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放水の物理的火災抑制効果に着目した地域住民の消火活動モデル

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1.はじめに 密集市街地では建物同士の隣棟間隔が狭く,延焼火 災が発生し易い構造を有している。特に,大規模な地 震に併発する火災では,出火が同時多発するため,消 防隊など公設消防機関の機能が分散され,火災鎮圧に 必要な消火能力を確保することが困難となる。また, 建物など構造物の倒壊によって道路が閉塞することも 予想されるため,火災建物への経路が断たれ,円滑な 消火活動が阻害されてしまう。このように公設消防機 関による活動が過度に期待できない状況において,火 災による被害を最小限に食い止めるには,消防団や自 主防災組織など,地域住民を主体とした消防組織によ る活動を有効に機能させる必要がある。 そこで本研究では,地震火災に対する地域住民の消 火活動能力(ここでは地域消防力と定義する)を定量 的に評価可能なモデルの開発を行い,消防水利や消火 資機材の整備など,防災計画の合理的策定に資するこ とを目的とする。同様のモデルは,既にいくつか提案 Bulletin of Japan Association for Fire Science and Engineering Vol. 56. No. 3 (2006)

放水の物理的火災抑制効果に着目した

地域住民の消火活動モデル

樋本圭佑

,幾代健司

**

,秋元康男

***

,北後明彦

****

,田中哮義

*****

(平成1

8年7月7日受付,平成1

8年1

1月1

0日受理)

A Model for Fire Fighting Activities of Community Residents Considering Physical Impacts of Fire Suppression of Water Application

Keisuke HIMOTO*, Kenji IKUYO**, Yasuo AKIMOTO***, Akihiko HOKUGO****, Takeyoshi TANAKA***** * Graduate School of Engineering, The University of Tokyo, 113-8656 Tokyo, Japan

** Housing Administration, Osaka City Government, 530-8201 Osaka, Japan *** Graduate School of Science and Technology, Kobe University, 657-8501 Kobe, Japan **** Research Center for Urban Safety and Security, Kobe University, 657-8501Kobe, Japan

***** Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University, 611-0011 Kyoto, Japan

A physics-based urban fire spread model formerly developed by the authors was refined by considering fire fighting activities of community residents. The model is based upon the zone concept in which properties of gas inside compartment, component of buildings in urban area, is assumed as uniform. Mitigation of fire hazard due to water application is evaluated by incorporating following consequences of water evaporation into the conservation equations of compartment gas : (A) cooling of compartment gas ; (B) dilution of compartment gas ; (C) cooling and wetting of fuel surface. Initiation time of water application, which is a predominant factor of success and failure of fire suppression, is evaluated as a sum of detection time of fire , assem-bling time of residents, and preparation time for equipment use. The proposed model was applied to simulate fire spread behav-iors in a hypothetical urban area where 121 buildings of identical configuration were aligned in a regular pattern. Case studies were carried out in order to investigate effects of anticipated critical parameters such as fire detection time, and number of water supply port.

Abstract東京大学大学院工学系研究科 (〒113‐8656 東京都文京区本郷7‐3‐1) ** 大阪市住宅局企画部住宅政策課 (〒530‐8201 大阪市北区中ノ島1‐3‐20) *** 神戸大学大学院自然科学研究科 (〒657‐8501 神戸市灘区六甲台1) **** 神戸大学都市安全研究センター (〒657‐8501 神戸市灘区六甲台1) ***** 京都大学防災研究所 (〒611‐0011 京都府宇治市五ヶ庄) ―53― (9)

