シ
ス
テ
ム
生
命 概 念
Concept of System Life
吉田和 夫 慶 應 義 塾 大 学
YOSHIDA
Kazuo
Keio University1 ,
は じ め に21
世 紀のデ ザイ ンの トレ ン ドを考 察 するため に、
本稿
では まず
ルネ
ッサン ス以降
の文化、芸術、政治、
社会、
技 術の歴史
を概観
する。
これ ま でのデ
ザイン の歴 史 は、
その様 式 や 技 術の世 界に閉じこもっ てい た 訳 で な く、
その時 代の文 化、
芸 術、
政 治、
社 会、
技術
と常に密
接に関連
し な が ら 発 展 し て き た と考え られ る。 よ く言 われ る ように、
ル ネ ッサ ン ス の時代
は、
ヨー
ロ ッパ の人々が神か ら解 放さ れ ようとする 時 代であった。
その 後、
バロ ッ ク時 代、
近代と進む につれ て その こと が現実化
し ていった。
ま た、
産 業 革 命以来、
人 類 は物 理 的な制 約 からの新た な解 放を味
わ うこと と なっ た。
こ の解 放は技 術によっ て持 た さ れた。 ルネッサ ン スが 近 世の原 点で あ る よ う に、
特
に20
世 紀に出現 した 巨 大 科 学 と情 報 技 術 は、 見え ざ る新 世 界へ の大航海をもた らし、
こ れ か ら数世紀 の原 点と なる時 代と将 来 認識
さ れ る に違い ない。
そ のよ うな 観 点 から ルネッサン ス以 降 世 界が歩ん で き た歴 史を 再認 識して、21
世 紀とい う時 代を展 望し、
デ
ザ イン の未来
につ い て考察
する。
著 者はすでに
10
年 以上前に、
人工物と自然のシ ス テ ム に共 通 する概 念と して 「シ ス テ ム生 命」 とい う概念 を提唱 し てき た。
こ れは、
人工物の設 計に お い て も、
存 在 目 的や 環 境の原 理 原 則の情報
な どの設 計 情 報 をシ ス テ ム生 命 情 報 と してシ ス テ ムに埋め込 み、
未知の環境
に 対 し て も適 応で き る シ ス テ ムの設 計 論の構 築を目指し て考え ら れ た もので あ る。
20
世 紀の技 術が高 性 能 化による機 能の高 度 化 をはかり、
知能
化による多機 能 化へ と推 移し た中で発 展してき た が、
機 能 主 義 的 な 側 面 を脱 しきれな かっ た ため、
機 能間の バ ラン スをいか に 図 る か、
機 能の前 提と な る条 件が崩 れ た 場 合どのよ うに対 処 するのか、
など様
々な問 題が 生 じ て い る。
そ こ で、
発想
を変
え、新
た な 設 計の考え方の基 礎と な る概 念と して シ ステム 生 命の概念
を提唱
した。
この概
念につ いても紹 介 す る。
そ し て、著者
が 研究を行っ てい る知的制御
工学、
ロ ボティクス における シ ステム生 命 概 念に基くデザ インの例
を紹介
する。
2
,
バ ロッ ク時代
ル ネ サン スは、13
世 紀 末か ら15
世 紀 末へ か けて イ タ リ ア に起り、
次い で全ヨー
ロ ッパ に波及した芸術
上 お よび 思想上 の革新
運動
で あ る こ と は よ く知ら れてい る。 現 世の 肯 定、
個 性の 重視、
感 性の 解 放 を 主眼とする と と も に、
ギリ シ ア・
ロー
マ の古 典の復 興を契 機 と して、
単 に文 学・
美 術 に限 らず
広 く文 化 の諸 領 域に清 新な気 運を ひ き おこし、
神 中心の中世 文 化 か ら人 間 中心の近 代 文 化へ の転 換の端 緒 をなし た と言わ れ るP。
この時 代の建築
は ル ネ ッサ ン ス建 築と呼 ばれ、
巨 匠ミケランジェ ロ に代 表さ れ る建 築 で あ る。
ル ネッサ ン ス建 築は、
基 本 的に は古 典 古 代 を 再生さ せ よ う とする趣 旨に則り、
古 典 古 代の造形 原理、
す な わ ち シュ ム メ ト リ アの 秩序
原 理 を 理性の 領 域に おい て理解す る とい う よ りは感性の 領域に お いて捉 えて、
優 美 な 形 を作 り出 す た めの手 段 と して 用いた そ う である2)。
ミ ケ ラ ン ジェ ロ のルネッサ ン ス建 築と バロック 建 築 が 同居 するロー
マ のバチカン の サ ンピエ トロ大聖 堂は、
ミケラ ンジェ ロ の ル ネッ サ ン ス建 築とバロ ッ ク建 築が 同居 する。
ミケ ランジ ェ ロ の造 形は、中央
に円形を配し て、
またシュ ムメ トリ ア を重 視 して いること が わかる。 ルネッサンス 時代
の代表
的な 他の建
築も使っている 円 形 は真円 を 基 本と し ている。
これ は、
ル ネッサン スが古代
の再 生 を目指 し たこと か ら も わ かるよ う に、
ギリシ ャ、
ロー
マの建築様式
を かな り意識
したこ とから も窺
え、
ギリシャ、
ロー
マ時 代における造形は円 を基 調 とする ものが 多 かっ たことか ら容 易に理 解で き る。
一
方、
バロ ック建築
に お い て は ドイツのフラ ン ケ ン の十四正 会 堂に見 られ る よ う に楕 円 形 が 基 本とな っ ている。
バロッ ク建築
の特
徴の一
つ とし て こ の楕
円形の
造
形 を挙
げるこ と が で き る。
バロ ック はゆが んだ真珠
に語 源を もつ言 葉で ある。 真 珠の種 類にバ ロッ ク が あ る が、
その造 形は図1
に示 すように、
必 ず し もき れいな 楕円ではなくて、
