再生ビジネス振興のための提言
著者 岩崎 保道
雑誌名 同志社政策科学研究
巻 8
号 1
ページ 149‑165
発行年 2006‑07‑25
権利 同志社大学大学院総合政策科学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000010980
あらまし
本稿は、学校法人の民事再生手続きの事例を 分析することにより、「学校法人再生の条件」を 明らかにし、事業再建を目的とした「学校再生支 援」振興のための考察を行うものである。
学校法人の民事再生手続きは、スポンサーが 申立てと同時に公表されるプレパッケージ型が 望ましい。しかし、スポンサー獲得は、①調査環 境が未成熟であること、②この分野に精通した アドバイザーが少ない、などの理由により困難 である。そのため、迅速で誠実なスポンサーの獲 得のため、以下の展開により、標記の目的を果た すための検討を行う。
第一に、民事再生手続きの概要を説明し、同手 続きの目的や活用度を紹介する。
第二に、民事再生手続きを行った学校法人の ケース・スタディを六件行い、破綻までの経緯や スポンサーの有無及び再建計画の概要を明示する。
第三に、前述のケース・スタディを通じ、民事 再生手続きによる「学校法人再生の条件」を考察 し、問題点を抽出する。問題とは「学校法人のス ポンサー調査は困難」な点である。
第四に、まず、学校法人が経営破綻に至った場 合の所轄庁等の対処策を紹介する。次に、ある金 融機関が仲介業務を果たした「学校再生ビジネ ス」を取上げる。双方を通じてみると、学校再生 のスポンサー調査について、企業が学園再建に 有効に機能していることが分る。
第五に、以上を踏まえ、学園再建のためのスポ ンサー調査からマネジメントまで総括的なサ ポートを行う「学校法人再生支援ビジネス」を提 言する。同事業は、金融機関や監査法人などの専 門機関で構成されるもので、学校法人の再生支
援の実務を行う事業体となる。
学校法人の倒産手続きが続けて発生する今日、
学園再生を図るシステムの構築は急務となる。
提言の実現は、学生・生徒を守る一手段として検 討する意義があるものと考える。
1.はじめに
本稿は、学校法人の民事再生手続きの事例を 分析することにより、「学校法人再生の条件」を 明らかにし、事業再建を目的とした「学校再生支 援」振興のための考察を行うものである。
これまでに発生した学校法人の倒産事件は、
筆者の把握する限り、数十件に及ぶ。この件数 が、永続的な事業を営むことを前提とする学校 法人として多い数値であるかの判断は別として、
民事再生手続きは事業再建の有効な手法として 各方面から期待が持たれている。
筆者は、学校法人の破綻要因や事情は個々に 異なるものの、ケース・スタディを行い案件の検 討を施し、今後の事業再建のための参考材料に することは可能であると考える。
学校法人の再建にあたり、教育資源や経営資 源の保有度に関する条件が重要になる。
これら「学校法人再生の条件」を把握すること は、再生計画案の作成にも有益であるし、ステー ク・ホルダーにしても大きな関心事である。さら に、今後、学校法人が民事再生手続きを行う場合 にも参考となる可能性がある。筆者は、その条件 に「スポンサーの獲得」は重要な要件であると考 える。その理由は、企業再建でもスポンサーの存 在は重要であり、企業再生の鍵を握るからであ る。一方、学校法人の民事再生手続きでも、スポ
民事再生手続きによる学校法人再建の検討
―学校再生ビジネス振興のための提言―
岩 崎 保 道
ンサーが申立てと同時に公表されるプレパッ ケージ型が採られた実例があり、学園再生の可 能性を高めた。
以上より、「スポンサーの獲得」の調査や発見 が学園再生のための重要な条件となる。
しかし、学校法人のスポンサーを獲得は、①調 査環境が未成熟であること、②この分野に精通 したアドバイザーが少ない、などの理由により 困難であると考えられる。また、この経営環境に おいて、所轄庁は学校破綻時の支援者を調査並 びに紹介する政策がない。
ところで、2005 年に民事再生手続きを申請し た H 学園の事例では、S 銀行が仲介業務を果た し、スポンサーを発見することに成功した。金融 機関が学校法人のスポンサー獲得の実績を作っ た。しかしながら、市場が狭く情報が限定されて いるため、民間の一企業が案件を網羅し、収集す るには限界がある。今後、学校法人の経営危機や 倒産に陥った場面では、迅速で誠実なスポン サーの獲得が事業継続の明暗を分ける可能性も あるため、標記の目的を達成することは、学校法 人やステーク・ホルダーなどにも有益であると 考える。
本稿は、その一助となるべく以下の展開によ り、標記の目的を果たすための検討を行う。
第一に、民事再生手続きの概要を説明し、同手 続きの目的や活用度を紹介する。
第二に、民事再生手続きを行った学校法人の ケース・スタディを六件行い、破綻までの経緯や スポンサーの有無及び再建計画の概要を明示す る。破綻法人がどのような要因で経営に行き詰 まったのか、また、事業再建の諸条件は整ってい たか、などに留意されたい。
第三に、前述のケース・スタディを通じ、民事 再生手続きによる「学校法人再生の条件」を考察 し、その上で問題点を抽出する。まず、学校法人 再建のための主な条件として、(1)誠実なスポン サーの存在、(2)ステーク・ホルダーの協力と債 権者の理解、(3)所轄庁や私学団体、地域社会の 支援体制、(4)事業存続のための費用対効果が見 込めるか、(5)、経営責任の明確化、などが挙げ られよう。これらは、教育事業の継続に重要な意 味を持ち、企業再建にはない特質を持つ条件も 含む。
次に、問題点とは「学校法人のスポンサー調査 は困難」なことである。これまで学校法人が経営
危機に陥った際、法人自らがスポンサー調査や 交渉を行った例があるが、失敗に終わったケー スが多い。その理由は、学校法人の売買情報を取 扱うシステムがないことや、学校法人の交渉能 力不足や破綻法人に対する信用度不安に起因す るためと思われる。
第四に、まず、学校法人が経営破綻に至った場 合の所轄庁等の対処策を紹介する。次に、前述の S 銀行が仲介業務を果たした「学校再生ビジネ ス」を取上げる。双方を通じてみると、学校再生 のスポンサー調査について、企業が学園再建に 有効に機能していることが分る。
次に、民間企業の「学校再生ビジネス」を参考 に、「破綻法人が迅速に信頼のおけるスポンサー を調査・発見する」ためのシステムを考察する。
経営破綻法人が早期に最適なスポンサーと巡り 合うためには、①「仲介者」の登場や②「所轄庁 及び私学団体」の支援体制などが不可欠となる。
①は、単にスポンサーを調査・交渉するだけでな く、経営破綻法人の事業評価や再建の可能性につ いての判断能力が求められよう。さらに、マー ケットとして成立させるためには、②の案件情報 の収集と管理・統制システムの構築が必要となる。
