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会陰保護術における助産師の手掌にかかる圧力

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Academic year: 2021

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原  著

大阪赤十字病院(Osaka Red Cross Hospital)

2007年11月21日受付 2008年6月7日採用

会陰保護術における助産師の手掌にかかる圧力

Palm pressure applied by midwives during perineal protection

中 川 有 加(Yuka NAKAGAWA)

* 抄  録 目 的  本研究の目的は,正常に進行している仰臥位分娩において児頭娩出から躯幹娩出に至るまでの会陰保 護術に伴う介助者の手指・手掌にかかる圧力値を実測し,会陰への負荷を最小限にする助産術を開発す ることである。特に熟練助産師(以下熟練とする)と新人助産師(以下新人とする)を比較し,熟練の会 陰保護術を圧力という視点から説明する。 対象および方法  研究条件を満たし,分娩予定日が2005年11月から2006年10月下旬までの初産婦,経産婦を対象とし た。また分娩介助500例以上の熟練,分娩介助50例未満の新人を対象とした。研究に同意が得られ,実 施できたのは初産婦17名,経産婦17名および熟練4名,新人11名であった。測定用具は,共和電業製 超小型圧力変換器(PSM-1KAB),センサーインターフェースボード(PCD-300A)を用いた。予備研究で 同定した助産師の右手4ヵ所および左手6ヵ所に超小型圧力変換器を貼付し,分娩介助を行った。排臨 から児の躯幹娩出までをデータ収集時間とし,助産師の両手掌にかかる圧力値を左右別,手掌の区分別 に基本統計を算出し比較検討を行った。今回の分析では,仰臥位分娩に限定して,熟練(4名)と新人(3 名)を比較した。 結 果  熟練と新人の圧力値を比較すると,右示指指間小球②,右示指中間③,左第一関節と第二関節中間内 側⑥,そして左小指先⑨の使い方が異なっていた。【児頭娩出30秒前から児頭娩出まで】新人は,産婦の 努責によって下降してくる児を押し返すように圧力を付加していたため,右示指指間小球②に圧力をか けて会陰保護術を行っており,その最大値33kPaは,熟練の2倍であった。一方,熟練は,努責に左右 されず一定の圧力付加が認められた。その中でも,下降してくる児を受け止める動きのため,右示指中 間③に圧力をかけて会陰保護術をおこなっており,その最大値29kPaは,新人の4倍であった。  また,熟練は,児頭娩出をコントロールするために左示指第一関節と第二関節中間内側⑥に大きな圧 力をかけて,児頭をつかむが如くに保持していた。その最大値18.8kPaは,新人の3倍であった。【発露 から児頭娩出】にかけて熟練は,児頭を保持するが如くに小指先⑨に常に5kPa前後の圧力をかけて会陰 保護術を行っているが,新人の圧力は0に等しかった。 結 論  言葉では表せず,伝えにくい助産師の会陰保護時にかかる圧力を工学器機により測定が可能であった。 また,熟練と新人を比較することで熟練の技を目に見える形で表現できることが明らかとなった。

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キーワード:会陰保護術,分娩,圧力,助産師,実践

Abstract Objective

The objective of this study was to measure the pressure on the fingers and palms of persons who assisted nor-mal supine labor by protection of the perineum from expulsion of the fetal head to trunk, aiming at development of a midwifery technique that minimizes stress on the perineum. Experienced and novice midwives were compared, and skilled protection of the perineum was explained from the viewpoint of the pressure applied.

Subjects and Methods

Subjects who met the study conditions were primiparae and multiparae with an expected date of delivery between November 2005 and late October 2006. Seventeen primiparae, 17 multiparae, 4 skilled and 11 novice mid-wives gave consent to and participated in the study. For measurements, a compact pressure transducer (PSM-1KAB, Kyowa Electric Instruments) and sensor interface board (PCD-300A, Kyowa Electric Instruments) were used. The midwives assisted the labor with their hands attached to ultra compact pressure transducers at 4 and 6 sites on their right and left hands, respectively, as identified in a preliminary study. Data were collected from the appearance of the fetus to expulsion of the fetal trunk. Basic parameters of the pressure load on each palmar site measured on each palm were calculated and compared statistically.

Results

The experienced and novice midwives used the following regions differently: The right index finger pad ②, middle of the right index finger ③, medial side of the middle finger between the left first and second joints ⑥, and tip of the left little finger ⑨. [From 30 seconds before expulsion of the fetal head to its expulsion] The novice mid-wives loaded pressure on the right index finger pad ② when protecting the perineum, and the maximum value (33 kPa) was twice that of the experienced midwives. The experienced midwives loaded pressure on the middle of the right index finger ③ to protect the perineum, and the maximum value (29 kPa) was 4 times higher than that of the novice midwives. The experienced midwives also loaded pressure on the left index finger ⑥, and the maximum val-ue (18.8 kPa) was 3 times higher than that of the novice midwives. [From crowning to expulsion of the fetal head] The experienced midwives constantly loaded about 5 kPa on the tip of the little finger ⑨ to protect the perineum, but the novice midwives did not load any pressure on this site.

Conclusion

Pressure applied for protection of the perineum by midwives cannot be expressed and explained by words, but it could be measured mechanically for a further explanation. It was demonstrated that techniques of the experi-enced midwives could be presented as values by comparison with novice midwives.

Key words: Protection of the perineum, labor, pressure, midwife, practice

Ⅰ.序   論

問題の背景  分娩を予定している女性が選択に迷い,不安に思う ことの一つが自分の意思ではなく,会陰切開をされる かされないかであり,できることなら傷の少ない出 産,傷の無い出産をしたいと願っている。会陰切開の 目的は,「分娩時の膣・会陰の損傷を回避し,児の安 全な娩出をはかる」ことである。つまり,会陰を切る ことで膣口を広げることであるが,骨盤底はハンモッ ク状の筋肉で,内臓を支え,便尿,腸内の気体の通過 調節をする役目を果たしている。また性感や性的満足 にも関わり,女性にとっては重要な部位である。その 部分を切開することは,肛門括約筋損傷との関係,会 陰裂傷Ⅲ度,Ⅳ度の発生,切開創の疼痛持続,切開創 治癒の遅れ,夫婦生活への支障など,その後の女性の Quality of lifeに大きな影響を及ぼすと報告されている。 Hartmann(2005)が行ったシステマティックレビュー によれば,1950年から2004年までの会陰切開に関す る986文献の中から基準に合致した26文献を再調査し た結果,ルティーンに会陰切開を行った群が医療的に 必要な場合にのみ会陰切開を行った群に比べアウトカ ムが良いとするエビデンスはなかった。むしろ第三度 裂傷の頻度が高まり,性交時の痛みは,ルティーンに 会陰切開を行った群で多く認められたと報告している。 そのため,すべての産婦にルティーンで切開を行うと いうよりむしろ,出来るだけ限定的に会陰切開を行う, または自然に裂傷が生じて縫合する方を選択する考え