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されており,広く実用に供されている1)∼8)。これら既 往のモデルでは,消防力の評価方法に共通した特徴を 持っている。すなわち,市街地における燃焼領域の外 周周長を求め,これに対して消防隊がある一定の周長 分の消火活動を受け持つという考え方(もしくは類似 した考え方)に基づいている。こうした手法の利点は, 実際の消防活動等から得られた経験的知見に基づいて 消防力の効果を評価可能な点にあり,燃焼領域の拡大 を食い止めることができるのかどうか,比較的簡便な 手続きで予測可能となっている。ただし,建物火災は, 建物の構造的条件,気象条件,周囲の火災状況など, 各種要因によってその性状を大きく変化させることが 知られており,これに併せて放水の効果も変化するも のと考えられる。ところで,消火活動によって火災建 物に投入された水は,高温のために蒸発し,この時の 潜熱消費などによって火災勢力の抑制をもたらすとい う特徴がある。多様な火災状況に対する消火活動の有 効性を合理的に評価するには,こうした物理的観点か らのモデル化が有効と考えられる。 そこで本研究では,まず火災室へ散布された水が蒸 発する際の物理的火災抑制効果に着目し,これを一層 ゾーンの概念に基づく区画火災性状の基礎方程式へと 適用する。ここで得られた予測式を延焼モデル9)に組 み込むことで,消防力の定量的延焼抑止効果を評価可 能なモデルへと発展させる。一方,消火活動にあたる 地域住民の行動についてもモデル化を行うこととし, 一般に複数棟存在する火災建物のうち実際に消火活動 の対象となる建物の選択,当該建物に対する活動開始 時間ならびに活動継続時間を併せて予測可能なモデル とする。これにより,出火から,火災覚知,消火活動, 鎮火へと至るまでの一連の過程を,当該地域の地域消 防力や消防水利等の整備状況を踏まえて予測可能とす ることで,地域の合理的な防災計画の立案に資するこ とを目的とする。 2.放水を受ける区画の火災性状 まず,都市火災を構成する個々の区画火災に対する 放水の効果をモデル化する。燃焼する物体に対する散 水の効果については,これまでに数多くの報告例え ば10)∼14)がなされている。こうした消火効果の特徴は 様々であるが,Back らは,このうち火災区画性状の 予測において主要なものを次のようにまとめている15) (A)高温の区画内ガスと混合した水分が高温となっ て蒸発し,潜熱が消費されることで区画内ガス が冷却される。(区画内ガスの冷却効果) (B)蒸発した水分が多量の水蒸気となって気相に放 出されることで,区画内の酸素濃度が低下し, 発熱速度の低下がもたらされる。(区画内ガスの 希釈効果) (C)可燃物表面で水分が蒸発することで温度が低下 し,可燃物の熱分解が抑制されることで,燃焼 面積の減少がもたらされる。(可燃物表面の冷却 ・湿潤効果) ここでは,この考えに倣い,上記効果を区画火災の基 礎方程式,ならびにそのサブモデルに組み込んで予測 を行う。 2.1 区画火災の基礎方程式 区画内の火災性状を予測するにあたり,ここでは一 層ゾーンの概念を適用する(Fig. 1)。一層ゾーンモデ ルでは区画内に充満する気体の性質が場所によらず一 様になるとみなしている。まず,水分蒸発を考慮した 区画内ガスの質量の保存式を考えると,区画内に投入 された水はその一部が蒸発して気相に供給されるので, ' ',!#(%("" *#"!( + "%*#%!( !! )!*#()!*#)(" "!!!#!!!$開口流量 "!#!$ 水分の蒸発速度 "#$ 可燃物の質量減少速度 % こ こ で,,は時間,#は気体密度,% は区画容積, *#"は可燃物の熱分解に伴う可燃性ガスの供給速度, "%は放水された水のうち実際に蒸発する水の比率, *#%は放水速度,*#は開口流量を表している。なお, 下付き文字の()および )(は区画 (に開口を隔てて隣 接する区画)との間に生じる流れの向きを示している。 また,∑は区画を隔てる全ての境界について和を取る ことを表している。 次に,区画内のエネルギー保存式は,水分蒸発に伴 う潜熱の消費,ならびに水が水蒸気となって気相に供 給されることによる顕熱の発生を考慮して次のように 表すことができる。 ' ',!&+#($(%("" ##!!( "#$ 可燃性ガスの発熱速度 "!!!!!#!!!!!$ 換気に伴うエネルギーの移動 !! )!&+*#()$(!&+*#)($)"

