マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
著者 伊藤 克也, 三木 光範, 寺井 大地, 中原 蒼太, 間 博人
雑誌名 同志社大学ハリス理化学研究報告
巻 57
号 2
ページ 146‑151
発行年 2016‑07‑31
権利 同志社大学ハリス理化学研究所
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014619
Examination of the Lighting Control Using Multi-Area Infrared Sensor
Katsuya ITO**, Mitsunori MIKI* , Daichi TERAI** , Sota NAKAHARA** , Hiroto AIDA*
(Received April 20, 2016)
In recent years, it is expected to reduce power consumption by lighting control using the human sensor, and the office introduced the motion sensor is increasing. On the other hand, the development of multi-area infrared sensor that can detect people in detail compared with the motion sensor used in the general office is progressing. In this research, we propose a method of determining the lighting pattern in proportion to the detection of people with multi-area infrared sensor, and make a study of the lighting control using a multi-area infrared sensor. We select the lighting pattern of low power consumption in the lighting control using a multi-area infrared sensor, and aim to reduce the power consumption.
In addition, we show the effectiveness of the proposed method for power consumption reduction effect by comparison with the lighting control using the motion sensor.
Key words : lighting control,illuminance,office,motion sensor キーワード: 照明制御,照度,オフィス,人感センサ
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
伊 藤 克 也, 三 木 光 範, 寺 井 大 地, 中 原 蒼 太, 間 博 人
1. 序論
近年,オフィスビルにおいて省エネルギーに対する 意識が高まっている.オフィスにおける照明の消費電 力は全体のおよそ40 %を占めており1),照明環境を改 善することで消費電力を大きく削減することができる.
このような背景から,執務者の在離席を考慮した照 明制御を行うため,人感センサを用いて照明制御を行 うオフィスが増加している.人感センサを用いること で,人感センサの検知範囲内に人を検知した際には照
明を点灯させ,検知していない間は消灯制御を行うこ とが可能である.このように,人感センサの検知範囲 毎に照明制御を行うことで消費電力を削減できる2).
一方で,検知範囲内の人の有無に応じた照明制御を 行う従来の人感センサ(以下,従来型人感センサ)と 比較し,より詳細に人の検知が可能なマルチエリア型 人感センサの開発が進んでいる.従来型人感センサは 検知範囲内における人の有無の検知をするのみである が,マルチエリア型人感センサは検知範囲を16分割
* Department of Science and Engineering,Doshisha University,Kyoto
Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected]
** Graduate School of Science and Engineering,Doshisha University,Kyoto Telephone:+81-774-65-6924, E-mail:[email protected]
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
Examination of the Lighting Control Using Multi-Area Infrared Sensor
Katsuya ITO** , Mitsunori MIKI* , Daichi TERAI** , Sota NAKAHARA** , Hiroto AIDA*
(Received April 20, 2016)
In recent years, it is expected to reduce power consumption by lighting control using the human sensor, and the office introduced the motion sensor is increasing. On the other hand, the development of multi-area infrared sensor that can detect people in detail compared with the motion sensor used in the general office is progressing. In this research, we propose a method of determining the lighting pattern in proportion to the detection of people with multi-area infrared sensor, and make a study of the lighting control using a multi-area infrared sensor. We select the lighting pattern of low power consumption in the lighting control using a multi-area infrared sensor, and aim to reduce the power consumption.
In addition, we show the effectiveness of the proposed method for power consumption reduction effect by comparison with the lighting control using the motion sensor.
Key words : lighting control,illuminance,office,motion sensor キーワード: 照明制御,照度,オフィス,人感センサ
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
伊 藤 克 也, 三 木 光 範, 寺 井 大 地, 中 原 蒼 太, 間 博 人
1. 序論
近年,オフィスビルにおいて省エネルギーに対する 意識が高まっている.オフィスにおける照明の消費電 力は全体のおよそ40 %を占めており1),照明環境を改 善することで消費電力を大きく削減することができる.
このような背景から,執務者の在離席を考慮した照 明制御を行うため,人感センサを用いて照明制御を行 うオフィスが増加している.人感センサを用いること で,人感センサの検知範囲内に人を検知した際には照
明を点灯させ,検知していない間は消灯制御を行うこ とが可能である.このように,人感センサの検知範囲 毎に照明制御を行うことで消費電力を削減できる2).