ま さ に 歪 んだ 真 珠 で ある。 バロ ック とい う言 葉を 調べ て み る と、
形 に お い て不 規 則と い う記 述が あ る。
バロ ック は単に楕 円というイメー
ジ だ けでな く、
歪んで、
怪し く、
不 可 解な感じが あっ たも の と考え ら れ る。
バロ ッ ク時
代
に、常
に中
心 が一
つ の球
のよ う な均
整美
の芸術
の 世 界 観 から多 焦 点の楕 円的 なもの、
ゆ がんだ ものへ と変化 が起き た わ け で あ る。
このも う一
つ の焦 点は、
神
に対し て は間違
い な く 人間で あっ た。
そ れ ま での 焦 点は一
つ しかな く、
基 本 的に は神か人 間であっ た。 ラウン ド オー
バ ル 図1 真 珠の種類¢
鷲
バ こ の時 代の音 楽も バロッ ク 音 楽 としてよ く知 られ て い るが
、
こ のバロ ッ ク時
代は大変興味
深い時代
で ある。
そこ で、
バロ ッ ク時 代の 前 後の 出来 事や著 名 人 を並べ て、
歴史的
な流
れ を概観
し て み たのが図2
で あ る。
バロ ック 時 代 は一
七 世 紀初頭 か ら一
八 世紀 中 葉に架 けて の時 代で、
バ ロックは全ヨー
ロッパを 風 靡した 芸 術 (建 築・
彫 刻・
音 楽 など)上およ び文学
上の様式
を指
す。
広辞苑
に よ れば、
文芸復
興期
の古典
主義
に対 して有機的
な流
動感
が強
く、
マ ニ エ リ スムに対しては現 実 感 が 強 く、
ロ コ コ に対 して は雄 大荘
重が特
徴 だそ う で あ る。
こ の よ う に バロ ック は、
単
に 人 工的な造 形のイメー
ジだ けで は な く、
生命
的 な捉え どころが ない動 的 な イメー
ジが ある。 こ のよ う な文 化が台 頭し た時代
背 景は、
ル ネ ッサ ン ス時 代 に抑 圧 的で暗い中世か らの解 放され た 人々がま さに 新しい時 代に突入する夜 明 けの時 代であっ たと考 え ら れ る。 ルネッサン ス時 代に新 大 陸は発 見さ れ た が、
ヨー
ロ ッ パ の人々に は その新 大 陸の影 響が実 際に 及 びだ
す時代
が バロ ック時
代で も あっ た。
この時代
に ヨー
ロ ッパ に持 たされ たコー
ヒー
が 大 流 行 し、
町に カフェが大 流 行し、
新しいコ ミュ ニ ケー
シ ョ ン の場 1400 歴 史 的 背 景 慶應 義塾創 立(1958) モダニズム建 築 サステ ナ ブル建築 ウィー
ナー
(1B94−
1964 } ア イン シュタイ ン(1879−
1955) チュー
リング (tg12−
1954) サ丿レトノレ(1ge5−
198e ) ボー
ドレー
ル〔1821−
186ア) キルケ ゴー
ル(1813−
1855)ハイデッカー
(1889−
1976}?.,,。、,46 、
.
1527}轍
糀
・欄
飜
羅
難
:
ll
ミ’レ(1773−
1836,
1eO6r1873 )._ 16、8、 アダムスミス〔171
躍
轍
闘
D噴欝 泓
・ 北 里柴三郎〔1852−
1931) 福沢諭吉{1834−
1901) ワットの 蒸 気 機 関 (176g) サイバネティクス(194g) ダ イナマイト(1867) マイコン(1972) ペスト大流行コ
ロンブス(1446 頃一
1506 ) デフ ォー
(1659−
1731) ガ ソリン 機 関 (1883) グー
テン ベ ルク ライ ト兄 弟 初 飛 行 (1903) (1400頃一
1468) 振 り子 時 計 エジソン 人工衛 星 (1957 ) 蓄音機(tsn ) 図2 ル ネッサ ン ス か ら現代ま で フ ラ ン ス革 命 (1789) 第2次 世 界 大 戦 アメリカ独立 宣言 (17ア5) (1939−
1945} 江 戸幕府(1603) 忠臣蔵(170t) 明治維新(1968 )−
1500 1600 1700 1800 1900 2000 エー
ル大学創立 (1701〕 ルネッサン ス建 築 バロック 建 築 近 代 建 築 ガリレオ(1564−
1642 ) コ ペ ルニクス6473−
1543) ニュ
ー
トン〔1642−
1727 ) フー
リエ〔1768〜
1B30 ) ケ プラー
(1571−
1630) オ イ ラー
〔1ア07−
17B3 )鴨
鞍
蕪 鮒
_繍
認
) ・嬲
黔
1 ルー
ベン ス〔1577r1640 )が誕 生 した。 ワイマ
ー
ル・
ケー
テ ン・
ラ イプ チ ヒな ど で教 会のオ ルガン奏 者で あっ た 作 曲家
バ ッハ は、
宮 廷 楽 長、
音 楽 監 督な ど に 任 じ、
体 位 法 的 作曲 技 術 を以て多声様
式を継 承、
バロ ッ ク音 楽を集
大成 した こと は あ ま り に も 有名であ る。 バロック 音 楽に おい ては即 興 音 楽 的な面も有し な が ら音 楽 的 な 美 を追 求 し て い た。
この ころの文 化 を簡単
にいえば、
神
(=美
) と人 間の2
焦 点の楕
円的 な文 化が確 立さ れ た といっ て よ いだ
ろ う。
バ ロ ッ ク時 代は
、
ヨー
ロ ッパ に おいて は大 変 な 転 換 期であっ た。
バ ロ ッ クの時 代 までは、
神と 人間の 感 性は常に対 立 的に捉え られ、デ
カル ト、
ニ ュー
ト ンに続いた科 学者
た ち もオイ ラー
の前ま で は常に神
の問 題に遭遇 し た。
偉 大 な数 学 者オ イラー
はバ ロ ッ ク時 代の数 学 者で、
最 初の数 学者の 近 代人 と言える 人物
である。
オ イラー
は哲学
の 歴 史には一
切で て こず、
そ れ ま での 数 学 者 と違っ て、単