Fig. 1 Energy conservation relation in a water discharged

fire compartment. ―54―

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− # 0'*#"/0 − #0'**"/0 "!#!$ 周壁に伴うエネルギーの移動 "!#!$ 開口を経由した失熱速度 "!#!$ 水分蒸発による潜熱消費速度 水分蒸発による顕熱発生速度 "!!!#!!!$ & − %)1*)"/%) + -2!%)1*)"/"() ここで,-2は気体の定圧比熱,( は気体温度,'*"は 可燃性ガスの発熱速度,'*#は開口部を経由した輻射 による失熱速度,'**は壁面への失熱速度,%)は水 分の蒸発潜熱,()は水分の蒸発温度である。なお実 際には,区画内に投入された水のうち,一部が区画内 ガス中で蒸発し,残りは可燃物上で蒸発する。ただし, 式&に示すように,本モデルでは区画内ガスと可燃物 の温度が等しいものと仮定し,両者の間の伝熱を陽に 定式化していない。これにより,可燃物表面上での水 分蒸発による冷却効果は,区画内ガス中でのそれと同 等の効果があるものと考え,便宜的に投入された水の 全てが区画内ガス中で蒸発する扱いとしている。 化学種濃度については,発熱速度の計算に必要な酸 素濃度と可燃性ガス濃度のみの計算を行うものとし, いずれも次の共通した保存式で表すことができる。 . .3!&/)/,+"/"" #*+"/ !# 0!1*/0,+"/!1*0/,+"0" "!!!!!#!!!!!$ 換気に伴う化学種の移動 "#$ 化学種の生成速度 ' ここで,,は化学種の質量分率,#*は化学種の生成 速度,下付き文字の+は化学種を表している。本モ デ ル で は,酸 素 や 可 燃 性 ガ ス と は 異 な り,水 蒸 気 (水)の質量分率の変化を陽に追跡することはしない。 これは,火災室に投入された水のうち,ある一定の割 合%)が区画内の状態に関係することなく蒸発すると 考えることで,計算上は質量分率の変化を考慮する必 要が無いためである。 また,気体の状態方程式は,区画内の気体が理想気 体であるとみなすことで,次のように表すことができ る16) &/(/"&(& ( 2.2 区画火災予測式と放水の各種効果 次に,基礎式%∼(を変形することで区画火災性状 の予測式を導く。まず,区画内温度については,保存 式%,&,(を変形することで,次のように時間変化 の式が得られる。 .(/ .3 "-&&$/)/$'*""/!#0-21*0/!(0!(/"!#0'*#"/0 !# 0'**"/0!%)1*)"/%)!-2!%)1*)"/"!()!(/"% ) 右辺[ ]内の第5,6項は,水分蒸発に伴う潜熱消費効 果(A)を表している。これを見ると分かるように,放 水速度1*)の大きさによって区画内温度の低下の度 合いが変化する。 区画内の化学種濃度については,保存式%,'を変 形することで次式を得る。 .,+"/ .3 "&/$)/$#*+"/!#01*0/!,+"0!,+"/"!1*$"/,+"/ !%)1*)"/,+"/% * ここでは,右辺[ ]内の第4項が区画内ガスの希釈効果 (B)を表しており,放水速度1*)が大きくなり,区画 内へ大量の水蒸気が供給されることによって,酸素濃 度および可燃性ガス濃度の低下がもたらされる。 以上,式),*の時間微分式を時々刻々積分するこ とで,時系列の区画火災性状の予測が可能となる。 2.3 放水による燃焼面積の減少 区画内の発熱速度'*"を見積もる上で重要となる可 燃性ガスの供給速度1*$は,単位面積当たりの可燃物 の熱分解速度1*$'に燃焼面積!$を掛け,次のように 計算される9) 1*$"1*$'!$ + 先に示した放水効果のうち,残る効果(C)については, この燃焼面積!$の減少として表すことにする。 クリブ火炎に対する放水の効果を実験的に調べた報 告11)によると,クリブ木材の燃焼諸条件と,消火に至 るまでに燃焼し,消費される可燃物質量#4$の間に 次のような関係が成り立つことが示されている。 #4$ 4$"#"#!&$% % )1*) 1*$"# ! "!$!(( , ただし,4$"#は放水が始まる時点での残存可燃物量, 1*$"#は放水開始時の可燃物の質量減少速度である。 ここで,放水による質量減少速度1*$'の減少が,時間 に比例して起こるものと考えると,#4$は次のよう に表される。 #4$"$%1*$"##3) -ただし,#3)を放水開始から鎮火に至るまでの時間 である。この関係を代入することで,式,は, #3)"#!)%' 41*$"# $"# ! " %)1*) 1$"# ! "!$!(( . と書き換えられる。ところで,式+の考えに基づけば, 燃焼面積の減少は時間に比例することから(Fig. 2), !$"!$"#!$)!3!3#" / ただし,!$"#は放水開始時の可燃物の燃焼面積,$) は減少係数(正の実数),3#は放水開始時間である。 すなわち,放水による燃焼面積の減少(効果(C))を 評価するには,式/に含まれる係数 $)を決定すれば よいことになる。ここで,燃焼面積!$が0となるま でに要する時間と,式.の消火に至るまでの時間に着 目すると,これらは同義とみなせることから,式/の ―55― (11)

(4)