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方に変わってきている。  日本の助産師は,会陰切開と縫合が業務範囲として 許されていないこともあり,損傷をおこさないよう長 年にわたり知識と技を磨いてきた。その技のひとつが, 会陰保護術である。会陰保護術の目的は,「会陰の損 傷を予防または軽減し,児の安全な娩出をはかる」こ とにある。日本の助産師は,児の娩出時には会陰は伸 びるものであるという前提のもとに,それを守るべく 産婦と協力して児頭や肩をゆっくり娩出させながら会 陰保護を行い,その技を磨いてきたのである(大谷他, 1994;加藤,1990;伊藤他,1994)。開業歴43年の正 木(2003, a)は,「会陰保護法とは,会陰の安全を確認 する目とそれに対応する助産師の智恵と運動行動で可 能となる。『なぜ裂傷が起きるのか』を考察し,自然の 娩出法則を優先させながら,分娩場面一つ一つに科学 的根拠を見出し,自分自身で納得のできる技術を持つ こと。これはまさに助産師が持つべき哲学であると言 えるだろう。」と述べている。また,正木(2005)は,「会 陰を看る目は,陣痛の状態,児頭の下降度やスピード, そして会陰の状態を大脳に伝え,運動神経を介して大 脳からの指令が娩出力との調整役である手指・手掌に 伝わり,瞬時に対応することで会陰を護ることが可能 となる。」と述べ,「助産師として会陰の伸展を待てな い,切開を入れたスピード出産に慣れてしまっている 人は,娩出力の調整役である手指の感覚が育っていな いことが考えられる」と正木(2003. b)は警告している。  会陰保護術は,教科書を読んですぐ会得できるも のではない。実際に様々な分娩に関わり,自らの手 指・手掌を外陰部にあてて児頭の下降度やそのスピー ド,会陰の伸展具合や膨瘤感を手掌を通して全身で感 じて会得すると考える。一例一例積み重ねて,振り返 り,考察し,確認して自分の技へと昇華できるもので あり,長年の積み重ねを必要とするのは言うまでもな い。正木も述べているように助産師にとって手の感覚 は重要である。  Page(2002)によると,助産師が臨床で行っている 判断やそれに基づく行為は,多く見積もってもその 15%しか科学的な証拠をもっておらず,残りの85%は 完全に科学的な探索がされていないと述べている。そ のため,口頭では伝えにくい助産師の熟練した技,特 に会陰保護術の安全性と最適性を検証し,客観的指標 として目に見える形で表していくことが必要である。  最近日本では,看護における熟練の技を検証する試 みの研究がなされてきており,熟練の技を身体に 安 全 で やさしい手 として考え,検証している傾向に ある。小川ら(2000)は,体位変換や新生児の沐浴お よび会陰保護術を熟練者と初学者で手にかかる圧力 や姿勢の変化を人間工学的に分析し看護における や さしい手 を客観的指標として表す研究を行っている。 その結果,熟練者は,指先よりも手掌の面を使ってケ アを行い,重心も安定しているが,初学者は指先に力 を入れてケアを行う傾向にあり,重心が不安定である と報告している。助産師の行うケアの対象は,繊細で 柔軟な身体をもつ女性,新生児やこどもであることが 多い。そのような対象に行う助産師のケアは母児に とって,より安全でやさしいものであることを追及す ることは重要である。  筆者は,どのように保護をすれば会陰裂傷を起こさ ないか常に考えながら分娩介助を行ってきた。そして, 児頭娩出後に会陰裂傷がない場合でも児娩出後に会陰 に裂傷が生じていることがあったことから,会陰の損 傷を予防するためには,児の肩甲娩出が重要なのでは ないかと感じてきた。つまり,前在肩甲を娩出させる 時に児の側頭部を肛門方向に押し下げるという教科書 に記載されている手技が会陰への付加圧力となり,裂 傷を引き起こすのではないかと考えた。ベテランとい われる助産師の話の中にも肩甲娩出を重要視している 声がよく聞かれた。会陰保護術に関して,特に肩甲娩 出時の助産師の手技で付加圧力に注目した研究は見当 たらなかった。そこで,正常に進行している仰臥位 分娩で,特に肩甲娩出時の助産師の手掌にかかる圧力 に焦点をあて,工学機器を用いて研究を行った(中川, 2003)。積極的に肩甲娩出を誘導する方法と陣痛の力 だけで自然に肩甲が娩出されるのを待つ方法の2つの 方法において助産師の手掌にかかる圧力を比較した結 果,会陰裂傷の発生頻度に関して二つの方法で差はな かったが,助産師の手掌にかかる圧力概算値と圧力の かかる部位の違いが明らかとなり,異なる方法におけ る助産師の微妙な手の使い方の相違を圧力概算値から 推測することができた。  この結果をふまえて,肩甲娩出時だけでなく,分娩 すべてにわたって助産師は会陰の損傷を予防するため に手指・手掌の使い方を工夫しているのではないかと 考えた。そのため,より詳細に圧力を測定し,圧力と いう視点で会陰保護術を考えてみることにした。  助産師は,様々な分娩に関わり,実践知を得て,自 分の技を磨いている。ベテランといわれる助産師と初 学者では手の使い方が異なるとは言われているが力

