青 森 保 健 大 紀 要 2(1),119-132,2000
患 者 −看 護 婦 関 係 に お け る 共 感 プ ロ セ ス と
そ の 影 響 因 子
藤本
真 記 子1)Empathic
Process
in Patient-Nurse
Relationship
and
Its Affectors
Makiko
Fujimoto
1)
Summary
Concepts such as caring and healing are currently being emphasized in the field of nursing and the importance of the patient-nurse relationship, and especially empathy, has attracted attention again. However, although nurses take care of patients by empathizing in actual practice, empathy cannot be effectively utilized due to the ambiguity of the concept under present circumstances. This concept must be clearly defined.
In this study, the empathic process and its affectors were determined inductively by interviewing 31 nurses who worked in the medical ward of a certain prefectural hospital in the Tohoku region of Japan using a semi-structured questionnaire. In addition, the relationship between the respective steps of the empathic process and an Emotional Empathy Scale were examined.
Results revealed that the emphatic process proceeded as follows: "first impression", "independent awareness", "empathic understanding"
, "positive commitment" (desire to relieve patient's pain --> commitment -->. changes in patient), and "deepening and growth of relationship with mutual trust". "Private room", "severity", and "an attitude of reception by the patient and family" were factors on the patient's behalf while "experience", "attitude", and the "nursing care system" on the nurse's behalf that affected the empathic process. There was no significant difference in the score on the Emotional Empathy Scale, which classified the patient-nurse relationship described by the subjects of this study into 3 groups along the conceptional framework of the empathic process, suggesting the necessity of development of an empathy scale in nursing.
As a result, this study clarified the empathic process and affectors, which nurses were not highly aware of in daily practice, verified Travelbee's model and Syodai's model, and specified the need for an active commitment.
(J.Aomori Univ.Health Welf.2:119 —132, 2000)
キ ー ワ ー ド:患 者 − 看 護 婦 人 間 関 係 、 共 感 patient-nurse relationship,empathy 要 旨 現 在 、 看 護 学 分 野 にお い て 、 ケ ア リ ング 、癒 し とい っ た概 念 が 重 要 視 され 、 患 者 −看 護 婦 関係 、 中 で も共 感 の 重 要 性 が 改 め て注 目 され て い る 。 しか し、看 護 婦 は実 践 場 面 で この こ と に配 慮 して 関 わ っ て い な が ら、 そ の概 念 の 曖 昧 さか ら効 果 的 に活 用 で き な い現 状 に あ り、 そ の 明 確 化 が 求 め られ て い る。 本 研 究 で は 、東 北 地 方 の 某 県 立 病 院 内 科 系 病 棟 に勤 務 す る看 護 婦31名 を対 象 に 、 半 構 成 的 質 問 紙 に よ る面 接 に よっ て 、 共 感 プ ロ セ ス とそ の影 響 因 子 を帰 納 的 に導 き 出 o
