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2019年度スポーツ研究センター主催 サッカー教室 報告

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Academic year: 2021

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(1)

2019年度スポーツ研究センター主催 サッカー教室 報告

著者 井上 尊寛, 中澤 史, 中一 尚斗

出版者 法政大学スポーツ研究センター

雑誌名 法政大学スポーツ研究センター紀要

巻 38

ページ 73‑76

発行年 2020‑03‑31

URL http://doi.org/10.15002/00023603

(2)

 これまでスポーツ研究センターでは,社会貢献として多く の種目にて継続的にスポーツ教室を実施してきた。昨年度は サッカー教室が年に

1

回という実施状況であったことを鑑み,

今年度は

2

回実施することとした。実施するにあたり,これ までのサッカー教室とは趣旨を変え,研究としての視点を加 えたうえで実施することとなった。具体的な内容は以下のと おりである。

1.指導者講習会およびトレーニングマッチ 開催日時:9月

21

日 

     10時~

12

時:指導者講習会および測定      13時~

15

時:トレーニングマッチ 開催場所:法政大学ラグビー場

対象:小学校

4

年生から

6

年生男女,指導者,選手及び保護者 内容:

①  導者に対して海外の育成年代への指導の実際についての 講義(60分程度)

②  指導者および保護者に対して子供たちとの向き合い方や 声がけなどのスポーツ心理学の視点での講義(60分程度)

③ 選手に対するフィジカルテスト

④ 測定及び講義終了後にゲーム形式の交流戦を実施

2.サッカー教室 開催日時:11月

16

日 午後 開催場所:法政大学ラグビー場 対象:小学

4

年生から

6

年生男女 内容:

①  大学近隣の子供たちの心理的な定量的情報を収集するた めのアンケート調査を行う

②  大学教員および学生が実際に子供たちへサッカーの技術 や楽しみ方を教える

 上記

2

回の教室参加者について,1回目の公開講座(9月

21

日実施)の参加者は,小学校

4

年生以上の選手

34

名,指導者 講習会への参加は

10

名程度,子供たちとの向き合い方につい ては

6

名程度であった。2回目の公開講座(11月

16

日実施)

には,小学校

4

年生以上の選手

60

名程度が参加した。

調査結果

1.小学生年代におけるフィジカルテスト

 調査対象者は八王子市でサッカーをしている小学校

4・5・6

年生

34

名であった。基礎情報は表

1

に示す。フィジカルテス トとして,柔軟性・可動性(大腿四頭筋,腰背部,ハムスト リングス,腸腰筋,足関節),筋力(体幹筋機能),パフォー マンステストとして

20m

走,10m×5シャトルラン,2ステッ プ,バウンディング),スキルテストとしてランニングドリブ ルテストとシュートテストを実施した。

 各テストの年齢毎の結果を表

2

に示す。

 

2019 年度スポーツ研究センター主催 サッカー教室報告 Report on soccer school sponsored by the 2019 sports research center

井 上 尊 寛(法政大学スポーツ健康学部)

Takahiro Inoue 中 澤   史(法政大学国際文化学部)

Tadashi Nakazawa 中 一 尚 斗(法政大学大学院スポーツ健康学研究科)

Naoto Nakaichi

要 旨

 本稿は,2019年度

2

回にわたり実施した,法政大学スポーツ研究センター主催のサッカー教室について,その概要を記すとと もに,併せて実施した調査に関する報告もおこなう。具体的には大学近隣に居住する小学生(4-6年生)のサッカー選手を対象と した身体的および心理的なテストを行った。

キーワード:フィジカルテスト,規範行動,学校生活スキル

Key words : Physical test, Perceived normative behavior, school-life skills

(3)

法政大学スポーツ研究センター紀要

2. 小学生における規範行動および学校生活スキルに関する調査  本調査は,公開講座に参加した大学近隣に居住する小学校

4

年生から

6

年生までのサッカー選手に対して調査を実施した。

配布

57

票,回収数

57

票,回収率

100.0%

であった。調査はス ポーツ心理学を専攻し,調査の方法について専門的に学んで いる学生が担当し,回答者には小学生という対象者であるこ とから,保護者や指導者へまず調査概要を説明し,承認を得 るとともに,回答者にはボランティアであること,匿名性が 担保されていること,途中で辞めてもかまわないなどの説明 を行ったうえで回答を依頼した。

 本調査はサッカー選手が小学校にてどの程度規範的な行動 をおこない,学校生活を送るうえで直面する発達課題や教育 的な課題の解決を促進するスキルの程度を測定することを目 的とした。調査項目は山口ほか(2005)の学校生活スキル尺 度(小学生版)を援用し,規範行動については山田ほか(2013)

の小学生用規範行動自己評定尺度を援用した。これらの調査 項目は複数の因子で構成され,特に学校生活スキルに関して は項目数も多いため,対象者への負荷も考慮し項目数を調整 した。規範行動に関する調査は,「1.まったくしていないか

4.いつもしている」の 4

段階評価尺度を用いた。学校生活

スキルに関する項目は,「1.まったくあてはまらないから

4.