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の強弱は言われていない。初学者においては,会陰保 護術に関してのビデオや他の助産師の会陰保護術を見 ること,また分娩介助モデルを用いて各自が練習する だけであった。そのため,分娩介助時の会陰保護術に おける助産師の手指・手掌にかかる圧力に関して,会 陰裂傷をおこさない卓越した技をもつ助産師と新人助 産師とで比較し,圧力の相違を目に見える形で表現し, 熟練者の会陰保護術をより詳細に圧力という視点で分 析,説明できるのではないかと考えて,基礎研究に着 手した。 研究目的  本研究の目的は,正常に進行している仰臥位分娩に おいて児頭娩出から肩甲および躯幹娩出に至るまでの 会陰保護術に伴う介助者の手指・手掌にかかる圧力値 を実測し,会陰への負荷を最小限にする助産術を開発 することである。  特に,熟練助産師(以下熟練とする)と新人助産師(以 下新人とする)を比較し,熟練の会陰保護術を圧力と いう視点から説明する。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン  本研究は,工学器機を用いて正常に進行している仰 臥位分娩における会陰保護術で介助者の手指・手掌に かかる圧力を実測し,熟練者の会陰保護術を圧力とい う視点から把握する記述研究である。 2.研究対象者  産婦の研究対象者は,妊娠経過が正常で,且つ正期 産で経膣分娩目的で入院した18歳以上40歳未満の初 産婦,経産婦とした。  助産師の研究対象者は,熟練(分娩介助500例以上), 新人(分娩介助50例未満)とした。研究施設は,首都 圏内産科病院および産婦人科診療所で実施した。 3.研究期間  研究期間は,2005年11月から2006年11月であった。 4.測定用具  測定用具は,共和電業製超小型圧力変換器(PSM-1KAB)を使用した。それ自体は熱を発生せず,人体 に対する悪影響もない。直径3.5mm 0.3,薄さ0.65mm 0.15で米粒を平らにしたような形状で重量はケーブ ルを含んで約0.5gである。超小型圧力変換器の貼付部 位の信頼性を確保するために,貼付後の助産師の両手 掌をデジタルカメラで毎回撮影した。 5.研究条件  研究条件として,助産師による分娩介助は,分娩台 でセミファーラー位における介助とし,分娩台の高さ は,介助する助産師が会陰保護術を行いやすいと判断 する高さとした。助産師は,両手に超小型圧力変換器 を装着し,その上から滅菌手袋を装着し,会陰保護術 を行うこととした。分娩時の助産師の声かけやサポー トによる産婦の精神的な慰安も考慮するため助産師の 分娩時の声かけを同意を得てICレコーダーで録音し た。分娩経過中にfetal distressがうかがえるような兆 候が出現したり,急遂分娩が必要となった場合および 同時または僅差での分娩が考えられる場合は,母児の 安全性を最優先するため研究を中止するとした。対象 である産婦が,微弱陣痛や予定日超過等の理由で陣痛 誘発および陣痛促進を行う場合も調査の対象に含むも のとし,同意を得た妊婦が妊娠42週を過ぎても母児 ともに異常がない場合は,調査に含むとした。 6.調査手順  研究条件を満たし,分娩予定日が2005年11月から 2006年10月下旬までのすべての初産婦,経産婦に研 究目的,研究内容について文書と口頭で直接説明を 行った。研究参加承諾の可否および同意書は,分娩に 至るまでに確認し,同意書を得た。また,助産師に対 しても文書と口頭で研究目的や内容の説明を行い,同 意書を得た。  対象となる産婦が分娩台に上がった時点で助産師の 両手掌に予備研究で同定した位置に超小型圧力変換器 を貼付し,滅菌手袋を装着して日頃行っている姿勢や 方法で分娩介助を行った。位置は,右手は母指を第一 関節内側(以下①とする),示指指間小球(以下②とす る),示指中間(以下③とする),小指指間小球(以下 ④とする)の4ヶ所,左手は,母指第一関節内側(以下 ⑤とする),示指第一関節と第二関節中間内側(以下 ⑥とする),中指先(以下⑦とする),薬指先(以下⑧ とする),小指先(以下⑨とする),小指球(以下⑩と する)の6ヶ所である。ICレコーダーで分娩時の助産 師の声かけを録音し,分娩介助時の様子をノートに詳 細に記述した。

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7.分析方法  対象者のデモグラフィックスは,chi-square test, t-testを用いた。10ヵ所の圧力値については,助産師 ごとに〈排臨から発露〉,〈発露から児頭娩出〉,〈児頭 娩出から躯幹娩出時〉の最大値,最小値,中央値,平 均値,分散,範囲,標準偏差(以下SDとする),合計 を算出した。加えて,児頭娩出に焦点をあてて,児頭 娩出60秒前から10秒後までを10秒づつ区切って最大 値,最小値,中央値,平均値,分散,範囲,SD,合 計を算出した。その後,グラフ化し,左右の手掌別, 既往妊娠分娩暦別で比較した。グラフ化した圧力値の パターンから熟練・新人の相違を分析した。統計ソフ トは,エクセル2003およびSPSS14.0 for Windowsを 用いた。 8.倫理的配慮  研究への協力を依頼する際,対象の権利を守るため に研究の目的を説明し,研究内容を文書および口頭で 詳しく説明し,対象となる妊婦の自由意志の尊重およ びプライバシーの尊重を約束した。また母児の安全性 を最優先することを説明した。そして録音データを含 めて得られたデータは研究の目的以外には一切用いず, 終了後はすべて廃棄することを伝え,専門学会等で発 表する場合もあることを伝え同意を得た。  この研究の計画は,聖路加看護大学研究倫理審査委 員会の承認(承認番号05-034)および研究施設長の承 認を得て実施した。

Ⅲ.結   果

1.対象の特性  研究実施条件および設定した産婦,助産師の条件に 合致し,研究への同意が得られたのは,産婦34名(初 産婦17名,経産婦17名),助産師21名(熟練4名,中 堅助産師(以下中堅とする)6名,新人11名)であった。 尚,研究条件に合致した熟練が少数であったため,分 娩介助例数50以上500未満とする中堅6名にも同意を 得た。  急遂分娩2名,施設の許可が得られなかった8名の 計10名からは,同意を得られたがデータ収集は出来 なかった。また,研究条件としていた仰臥位をとら なかったものが7名あり,側臥位5名,四つんばい2 名であった。さらに熟練1名,新人3名は,分娩途中 に超小型圧力変換器が切れてしまう不具合発生のた め,10ヵ所の測定部位すべてのデータが揃わず欠落し た部位が生じた。最終的に条件を満たし,研究を実施 できた対象は,産婦24名(初産婦13名,経産婦11名), 助産師17名(熟練4名,中堅6名,新人7名)であった。(図 1参照)  既往妊娠分娩暦別に分娩関連の変数を比較したとこ ろ,経産婦が初産婦に比べて『分娩第二期所要時間』 が有意に短かく統計的な差が認められたが,それ以外 の『分娩所要時間』,『児の四計測値』,『分娩時出血量』, 『胎盤重量』に差は認められなかった。『外陰部裂傷』も 程度・発生頻度ともに差は認められなかった。  今回の分析では,仰臥位分娩に限定して,熟練(4名) と新人(3名)を比較した。また今回の対象とした熟練 および新人それぞれが分娩介助を行った事例の詳細は 表1に示す。  尚,会陰保護術における手の置き方は,熟練は,発 露近くなるまで右手は肛門保護のみであったが,その 後母指と他四指を広げて左右の陰唇外側に当てていた。 新人は,排臨から母指と他四指を広げて左右の陰唇外 側に当てていた。左手は,熟練と新人では手の置き方 が全く異なっており,熟練は発露間際から肘を上げて, 母指と他四指を広げて指先が産婦の肛門方向に向くよ うにあて,児頭を保持していた。新人は,左手の5本 の指を揃えて児頭にあて屈位保持に努めていた。 2.排臨から躯幹娩出までの圧力値の概観  産婦ごとに,分娩介助にあたった助産師の手掌部に 貼付した超小型圧力変換器から得られたひずみデータ を計算式を用いて圧力値(kPa)に変換した。尚,単位 はkPaで表し,1kPaは7.501mmHgである。  測定は,排臨から躯幹娩出までを3つの時期に区切っ て分析した。圧力値について,〈排臨から発露〉,〈発露 から児頭娩出〉,〈児頭娩出から躯幹娩出〉に分けて概 観する。  〈排臨から発露〉では,発露直前まで,熟練,新人 ともに右手の会陰保護時の圧力は,1kPa前後の弱い圧 力であった。左手は,1∼3kPaの圧力付加であった。  〈発露直前から児頭娩出〉の時期が,他の時期に比 べて最も大きな圧力付加が認められた。熟練者の場合 には,右母指①と示指中間の③に30kPa前後の圧力が それぞれに付加され,左母指⑤,示指⑥,中指先⑦, 薬指先⑧,小指先⑨には,30∼150kPaの圧力が付加 されていた。  一方,新人の場合には,中指先の⑦に圧力が入る傾

