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職人の手仕事と私たちの生活 : 日本の地場産業にみる作り手と使い手の関係(<特集>手から手へ-日々のくらしをつくり、伝え、残す)

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(1)

Japanese Society for the Science of Design

Japanese  Sooiet 二y for  the  Soience  of  De$ign

職 人

手仕 事

生 活  

の 地 場

業 に み る

り 手 と

使

手 の 関 係

Relation

 

of

 

Our

festyle

 

and

 

the

 

Handiwork

 

of

 

Japanese

 

Craftsmen

梶 川 秀 親      KAJIKAWA  Hidechika

tsunagu

 

日本の 手仕 事か ら

       

tsunagu 生まれる生

道 具の

1

めに

 

「 いらっ し ゃいませ」 と 「ご注 文 頂 き ま して誠 に あ り が と う ご

いま す1

この レポ

トを お 読 み 頂い て い る方 々の中で

普 段の仕 事の中でお客 様に毎 日挨 拶 する という方 はいらっ しゃ るだろ う か。 私は現 在

岐 阜 県 土 岐 市 にて日 本 各 地で生 産 さ れ る 地 場 産業 品 (イ ンテ リ ア雑 貨 ) をセ レク ト販 売 するネッ ト ショッ プ

兼 実 店舗

tsunagu

を 運 営 してお り

併 せて取 り扱 う 食 器や 喫茶道具を用いた カフ ェ も営 業 して いる (図 1

3 。

2013

3

月に

治 覓 市 に 雑 貨のみ の店 舗 とし て移 転 )

    

       

謹 課

   

      

攀の

     

−t.

       

二)

       霍 星

     

__

t.

嶷  旨                                     ま        

1

       ノ        れ

     

..

       

       

 

1

tt

      ご

     20]1

21

Opcn           

..

図 ]

 

tsunagu DM 図

2

 雑 貨 店 内      図3 カフェ店 内

 

元 々 はメ

でプロダ クト デザインや

ラン ドマネ ジメン トの業 務 を 行っ ていた が

属す る長 野 県デザ イン振 興 協 会の 委 託 事 業 に よ り地 域 活 性 化

中 小 企 業の

商 品 開 発 支 援に携 わ る中で

モ ノ づく り現 場 とモ ノを 販 売 す

現 場

をつ な げ る し く みの必 要 性」 を 感 じ

現 在の事 業 を 開

す る に 至っ た

特 に その支 援 活 動 を 通 じ

これ まで卸 問 屋の注 文の ま ま に モ ノを 作ってき た 生 産 者 が あ ま りに も消

者の こ と を考え る こと がで きていないケ

スが ある ことを

痛 感

し た か ら だっ た

 

当 店tsunagu の コ ンセプト は

り 手 と 使 い手 をつ な ぐ橋 渡 し役とな り

使い手である消

者に職 人 た ちの 丁

仕事

を 通じ て心 を 暖 かくする物 を 届け る」 と い う も の である

ま た

同 時に伝 統の良 さ を残 しつ つ

現 代

の ラ イ フ スタイ ル に マッ チ し た新し さ を積 極 的に 取 り 入 れ た モ ノづく り に挑む生 産 者を支 援 する こと も 狙いと して い る

した がっ て

当店

取 扱

商 品

の基 準 は 下 記のと お りである

 

素 材 と 品 質

製 法 にこだ わっ た

100

% 日

本 国 内

生 産の

各種

   

地 場 産

業品

 

主に職 人 達の 丁

な 手仕

を中心 と して産 み出される商 品

    (

機械

生 産

 

な お かつ

配 の世 代よ り も む し ろ

若い世 代の人に も

   使

っ て

え る デザイ ン

品  ま た

ショ ップコ ンセ プ ト と併せ経 営 方 針と して 「生 産 者 産 地の発 展に

貢 献

す るこ と」 を

げてお り

そのた め に

貫 し て メ

の希 望小売 価 格を遵守 し

在庫処 分時な ど特別時を 除 き ネット販 売で

た り

となっ て い る

常 時値 引

き販

を行 わ ないとい う販 売 方 法 を

っ て い る。 ま た

のネット販 売で は無 機 質で 自動 的な商 品の や り取り なっ て し まい が ち だ が

費 者

に そ の

価格

納 得

し て も ら え る

様 当店

で は ひ とり ひ とりの お客 様に心を 込 め き め細か く丁 寧に販 売す ること に日々 努め て い る

4

5

 

こ れ ま で

各デ ザ イン誌に おい て は

素 材

材 質と加工技 術 /デザイ ン

スタイ リングという

観 点

か ら

々な

報 告

や 提 言 が な さ れてきてい るかと 思 うが

今回 は こ う してメ イ ド イ ン日 本の商 品 を 販 売 して い る立 場 か ら

日々 感じ る

事柄

をレポ

考 察 していき たい

4

 商 品 ギフト包 装  図5 ネッ ト販売顧 客へ の お礼状

30

デ ザ イン学 研 究 鱒 集

Speclaトtssue oi  Japanese  SocFetV forthe Scienceo「Des「gm

(2)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japane $e  Socie しy for  ヒhe  Seience  of  De$ign

2 .