に数
式を解
くこ との喜 びに終 始し た か ら で あ る。
真の意 味に おいて 神か ら解 放され た 人々 が出現
し た時 代で も あっ た。 バロ ック時 代に は 人間 中 心 的 な考えをもつ よ う な側面
が出
てきて、
アダ
ムス ミスは 人間
の本
性で ある利
己心を自由に活 動 さ せ れば、
神の 見 えざる 手に導か れる社
会 的利 益と 調和をも たらすと説い た3)。
そ し て、
人間 中心 的な考え方
はベ ンサムにも受 け継が れ、
最 大多
数の最 大幸 福とい う概念
を誕 生 させ、
民 主 主 義の基 礎を切り拓
いた。
3
.科学技術
の バロック時 代最 大 多 数の 最大幸
福
の概 念は、
当時 個々 の個人 を尊
重 する意 味で考え ら れ た概 念であっ た が、
次 第に多
数の論 理 がや は り個々 の個人 を規 制 することが 明 かと な り、個
人 の解
放のた めのものが 個人 を縛
る と いう矛 盾に突 き当 たったの である。
こ の ことを明か に し たのがニー
チェで あ り、
芸術
的な流れは ロ マ ン 派へ と移 行し ていった。
これ は 英雄
主義、超
人 主義
的な方 向へ と進み、
どち ら かとい うと人 間の一
焦点
の世 界 観が 形成さ れ ていっ たと思わ れ る。
こ の よ う な 世 界 観は、
やは り個人 が必 ず 社 会と ぶつかって し ま うことにな り、
大き な 壁 に ぶつ かっ て しまっ た。 そのよ う な中か ら、
刹 那 的な普 遍性
を求
め る実 存 主義
が 生 まれ た と思
わ れる。
しかし、結
局社
会へ の ア ンチテー
ゼで し かなく、
大 衆 を巻 き込 むこと は な く、
不条理と い う知 識人の苦悩と し て 終 わっ て いっ た。
20
世 紀に な る と、
我々が想像
する以 上 に 科 学 技 術の影 響が大 きく、
政 治、
経 済、
芸術
あ らゆる分野 に おい て科 学 技 術は影の主役で あっ た。
特に、
第二次
世界大戦
以降
の科学
技 術の進 歩には著し い も の が あ り、
世 界 的な軍事的力
関 係におい て も科 学 技 術が核
になっ た。
ソ連 邦 や 東 欧の崩壊
も大
きな意味
にお い てはコ ンピュー
タ を中心 とする情 報 革 命に負け た た め と捉 えることができる。一
一
・
方、
科学
技 術は大 衆 文 化に も大
きな変
革をも た らし、 その影 響は国家的
な レベ ル か ら個 人レベ ル ま で大き な変 革を もたら し た。
従って、20
世 紀 は科 学 技 術が中心の世 界 観が 知 らず知 らずの 内に出来上 がっ てい った。20
世 紀は、
こ の よ う に科 学 技 術 が 個人 レベ ル で は様々な ものか らの解 放 を可能
と し、
あた かも科 学 技 術のルネッサ ン ス と言うに相 応しい時 代で あっ た と 認識さ れ る。
し か し な が ら、
最 近の環境
問題
に代表
されるよ うに、
科 学 技 術は新
た な 地球 規 模の 問 題に ぶつ か り、
大き な転機
を迎 え よ う と して い る。今後、環境問
題 だ け で な く、
難民 問題に代 表さ れる渾 沌の時代 に、
科学 技 術 が 単な る商 品や道
具的 な 側 面からのみ議 論さ れ る危 険 性を はらんで い るよ う な気が し ている。21
世 紀は、
科学
技 術の一
焦 点の世 界 観か ら、
これに人 間 社 会の も う一
つ の焦点
を付
け加 え た 楕 円的な世 界観
へ と移行
しな ければな ら ない と考え る。
歴 史 が 教え るよ う に、
この 流れ が人 間 社 会へ と振れ過 ぎる と、
また 不安 定な世 界が 誕生 するのかも しれ ない。 そこで21
世紀を迎 えよ うとする今、
安 定 的に楕円的な世 界観 をいか に構築 する か が問 わ れてい る よ う に 思 わ れる。
ルネッサン ス 時 代か ら
21
世紀
へ の時 代の変 遷を図 的 な イ メー
ジにする と図3
のよ う に な る。
近 代は、
あ る意 味でや っ と人 間 中 心の時代
を迎
え た 思 っ た 瞬 間に技 術の時代
に突
入 して し まっ た。
その時 代は や は り円 的 な 世 界観のぶつかり合
い の時代
でも あっ た。21
世 紀の技 術 社 会は バロ ック時
代の楕円的 世 界観
のダイ ナ ミズム を さらに深 化さ せ る 必要が あ る と 考え る。
ま た、
多 焦点 的 世 界観 を常に維 持す る政 治 的 制 御 が 必 要な時 代に突入 して い る。
○
一〇
一〇
°o
−i
葦
》
・ ル ネ ッサ ンス時 代 バ囗 ック時代 近 代 21世 紀 図3 時代の図 的イメー
ジ バロ ック時代 ■ ペストの流 行で3000 万人 が死 亡 ● 神か らの解 放 ■ 新 大 陸の発 見 ■人 間の存 在に関 する 時 閤 軸 的 な有 限 性の認 識 ■神と人 間 の楕円 的世 界の 過 渡 期 鷹人 間 中 心 の世界へ 推 移 冷 戦の時代へ 推 移 新バロ ック時 代 矚第2次 世界 大 戦 で約6QOO 万人 (4000 万の民 間 人 )が 死 亡 ■物 理 的 制 約か らの解 放(技 術 に よ る) 屠見えざる新 大 陸(インター
ネッ ト)の 出 現 麕地 球の空 間の有 限 性の認 識 圏 技 術社 会と地 球 環 境が共 生 する楕円 的 世 界 観の維 持の 必 然性 自律的 制御が 不可 欠 な 時 代 図 4 技 術社 会の新バロッ ク 時代4
.