第五に、以上を踏まえ、学園再建のためのスポ ンサー調査からマネジメントまで総括的なサ ポートを行う「学校法人再生支援ビジネス」を提 言する。同事業は、金融機関や監査法人などの専 門機関で構成されるもので、学校法人の再生支 援の実務を行う事業体となる。私学団体などが 関与することで、制度自体の信頼性が増すこと になる。また、事業再生のプロが参画すれば、本 格的な学園再生の専門機関としての役割を担え る可能性がある。
学校法人の倒産手続きが続けて発生する今日、
学園再生を図るシステムの構築は急務となる。
提言の実現は、学生・生徒を守る一手段として実 現する意義があるものと考える。
筆者は、私立短大に身を置く立場の者として、
今日の私学淘汰時代と学校再建策が構築されて いない現状に強い危機感を持っている。そのた め、学校再生のための対策や手法を考察し、その 研究成果を政策提言として私学関係者に進言す ることは有益であると考える。
2.民事再生手続きの概要
1 破産手続開始の原因として、「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する(破産法 15 条2条)」が挙げられる。
2 [日本私立大学連盟 02]、p.27。
3 [帝国データバンク 05̲1]。
民事再生手続きは、債務者の事業又は経済生 活の再生を図る事を目的とする(民事再生法1 条)もので、債権者も当事者として再生手続に参 加する。再生手続開始原因は、①破産原因たる事 実の生ずる恐れがある時1、②弁済期にある債務 の弁済不能である時(民事再生法 21 条1項)。裁 判所は再生手続開始の申立てがあると要件の審 理を行い、手続開始障害事由(民事再生法 25条)
が無ければ再生手続開始を決定する(民事再生 法 33 条1項)。
再生手続開始後も再生債務者は管財人が選任 された場合を除き、業務遂行権、財産管理・処分 権を有する(民事再生法38条1項)。再生手続は、
監督委員や管財人が選任されず、裁判所の監督 の下で DIP 型手続(「再生債務者は、再生手続が 開始された後も、その業務を遂行し、又はその財 産を管理し、若しくは処分する権利を有する」民 事再生法 38 条1項、規則1条1項)、監督委員の 監督による後見型(民事再生法 54 条)等の処理 がされる。
裁判所は相当と認めるときは、債権者集会を 召集することができる。また、再生債務者等若し くは債権者委員会の申立又は知れたる再生債権 者で一定額の債権を有する者の申立があったと きは、債権者集会を召集しなければならない(民 事再生法 114 条)。そして、債権者委員会は、再 生計画案を可決するか否かを決議する(民事再 生法171条)。民事再生法下での買収に関して、再 生債務者等が再生債務者の営業又は事業の全部 又は一部の譲渡を行うには、裁判所の許可を得 なければならない(民事再生法 42 条1項)。この 許可手続の申立権者は、再生債務者等が行う(民 事再生法 42 条1項前段)。譲渡の時期は、再生手 続開始後に限定され、保全管理人は保全期間中 に営業等の譲渡はできないが、長期化すれば営 業価値が劣化するため、裁判所の迅速な再生手 続開始決定が望まれる。
「再生計画案の立案」は、債権カット・期限の 猶予、授業の可及的継続、教職員の整理解雇の余 地、経営者の責任(善管注意義務)、事業譲渡・
合併等が考えられる2。
民事再生手続きは、手続開始前に債権者の了
解を得たりスポンサーを内定した上で、申立て 後、早期に処理を実行するプレパッケージ型手 法が採択できる。これは、申立て後の早期手続が 可能となり、過大債務・簿外債務・否認リスクを 回避できる。また、ある程度の債権者の了解を得 ている場合は、プリネゴシエーテッドの申し立 てという。
以上の通り同手続きは、債務者の債務を圧縮 して計画に従い事業継続を図るものである。
3.ケース・スタディ
―学校法人の民事再生手続き―
本章は、大学法人二校、専門学校法人二校、高 校法人一校、幼稚園法人一校の計六法人のケー ス・スタディを行う。破綻要因や再建条件は異な るが、全て事業再生を目指している。
なお、事例によっては、当事者や代理人をふま えた協議のみで整理がつく可能性を持つケース もあるが、冒頭で挙げたように、学校法人再生に つながるシステムが構築されていない課題がある。
3.1 H 学園(H 国際大学を設置)の 民事再生手続き
学校法人 H 学園(萩市)は、1966 年に専門学 校、1967 年に短大を設置し、1999 年に単科大学 を設置した。同市の高等教育機関はH国際大学し かなく、地元産業界の強い期待があった。しか し、開学時に入学定員300名に対し、入学者は205 名、翌年は 99 名であった。さらに 2005 年度の入 学者は42名となり、在学生は 194名まで落込む3。 そのため同大学は、たちまち経営危機に陥った。
H 学園は次の対応策を立てた。
第一に、同学園は、2004 年度より多様なコー スに改編した。その中のゴルフ文化コースは、ゴ ルフ場を購入した上に、有名プロゴルファーを 客員教授に迎えている。
第二に、同学園は学生獲得のため、留学生の学 生募集を積極的に行うようになった。
だが、コース改編は、志願者増につながらな
かった。次に、留学生への学生獲得は、入国管理 局による留学を希望する入国審査が強化され、
入国許可が下りないケースが相次いだ。そして、
学生納付金と補助金の合計が 2002 年度は6億3 千万円であったが、2005 年度は2億1千万円ま で減少し、負債総額は約 37 億円にまで膨れ上が る4。そのため、債務弁済が困難となり、同学園 は民事再生手続きの申立てを 2005 年6月に東京 地裁に行った。
H 学園の民事再生の申立てにあたり、S ホール ディングスというスポンサーが公表された。H学 園との関係は、S 銀行が仲介役となって 2005 年 5月にSホールディングスに案件が持込まれた5。 同社は、社会福祉を中心とした大学改革を考え ており、有料老人ホームを経営する関係から、福 祉のノウハウを導入した人材育成を期待すると 公表した。そして、2006 年1月には約 26 億4千 万円の負債免除や大学に社会福祉士の受験資格 が得られる学部を新設する計画を含む再生計画 案が債権者集会で可決され、東京地裁でも認可 された6。
3.2 T 学園大学の民事再生手続き
T 学園大学(仙台市)は、医療福祉・科学技術 系など3学部を擁する大学法人である。その沿 革は、1978 年に専門学校を設立し、1993 年に短 期大学を設置、1999 年に T 学園大学を設置した 事に始まる。2003 年には大学院を設置すると同 時に、他県の短大法人(短期大学と幼稚園を設 置)を合併するなど、短期間に急速なエクステン ションを果している。
しかし T 学園大学は、2004 年6月に東京地裁 に民事再生手続きを行い、同地裁から保全命令 を受けた(負債額 298 億円)7。その破綻要因は、
同法人が校舎建築を依頼した建設会社に振出し た額面約2億円の手形が、同年6月に不渡りと なったことが発端となる。
2004 年 12 月に債権者集会が東京地裁で開か
れ、再生計画案が賛成多数で可決した。同計画案 は、無担保債権を5 % の約 13 億 6,300 万円とし、
担保付債権や国に返還する補助金などを合計す ると、両法人に対する弁済対象は約 74 億円とす るものである8。