代 表 商 品

紹 介

 それで は

ま ず 当 店 が 取 扱 う 商 品の中 か ら

地 場 産 業 品の各 力テゴ リ

特 に 特 徴 的 な 代 表 商 品の

部 を 以 下 に 紹 介 していく

2.

1,

陶 磁 器 品

  当店

所 在 地の東 濃 地 域 は 古 くか ら美 濃 焼きの産 地と して 有 名 で

茶 碗

皿 といっ た 日用 陶 磁 器 は 全 国シェ アの

分 以

め る

大 産 地である

店ではこ の東 濃 地 区

瀬 戸

三重 地 域 を

心と し た産 地の陶 磁 器 を 扱っ ている

■ぎや ま んカップ& ソ

生 産 地 :岐 阜 県 土 岐 市 / 生 産 者カ ネコ小 兵 / 価 格 ;

2

720

  まる で

ぎ や ま ん ガラスのよ う な 美 しい透 明 感の艶を もっ た

そ の光 沢 が 高 級 感 を 醸 し 出 す

贈 答 用としても 人

6

。 ■

T

kamna

カ ップ& ソ

生産

地 :

岐 阜

県 土

岐市 /

生 産

:共 同 組 合

B

side/

       

価 格 :

3,

000

  職 人

がひ とつひとつ の

様 を 掘 り込 む

飛 び 鉋 か ん な ) 』 と い う

法で表面加工さ れ た 北 欧 を 思 わ せる伝 統とモダン の融

した

意 匠 (

7

■ ド

ナ ツ ド リッパ

(コ

ド1丿 ッパ

生産 地

岐 阜県 瑞

市 /

生 産 者

Torch

/ 価 格

2,

300

円 ]

 

元カ フェ の

経 営者

考 案

日 本 人 に も 飲 み 易いすっ き りし た味の ド リッブコ

が 淹れ られる様

形 状 を 追 求 し た

秀逸

商 品 (

8

当店

でもこの ド リッパ

で ハ ン ドド リッ プ の 珈琲を 提供し て い る

r

7

 

T

kamna

カッ プ& ソ

8

  ド

ナ ツ ド リッ パ

2.

2 .

 

歴史 と伝 統の最 も 古い分 野で あ る と同

り手 達 に よっ て現 代のライフ スタ イ ル に馴

む よ う な 工夫 を 凝らしている商 品 が 多 く なっ てき た

当店

で は

北 海道

秋 田

長 野の産 地の

工商 品 を 扱っ てい る

6

  ぎや まんカップ&ソ

∴ ∵

(3)

Japanese Society for the Science of Design

Japanese  Sooiet 二y for  t二he  Soienoe  of  Design

32

■秋田

げわ っ ば

お櫃

6

寸〉

[生 産 地 :田 県 大館 市

生 産 者 ;柴 田 慶 信 商 店 /

                               価 格

35

000

 

樹 齢

200

年以上の秋田杉の み を使用 し て 生産さ れ る

キ メ細 かい木 目が 美し い臼

げ わっ ぱ

9

曲 げ わっ

の 器 で は漆 塗り や ウ レタン

塗装

のもの が

いなか

垢の白 木 にこ だわ って い る

■ ateller m4

信州

ラ マ ツ の

育 林箸

[生 産 地 :野県 松 本 市 / 生 産 者 :ア ト リエ

エ ムフ ォ/

                                 価 格

1

000

 

森 を 育て整 備 する サ イ ク ル で生ま れ る

まで

品 価 値の少 な かっ た カラ マ ツ

間 伐 材

用を図り

木 材

使

い切る とい う コ ン セプト で生ま れ た

1

年を目 処に取 替え) (図 ]

0

■atelie厂m4 :

しい

白木

の お

重 箱 (

6

寸 ) [生 産 地 :長 野県 松 本 市

生 産 者 :ア ト リエ

エ ムフ ォ/       価 格 :

35

000

円 ]

 