システム生 命の概 念コ ンピュ
ー
タ ウィルスや 人工生 命 を除 け ば、
人 工 物には生 命とい う概念
が これ までな かっ た。機械
を 使うのは 人間で あ り、
常に人 間 が 主 体である と 思っ て、
機 械の設 計 を人 間に役 立つ道
具と し てこれ ま で 行っ てきた。
しか し ながら、プ
ログ
ラム化 され、
知 能 化さ れた 機 械 は すで に単 なる機械
と し ての役 割 以 上のものを発 揮し てお り、逆
に人 間 や 自 然 はその影 響 を強 く受 ける よ う に なっ てき た。 こ の傾向
は今後
ますます強
ま り、
従 来の考 え方 だ けか ら機械
を設計
すること には 限 界が き ている。
動 物は、
高 等に な れ ば なる ほどいろいろ な作 業がで きるだ けでな く、
表情
が豊
か に な る。 しかし知 能 化 され た 機械
は必 ずし もその よ う なこと がないた め に、
人間とのコ ミュ ニ ケー
シ ョ ン が ほ と ん ど な く、
人 間とのインタラ ク シ ョン に問 題が生じ るこ と も多々 ある。
た と えば、
高度
にプログラ ム化され た 自動 機 械の意 図が 人間に分
か らず、
機 械と人 間との不整 合な操 作が起き て、
大 き な 事 故に繋が り、
結 果 的に は ヒュー
マ ン エラー
の 問 題と捉え られ る場 合 が ある。 その よ うな典
型的
な 例は1994
年の中 華 航 空 機の墜 落 事故であ り、
記 憶 に新 しい。
さらに、
環 境 問 題の解
決に も、
機 械の廃 棄 とその環 境へ の影響
を考
え た機械
を設計 する必要 が あ り、
攤 戒の 「生死」を考 え、
機械を 「生命体」 と して6 SPECIAL ISSUE OF 亅SSD Vt)1
.
12No.
42005 デザ イン学研究特 集号設計し な い と
、
自然 と共 生 する設計ができ な くな る。
そ のような 背景か ら自然シ ス テ ムと人工 シ ステ ム との共 通の基 盤と して システム 生命の概 念 が誕 生 した。
すな わ ち、
人 工物に も自然シ ステ ムの生 命現象に対 応す る ものが必 要であ り、
生 命現象
をつ か さ ど る遺
伝 子 情報 に対応 した 人 工物の情 報をシ ステ ム生命 情報と定義
し て、
その情 報 を人工物に埋め 込 む という考え方が提唱さ れて い るe こ の シス テ ム 生命
の概念 は、
テクノヒュー
マ ニティ社 会の建設 に不 可 欠 な概 念であると考え られ る。
自然シ ス テ ム の場
合
に は、
適 応、
進 化のプロセス に お い て環 境の情 報 が 遺 伝 子の情 報の中に取り込ま れて い る。 遺 伝 子に は、
以 下の よ う な情 報 が 蓄 積、 埋め込 まれて い る。
・
自然シ ス テ ム の種
の情 報・適
応の情 報・
進 化の情 報・
環境
の情 報・
最良性の情 報これ らの情 報は 設計 情
報
の 役 目を果 たしてお り、 存 在の目的、
評価
の情報
も有
して い る と考え られる。
Goodship,
Lanyon
andMcFje
が1979
年 に行っ た 豚の骨
の切 断 実 験の結果4)を 見る と
、
自然シ ス テム の特 徴 が明らか で あ る。
豚の足の骨の一
本 を切 断 した 結 果、
切られた 骨 が 伸びて行 くことは 不可能
で あ る が、
も う一
本の骨と接 合し て、少
な く と も過重
を支 えるよ うに回復 した。
こ の事実
は、 自
然シ ス テ ム は切られ た ら ど の よ う に回復 す かの情 報 は 陽に有 していない が、
骨の本
来の役 目の情 報 は有 して いて、
そ れ に従
っ て回復し た と考え るべ き で あ ろ う。
その意 味では、
人間
が作
る 人 工物に おいて もシ ステ ム その ものが何 で あ る かの 情 報を有して お く必 要が あ るの で は な いか。一
方、 自
然 シス テム は、
環 境へ の適 応によっ て生命
シス テム と して のバ ラ ン ス を有 してい る。一
方、
人工的 なシ ステ ム は一
部の機
能 だけ が知 能 化して シ ス テ ム と し ての バラ ンスに かける場 合 が 少 な くな い。
人工 シス テム に おい てはこれ ら に対 応 する情 報 は設 計者
が有し、
シ ステ ムその もの に は埋め込ま れて いな かっ た
。
ま た、自
然シ ス テ ム と機械
システ ム に は 以下の よ うな 特 徴がある。
・自
然シス テ ム は自
然へ の適
応に よって生 命シ ス テ ム と し ての バ ラン スを 有 す る。
・
機 械シ ス テ ムは一
部の機 能だ け が知 能 化し て シス テム と し て の バ ラ ン ス に問題がある。
・
自然システ ムと人 工 システ ムの共 通 基 盤となる何 ら かの概 念が 必要で あ る。
・
オー
プンな 環 境で利 用さ れる機 械シ ス テムが21
世紀
に はさら に増
加 する。
・
自然シ ス テ ム や 人間との人 工 システ ムの イ ン タ ラ クションが増 加 する。その よ う な背景 か ら
、
自然シス テム と共有できる 基盤
の上 に 人工物
の設 計に も 上記の よ う な情報
を 埋 め込み、
バ ラ ン ス の取れ た 人工物を作る 必要が あ る と考え、
図5
に 示すよ う な システ ム生 命とい う概 念 を考 案した。 シ ステ ム生命
は、
受容
機構
能 動 機構
情 報 処 理 機 構 表 現 機 構 を融 合した 人工 シ ステ ムの支
配原
理 および その設 計、
評 価に関 する情 報と して 定 義される。