時間'!'!を鎮火までに要した時間$'%と置き換える ことで,結局,次のように減少係数の値が得られる。 "%# !$'"!! % ! なお,消火活動時には,周囲の火災状況の進展に併 せて消火対象を変更したり,放水途中に貯水槽の水が 尽きたりすることで,鎮火に至る前に放水が中止され ることも想定される。こうした場合には,いわゆる '"曲線に従って再び区画全体に火災が拡大するもの とする。ただし,そのときの火災成長係数"は放水 前の火災成長係数と等しいものとする。 3.地域住民による消火活動 都市火災では,一般に複数の燃焼建物が存在するの で,消火活動に従事する地域住民(これ以降は消火活 動従事者と呼ぶ)は,この中から活動対象となる建物 を選び出すことになる。こうした選択行動を左右する 要因は,大きく,市街地の構造や火災の燃焼状況など の外的要因と,活動に従事する住民の判断などの人的 要因に分ることができる。ここでは,まず外的要因に 基づいて活動対象となり得る建物(活動可能建物)を 選び出し,さらに人的要因に基づいて実際に消火対象 となる建物(活動対象建物)を特定する,2段階の手 続きを経ることにする。 3.1 外的要因による活動可能建物の選択 外的要因には,以下の3つの要因を考慮することと し,これら全てを満足する建物に対して消火活動が可 能であるものとする(Fig. 3): (A1)消防水利から一定範囲内にあること。 (A2)燃焼領域内に孤立していないこと。 (A3)周囲温度上昇が一定値以下であること。 これらについて以下に説明する。 (A1)消防水利から一定範囲内にあること 本モデルでは,可搬式ポンプと消防ホースを利用し た消火活動を想定するが,これにはまず,活動対象建 物が消防水利から延伸されるホースの到達可能範囲内 にある必要がある。このとき,活動限界距離は,ホー ス総延長距離を,道路形状が屈曲していることを考慮 した係数で除すことで求まるものと考え,次のように 計算する。 &#$#"($#% " % " ここで,$#は消防ホースの一本の長さ,($#%はホ ースの最大接続可能本数である。なお本報では,各消 防水利につき,1つの消防ホースが接続可能であるも のと仮定する。 (A2)燃焼領域内に孤立していないこと 出火から時間が経過し,燃焼領域が大きく拡大すれ ば,消火活動従事者が燃焼領域内に取り残されること も考えられる。こうした場合には,火災建物からの強 い加熱を受けることになると同時に,避難経路が断た れる可能性もあるため,活動従事者の安全が確保され にくい。本モデルでは,活動従事者の合理的判断によ ってこうした事態は避けられるものと仮定する。すな わち,活動対象となり得る建物は,燃焼建物群を凸包 線で囲った領域の外周上にある建物とする。なお,対 象建物が燃焼領域の外周上にあるのか否かの判定には, Jarvis の算法を用いることとする17) (A3)周囲温度上昇が一定以下であること 有風時に大規模な火災が発生した場合には,燃焼建 物群の風下側に高温の熱気流領域が形成される。また

Fig. 2 Time rate change of burning area of combustibles

in relationship to water application.

Fig. 3 Restriction of target buildings of fire fighting

activ-ity due to circumference conditions. ―56―

(5)

多量の火の粉が頭上から飛散するために,円滑な消火 活動に支障を来たすことも考えられる。そこで本モデ ル で は,熱 気 流 に 曝 さ れ,周 囲 温 度 上 昇 が 一 定 値 #!#(以上の建物は,消火活動が困難な領域内にある ものとみなし,対象から除外する。

以上の外的要因(A1),(A2),(A3)による,活動 対象建物の制限を概念的に示したものがFig. 3 になる。 ここでは,正方形形状の平面を持つ建物が規則的に並 んでいる様子を表しており,そのうち,薄く着色され た部分が燃焼中の建物を表している。消火対象となり 得る建物は,上に記した3要因を重複して満足してい る必要があるが,ここに示した状況では,太線で囲わ れた建物2棟が該当することになる。 3.2 人的要因による活動対象建物の選択 外的要因に基づいて選び出される活動可能建物が1 つに絞られず,この数が利用可能な消火資機材の数よ り多ければ,この中の何れかを選び出して実際の活動 対象とする必要がある。こうした場合には,周囲の火 災状況や,活動従事者の経験,他の活動単位との連携 など,様々な要因が複雑に影響する中で判断が下され る。すなわち,活動対象となる建物を選択するための 基準には,例えば: (B1)市街地全体の要消火時間が最小であること。 (B2)ある特定の建物もしくは施設へ被害を及ぼさな いこと。 (B3)建物火災の規模が最大(もしくは最小)である こと。 (B4)他の消火活動単位が消火中の建物と同じ(もし くは違う)建物であること。 (B5)消防水利から最も近くに位置すること。 このうち,条件(B1),(B2)は,市街地全体の火災 状況を俯瞰した上での合理的な消火活動が可能な場合, 条件(B3),(B4),(B5)はそうした火災状況に関する 情報が入手できず,経験等に基づく個別の判断によっ て活動対象建物を選ぶ場合とも言える。ただし,これ らのうちいずれの基準が採用されるかについては不確 実な要因が多く,現段階での一般的なモデル化は困難 と思われる。そこで本研究では,暫定的に条件(B5) に基づいて活動対象建物の選択が行われるものと考え, 火災状況の推移や,他の従事者の活動状況には影響を 受けないものと考える。 3.3 活動開始時間および活動継続時間 次に,地域住民による消火活動の開始時間,ならび にその継続時間について考える。出火から間もない段 階では,火災の規模はおおむね時間の2乗に比例して 急激に拡大することから,活動開始時間の早さが消火 活動の成否を分ける大きな要因になっている。ここで は,地域内のある建物で火災が発生し,それに対して 消火活動が開始されるまでに,次の流れを経るものと する7) (1)火災の発生が地域住民によって覚知される。 (2)火災覚知後,地域住民が消防水利へ参集する。 (3)消防水利から火災建物までホースを延伸し,消火 活動の準備に入る。 ここで,出火から放水開始に至るまでの時間,活動開 始時間)%'%)は,上記(1),(2),(3)に相当する時間の 和として, )%'%)")!!)"!)# ! ただし,)!は覚知時間,)"は参集時間,)#は準備時間 とする。火災建物に対する放水は,活動開始時間)%'%) から,消防水利に貯蔵される水が全て使い切られるま で継続するものと考える。ここではこの期間を活動継 続時間)$$と定義し, )$$" "&$" " " ここで,""は消防水利の貯水量である。消火活動に おける一連の流れを時系列にまとめたものがFig. 4 に なる。