木 肌 が 大 変 美し い栃の木を

使

用 し

外の表 面はオイ ル仕 上 げ

内 部 表 面 は 古 来 から

使

用 され て き た

顔 料

であ るベン

ラの 朱 塗 り仕 様 (図

11

コ ス トダウ ン と試 行 錯 誤の 上改 良を重 ね て

本 物の器 を よ り

く の人に

使

っ ても らうべ く

み 出 さ れ た 商 品

      鬚

9

 秋 田 杉の曲 げ わっ ば (お櫃6寸) 図10  信 州カ ラマ ツの育 林 箸 デザ

ン掌 研 究 持 集 号

SpecLal

 

ls$

e

 

efJapan

seSoclet ゾOr 置heSclenceof

 

Deslgn Vol

 

20

2  No

 

78  2013 図11  臼 木の お重 箱 (

6

寸 ) 図12 

KAMI

マグ カップ 4t /襯 ■

KAMI

マグ カップ 匚生 産 地:北 海 道 旭 川 市 / 生 産 者 :高 橋工芸 /価 格 :

3

500

                          

デザ イ ナ

:大

治 将 典

  北 海 道 産セン の木 材 を

紙の よ うに薄 くロクロ で引いた繊 細 だが温もりのあ る

品 (図

12

や さ しいロ当 た りで熱い飲み

を 入 れても持ち手に熱が伝 わ らず 機 能 的 に も

れている。

2

3

和 紙 製 品

 

地 岐

の 美 濃 和 紙と山 梨の新 和 紙 素 材 商 品 を 中 心に扱 う。

      

■麗ら か

袋 (

切り結び

      

[生 産 地 :岐 阜 県 美 濃

市/

生 産 者古 川 紙工/ 価 格 :

500

円 ユ

         美 濃和 紙

老舗

が ご

儀 袋の新 しい見 え 方 につ いて

r コ        取 り 組 み

伝 統の もてな し の心をモダン で シン プ ル に 表 現 し た

       商

13

      

SIWA

ト バッ グ

M

サ イズ )

    

生 産 地 :

山梨

県 西八代 郡

生 産 者 ;大 直 / 価 格 :

6

900

円/

                                 

デ ザ イ ナ

:深 澤 直 人 氏

     

山 梨 県の 老舗 和 紙メ

和 紙 漉 き (す き )の製 法 を 取

    

り入 れ た

リエ ステ ル 系 繊 維 を使 用 し

の風

いも あ りな

(4)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japane $e  So¢iety  for  the S¢ience  of  De$ign

13

  麗 ら か 祝い袋 (切 つ結 び ) 図14SIWA ト

トバッグ       図 下は ナオロ ン の製 造工程 が ら破れ に く く耐 久 性にも 優 れ た 新 素 材

ナ オロ ンを 開 発

御 所

デザイナ

の深 澤 直 人 氏 を 起 用 し

バッグ

ステ

ショナ リ

などの商 品 を 展 開 (図

14

シンプ ル さと軽 さ

懐か しい 風

いが

新鮮

な 魅 力

2

4

金 属 加工品

 

新 潟 燕 市の ス テン レス

銅 食 器を中心 に

品を扱っ て い る

図15 ス テ ン レ ス のお弁 当箱 図]

5

  鍋 敷 き 「太 陽 」 と 「銀 河」   老 舗の真 鍮メ

が気 鋭の地 場産業 品プ ロ デ ュ

ス の デ ザ イ ナ

と組 み

真 鍮

品の

しい

存 在 感

した

商 品 (

16

2.

5.

布 製 品 ■花 ふ き ん (色 :さ く ら / す み れ / あ じさい/ 若 葉 / 菜の花

[生 産 地 :奈 良 県 / 中 川 政 七

価 格

700

 

地 方の モノ づ く りを 元 気にす る

を旗 印に各生 産者の新

品 プロデュ

ス を 積 極 的 に 展 開 す る

奈 良

の大 人

気 ブ

ラ ン ド

中川

政 七 商 店

同 社の商 品の中で も 定番 中の 定番で あ り

単な る ふ きんで あ るが

ッ ドデ

イン

受 賞

した

逸 品

内祝

いな ど 贈 答 用と しても 人気の あ る

16

図16  花 ふ きん ■ ス テ ンレス のお 弁 当 箱 (大 人 用 ) [生 産 地 :新 潟 県 燕 市 / 生 産 者;工 房アイ ザワ/ 価 格 :

3

400

 

昔 懐 か しい印 象の

ま さ に シンプ ル な お 弁 当 箱。

使

え る 商 品 と してオ

ソ ドックスなが ら大 人 気の

15

■ 鍋 敷 き1「太 陽

 

「銀 河」

生 産 地 ;富 山 県 高 岡 市

者 ;二上

   