と てもよくあてはまる」の

4

段階評価尺度を用いた。

 参加者のほとんどは男性(98.2%)であり,学年は

4

年生が

36.8%,5

年生が

38.6%,6

年生が

24.6%であった。参加者は

ほぼ大学近隣の地域(八王子市

61.5%,相模原市 36.5%)の

居住者であったが,町田市からの参加はなかった。サッカー

歴は約

4.3

年であった(表

3)。

 各項目のスコアは総じて

3

以上あり,肯定的な意見が得ら れた一方で,信頼性係数のaが対人間での望ましい行動と個 人として遵守すべき行動にて基準値(a ≧ .70, Nunnally, 1978)

9

n=5

10

n=12

11

n=13

12

n=4

身長(

cm

142.0±8.7 135.6±5.4 137.3±7.1 146.7±8.9 148.9±2.4

体重(

kg) 35.5±6.7 30.7±1.9 32.6±6.1 39.0±7.4 39.2±2.8

項目 全体 年齢

柔軟性(点) 13.4 ± 2.7 8.7 ± 3.8 7.9 ± 4 10 ± 2.7

体幹筋機能(点) 2 ± 0 2.1 ± 0.3 2.1 ± 0.3 2.3 ± 0.5

20m走(秒) 3.9 ± 0.2 3.8 ± 0.1 3.6 ± 0.2 3.6 ± 0.3

10m×5シャトルラン(秒) 8.7 ± 0.4 8.7 ± 0.4 8.5 ± 0.4 8.3 ± 0.7

2ステップ(m/身長m 1.7 ± 0.1 1.7 ± 0.1 1.7 ± 0.2 1.7 ± 0.1 バウンディング(5段跳び)(m 7.3 ± 0.4 7 ± 1 8 ± 0.7 7.8 ± 0.5 右片脚垂直ジャンプ(cm 24.2 ± 4.3 23.7 ± 4.4 25 ± 3.4 25.8 ± 6.9 左片脚垂直ジャンプ(cm 22.6 ± 2.3 23.1 ± 8.7 24.9 ± 3.9 27 ± 7.1 ランニングドリブルテスト(秒) 12.7 ± 1.6 12.7 ± 1.3 11.9 ± 1 11.2 ± 1.1 シュートテスト(本) 0.8 ± 1.1 1.1 ± 2.2 1.3 ± 1.4 2.5 ± 2.5

項目 年齢

9n=5 10n=12 11n=13 12n=4

表 1.基礎情報

表 2.フィジカル・パフォーマンステスト

性別

2 . 8 9 性

8 . 1 性

0 . 0 0 1 計

合 学年

8 . 6 3 4

6 . 8 3 5

6 . 4 2 6

0 . 0 0 1 計

居住地(都道府県)

2 . 4 6 京

8 . 5 3 川

奈 神

0 . 0 0 1 計

居住地(市区町村)

5 . 1 6 市

子 王 八

5 . 6 3 市

原 模 相

9 . 1 他

の そ

0 . 0 0 1 計

サッカー歴(平均:年) 4.3

0 . 7 5 n

表 3.回答者の個人的特性およびサッカー歴

(4)

を満たさなかった(表

4)。

 平均値においては,個人として遵守すべき行動のスコアが 最も高く(3.50),次いで対人間での望ましい行動(3.42)と

対人間で遵守すべき行動(3.23)であった。因子間相関に関し ては,中程度の有意な相関が認められた(表

5)。

 学校生活スキルにおいて,総じて

3

以上のスコアを示して

1 あなたは、はきはきとした気持ちのよいあいさつをしていますか。 3.39

2 あなたは、自分の名前が呼ばれたら、きちんと返事をしていますか。 3.51

3 あなたは、友だちが困ったいたら、何かできることをしていますか。 2.98

4 あなたは、学級のみんなで話し合って決めたことについて、協力して活動していますか。 3.47

5 あなたは、友達から何かをしてもらったら、感謝の言葉を言っていますか。 3.74

6 あなたは、友だちの悪口を言わないようにしていますか。 2.96

7 あなたは、友だちにうそをつかないようにしていますか。 3.07

8 あなたは、友だちが謝ったら許したり、友だちの失敗や間違いに対して文句を言わず、優しく接したりしていますか。 3.25 9 あなたは、友だちに迷惑をかけたり自分がまちがったときに、謝っていますか。 3.37

10 あなたは、先生に対して、ていねいな言葉づかいをしていますか。 3.46

11 あなたは、自分が使ったものを、きちんと後片付けしていますか。 3.57

12 あなたは、自分の身の回りの整理・整頓を、きちんとしていますか。 3.27

13 あなたは、チャイムにしたがったり、時計を見たりしながら時間をきちんと守っていますか。 3.30

14 あなたは、授業の中で先生や友だちの話をきちんと聞いていますか。 3.44

15 あなたは、学級の仕事(日直、給食当番、掃除当番)をきちんとしていますか。 3.81 対人間での望ましい行動(α= .56)

対人間で遵守すべき行動(α= .78)