人 工 シ ス テ ム が自然シ ステ ム とのイン タ ラ クショ ンを もつ所
に 存 在 す る かぎり、
自然シ ス テム を支 配 する原 理 を 人工 シ ステ ム も共 有す ること に な る。
し た がっ て、
人 工シ ステ ムにおい て も知 的 シ ス テムの4
つ の要素、
受 容機構
動作機構、情報
処 理 機 構 表 現 機 構の要 素 を融 合さ せ る構 造お よ び 情報
が 必要であ り、
これ を シ ス テ ム生 命 情報
と呼ぶ ことにする。
図 5 システム生 命の概 念図
6
に 示すよ う に、
これま での知 識工学
的 なアプ ロー
チも バイ オミメ ティック な アプ
ロー
チ も自然シ ステ ム と環 境か ら情報
を得
てこれを基に、
知識
工学
的な アプロー
チで は人 間のス キルやルー
ル を知的
シ ス テ ム に埋め込み、
バ イ オミ メ テ ィッ ク なア プロー
チ で は生物的
な機
能を知 的システ ム に埋 め 込 む形 で 知 的シ ス テ ムが設 計さ れ て き た。 人間が設 計す るプ ロセ ス におい ては環 境の情 報、
シス テ ムの目的や評 価の情 報を 用い て いる が、
作られた人工 シ ス テ ム そ の もの は、
その よ う情報
を直
接 有する こ とは ほ と ん ど ない。
す な わ ち、
この よ う な情 報を前 提と してあ る機 能 を実 現 する装 置 やア ル ゴ リズム と して人工 シ ス テ ム が作られ、
シス テ ム その ものは 目的や評 価 あ るいは環 境の支 配 原理の情 報を持た ないた め。一
旦 前 提 が 狂 うことが 起 き る と対 応できな くな る問 題 点 が あっ た。
し た がっ て、
図6
に 示すよ う に 人 工 シ ス テム に おい て も自 然シ ス テム と同 様シ ステ ムの 目 的、
評 価な らびに環 境の条 件に関 する情 報を有して おく必 要がある もの と考え られる。
ま た、
人間との イ ン タ ラ ク シ ョン を伴う ものや、
オー
プン な環 境で 利用 さ れる人工 シ ステムが増 加してお り、 人工 シ ス テ ム と して も自
然 システ ム と 何 らかの共 通基 盤を有
する よ う な概 念で設 計さ れ る 必要性
が出てき た。
会嬲 農夫
畢
生 物 的 な ヒ特激・
非腺形 件・
耐故陣 性えは めお せロ :溜韆。 :
雛.
進。・
設 適 「ヒ・
ヒ聖己 診 断.
自己 修 直・
免ftvAtム
・
形 態 形 成・
MI」
作用・
縫 督 化 N8犠 櫓 人工シ ステム 処 理臓 シ ス 于ム
生衛 勘 作 機 羃 妻 硯 標 綱 環境 共 生 自 然 シ ス テ ム・
非線形性・
自 己紐織 化・
自己診断.
自己修復 :票
鱗
報 処 理器
。。 :驪
蔑
テム・
並 列 処 理・
最 適化・
相 互作用 図6 システム生 命 を有 する知 的システ ム の概 念 生 命に関 する歴 史に若 干 触 れておこう。 生命に関 す る考
察が本格
的に な さ れ る よ う に なっ た の も や は りバロック時
代であっ た。
フィレ ン ツェ の医 師であ り 生物
学者
で あっ たフラ ンチェ スコ・
レデ
ィ(
1626
〜1698
) は、
当時生命が自然発生 す る とい うア リス トテレ スの
教
えに対して、
生命
は それ 以前
に存 在 して生命
か らだけ生 ずることができ、
生命が 自然発 生 する こと は ない と 主張し、腐
っ た物 質の中 からウ ジ自
然に発 生 する とい う考え方は観察
上の大きな 誤 りで あ るこ と を 示 し た。 その後、
ダー
ウィ ンな どの 進 化 論 を 経て20
世紀
になって、
量子 力 学の物 理 学者
ボー
アとシュ レンデ
ィ ンガー
などの生 命に関 する考
察の影 響で分 子生物学
が1950
年 頃に誕生 し、
1953 年ワ トソ ン、
ク リッ ク、
ウィルキン ス ら がDNA
の2
重らせ ん分 子 構 造モデ
ルの発見
へ と繋がっ た。 そし て、
1986
年
に ヒ トゲノ ム計 画 が始
まっ た。
それか ら、
生 命の要素
を分 析し て も生 命を突 きと め るこ と はできない こと が わ か り、複
雑 系の科 学やシ ス テ ム 生物学
が誕生 して き ま し た。20
世紀の後 半の科 学 技術
は生 命、
生物 に 学ぶ ことが多
かっ た が、
本 来 学 ぶ べ きものは シ ス テ ムと して の生 命 現 象で は ないだろ う か。
前に おいて も触 れ た が、 生 命の特 徴に は以 下のよ うな ものが あ る
。
(1
) 自律 性(
2
)新 陳 代 謝、
免疫
(
3
)自
己組 織 化(
4
)ホ メ オ ス タ シ ス (恒 常 性 ) 環 境へ の対 応 外 力に対 する安 定 性(
5
) 情 報の貯蔵
学
習、
記 憶 (6
)生 殖、
自己複 製 (7
) 遺 伝(
8
) 進 化、
発達
能力(
9
) 老 化、
細 胞 死、
アポトー
シ ス(
10
)個
体の死 上記の 特 徴は、
必ずし も生物 だけの もの でない。
た とえ ば自己
増殖
だ けは生 命のみが もつ特質
と考 え ら れて い ましたが、
フ ォン・
ノ イマンは 生 物 以 外に 自己 増 殖で き る機 械が構 築 可 能で あ る こ と を論 理 的 に実 証し ていま す。
このように、
そ れぞ
れの特 徴は、
生命以外に有り え るこ とであるが、
これ ら をすべ て 備えて い る の は生命
以 外に はない と考え られ る。
し か る に、
生命 が 究 極の機 械と考え るな らば シ ステ8 SpECIAL
ISSUE
OF
JSSD
V{〕L12No
.