価 格 :

3,

500

4

200

 

デザイ ナ

:大 治 将 典 氏 ]

3

販 売 動 向

レン

につ い て

 

で の取 扱い商品 は

、一

般の生 活 雑 貨に比べる とや や 価

いものが

そ のた め

自 宅 用として 購 入される場 合 と ほぼ同等の比 率で

フ ト用 と して購 入 さ れ る

場合

ギ フ ト用 と しては

ぎ や ま ん カップ & ソ

な どの

人気

ま たこ こ最 近

自 宅 用と して特に人

い も の は

古 川 紙工 の麗 らか 祝い袋 / す り鉢

ナ ツ ド リッパ

アイ

轍 飜

1

ll

1

(5)

Japanese Society for the Science of Design

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

ザワ

ス テ ンレス弁 当箱

花 野 屋

曲 げ わっ

弁 当 箱

 

な どの 商 品であ る

  ま た

上 記 に 挙 げ た よ う な 特 に 売 れ 筋の商 品 に おい ては

使 い手 に 受 け 入 れ ら れて いる デ ザ イン の特 徴 や ト レン ドが 見てと れる

冒 頭の取 扱 商 品 基 準 を 踏 ま え

これ までの商 品 販 売の感 覚 を 要 約 す る と 次のと お りであ る

〈売れ る商 品の共 通 法 則〉

  素 材 /伝 統

/ 品質

機 能

底 してこだ わっ てい

 

る。

よ り 丁

で あ る こ と

 

慶 信 商店

げ わっ ぱに見ら

るよう に

素材

  材 質

に き ち ん と こだわっ て い る こ と。 そ し て

そ の地 方や

  材

に まつわる

技法

法 を

商 品

上 げ や

品質

妥 協

 な く生 産さ れ て い る こ と

 

シンプル

ナ チュ ラ ルなつ く り。

や さし い。

  無

駄 な

装 飾

のない シ ンプル

イン。

機 能 的

あ りな

がら

 

冷 た さ を 感 じないナ チュ ラルな テ イス トであ る

また

品に

 

よっ ては オ

ク (有 機 栽 培 ) の 素 材 に よ 実 際 に 肌   触 り な ど 体 に 優 しい こと

  外 観

デ ザ インへ のひ と ひ ね り

工夫 とこだ わ り が あ る

  斬 新 な 形で は ない

ど ち ら か というと目立 たない部 分 や 細 部  に

ま るで料 理の スパ イス の よ う にひとひねり工夫が凝ら し  て あ る。

 

どこか

しい

だ け ど どこか

かしい

感覚

 

外 観へ のひ と工夫 に よっ て

までに な かっ た

しい印   象 を 受 け る が

そ れと同 時 に 自 分の子 供の頃 を 振 り返っ た よ

 

う な どこか 懐 か しい感 覚 を 覚 え る

  総

じて

これら の要

大 部分

がバ ラ ン ス

り込 ま れた

品が

使

い 手 で あ る

消費 者

か ら人

良く売れて い る

である と

え る。

  職

人 達 が丁寧に モ ノづくりを

。一

見す る と ご く

た り

のよ うに

う ことである

しかし

実 際

商 品

取扱

い くつか の

生産 者

に お い て は

高価 格

品であ りな がら

価 格

外観

上 げ 品

つ こ と が で きず

い わ ゆ る

や っ っ け

仕 事

から

改善

でき ない

場 合

が あ り

む を

得 ず取 引 を中断

した 例 が あっ た

これは

問屋 と のつき あい の

だけ に 埋 も れてし まい

自 分 達 が お 客

に直

触 れる

最 終 商 品

を 提 供 しているという 自 覚 が 薄 れてし まっ た ため であろ う

  昨今

」 「感

性 品質

」 というアプロ

チ が

重 要視

さ れてい る

テクノ ロジ

が 成 熟しきっ た 現 在

、〜

そ の

品の

応 しい

外観

品質

雰 囲気

そ して

力 が き ちん と

醸成

されて いるか

 

部 分

につい て

付加 価 値

めて いく も ので あ る。 こ の

につ いて

々 な

品や 生産 者を通じて私の感 じ

34

デ ザ イン学 研 究 特 集 号

Special

 

lssue

 

ofJapanese

 

Society

 

forthe

 

Science

 

o 「Design

Vol

20

2 No

782013 る 最 も 大 切 な

部 分

として は

空気 感

や 雰 囲 気 という も の は お 客 様 に 伝 播 す る」

つま り

「作 り手 の 徹 底 的 なこだ わ り やモノ づ く り に 込 めた想いが商 品から 溢 れ 出 て

使い 手 は そ れ を 怖いほ ど 敏 感 に 感 じ取 る」

ということで ある

そ して

そ れ が 結 局のところ

高 く も 買 わ せ る 魅 ガ

であ り

ラン ド化 も し くは

ラン ドを 超 越 した

価値 化

へ と

がっ てい くの であ る

4 .