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向にあり,その圧力値は90∼150kPa弱の圧力であっ た。また,⑥はほとんど使っておらず圧力付加は4∼ 30kPa弱程度であった。他の指の圧力値は個人差が多 かった。  〈児頭娩出から躯幹娩出〉では,児の身体を支えて 娩出させる時の保持する圧力として,熟練者の両手の 各部位に30∼100kPaの付加があった。  一方,新人は,児の肩や身体を保持する指が一定で はなく,各部位によって4∼190kPaと変動が大きかっ た。  以下に,発露から児頭娩出時を中心に圧力値からみ た熟練と新人の会陰保護術の相違について述べる。 3.発露から児頭娩出時に手掌にかかる圧力値からみ た熟練と新人の会陰保護術の相違  ここでは,児頭娩出60秒前から10秒後の区間を10 หᗧࠍᓧߚኻ⽎ ↥ᇚ̖34 ฬ(ೋ↥ᇚ 17 ฬޔ⚻↥ᇚ 17 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖21 ฬ(ᾫ✵ 4 ฬޔਛၷ 6 ฬޔᣂੱ 11 ฬ) ࡮ᕆㆀಽᇂߩ↥ᇚ̖2 ฬ ࡮ಽᇂߦ߅޿ߡᣉ⸳ߩ⸵น߇ᓧࠄࠇߥ߆ߞߚ↥ᇚ̖8 ฬ ↥ᇚ̖24 ฬ (ೋ↥ᇚ 13 ฬޔ⚻↥ᇚ 11 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖17 ฬ (ᾫ✵ 4 ฬޔਛၷ 6 ฬޔᣂੱ 7 ฬ) ҋ㕖ઔ⥁૏Ҍ Ꮐ஥⥁૏ ↥ᇚ̖4 ฬ (ೋ↥ᇚ 3 ฬ ⚻↥ᇚ 1 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖ਛၷ2 ฬ ᣂੱ 1 ฬ ฝ஥⥁૏ ↥ᇚ̖1 ฬ (⚻↥ᇚ 1 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖ᣂੱ1 ฬ ࠃߟࠎ߫޿ ↥ᇚ̖2 ฬ (ೋ↥ᇚ 2 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖ᣂੱ2 ฬ ҋ ઔ⥁૏ Ҍ ↥ᇚ̖17 ฬ (ೋ↥ᇚ 8 ฬ ⚻↥ᇚ㧥ฬ) ഥ↥Ꮷ̖11 ฬ (ᾫ✵ 4 ฬ ਛၷ 4 ฬ ᣂੱ 3 ฬ) ಽᨆኻ⽎ ↥ᇚ̖7 ฬ (ೋ↥ᇚ 3 ฬ ⚻↥ᇚ 4 ฬ) ഥ↥Ꮷ̖7 ฬ (ᾫ✵ 4 ฬ ᣂੱ 3 ฬ) 図1 研究実施対象 表1 対象産婦の個人的および分娩に関する情報 熟      練 新   人 A B C D E F G 介助方法 正面介助法 正面介助法 正面介助法 正面介助法 側面介助法 側面介助法 側面介助法 個 人 的 要 因 初経別 初産婦 経産婦 初産婦 経産婦 初産婦 経産婦 経産婦 年齢(歳) 19 37 26 33 31 27 35 身 長(cm) 167 161 159 160 155 160 157 体 重(g) 78 74 59 68 70 74 70 BMI 28 28.5 23.3 26.6 29.1 28.1 28.4 分 娩 関 連 要 因 分娩時の週数 40週0日 38週6日 38週2日 40週3日 39週0日 39週2日 39週6日 児体重(g) 3324 3460 2844 3608 3038 4086 3106 Apgar score (1分後/5分後) 9/10 9/9 9/9 9/9 9/9 9/9 8/9 分娩所要時間 24時間8分 4時間11分 12時間53分 3時間49分 6時間36分 7時間44分 10時間27分 出血量(g) 230 100 170 220 480 770 250 外陰部裂傷 膣壁Ⅰ度裂傷 会陰擦過傷 会陰擦過傷 膣壁Ⅰ度裂傷会陰Ⅱ度裂傷 会陰Ⅰ度裂傷 膣壁Ⅰ度裂傷 会陰Ⅰ度裂傷 膣壁Ⅰ度裂傷会陰Ⅱ度裂傷

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秒毎に区切って細かく圧力の相違を分析した。  熟練は,産婦の努責に左右されることなく圧力値の 変動は少なかった。そして,児頭娩出30秒前から児 頭娩出にかけて,右示指中間③に大きな圧力を付加し て児頭を保持していた。  一方,新人は産婦の努責に応じて圧力を付加する傾 向にあり,特に右示指指間小球②の圧力値は大きく, 変動も大きかった。  熟練は,新人と比較すると左示指第一関節と第二関 節中間内側⑥と左小指先⑨への圧力付加が有意に大き かった。これは,左手が児頭娩出をコントロールする 役割となり,児頭の後頭部をつかむが如くに保持して いるためである。  児頭が正に娩出しようと会陰部を通過しようとする 30秒前を境に,熟練は左右の手を関連させて児頭娩 出にむかっていたが,新人は左右どちらかにのみ圧力 を加えていくか,全く圧力付加がないかで片方の手だ けの会陰保護術であった。(図2参照) 1 )右手の相違  (1)右示指指間小球②の相違  熟練と比較すると新人の方が,〈児頭娩出60秒前〉で は『範囲』および『SD』,〈児頭娩出30秒前〉では『平均 値』,〈児頭娩出10秒前から児頭娩出〉では『最大値』お よび『平均値』が有意に大きかった。  熟練は,児頭が陰裂から陣痛間歇時にも後退せず露 出している状態になると,示指指間小球②が中心と なっていた。これは,児頭娩出に備えて,右手全体で 会陰を通して児頭をつかむように支えるためである。  一方,新人の右手は,産婦の努責によって圧力値が 変動する傾向にあった。これは,産婦が努責をかける と急速な娩出を防止するために児頭を押し返すような 動きとなるためである。  〈児頭娩出60秒前〉では,『範囲』が熟練6.94kPaに対 して新人は19.69kPa(p=.026),『SD』が熟練1.45kPa に対して,新人は4.01kPa(p=.033)で統計的にも有 意差が認められた。〈児頭娩出30秒前〉では,『平均値』 が熟練3.20kPaに対して,新人は12.59kPa(p=.027), 〈児頭娩出10秒前から児頭娩出〉では,『最大値』が熟 練20.81kPaに対して,新人は37.43kPa(p=.020),『平 均 値 』が 熟 練4.11kPaに 対 し て, 新 人 は18.78kPa(p =.039)と新人の方が大きかった。(図3参照)  (2)右示指中間③の相違  熟練の方が〈児頭娩出50秒前〉で『範囲』と『SD』,〈児 頭娩出30秒前〉で『最大値』,〈児頭娩出10秒前から児 頭娩出〉では『最大値』と『平均値』が新人よりも大きく, 熟練は右示指中間③への圧力付加が大きかった。  つまり,熟練は,発露から児頭娩出に備えて,右手 全体で会陰を通して児頭をつかむが如くに支えており, 示指指間小球②が扇の要のように児頭を支える中心と なり,母指①と示指中間③で児頭を保持し,娩出をコ ントロールしていた。産婦の努責によって徐々に娩出 されてくる児頭の増大によって示指中間③にも変動が 加わり〈児頭娩出50秒前〉では,③の『範囲』7.58kPa (p=.016)および『SD』1.73(p=0.042)で統計的な有 意差がみられた。〈児頭娩出30秒前〉では,『最大値』 が熟練は8.02kPaに対して,新人は2.12kPa(p=.020), 〈児頭娩出10秒前から児頭娩出〉でも『最大値』が熟練 37.70kPaに対して,新人は10.29kPa(p=.032),『平均 値』においても熟練9.72kPaに対して新人は0.78kPa(p =.040)であった。(図4参照)  熟練は『平均値』,『最大値』ともに児頭娩出30秒前 から急激に圧力を付加しているのに対して,新人は変 動差も大きく児頭娩出20秒前から弱い圧力付加であっ た。  つまり,熟練の方が示指指間小球③への圧力付加は 新人よりも大きく,児頭娩出をコントロールするため に児頭をつかむが如くに把持していた。 2 )左手の相違  (1)左示指第一関節と第二関節中間内側⑥の相違  熟練は,左示指第一関節と第二関節中間内側⑥にお 熟 練 新 人 18.8kPa 29.2kPa 17.4kPa 5.91kPa 6.6kPa 2.05kPa 33.1kPa 7.4kPa 図2 発露から児頭娩出時に手掌にかかる圧力値からみた 熟練と新人の会陰保護術の相違