Fig.4 Initiation and duration of fire fighting activities.

―57―

(6)

(1)覚知時間 覚知時間'$の値は,活動開始時間'#%#'を適切に評 価する上で重要な要素であるが,地震火災では正確な 出火時間の把握がそもそも困難なこともあり,その実 態は十分に明らかにされているわけではない。また, 地震時に建物等の倒壊が発生しているような状況では, 出火場所周辺の混乱や,住民のパニック,行動障害が 発生することも多く,覚知時間'$の値はその時々の 状況によって大きく変動することが予想される。そこ で本研究では,計算時の余条件として覚知時間'$を 与えることとし,出火からある時間が経過すれば一義 的に覚知がなされるものと仮定する。 (2)参集時間 火災を覚知した住民は,消防資機材を保管してある 場所(消防水利に併置してあると考える)まで移動す る。ここでは,火災覚知が出火建物周辺の住民によっ てなされるものと仮定し,出火建物から消防水利まで の移動時間'%を参集時間と考えることにする。 '%" %!#( " ここで,! は出火建物から消防水利までの直線距離, は住民の参集速度である。だだし,式中の# は,式% !と同様,道路の屈曲を考慮した係数である。なお, 参集時間'%は覚知場所から消防水利までの道路の閉 塞状況などによっても大きく異なることが考えられる が,この点については本モデルでは考慮しない。 (3)準備時間 消防水利に到着した住民は,吸管やホースの連結な どといった所要作業を行った後,出火建物へと移動す る。これに要する準備時間'&については,防災市民 組織を対象とした既往の調査結果18)をもとに次のよう に計算する。 '&"&#!&')!&" # ただし,)はホースの延長本数である。 4.単室区画を対象としたケーススタディ これまでに定式化を行ってきたモデルの予測特性を 示すため,単室区画を対象としたケーススタディを行 った。なお,現時点では計算結果との比較に足る放水 時区画火災性状に関する情報が不足しているため,本 報では実験的知見との比較を通じたモデル検証を行う ことが出来なかった。この点については今後の課題と したい。 4.1 計算条件 ここでは,広さが6畳程度の空間を考え,床面を 3,500mm×3,500mm の正方形状,高さを2,300mm とした(Fig. 5)。ただし,区画を構成する部材には厚 さ100mm の ALC パネルを用い,壁面のうち1面には 高さ1,800mm,幅1,000mm の開口を設けた。ただ し,開口下端位置は地表面に一致させた。また,区画 内部には,単位面積あたりの質量が30kg/m2の木材が 可燃物として収納されているものとした。 区画火災に対する放水の効果を示すため,Fig. 5 に 示す3条件について計算を行った。すなわち,条件 (A)が放水を行わなかった場合,条件(B)が出火から 10分後に放水を開始した場合,条件(C)が出火から10 分後に放水を開始し,15分後に放水を中断した場合で ある。区画への放水速度$("は,D1級可搬ポンプ程 度の性能を想定して2.0kg/s とした19)。また,$( "の うち,実際に蒸発した水の比率!"は0.15(−)とした。 ただしこの値は暫定的であり,今後,消火実験を行う などして合理的な値を決定する必要がある。 4.2 計算結果および考察 それぞれの計算条件において得られた区画内温度, 酸素濃度,可燃性ガス濃度の時間変化を,Figs. 6, 7, 8 に示す。 ま ず,消 火 活 動 の 行 わ れ な か っ た 条 件(A)(Fig. 6)について見ると,出火から10分後には区画内温度 が900℃程度まで上昇し,その後,緩やかな温度上昇 を見せた後,35分を経過したあたりで内部の可燃物が 燃え尽き,温度の低下が始まっている。燃焼が継続し ている間,火災性状は概ね定常的な推移を示している が,このときの酸素濃度は0(−),可燃性ガス濃度は 0.07(−)程度の値をとっており,区画内は換気支配型 の火災となっていたことが分かる。 次に,出火から10分経過した段階で放水が開始され た条件(B)(Fig. 7)について見ると,放水の開始と 同時に始まった急激な温度低下が17分を経過するあた りまで継続し,その後,緩やかな温度低下へと移行し ている。すなわち,出火後約17分が経過した段階で火 災が鎮火され,それ以降の可燃性ガスの生成が抑えら