産 業

経 済 社 会

課 題

 モ ノを販売 する と い う行 為 を 通じ て

現 在の経 済 社 会

産 業

構 造

状 況

に は

々 な

問 題

課題

が ある こと を

身 近

実 感

する よ う に なっ た。

単純

な問題 で は な く

々 な要

っ て モ ノが

れ ない

時代

っ てい る のだと思う。 では

下に そ

ら の課題を

げて み る

4

1

分離

時代 /社 会構 造 的な課 題

     

「 全 体 最

分 最

 

終 戦

高 度 経 済 成 長

ル 経 済 まで

これ まで の経 済 社 会 は 分 離

分 断の社 会であっ た といえる

ブラン ドマネ ジ メント の考 え 方 に 「全 体 最 適 」 と 「部 分 最 適」 という 切 りロが あ る

これ まで の大 量 生 産

大 量 消 費の企 業 活 動 に おいては 効 率 化 を 最

先 する あ ま り

全てに おい て部 分 最 適 主 義つま り分 業 化 が

進さ れ て き た。

社 内

で の

事業 部

競争 / 自部

先主義

人 能 力 主 義 /職 能

細 分 化

部 分

限 に

効 率 化

して い く

結 果 と して企 業 と企 業 を 構 成 す る 人 が 疲 弊 し きっ て し まっ たの がバ

ル 崩 壊 以 降の社 会の現 状であ る

  こ う し た 分 業 の 弊 害 は 大 企 業 の 問題 だ けでな く

地 方の地 場 産 業の 現 場にも 色 濃 く現 れて いると思 わ れ る

つま り

江 戸 時 代 な ど は 職 人と

民 が 道 具 を 壊 れては 直 し

壊 れては 直 して大 切に使う こ と に よっ て

作 り手と使い手の直 接 的 なつなが りが

存在

して いた も の と思 わ れ る が

近 代の

産 業 構

造の

問屋

売 店

消 費者

という具 合に

永らく作 り 手と使 い

分 断 さ

れてた

状 況

い て き たの では ないか

 こ のよ う な 原 因で地 方 の 生 産 者 に おい ては

単 純 に 昔 な が ら の生 産はでき る の だ が

何か新 しい こ とを 盛 り込 も うとした 時 にど う し た ら

い か

ら ない

さ ら に 言 う と

生 活 者 の 暮 ら し の シ

ンの

品が ど の よ う に使 わ れ るの か

する こ とがで きない」 と い う現

結 果として魅 力 的 な 商 品 を 生み出す こ と の

障 害

と なっ て い る だ ろ う

 

ま た

実際

陶器 業

どでは

器の石

膏 型

/成

形 メ

/ 釉 薬

か く分かれて い た り

木工業 界で は 加工 屋

/漆 塗 り師

界でもひとつの

品 を 最 初 か ら最 後 の工程 までを 自 社 内で完 結 す ること が 少 ない

そ して

現 在

こ の 各 産 業の分 業 化 状 態 に 対 して

後 継 者 問 題 や 経 営 難によ り

(6)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

つの 工

の 工

廃 業

してし ま う と

た ち どころ に 全 体の生 産 に 大打

を与え て し ま う と い う こ とを耳 にする

4

2

景 気の課 題

お 得 症 候 群

 周

知のと お り

マ ンショ ック 以 降

日 本 経 済 は 底 冷 えの

状態

い て い る

デ フ レ ス パイラル も 出口 の見 え る 気 配 が な い

そ んな

々 が よ く

に す る

も し く は 目 に す る 「

通 常 販

売価 格

○○

OFF

「送

料 無 料

めつ けのキ

ド 「わ け あ り

品」

大手ス

も 力 力 ク

ヤスクの安

売 り競 争

し進 めてお り

会 全

道 徳 が 低 下 して いる と

惧 し て い る。

昔 前

ま で は

近 江 商 人の 三方 良 し とい う

精 神

が どこかし ら に

っ て いたの では ないか と思 うが

現 在は売る側も買う

もどこ か自分 本 位 な 印 象 を 受 ける

 

っ ま り

本 来

き ちんとそ の

商 品

値 を 消

者 に伝 え

きち ん と し た価

で販

す るべ き責 任 を 放 棄 し て しまい

安 易 に 価

格競 争

っ て し ま う

そ してネッ ト販 売 は さ ら に 拍 車 を か けて いく

 

対 して買 う 側 は

例 え ば 街に買い物に行く に は電

代や駐

場 代 が か か る の に

通 販で買い

す る

場 合

送 料

いた く な い

とい っ た 具 合 に 本 来 支 払うべ き部 分に対し て

を 払い た く ない という具 合であ る。

 

モ ノを 買 う 行 動の 中で

常に何か 『お得』 がな い と満足 でき ない

い う な れ ば

日本 人

億総

「お

得 症候 群

」 とい う

気 に か かっ てし まっ ている 状 況であ る

そして

それが よ り

況を 悪

く す る悪

循 環

に陥っ て い る

4.