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ฝ␜ᜰᜰ㑆ዊ⃿㽳䈱ᐔဋ୯䈱⋧㆑䇭䇭㩿㫅㩷㪔㩷㪎㪀 㪇 㪉 㪋 㪍 㪏 㪈㪇 㪈㪉 㪈㪋 㪈㪍 㪈㪏 㪉㪇 㪉ಽ ೨ 㪍㪇⑽ ೨ 㪌㪇⑽ ೨ 㪋㪇⑽ ೨ 㪊㪇⑽ ೨ 㪉㪇⑽ ೨ 㪈㪇⑽ ೨䈎 䉌ఽ 㗡ᇂ ಴ ᓟ㪈㪇 ⑽ ᾫ✵ ᣂੱ ᤨ㑆 㩿㫂㪧㪸㪀 㩿㪊㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㩷㪍㪐㪈㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㩷㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪎㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 䋪 䋪䋪 䋪㪔㩷㪇㪅㪇㪉㪎 䋪䋪㪔㩷㪇㪅㪇㪊㪐 㩿䊂䊷䉺ᢙ㪀 ฝ␜ᜰᜰ㑆ዊ⃿㽳ᦨᄢ୯䈱⋧㆑䇭㩿㫅㩷㪔㩷㪎㪀 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪉ಽ ೨ 㪍㪇⑽ ೨ 㪌㪇⑽ ೨ 㪋㪇⑽ ೨ 㪊㪇⑽ ೨ 㪉㪇⑽ ೨ 㪈㪇⑽ ೨䈎 䉌ఽ 㗡ᇂ ಴ ᓟ㪈㪇 ⑽ ᾫ✵ ᣂੱ ᤨ㑆 㩿㫂㪧㪸㪀 㩿㪊㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㩷㪍㪇㪇㪀 㩿㩷㪍㪐㪈㪀 㩿㩷㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪎㪀 㩿㩷㪎㪇㪇㪀 䋪 䋪㪔㩷㪇㪅㪇㪉 㩿䊂䊷䉺ᢙ㪀 図3 右示指指間小球②における熟練と新人の相違

(9)

ฝ␜ᜰਛ㑆㽴ᐔဋ୯䈱⋧㆑䇭㩿㫅㩷㪔㩷㪎㪀 㪄㪋 㪄㪉 㪇 㪉 㪋 㪍 㪏 㪈㪇 㪈㪉 㪉ಽ ೨ 㪍㪇⑽ ೨ 㪌㪇⑽ ೨ 㪋㪇⑽ ೨ 㪊㪇⑽ ೨ 㪉㪇⑽ ೨ 㪈㪇⑽ ೨䈎 䉌ఽ 㗡ᇂ ಴ ᓟ㪈㪇 ⑽ ᾫ✵ ᣂੱ ᤨ 㩿㫂㪧㪸㪀 㩿㩷㪊㪍㪇㪇㪀 㩿㩷㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪐㪈㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㩷㪎㪇㪎㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 䋪 䋪㩷㫇㪔㩷㪇㪅㪇㪋 㩿䊂䊷䉺ᢙ㪀 ฝ␜ᜰਛ㑆㽴ᦨᄢ୯䈱⋧㆑䇭㩿㫅㩷㪔㩷㪎㪀 㪄㪌 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪉ಽ೨ 㪍㪇⑽೨ 㪌㪇⑽೨ 㪋㪇⑽೨ 㪊㪇⑽೨ 㪉㪇⑽೨ 㪈㪇⑽ ೨䈎 䉌ఽ 㗡ᇂ ಴ ᓟ㪈㪇 ⑽ ᾫ✵ ᣂੱ ᤨ㑆 㩿㫂㪧㪸㪀 㩿㩷㪊㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㩷㪍㪐㪈㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㩷㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪎㪀 㩿㫅㪎㪇㪇㪀 䋪 䋪䋪 䋪㩷㩷㩷㫇㪔㪇㪅㪇㪉 䋪䋪㩷㫇㪔㪇㪅㪇㪊㪉 㩿䊂䊷䉺ᢙ㪀 図4 右示指中間③における熟練と新人の相違