一方で,検知範囲内の人の有無に応じた照明制御を 行う従来の人感センサ(以下,従来型人感センサ)と 比較し,より詳細に人の検知が可能なマルチエリア型 人感センサの開発が進んでいる.従来型人感センサは 検知範囲内における人の有無の検知をするのみである が,マルチエリア型人感センサは検知範囲を16分割
* Department of Science and Engineering,Doshisha University,Kyoto
Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected]
** Graduate School of Science and Engineering,Doshisha University,Kyoto Telephone:+81-774-65-6924, E-mail:[email protected]
したそれぞれの範囲内の人の有無を判別することがで きる.検知範囲内の人の位置を詳細に検知することが できるため,マルチエリア型人感センサを用いた照明 制御では,より細かい照明制御を行うことが可能であ ると考えられる.しかし,マルチエリア型人感センサ を用いた照明制御手法は確立されていない.
そこで本研究では,マルチエリア型人感センサを用 いた照明制御手法において消費電力削減効果が高い点 灯パターンの検討を行う.マルチエリア型人感センサ の検知エリアに応じた最適な点灯パターンを提案し,
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御手法およ び従来型人感センサを用いた照明制御手法の消費電力 削減効果を比較検証する.
2. 関連研究
従来型人感センサを用いて消費電力を削減する研究 は数多く行われている.
江田3)らの研究では,従来型人感センサを用いた人 の移動および在席状況の推定を行っている.この研究 では,過去の人感センサのログデータを基に,移動お よび在席状況の学習を行うことにより,移動の推定を 実現しつつ,同時に在席状況の推定を高精度に実現し ている.
中澤4)らの研究では,在席率の低い状態における 無駄な電力の消費を考慮し,人感センサによる人の検 知により,在席時は検知エリアの照明の点灯を行い,
不在時は減光または消灯を行う照明制御を提案してい る.また,森本5)らの研究では,実際にオフィスに導 入し,消費電力削減効果の検証も行っている.
これら研究では,人を検知すると検知エリアの照明 を全点灯するため,オフィスに疎らに人が在席する環 境では在席率に対する照明の消費電力が大きくなり,
消費電力削減効果が低下すると考えられる.よって,
本研究では人のおおよその位置がわかるマルチエリア 型人感センサを用い,より細かい照明制御を行うこと により,消費電力削減効果の向上を目指す.
3.6 m
3.6 m
3.0 m
Motion sensor detectable range
Fig. 1. Detection range of motinon sensor.
3.6 m
3.6 m 0.9 m
0.9 m
minimum detectable range Multi-Area Infrared Sensor
detectable range
Multi-Area Infrared Sensor
Fig. 2. Detection range of multi-area infrared sensor.
3. 人感センサ
3.1 従来型人感センサ
従来型人感センサは,人間の動きを検知する感知器 であり,人が検知可能範囲内で動くと,その動きを検 知し信号を送る.一般的に,赤外線を用いて人の検知 を行うことが多いため,本研究では従来型人感センサ として,赤外線による人感センサを想定する.従来型 人感センサの検知範囲をFig. 1に示す.
3.2 マルチエリア型人感センサ
本研究で用いるマルチエリア型人感センサは,オム ロン社が開発した人感センサである.従来型人感セン サとの相違点は,3.6×3.6m2の検知範囲内の人の有 無を検知するだけでなく,検知範囲を16分割し,そ の分割した各々の区画に対して人の有無を検知できる 点である.そのためマルチエリア型人感センサでは,
従来型人感センサと比べ,検知範囲内にいる人の詳細 な位置を特定することが可能である.また複数人いた 場合でも各々の位置を検知することが可能である.マ ルチエリア型人感センサの検知範囲をFig. 2に示す.
147
4. 人感センサを用いた照明制御手法
4.1 従来型人感センサを用いた照明制御手法 人感センサを用いて照明制御する際には,人感セン サとその周囲の照明を対応付ける.そして,人感セン サが人を検知に応じて,対応付けられた照明を点灯さ せる.従来型人感センサは,検知範囲内の人の有無を 検知することができるが,検知範囲内の人の位置を判 別することはできない.そのため従来型人感センサを 用いた照明制御手法は,検知範囲内全てを明るく照ら す必要がある.よって,従来型人感センサを用いた照 明制御手法では,人を検知した人感センサに関連付け られた照明を最大点灯光度で点灯するように制御する.