した 。 ま た 、 共 感 プ ロセ ス の各 段 階 と情 動 的 共 感 性 尺 度 との 関 連 性 を 検 討 した 。 結 果 、共 感 プ ロ セ ス は 『第 一 印象 』、『独 自性 の 気 づ き』、 『共 感 的 理 解 』、『積 極 的 関 わ り』:苦痛 を和 ら げ た い 思 い → 関 わ り→ 患 者 の 変 化 、『信頼 関係 の深 ま り・成長』 と進 む こ とが 明 らか に な っ た 。 共 感 プ ロセ ス に は 、 患 者 側 の 要 因 で あ る 「個 室 」 「重 症 度 」 「患 者 ・家 族 の受 け 止 め 方 」、 看 護 婦 側 の 要 因 で あ る 「経 験 」 「姿 勢 」 「看 護 ケ ア体 制」 が 影 響 して い た 。 ま た、 この 共 感 プ ロセ ス の概 念 枠 組 み に沿 っ て 、 本 研 究 対 象 者 の語 っ た患 者 関 係 に つ い て段 階 別 に3群 に 分 類 した 情 動 的共 感 性尺 度 得 点 に は 有 意 差 が な く、 看 護 にお け る 共 感 ス ケ ー ル 開発 の 必 要 性 が 示 唆 さ れ た 。 以 上 か ら、 本 研 究 で はふ だ ん の 実 践 で 看 護 婦 が あ ま り 意 識 して い な い 共 感 プ ロセ ス 、 影 響 因 子 を明 確 にで き、 トラ ベ ル ビー や 小 代 の モ デ ル を大 枠 に お い て検 証 し、 積 極 的 関 わ りの 部 分 を よ り明 細 化 で きた と考 え る。 緒 言 1.は じめ に 現 在 、 高 度 な医 療 技 術 の 発 展 や 疾 病 構 造 の 変 化 、 あ る い は社 会 構 造 の 複 雑 化 な ど に伴 って 、 患 者 ケ ア の あ り方 が 変 化 し、“キ ュ ア か らケ ア”へ 、視 点 の変 換 が 叫 ば れ て い る 。看 護 に お い て もケ ア リ ン グ、 癒 し とい っ た概 念 が 重 要 視 され る よ う に な っ て お り、患 者 一看 護 婦 関 係 の 重 要 性 が 、 改 め て 注 目さ れ て い る とい え よ う。 人 間 は 、 人 と人 と の 関 わ りの 中 で 、 支 え られ る こ と に よ っ て癒 され 、癒 さ れ る こ とで そ の 人 自 身 の 能 力 を、 よ り効 果 的 に発 揮 で き る 。 す な わ ち 、 患 者 −看 護 婦 関係 の 成 立 が あ って こそ 、 患 者 が 自 らの健 康 問 題 を解 決 で き る よ う に な り、 そ の 人 ら しい 生 活 を送 る と い う、 看 護 の 目 標 が 達 成 され る こ と に つ な が る。 で は 、看 護 婦 が 、 ど の よ う に患 者 に関 わ れ ば 、 患 者 を 支 え、 癒 す こ とが で き るの で あ ろ う か。 操1)は 、 看 護 婦 が 患者 に 向 か い合 う姿 勢 で あ る と し、患 者 の 置 か れ て い る状 況 、 思 い に共 感 し、 患 者 を察 し、気 づ か う看 護 婦 の 思 い を看 護 ケ ア の 中 に投 影 させ て い く こ と だ と述 べ て い る 。 人 間 関係 理 論 を著 した ペ プ ロ ウ2)や トラ ベ ル ビ ー3) も、 共 感 を重 視 し、 そ の 関係 の 中 で 、 患 者 の み な らず 、 患 者 ・看 護 婦 が 共 に成 長 す る こ と を強 調 し て い る 。 共 感 の 概 念 が 、 看 護 にお い て も影 響 力 を持 ち始 め た と い わ れ る1950年 代 以 降 、 共 感 の 定 義 は 様 々 な研 究 者 に よ っ て さ れ て きた が4)、50年 近 くを経 た 現 在 で も 、 明確 に は な っ て お らず 、実 践 場 面 に お い て も個 々 の 看 護婦 が 、 共 感 の 重 要 性 を 意 識 しな が ら も、 そ の 曖 昧 さか ら、 な か な か 実 感 で き な い状 況 に あ る。 しか し、 実 際 に は、 看 護 婦 が 看 護 ケ ア を行 う際 に 、患 者 の状 況 ・思 い を理 解 し よ う と配 慮 して い る こ とが 推 察 で き る。 した が っ て 、 この 共 感 の 概 念 、 プ ロ セ ス な ど を、 臨床 場 面 に 沿 っ て 明 らか に す る こ と に よ っ て 、看 護 婦 が 、患 者 と 自分 の 間 に起 こ っ て い る現 象 を見 き わ め られ る よ う に な れ ば 、 共 感 の 効 用 を 実 感 で きる の で は な い だ ろ う か 。 この こ とは 、 看 護 婦 が 、 自分 自 身 の 有 効 性 ・有 用 性 を認 め る こ と に結 び つ き、 更 な る 患 者 との 関 係 成 立 に向 け て 、 意欲 的 に ケ ア を実 践 して い くこ とに な る と思 わ れ る。 こ の よ う な 意 味 にお い て 、今 、 共 感 に つ い て の研 究 の 進 展 が 望 ま れ る とい え る で あ ろ う。 2.文 献 検 討 「共 感(empathy)」 とい う語 は 、 ドイ ツ の 美 学 の分 野 で 使 わ れ て い た 「感 情 移 入 」 の概 念 を、 リ ッ プ ス が心 理 学 に取 り入 れ 、 テ ィ ッチ ェ ナ ー が 英 訳 した もの で あ る5)。 我 が 国 で は 、 「empathy」 と 「sympathy」 は 、 共 感 の 他 に 感 情 移 入 、同 情 、同感 と訳 さ れ て い る。