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Academic year: 2021

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(1)

◎排他的経済水域(EEZ)、大陸棚

等に係る中国との認識の差異

(2)

中国による海洋事案

1 米海軍電子偵察機EP-3緊急着陸事案

平成13(2001)年4月1日、南シナ海(中国の排他的経済

水域)飛行中のEP-3に対し、近態勢の中国戦闘機2機の内

の1機が接触。EP-3は、事前の許可を得る暇が無く海南島

に緊急着陸。

乗員

が11日間

拘束

され、

機体も調査

された。

2 インペッカブル号事案

平成21(2009)年3月、海南島の南方約70海里の水域に

おいて、米海軍音響観測船インペッカブル号に対し、中国海

軍その他の政府機関所属船舶5隻による妨害(針路前方へ

の木材投下、曳航具の回収等)。

航行の自由

への妨害。

3 その他の南シナ海におけるもの⇒次の頁

(3)
(4)

海洋法上の海洋区域(断面)

0 12 24 200海里 領土 内 水 領 海 続 水 域 排他的経済水域 国 際 水 域 公 海 基 線 ( 直 線 基 線 等 ) 大 陸 棚 最大で基線から350海里、又は 2500m等深線から100海里 深海底

(5)

接続水域

沿岸国が、自国の領土又は領海内における

通関上

財政上

出入国管理上

、又は

衛生上

の規則違反を防

止し、当該違反を処罰するために必要な規制を行うこ

とができる水域

⇒外国船舶・航空機は、

公海と同様

航行、上空飛行、通信等の自由を享受

(6)

排他的経済水域(EEZ)

・経済的な目的で行われる活動に関する主権的権利(国内法

を適用・執行できる)

・天然資源(漁業等)の探査、開発、保存及び管理

・海洋環境保護・保全に関する管轄権

・海洋の科学的調査を規制、許可、実施する権利 他

⇒外国船舶・航空機は、

沿岸国の権利・義務に

妥当な考慮を払う限り

公海と同様

の航行、上

空飛行、通信等の自由を享受(海洋法条約第

58条)。

(資源・経済目的以外の活動は沿岸国の権利

と無関係)

(7)

(参考)

軍事演習等

◎海洋法条約第58条の

「船舶及び航空機の運航の利用等」に軍事演習

等が含まれている

⇒海洋先進国の基本的な立場

1 米国は、第3次海洋法会議において、当時の草案がEEZにおける軍事

的活動を担保していないことから、修正案を提出、これがそのまま採用さ

れて現在の第58条第1項となる。

⇒クリントン大統領が議会に送った文書でも認めている。

2 伊国は、

「EEZにおける沿岸国の権利及び管轄権は、軍事演習又は軍

事作戦行動の通告を得る又はそれらを許可する権利を含まない。」

と批准

に際して宣言。英独両国も同様の宣言を加入に際して実施。

3 蘭国は、

「海洋法条約は、沿岸国にEEZにおける軍事演習を禁止する

権限を与えていない。EEZにおける沿岸国の権限は条約第56条に列挙さ

れており、この条項を超える権限は沿岸国に与えられていない。」

と批准

に際して宣言。

4 次の国は、軍事演習に際して、沿岸国の同意を必要としている。

ブラジル、ウルグアイ、バングラデッシュ、カーボベルデ、インド、パキス

タン、マレーシア、イラン(海洋法条約非加盟国)

(8)

(参考)

軍事上の施設等

1 国連海洋法条約には、非沿岸国が他国のEEZ又は大陸棚に軍事上の

施設等を設置出来ることを認めた規定は無い。

2 沿岸国には人工島等に係る管轄権が認められており、沿岸国の同意

(黙認を含む。)無しに人工島等の設置が出来るかに付いては、未確定で

今後の国家実行による。ちなみに、ブラジル等は如何なる人工島の設置

も沿岸国の同意を必要とするが、独伊蘭は「

EEZの目的の為の人工島等

に限り、沿岸国の同意が必要

(海洋法条約第60条参照)」と宣言。

3 第3次海洋法条約会議では、海底に設置される「

機器

」に付いては大

きな問題とはなっていない。また、潜水艦探知用の通信機器等は、海底電

線等敷設の自由に関係するという解釈もある。更に潜水艦の航行を補助

する機器の設置も、船舶の運航に関わる海洋利用とする解釈もある。

4 次の国々は、人工島等の設置に加えて、「機器」の設置も同意を必要

とする。

ブラジル、ガイアナ、ホンジュラス、ウルグアイ、インド、インドネシア、ミャ

ンマー、マレーシア、パキスタン、フィリピン、スリランカ、バヌアツ、モーリ

シャス、タンザニア、イエーメン

(9)