4.2 マルチエリア型人感センサを用いた照明制御手法 マルチエリア型人感センサは検知範囲内の人の有無 を検知するだけでなく,検知範囲を16分割し,その 分割した各々の区画に対して人の有無を検知できる.
人の詳細な位置を判別できるため,照明を細かく制御 できると言える.しかし,現在マルチエリア型人感セ ンサを用いた照明制御手法は確立されていない.そこ で,本研究ではマルチエリア型人感センサを用いた照 明制御手法を提案する.提案手法では,マルチエリア 型人感センサの検知可能範囲である16分割した各々 の区画に対して,最低限満たすべき机上面の照度(以 下,設定照度)を満たし,かつ照明の消費電力の和が 最小となる点灯パターンを選出する.選出した点灯パ ターンにおける机上面の照度は,後述する照度推定に より算出する.選出した点灯パターンの消費電力が同 等の場合,検知範囲に近い照明を明るく点灯する点灯 パターンを選択する.提案手法を用いることにより,
消費電力削減効果の高い照明制御を実現する.
4.3 照度推定
ある部屋の任意の位置における照度計算手法につい てはこれまで逐点法,光束法およびモンテカルロ法を 用いた照度計算など様々な手法が研究されている6). しかし,これらの手法で精度を高める際には,照明器 具の光束,配光曲線など様々なパラメータを設定する 必要があり,一般的には実際の環境でこのようなパラ
メータの値を得ることは容易ではない.
そこで,本研究では条件を限定することにより,簡 易な手法で照度を推定する.すなわち,執務者の席を 固定席と想定し,任意の位置ではなく特定の位置にお ける照度推定を行う.各照明がある点灯光度で点灯し た際に特定の机上面に及ぼす照度を計測することで,
その位置に及ぼす照明の影響度合いを算出する.この 影響度合いを用いることで,前述したパラメータを考 えることなく,特定の位置における照度を推定するこ とが可能である.各照明の任意の点灯状況における特 定の位置の照度を以下の式(4)を用いて算出する.
I=
∑n
i=1
Ri×Li (1)
I :特定の位置の照度,Ri :特定の位置に及ぼす影 響度合い,Li :光度,n:照明数
この手法を用い,マルチエリア型人感センサを用い た照明制御手法における点灯パターンに応じた机上面 の照度の算出を行う.
4.4 調光段階
近年,PWM制御を用いて100段階や256段階調光 が可能な照明の研究が進んでいる7).本研究で用いる 照明の調光段階を決定するために,予備実験として2 段階調光から5段階調光において,調光段階に応じた 点灯パターンの消費電力の比較を行った.そして,調 光段階を増減による消費電力削減効果の変化を検証し た.例として,2段階調光および5段階調光における 点灯パターンをそれぞれFig. 3およびFig. 4に示 す.なお,Fig. 3およびFig. 4で用いている照明の 最大光度は1600 cd,設定照度は700 lxであり,また 図の斜線部は人を検知した区画を示している.Fig. 3
およびFig. 4に示すように,細かく調光できる5段
階調光の消費電力が最も消費電力が小さくなった.つ まり,調光段階を多くすることにより,消費電力削減 効果は高まると言える.
しかし,多段階調光を用いて照明を細かく制御する 場合,照明やオフィスのレイアウトの変更の際に対応 が容易でないと考えられる.そこで本研究では,基礎
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
4. 人感センサを用いた照明制御手法
4.1 従来型人感センサを用いた照明制御手法 人感センサを用いて照明制御する際には,人感セン サとその周囲の照明を対応付ける.そして,人感セン サが人を検知に応じて,対応付けられた照明を点灯さ せる.従来型人感センサは,検知範囲内の人の有無を 検知することができるが,検知範囲内の人の位置を判 別することはできない.そのため従来型人感センサを 用いた照明制御手法は,検知範囲内全てを明るく照ら す必要がある.よって,従来型人感センサを用いた照 明制御手法では,人を検知した人感センサに関連付け られた照明を最大点灯光度で点灯するように制御する.
4.2 マルチエリア型人感センサを用いた照明制御手法 マルチエリア型人感センサは検知範囲内の人の有無 を検知するだけでなく,検知範囲を16分割し,その 分割した各々の区画に対して人の有無を検知できる.