個人として遵守すべき行動(α= .57)

平均値 標準偏差

1 2 3

1.対人間での望ましい行動 3.42 0.37 1

2.対人間で遵守すべき行動 3.23 0.57 .341* 1

3.個人として遵守すべき行動 3.50 0.37 .427** .379** 1

1 興味のある職業に(しょくぎょう)について、情報を集めることができる 3.07 2 何が自分にとって大事なのか順位をつけることができる 3.13 3 教わったことが日常生活とどのように結びついているかを考えることができる 3.04

4 相手の立場に立って考えることができる 3.09

5 先生や友達が話しているとき、きちんと聞くことができる 3.52

6 間違いがあったとき、素直にあやまることができる 3.27

7 苦手な教科の勉強に時間を多くとって取り組むことができる 3.02 8 テスト前など、自分が実行できるような具体的な目標や計画を立てることができる 3.13 9 学校やじゅくで与えられたもの以外で、自分で探して勉強することができる 2.82

10 つかれていても宿題などやるべきことはできる 3.41

11 ていしゅつ物を、決められた日までに出すことができる 3.38 12 課題が与えられたとき、だれかにたよる前に一人でまず考えてみることができる 3.34 13 からだの調子がおかしいとき、ほうっておかないで大人に相談することができる 3.18 14 からだの調子がおかしいとき、その様子を言葉で伝えることができる 3.24 15 からだの変化からくるなやみについて、誰かに相談することができる 3.13

16 きちんとあいさつができる 3.63

17 苦手なともだちともつきあうことができる 2.85

18 人にどう話していいのか、どう会話を始めたらいいのかわかる 3.00

19 つかれを感じたとき、しっかりと休むことができる 3.39

20 生活のリズムをくずさないように、すいみん時間に気を付けることができる 3.23 21 からだが必要としているえいようをバランスよくとることができる 3.39 コミュニケーションスキル(α= .74)

健康維持スキル(α= .67) 進路決定スキル(α= .55)

集団活動スキル(α= .48)

自己学習スキル(α= .73)

課題遂行スキル(α= .68)

健康相談スキル(α= .85)

表 4. 規範行動自己評価尺度

† 分析には

SPSS 25

を用いた。

†† すべての項目は

4

段階評価尺度で測定した。

† *p< .05,

**p< .01

†† 分析には

SPSS 25

を用いた。

††† それぞれの要因は構成する

5

つの項目の合成変数を算出し,分析を行った。

† 分析には

SPSS 25

を用いた。

†† すべての項目は

4

段階評価尺度で測定した。

表 5. 因子間相関および平均値

表 6. 学校生活スキル

(5)

法政大学スポーツ研究センター紀要

いる一方で,信頼性係数 α のスコアが基準値を満たしていな い要因がいくつか認められた(表

6)。

 要因の平均値では,総じて

3

以上の肯定的な評価が得られ た。特に,課題遂行スキル(3.38),健康維持スキル(3.34),

集団行動スキル(3.29)は

7

つの要因の中で高いスコアを示し た。因子間相関においては,いくつかの因子間でやや高い相 関が認めらたが,その他はおおむね中程度あるいは低い有意 な相関であった(表

7)。

 本調査は,本来平準化して比較する意図をもって作成され たものではなく,縦断的に情報を収集することにより,子供 たち自身の心理的なスキルの向上を可視化することを主な目 的としている。そのため,統計的な分析によって全体として の傾向を示すことはおこなわなかったが,今後の課題として は,継続的に調査を実施する機会を確保しつつ,サッカー以 外の種目の子供たちの情報収集も行い,種目間の経年での成 長度合いなどの比較なども含め,定量的な情報を収集するこ とが望ましいと考える。

参考文献

Nunnally, J. C.(1978)Psychometric Theor y(2nd ed.).

McGraw Hill: New York, NY, USA.

山口豊一・飯田順子・石隈利紀(2005)小学生の学校生活ス キルに関する研究-学校生活スキル尺度(小学生版)の開 発-.Japanese Journal of School Psychology, 5:49-58.

山田洋平・小泉令三・中山和彦・宮原紀子(2013)小中学生 用規範行動自己評定尺度の開発と規範行動の発達的変化.

教育心理学研究,61:387-397.

平均値 標準偏差 1 2 3 4 5 6 7

1.進路決定スキル 3.07 0.55 1

2.集団行動スキル 3.29 0.48 .611** 1

3.自己学習スキル 2.99 0.71 .641** .621** 1

4.課題遂行スキル 3.38 0.60 .613** .591** .443** 1

5.健康相談スキル 3.17 0.80 .583** .574** .526** .475** 1

6.コミュニケーションスキル 3.14 0.62 .537** .412** .516** .389** .620** 1

7.健康維持スキル 3.34 0.55 .471** .300* .297* .420** .688** .644** 1

表 7.因子間相関および平均値

† *p< .05,

**p< .01

†† 分析には

SPSS 25

を用いた。

††† それぞれの要因は構成する

5

つの項目の合成変数を算出し,分析を行った。

参照

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