「共 感(empathy)」 を共 感 者 が 意 識 的 か つ 客 観 的 に相 手 の 気 持 ち を と らえ る もの 、 「同 情(sympathy)」 を相 手 へ の憐 れ み で あ り 自分 の 感 情 で相 手 をみ る もの と 区別 して 使 用 す る研 究 者6,7)も い る。 しか し、 同情 を 「共 感 の変 形 され た感 情 反 応 」 と す る説8)も あ り、特 に 日本 に お い て は 、相 手 との 一 体 感 を求 め る とい う文 化 的心 理 特 性9)か ら、 他 人 の 気 持 ち 、 特 に苦 悩 を 自分 の こ との よ う に親 身 に な っ て 共 に感 じる こ と と して 、 共 感 と同情 を明 確 に 区 別 して い ない5)。 看 護 に お い て は、 ペ プ ロ ウ2)や トラベ ル ビー3)が 、 人 間 関 係 理 論 と して の モ デ ル を示 し、 この 中 で 、 相 互 理 解 の体 験 と して 共 感 の 重 要 性 を述 べ て い る。 また 、 マ ッケ イ ら10)は、 ラ-モ ニ カ11)の共 感 の定 義 「援 助 者 が 患 者 を 中心 に考 え 、患 者 の 世 界 と共 に患 者 の 世 界 の な か で 感 じ る もの で 、 共 感 は 援 助 者 に よ る患 者 の 世 界 の正 確 な認 識 とそ の 理 解 の患 者 へ の 伝 達 、 そ して そ の 理 解 に対 す る患 者 の 認 識 とか ら成 り立 つ 」 を も とに 、 共 感 プ ロ セ ス を提 示 して い る。 これ らの モ デ ル で は、 そ れ ぞ れ の プ ロセ ス を経 過 す る こ とで 、 患 者 の態 度 変 容 が うな が され 、 患 者 あ る い は 患 者 ・看 護 婦 相 互 に成 長 す る と して い る が 、 ま だ臨 床 の 場 で 具 体 的 に検 証 され て は い な い 。 日本 にお い て は 、小 代12)が 、看 護 場 面 の 参 加 観 察 と看 護 婦 へ の 面 接 か ら、 共 感 プ ロセ ス と そ の 要 因 を 明 らか に して い る が 、 前 述 の マ ッケ イ の モ デ ル は 、 共 感 した こ と を看 護 婦 が 患者 に伝 え た 後 の変 化 の プ ロ セ ス を述 べ 、小 代 は、 共 感 が お こ る ま で の プ ロ セ ス を述 べ て い る た め一 致 は み られ て い な い。 共 感 プ ロ セ ス の 要 因 に つ い て は 、小 代12)が 、 患 者 の 特 性 「疾 患 」 「同情 的背 景 」 「性 格 」 「ケ ア量 が 多 い」、 看 護 婦 の特 性 「患 者 へ の 興 味 ・関 心 」 「類 似 体 験 」 「ケ アへ の 積 極 的 姿 勢 」 「性 格 」、環 境 因子 「閉 ざ さ れ た 場 」、状 況 因 −120−
子 「患 者 を と りま く人 た ち の協 力 的 態 度 」 等 を、 小 田13) は 、 「患 者 の 病 状 」 「患 者 の境 遇 、 背 景 」 「患 者 の 人 柄 」 「患 者 と看 護 者 自 身 の 家 族 と の 共 通 性 」 「病 棟 の他 の ス タ ッ フ」 「看 護 者 の持 ち 味 」 を挙 げ て お り、 患 者 −看 護 婦 関 係 成 立 の重 要 な影 響 因子 で あ る こ と を述 べ て い る 。 なお 、共 感 を測 定 す る尺 度 と して は、「患 者 の 信 頼 」 と い う点 に着 目 し て、 岡 谷14)が、 ス ケ ー ル 開 発 を試 み て い るが 、 ま だ 一 般 化 さ れ る に至 っ て い な い 。 こ の よ う に、 日本 に お い て も徐 々 に共 感 につ い て の 研 究 が 進 み つ つ あ る が 、 国 内 、 海 外 共 に、 看 護 学 分 野 にお い て は 共 感 の 概 念 、 影響 因 子 、 共 感 プ ロ セ ス あ る い は尺 度 とい っ た もの の コ ンセ ンサ ス は得 られ て い な い 。 3.研 究 目的 臨 床 にお け る患 者-看 護 婦 関係 か ら、 関 わ りの 中 で の 「共 感 」 と は どの よ う な現 象 で あ る か を確 認 す る こ と に よ って 、 共 感 の概 念 、 影 響 因子 につ い て検 討 す る。 1)看 護 婦 が と ら え る患 者 −看 護 婦 関 係 を分 析 し、 「共 感 」 の プ ロ セ ス を明 らか にす る。 2)患 者-看 護 婦 関 係 に お け る共 感 プ ロ セ ス に、 影 響 を 及 ぼす 要 因 を明 らか に す る。 研 究 方 法 1.研 究 デ ザ イ ン 本 研 究 課 題 は 、 看 護 婦 の 知 覚 ・感 情 ・思 考 等 の 内 面 的 世 界 並 び に そ れ に基 づ く行 動 ・反 応 を扱 う こ とか ら、研 究 デザ イ ンは 、 帰 納 的 ・質 的研 究 方 法 と した。 具 体 的 方 法 は 、半 構成 的 質 問紙 に よ る面 接 を行 い 、 内容 分 析 に よ り患 者 −看 護 婦 関係 に お け る共 感 プ ロセ ス 並 び に影 響 因 子 を抽 出 し、 そ の共 通 性 ・相 違 性 か ら概 念 枠 組 み を作 成 した 。 こ の 方 法 は、 「研 究 し よ う とす る 現 象 が 大 まか に は わ か っ て い て も、 そ れ を説 明 した り予 測 した りす る適 切 な 理 論 を持 た な い 場 合 」 に有 効 とい わ れ て お り15)、我 が 国 の看 護 実 践 にお い て 、曖 昧 な 形 で と ら え られ て い る患 者-看 護 婦 関 係 にお け る共 感 プ ロ セ ス につ い て 、現 実 に は ど の よ う な形 で 行 わ れ て い る の か を探 究 す る の に適 切 な 方 法 で あ る と考 え た 。 