事件前に同学園は架空寄付問題が発覚し、多 額の負債が表面化したため、金融機関の信用も 落とし資金繰りが悪化していた9。さらに国、仙 台市の補助金不正受給が明らかになった。この ように大学経営は破綻を来し、自主運営は困難 となったため、旧経営陣は一掃された上で、新経 営陣は支援者を探していた。しかし、相次ぐ旧経 営者による不正発覚のため、支援者の発見は困 難を極める。その渦中に、学校法人と医療法人等 を運営する A グループが篤志により支援を行う と民事再生の申し立て時に発表された。
以上の通りT学園大学は、経営者の背任行為に より経営破綻に至ったが、幸いにも第三者によ る支援が得られる事になり、法的適用を受けな がら大学の再建を目指す事となった。
3.3 W 電子学園(W 電子専門学校を設 置)の民事再生手続き
同学園の沿革は、1984 年4月に東京に開校し た W 電子専門学校に始まる。同校は、情報処理 技術者育成に特化した学校であった。その後、
1987年に福岡校、1992年に高崎市に提携校、1993 年には北海道校を開校し、急速に事業規模の拡 大を図る。学生数は、最盛時に東京校約 1500 名、
福岡校約600名が在籍していたが、少子化や他校 との競合、4年制大学志向などから生徒数は減 少し、2005 年には 333 名にまで落込んだ。また、
福岡校は 2001 年9月より休校となった。1990 年 度は年商約 16 億円であったが、2004 年度には約 5億円にまで減少した。加えて、バブル期に学校 の開設を行ったことから借入金負担が重荷とな り、多忙な資金繰りを余儀なくされていた10。こ のため、所有不動産の売却や大幅な人員削減な
4 2005 年 6 月 20 日に(学)H 学園が公表した資料による。
5 [日本経済新聞(1)05]。
6 [読売新聞 06]。
7 [帝国データバンク 05̲2]。
8 [毎日新聞(3)04]。
9 [河北新報 04]。
10 [帝国データバンク 05̲3]。
11 [帝国データバンク 05̲4]。
12 [帝国データバンク 05̲5]。
13 [学校法人 C 学園 05]。
14 [読売新聞 02]。
15 [読売新聞 03]。
16 [帝国データバンク 05̲6]。
17 詳細は不明だが、メインバンクを含めた二銀行が支援を申し出ていたものの、学園側より断ったという。(筆者が 2005 年7月に 行なった学園関係者へのインタビューによる)
18 [T 学園高校 05]。
19 [帝国データバンク 05̲7]。
どリストラを行い、留学生による生徒数の増加を 目指したが、抜本的な改善には至らなかった11。 この渦中の2005年10月に一部の債権者が破産を 申立てたため、G 学園(大阪市)から資金支援を 得て再生を目指すべく、民事再生法による再建 を図ることとなる12。同学園は、2005 年 11 月に 東京地裁に民事再生手続きを申立て、同日付け で同地裁より保全命令を受けた(負債は 75 億 円)。なお同学園は、学内に再生債務者対策室を 設置し、今後の対処にあたるセクションを設け ている。
筆者は、当該事件は「拡張型事業破綻の典型 例」との印象を持つ。同学園は、急激なエクステ ンションのため、過剰な施設投資を行った後遺 症により、事業が頓挫してしまった。
W 電子学園は、2006 年度の生徒募集を停止し ており、事業の永続性は不明である。
3.4 C 学園(専門学校を設置)の 民事再生手続き
学校法人 C 学園(東京都)は、1971 年に認可 を受け、電機・無線系の専門学校ニ校を経営して いた法人である13。しかし、少子化や新設大学と の競合で生徒数の減少が続き、経営状態が苦し くなっていく。1990 年代後半に2千名の在籍し ていた学生は半数まで減少していた。そして、
2002 年に四校舎のうち、三校舎を所轄庁の東京 都に無届で売却したことが発覚し、教職員らが 学校の乱脈経営を指摘するなどの混乱が続いて いた14。
この背景には、2003 年 10 月に地検が元理事長 や元顧問などを背任罪で起訴し15、学園を食い物 にした実態が学校運営に悪影響を及ぼしていた ことが発端となっている。そして、2002 年9月 に C 学園は、東京地裁に民事再生の申立てを行
い、同年10月に同地裁より開始決定を受ける。学 生数は約千名、負債総額は約8億 7,900 万円で あった16。
再建計画は、2003 年度末までに在学生を卒業 又は転学により学校に学生の残らないこととし た。卒業生は数百名おり、他の専門学校に転学し た学生は十数名いた。同時に、一般債権者に対す る返済も 2003 年度末までに完了し、民事再生計 画は終了した。ただし、2004 年度からの再建方 針は再建計画当初から未定であった。
C 学園の破綻に至るまでの経緯は以上である が、民事再生の申立て前の合理化策以外に学園 再建の根本的な手立てはなかったのだろうか。
実は、その機会は破綻前にあったが、結局、支援 を得ることはなかった17。このように、C学園は、
学生数の減少、元理事長などによる背任行為に 加え、第三者支援を得ないまま教育事業の停止 を余儀なくされた。
同学園を破綻に導いたのは、元理事の犯罪行 為に起因するものが大きい。教育資源や基本財 産が残されていれば、事業縮小等による自主再 建の道は残されていたと推察する。
3.5 T 学園(T 学園高校と幼稚園を設 置)の民事再生手続き
学校法人T学園は、1879年に山口県に専門学支 校を創立し、その後、1928 年に中学校、1948 年 に T 学園高校、1974 に付属幼稚園を設置した18。 高校は、サッカーで全国的に有名な学校であっ た。しかし同学園は、2005 年 10 月に民事再生手 続きを東京地裁に申立て、保全命令及び監督命 令が同地裁より発令された。その要因は、次の理 由による19。同学園は、2004 年4月に総事業費約 90億円をかけて防府市台道地区に移転し、校舎、
講堂、サッカー場などの設備を備え、男女共学校
20 [読売新聞 05]。
21 [毎日新聞(1)06]
22 [毎日新聞(3)04]。
23 [長崎新聞 04]。
として新たなスタートを切った。そして、移転資 金は約 70 億円を金融機関から借り入れ、その返 済は寄付金・助成金にて賄う計画であった。しか し、寄付金が集まらず、借入金返済のため資金繰 りは悪化する。そのため、同学園は資金繰りがつ かなくなり、民事再生法の申請を行った。負債は 約 71 億円である。
今後の学園再建に向けて、次の対応策がとら れた。まず、調査委員会が学園内に設置され、経 営責任を検証する意見書をまとめる。次に、同学 園に他法人からスポンサー打診が寄せられたた め、条件に合う法人を公平に判断し、選定するた めに窓口を S 銀行に一本化した20。民事再生手続 きは、2005 年 11 月に東京地裁が再生手続き開始 を決定し、2006 年3月に次の再生計画案が提出 された21。300 万円以上の大口債権者8社には 14
%相当額(合計約8億8千万円)を基本弁済とし て同計画案認可後1カ月以内に支払い、残りは 旧校舎跡地などの資産売却金で追加弁済し、3 年以内をめどに完済する。T学園高校は予備校等 を経営する会社が、付属幼稚園は防府市の学校 法人がスポンサー候補者となった。
