 を作っている。段丘地形 は現在の河 川 によって形成 されたものであ り、 これ らの河岸段丘は
盆地内で広い平坦な地形を形成 してい る。松本盆地に堆 積 してい る堆積物は一般に粗粒な ものが多 く、お もに磯 層か らな り、深い ところでは 400‑500mに達す るもの と 推定 され る。表層地盤はこれ らの地形、地質の形成過程
で複雑な構造 となっている。
3 棚
3.1
観動位置
観 測地点を図 1に示すム△印点は定点連続観測地 点で 菅野中学校 (A地 点)、並柳小学校 CB地点)の 2点、移 動観測は松本 盆地の西部を中心に (500mX500m)のメ
ッシュに区切 りその交点付近 を観測地点 とし、観測困難 地点を除 く207地点で移動観測 を行 った。
図 1 地質図 と定点 ・移動観測位置
3̲2観軌方法
観測は、固有周期 1.0Hzの微 軌センサーで、水平方 向
( NS )
(EW)、上下方 向( UD)
の計3
成分で観測 を行 った。定点観測では、各点 ともに観軌期間 8日程度で 24 時間、 1
時間毎( 1 8
0秒)のサイクルで連続観測を行 った。移動観測では
、1
点につき1 8
0秒間の観測 を行 った。 な お、観測は速度成分 を観測 した。4̲スペ ク トル解 折
観 軌で得 られた
、NS・ EW I U
D の3
成分、1 8
0秒 間デー タを定点観測、移動観測 ともに時系列波形で外乱 の 少 ない安定 した区間を 20̲48秒のデー タセ ッ トで抽出 し
た。各デー タセ ッ トをフ‑ リェ変換 によ りフー リエス ク トル を求めた。移動観測結果についてはバ ン ド幅 0.3Hz と0.5H之の Par2enWb(bwによ り平滑化 を行 い、今回 は 0.3Hzを主に 0.5Hzを比較 し、参考 とした。o̲3Hヱと
0.5Hzを比較 した例 を図 2に示す。水平 2成分の相乗平 均スペ ク トル を上下スペ ク トルで除 して、ILrV スペ ク ト ル比 を算出 した。 また、各成分のフー リエスペ ク トル 比
も算出 した。H/Vスペ ク トル比の例 を図 3に示す。
3 2ー5
2
≦ 1‑5
1
0ー5
図 2 Pam nWmdowO̲3Hzと0̲5Hの比較
InvestigationofthegroundvibrationcharacteristicoftheMatsumotobasinbymi crotremorobservation
‑Incaseofthewestern partofMatsumotoBasin‑ SATOHiroki
279
5
6撃 4
2
‥ '識 f品 (CSQ)‑8 1 8 0・2iE占;品 (6sJ;=
図 3 定点お よび移動観測の H/Vスペ ク トル比の
例
5
̲卓越周期の分布5.1卓越周期の算定
卓表盈同期 は 】劫Ⅴスペ ク トル比か ら求め、水平成分のフ ー リエスペ ク トル特性 を考慮 して算 出 した。 なお、卓越 周期は 0.1‑1秒程度の範囲で抽出 した。
5.2定点連続観測の時間的変動
定点観測では、卓越周期 の時間的変動を
1
時間ごとの 変化で表す ことに した。卓越周期 を縦軸、観測時問を横 軸に取 り、卓越周期の時間的変動 を図 4に示 した。観測 地点A
では 0.1‑0.2秒で安定 してい る。地点B
では0. 3
‑0.5秒 とば らつ きが認 め られ るものの比較的安定 した 変動を示す。ポー リングデータを見ると地点 Aでは、表 層か ら堅固な砂磯層が卓越す る田川扇状地堆積物で 占め
られているため と考えられ、地点 Bでは地 盤構造が複雑 な層構造を成 してい るため
多
少ば らつきが見 られたが、両地点 とも昼夜の特徴的な変動が認 め られた。
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^′T ttl■JIJI ZdOuL(9図 4 連続観測における卓越周期 の時間的変動
5.3卓越周期 と分布特性の比較
図 1に地形 と卓越周期分布図、図 5に標高 と卓越周期 分布図を示す。また、図 6に卓越周期 コンター図を示す。
5
.4卓越周期 と地盤構造の関係移動観測 においては、河川の分岐点や、松本駅岡辺、
南部の山間部に周期の長い地点が多 く分布す る傾向が見 られたO卓越周期 と地質の関係は、北部の砂塵、岩類の 堆積 した川 の分岐点や、南部の洪積砂質が堆積 した扇状 地の端部では
、
0. 4 ‑0
,8秒 と長 めなのに対 して砂疎な どが堆積 した平地では 0.2秒以下 と短い。移動観測地付近 のボー リングデー タを見 ると腐植土、粘土、シル ト、砂
280
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図 5 標高 と卓越周期分布採
図 6 卓越周期 コンター図
磯 な ど複雑な互層構造になってい るO この複雑 な層構造 とその層厚が、同 じ地質 ・表層地盤で車越周期 に差 を蕉 じてい る。特 に、河川の合流部や扇状地端部でやや卓越 周期が長 くなる傾向が認め られた。
6. ま
とめ本研究では、松本盆地西部 を対象 として微動観測 によ る卓越周期の時間的変動特性、卓越周期 と地盤構造 の関 係 について比較検討 を行 った。定点観測 による時間的変 動 では、菅野 中学校 は安定 した特性 を示 し、並柳小学校 で も、ややば らつきはあるものの安定 し、昼夜の変動が 認 め られた。松本盆地の微動観測による地盤振動特性に お ける卓越周期は全体の 0.2‑0.4秒程度で場所 において は 0.6秒以上の周期特性 を示す地域が認め られた。 これ は、堆積盆地の表層地盤 の特徴で あ り、複雑 な地層構造 に より河川の合流地域や扇状地の端部付近で比較的長い 卓越周期が認 められたo
【参考文献】1)地下水要覧編集委員会 =(地下水要覧J iL峨 堂 1988 2)酒井潤一&松本平地盤図作成委員会 :松本平地盤匪12000 2002年 10
月 6日 3)長野県 :長野県地転機 査報告書2002年 3)弓