3.

モノ が 有 り余 り

溢 れ る 市 場

 

皆 さ ん が と り あ え

何 か 日用 品 が

要となっ た

に でか け る 場 所 はどこだ ろ う か

まず

近所の

100

円 ショ ップ や ホ

ム センタ

を 思い

かべ

いだろ うか。

 

よ く地 場 産

品のシェ アが

コス ト の

国に持っ て行 か れたと い う話 を 聞 く

だ が そ れ

けでな く

さ ら に

現在

100

円 ショ ップでは あ りとあらゆる ジャ ンル の商 品が網羅 さ れ

ま たホ

ム セ ンタ

も 含 めて

箇所

しか も

低 価格

な 日用 品 を お 手 軽 に 買 えてし ま う 時 代である。 こ のような

あ え て消 費 者か ら選んでも ら え る

品と はどう い うものだろう か

4.

4.

原 材 料 調 達の課 題

 

産 業 の構 造 的 な 課 題 以

にも

盲 点

と なっ て いる 部 分 に

特 に 木工品 業 界では 原 材 料の調

し くなっ てきているという 点 も 挙 げられる

完 全 国

内 生産

品でも

え ば 漆 器の天 然 漆 な ど は

内 産の ものは現 在ほ と んど採取 す る こ とができ ず

中 国産の 天然 漆 を 輸 入 し た 上で国

で調

し て

使

用 して いること を 知っ た

 

また

木工品に

使

わ れ る

木 材

例えば 木 曽の 五木 とい わ れ る

ヒ ノキ

アスナロ

コウ ヤマ キ

ネ ズコ

サワ ラな どの中 で

に お

使

用 さ れる サ ワ ラな ど も 採

量 が 限 られてきて いる

という具 合に

森 林

が整 備さ れずに荒 廃し ているとい っ た環

も影

材 料 調

達 を

め た

境 を 守るこ とも 課 題と なって い る

 

私 は 過

長 野 県 デ

イン

振興 協会 及

同県

地 域 資 源 製

開 発 支 援センタ

品 開 発 支

加し て い た

また 現 在 は

NPO

人メイ ド インジャ パ ンプロジェ ク ト

阜 県

支 部 発 足 準

備 会

勉 強 会

加し

各 地 場 産 業の生 産 者 と 交 流 し勉 強 さ せてもらった

この

うな

複 合

的 な

題 が か ら ま り あっ た 状 況 下 に おい て

どのよ うに

魅 力的

でかつ き ち ん と 売 れる

商 品

を 生 み 出 して い くこと は共 通の悩み で あ り

大き な課題 である

5 .

ま と め と

 

そ れでは 私 た ち を 取 り

況の

今 後

の地

や 手

事の商 品 と その 生 産 者が進 むべ き方

向性

につ い て

え て みたい

5,

1.

不 易 流 行

 

これ も ブ ランドマネ ジ メン ト業 務 時 代に

んだ

大変 参 考

にな る考 え 方であ る

い つ の 時 代に あ っ ても

遍 の

価 値 (

不 易

と時 代 に よっ て変 わ る 価 値

流 行

の両

存 在

する と い うも の

 

ま ず は 残 すべ き 技 と置いていくや り方

もっ と言 うと

す べき

DNA

て ていく

DNA

の棚 卸し に

き合っ てい く と い う こと が 今

特 に 生

産 者

要 なのではないか。

から 脈々 と受 継がれてき た

法を

す と い う こ と で はな く

例 え ば 環 境 や

体 に

負 荷

ない

素材

とそ の加工

技術

は 今 まで以 上 に フ ォ

カ ス す る

分 を 明

とい う

にま さ に

伝 統

新 に 取 り組 んで い くという具 合に

 

大 直の和 紙 新 素 材 『

SIWA

』 シリ

ズの

商 品

和紙

合 いを 活 か した 新 素 材 を 開 発し

今まで和 紙

品のジャン ル に存 在 しな かっ た

バ ッ

やファ ッ ション小

の アイテム に 展 開 し た 好 例で ある

これ ま で

あ り そ う でな かっ た もの

和 紙の シワ

か しい」 を

見事

商品

海 外でも 注 目 を浴 びてい る

5.