T学園の所轄庁である山口県は、学園破綻の経 営責任は学校法人自身にあるとの解釈から、「特 別な支援」は行っていない。
T学園の民事再生手続きについて、次の留意点 を挙げる。
第一に、T 学園の経営破綻は、「資金計画の甘 い見通し」が財政破綻の引き金になった。
移転資金の約8割を他人資本から借り入れ、
しかも予定の寄付金が集まらなかった事態は、
経営者の注意義務違反の疑いがある。
第二に、スポンサー候補が寄せられている側 面から、学園再建は希望が持てる。同学園の破綻 は生徒数の減少でなく、しかもスポーツで著名 な高校である。そのため、財政上の課題をクリア すれば健全な学園運営に回復できる可能性は十 分あると考える。
3.6 F 学園(幼稚園を設置)の民事再生 手続き
学校法人F学園は、幼稚園を経営する長崎県で 最大規模の幼稚園法人である。同学園の理事長 は、1992 年から 1994 年にかけて、N 信用農業協 同組合連合会から建替の資金約10億5千万円を、
同学園を連帯保証人として融資を受けていた22。 同連合会は、F 学園に 2004 年7月末時点で約9 億5千万円の債権があったが、1990年代末から返 済の延滞が続いたため、F学園の自主再建は不可 能と判断する23。そのため、同連合会は、2004 年 8月に F 学園に対する民事再生手続開始の申立 てを長崎地裁に行った。同地裁は、同年8月に保 全管理命令を出し、保全管理人を選任した。負債 総額は約 10 億2千万円であった。
園児の保護者及び F 学園の職員に対して説明 会が開かれ、理解が得られたという。F 学園の職 員の雇用は確保された。理事者については、同県 の幼稚園経営者が篤志により就任し、その新理 事長に対して金融機関が支援を行うことになっ た。同手続きにより、F 学園は学園体制を一新し て運営を行うこととなった。
3.7 まとめ
表1は、3.1〜3.6の原因や再建の留意点をとり まとめたものである。全て再生手続き開始の決 定を受けており、申立てを棄却されたものはな い。個々の事情は異なるが、その多くが破綻要因 を重複して抱え込んでいたことが分る。学園に 資金的な内部留保など財政的な弾力性が薄けれ ば、たちまち支払資金に窮し、学園運営に支障を 来すことになる。
破綻要因の多くは、「在学生の減少」と「経営 の失敗」が挙げられるが、経営者の背任行為やモ ラルハザードも大きな原因である。特徴的なの は、2005 年の H 学園、W 電子学園のように「在 学生の減少」が経営破綻の要因になった事件が 立て続きに発生したことである。在学生が減少 すれば、運転資金が減少し、財政破綻の要因とな る。両学園は、リストラ策や留学生の確保などの 学園改革を図ったが、抜本的な解決策とならな
24 表1は、資料や取材を材料に、筆者の判断により取りまとめたものである。ただし、他の見方、捉え方や筆者の把握していない 事実・実態などにより、必ずしもこの表の限りではない。
かった。
「経営の失敗」は、T 学園や F 学園のように、資 金計画の失敗が支払不能に発展したものがある。
中長期計画の甘い見通しは、思わぬところから 事業運営に行詰ることがある。このような学校 経営者の経営判断の誤りや過失も経営破綻の要 因となる。T 学園は、前述のように過剰な設備投 資とそれに伴う過大な寄付金収入の見込み違い が破綻要因となった。
民事再生手続きによる事業再生は、その破綻 要因が大きく関係する。破綻要因が複数あって 深刻な状態に陥っていれば、再建の道のりは険 しくなる。しかし、在学生数に問題がないにもか かわらず、「経営の失敗」のみの原因で経営破綻 に至った場合、本業の事業収入から計画的に弁 済できる見通しがつけば、自主再建の可能性が 残されているといえよう。
一方、C学園のように、背任行為による学園資 産の亡失が致命傷となることがある。このケー スでは、民事再生手続きは行われたものの、学園 再生を実現することはできなかった。C学園及び W 電子学園以外の学園は、スポンサーの出現に より事業継続の可能性が高まった。ただし W 電 子学園は、2006 年度の学生募集は行わず、在学 生の卒業までの限定された事業継続が行われる ものとみられる。
民事再生手続きは、経営者の続投を阻むもの ではないが、表1の「経営者の続投」の通り、判 明しているものだけで、多くの経営者が交代し ている。
「スポンサー候補者」は、「手続後の事業継続」
と密接に関係する。企業と同様、学校法人でも外 部資本の参入など第三者による支援が学園再生 の鍵となる。表1の通り、C学園以外の学校法人 は、スポンサー支援により当面の事業継続が実 現できた。ただし、スポンサーの教育理念に対す る相当な理解と賛同が求められよう。一般論と して、再建計画には、他法人との合併も学園再生 の選択肢に含まれる可能性があることを指摘し ておく。
「プレパッケージ型」は、判明しているものだ けで、H 学園、T 学園大学のみである。
これは、民事再生手続き前にスポンサーを獲 得することの困難さを示している。同手法は、
2.で説明した通り、申立て後の早期手続が可能 となり、事業再生の可能性が高まる。
6.以降で筆者が提言するシステムは、プレ パッケージ型の再生手続きを想定する。
学園再建で注目すべきは、3 . 1で述べた S 銀 行の果たす仲介業の役割である。同銀行は、H学 園の事業価値や再生の可能性を十分検討したは ずである。この契約成立により、S 銀行は、我が 事例 H 学園(3. 1) T 学園大学(3. 2) W 電子学園(3. 3) C 学園(3. 4) T 学園(3. 5) F 学園(3. 6)
手続き申立て時期 2005年 6 月 2004 年 6 月 2005 年 11 月 2002 年 9 月 2005 年 9 月 2004年 8 月
設置校 大学 大学他 専門学校 専門学校 高校・幼稚園 幼稚園
在学生の減少 − − ● ● − ●
経営者の背任行為 − ● − ● − −
破 綻 要
因 経営の失敗 ● ● − ? ● ●
手続後の事業継続 ○ ○ △在校生のみ × ○ ○
経営者の続投 × × ? × ? ×
スポンサー候補者 企業 学校法人 学校法人 × 学校法人・企業 学校法人理事
再 建 の 留 意
点 プレパッケージ型 ○ ○ ? − − −
表1 学校法人の民事再生手続き事件の主な破綻要因と再建の留意点24
国の「大学再生ビジネス」というパイオニア的な 実績を作った。同銀行がビジネス参入を決めた のは 2003 年頃で、これまでに七、八校から M&A の相談を受け、2005 年現在、複数の大学等の再 建策や身売り先の斡旋をしているという25。同銀 行は、3 . 3の T 学園の案件でも登場しており、
同銀行の再生手腕に寄せられる期待は大きいと いえる。
4.民事再生手続きによる学校法人再建の 条件と問題点
本章では、学校法人再生の条件について取上 げる。その中でも「スポンサーの獲得」は、民間 企業と同様に重要な要件となるが、学校法人が 調査・交渉することは容易ではない。
4.1 民事再生手続きによる学校法人再建 の条件