人の詳細な位置を判別できるため,照明を細かく制御 できると言える.しかし,現在マルチエリア型人感セ ンサを用いた照明制御手法は確立されていない.そこ で,本研究ではマルチエリア型人感センサを用いた照 明制御手法を提案する.提案手法では,マルチエリア 型人感センサの検知可能範囲である16分割した各々 の区画に対して,最低限満たすべき机上面の照度(以 下,設定照度)を満たし,かつ照明の消費電力の和が 最小となる点灯パターンを選出する.選出した点灯パ ターンにおける机上面の照度は,後述する照度推定に より算出する.選出した点灯パターンの消費電力が同 等の場合,検知範囲に近い照明を明るく点灯する点灯 パターンを選択する.提案手法を用いることにより,
消費電力削減効果の高い照明制御を実現する.
4.3 照度推定
ある部屋の任意の位置における照度計算手法につい てはこれまで逐点法,光束法およびモンテカルロ法を 用いた照度計算など様々な手法が研究されている6). しかし,これらの手法で精度を高める際には,照明器 具の光束,配光曲線など様々なパラメータを設定する 必要があり,一般的には実際の環境でこのようなパラ
メータの値を得ることは容易ではない.
そこで,本研究では条件を限定することにより,簡 易な手法で照度を推定する.すなわち,執務者の席を 固定席と想定し,任意の位置ではなく特定の位置にお ける照度推定を行う.各照明がある点灯光度で点灯し た際に特定の机上面に及ぼす照度を計測することで,
その位置に及ぼす照明の影響度合いを算出する.この 影響度合いを用いることで,前述したパラメータを考 えることなく,特定の位置における照度を推定するこ とが可能である.各照明の任意の点灯状況における特 定の位置の照度を以下の式(4)を用いて算出する.
I=
∑n
i=1
Ri×Li (1)
I :特定の位置の照度,Ri :特定の位置に及ぼす影 響度合い,Li:光度,n:照明数
この手法を用い,マルチエリア型人感センサを用い た照明制御手法における点灯パターンに応じた机上面 の照度の算出を行う.
4.4 調光段階
近年,PWM制御を用いて100段階や256段階調光 が可能な照明の研究が進んでいる7).本研究で用いる 照明の調光段階を決定するために,予備実験として2 段階調光から5段階調光において,調光段階に応じた 点灯パターンの消費電力の比較を行った.そして,調 光段階を増減による消費電力削減効果の変化を検証し た.例として,2段階調光および5段階調光における 点灯パターンをそれぞれFig. 3およびFig. 4に示 す.なお,Fig. 3およびFig. 4で用いている照明の 最大光度は1600 cd,設定照度は700 lxであり,また 図の斜線部は人を検知した区画を示している.Fig. 3
およびFig. 4に示すように,細かく調光できる5段
階調光の消費電力が最も消費電力が小さくなった.つ まり,調光段階を多くすることにより,消費電力削減 効果は高まると言える.
しかし,多段階調光を用いて照明を細かく制御する 場合,照明やオフィスのレイアウトの変更の際に対応 が容易でないと考えられる.そこで本研究では,基礎
Fig. 3. Examples of lighting pattern in two-stage light control.
Fig. 4. Examples of lighting pattern in five-stage light control.
実験として適応性を考慮し,照明を5段階調光で制御 することを想定する.
5. 消費電力シミュレーション
5.1 実験概要
マルチエリア型人感センサおよび従来型人感センサ を用いた照明制御手法の消費電力削減効果を比較検証 するため,実オフィスを想定したシミュレーションを 行った.その際,1日における執務者数の変動を模擬 するために,出社時間帯,就業時間帯および退社時間 帯を設けた.そして,就業時間帯においてTable1に 示す3通りの執務形態を想定し,検証を行った.また,
本研究では執務者の人数は32名とする.
本実験で用いる実オフィスを模擬したシミュレー ション環境をFig. 5に示す.点灯パターンによる机 上面の照度を推定するために,窓はないものとする.
:Lighting fixture :Office desk :Sensor 10.8 m
10.8 m
Fig. 5. Simulation environment(Office plan).
0 S
TM TA TL TN
時刻
執務者数の割合[%] S
TT TT
M A L N
: Attendance rate : Attendance start : Work start : Leave start : Leave end
Rate [%]
Time
Fig. 6. Transition of attendance rate.