Fig. 5 Configuration of the compartment and water

appli-cation condition. ―58―

(7)

れていたことが分かる。このことは,6畳程度の空間の 盛期火災に対して D1級可搬ポンプで消火活動を行っ た場合,本モデルでは7分程度で鎮火可能との予測を 行うことを示している。なお,鎮火の少し前,出火後 14分あたりで区画内の可燃性ガス濃度が0(−)となり, 酸素濃度の上昇が始まっていることからも分かるよう に,区画内の燃焼が沈静化する過程で,換気支配型火 災から燃料支配型火災への移行が起こっていたことが 分かる。 条件(C)(Fig. 8)は,消防水利の枯渇や,消火 活 動対象建物の変更などの理由で,放水が中断した場合 を想定している。ここでは,放水が出火後10分から15 分までの間になされるとしたため,出火後15分が経過 するまでは,条件(B)(Fig. 7)と同じ火災性状の推移 を示した。放水を停止した15分からは,出火直後と同 様の急激な区画内温度の上昇がもたらされた。これは, 放水中断後の火災成長係数が,出火直後のそれと等し いと仮定したことによるものである。ただし実際は, 放水後の可燃物が湿気を多く含んでいるため,出火直 後の値に比べれば,いくらか小さな値をとることが予 想される。このことは,再燃した可燃物の消火容易性 を知る上でも重要な要因であることから,今後の検討 が必要と考えられる。結局,放水時間が5分間と短か ったこともあり,火災継続時間や区画内ガス温度の最 高値も,条件(A)の場合とほぼ同じとなった。 5.仮想的市街地を対象としたケーススタディ 次に,同じ条件の2階建て建物が,121棟(東西方向 に11棟,南北方向に11棟),等しい隣棟間隔4m で格 子状に並んだ,仮想的な市街地を対象としたケースス タディを行った。ここでは,消火活動の成否を左右す る要因として,住民による火災の覚知時間と,消防水 利の整備状況を取り上げ,これらの延焼防止上の効果 について調べた。 5.1 計算条件 本計算で想定した仮想的市街地の建物配置ならびに, 建物の形状をFig. 9 に示す。建物床面は一辺が8m の 正方形,階高は2.5m とし,建物内部の各階空間を検 査体積とみなした。また,既往の実態調査に基づき, 各外壁面には壁面面積の約3割20)に相当する開口部を 設けた。出火建物は市街地のちょうど中心に位置する 建物とした。その他の計算条件はTable 1 に示す通り である。なお,簡単のため,市街地風の影響は考慮し ていない。 ここでは,覚知時間と消防水利を検討項目として挙 げることとし,覚知時間については120秒間隔の6条 件,利用可能な消防水利の位置については4条件調べ た。これらをまとめたものをTable 2 に示す。ただし, Fig. 6 Predicted compartment fire behaviors in case (A).

Fig. 7 Predicted compartment fire behaviors in case (B).

Fig. 8 Predicted compartment fire behaviors in case (C).

Table 1 Parameters used in the calculation

―59―

(8)

消防水利(W1,W2,W3,W4)の位置はFig. 9 に示 す通りであり,いずれも出火建物から等距離にあるも のとした。また比較のため,消火活動が行われない場 合(条件(X))についても計算を行った。 5.2 計算結果および考察 条件(X),(A5),(C5)につい て,火 災 が 拡 大 し ていく様子を出火後40分が経過した時点から40分ごと に描いたものをFig. 10 に示す。ただし,燃焼中の建 Table 2 Calculation conditions for urban fire

Fig. 10 Fire spread behaviors in the hypothetical urban area.

Fig. 9 Alignment of buildings in the hypothetical urban

area and locations of water supply ports. ―60―

(9)