民事再生手続きによる学校法人再建の条件と は、どのようなものが挙げられるだろうか。
まず、学校法人に「就学生を守る決意」を持つ ことが前提となる。学校運営がいかなる状態に 置かれても、就学生は最優先に保護されねばな らない。この点は、前章のケース・スタディでも 最大限に配慮されている。就学生は、学校法人と 在学契約を結ぶ無担保債権者であるが、学校破 綻時には教育的配慮による政策的介入を要する 局面もありうる。
なお、企業と学校法人の「再建の条件」の決定 的な相違点は、学校法人には4 . 1 . 1の「学校 法人が教育事業を営む公共性を持つために、ス ポンサーには特別な配慮が求められる」点や4 . 1 . 3の「所轄庁や所属私学団体、地域社会の支 援」があることである。前者は、スポンサーが学 生・生徒の就学上の権利を重視すべきことを意 味する。
4.1.1 誠実なスポンサーの存在
民事再生手続では、スポンサーが必要になる 局面が多い。その理由は、第一に、事業の継続に 必要な資産に対して担保がついている場合、そ の担保権者に対して支払をするためであり、第 二に、必要な運転資金を提供するためである26。 債務免除と事業収入による弁済で運営の見通し がつけば外部資金の注入は必要ない。しかし、担 保権者の数が多かったり、担保価格の大きい場 合、外部の資金提供がなければ再生は困難とな る27。前章で取上げた H 学園、T 学園大学、F 学 園の事例では、スポンサーの登場により、当座の 運転資金の不安は大幅に解消された。民間企業 でも、その信用を補完するためには、有力なスポ ンサーや営業譲受人が決まっていることを公表 する必要がある場合が少なくない28。資金繰りを 維持するためにもスポンサー等からの支援が不 可欠である。
このように、大学法人の民事再生手続におけ るスポンサーの存在有無は、事業再生の大きな 鍵を握る。標記の「誠実」は、学校破綻につけこ む偽スポンサーを意識してのことである。
大学法人の経営危機において、理事長に就任 した他法人理事が背任行為を行った事件が過去 にあった。そのため、スポンサー選定を慎重に行 わなければ、事態がより泥沼化する恐れがある。
4.1.2 ステーク・ホルダーの協力と債 権者の理解
破綻法人は、就学生や保護者、教職員などのス テーク・ホルダーに対し、破綻に至った経緯や再 建方針に関する説明責任を果たさなければなら ない。事業継続のためには、利害関係者の理解・
協力が不可欠である。就学生や保護者は、学園に 対する不信感を抱き、修学上の不安を覚えるで あろう。学園は、それらを払拭するための努力を 怠ってはならない。教職員は、事業継続を行う上 で重要な人的資源である。従って破綻法人は、労 働力の散逸を防止する対策を講じなければなら
25 [日本経済新聞(2)05]。
26 [ジョーン・フランソワ・プラント 01̲1]、p.88。
27 [ジョーン・フランソワ・プラント 01̲2]、p.88。
28 [須藤 04]、p.102。
ない。また、債権者は再生計画に大きく関与する ため、民事再生手続き前に事情説明を行い了承 を得るなどの対処策が求められる。前章のケー ス・スタディのほとんどの学園がステーク・ホル ダーへの事情説明を行っている。
4.1.3 所轄庁や所属私学団体、地域社 会の支援体制
所轄庁や所属私学団体、地域社会の支援も法 人再生の条件となる。これらは、資金援助を得る ものではないが、事業再建の力となる。所轄庁や 私学団体から指導・助言を受けたり、地域社会の 協力を得ることが法人再生の可能性を高める。
また、日本私立学校振興・共済事業団は、専門の 相談センターを設置しており、私学団体も相談 窓口を設けている。学校法人は経営に不安材料 があれば、できるだけ早期に相談する姿勢が求 められる。
4.1.4 事業存続のための費用対効果が 見込めるか
事業再建には、費用対効果が見込めるか否か が重要となる。学校法人の場合、入学(園)生の 獲得が事業存続の必須条件となる。表1の破綻 要因の一つに「在学生の減少」が挙げられている が、授業料や入学金などの収入確保が困難であ れば、再生計画の立案は頓挫することになろう。
学園財政の消費支出では、人件費、教育研究用経 費などの固定費の割合が多く、それに対応する 授業料収入や補助金収入などの消費収入が獲得 できなければ事業の存続は難しい。そのため、資 金計画についても、慎重且つ実行可能な計画案 が必要となる。
4.1.5 経営責任の明確化
経営破綻の責任を明確にすることが事業再生 の第一歩となる。この点がうやむやになると、ス テーク・ホルダーを納得させることや債権者の 同意を得ることはできない。モラルハザードや 背任行為が介在する可能性のある場合、早期に
弁護士などの専門家による調査委員会を結成す べきである。前章のケース・スタディでは、経営 者の背任行為が二件明らかにされた。このよう な場合、第三者支援が得にくくなり、事業再建へ の道が非常に険しくなる。
T学園が調査委員会を設置したように、経営責 任究明のための迅速な対処が求められる。
4.2 学校法人の「スポンサー獲得」に おける問題点
筆者は「「スポンサーの獲得」は、民間企業と 同様に重要な要件となる」と述べた。しかし、学 校法人がスポンサーを獲得することは、以下の 理由により相当な困難が伴う。
第一に、調査環境が未成熟であるため、スポン サー候補者の情報収集が難しい。我が国には、学 校法人や教育事業を売買する市場が形成されて おらず、学校法人とスポンサーを結びつける環 境が整備されていない。T 学園高校のようなス ポーツ学校なら、スポンサーを名乗り出る者も 現れよう。また、F 学園のように、地域の篤志家 がスポンサーになることもある。しかしT学園大 学は、複数の学校法人に支援の依頼を断られ、ス ポンサー発見が困難となっていた。以上より、学 校破綻時に幸運にも支援者が容易に発見できる 場合もあるが、スポンサー候補者の情報収集が 強く求められる案件が多いと思われる。
第二に、この分野に精通したアドバイザーや 代理人などの専門家が少ない。学校法人のスポ ンサー獲得には、事業体の正確な事業価値を把 握した上で、スポンサー候補者の利益につなが る立案を図り、うまく交渉する専門能力を備え たアドバイザーが必要である。
しかし、学校法人のような特殊法人の再建ノ ウハウを持つアドバイザーは希少である。
第三に、破綻法人の社会的信用度や運営能力 が低下しているため、法人自ら第三者に支援の 依頼を行っても説得力に乏しい。我が国では、倒 産法人のレッテルが貼られてしまう。
ところで、学校法人の教育事業は寄附行為の ため、原則的に利益獲得のための投資対象とな らない。従って、スポンサーが希少であるのもこ のような背景があるためである。
5.所轄庁等の対処策と「学校再生ビジネ ス」の可能性
前章は、民事再生手続きにおけるスポンサー の重要性と獲得における問題点を挙げた。
それを受けて本章では、所轄庁等の対処策の 動向と民間企業の「学校再生ビジネス」を紹介す る。一部の企業が積極的に学校再生に取り組ん でいる実態を把握することができる。