(参考)

軍事情報の収集

1 米国の「軍事情報の収集」の定義:海洋及び沿岸水域で行われる

軍事

目的の海洋情報資料の収集を含む活動

で、海洋学、地質学、化学、生物

学、音響学その他の関連情報の収集を含む。

一方、海洋の科学的調査は、「海洋環境の一般的な科学的知識の増大

を目的として、海洋及び沿岸水域で実施される活動」としている。

2 海洋法条約には、海洋の科学的調査の定義は無いが、海洋の科学的

調査を規定する第13部に、領海等で用いられている「測量活動又は水路

測量」という文言が無いことから、

航行する船舶の為の海底地形の確認は

除外

されていると考えられる。

3 問題⇒客観的に軍事情報の収集と海洋の科学的調査とを区分し難い。

「海洋調査によりまして集められたデータというものは、軍事目的を含

めて、さまざまな目的に利用することが可能」(16.3.25。衆院安保委、

防衛庁長官答弁)であり、軍事情報の収集と海洋の科学的調査の区分を

明示した国会答弁は無い。

4 次の国は、あらゆる海洋の調査に付いて、沿岸国の同意を要求

イラン、ガイアナ、仏国、ベルギー。仏国とベルギーが、

測量活動に所

要の軍事調査を含めているか否か

は不明。また、中国は、軍事情報の収

集も海洋の科学的調査とした上で、同意を要求。

(10)

中国の海洋法解釈(1/5)

1 領海及び隣接区域法(1992.2.25施行) 翻訳:法務省監修 (1) 中華人民共和国の陸地領土(第2条第2項) 台湾及び釣魚島を含むその附属諸島 (2) 外国軍艦の無害通航(第6条第2項) 外国の軍用船舶は、中華人民共和国の領海に入る場合には、中華 人民共和国政府の許可を得なければならない (3) 無害通航に対する措置(第8条第3項) 中華人民共和国政府は、領海に対する非無害通航を防止し、及び 差し止めるため、すべての必要な措置を講ずる権利を有する。 (4) 接続水域の権限(第13条) 中華人民共和国は、隣接区域内において、その陸地領土、内水又 は領海内で安全、税関、財政、衛生又は出入国管理に関する法律又 は法規に違反する行為を防止し、処罰するための管轄権を行使する 権限を有する。 (5) 釣魚島の直線基線⇒図1のとおり。

(11)
(12)

中国の海洋法解釈(2/5)

2 海上交通安全法(1984.1.1施行) 翻訳:法務省監修 (1) 外国軍艦の領海への入域(第11条第2項) 外国国籍の軍用船舶は、我が国政府の許可を受けなければ、我が 国の領海に入ることができない。 (2) 航行禁止区域(第21条第1項) 沿海水域に航行禁止区域を指定するときは、国務院又は主管機関 の許可を受けなければならない。ただし、軍事上の必要のために航行 禁止区域を指定するときは、国家軍事主管部門が許可することがで きる。 (3) 沿海水域(第50条第1号) 我が国沿海の港湾、内水及び領海その他国家の管轄する一切の海 をいう。 (4) 過去、日本に対して示した軍事警戒区⇒図2の桃色の部分。

(13)
(14)

中国の海洋法解釈(3/5)