また 、 共 感 性 の 程 度 は 、 そ の 人 の対 人態 度 に影 響 す る と され 、 心 理 学 者 に よ っ て 共 感 や 同情 が利 他 的 行 動 に結 び つ い て い る と示 唆 さ れ て い る こ とか ら5)、質 的 研 究 方 法 で 得 られ た結 果 か ら分 類 され た群 で 、研 究 対 象 者 の と らえ た患 者-看 護 婦 関係 が この 性 格 特 性 に影 響 され る の か 、 加 藤 ・高 木 の 「情 動 的 共 感性 尺 度(EES;Emotional Empathy Scale)」16)を用 い て検 討 した。 2研 究対 象者 東北地 方の某 県立病 院 内科 系病 棟 に勤務 す る研 究協 力 が得 られ た看護婦31名 。 3.デ ー タ 収 集 方 法 調 査 は 、 イ ン タ ビ ュ ー の 際 、研 究 対 象 者 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン を円 滑 にす る た め 、病 棟 の 雰 囲気 並 び に研 究 対 象 と な っ た 看 護 婦 の 日常 的 な患 者 との対 応 の 仕 方 、 援 助 行 動 に つ い て 、 ケ ア に参 加 しな が ら観 察 し た後 、 イ ン タ ビ ュ ー を依 頼 した 。 イ ン タ ビ ュー は勤 務 時 間外 と し、 研 究 対 象 者 の 指 定 す る 日 時 に 実 施 し た。 ま た 、 イ ン タ ビ ュ ー終 了 後 に質 問 紙 の 回答 を求 め た 。 1)面 接 お よ び 質 問紙 調 査 面 接 は 、 個 室 状 況 下 で 行 い 、 面 接 中 、 他 者 が 入 室 す る こ とで会 話 が 中 断 され な い よ う に した 。イ ン タ ビュ ー は、 半 構 成 的 質 問 事 項 に基 づ い て 実 施 し、 質 問 内 容 は、 ① 看 護 経 験 の 中 で 印象 に残 っ て い る患 者 との 関 わ りと そ の状 況 、② そ の 関係 に影 響 した と思 わ れ る要 素 、③ 共 感 に つ い て の 考 え方 、④ 患 者 と関 わ る際 に心 が け て い る こ と な ど につ い て で あ る。 印象 に残 っ て い る患 者 と した の は 、 研 究 対 象 者 に と っ て そ の 患 者 関係 につ い て 語 りや す く、 本 研 究 目的 の 内 容 が 得 られ や す い と考 え た た め で あ る。 質 問 の 順 序 は 流 動 的 で 、 会 話 の流 れ や 研 究 対 象 者 の 反 応 な どで 変 え た 。 ま た 、研 究 対 象 者 が 、 質 問 の 主 旨 を理 解 で き な い と き に は 、理 解 で き る よ うに 言 い 換 え を行 っ た 。 面 接 内 容 は 、研 究 対 象 者 の 了 解 を得 て す べ て 録 音 し、 逐 語 的 記 録 を作 成 した 。 面 接 時 間 は1人1時 間 前 後 で 、 こ の研 究 に お い て得 られ た 逐 語 的 記 録 の総 枚 数 は 、B4版 集 計 用 紙218枚 で あ る。 次 に 、 面 接 終 了 後 に、 情 動 的 共 感 性 尺 度(25項 目、7 段 階 評 定)の 質 問紙 調 査 を 実 施 した 。 この ス ケ ー ル は 、 個 人 の性 格 特 性 と して の 共 感 性 を測 定 す る方 法 と して 、 メ ラ ー ビ ア ン ・エ プ ス タ イ ンが 作 成 した 成 人 用 共 感 尺 度 を も と に、 加 藤 ・高 木 が 日本 人 の生 活 条 件 や 生 活 感 情 に ふ さわ しい 内容 に 修 正 した もの で 、 妥 当 性 、信 頼 性 が 確 認 され て い る た め に使 用 した 。 2)倫 理 的 配 慮 面 接 に あ た っ て 、 対 象 者 毎 に研 究協 力 依 頼 書 を示 し、 研 究 の 意 図 と大 まか な面 接 内 容 を説 明 した 。 そ の 際 、研 究 対 象 者 の権 利 の 擁 護 につ い て 、研 究 以 外 に デ ー タ は用 い ない こ と、 個 人 の秘 密 は厳 守 す る こ と等 を伝 え 了 解 を 得 た 。 ま た 、 参 加 観 察 で得 た研 究 対 象 者 の 印 象 が 面 接 時 に影 響 しな い よ う に留 意 し た。 3)期 間 平 成10年5月 中 旬 か ら9月 下 旬 ま で 。
4デ ー タ の 分 析 方 法 1)面 接 内 容 の 逐 語 的 記 録 を も と に、1事 例 毎 に デ ー タ の 中 か ら患 者 −看 護 婦 関 係 並 び に そ こ に影 響 した 因 子 と 思 わ れ る 部 分 を抽 出 、 コー ド化 し、 そ れ を 比 較 しな が ら 分 析 を繰 り返 した 。 抽 出 した コ ー ドを カ テ ゴ リー 化 し、 そ の 関 連性 を検 討 して意 味 づ け、 最 終 的 に共 感 プ ロ セ ス の概 念 化 を行 っ た 。 な お 、デ ー タの コ ー ド化 、カ テ ゴ リー 化 につ い て は 、 ス ー パ ー ビジ ョ ンを受 け なが ら進 め た 。 2)本 研 究 で 得 られ た 共 感 プ ロセ ス の概 念 枠 組 み に基 づ き、 各 対 象 者 が 語 っ た 患 者-看 護 婦 関係 が ど の段 階 に ま で至 っ て い る の か再 分 類 した 。 