体が電力を電力会社に販売するケース
著者 伊多波 良雄
雑誌名 經濟學論叢
巻 61
号 4
ページ 729‑741
発行年 2010‑03‑20
権利 同志社大學經濟學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012513
【論 説】
地方自治体の電力投資の費用便益分析
―地方自治体が電力を電力会社に販売するケース―
伊多波 良 雄
は じ め に
環境への意識が高まっている中で,各地で地方自治体による風力発電など の電力投資が行われている.しかし風力発電の場合,運転再開後に,故障や 落雷などの問題により運転が一時停止されたり,なかには運転の再開の中止 を余儀なくされたりするケースもある.電力投資を行う場合,このように運 転再開後に事故が発生することがある.電力投資を実施するに際してこの事 業が社会的に有益かどうかを検討することが必要であり,このための1つの 方法として費用便益分析がある.電力投資を行う際には将来起こりうる事故 確率を考慮して費用便益分析を実施しなければならない.
本稿では別の点に焦点を置いて電力投資の費用便益分析を検討する.地方 自治体が電力投資を実施する場合,製造した電力を電力会社に販売するケー スが多い.電力会社への売電は,地方自治体の収入となるので,地方自治体 にとっては電力投資を行うインセンティブが発生する.しかし,経済全体と してみれば,電力会社の支出増で相殺されることが予想される.地方自治体 の電力会社への売電を考慮するとき,地方自治体の電力投資による費用便益 分析の結果は必ずしも明らかでない.風力発電に関する研究で,補助金制度 を考慮した分析は中野(2006)で見られるが,売電を考慮した分析はまだ行わ れていない.本稿は,地方自治体による電力会社への売電があるとき,これ
を考慮した費用便益分析を検討することを目的としている.
また,自治体による電力投資は自然エネルギーの利用促進政策の一環とし て行われることが多く,家計は地方自治体の電力投資を環境面で評価してい る.この点については,本間・位寄・両角(2002),阿部(2007)などの研究 がある.本稿ではこのことも考慮してモデルを構築する.
現在,電力会社の活動は完全に自由化されているわけでなく,価格設定に 規制が残っている.本稿では,電力会社が利潤最大化行動を取るケースと一 定の電力需要を満たすように費用最小化行動を取るケースとの2つのケース について分析を試みる.
本稿の構成は,次のとおりである.第1節で,電力会社が利潤最大化行動 を取るケースを扱い,第2節で電力会社が電力需要を満たすように費用最小 化行動を取るケースを扱う.最後に,結果をまとめる.
1 電力会社が利潤最大化行動を取るケース
経済主体が家計,企業,電力会社,地方自治体からなる経済を仮定する.
主な変数と記号は第 1 表のとおりである.
それぞれの経済主体の活動および均衡体系は次のとおりである。
家 計
家計は予算制約と時間制約の下で効用を最大にするように変数x1,x2,x4, x5を決定するものとすると,家計の効用最大化は次のように定式化される.
V=max u(x1, x2, x4, x5, G)
x1, x2, x4, x5 (1)
s.t. p1x1+p2x2+p3x4+p5x5=I (2)
I=p3x̅3+p2̅x2+π1+π2−T (3)
効用関数u(・)は狭義準凹関数(strictly quasi-concave function)であり,それ ぞれの変数の限界効用は正で,逓減するものとする.さらに,ここではホモ セテックな効用関数を仮定し,集計の問題は発生しないものとする.Gは地 方公共団体が提供する電力である.家計の効用関数にGが入っているのは,
環境を配慮した地方自治体の電力投資を家計は評価しているからである.Iは 所得を示しており,具体的には(3)式で表される.(3)式右辺第1項は,労働 の初期賦与量(24時間)に賃金率p3を掛けたものである.(3)式右辺第2項は,
土地からの収入である.家計は土地を所有しており,これを企業,政府およ び当該家計に販売すると仮定されている.(3)式右辺第3項の π1は合成財を 生産している企業からの利潤の配当,第4項のπ2は電力会社の配当である.
(3)式右辺第5項のTは,地方公共団体が電力投資のために徴収する一括税 である.効用最大化問題を解くと,最適解が得られる.これを効用関数に代 入すると,間接効用関数V(・)が得られ,(4)式のように示される.