物を濃色,燃え尽きた建物を薄色で表示してある。ま た,図中の矢印はその時点で放水が行われている建物 を示している。 まず,消火活動を考慮していない条件(X)では,格 子状の建物の並びを反映し,南北軸,東西軸について 対称に火災が拡大していく結果が得られた。出火から 120分を経過すると,火災前線が計算領域の縁にまで 至っているが,一方で出火建物周辺の建物が燃え尽き た結果,火災前線に帯状の燃焼領域が形成されている のが分かる。消防水利 W1 のみが利用可能であった条 件(A5)では,本来燃えているはずのいくつかの建物 への延焼を未然に防ぐことができている。ただし,出 火から120分が経過した時点での焼失建物数は56棟で あり,放水がなされなかった場合(条件(X))の61棟 と比べて顕著な違いは見られなかった。消防水利 W1, W2,W3 が利用可能であった条件(C5)では,水利の 位置する北,西,南の各方向へはほとんど延焼してお らず,条件(A5)に比べて大幅な延焼防止効果の向上 が見てとれる。条件(A5)では出火建物の北側に水利 が設置されていたが,両者の北側への延焼だけを見て も,条件(C5)の被害は小さい。これは,同時に3機 の可搬ポンプが利用可能であったことで,火災の燃え 広がりが比較的小さい段階で延焼元となる火災を消し 止めることができ,その後の延焼拡大の大規模化を防 ぐことが出来たためと考えられる。なお,出火から120 分が経過した時点での焼失棟数は21棟となっており, 放水が無かった場合(条件(X))に比べると被害は1/3 程度に収まっている。 放水を行わなかった条件(X)と,覚知時間!!が600 秒の場合で利用可能な消防水利を変えた条件(A5),(B 5),(C5),(D5)について,焼失棟数の時間変化を示 したものがFig. 11 となる。これによると,可搬ポン プの数が2つまでの場合には,放水を行わなかった場 合と焼失棟数の推移は大きく変わらないことが分かる。 一方,可搬ポンプの数が3つ以上の場合には,比較的 良く火災の拡大を防ぐことができている。火災による 被害を食い止めるには,一般に,火災の外力が小さな 段階で,それに比べて大きな消防力を投入する必要が あることが知られている。ここでの結果は,こうした 消火の成否における限界消防力が定量的(今回は可搬 ポンプ3機)な形で存在することを示している。 次に,覚知時間!!と,出火から120分後の焼失棟数 の関係を示したものがFig. 12 となる。これによると, 可搬ポンプ1機の利用が可能な条件(A)の場合には, !!に関係なく焼失棟数は55棟前後となっており,放水 がない条件(X)の61棟と大差はない。なお,焼失棟数 が覚知時間!!の増加に合わせて単調増加するのでは なく,多少増減している。これは,計算ステップごと に活動対象建物を選び直すのではなく,実際の消火活 動を鑑みて,一度,消火活動対象建物を選択すれば最 低でも5分間は同じ建物に対して活動を継続すると仮 定したためである。これにより,火災状況に進展に応 じて活動対象建物の移行に差が表れたものと考えられ る。次に,可搬ポンプ2機の利用が可能な条件(B)の 場合には,!!が120秒以下であれば,焼失棟数を1棟 に抑えることが出来るのに対し,!!が240秒以上とな れば焼失棟数が直ちに50棟を越える結果が得られた。 こうした非連続的な焼失棟数の変化は,限界消防力が ある程度明確な形で存在していることを示唆している。 可搬ポンプ3機の利用が可能な条件(C)の場合にも, !!が120∼240秒を境目にして消火の成否が分かれた。 ただし,消火に失敗した場合であっても焼失棟数は20 棟前後であり,可搬ポンプの数が少ない場合に比べて

Fig. 11 Time transition of burnt or burning buildings.

Fig. 12 Relationship between detection time and number

of burnt or burning buildings.

―61―

(10)