複 数 の 関係 につ い て 語 っ た場 合 に は 、そ れ ぞ れ につ い て 検 討 し、最 も関 係 が 深 ま っ た と思 わ れ る 事 例 を選 択 して分 類 に用 い た 。 ま た 、 各 段 階 毎 に影 響 因 子 の 違 い につ い て も再 検 討 した 。 な お 、 分 類 は 、 共 感 プ ロセ ス で 得 ら れ た概 念 枠 組 み を も とに 、研 究 者 お よ び研 究 指 導 者2名 と、分 類 に つ い て の 一 致 度 をみ た 。31名 中 、87.1%の 一 致 率 で 、 一 致 しな い4事 例 につ い て は3者 間 で 検 討 を加 え、 分 類 した 。 3)質 問紙(情 動 的 共 感 性 尺 度)の 分析 は 、 手 続 きに し た が っ て 数 量 化 し、25項 目の 各 項 目得 点 、3つ の 下 位 尺 度 「感 情 的 暖 か さ」 「感 情 的 冷 淡 さ」 「感 情 的被 影 響 性 」 毎 の 合 計 得 点 、総 合 得 点 を算 出 し、因子 分 析 に よ りス ケ ー ル の 構造 を再 確 認 した 上 で 、2)で 得 られ た共 感 プ ロ セ ス の 段 階 に よ り グ ル ー プ 化 さ れ た3群 問 で 、Kruskal-Wallis検 定 、 χ2検 定 を行 っ た。 な お 、 デ ー タ解 析 は 、 HALBAU Ver.4の 多 変 量 解 析 パ ッケ ー ジ 、 基 礎 統 計 パ ッ ケ ー ジ を使 用 した 。 5.用 語 の 操 作 的 定 義 本 研 究 で 使 用 す る用 語 の 定 義 は以 下 の 通 りで あ る。 患 者 −看 護 婦 関 係:患 者 が 自分 の 健 康 問 題 を認 識 し、 自 己 の 力 に よ っ て問 題 に対 処 し、 そ れ らの 経 験 を 通 して 成 長 発 達 を促 す こ とを 目的 と した 、 看 護 婦 の 意 図 的 ・専 門 的 な相 互 作 用 。 共 感:澤 田5)の 定 義 に基 づ き、 本研 究 で は 同 情 を含 み 「相 手 の気 持 ・感 情 を そ の 人 の 身 に な っ て 感 じる こ と」 と した 。 共 感 プ ロ セ ス:共 感 は 関係 の 中 の あ る時 点 で お こ り、 そ れ が 繰 り返 され る こ とに よ っ て、 そ の 関 係 を 変 化 させ て い く。 そ こで 、 「患 者 −看 護 婦 関 係 に お い て 、看 護 婦 が 患 者 を共 感 的 に理 解 す る とい う こ とが 、 どの よ う に行 わ れ 、 そ の 結 果 、 どの よ う な変 化 が 生 じる の か とい う、 経 過 の み ちす じ」 と した 。 名 、40代12名 、50代5名 で 、 平 均 年 齢 は39.1才 で あ っ た 。 経 」験 年 数 は1年 か ら30年 で 、5年 未 満4名 、5年 以 上 10年 未 満4名 、10年 以 上15年 未 満2名 、15年 以 上20年 未 満12名 、20年 以 上25年 未 満4名 、25年 以 上5名 で 、 平 均 経 験 年 数 は 、16.5年 で あ っ た 。 対 象 者31名 の う ち 、 ス タ ッ フ ナ ー ス は24名 、 主 任 看 護 婦 が7名 で あ っ た 。 教 育 背 景 と し て は 、 看 護 婦3年 課 程16名(う ち1名 は 保 健 婦 免 許 取 得)、2年 進 学 課 程9名 、短 期 大 学3年 課 程 4名 、 准 看 護 婦 課 程2名 で あ っ た 。 生 活 背 景 に 関 し て は 、 既 婚 者 は19名 、 独 身 者12名 で 、 子 供 が い る 者 が17名 で あ っ た 。 な お 、 イ ン タ ビ ュ ー の 中 で 語 ら れ た 患 者 は 、 年 齢 が30 代 か ら70代 で 、60代 ・70代 が14名 で あ っ た 。 性 別 は 男 性 20名 、女 性11名 で 、疾 患 は 悪 性 新 生 物19名 、糖 尿 病7名 、 全 身 性 エ リ テ マ トー デ ス2名 、 そ の 他3名 で あ っ た 。 2.患 者-看 護 婦 関 係 にお け る 共 感 プ ロセ ス とそ の段 階 1)患 者-看 護 婦 関 係 に お け る 共 感 プ ロ セ ス 研 究 対 象 者 の逐 語 的 記 録 を分析 し、31事 例 の抽 出 され た カ テ ゴ リ ー の 関 連 性 を検 討 した とこ ろ 、 図1の よ う に 共 感 プ ロ セ ス と そ の 影 響 因 子 の 概 念 枠 組 み が 明 ら か に な っ た 。 看 護 婦 が 患 者 と出会 っ た 際 、 相 手 に対 し 自分 の観 察 や 患者側影響因子 個 室 重症度 患者 ・家族の 受け止め方 【共感 プ ロセス 】 第5段 階:『 信頼 関係 の深 ま り ・成長』 第4段 階:『 積極 的関 わ り』 患者 の変 化 関わ り 和らげたい思 い 第3段 階:『共 感 的理解 』 第2段 階:『 独 自性の 気づ き』 第1段 階:『 第 一印 象 』 図1.共 感 プ ロセ ス とそ の影 響 因子 看護婦側影響因子 経 験 姿 勢 看護ケア体制 結 果 1.対 象 者 の 属 性 対 象 者 の 年 齢 は 、21才 か ら56才 で 、20代6名 、30代8 得 た情 報 か ら価 値 判 断 を し、「・・の よ うな 感 じ」 とい っ た 印 象 を抱 く。 こ の段 階 を 『第 一 印象 』 と した 。 次 に 、患 者 との 関 わ りにお い て 、 看 護 婦 は患 者 ・家 族 を他 の 患 者 とは 明 確 に 区 別 し、 異 な っ た存 在 と して 知 覚 して い く。 この段 階 は 『独 自性 の気 づ き』 と した 。 第3段 階 は、患 者 ・家 族 が 今 どん な こ とに 揺 れ 動 い て い る の か 、 そ の 気 持 に気 づ い て い く 『共 感 的 理 解 』 の 段 階 で あ る 。 第4段 −122−