V(p1, p2, p3, p5, I, G) (4)
P(=(p1, p2, p3, p5))を価格ベクトルとすると,間接効用関数は次のように 示される.
V(P, I , G) (5)
企 業
企業は,利潤最大化行動の下で合成財を生産するものとし,次のように定 式化される.
π1=maxp1y1−p2y2−p3y3
y2, y3
(6)
第 1 表 主な変数の記号
需要 供給
価格 初 期賦与領 家計 企業 電力会社 地方自治体 企業 電力会社 地方自治体
合成財 x1 g1 y1 p1
土地 x2 y2 z2 g2 p2
(地価) ̅x2
労働 y3 z3 g3 p3
(賃金) ̅x3
レジャー x4
電力 x5 z5 p5
(地方自治体)電力 G p6
s.t. y1=f(y2, y3) (7)
f(・)は生産関数を表しており,狭義準凹関数とする.生産要素としては土地 y2と労働y3を考えている.利潤を最大化するように生産要素を決定すると,
最適な生産要素量が決定される.これから利潤関数 π1が得られ,次のよう に表される.
π1(p1, p2, p3) (8)
電 力 会 社
電力会社は利潤を最大化するように行動すると仮定する.そうすると,問 題は次のように定式化される.
π2=maxp5z5−p2z2−p3z3−p6G+p5G
z2, z3
(9)
s.t. z5=g(z2, z3) (10)
g(・)は生産関数を示しており,狭義準凹関数とする.生産要素は土地z2と 労働z3を用いている.利潤は電力の販売収入p5z5から費用を控除したもので ある.利潤の中には地方自治体から購入する電力Gにその価格p6を掛けた電 力購入額とそれをp5の価格で販売する収入額p5Gが入っている.ここで,購 入量は所与とする.π2は電力会社の利潤関数を示し,次のように表される.
π2(p2, p3, p5, p6, G) (11)
地 方 自 治 体
地方自治体はある水準の電力投資Gを供給する.地方自治体は費用を最小 にするように行動するものとし,次のように定式化される.
c=min p1g1+p2g2+p3g3
g1, g2, g3
(12)
s.t. G=F(g1, g2, g3) (13)
生産関数はF(・)であり,狭義準凹関数とする.生産要素として合成財g1, 土地g2及び労働g3を雇用している.費用関数は次のようになる.
c(p1, p2, p3, G) (14)
地方自治体の予算制約式は次のとおりである.電力の供給のための費用は,
電力投資額c (・)から電力会社に売電する収入p6Gを控除した額である.こ
の財源は家計に対する一括税で賄われ,予算は均衡しているもの仮定すると,
これは次のように表される.
T=−p6G+c(G) (15)
均 衡 体 系
均衡体系は,次のような合成財,土地および労働の各市場の均衡条件からなる.
合成財 x1+g1−y1=0 (16)
土地 x2+y2+z2+g2−̅x2=0 (17)
労働 x4+y3+z3+g3−x̅3=0 (18)
電力市場 x5=z5+G (19)
各市場にそれぞれp1,p2,p3,p5を掛け,さらに政府の予算均衡式を考慮す ると家計の予算制約式が得られるので,4本の均衡条件式のうち独立な式は3 本だけである.他方,内生変数はp1,p2,p3,p5の4つである.ここで,後の 分析のことを考えて,p1=1とする.p2,p3,p5の解は唯1つ存在するものと する.
等価変分の導出
電力投資の変化(GAからGB)によって,経済の状態がAからBに変化すると するとき,家計の効用水準は,VAからVBになる.ここで,VA=V(PA, IA, GA), VB=V(PB, IB, GB)である.PAとPBは状態AとBにおける価格ベクトルである.
公共財の変化による純便益は等価変分EVによって測られるものとする.
等価変分は,e(・)を支出関数とすると,次のように定義される.