なお、学校法人の経営破綻に関する対応は、経 営コンサルタントや金融機関などのほとんどが 取り扱いの実績が少なく、構築されている段階 ではない。従って、さらなるケース・スタディの 分析や日本私立学校振興・共済事業団の公表す る資料を材料として、学校法人の再生事業を速 やかに実行するための検討が必要となる。
5.1 所轄庁等の対処策
高等教育機関の所轄庁である文部科学省は、
経営危機法人に対して経営改善のための指導・
助言は行うが、スポンサーの調査や紹介は行わ ない。2005 年に筆者が同省にインタビューを 行ったところ、私立大学を取巻く経営環境に対 して相当な憂慮感を持っていたものの、同省が 主体となって支援者を調査することは「現状で は実現の可能性は無い。文部科学省は紹介業務 を行わない29」との回答であった。
ただし、同省が同年に発表した「経営困難な学 校法人への対応方針について」では、「私学事業 団において、支援者を求める学校法人とこれに 応じることのできる可能性のある者とのマッチ ング(紹介等)や、学校法人の合併等の仲介等の 支援を積極的に行うこととする30」としている。
しかし、2006 年3月現在、具体的な取り組みは 行われていない。
一方、初等教育、中等教育の所轄庁である都道 府県は、前章の W 電子学園、C 学園、T 学園、F 学園のケースでみた通り、破綻法人に対しては
「特別な支援」を行っていない。
私学団体は、経営相談の窓口を設けているが、
仲介や紹介を行う専門的な機関ではない。
以上のように、政策的に学校法人の再建を目 的とした仲介システムは作られていない。
5.2 「学校再生ビジネス」の分析
前節は、学校再建のための支援者調査や仲介 について、所轄庁や私学団体では具体的なシス テムが整備されていない現状を紹介した。本節 では、前章のケース・スタディを受けて「学校再 生ビジネス」の可能性を考察する。
5.2.1 「学校再生ビジネス」の分析
3 . 1の事例では、民間企業が大学再建に参画 するという興味深い案件となった。本節では、そ の流れを分析した上で「学校再生ビジネス」の可 能性を考察する。
S ホールディングス及び S 銀行は、篤志で H 学 園の破綻劇に登場した訳ではない。ビジネスと して捉え、参入したと考えられる。S ホールディ ングスは、H学園に運転資金を投入する費用負担 は発生するが、校舎改修やビルメンテナンスの 需要は本業である建築業で商いができ、将来、輩 出予定の介護福祉士は、関連の老人介護施設が 受け皿となり、長期的なシナジー効果を図るこ とができる。また S 銀行は、「大学法人の仲介業」
の実績と社会的な信頼が獲得できた。このイン パクトは、同銀行の大きな宣伝効果となった。
H 学園の一連の破綻についての流れを図で示 すと、次のようになるものと推察される。
H 学園は、公的機関に経営相談を持ちかけた
(①)。それを受けて同機関の職員は、S 銀行に案 件を持込む(②)。同行は、H 学園の事業評価等 を行い、どの程度の価値があるか評価する(③)。 その上で同行は、弁護士を通じてSホールディン グスに案件を紹介し、ビジネスプランや採算性 について検討した(④)。その結果、Sホールディ ングスにとって、将来的に利益が期待できると 判断したので、同社は、スポンサーとして名乗り をあげた。
ところで、大学再生の仲介ビジネスに関し、N コーディアルやA銀行など、数社が関心を示して
29 2005 年7月 13 日に筆者は文部科学省にインタビューを行った。
30 [文部科学省 05]、p.9。
31 2005 年8月 29 日に筆者は、A 銀行の担当者より事情を聞く。
いる。その内、筆者はA銀行の取り組みを知るこ とができた31。同社は、スポンサーとなりうる企 業がどの程度いるかリサーチから始めた。 その結 果、技術者不足の製造業大手数社や人材派遣業 大手数社から「興味あり」との回答があった。企 業側が考える共通スキームは、理系の大学を買 収又は資本参加し、現在不足する3 DCAD や半 導体設計等の技術者を育成し、リクルートする ものである。特に、トップクラスの技術者派遣会 社では、優秀な学生をリクルートし、半年〜1年 間 かけて育成し大企業に派遣するため、多額の リクルート費用と研修施設費用や育成中の稼働 率の低下に伴う運転資金が発生している。その 解消策のため、「大学への資本参加は、非常に興 味がある」との調査結果に至っている。
5.2.2 「学校再生ビジネス」の可能性
図2は、前項の分析を参考にして、「学校再生 ビジネス」の流れをモデル化したものである。経 営危機法人は、アドバイザーに経営相談を持ち かける(①)。アドバイザーは、危機法人の事業 評価を行い、事業再建の可能性を検討する(②)。 事業再建の可能性があれば、アドバイザーは、危 機法人の教育事業に関心を持つ可能性のあるス ポンサー候補者の調査を実施する(③)。アドバ イザーがスポンサーを発見すれば、契約締結ま での実務手続きまで関わる(④)。この段階で危 機法人のメインバンク等の大口債権者とも交渉 を行っておく(⑤)。以上の手続きが完了すれば、
民事再生手続き申請のための準備段階に入る。
なお、破綻法人からスポンサーへの直接依頼 は、信頼性の問題などから実現性に薄い。
⑤
① ③ 仲介 ④
②
H 学園のニーズ S ホールディングスの経営戦略
公的機関 S 銀行
図1 H 学園の民事再生における大学再生ビジネス
④
① ② 仲介 ③
調査 交渉 ⑤
危機法人 スポンサー
アドバイザー
プレパッケージ型 民事再生手続き 大口債権者
図2 学校再生ビジネスのモデル
5.2.3 民間企業のプレパッケージ型事 業再生スキーム
図3は、企業のプレパッケージ型事業再生の 構図を示したものである。簡単に説明すると、再 生案件が支援機構に持ち込まれると、再生コン サルタント、専門家集団、再生ファンドなどの各 分野の専門家集団が包括的に事業再生に取り組 んでいく。手続きとしては、アドバイザリー契約 締結後に再生アドバイザーチームが中心となっ て「債権回収のための「企業再生」」又は「不良債 権処理のための「企業再生」」の処理が行われる。
ところで、事業再生市場に関するアンケート
調査では、「民事再生法の簡易再生手続きをより 利用し、プレパッケージ型手続きを増やすこと が必要33」との意見が寄せられている。
これは、プレパッケージ型民事再生手続きの 有用性を示すものである。
5.3 「学校法人再生支援ビジネス」 の可能性
図2の「学校再生ビジネスのモデル」を発展さ せ、図3を参考に「破綻法人が迅速に信頼のおけ るスポンサーを調査・発見する」ためのシステム を考察する。そのためには、図2で登場したアド バイザーや環境作りが必要である。各々の役割
32 [日本企業再生支援機構 06]。
33 [内閣府産業再生機構担当室 04]。
図3 企業再生ビジネスの事例32
34 [奈良 04]p.242。
やメリット、デメリットを想定した上で、スポン サーの支援インセンティブを高揚するメリット を政策的に導入しておかねばならない。さらに、
事業再建には資金注入が不可欠であるが、スポ ンサーの負担を軽減するためにも、必要に応じ て何らかのファンドの導入も検討すべきではな いか。