階 で は、 患 者 の不 安 や 苦 痛 な どの 気 持 に気 づ い た こ とか ら、 看 護 婦 に何 とか した い とい う 「和 らげ た い 思 い」 が お こ り、和 らげ る行 動 をい ろい ろ と試 してみ る 「関 わ り」、 結 果 と して患 者 との 結 び つ き に変 化 を感 じ る 「患 者 の 変 化 」 の3つ の カ テ ゴ リー に分 類 さ れ た 。 この 第4段 階 を 『積 極 的 関 わ り』 と した 。 第5段 階 は 、患 者 ・看 護 婦 が 互 い に 関係 を発 展 させ 、 患 者 が 以 前 とは違 う行 動 に変 化 した り、 看 護 婦 自身 も何 か を学 ん で 成 長 した り、 そ の 関 係 の 中 で 共 に癒 され た りす る 『信 頼 関 係 の深 ま り・成 長 』 の段 階 で あ る 。 以 下 に、 こ の5つ の 段 階 を経 過 した 特 徴 的 な事 例 を示 した 。 なお 、 文 中 の(〉 は 、 研 究 者 に よ る 補 足 部 分 で あ る 。 事 例26 す ご く難 比 ケー スだ った と思 うの。二 人暮 ら しで もあっ た し身 内 と 連 絡が 全 くな くて、 身 元 引受 人が ないよう な状 態 だ っ た の で …。自 分 が今 ま で 二 人暮ら し してき た か、頑 固に こう 、私たちの 意 向が ね 、受 け入 れ られ な い。 … 下半 身麻痺 が 徐 々 に 進行 して きた ん だ け ど、来 た とき には支 え られ れ ば よ うや く起 立 で きる状 態 だ っ た ので 、“自分 はトイレ に行っ て排 便 したい 。.大丈 夫車椅子 に も乗 れる” っ て い うそ うい う感 覚 が 強 くって … 。“じゃ、 やって みる か ら” とい う こ とで(看 護 婦)2人 でトイレに 移 動 して 、 よ うや く事 故 な くで きた って 感 じなん だ よ ね。本人 も 自分 のそ の現 状 をそこ で は っ きり わ か った とい う感 じで …。そ うで な け れは“絶対 だ め だ、お れは 行 くん だ” って い う感じ 、 自分 の 気 持 ち一 点 張 りで … 。 強 い (性活) で す よ。 それ で も、“(大転 子 部 の発 赤が)こっ ち良く なっ てる よ 、.こっち ち ょっ とひ どくなっ て きたよ” っ て言 え ば、“あ、んだ が(そ うか)、 あ 、 んだ よ な(そ うだよ な)” っ て言 っ て(納 得 す る)… 。 … まあ、 患 者 さ ん 自身も大 変 だ よね。側 臥位 とる、 い ち い ち こ こ(大 転 子 部)に( 円座を) あ て る。大 変 なこ とだ と思 う。健 常者で ないわ け だ か ら、そ の大 変 さ はあ る ん だ け ど も、そ う して はい れ な い、甘 え てい れ な い 、予 防 しな くち ゃっ て い う、そ うい うそ の意識 づ け す る こ と を、今 回ぶ つ か る と き も、 ま まあ った ん だ け ど、で もそ れ は受 け入 れ られ て、あ あ そ うだ ねっ て 坐 位 とる 事 も積 極 的 に。 … 私 、 深 夜 だ っ た っ て事 もあ るの か ど うかわ か らない け ど、 も う、5時 過 ぎか らコ ー ル よ こ して、ちょっ と坐っ て いた な っ て さ、食事 の時 に ま た、 大儀 が らない で 、30分前 か らベッドアップ して。 で 、す ごく 前向 きってい うか…。 徐 々 にそ の(下 肢 が)動 か な い って い う ので は(患 者 は)半 信 半 疑 だ っ たか もわか ん な い け ど、 いず れ は 、 今 借 りて る ア パ ー ト2階だ か ら戻 れ な い な あ っ て い う所 で の切 な さ っ てい う の は、 充分 私 も感 じ ま した。 辛 い だ ろ うな あっ て 。で も、この 先 の事 を考 え てい えば 、そ れ だけ に その 気持 もそ うだ け ど、 あ と もう ちょっ と切り 替 え て、現状 の 、そこ の残 存 機 龍 を強化 する こ とで の 必要 性ってい うの も、また 同 じ らい感 じて接し て きた つ も りで した。 … よか っ た んだ な って 、こ こ まで本 人 もが ん ば れ た し、私 た ち の 援 助 も受 け入 れ られ た結 果 な のか な と思 って さ。ち ょっ と は、あ の、 信 頼し てけ だ んだべ な と思 う。受 け 入 れ られ た か ら ね。 で も、教え られ ま した 、い ろ い ろ とね。 一 つ 一 つ私た ち の勉 強 につ なが って い る んだ と思う。 (コ ー ド) 一 般 的 特 徴 価値判断 患者の状 態 患 者 の ニ ー ズ 看護介入 患者の納得 価値判断 看護介入 患者の納得 気持 ちを汲 む 援助の必要性 看護介入 患者の納得 患者行動 の変化 気持ちを汲 む 援助の必要性 看護介入 患者行動 の変化 信頼関係 の認知 看護婦の学び (カ テ ゴ リ ー) 第 一 印 象 独 自性 の気 づ き 関 わ り 患 者 の 変 化 第一 印 象 関 わ り 患者の変化 共感的理解 和 らげ た い思 い 関 わ り 患 者 の 変化 患者の変化 共感的理解 関 わ り 患者の変化 信 頼 関 係 の 深 ま り ・成 長