2.

』 という

コ ンセ プ ト

 

これ までの地 場

産 業

品は

伝統

工芸 品 と して の感 覚 に おい て は ど ち ら かと いうと

美 術館

博物館

め ら れるよ う な 商 品で あっ た り

、一

部の

級 品

好 家

嗜 好 家 向 けの商 品 だっ た よ う に 思 う

も し く は

高度 経 済成

路 線

以 上 に 量 を 求 め た 廉 価 な 商 品の ど ち ら かであ っ た よ う に 思 う

こ の場 合 は

良い も

巍 毛

1

 

(7)

Japanese Society for the Science of Design

Japanese  Societ二y for  the  Science  of  De$ign

のは

くなるのが当たり前

わ かる人にだ け わ かっ て も ら えば 良い という 芸 術 作 家 的 な 敷 居の高 さ が

生 活 者である使い手 と の距 離を隔て て きて し まっ た

 

私たちの 日々 の消 費 社 会 は

大 量 生 産

大 量 消

め ま ぐ る しい モデ ルチェ ンジ

大 量 廃 棄のサ イ クル シ ス テ ムが 前 提であ つ

100

円 ショ ップ に 行 け ば たいがい の物 が 買えて しま う お手 軽で敷 居の低いラ イフ ス タ イル の中にある。 ま た

普段

の回 りの 工業 製 品 は

企 業 が 徹 底 的に コ ス トダウ ン に し の ぎを 削 り利益 を確 保し 生 産 されたモ ノ に囲 ま れて い る

 

しかし

こ の お

手 軽

社会

が結 果 的 に 行 き詰 ま りを 見せ てい る こ と も

がなん とな く感 じている

だ か らこそ

作 り手 と使 い手 が お 互い に歩み寄 り

L

作 り 手 は 敷 居 を 下 げて

”卜

使い手は 逆に

居 を 上 げ た

t/

中 間 領 域 と して半工芸

半工

のポ ジショ ニ ング が必 要 なの ではないだろう か

 

も し

品 価 格 帯の高い手 仕 事の生 産 者であ れ ば

従 来のや り 方だ け に こ だ わ ら ず

ど う し た らよ り 消 費 者 が お 求め

価 格

に近 づけて い くこと がで き るのか

材 料

加工法 を 創 意工夫し て み る

 

また

消費 者

はより品

が良 く

よ り長 く使う こ とがで き て

果 的に メ リッ トのあ る商 品

そ してその価 値 に

合っ た

価 格

品を き ち ん と選ぶ

お 互いの距 離 を 縮め る 「意 識 」 が必 要 な の だ と思う。  ア ト リエ

エ ム フォの臼 木お重 箱も

こ の半工 芸

半工業の コ ン セプ トで

り 手と のやり取 り を 重 ねて コ ス トダ ウンに 取 り 組んだ 末に生ま れ た

品であ る

5.

3 .

時 代に求め ら れ て い る の は 『癒 し

 

特 に 実 店 舗 と カフェ で

直接

お客 様に接 して い て感じ る の は

丁 寧 な 仕 事に

す る と

人は

さ れ た つ

少 し元 気 に な れ た り するという こ と である

の便 利で手 軽 な 生 活 も 確 か に 必 要 なこ と なのだ が

や は り それだけでは 人 は 心 満 た さ れ ない

 

当 店のカフェ で は

、一

杯の珈 琲を心 を 込 めて淹 れ丁寧に 接 客 す る 様 に 努 めてお り

ある お

客様

に 「こ の店 に 来 る と元 気 にな れ ま す

」 と 言っ て 頂 い た こ と が あ り

本 当に商 売のや り 甲 斐 を 感 じ る と 同 時 に 逆 にこちらも 癒さ れ る

験を し た

 

職 人の丁 寧 な 手 仕 事 に 触 れて

心 がほっ と 温 ま る

癒され る

日本のモノ作 り に は 人 にそう したエ ネル

え ること ができ る

よ り 身 近で

愛着

てる

品 を

会 に 提 供 す る

そ のた め には

まる で生 産 者で あ る作り手が

旅 館の女 将 に なっ たよ う な 気 持 ち になって

おもてな しの心 を 込 めて丁 寧 にモ ノづ く り を する こ とが大 切 で あ る

 