以上を踏まえ、各事業所の役割・機能を整理 し、メリット、デメリットを考察してみた。
5.3.1 経営危機法人の立場
経営危機法人は、教育事業の遂行やステーク・
ホルダーの保護のためにも、事業再建を早期に 目指す義務を負う。そのため、危機法人が事業再 生を目的とする「学校法人再生支援ビジネス」に 業務委託を行う可能性は高いと考える。この段 階の学校法人は、自力再建が困難になった状態 であるので、「事業再生のプロ」に学園存続の望 みを託すことを意味する。ただし、経営危機法人 とはいえ、教育事業を存続させるためのあらゆ る努力は怠ってはならない。学園を守りぬく強 い意思表示と粘り強い姿勢が求められる。
5.3.2 アドバイザーの 「学校法人再生支 援ビジネス」 参入
アドバイザーの学校法人支援ビジネス参入の インセンティブは、仲介料やコンサルティング 料の報酬、公益法人の再生支援に取り組む意味 においての社会的意義が挙げられよう。
デメリットは、企業に比べ事業再生の手法が 限定されていることにより採算性の不安がつき まとう点がある。企業の場合、収益力や財務内容 によって営業譲渡・合併による事業再生や私的 再建・法的再建の選択肢の幅がある。しかし、学 校法人制度は法的な制限や「公の支配に属する」
(憲法 89 条)との解釈から、相当な制約を受け、
監視下に置かれている。
従ってアドバイザーは、これらの制約を認識 した上で学校法人の再生又は教育事業の継続と いう前提のもとに業務遂行を行わねばならない。
次に、アドバイザーは、単なる仲介業に止まら ず、少なくとも再生計画完了までの数年にわた り関与した方が望ましい。それだけに、破綻法人 の事業評価や再建可能性の判断やスポンサーの 調査・交渉能力など、専門知識を備えたスタッフ の対応が求められる。図3のように、法務・実務 処理に詳しい組織的な取り組みが事業再建の可 能性を高める。
5.3.3 スポンサーの 「学校法人再生支援 ビジネス」 参入
学園再建に果たすスポンサーの役割は、運転 資金の提供以外に「信用保証」の機能を果たすこ とができる。民事再生手続き前にスポンサーが 選定されていると、「信用崩壊防止の機能」が果 たされ、債務者企業に「一定の価値」を付与した ものと考えられる34。
スポンサーの再生支援ビジネス参入のインセ ンティブは、学校法人の学種により異なる。大学 ならスポンサーが優秀な卒業生の受け入れ先と して参入するメリットがある。例えば、5.2.1 で紹介した技術者不足を補うことを期待する製 造業大手数社や人材派遣業大手数社が可能性と して挙げられる。また、同項で分析したS ホール ディングスが期待する人的資源(卒業生)の有効 活用や本業の商いに直結するメリットが考えら れよう。スポンサーが卒業生の専門的知識や技 術に関心を持つ場合、再生支援ビジネスに参入 する可能性がある。
高校であれば、3 . 5の T 学園のようなスポー ツで地域を代表する有名高校の場合、篤志家が 集まりやすい。レアケースだが、スポンサーが学 園の知名度やスポーツの実績に注目し、教育の 保護とスポーツ振興のために支援を行う意図が 大きい。従って、ビジネス面より篤志の目的でス ポンサーになる可能性がある。また、外食産業の 経営者が経営不振に陥った高校法人のスポン サーになると同時に理事長に就任し、学園改革 により進学校に生まれ変わらせた事例がいくつ かある。例えば、和歌山県では実業家出身の新理 事長が抜本的な学園改革を積極的に推進した結 果、志願者が増加した 1990 年後半の成功事例が
35 ただし、「学校法人再生支援ビジネス会社(仮称)」を設立することなく、私学団体が受付・相談窓口となり、必要に応じて実務 専門家などのアドバイザーに委託する方式も考えられる。
ある。
幼稚園は、3 . 5の T 学園ように上級学校に幼 稚園が併設されていれば包括的に支援されるが、
学校法人が幼稚園のみ設置している場合、入園 生のマーケティング・エリアが特定地域に限定 されるため、スポンサー候補者も必然的に地元 に限定されてしまう。
以上の通り、スポンサーが学校法人支援に乗 り出すメリットは、学校法人の置かれた特定の 状況においてのみ生み出される。公益法人の再 生といえども、ビジネスの採算性という厳しい 観点からみると、リスクを背負ってまで支援を 行うスポンサーは非常に少ない。
6.学校法人再生のための政策提言
―学校法人再生支援ビジネス―
本稿の研究成果として、「学校法人再生支援ビ ジネス」の創設を提言する。同提言の目的は、経 営危機法人とスポンサーを結びつけた上でプレ パッケージ型民事再生手続きを実現するコンサ ルティングを包括的に行う。本節では、そのシス テム概要と課題を述べる。
6.1 「学校法人再生支援ビジネス」 の主 な登場者
本稿でいう「学校法人再生支援ビジネス」と は、学校法人再生のためのサポートをビジネス として組織的に取り組むシステムの総称を指す。
主に経営危機に陥った学校法人がクライアント になることを想定し、民事再生手続きや私的整 理による事業再建を図る。
その中の「学校法人再生支援ビジネス会社(仮 称)」は、提言「学校法人再生支援ビジネス」の 中核となる役割を果たす。即ち、学校法人の事業 評価及びコンサルティングから再生計画案の作 成指導まで系統的な経営指導を行う。同事業は、
学校法人と契約を締結し、報酬委託を受けるた め、会社としての運営が望ましい。同事業の形態 は、事務統括(案件情報の収集と管理・統制を行 う)を行うための専門会社を設立し、同社と委託
契約を結ぶアドバイザー(経営実務や法務の専 門家)方式とする35。アドバイザーは、銀行や監 査法人、弁護士や経営コンサルタントなどの専 門家集団で構成される。彼らは、同社の委託を受 け、学校法人をアドバイスし、代理人としての役 割を果たす。同社は、日本私立学校振興・共済事 業団や私学団体とも何らかの形で連携した方が 理想的である。連携することにより、情報収集が 容易となるだけでなく、「学校法人再生支援ビジ ネス」事業の信頼性が増す。
「大口債権者」は、メインバンクなどの大口債 権者の意向が学園再建の鍵を握る重要な位置づ けとなる。「大口債権者」の理解が得られない場 合、事実上、学校法人の再建は相当困難となる。
そのため、「大口債権者」に対する説明責任を十 分に果たさなければならない。
「スポンサー」の登場も学園再建の運命を握っ ている。その役割は、5 . 3 . 3で「運転資金の 提供以外に「信用保証」の機能を果たすことがで きる」と前述したが、スポンサーには何らかの強 いインセンティブを発生させる必要がある。
6.2 政策提言 「学校法人再生支援ビジネ ス」 のシステム
図4で「学校法人再生支援ビジネス」の流れを 説明しよう。
まず、経営危機に陥ったA学校法人が学校法人 再生支援ビジネス会社(仮称)に業務相談を行う
(①)。この段階の学校法人は、自主再建が困難に なっており、何らかの抜本的な経営改善を早期 に実行しなければ、教育事業が断絶する危惧が ある段階である。
それを受けて再生支援ビジネス会社は、当該 案件に適切と思われる B アドバイザーに委託す る(②)。B アドバイザーは、A 学校法人の事業 再生の可能性を検討するための予備調査を行う
