海洋法上の海洋区域(断面)
0 12 24 200海里
領土
内
水
領
海
接
続
水
域
排他的経済水域
国 際 水 域
公 海
基
線
(
直
線
基
線
等
)
大 陸 棚
最大で基線から350海里、又は
2500m等深線から100海里
深海底
中国の海洋法解釈(1/5)
1 領海及び隣接区域法(1992.2.25施行) 翻訳:法務省監修
(1) 中華人民共和国の陸地領土(第2条第2項)
台湾及び釣魚島
を含むその附属諸島
(2) 外国軍艦の無害通航(第6条第2項)
外国の軍用船舶
は、中華人民共和国の領海に入る場合には、中華
人民共和国政府の許可を得なければならない
。
(3) 無害通航に対する措置(第8条第3項)
中華人民共和国政府は、領海に対する非無害通航を防止し、及び
差し止めるため、すべての必要な措置
を講ずる権利を有する。
(4) 接続水域の権限(第13条)
中華人民共和国は、隣接区域内において、その陸地領土、内水又
は領海内で安全
、税関、財政、衛生又は出入国管理に関する法律又
は法規に違反する行為を防止し、処罰するための管轄権を行使する
権限を有する。
(5) 釣魚島の直線基線
⇒図1のとおり。
中国の海洋法解釈(2/5)
2 海上交通安全法(1984.1.1施行) 翻訳:法務省監修
(1) 外国軍艦の領海への入域(第11条第2項)
外国国籍の軍用船舶は、我が国政府の許可
を受けなければ、我が
国の領海に入ることができない。
(2) 航行禁止区域(第21条第1項)
沿海水域に航行禁止区域
を指定するときは、国務院又は主管機関
の許可を受けなければならない。ただし、軍事上の必要
のために航行
禁止区域を指定するときは、国家軍事主管部門が許可することがで
きる。
(3) 沿海水域(第50条第1号)
我が国沿海の港湾、内水及び領海その他
国家の管轄する一切の海
域
をいう。
(4) 過去、日本に対して示した軍事警戒区
⇒図2の桃色の部分。
中国の海洋法解釈(3/5)
3 排他的経済水域及び大陸棚法(1998.6.26施行) 翻訳:海保大
(1) 海洋科学研究(第9条)
何れの国際組織、外国組織
又は個人も、中華人民共和国の排他的
経済水域及び大陸棚において海洋科学研究を行う場合は、
中華人民
共和国主管機関の許可を得る
とともに、中華人民共和国の法律、法
規を遵守しなければならない。
(2) 海洋科学研究の手続き(渉外海洋科学研究管理規定第5条第3項)
国家海洋行政主管部門は、海洋科学研究の申請を受けた後、外交
部、軍事主管部門
及び国務院の他の関係部門と審査を行い、4ヶ月
以内に許可若しくは不許可を決定
し、又は国務院に審査結果を上申
し決定を仰ぐものとする。
参考1:中国は、排他的経済水域(
EEZ)における外国による軍事情報の収
集も、上述の「海洋科学研究」と判断している。
中国の海洋法解釈(4/5)
(3) 外国の中国排他的経済水域等における自由(第11条)
すべての国家は、国際法及び中華人民共和国の法律、法規を遵守す
ることを条件として、中華人民共和国排他的経済水域における航行、飛
行の自由、中華人民共和国排他的経済水域及び大陸棚における海底
電線及びパイプライン敷設の自由、並びにこれらの自由に関連したそ
の他の合法的海洋利用の便益を享受する。海底電線及びパイプライン
の敷設経路については、中華人民共和国主管機関の同意を得なけれ
ばならない。
(4) 中華人民共和国の権利(第13条)
中華人民共和国が排他的経済水域及び大陸棚において享受する権利
で、本法に規定のないものについては、国際法及び中華人民共和国の他
の関係法律、法規に基づき行使する。
参考2:中国は、自国の
EEZ上空に「飛行禁止空域(進入して生じた全ての
結果に対していかなる責任も負わないと主張)」の設定を認めている。
参考3:中国は、沖ノ鳥島を岩と判断しており、我が国がこれを基点として
EEZ
設定や大陸棚延長を図ることに反対している。
中 間 線
◎排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第1条第2項
⇒いずれの点をとっても、我が国の基線上の最も近い点から
の距離と、我が国の海岸と向かい合っている外国の海岸に
係るその外国の領海の幅を測定するための基線上の最も近
い点からの距離とが等しい線をいう。
⇒中国との間に合意された境界は未だ無い。
赤の部分は、EEZ漁業法
適用特例水域で、我が国
の執行管轄権が中国漁船
に及ばず
。
海上保安レポート2011
国連海洋法条約によるEEZ・大陸棚の境界画定
1 大陸棚又は排他的経済水域(EEZ)の境界画定に付いて、合理的な期間内に
合意に達することが出来ない場合(島嶼等の領有権争いを除く。)
⇒紛争解決手続に付す義務(海洋法第74条第2項、第83条第2項)。
2 紛争解決手続
(1) 国際裁判所の選択
訴える国は、次のいずれかを選択(海洋法第287条第1項)。