42005 デ ザイ ン学 研究 特集 号ム と し ての生
命
に注
目 し、
シ ス テ ム と し ての生命
に 学ぶ機 械や建 築を作る 必要が あ るので は ないか。 こ れ が、究極
の建 築、
す な わち 生命 建 築の背
景と な る 考え方で あ る。
も う少し具 体 的に言 うと、
こ の よ う な概 念を基 礎と し て、
多 機能でかつ 機 能 間の統 合と バ ラ ンスが 十 分と れ、環
境 とのインタラクショ ンが 可能
な 機 械・
建 築シ ステ ムの新
しいデ ザイ ンを追 究 する こと が重 要で あ る。
5
.環
境の情 報 を埋 め 込ん だデ ザインシ ステム 生
命概
念に基いたデ
ザイ ンの例 と して、
環 境の情 報を 埋 め込んだ 知 的 制御の方 法につ いて紹 介 する。
通 常の制 御に おいて は、
セ ンサか らの情 報 を処理 してアク チュ エー
タ を動か して制 御を行う。
その情報処
理のプロセス に は設 計者
の意 図が反 映さ れて い る が、情報処
理 その もの のプ
ロ グラ ムにおい て は その意 図 が 陽に与え られて いない。
また、制御
対 象が存在
する環 境やそれ を支配
して い る原 理 原 則 も情 報 処理 に 反映さ れて い て も、
陽に その こと が情 報 処 理 そのものに活かされて いない。 そのた め、
設 計 者が想 定した 状 況に おいて はこれらの こと は間 接 的に活か さ れて い て も、
想 定し た状況 や環 境が変
化 する と、
設 計における前 提が崩
れ、
対 応 不 可の状 況 に陥り易い。
この よ うなことを避 ける た め に は、
情 報処
理その もの の中
に前
提 となる情 報 を 陽に 埋 め 込 ん で お く必要
がある。
そのよ う な観点
か ら、
情 報 処 理 その もの の 中にエネ ルギ 原 理の情 報を埋め込ん で 耐 故 障 性をもつ知 的 制 御を実 現し た例につ いて説 明 する。
図
7
のよ う な振上げ・
倒立振り子の 制 御の 問 題 を 考 察し よう。
振上げと倒 立 は 本 質 的に不 安 定化 と安 定 化の全く反 対の制
御を切 り替え る よ う な制
御を行 わ ない限り実 現し ない難しい制御 問 題である。
こ の ような制御
の 目的を切 り替え る よ う な非
定 常 制 御に おい てはそのタ イミ ングは大 変重要であ り、
回転 角 度な どの 正確な情 報が 必要と な る。
なお、
安 定 化 だ けでも非 線形の ため センサの増幅
度の故 障 あるいは 異 常は制 御 不可の状況に陥り易い。
図
8
は、
著 者が考 案し たキュー
ビッ クニ ュー
ラ ル ネッ トワー
クに よ る知 的 制 御の情 報 処 理の構成図で尸enditiunt 図7 振 上げ
・
倒 立振り子の制 御 ある。
こ の詳細は文 献に委ね ること とする が、
その本
質は 不安 定 化のニ ュー
ラル ネッ ト制 御 器と安 定 化 の ニュー
ラル ネッ ト制 御 器をニ ュー
ラ ル ネッ トワー
クのインテ グ レー
タで切 り替え る仕 組み に なっ てい る。
不安 定 化か ら安 定 化へ の 切り替え は こ の イン テ グ レー
タ が行い、
成 功に直 接 関る重要な情 報 処理器 となっ て いる。
こ のイン テ グレー
タの入 出 力を図9
に示す。
入 力の最 下 段の2
つ は 運 動エ ネ ルギと位置 エ ネルギ を 総エ ネルギで除したもので あ り、
こ のイ ンテ グ レー
タ は 陽 にエ ネ ルギ 原理 を満たすよ う にな っ てい る。 この エ ネルギ 原理 は一
種
の 環 境を支 配し て い る原理原則の情 報であり、
こ の情 報があるか な いか で は大いに耐 故 障 性の性 能に差 が 出てくる。
図
10
と11
は、
セ ンサ の増 幅 度と リ ン クの長さの 変 化に対 する ロバス ト性を調べ た結 果で あ る。
図 中、
LQR
は通常
のLQ 最
適 制 御を、
SMC
はス ライデ
ィ ン グモー
ド制 御を、CNN
は キュー
ビックニ ュー
ラ ルネ ッ トワー
ク知 的 制 御を 示す。 図10
と11
は、
倒立制 御の みの 場 合で、
先に述べ た インテ グレー
タ は用い られて いない が、
制 御 結 果を常に評 価し て、
用い ら れて い る制 御 側の前 提 条 件が成り立っ てい る か を常 c、、广
/
tt図8 キュ
ー
ビッ クニ ュー
ラルネッ トワー
ク に よ る 知 的 制 御h
(り’
.
hc
ηω〆η、 θ(8)!θ, θ(の1.
q
〜’,。、て8)〆u, u、
、
,
9(の/Umar τ(の!E(りv
(t)εωP、
n ,s.