EV=e(PA, V(PB, IB, GB))−e(PA, V(PA, IA, GA)) (20)
=
∫
VVBAαe dVαV (21)
=
∮
A→B ∂e dp1+∂V
∂V
∂p1
∂e
∂V
∂V
∂p2dp2+∂e
∂V
∂V
∂p3
dp3+∂e
∂V
∂V
∂p5
dp5+∂e
∂V
∂V
∂I dI+∂e
∂V
∂V
∂GdG
(22)
記号∮は線績分を,A→Bは(PA, IA)→(PB, IB)をそれぞれ示している.ここで,
分析を簡単にするため次のような準線形効用関数を仮定する.
u=x1+u(x2, x4, x5, G) (23)
p1=1を仮定しているので,貨幣の限界効用は1,∂e
/
∂V=1となる.ロワの 恒等式を用いると(22)式は次のように展開される.EV=
∮
A→B{−x2dp2−x4dp3−x5dp5+dI+VGdG} (24)dI,dπ1,dπ2,dTは(3),(8)および(11)式を用いると次のようになる dI=x̅3dp3+x̅2dp2+dπ1+dπ2−dT (25)
dπ1=−y2dp2−y3dp3 (26)
dπ2=z5dp5−z2dp2−z3dp3−Gdp6−p6dG+p5dG+Gdp5 (27)
dT=−p6dG−Gdp6+g2dp2+g3dp3+CGdG (28)
これらを用いると(24)式の括弧内は次のようになる.
{ }=−x2dp2−x4dp3−x5dp5+x̅3dp3+x̅2dp2−y2dp2−y3dp3+z5dp5−z2dp2−z3dp3−Gdp6
−p6dG+p5dG+Gdp5+p6dG+Gdp6−g2dp2−g3dp3−C4dG+VGdG (29)
均衡条件式(16)〜(19)式を用いると,次のようになる.
=−Gdp6−p6dG+p5dG+p6dG+Gdp6−CGdG+VGdG (30)
さらに,整理すると次のようになる.
=p5dG−CGdG+VGdG (31)
結局,等価変分は次のとおりになる.
EV=
∮
A→B(p5dG−CGdG+VGdG) (32)括弧内の1項と2項は市場価格で評価した風車による電力収入から電力投資 額の費用を控除したものである.第3項は電力そのものに対する家計の評価 である.市場価格で評価した風車による電力収入が便益になっているのは,
地方自治体により供給された電力が,電力会社による生産削減をもたらし,
これが市場で評価された形で便益として評価されているからである.
電力投資実施前の状態A,実施後の状態Bとすると,状態Aから状態Bへ の積分経路をパラメータωを用いて示すと次のとおりになる.
EV=
∫
10{p5Gω−cG(G(ω))Gω+VG(G(ω))Gω}dω (33)ここで,添字ωはωに関する偏微係数である.さらに,次のような近似が 成立すると仮定する.
Gω GB−GA (34)
cGGω(ω) cGB−cGA (35)
VGGω(ω) VGB−VGA (36)
これらを用いると,(33)式は次のようになる.
EV=
∫
10{p5(GB−GA)−cG(G(ω))(GB−GA)+VG(G(ω))Gω(GB−GA)}dω (37)=(GB−GA
∫
) 10{p5−cG(G(ω))+VG(G(ω))}dω (38)積分の第2項をω=0のまわりでテーラー展開し,第2項を無視すると,次 式が得られる.
第2項=
∫
10−cGA+ωCGAωdω (39)
=cGAω+1 2cGAωω2 1
0=cGA+1
2cGAω (40)
ここで,
cGAω cGB−cGA (41)
とすると,第1項は次のようになる.
第1項=cGA+1
2(cGB−cGA)=1
2(cGA+cGB) (42)
同様にして(37)式の積分内第3 項を求めると次のようになる.
第3項=1
2(VGA+VGB) (43)
したがって,EVは次のようになる.
EV=(GB−GA) p5+1
2(cGA+cGB)+1
2(VGA+VGB) (44)
EVは第 1 図で示されるように,GAとGBの範囲内で電力の市場価格p5と 電力投資による消費者の限界便益の合計を示し,p5+VG曲線とcG曲線で挟ま れた面積がEVとなる.