また,在席している執務者の人数に応じた消費電力削 減効果を検証するため,3通りの在席率を想定しシミュ レーションを行う.1日の執務者数の推移を表すグラ フをFig. 6に示す.なお,TM からTAは出社時間 帯,TAからTLは就業時間帯,TLからTN は退社時 間帯を示している.シミュレーションを行う際に用い る勤務時刻をTable2に示す.以下にシミュレーショ ンの条件を示す.
• 任意の執務者が出社および退社することとする.
• 執務者は,就業時間帯の平均在席率が設定在席率 Table 1. Working patterns of each time.
Attendance Work Leave
(TM〜TA) (TA〜TL) (TL〜TN)
Attendance rate 30 %
Linearly
increasing Attendance rate 60 %
Linearly decreasing
Attendance rate 90 %
149
100 80 60 40 20 0
Attendance rate [%]
Rate of power consumption [%] Multi-area infrared sensorMotion sensor
30 60 90
Fig. 7. Comparison of power consumption.
と等しくなるよう,離席を行う.
• 執務者全員が同じ確率で平均30分間(10〜50分 の一様分布)の離席を行う.
• 離席を行う回数は執務者1人につき1度までと する.
• 12時から1時までを昼休みとし,照明は全消灯 するものとする.
• 土曜日と日曜日を除いた1ヶ月間を想定し,試行 回数は20日間とする.
5.2 実験結果
計3通りの執務形態におけるマルチエリア型人感セ ンサを用いた照明制御手法と従来型人感センサを用い た照明制御手法の20日間の消費電力をFig. 7に示 す.なお,縦軸は20日間すべての照明を最大点灯光 度で点灯した際の消費電力を100 %とした際の割合で 示す.
Fig. 7に示すように,マルチエリア型人感センサ
を用いた照明制御手法が,執務者の在席率の低い執務
Table 2. Time table.
Attendance start(TM) 7:00 Work start(TA) 8:30 Leave start(TL) 17:30 Leave end(TN) 22:00
100 80 60 40 20
0 30 60 90
Attendance rate [%]
Fig. 8. Comparison of power consumption (After correction).
形態において20.6 %,執務者の在席率の高い執務形 態においても8.8 %の消費電力削減効果を持つことを 確認した.
5.3 消費電力補正
実験結果より,マルチエリア型人感センサを用いた 照明制御手法の消費電力削減効果の有効性がわかった.
しかし,照明の点灯を抑えることにより消費電力を削 減するため,消費電力削減と同時に机上面に与える照 度も低くなると考えられる.机上面に与える照度が低 くなれば,消費電力が下がるのは当然である.そのた め,机上面に与える照度が同程度になるように補正し て消費電力削減効果を比較する必要がある.
そこで,人感センサを用いた照明制御において執務 者に与える照度を用いて,消費電力を補正する.補正 する方法として,すべての照明を最大点灯光度で点灯 した際の執務者の平均照度に対する,それぞれの執務 形態における在席者の平均照度の割合を算出する.こ の割合は在席者の照度がどの程度下がっているかを示 し,この割合の逆数と消費電力を積算することにより,
補正を行う.
補正後の消費電力をFig. 8に示す.Fig. 7と同様 に,縦軸は20日間すべての照明を最大点灯光度で点 灯した際の消費電力を100 %とした時の割合で表す.
Fig. 8に示すように,補正後においても,マルチ
エリア型人感センサを用いた照明制御手法が,執務者 の在席率の低い執務形態において17.9 %,執務者の
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御の検討
100 80 60 40 20 0
Attendance rate [%]
Rate of power consumption [%] Multi-area infrared sensorMotion sensor
30 60 90
Fig. 7. Comparison of power consumption.
と等しくなるよう,離席を行う.
• 執務者全員が同じ確率で平均30分間(10〜50分 の一様分布)の離席を行う.
• 離席を行う回数は執務者1人につき1度までと する.
• 12時から1時までを昼休みとし,照明は全消灯 するものとする.
• 土曜日と日曜日を除いた1ヶ月間を想定し,試行 回数は20日間とする.