①国際海洋法裁判所、②国際司法裁判所又は③海洋法に基づく仲裁裁判所
(2) 除外宣言
(1)の国際裁判のうち、海洋の境界画定に付いては、そのいずれも選択し
ないことが宣言可能(海洋法第298条第1項前段)
(3) 調停手続の受け容れ義務等
ア (2)の除外宣言で、一切の国際裁判所の選択をしない場合⇒海洋法発効日
(6.11.16)以降の生起事案に付き、他方の紛争当事国からの調停申し入
れを、受け容れなくてはならない(海洋法第298条第1項aⅰ)。
イ 調停委員会の報告に同意しない紛争当事国は、相手国の同意を得て、
(1)の国際裁判所に判断を委ねることが可能(海洋法第298条第1項aⅱ)。
3 除外宣言の例(我が国と比国は、宣言なし。)
中国(18.8.25付)と韓国(18.4.18付)は、全ての国際裁判所を除外。
露国は、紛争相手国が仲裁裁判所に同意する限り、仲裁裁判所を選択。
主な海洋に係る国内法
(海洋の科学的調査が欠落)
◎海洋基本法(平成十九年法律第三十三号)
◎領海及び接続水域に関する法律(昭和五十二年法律第三十号)
◎領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)
⇒平成二十四年法律第七十一号による改正で、立入検査無しで退去命令等可能
◎排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)
◎排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及
び拠点施設の整備等に関する法律(平成二十二年法律第四十一号)
◎海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律(平成十九年法律第三十
四号)
◎水産基本法(平成十三年法律第八十九号)
◎排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律
(平成八年法律第七十六号)
◎海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成八年法律第七十七号)
◎鉱業法(昭和二十五年法律二百八十九号)⇒平成二十三年法律第八十四号に
よる改正で、海洋を含む鉱物資源の探査が国の許可制
◎海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十
六号)
◎海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成二十一年法律第
五十五号)
海洋に関する法解釈等の比較
我が国 中 国 米 国
国連海洋法条約加入状況 加 入 加 入 未加入
領海への進入に関する解釈 許可も事前通報も必要なし。
(海洋法条約17条)
許可が必要(領海及び隣接区域法6
条2項、海上交通安全法11条)
許可も事前通報も必要なし。
(海洋法条約17条)
EEZ沿岸国への配慮 経済上の利益を犯さないこと。
(海洋法条約58条3項)
経済と安全保障の利益を犯さないこ
と。(排他的経済水域及び大陸棚法
11条、13条)
経済上の利益を犯さないこと。
(海洋法条約58条3項)
EEZにおける軍事情報の収
集
国家実行の蓄積が十分でないため、
態度を明確にしていない。
許可が必要(排他的経済水域及び大
陸棚法9条)
許可必要なし。
(海洋法条約58条1項)
EEZ又は大陸棚上部水域に
おける軍事活動の解釈
国家実行の実績が十分でないため、
態度は明確にしていない。
制限されると解釈(排他的経済水域
及び大陸棚法11条、13条)
制限されないと解釈
(海洋法条約58条1項)
EEZにおける他国の軍事活
動への対応 規制していない。
他国の活動に対する規制を実施して
いる。(例:インペッカブルに対する妨害、
米海軍EP-3C海南島不時着事案等)
制限していない。
大陸棚の管轄権の範囲 海底に限る。(海洋法条約78条1項) 上部水域にも及ぶ。(排他的経済水
域及び大陸棚法11条、13条) 海底に限る。(海洋法条約78条1項)
海洋法条約に基づき、現在各
国が実施している大陸棚の延
長に関する主張
大陸棚限界委員会の規定により、海
洋等に関する紛争が生起している海
域では主張せず(⇒太平洋側のみで
申請)。
日中間にEEZの境界に関する問題が
存在するにもかかわらず、沖縄付近
まで大陸棚と主張
海洋法条約に未加入なので、主張で
きない。
国際航行に使用されている海
峡に適用される法制度(通過
通航権)に関する解釈
特定海域(宗谷、津軽、対馬東、対馬
西、大隅)を設けて、公海を残したの
で、通過通航権の問題を回避
国内法には規定なし。
(尚、海南海峡は、国連が提起した国
際海峡の1つであり、通過通航権が
適用されるはず)。
・政府は通過通航権が必要と判断
・通過通航権は慣習国際法と解釈