2)共 感 プ ロセ ス の到 達 度 得 ら れ た5段 階 の 共 感 プ ロ セ ス の 概 念 枠 組 み に 沿 っ て、 各 研 究 対 象 者 の語 っ た 患 者-看 護 婦 関係 につ い て 再 確 認 した とこ ろ 、 積 極 的 に関 わ っ て い く中 で 、 ま た新 た に そ の患 者 の独 自性 に気 づ い た り、 変 化 した 患 者 の 思 い を理 解 した り とい う繰 り返 し もみ られ たが 、 この プ ロ セ ス を経 て 関 係 を深 め て い る こ とが見 い だせ た 。 しか し、 第1段 階 か ら第4段 階 の そ れ ぞ れ に と ど ま っ て い る 関係 もみ られ た 。 そ こで 、 影 響 因 子 や看 護 婦 の性 格 特 性 に 差 が あ る の か を検 討 す る た め 、 各 研 究対 象 者 を 共 感 プ ロ セ ス に沿 っ て 、 そ の 到 達 度 に つ い て分 類 して み た 。 以 下 に そ の 分 類 され た事 例 の数 と段 階 毎 の特 徴 的 な事 例 を示 し た 。 ア ン ダ ー ラ イ ン は カ テ ゴ リー化 の た め に抽 出 さ れ た 部 分 に入 れ 、 対 応 す る と考 え た段 階 を番 号 で 示 した。 ① 第 一 印象 、 ② 独 自性 の 気 づ き、 ③ 共 感 的 理 解 、④ 積 極 的 関 わ り−a和 らげ た い 思 い 、b関 わ り、c患者 の 変 化 − 、⑤ 信 頼 関係 の 深 ま り ・成 長 で あ る。 な お 、 こ こ で は コ ー ド の 記 載 は 省 略 した 。 ① 第1段 階 に と ど ま って い る と分 類 さ れ た 事 例 こ こ に 分 類 され た の は2事 例 で あ り、 患 者 を価 値 判 断 した り、 「… の よ う」 な 『第 一 印 象 』 に と ど ま っ て い た。 患 者 に 対 して の 印 象 は 、 以 下 の よ う に語 っ て い る が 、 そ の後 の 関 わ り方 な どに つ い て は ほ と ん ど語 られ な か っ た 。 事例6 旦 那 さん亡 く して 、そ れ で な んて い うの?こ う、ポ ー ッと しちゃっ て って い うのか さ…(ア ナ ム ネー ゼ を)取 って な い か ら よ くわ か ら ない の さ。… で もね 、○○さ んてい う 人 も同じ だっ た の。前 に こ こに い た 人 。 … そ の 人 もや っ ぱ りパ フ ッっ て しち ゃ っ て。 … (受け持 ち患 者 と)似 た よ うな 感 じ。 ち ょっ と違 うか も しれ な い け ど、 だ け どや っ ぱ り、何 だ っ け?何 とか 症 候 群 て い うの あ る んで し ょ?つ れ あ い を亡 く して何 とか っ て い う… 新 聞 な んか に載 っ て る じゃ な い。だ か ら、あ あい うよ う なの か なぁっ て 思っ て 見 て るん だ け ど。たぶ ん そ うなん だ ろ うなぁ っ て。… そ ん な に し ゃべ らない け れ ど、で も結構同 じよう に思っ てい るの か なぁ って 、そ うい うの は あ る の。ま だ少 し日が浅 いか ら、そ こ ら辺 まで話 して な い か ら、よ くわ か ら ない ん だ け どもね 。 ② 第2段 階 ま で 進 ん だ と 分 類 され た 事 例 患 者 をそ の 人独 自 と と ら え なが ら も、 相 手 の 気 持 ち を 把 握 す る と こ ろ まで は語 られ ず 、『独 自性 の気 づ き』ま で で と ど まっ て い た の は8事 例 で あ っ た 。 事 例29 た ま た ま、患 者 さ んが 話 しや す かっ た の か も しれ ませ ん が① 、 ラ イナ ック(放 射 線 治療)の 送 り迎 えの 時 とか 、何 か の つ い で とか に世 間話 をす る こ とが多 くって 。か な り我慢 強い 人 だっ た① ん だけ ど も、"痛駐 の も我 慢 し一てる"と か 、“誰々さんにだっ た ら言 える、頼 める” とか… 。 きっ と遠慮 なん です よ ね。遠 慮 が あっ て そ う なの か な あ②って。 ③ 第3段 階 ま で 進 ん で い た と分 類 さ れ た 事 例 第2段 階 を経 て 、 患 者 の気 持 ち を共 感 的 に理 解 を して い る 『共 感 的理 解 』 に と ど ま っ て い た事 例 は な か った 。 しか し、第4.第5段 階 に至 っ た事 例 で は、必 ず この段 階 が あ っ て 次 の段 階 に進 ん で い た 。 ④ 第4段 階 ま で 進 ん で い た と分 類 され た 事 例 こ こ に分 類 され た19事 例 は 、 患 者 の気 持 ち を把 握 した こ とか ら、 何 とか して あ げ た い と い う思 い が 湧 き、積 極 的 に 関 わ っ て い っ た こ とが 語 られ て い た 。 事 例1 ア ナム ネ ー ゼ(聴 取)が まず 、始 ま りな の ね。 そ の時 に、 そ の患 者さ ん の おか れ て きた状 況ってい うか、状 態っ てい う か、決 して い い状 態 で は な か った ん だ よね①。 … もう この まま治ら ない と 言わ れ たのが‘と ん で もない’ と(前 の病 院を)けっ て来た 人 達 だ から、 も うわら に もすが るよ うな 状 態②で 来て い る わ けね 。(患者 の 娘 が)自 分の 母 親 を助け た い とい う思い で 来 てるか ら 、その気 持 を す ごく私、ひ しひし と 伝 わっ て わかっ たし③。だ か ら私 は私 な りの 誠意 を持っ て 話 は聴い たつ もり④-a。…ここ の家族っ て すご く一 生 懸 命 な ん だ よね 。