(t) 図9 イ ン テグレー
タへ の環 境 情 報の埋 め 込み にチェ ック して い る。
も し、
何らかの異 常で制 御 性 能が劣 化す る と、
そ の制御側
を抽象
化し た情報処
理 に自動 的に切り替わる。 こ の抽 象化にはファ ジィ ニ ュー
ラ ル ネッ トワー
ク が 用い られて い る。 こ の抽 象 化さ れ た 情 報 処 理には、
モデル の情 報が抽 象的に保 存 さ れてお り、
定 鼠的な性 能は劣化する もの の、
原 理原
則の本質的
な情報
が 用い られ る た め、
異 常があ っ て も対 応 可 能となる ことを 図10
と11
は示して い る。
さ ら に、
図9
に 示すよ う に陽にエ ネルギに関 す る情 報を利 用す るこ と に よっ て、
セ ンサ異常にロバ ス トな制 御 系の設 計が可 能で ある こと を図12
は2
重 振 り子の振上げ・
倒 立 制 御におい て示 して い る。
図13
は、
2
重振
り子の振
上 げ・倒
立制御
において2
番 目の リ ン クの 長さ が変 化したときのパラメー
タ変 動 に 対するロバ ス ト性を 示 し た ものだが、
明ら かに パ ラメー
タ変
動に対し てロバス トで あ る こ と が示さ れ て いる。[
1
胴 LQR − MC 10 ■■CNN OOO O.
20 0.
40 0.
60 0.
80 1.
GO し20Limitation orsensor amplification reductio 冂
図10 セ ンサの増 幅 度故障に対す るロ バ ス ト性 00 ω 田 00 け 0 ω 田 X α 50403020R 瞳 冊 鴎 oo
〔
邑 2 謹 認8
蒭 100.
0 100、
U loo工} 且00.
O HX).
O一
一 一
一
一
一 一
.
一
一 .
.
一
.
.
一
.
.
一
75o.
. .
.
.
一 一
一
一
. 一
一
一
.
625一
一
一 一
一
一
.
.
.
1
一
一 一
一
一
一 .
一
一
一
一 一
一
一
一 一
一
.
一
.一
一
一
一
一
一
一 一
.
.
.
一
一
一
一 一
12.
5一
一
」
o一
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一
一
匿
一
一
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一
工.
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一
一
一
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.
σ一
、
0 し MS ■]
o
.
Too oTso e17s o
ヱ o3oo D
ヰ
]ength ofpcndulum
図11 リンク の 長 さ 変 化 に 対 す るロバ ス ト性
LQR
CNN
・
.
….
2・ ・.
4・ ・.
6・ ・.
8・[
画
1,
2・Sensor Amp ]ification k Normal Gondltlon 図12 セ ン サ
ー
増 幅 度 異 常に対す るロバ ス ト性 D1研 一 〇20D O106 − 1}2〔,{} LQRCNN 0.
000 〔}.
050 0.
100 0.
150 0.
200 0.
250 Lengrh ofpendulum2 [m] 図13 パラメー
タ 変動に対する ロバス ト性6
.
目的 と その評 価 を埋め 込 ん だデ ザイ ンロ
ボ
ッ トの制 御に対して シ ステ ム生 命 概 念に基い た デ ザイ ン を行っ た例につ いて述
べ る。
開放的
な環 境に おいて複 数の ロボ
ッ トが協 調して何ら かの作 業 を 行 う場 合、
制 御シナ リオを前 提とした制 御 手 法で は限 界がある。
そこ で システ ム 生命
概 念を用い た設 計 法の 例と し て、
図14
に 示すよ う な ロボカ ッ プ サ ッ カー
の 中型機 リー
グで の 協 調 制 御につ い て紹 介 する。
図14 ロボカップ中 型機リー
グ W’
跏relessLan PrOGesslng Un
・
CPU’
【nm9己
ProceSSIng b呱
rdKlck Devioe lsoLen‘
月
d } D⊂m。、。 ,/ 団π
図15 サッカー
ロボッ トのハー
ドウエァLO SPECTAL IS9
.
UE OF JS9.
D Vol,
12No.