(③)。ここでは、教育資源や経営資源がどの程度 残されているか調査し、A学校法人の事業評価を 査定する。また、4 . 1で取り上げた(1)誠実な スポンサーの存在、(2)ステーク・ホルダーの協 力と債権者の理解、(3)所轄庁や私学団体、地域 社会の支援体制、(4)事業存続のための費用対効
果が見込めるか、などの条件を満たしているか 調査する。
この予備調査でBアドバイザーは、学校法人又 は教育事業の再建を見極める非常に重要な判定 を行う。つまり、案件が(1)スポンサーの獲得 により事業継続が見込める可能性があるか、(2)
スポンサーが興味を示し、インセンティブが生 まれる可能性があるか、(3)教育資源や経営資源 が事業再生に必要な要件を満たしていない、な どの判定を行う。この結果は再生支援ビジネス 事業に報告され、同所を通じてA学校法人に通知 される。
次の段階は、A学校法人が事業再生を目指すの であれば、再生支援ビジネス会社とマネジメン ト契約が結ばれる(④)。期間や成功報酬などは、
その際に盛込まれ、契約締結後は再生支援ビジ ネス会社の委託を受けたアドバイザーが A 学校 法人の代理人となる。
契約が結ばれると、予備調査を行ったBアドバ イザーが中心となって、A学校法人を再生するた めに、次の調査・検討や行動が起される。まず、
A 学校法人のメインバンクなど大口債権者に債 務圧縮・猶予の権利変更の同意を得るための交 渉(⑤)やスポンサー獲得のための調査が実施さ
れる(⑥)。(⑤)は、スポンサーの交渉能力が最 も問われる重要な業務であり、(⑥)もスポン サーの持つ情報ネットワークの活用や情報発掘 の技術力が要求される。同時に、Bアドバイザー は、A学校法人に簿外債務や不正事項がないか精 査した上で、民事再生手続きにおける再生計画 案の作成指導に着手する。Bアドバイザーは、再 生計画案の実現可能性をそれまでの実務経験を 参考に勘案しながら指導することになろう。
スポンサー候補者が発見されれば、引続きBア ドバイザーは条件等の交渉をスポンサー候補者 と行い、A学校法人の合意が得られれば、スポン サー契約を締結する(⑦)。
以上のプロセスを経てプレパッケージ型民事 再生手続きの基本的な要件が揃う。B アドバイ ザーは、再生支援ビジネス会社に手続きの進捗 状況を報告し、同社は所轄庁にその旨を報告す る。その上でA学校法人は、所轄の地方裁判所に 民事再生手続きの申立てを行う(⑧)。 この「学校法人再生支援ビジネス」は、民事再 生手続き前に事業再生の可能性を高めるための アレンジメントを施す効果を作り出す機能を果 たし、アドバイザーは具体的な事業建て直しの ためのビジネスモデルを検討するシナリオを描 ①相談 ④契約
③予備調査 ⑤交渉 ⑦契約
⑥調査
⑧地裁に申し立て
スポンサー
プレパッケージ型 民事再生手続き ②委託
A 学校法人
アドバイザー
B アドバイザー
大口債権者(メインバンクなど)
学校法人再生支援ビジネス 会社(仮称)
私学 団体
図4 「学校法人再生支援ビジネス」のシステム
く役割を果たす。
なお、①〜⑧は、できるだけ短期間に行うべき である。この時間が長くなるほど有能な教職員 が離職したり取引関係が消滅するなど、事業価 値が著しく低下する恐れが出てくる。
6.3 政策提言実現により期待される効果
提言「学校法人再生支援ビジネス」が実現する ことにより、以下の効果が期待できる。
第一に、学校法人が経営危機に陥り、自己再建 が不能になった際、短時間且つ効率的に学園再 生のための手段を講じることができる。また、大 口債権者との交渉やスポンサー候補者の調査は、
アドバイザーなど専門家の適切な指導を受ける ことが破綻回避策となる。
学校経営者は必ずしも経営のプロではなく、
経営判断の誤りやモラルハザードにより、学校 運営を危機に至らしめることがある。そのため、
外部の専門家が学校運営の外科的治療を施す措 置が求められるのであり、その手段として同提 言の有効活用が期待されよう。
第二に、事業再生のプロ集団や私学団体が学 園再建に関与すれば、学園再生の期待感を高め る効果がある。特に、民事再生手続きを行えばブ ランド毀損のダメージや風評が学園の評価を著 しく下げる結果となるため、プレパッケージ型 手続きが望まれるのである。
6.4 政策提言の課題
同提言には、以下の危惧される点や課題があ る。
第一に、3.のケース・スタディでみてきたよ うに、スポンサーの発見は容易ではない。特に、
経営者の不正事実が発覚した場合のスポンサー 獲得は困難を極めることになる。
また、スポンサー候補者が現れたとしても、4 . 1 . 2〜4 . 1 . 5の再生条件が満たされないな どの理由により破談となるリスクも否めない。
スポンサーの参入インセンティブは、5 . 3で分 析した通り、限定された要件のもとでしか発生 しない要素がある。このように、スポンサーが参 入しないリスクも抱え込まなければならない。
第二に、スポンサーの出現により学園再建の 可能性を高めることができるが、「スポンサーの 影響力が過大となる」危惧が持たれる。つまり、
「カネも出すが、口も出す」という力関係ができ ると、本来の私学が持つ特有の建学の精神や教 育目標までが影響を受けかねない。往々にして、
スポンサーの代表者などが支援を受ける学園の 理事長に就任し、役員なども送り込まれる。そう なると、実質的な学園支配となり、スポンサーの 支配下に置かれることとなる。この点は、民事再 生手続きで選任された監督委員が危惧するとこ ろである。
第三に、「学校法人再生支援ビジネス」は受益 者負担のため、報酬料を支払う費用負担が発生 する。アドバイザーが対象法人を事業評価し、調 査を実施した後に再建を検討するには、相応の 経費が要求される。さらに民事再生手続きは、裁 判所に支払う予納金が必要となる。また、当面の 教育事業も当然ながら自己資金で運営しなけれ ばならない。このような厳しい経営事情の中で、
「学校法人再生支援ビジネス」の報酬料を捻出す ることは、容易でないと推察できる。メインバン クも追加融資の希望には応えられないだろう。
政策提言実現のためには、このような課題を 解消する手段を別途検討する必要がある。
おわりに
本稿は、民事再生手続き時の再建可能性を高 めることを目的として、ケース・スタディや企業 再生のスキームを研究材料として検討を行った。
その結果、「学校法人再生支援ビジネス」の政策 提言を導き出した。同提言は、5 . 2 . 1の「学 校再生ビジネス」をモデルとして発展させたも のであり、プレパッケージ型民事再生手続きの 申請を前提として系統的なコンサルティングを 行うものである。冒頭で述べたように、学校法人 の破綻要因を検証し、早急に分析や諸対策を検 討した上で、「学校法人の民事再生手続きによる 再生の可能性」を検討することが今後の学校破 綻に備えた課題解決のための鍵となる。しかし、
学校法人のような特殊法人は非営利法人である のに加え、制度的に種種の制約が多い。そのた め、仮に6 . 4で指摘した課題を解決した上で政 策提言が実現したとしても、アドバイザーの交