3 排他的経済水域及び大陸棚法(1998.6.26施行) 翻訳:海保大 (1) 海洋科学研究(第9条) 何れの国際組織、外国組織又は個人も、中華人民共和国の排他的 経済水域及び大陸棚において海洋科学研究を行う場合は、中華人民 共和国主管機関の許可を得るとともに、中華人民共和国の法律、法 規を遵守しなければならない。 (2) 海洋科学研究の手続き(渉外海洋科学研究管理規定第5条第3項) 国家海洋行政主管部門は、海洋科学研究の申請を受けた後、外交 部、軍事主管部門及び国務院の他の関係部門と審査を行い、4ヶ月 以内に許可若しくは不許可を決定し、又は国務院に審査結果を上申 し決定を仰ぐものとする。 参考1:中国は、排他的経済水域(EEZ)における外国による軍事情報の収 集も、上述の「海洋科学研究」と判断している。

(15)

中国の海洋法解釈(4/5)

(3) 外国の中国排他的経済水域等における自由(第11条) すべての国家は、国際法及び中華人民共和国の法律、法規を遵守す ることを条件として、中華人民共和国排他的経済水域における航行、飛 行の自由、中華人民共和国排他的経済水域及び大陸棚における海底 電線及びパイプライン敷設の自由、並びにこれらの自由に関連したそ の他の合法的海洋利用の便益を享受する。海底電線及びパイプライン の敷設経路については、中華人民共和国主管機関の同意を得なけれ ばならない。 (4) 中華人民共和国の権利(第13条) 中華人民共和国が排他的経済水域及び大陸棚において享受する権利 で、本法に規定のないものについては、国際法及び中華人民共和国の他 の関係法律、法規に基づき行使する。 参考2:中国は、自国のEEZ上空に「飛行禁止空域(進入して生じた全ての 結果に対していかなる責任も負わないと主張)」の設定を認めている。 参考3:中国は、沖ノ鳥島を岩と判断しており、我が国がこれを基点としてEEZ 設定や大陸棚延長を図ることに反対している。

(16)

中国の海洋法解釈(5/5)

補足1:排他的経済水域(EEZ)における妥当な考慮(海洋法条約第5

8条第3項)⇒沿岸国でない国は、EEZにおいて権利を行使し、義務を

履行するに当たり、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うもの

とし、海洋法及び国際法の他の規則に従って沿岸国が制定する法令

を遵守しなければならない。この条項を起草するに当たり、中国を含

むG-77途上国は、

「安全保障上の利益を考慮すること」

を含める様に

主張したが、拒否されたことがあり、現行解釈上は経済上の利益に限

られるものと考える。

補足2:東シナ海における中国の主張

中国は、向かい合う境界未確定水域(日本とのもの)が400海里未

満しかないのに、

沖縄トラフまで

自国の

大陸棚

と主張している。

大陸棚は、EEZよりも管轄権が限定(海底に係る権限のみ。水中・水

上には及ばない。)されており、EEZが主張できる場合、EEZを主張す

ることが合理的である。日本は、中国に対して、東シナ海における

EEZの境界確定を主張。

(17)
(18)

中 間 線

◎排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第1条第2項

⇒いずれの点をとっても、我が国の基線上の最も近い点から

の距離と、我が国の海岸と向かい合っている外国の海岸に

係るその外国の領海の幅を測定するための基線上の最も近

い点からの距離とが等しい線をいう。

⇒中国との間に合意された境界は未だ無い。

赤の部分は、EEZ漁業法 適用特例水域で、我が国 の執行管轄権が中国漁船 に及ばず 海上保安レポート2011

(19)