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いて〈児頭娩出40秒前〉の『最大値』,および『平均値』, 〈児頭娩出30秒前〉の『平均値』,『児頭娩出10秒前から 児頭娩出』の『最大値』で新人よりも圧力値が大きかっ た。  熟練と新人では,手の置き方が全く異なっており, 熟練は発露間際から肘を上げて,母指と他四指を広げ て指先が産婦の肛門方向に向くようにあて,児頭を保 持していた。〈児頭娩出40秒前〉の『最大値』では熟練 14.12kPaに対して,新人は1.20kPa(p=.045),『平均値』 では熟練8.44kPaに対して,新人は­0.54kPa(p=.023) であった。また〈児頭娩出30秒前〉では『平均値』が熟 練7.38kPaに対して,新人は­0.37kPa(p=.025),加 えて〈児頭娩出10秒前から児頭娩出〉までにおいても 『最大値』で熟練24.06kPaに対して,新人7.21kPa(p =.022)であった。(図5参照)  熟練は児頭娩出40秒前から一定にかけていた圧力 を徐々に抜いていき,娩出20秒前から瞬間的に圧力 を付加しているのに対して,新人は逆に娩出40秒前 から圧力を付加していた。そしてその圧力も弱かった。  熟練は,児頭娩出をコントロールするために左示指 第一関節と第二関節中間内側⑥に大きな圧力を付加し, 児頭をつかむが如くに保持していた。  (2)左小指先⑨の相違  小指先⑨においては,熟練の方が〈児頭娩出10秒前 から児頭娩出〉で『平均値』が新人よりも大きく,熟練 の方が新人よりも小指先⑨に大きな圧力を付加してい た。  〈児頭娩出10秒前から児頭娩出〉の『平均値』で熟 練5.91kPaに対して,新人2.05kPa(p=.05)であった。 熟練と新人ともに児頭娩出30秒前から徐々に圧力を 抜いているが,熟練の方が全体的に圧力付加は大き かった。(図6参照)  片手で丸いものをつかむように保持する場合には, すべての指に均等に圧力を加えないとつかめない。熟 練は小指先にも圧力を付加し,児頭を保持していた。  (3)左右の手の相違  丸い児頭が娩出されるのを保持する場合,隣接する 指に圧力が入るのは当然であるが,熟練Aは右母指① に圧力が加われば,右示指指間小球②(r=0.637),右 示指中間③(r=0.527),右小指指間小球④(r=0.647) に圧力が入り,加えて左示指第一関節と第二関節中間 内側⑥(r=0.676)と左中指先⑦(r=0.684)にも圧力 が加わっていた。つまり,片方の手に圧力が加われば, 隣接する指だけではなく,もう一方の手にも圧力が付 加されていた。  一方,新人Eは,同側の手の隣接する指,左中指先 ⑦と左薬指先⑧(r=0.807)に関連があるだけであっ た。つまり,片方の手だけに圧力を付加していた。  この児頭娩出30秒前という時間は,児頭が正に娩 出しようと会陰部を通過する時間であると考えると, その時間を境に,熟練は左右の手を関連させて児頭娩 出を促していた。  一方,新人は30秒前を境に右手と共に左手の一部 分に圧力を加えていくか,右手のみか,左手のみで左 右の手の関連はみられなかった。

Ⅳ.考   察

 本研究では,超小型圧力変換器を用いて,正常分娩 の介助を行う助産師の手掌にかかる圧力実測値を測定 し,得られた圧力値を分析することによって分娩介助 方法を客観的に評価することができた。加えて,熟練 と新人の分娩介助方法と圧力値を比較することによっ て,その相違を表現できた。以下に今後の分娩介助方 法,特に会陰保護術の視点について述べる。 1.熟練と新人が行う会陰保護術  会陰保護術の目的は,「会陰の損傷を予防または軽 減し,児の安全な娩出をはかる」ことにある。本研究 で得られた圧力値から熟練と新人が行う会陰保護術に おいて左右の手の使い方の違いが明確となった。加 藤(1990)が行った「会陰保護術の文献学的考察」の中 で,昭和42年に第7版が発刊された「安藤産科学」には, 会陰保護術の理論として現在にも通用する記述が見ら れる。裂傷の発生と軽重を左右する因子として,(1) 会陰の性質,その高さ及び進展性,(2)児頭の大きさ, (3)児頭発露の速度と発露時の頭周囲とその調節の三 因子をあげており,この三因子の中で随意に調節し得 るのは唯一(3)であると述べている。この記述にある 「児頭発露の速度と発露時の頭周囲との調節」から考 えられることは,左手の使い方と左右の手の協働であ ると考える。この考え方を元に本研究で観察された熟 練と新人の会陰保護術を考える。 1 )熟練の両手の協働  熟練は,陣痛の強弱,産婦の努責,児頭の下降度を 目で見て,どこに圧力がかかるか,会陰の進展具合

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を手で感じながら,必要なケアを考えて提供してい た。つまり,発露から児頭娩出に備えて,熟練は,示 指指間小球②が扇の要のように児頭を支える中心とな り,母指①と示指中間③で児頭を保持し,右手全体で 会陰を通して児頭をつかむ様に支えて娩出をコント ロールしていた。また左手は発露間際から肘を上げて, 母指と他四指を広げて指先が産婦の肛門方向に向くよ うにあて,左示指第一関節と第二関節中間内側⑥に大 きな圧力を付加し,児頭をつかむ様に保持し,児頭娩 出をコントロールしていた。加えて,片方の手に圧力 が加われば,隣接する指だけではなく,もう一方の手 にも圧力が付加されていた。これは,「分娩の三要素」 である『娩出力,産道,胎児および付属物』を頭におき, 児頭発露の速度と発露時の頭周囲との調節を意識した ケアであると推測できる。  排臨から発露間際までは肛門保護中心で,熟練は肛 門を押えることで産婦の努責の方向性を示し,効果的 な努責を促し,児頭の下降を促していた。また,産婦 の持つ生む力と胎児の生まれようとする力を効果的に 引き出すために精神的な慰安と鼓舞に努めていた。  発露では,右手は会陰保護を行い,左手は,最小周 囲径で児頭の娩出を促すため,屈位を保持する目的で 左手の各指は,児頭を つかむ ように圧力を付加し ていた。特に熟練の場合,児頭娩出間際で右手母指① と示指中間③に大きな圧力がかかるのは,会陰を通し て額周囲の顔面を把持するためであり,左手⑤の母指, ⑥の示指,⑦の中指先,⑧の薬指先,⑨の小指先に大 きな圧力がかるのは,肘を上げて産婦の肛門方向に向 けた指先で,児頭の後頭を つかむ 動作のためである。 丸いものを両手でつかむ場合には,すべての指に力が 入っていなければならないことから,左右の手は,外 陰部を通して球状のものを両手で つかむ が如くに 保持している手であるといえる。熟練は,新人と比較 して右③と左⑥に関しては,児頭娩出10秒前から娩 出に至る時間で『最大値』が大きく,また左小指先の ⑨への『平均値』も大きく,統計的にも有意差がみら れたことからも急激な児頭娩出を防止し,最小周囲径 で娩出を促すため,児頭娩出の速度を調節する目的で Ꮐዊᜰవ㽺ᐔဋ୯䈱⋧㆑䇭㩿㫅㩷㪔㩷㪎㪀 㪇 㪉 㪋 㪍 㪏 㪈㪇 㪈㪉 㪈㪋 㪉ಽ೨ 㪍㪇⑽ ೨ 㪌㪇⑽ ೨ 㪋㪇⑽ ೨ 㪊㪇⑽ ೨ 㪉㪇⑽ ೨ 㪈㪇⑽ ೨䈎 䉌ఽ 㗡ᇂ ಴ ᓟ㪈㪇 ⑽ ᾫ✵ ᣂੱ ᤨ㑆 㩿㫂㪧㪸㪀 䋪 䋪㩷㫇㩷㪔㩷㪇㪅㪇㪌 㩿㪊㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪇㪇㪀 㩿㪍㪐㪈㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿㪎㪇㪎㪀 㩿㪎㪇㪇㪀 㩿䊂䊷䉺ᢙ㪀 図6 左小指先⑨における熟練と新人の相違