そ こ には

使い手 が ど ん なシ チュ エ

ション で

またど ん な 気 持ちでその商 品 を使っ ている のか

そ の シ

ンを想 像 しなが ら の モ ノ づく り という ものが 自然 に

っ て く る もの で は ないか

36it

イン学子死持 集号

Speclal

 

ls$ueo「JapaneseSoc/etyfOrtheSciemce  of  De$lgn

Vol

 

2D

2  No

73  2013 図17 

丁寧に 八ン ド ド リッ

7

で     淹れる珈 琲 と思う。 そ して

使い 手であ る お 客 様 が ぐっ と心 をつか ま れる キ ラ

コ ンテンツ的 要 素と しては

な ん と 言っ ても 『懐 か い 』 と 『かわい い』 で あ る

当 店の雑 貨 店 を 訪 れ る 多 くの女 性 客が こ の言 葉を発しなが らつぶ さ に商 品 を 眺 めている

こ の

2

つを

えた

懐カワ イ イ (懐 か し と か わい いを 合 わ せ た

の造 語 ジ 商 品が

特に雑 貨 好 き 女 子 を 魅 了し

すの で あ る。

5

4

価 値

観の シ フ ト

 

使

も価 値 観のシフ トが 必 要 だ と 切 実に感 じ る。

従 来

ど お り

単 にモ ノを 買 う とい う 意 識の延 長で経

を 捉え て い る と今の状 況か ら脱 す ることはで き ない

バブル経 済

ぐ ら い の

に 「モ ノか らコ トへ 」 と 盛 ん に 言 わ れ た 時

が あ っ た が

今こそ皆が何 を 大 切にして い くか を 少し 見直し て み る と

い の で はない か

 

大 手 家電 通 販

会社

では ないが

モ ノを 買 うのでは な く

モ ノ によっ て

え られたり

その背 景にある想い/ 心 地 良さ

思 い 出を 買 う

そ の価 値が その 価 格に見 合っ て い るか どうか を

判 断

して商

提供

す る

品 を 購 入 する

  物 事

価 値

と い う は

相 対 的 な ものといえ る

馬 子も 衣 装」 とい う が

器 が 変 わ れ ば そ の現 象

価 値の重みが 変 わっ て くるとい うこと をつ くづく

実感

す る。

 

例 え ば

子 ども の 運 動

で家 族

緒に食べ るお弁 当 や お 正 月 のお せ ち

理 を 囲んだ

食 卓

。 その料 理 を 容 れ る 容 器 は プラ ス チック 製の お重

で も

家の団 欒に は変 わ り ない

しかし

そ の

職 人達

によっ て

然 素 材 を

丁 寧に 丁寧に仕 上げ ら れ た 格調 の あ る も のであっ た と し た ら

も ちろん 中 身の

理 の

は 同 じである筈 なの に

お母さ ん が

生 懸 命 作っ て く れ た料理 が

い し く

じ られ る

そ して

何 よ り も 食

ん で

切 な 家 族と楽し く過こ し たその 時 間 と 出 来 事の 思 い出の深さ が

(8)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

18

 白 木 の重箱 を 囲 んで の家族だ んらん 断 然 深 くなるのだ (図

18

 

も ちろん

臼 木のお 重 箱 の

価 格

般 的

感 覚

で はだい ぶ

高価

である。 だ か らこそ

単 にモ ノの値 段に よって

い を判 断す る の で は な く

それによっても た ら さ れ る 出

来 事

感情

そ し て

足 に対し て対 価 を 払 うという考え方に シフ ト し て い く

そ う し た生 活の質 や

何 に 重 き を 置 くか とい う

生の

値 観

に つ い ては 真 剣 に見 直 してい く 時 期 に きて いるで は な い か

6 .

最 後

 

げ たそれ ぞ れのポ イン トを 全て満 足 す るこ と は でき ないが

私達

しずつ 日々の生 活の中で意 識して い く こ と に よっ て

「作り手も使い手 も

そ して売 り手 も

社 会

か に

足で き る

会」 へ と転 換して い くこと を願っ て い る

絲 毛

図 13   麗 ら か 祝 い 袋 ( 切 つ結 び ) 図 14SIWA ト ー ト バ ッ グ       図 下 は ナ オ ロ ン の 製 造 工 程 が ら 破 れ に く く 耐 久 性 に も 優 れ た 新 素 材 ・ ナ オ ロ ン を 開 発 。 大 御 所 デ ザ イ ナ ー の 深 澤 直 人 氏 を 起 用 し 、 バ ッ グ 、 ス テ ー シ ョ ナ リ ー な ど の 商 品 を 展 開 (図 14 > 。 シ ン プ ル さ と 軽 さ 、 懐 か し い 風 合 い が

参照

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