5.2 実験結果
計3通りの執務形態におけるマルチエリア型人感セ ンサを用いた照明制御手法と従来型人感センサを用い た照明制御手法の20日間の消費電力をFig. 7に示 す.なお,縦軸は20日間すべての照明を最大点灯光 度で点灯した際の消費電力を100 %とした際の割合で 示す.
Fig. 7に示すように,マルチエリア型人感センサ
を用いた照明制御手法が,執務者の在席率の低い執務
Table 2. Time table.
Attendance start(TM) 7:00 Work start(TA) 8:30 Leave start(TL) 17:30 Leave end(TN) 22:00
100 80 60 40 20
0 30 60 90
Attendance rate [%]
Fig. 8. Comparison of power consumption (After correction).
形態において20.6 %,執務者の在席率の高い執務形 態においても8.8 %の消費電力削減効果を持つことを 確認した.
5.3 消費電力補正
実験結果より,マルチエリア型人感センサを用いた 照明制御手法の消費電力削減効果の有効性がわかった.
しかし,照明の点灯を抑えることにより消費電力を削 減するため,消費電力削減と同時に机上面に与える照 度も低くなると考えられる.机上面に与える照度が低 くなれば,消費電力が下がるのは当然である.そのた め,机上面に与える照度が同程度になるように補正し て消費電力削減効果を比較する必要がある.
そこで,人感センサを用いた照明制御において執務 者に与える照度を用いて,消費電力を補正する.補正 する方法として,すべての照明を最大点灯光度で点灯 した際の執務者の平均照度に対する,それぞれの執務 形態における在席者の平均照度の割合を算出する.こ の割合は在席者の照度がどの程度下がっているかを示 し,この割合の逆数と消費電力を積算することにより,
補正を行う.
補正後の消費電力をFig. 8に示す.Fig. 7と同様 に,縦軸は20日間すべての照明を最大点灯光度で点 灯した際の消費電力を100 %とした時の割合で表す.
Fig. 8に示すように,補正後においても,マルチ
エリア型人感センサを用いた照明制御手法が,執務者 の在席率の低い執務形態において17.9 %,執務者の
在席率の高い執務形態においても7.7 %の消費電力削 減効果を持つことを確認した.また,補正前と同様に 執務者の在席率が低い執務形態において,最も高い消 費電力削減効果を確認した.想定した計3通りの執務 形態において,マルチエリア型人感センサを用いた照 明制御手法は従来型人感センサを用いた照明制御手法 と比較し,消費電力削減効果において有効であると言 える.
6. むすび
マルチエリア型人感センサを用いた照明制御手法は,
従来型人感センサを用いた照明制御手法と比較し,執 務者に与える照度を考慮しても,想定した計3通りの 執務形態で消費電力削減効果が高いことを確認した.
特に執務環境に対して執務者の在席率の低い執務形態 において,消費電力削減効果が最も高いことがわかっ た.つまり,マルチエリア型人感センサを用いて,よ り細かく制御することにより,消費電力削減効果が高 くなることがわかった.以上の結果より,提案手法を 用いることにより,オフィスにおける消費電力削減効 果が向上すると考えられる.
本研究の一部は,同志社大学ハリス理化学研究所研 究助成金の助成を受けて行われた.
参考文献
1) “オ フ ィ ス ビ ル の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 特 徴”, http://www.eccj.or.jp/office-bldg/01.html.
2) 江田政聡,賀新剛,中根傑,横山昌平,福田直樹,峰野 博史,石川博,“赤外線センサを用いた在席推定に基づ く照明制御手法の提案”,DEIM2012.
3) 江田政聡,賀新剛,中根傑,横山昌平,福田直樹,峰野 博史,石川博,“センサルームにおける赤外線センサを 用いた人の移動・在席状況の推定と利用”,DEIM2011. 4) 中澤功,藤原健治,山根淳,山根雅晴,太田正明,“オ
フィスにおける人感センサ照明制御システム”,照明学 会全国大会講演論文集 37,169-170 (2004).
5) 森本康司,太田正明,“オフィスにおける照明設備の省 エネ制御”,東芝レビュー59[10],22-26 (2004).
6) 大谷義彦,大川守,内田暁,山家哲雄,“モンテカルロ法 を用いた照度計算の検討について”,照明学会誌82[2], 105-111 (1998).
7) 板子一隆,梅ケ辻弘一,森武昭,“PWM制御の調光装 置への適用”,電気設備学会誌18[4],284-289 (1998).
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