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児頭をつかむように圧力をかけて保持しているといえ る。  熟練は,この〈児頭娩出30秒前〉から,右示指中間 ③を中心として圧力付加が大きくなるとともに左手は 示指第一関節と第二関節中間内側⑥が瞬間的に大きな 圧力を付加して児頭娩出にむかっている。加えて,片 方の手に圧力がかかれば,隣接する指だけではなく, もう一方の手にも圧力をかけていた。左右の手を関連 させて児頭を娩出させていた。  このように熟練は,児頭娩出においては,左手と右 手の圧力の入れ時,抜き時を自らが調節して両手の協 働で児頭娩出を促しているといえる。  一方,新人は分娩を介助する,会陰保護を行うとい う技術的な面に集中しており,圧力値から考えると会 陰の進展性や児頭の下降速度,陣痛の強弱を判断して いるケアではなかった。これは「分娩の三要素」を考 えた会陰保護ではないことが理解できる。排臨時から すでに右手は母指と他四指を開いて会陰にあてて保護 を行っているため圧力付加が見られ,産婦の努責毎に 圧力を付加しているため,産婦の生み出そうとする力 に対抗して押す力となっており,対抗する力のために, 産婦の努責が大きければ圧力付加も大きく,努責が小 さければ圧力をかけないというように,右示指指間 小球②においては,特に変動差の大きさを把握できた。 左手は,屈位保持の目的は同じであるが,恥骨方向に 指を揃えて当てており熟練に比べると弱い圧力で,産 婦の努責によって児頭が飛び出すように娩出してしま い,会陰裂傷を起こしてしまった。新人の左手は,児 頭を最小周囲径で娩出させ,娩出速度をコントロール する役割としてうまく働かず,屈位保持のために児頭 を産婦の肛門方向に押し下げる事に集中し,その力を 支えるために右手の示指指間小球②や小指指間小球④ に力を入れざるを得なくなってしまった。つまり,児 頭発露の速度と発露時の頭周囲との調節の判断ができ ていないといえる。  〈児頭娩出30秒前〉においても熟練が,左右の手の 動きを関連させて児頭を娩出させていたのに比べて, 新人は,30秒前から娩出にかけては,左手と右手の圧 力のかけ方に変化がなく,同じように圧力を大きくか けて押えようとしているか,どちらかの手に集中して 圧力がかかっているかであった。新人は,左右の手の 協働につながらない会陰保護になっているといえる。 2 )面で支える熟練の無駄のない手の動き  発露直前から発露にかけて熟練は右手③と左⑥と⑨ で児頭をつかむが如くに支えながら,連続した細かい 動きで娩出を促していた。そのため,母指と他四指に は常に緩やかな変化の圧力がかかっていた。熟練の右 示指中間③の『範囲』および『SD』が〈児頭娩出50秒前〉 で新人と比べて大きいことからもこのわずかずつ陰唇 を広げるように動かしている動作を反映しているとい える。それぞれの指が独自に役割を持ち,且つ他の指 と連携を持って操作しているといえる。母指に圧力が 加われば示指,中指,薬指,小指の圧力は小さくなり, 逆に示指から中指,薬指,小指と波のように圧力が加 えられていくと母指の圧力がゆるみというような指の 動きを圧力実測値および相関から見ることができた。 特に左手小指先の⑨は統計的にも有意差がみられ,熟 練はすべての指に圧力を付加して操作しているといえ る。 3 )点で支える新人の単一的な手の動き  新人は,発露から児頭娩出では,熟練に圧力付加の あった母指①と示指中間③ではなく,右示指指間小球 ②に大きな圧力がかかっており,右手全体で保持する というよりは点で押しているといえる。向かってくる ものをその重みを利用して支えるのではなく,自らも 圧力をかけて押えているため,熟練と比較すると『最 大値』においても『範囲』においても差が大きかった。 左手は,恥骨方向に指を揃えて当てて屈位を保持しな がら娩出を促しているが,個人差が大きく,示指第一 関節と第二関節中間内側の⑥は,指先を産婦の肛門方 向にあてて児頭をつかむように保持する熟練の手の使 い方と異なるためつかむというよりも押す操作となり, 指先に圧力がかかってしまい実際の圧力値は小さかっ たといえる。分娩介助モデルでの練習では,手技の練 習だけで児頭娩出の速度は体感できない。実際の分娩 では,産婦によって個人差はあるが,まず学習した手 技に集中してしまうために両手のある部分を中心とし た手技になる傾向にあるといえる。 2.超小型圧力変換器から得られた圧力値が示す意味  本研究では,予備研究に基づいた手掌部位に超小型 圧力変換器を貼付し実際の分娩場面での計測を行えた。 得られた圧力値について考察する。  増田ら(2003)は,分娩介助モデルを使用し,感圧 導電性ゴムセンサを熟練と初学者の手に16個貼付し,