2 電力会社が電力需要を満たすように行動するケース 前節では,電力会社は利潤を最大化するように行動すると仮定した.しか し,実際には,電力会社の価格には規制がある.その際,電力会社は経済全 体の電力需要を満たすように行動し,価格は平均費用原理など別の原理によっ て設定されている.そこで本節では,電力会社が電力需要を満たすように行 動するとき,地方自治体が電力を電力会社に販売する状況の下で,費用便益 分析がどのようになるのかを検討する.電力会社は家計の電力需要を満たす ように費用最小化行動をとるものとすると,次のように定式化される.
第 1 図 EV
c2=min p2z2+p3z3+p6G
z2, z3 (45)
s.t. x5−G=g(z2, z3) (46)
ここで,x5は家計による電力需要量である.g(・)は前節同様,電力会社の生 産関数である.電力会社の費用は,生産に用いられるz2とz3だけでなく地方 自治体から購入するp6Gも費用として取り扱われる.
最適化によって費用関数は次のように表すことができる.
c2(p2, p3, p6, x5, G) (47)
電力会社の利潤Sは次のように表され,これは家計に配分されるものとする.
S=p5x5−c2 (48)
したがって,前節のπ2はSとして取り扱われ,家計の所得を示す(3)式は(49)
式のようになる.
I=p3x̅3+p2̅x2+π1+S−T (49)
また,均衡条件式は前節と同じである.
前節と同じように,等価変分を定義すると,前節の(20)と同じになる.こ れを再度表すと次の式のとおりである.
EV=
∮
A→B ∂e dp1+∂V
∂V
∂p1
∂e
∂V
∂V
∂p2
dp2+∂e
∂V
∂V
∂p3dp3+∂e
∂V
∂V
∂p5
dp5+∂e
∂V
∂V
∂I dI+∂e
∂V
∂V
∂GdG
(50)
dI,dπ1,dT,dSはそれぞれ(3),(8),(15),(48)式を用いると次のようになる.
dI=x̅3dp3+x̅2dp2+dπ1+dS−dT (51)
dπ1=−y2dp2−y3dp3 (52)
dS=d(p5x5)−z2dp2−z3dp3−Gdp6−p6dG−MC2z5d(x5−G) (53)
dT=−p6dG−Gdp6+g2dp2+g3dp3+CGdG (54)
ただし,
MC2z5=∂c2
∂z5 (55)
である.
これらを用いると{ }内は次のようになる.
{ }=−x2dp2−x4dp3−x5dp5+x̅3dp3+x̅2dp2−y2dp2−y3dp3+d(p5x5)−z2dp2−z3dp3
−Gdp6−p6dG−MC2z5dx5+MC2z5dG+p6dG+Gdp6−g2dp2−g3dp3−cGdG+VGdG (56)
=−x5dp5+d(p5x5)−MC2z5dx5+MC2z5dG−cGdG+VGdG (57)
=−x5dp5+(p5−MC2z5)dx5+x5dp5+MC2z5dG−cGdG+VGdG (58)
電力会社は限界原理に基づいて価格を設定していると仮定すると,次のよう になる1).
p5=MC2z5 (59)
これを利用すると,{ }は次のようになる.
{ }=p5dG−cGdG+VGdG (60)
実はこれは前節の(31)式に等しい.したがって,電力需要を満たすように費 用最小化行動を取るとき,限界原理による価格政策を電力会社が適用するな ら,利潤最大化行動を取る前節の結論と同じになる.
他方,価格が平均費用原理によって設定されているときは次のようになる.
電力会社の余剰はゼロなので,次式が得られる.
dS=d(p5x5)−MC2z5dx5=0 (61)
これを利用すると,(58)式は次のようになる.
{ }=−x5dp5+MC2z5dG−cGdG+VGdG (62)
したがって,電力投資の便益は,地方自治体の電力投資による価格変化(右辺 第1項)と電力会社の費用削減(第2項)からなっている.
お わ り に
本稿は,地方自治体が電力投資をする際に,製造した電力を電力会社に販 売するとき,この販売を費用便益分析の中でどのように取り扱ったらいいの かを検討した.特に,電力会社が利潤最大化行動を取るケースと,市場の電 力需要を満たすように行動するケースについて分析を試みた.その結果,電 力会社が利潤最大化行動を取るケースでは,消費者の電力投資に対する環境
1) 同様の展開は,森杉(1997)第2章でも行われている.