国連海洋法条約によるEEZ・大陸棚の境界画定

1 大陸棚又は排他的経済水域(EEZ)の境界画定に付いて、合理的な期間内に 合意に達することが出来ない場合(島嶼等の領有権争いを除く。) ⇒紛争解決手続に付す義務(海洋法第74条第2項、第83条第2項)。 2 紛争解決手続 (1) 国際裁判所の選択 訴える国は、次のいずれかを選択(海洋法第287条第1項)。 ①国際海洋法裁判所、②国際司法裁判所又は③海洋法に基づく仲裁裁判所 (2) 除外宣言 (1)の国際裁判のうち、海洋の境界画定に付いては、そのいずれも選択し ないことが宣言可能(海洋法第298条第1項前段) (3) 調停手続の受け容れ義務等 ア (2)の除外宣言で、一切の国際裁判所の選択をしない場合⇒海洋法発効日 (6.11.16)以降の生起事案に付き、他方の紛争当事国からの調停申し入 れを、受け容れなくてはならない(海洋法第298条第1項aⅰ)。 イ 調停委員会の報告に同意しない紛争当事国は、相手国の同意を得て、 (1)の国際裁判所に判断を委ねることが可能(海洋法第298条第1項aⅱ)。 3 除外宣言の例(我が国と比国は、宣言なし。) 中国(18.8.25付)と韓国(18.4.18付)は、全ての国際裁判所を除外。 露国は、紛争相手国が仲裁裁判所に同意する限り、仲裁裁判所を選択。

(20)

主な海洋に係る国内法

(海洋の科学的調査が欠落) ◎海洋基本法(平成十九年法律第三十三号) ◎領海及び接続水域に関する法律(昭和五十二年法律第三十号) ◎領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号) ⇒平成二十四年法律第七十一号による改正で、立入検査無しで退去命令等可能 ◎排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号) ◎排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及 び拠点施設の整備等に関する法律(平成二十二年法律第四十一号) ◎海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律(平成十九年法律第三十 四号) ◎水産基本法(平成十三年法律第八十九号) ◎排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律 (平成八年法律第七十六号) ◎海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成八年法律第七十七号) ◎鉱業法(昭和二十五年法律二百八十九号)⇒平成二十三年法律第八十四号に よる改正で、海洋を含む鉱物資源の探査が国の許可制 ◎海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十 六号) ◎海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成二十一年法律第 五十五号)

(21)

海洋に関する法解釈等の比較

我が国 中 国 米 国 国連海洋法条約加入状況 加 入 加 入 未加入 領海への進入に関する解釈 許可も事前通報も必要なし。 (海洋法条約17条) 許可が必要(領海及び隣接区域法6 条2項、海上交通安全法11条) 許可も事前通報も必要なし。 (海洋法条約17条) EEZ沿岸国への配慮 経済上の利益を犯さないこと。 (海洋法条約58条3項) 経済と安全保障の利益を犯さないこ と。(排他的経済水域及び大陸棚法 11条、13条) 経済上の利益を犯さないこと。 (海洋法条約58条3項) EEZにおける軍事情報の収 集 国家実行の蓄積が十分でないため、 態度を明確にしていない。 許可が必要(排他的経済水域及び大 陸棚法9条) 許可必要なし。 (海洋法条約58条1項) EEZ又は大陸棚上部水域に おける軍事活動の解釈 国家実行の実績が十分でないため、 態度は明確にしていない。 制限されると解釈(排他的経済水域 及び大陸棚法11条、13条) 制限されないと解釈 (海洋法条約58条1項) EEZにおける他国の軍事活 動への対応 規制していない。 他国の活動に対する規制を実施して いる。(例:インペッカブルに対する妨害、 米海軍EP-3C海南島不時着事案等) 制限していない。 大陸棚の管轄権の範囲 海底に限る。(海洋法条約78条1項) 上部水域にも及ぶ。(排他的経済水 域及び大陸棚法11条、13条) 海底に限る。(海洋法条約78条1項) 海洋法条約に基づき、現在各 国が実施している大陸棚の延 長に関する主張 大陸棚限界委員会の規定により、海 洋等に関する紛争が生起している海 域では主張せず(⇒太平洋側のみで 申請)。 日中間にEEZの境界に関する問題が 存在するにもかかわらず、沖縄付近 まで大陸棚と主張 海洋法条約に未加入なので、主張で きない。 国際航行に使用されている海 峡に適用される法制度(通過 通航権)に関する解釈 特定海域(宗谷、津軽、対馬東、対馬 西、大隅)を設けて、公海を残したの で、通過通航権の問題を回避 国内法には規定なし。 (尚、海南海峡は、国連が提起した国 際海峡の1つであり、通過通航権が 適用されるはず)。 ・政府は通過通航権が必要と判断 ・通過通航権は慣習国際法と解釈

参照

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