42〔〕05 デ ザ イン学研究 特 集号ロボッ トの ハ
ー
ド ウエ ア構 成を 図15
に示 す。
ロ ボッ トは セ ンサ と して全 方 位 視 覚システ ム、
エ ンコー
ダ を持 ち、
コ ミ ュ ニ ケー
ションの手段と し て無 線LAN
を 用いる。
フ ィー
ル ドプレー
ヤは全 方 位 移 動 機 構を、
ゴー
ルキー
パ は二 輪 移 動 機 構を有 する。 ま た、
両ロボッ トと もソ レ ノ イ ドに よ る キッ ク機構
を有す る。
サッカー
ロ ボッ トの ソ フ トウェ ア構 成を図16
に 示す。
ロボ
ッ トはあらか じめ行動
モ ジュー
ル を保持
する。
攻 撃をする という目的に対して、
ボー
ル にア プロー
チする とい った中問 目標が存 在 する 力叉 行 動 モ ジュー
ル は、
この中
間 目標を達 成す る た めの出 力 を与え るモ ジュー
ル と し て定 義さ れる。
こ の行 動モ ジュー
ル を連 続して選 択する こ と で中間 目標
が達
成 さ れる。
これを効 果 的に選 択 する こ とで、
ロボッ ト に状況 に適 応し た振る舞
い を さ せ るこ と が可 能と な る。
行 動モ ジュ
ー
ル 選択ま での流 れ は以下のよ う に な る。
ロ ボッ トは セ ンサ か らの情 報を用いて環 境 を認 識 する。
こ の とき主に視 覚 情 報 を 用い るため、
欠 損 や誤 認 識が存 在 する 可能 性がある。
そ こ で、
短期
記 憶を用いた情 報 補 間を行う。
得られ た情 報に基づ き、
目的に関す る自らの達 成す る容 易さ を自己評 価し、
これ をロボッ ト間で共 有 する こと によ り協 調 行 動を 達 成 する制 御手 法 を 用いて 現 在の 目 的 を 決定し、
こ れを 満 た す ための適 切 な行 動 を選 択 する行 動 選 択 器 を選 択 する。
行 動 選 択 器の構 造と し てlf−
thenルー
ル を用いる もの と学 習に よ り構 築 する もの が 研究さ れ て いる。
これ を 用いて、
行 動モ ジュー
ル を 選択
す る。
行 動モ ジュー
ル はフ ァジィ ポテ ン シ ャル法を用いた 行 動 制 御 手 法 等を用い て最 終 的 な目標 方 向・
速 度を 決 定 する。
シ ス テ ム生命 概 念に 基い て、
目的に関する評 価 情 報を用いた ロボッ ト群の協調制 御 手 法を開 発し た。
概 念 図を図17
に示す。
各ロ ボッ トは各日的に関 する 評 価をし、
達 成 度の算 出を行 う。
こ の情 報を抽 象化 し、
抽象 化さ れ た情 報を 無 線 を用いて ロボッ ト問で 共 有す る。
共 有し た評 価 情 報の な か で、
自分の評価 よ り も高い評 価を持つ もの、
お よ び優 先度が高い ロ ボッ トを考 慮 し、
自身か ら見 た 自身以外の群 全 体の 目的に対す る満 足 度を評 価す る。
群全体の目的に対図16 ロボッ トのソ フ トウエア構 成 One げ‘加
篳
毳
:
図17 協 調制御の概 念図 する満 足 度 が低い と き、
他ロボッ トが目的を満た し て いない と い う こ と に な るため、
ロ ボッ ト は こ の目 的を 選択 するe 高い と判 断され た場 合は、
すで に他 のロボッ トがこ の 目的を達
成 し よ う と し ていること になるため、
こ の 目 的を選 択し な い。
こ れ に よ り、
他の 邪魔をすること な く一
つ の 目的を達 成で きる と 考え られ る。
こ の手 法 に よ りロ ボッ トは高い自律 性 を保ちつ つ、
お 互い を考 慮し た 振 る舞い が 可能とな る。
こ の よ うな制 御に よっ て、
ロ ボカ ッ プ2004
中 型リー
グにおい て優 勝した。
7.
これからのデザ
イン 歴史的な背景 を踏ま えて、
こ れか らのテ ク ノロ ジ ィデ ザ インの 重要な概 念と して シス テ ム生 命の概 念 を提 唱し た。
これ か ら もデ ザインを行う主 体は人 間 である ことには 変わ りは ないが、21
世 紀はデ
ザ イン さ れ た ものが デ ザインす る 主体に大き な影 響を よ り 与え る時 代であろう。
デザ インさ れる側とデザ イン する側が イ ン タ ラ ク ショ ンする時 代である。
科 学の 歴 史に おいて は、
観 測者
と被 観測物との イ ン タ ラ ク ショ ン を経 験 して い る が、
工学におい て は一
層 複 雑 な相互作 用が触 発さ れ る時 代であ る。
その よ う な時 代に は、
これま で のよ うに静 的な環 境である場 面を 想 定したよ う なシナ リ オ に基づいたデザイン で は限 界があり、
どのよ うに環 境が変 化して も、
基 本 原 理 や存在
目的
に従
っ た基本的
な振
る舞
いが可能
なデ ザ インを行わ なけれ ば な ら ない。
航 空 機 や 原 子 力 発電 所な ど現 在の高 度で複 雑な機 械や設 備・
装 置の ほ と んどが、
基 本 的に は 設 計者の シナ リ オ に基づい たデ ザインに なっ てい る と言っ て も過 言で は ない。
その 意 味では、
デザ イン の 革命が必 要な時 代に突入 して いる と 言っ て よいだろ う。
今 後もデ ザイ ンの変 革へ の絶え間ないチャレンジ が続く もの と考え る。
謝辞
本 稿で紹 介した 研究の一
部は文 部科学 省平成15
年 度21
世 紀COE
プロ グラ ム 「知 能 化 から生 命 化へ の シ ステ ムデ ザイン」 お よ び 「慶 應 義 塾 大 学 大 型 研 究 助 成金」 に よ り助成 を受け ていること を記し、
謝 意を 示 す。 惨考 文 献】 1)広辞 苑、
岩 波書 店。
2) 森田慶一、
西 洋 建 築入 門、
1971、
東 海大学 出 版 会。 3)コ ンサ イス外 国 人 名 辞 典、
1976、
三省 堂。
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,
Mechanicai Adaptation of Bones,
1984,
Princeten University Press
.
5)Norman Davies
、
EUROPE A HISTORY、
1996 (別宮訳、
ヨ
ー
ロ ッパH中 世、
共同通 信 社 )。
6)Norman Davies
、
EUROPE A HISTORY、
1996 (別 宮訳、
ヨ
ー
ロッパ皿近 世、
共 同通 信 社 )。
7)樺山絃一、
世界の歴史16巻ルネッサ ン スと地 中海、
1996、
中 央公論 社。
8)長 谷 川 輝 夫、
大 久保 桂 子、
土 肥 恒 之、
世 界の歴 史17巻ヨー
ロ ッパ近 世の開花、
1997、
中 央公論 社。
9)J.
ド・
ロネ イ、
生 命 とは何だろ うか、
菊 池 訳、
1991、
岩 波 書 店。
10)米 沢冨美子、
複雑さを科 学 する、
1995、
岩 波 書 店。
11)W.
サ イファー、
現 代 文 学 と美 術における自我の喪 失、
河 村 訳、
1971、
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