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会陰保護場面での圧力測定を行った。手掌部と指部に 分けて分析を行っているが,その結果,熟練は分娩の 各場面で手掌部に最大6kPa前後,指部では最大でも 4kPa弱の圧力がかかっていた。一方,初学者は,手 掌部に5kPa前後,指部に4kPa前後の圧力がかかって おり,熟練は手掌に圧力を多く加え,初学者は指に圧 力を加えていると結論付けている。  近年,看護場面では肺血栓塞栓症予防のため,術後 の早期離床を促し,弾性ストッキングの装着や間歇 的空気圧迫装置を併用した予防法が抗凝固薬と比較 して出血等のリスクが少なく,安全で効果的であるこ とから普及してきている。この弾性ストッキングは, 足首部分の圧迫力を最大2.4kPa(18mmHg)∼4.3kPa (32mmHg)に設定され大腿に向かうほど圧迫力を弱 くしていくことで脚の血液還流に役立つことから産科 においても帝王切開術を受ける産婦への使用が広まっ てきている。また,間歇的空気圧迫装置は,手術時 や睡眠時には6.7kPa(50mmHg),覚醒時マッサージ 効果を高めるためには8.0kPa(60mmHg)に設定され, 術直後から用いられてきている。最近では,作用や効 果を実際の数値として表現してきている。  本研究では,発露直前から児頭娩出までが大きな 圧力付加で,特に熟練の右母指①と示指中間の③に 30kPa前後の圧力がそれぞれにかかり,左母指⑤,示 指⑥,中指先⑦,薬指先⑧,小指先⑨には,児頭娩 出のスピードと最小周囲径での娩出を促すために30 ∼150kPaの圧力がかかっていた。新人は,特に中指 先の⑦に圧力が入る傾向にあり,その圧力値は90∼ 150kPa弱の圧力であった。また,⑥はほとんど使っ ておらず圧力付加は4∼30kPa弱程度であった。児頭 娩出後,肩甲から躯幹娩出までは,児の肩や身体を支 えて娩出させる時の保持する圧力として,熟練者の 両手の各部位に30∼100kPaがかかっていた。新人は, 児の肩や身体を保持する指が一定ではなく,各部位に よって4∼190kPaと変動が大きかった。  増田らの研究で得られた分娩介助モデルを使用した 際の圧力値と本研究で得られた実際の分娩介助場面で の圧力値との違いは大きく,熟練も新人も瞬間的な圧 力は,非常に大きかった。これは,分娩介助モデルと 実際の分娩との違いであり,つまり,分娩の三要素を 含んでいるか否かの違いである。  この点から考えると本研究は,実際の分娩場面にお いて助産師が実際に会陰保護を行った,手の操作から くる圧力値として他の力との比較や実生活の中で圧力 に関係する作業や習慣と照らし合わせて考えることが できて重要で意義深いと考える。また実際の分娩がイ メージでき,理解しやすいと考える。 3.本研究の助産実践への適応と提言  助産師教育に用いられる教科書には,会陰保護の実 際として「…後頭結節が母体の恥骨結合を通過するま で後頭を会陰に向かって圧する。」,「両手は同じ圧を かけていることに留意し,…(中略)…常に一定の圧が 必要で,かけている圧に強弱があってはならない。」, 「間歇時には圧をかけていなくてもよいが…」,「児の 圧迫以上の力を会陰保護でしてはいけない」といった 曖昧な記述が多くみられる。圧するとはどのくらいの 圧力なのか,同じ圧と一定の圧とはどの程度のものな のか,読むだけでは理解でき得ないし,実際に会陰保 護を経験したとしても1例や2例では体得できるもの ではない。このように様々な場面で 圧力 について の記述を見かけるのだが,どのくらいの圧力なのか会 陰保護場面において具体的に示したものは見当たらな い。  本研究では,工学器機を用いて実際の分娩場面にお いて助産師の手掌にかかる圧力を測定することができ た。また熟練と新人の圧力値の違いを表すこともでき た。今後,会陰保護術における圧力値の信頼性および 妥当性を高めるため,データ数を増やすべく研究を続 け,将来,分娩介助モデルに圧力値が表示できる器機 が開発できれば,会陰保護の演習時に用いることによ り,自分がどのくらいの圧力で会陰保護を行っている のか,熟練と比較してどのように異なるのか,熟練の 力加減などを実際にシュミレーションでき,より臨場 感あふれる演習につながると考える。それにより,実 際の分娩での会陰保護術が今以上にイメージできやす くなり,初学者のスキル向上につながると考える。 また,新人も自分の手の動きを振り返り,言葉では表 せない,伝えにくい熟練の技を体感できるものと考え る。熟練の技を自分のものにする手段の一つとして工 学器機を用いて数値に表すことは必要であると考える。

Ⅴ.本研究の限界

 会陰裂傷をおこす要因は,さまざまな因子が加味し ていると考えられる。低身長,過度の体重増加といっ た体型,皮膚の伸展度合い,分娩に対する緊張,分娩 時の姿勢,過度の努責などの母体側の要因,児の体重,

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肩幅や胸囲,娩出のスピードなどの胎児側の要因,ま た助産師側の要因としては,会陰保護術の違いなどが 考えられる。このような要因を助産師は,見て,聞い て,判断して触れているのが手であるため,今回は手 に焦点を当てて研究を行ったが,今後は,対象数を増 やし,加えて,フリースタイル分娩など体位による違 いや努責の有無,児の体形の相違など,様々な要因を 加味し,会陰の損傷を予防するための助産師の指・手 掌の使い方の工夫をより詳細に圧力という視点で研究 し,会陰保護術を考えていきたい。また,会陰に負担 をかけない体位をも研究していきたいと考えている。  本研究は,器材を用いた研究であり,超小型圧力変 換器を装着するにあたり7∼8分を要するため,産婦 および助産師に負担をかけないためには,簡易に装着 する手段を考慮する必要がある。またリード線が非常 に細いため,研究途中で切れてしまったり,コード類 が肩からずれてしまうなどに対して固定方法を工夫し たり,器械類の故障時の対応など器械整備技術を向上 させる必要がある。  超小型圧力変換器は,垂直方向の力を計測しており, 水平方向に移動する力の計測は不十分である。また超 小型であるだけに貼付部位の微妙なずれによって圧力 値に変動が起こる可能性もあるため,貼付部位や貼付 方法にさらに工夫していく必要がある。

Ⅵ.結   論

1 .熟練と新人の分娩介助方法と圧力値を比較するこ とによって,左手の使い方が異なっていた。そして, あるポイントでの使い方も異なっていた。そのポイ ントは,右示指指間小球②,右示指中間③,左第一 関節と第二関節中間内側⑥,そして左小指先⑨であ る。 2 .児頭娩出30秒前から児頭娩出までにおいて新人 は,右示指指間小球②に圧力を付加して会陰保護術 を行っており,その最大値は統計学的にも有意差が 認められた。新人の最大圧力値33kPaは,熟練の2 倍であった。 3 .児頭娩出30秒前から児頭娩出までにおいて熟練 は,右示指中間③に圧力を付加して会陰保護術をお こなっており,その最大値は統計学的にも有意差が 認められた。熟練の最大値29kPaは,新人の4倍で あった。 4 .児頭娩出30秒前から児頭娩出までにおいて熟練 は,左示指第一関節と第二関節中間内側⑥に圧力を か付加して会陰保護術を行っており,その最大値は 統計学的にも有意差が認められた。熟練の最大値 18.8kPaは,新人の3倍であった。 5 .発露から児頭娩出にかけて熟練は,小指先⑨に常 に5kPa前後の圧力を付加して会陰保護術を行って いるが,新人の小指先⑨への圧力は0に等しかった。 特に,児頭娩出10秒前から児頭娩出までにおいて 左小指先⑨の平均値に統計学的有意差が認められた。 熟練の平均値5.9kPaは,新人の3倍であった。 6 .新人は,産婦の努責によって下降してくる児を押 し返すように圧力を付加していたが,熟練は,努責 に左右されず一定の圧力付加が認められた。特に右 示指指間小球②でその使い方の相違が顕著であった。 7 .熟練は,右手に圧力が加われば,左手にも加わり, 抜ければ抜けるというように左右の手が協働して会 陰保護術を行っていることが相関を通して明らかに なった。新人は,隣接している指への相関が認めら れ,片手だけの動きとなっていた。 謝 辞  本研究は,平成16年度文部科学省科学研究費萌芽 研究(課題番号:16659598)(研究代表者:堀内成子) の一部として行われた。また,平成16,17年度聖路加 看護大学21世紀COEプログラム若手研究者の自発的 研究活動助成金を受けて行われた。  この研究を行うにあたり,ご協力いただいたお母様 方,お腹の赤ちゃん,施設の助産師の方々,先生他ス タッフの皆様に心より感謝申し上げます。また,圧力 分析に関して親身にご指導くださいました東京電機大 学理工学部知能機械工学科の小川鑛一教授に深く感謝 申し上げます。そして研究の全過程を通じてご指導い ただきました聖路加看護大学の堀内成子教授に深く感 謝申し上げます。  なお,本研究は2006年度聖路加看護大学大学院博 士論文の一部である。 引用文献

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参照

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