被害は小さく抑えることが出来ている。最後に,可搬 ポンプ4機の利用が可能な条件(D)の場合には,"!に 関係なく,ほとんど延焼は起こらないとの結果が得ら れた。 6.まとめ 本研究では,区画火災に対する放水の効果を,水分 蒸発の物理的火災抑制効果に着目して定式化し,都市 火災延焼モデルへと組み込んだ。また,消火活動にお ける地域住民の行動を定式化し,活動対象となる建物 の選択,ならびに活動時間の評価を可能とした。まず, 開発したモデルを利用した区画火災シミュレーション を行い,消火による区画内ガスの温度低下,ならびに 化学種濃度の変化を予測可能であることを示した。次 に,同形状の建物121棟が格子状に並んだ仮想的市街 地を対象とした延焼シミュレーションを行い,火災覚 知時間と利用可能な消防水利の数を変化させ,両者に よる定量的延焼抑止効果を検討した。 ただし,区画火災に対する放水効果についての実験 的知見に乏しく,現時点ではモデルの定量的な検証は 行われていないままとなっている。また,本モデルを より合理的なものとするためには,以下の課題につい てさらに検討を加える必要があるものと考えている。 (1)区画内へ放水された水は,その全てが蒸発し消火 に寄与するわけではない。本モデルではこの利用 比率を一律に"!と与えたが,本来は区画内部の 火災状況などによって変化することが考えられる。 (2)本モデルで採用した放水速度と消火時間の関係は, 自由空間に設置されたクリブ火源に対する放水の 効果を調べた結果である。しかし,本来の建物火 災のようにある程度区画化された空間内では,燃 焼物に対する区画内ガスからの加熱強度が大きく, 大気中とは異なる化学種組成のガスが充満するこ とから,こうした関係も変化するものと考えられ る。 (3)本モデルでは,放水中断後に再度成長する火災の 成長係数!を,放水前のそれと同じであると仮 定した。しかし,放水後の可燃物はより多くの湿 気を含んでいることから,放水前の比較的乾燥し ている状態と比べると成長速度も小さくなるもの と考えられる。 (4)火災時の放水は,大きく,燃焼している建物への 直接的な放水と,火災建物に隣接する建物への延 焼阻止を目的とした放水に分けることができる。 本モデルで扱った内容は前者についてであり,現 時点で後者の効果を評価することは出来ない。し かし,火災の規模がある程度大きくなれば,まだ 着火していない建物に放水を加える方が,延焼防 止上,より有効に働く場合もあるものと考えられ る。 また本論文では,計算モデルによる予測結果を,過 去に発生した大火の実測記録と比較するまでには至っ ていない。将来的には,酒田市大火など,当時の消火 活動の内容が詳細に記録されている事例との比較を行 うことで,住民行動モデルを含めたモデル全体の妥当 性検証ならびに改良を進めていく必要があるものと考 えている。 参考文献 1)堀内三郎:都市の消防施設に関する研究,京都大 学学位論文,1961. 2)保野健治郎・高井広行・難波義郎:建物火災の放 水による延焼阻止効果に関する基礎的研究,日本 火災学会論文集,Vol.32,No.2,pp.57‐65,1982. 3)亀野弘昭:震災消防活動の動的モデルの構築とモ デルに基づくシミュレーション,消防科学研究所 報,39号,pp.149‐154,2002. 4)佐藤貴茂・熊谷良雄・渡辺正樹:消火・救助活動 管理システムの開発と活用方策,日本火災学会論 文集,Vol.53,No.1,pp.9‐16,2003. 5)吉澤亮・加藤孝明・小出治:震災時における地域 消防力の初期消火可能性に関する評価,消防科学 研究所報,41号,pp.197‐202,2004. 6)高堀章・糸井川栄一・熊谷良雄・中野孝雄・齋藤 正俊・田鍋憲一・藤井啓:震災時における消防力 運用管理システムの開発,地域安全学会梗概集, pp.27‐30,2004. 7)井手寛貴・関沢愛・西田幸夫:震災時の火災に対 する地域消防力の評価に関する研究,日本火災学 会研究発表会概要集,pp.134‐137,2005. 8)石川真知子・中野孝雄・阿出川悟・糸井川栄一・ 加藤孝明:震災時における消防団の災害対応能力 評価に関する研究,日本火災学会研究発表会概要 集,pp.342‐345,2006. 9)樋本圭佑・田中哮義:都市火災の物理的延焼性状 予測モデルの開発,日本建築学会環境系論文集, No.607,pp.15‐22,2006.

10)Rasbash D.J., Rogowski Z.W., Stark G.W.W. : Mechanisms of extinction of liquid fuels with water sprays, Combustion and Flame, Vol.4, pp.223-234, 1960.

11)Kung H.C., Hill J.P. : Extinction of wood crib and ―62―

(11)

pallet fires, Combustion and Flame, Vol.24, pp.305-317, 1975.

12)Tamanini F. : A study of the extinguishment of verti-cal wood slabs in self-sustained burning of water spray application, Combustion Science and Technol-ogy, Vol.14, pp.1-15, 1976.

13)高橋哲:クリブモデル火災の消火諸現象の定量化,

日本火災学会論文集,Vol.29,No.1,1979. 14)Mawhinney J.R., Dlugogorski B.Z., Kim A.K. : A

closer look at the fire extinguishing properties of water mist. Fire Safety Science, Proc. of 4th Int'l Symp., 1994.

15)Back G.G., Beyler C.L., Hansen R. : A quasi-steady model for predicting fire suppression in spaces

pro-tected by water mist system, Fire Safety Journal, Vol.35, pp.327-362, 2000. 16)田中哮義:改訂版建築火災安全工学入門,日本建 築センター,2002. 17)伊理正夫監修:計算幾何学と地理情報処理第2版, 共立出版,1993. 18)地震時における消防活動体制のあり方,火災予防 審議会答申,2003. 19)動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令,自 治省省令,第三十七号,1998. 20)まちづくりにおける防災評価・対策技術の開発, 国 土 交 通 省 総 合 技 術 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 報 告 書,2003. ―63― (19)

Fig. 1 Energy conservation relation in a water discharged fire compartment.
Fig. 3 Restriction of target buildings of fire fighting activ- activ-ity due to circumference conditions.
Fig. 6 Predicted compartment fire behaviors in case (A).
Fig. 9 Alignment of buildings in the hypothetical urban area and locations of water supply ports.
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参照

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