面での評価を別にすると,便益は電力投資により新たに製造された電力の市 場評価となることが分かった.また,市場の電力需要を満たすように行動す るケースでは,電力会社の価格設定について限界費用原理と平均費用原理が 考えられるので,この2つについて検討した.電力会社が限界原理に基づい て価格を設定するときは,電力投資の便益は電力会社が利潤最大化行動をす るケースにおける便益と同じであることが分かった.平均費用原理に基づい て電力会社が価格設定するときは,便益は地方自治体が電力投資をすること によって電力価格の市場価格が変化しないなら,電力投資による電力会社の 電力の生産削減に伴う費用の減少であることが明らかになった.ただし,電 力投資により電力に市場価格が変化した場合,電力投資により新たに生産さ れた電力を価格変化で評価した部分が新たに便益として考慮される.このよ うに,電力投資により新たに製造された電力の販売は地方自治体にとっては 収入になるが,経済全体としてみればこの部分は電力会社の支出増で相殺さ れることになるので,考慮する必要がない.
本稿は,地方自治体の電力投資を対象にしたが,家計や企業の太陽光発電 に伴う国や地方自治体の補助金の費用便益分析にも応用することが可能であ る.最近,家計や企業の太陽光発電による電力を電力会社が買い取る固定価 格買取制度が実施されている.本稿の文脈で言えば,家計や企業は電力会社 に販売していることになる.この際,太陽光発電は,地球温暖化の防止に貢 献する自然エネルギー利用を促進するものと考えられるので,環境維持のた めの政策として国や地方自治体による補助金制度がある.この場合,家計や 企業の電力会社への電力の販売があるときに,補助金の妥当性の分析を行う 必要がある.家計や企業にとって販売は収入になるので,補助金があれば太 陽光発電への投資のインセンティブになる.しかし,本稿で明らかにされた ように経済全体としてみれば,この収入は電力会社の支出増で相殺される.
したがって,家計や企業の太陽光発電投資における国や地方自治体の補助金 の経済的妥当性を検討する必要がある.この際に,本稿の分析の枠組みが参
考になる.
本稿の分析は,地方自治体の電力投資に伴う国の補助金とCO2削減を考慮 していない.この点については,新たに分析する必要があると思われるが,
本稿の分析から次のようなことが予想される.国からの補助金が地方自治体 に交付されるときには,補助金は税金で賄われているので経済全体とすれば 補助金と税金は相殺されてしまい,考慮する必要がない.ただ,税金が一括 税でなく所得税や消費税で調達されるときは,資源配分上の損失を考慮する 必要がある.また,CO2削減の場合,これが便益として評価されることが予 想されるが,より詳細な分析が必要である.
なお,本稿は平成21年度私立大学経常費補助金特別補助高度化推進特別経 費大学院重点特別経費(研究科分)の助成を受けた.
【参考文献】
阿部 雅明,(2007)「環境の経済的評価 CVMによる風力発電施設評価を研究事例とし て」『新潟産業大学経済学部紀要』第33号,39-55頁.
中野 諭,(2006)「住宅用太陽光発電装置のCO2削減効果とユーザーコストの計測」
Keio Observatory Discussion Paper, No.102.
本間 里美・位寄和久・両角光男,(2002)「風力発電施設における景観計画のための視点 選定法に関する研究」日本建築学会計画論文集,第556号,349-355頁.
森杉壽芳編著,(1997)『社会資本整備の便益評価』勁草書房.
(いたば よしお・同志社大学経済学部)
The Doshisha University Economic Review Vol.61 No.4 Abstract
Yoshio ITABA, Cost-Benefit Analysis for Electric Power Investment by a Local Government when it Sells the Produced Electricity to an Electric Power Company When a local government invests in electricity generation, in many cases, it sells the produced electricity to an electric power company. Since this sale will serve as an income source for the local government, there arises an incentive for electric power investment. However, from the perspective of the whole economy, the local government s income is offset by the increase in the expenses of the electric power company. The cost-benefit analysis for electric power investment by the local government is not necessarily clear when the sale of electricity to an electric power company is taken into consideration. This paper aims to do a cost- benefit analysis which takes this sale into consideration clearly.