仕 事も ってること わかっ て た しね。 で、 も う、(入 院)当 旦 か ら夜 はつか ない で、 日中見 に来るっ て言う 形 の姿勢 を崩 さない 家族 だったから② 。 で 、そ れ は そ れで 私 たち は も う当 た り前 の よ うに して。… 患 置 さんが 訴 えれない 分、要所 要所 の、きち ん と 家 族 との コ ミュニ ケ ー シ ョ ンて い うか 、伝 えて きた④-b。その 辺 で の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンは 進 む につ れ て信 頼 関 係 って い うの か そ うい う のは でて きた んで ない かな④-cと私 は思 っ て る。…そ うい う一 生懸. 命 母 親 治 したいっ てい う(家 族 の)気 持に はやっぱ り報い たい ④-a。 こっ ち一 生 懸命に なっ た④-b。… で、そ れ が相 手 に伝 わ っ たの か ど うか は わ か ら ない け れ ど、結 権 私 の名 指し 、名指しって ば変 だ けど 、 (私の 所 に)来 るこ とが まず 頻 繁 だっ た の④-c。 事 例22す ご く神 経 質 な人①で 、結 局 きち ん と説明 の ない ま まに、 化学 療法を やっ て具 合が 悪 くなっ ちゃっ た んで す よ。なぜ こん な に 具 合悪 いん だ ろ うって ②… 。(痛み を訴 え る患 者 に 対 して)、先 生 は、 "神経 質 な人 だ か らね" 、 あ と、看 護婦 は"ま あ、 ち ょっ と変 わ っ て る人 だ"と か っ て言 うん で す け ど も、や っ ぱ り(イ レウス)お こ してれ ば苦しいのは 当 然 です よ ね え③。 だ か ら苦 痛 を取 る よ う にや らな きゃ だめ じ ゃな いか っ て④-a。夜 中 な んか 、寝て も起 きて も便 器 の 上 に坐2て 姑 る方 だ さっぱ りす るみ たい でね え③。 …患 者 さ んの 具 合 も悪い か らね、家 族 もイ ライ ラす る んで す よ。 で、ど う して あ ん な元 気 で 入 院 した の に 、こ うなっ てし ま っ て、あん な治療 したか らじゃない で す かっ て③、…そ うす ればこっ ち側は き ちん と話 す る 機 会 を持ち ま すっ てい うこと で 、・・説明 してか ら④-bやっぱ り少 し変 わっ て きま した け ど、家 族 も ね④-c。…何 を一 番今希 望 してい るのか, 今 何 をや りた い の か い ろ い ろ 聞 い て い っ た ら④-b、仕 事 に復 帰 した −124−
いって。そ れが希望 だったん です よ③.で、家族も“仕事に復 帰し たいか ら足腰鍛えて階段昇 り降りしてい るか ら、癌だとか転移し て る とかそういう話はし ないでほ しい、そういう状態でな く1回は、 本 当に希望 を持っ 職場復帰させ たい”って③。… じゃ、同 じよう. な 状態 で復 帰させてあげたいなぁって④-a。やっ ぱし、“(患者が)職 場 に復帰 したいんだ"っ て思いを言って くれた時、…そのあたり が やっぱ し信 頼関係 がとれたのかなぁっていうのは感 じま したね④-c。 ⑤5段 階 ま で 進 ん で い た と分 類 さ れ た 事 例 この段 階 まで 進 ん で い た の は2事 例 で あ っ た 。 い ず れ も患 者 との 関 係 の 中 で 看 護 婦 も癒 され た り、 そ の 関 係 か ら学 ぶ こ とが あ っ た と語 っ て い た 。 事 例4 最 初 に大 部 屋 にい た と き、み んな も“ちょっ と変わっ た子 だ” って 言っ て た こ とから、 入っ ていけ な か っ た ん です よ①。“い や 一、 どう して 入 っ てい け ば いい か な” っ て。(そ う)思 っ た時 に、 や っぱ し、じっ く り話 す るため に 、必 ず椅子 に坐っ て同 じ目線 で話 す よ うに④-b…。 で 、そし て 回数 を 何 回と… と行っ て る うち に④-b、自 然 と私 を待っ てる ようになった の④-c。夜 勤 で も “い つ来 るの?"と か、"何 日休 んで た の!"と か ね。 私 、 もっ となつい て こない のか なっ て最 初 思って まし た①。で も、しょっちゅう行って… 最 中具 合 の 悪い と きにしょっちゅう 行っ て ね、なんだ の か んだ の(い ろい ろ) 聞い て。旦 那 さんが 来 た と きに は、旦那 さん を交 えて 冗 談言っ て④-b。 △ △ さん(受 け持 ち患者と同 年代 で 、仲が よ い患 者)が“ス トレス だ” と言 っ たの で(同 室に なる よう配 慮 した)④-b。…○○ さん(受 け 持 ち 患 者 に とっ て)も 良 かっ た し、“話し 相 手が でき た”っ て (喜んだ)④-c。…先 生 に話 しづ らいっ て言っ て②.で 、“じゃ あ、私 の 方 か ら聞い て あ げ るから”って、で、 返 してい く④-bってい う の で な んか信 頼 さ れた の か な④-cって い うの は 自分 で 感 じて ます ね 。… うれ しかっ た。 もちろ ん うれ しい です よ ね。 そ う、 うれ しい か ら、 もっ と接 して もっ と早 く退 院させ てあ げ る とか…“ じゃあ、自 分 の やっ て きた 看護 は間 違い では ない ん だ な”って逆にこ う、張 り合い が で た っ てい うかね。“あ あ、 あ りがたいなぁ” と思っ て。 頼 られ て る 自分を 、看護 して て よかっ た なぁっ て⑤。 3.共 感 プ ロセ ス に影 響 す る 因 子 関係 を成 立 させ る プ ロ セ ス に影 響 を与 え る 因 子 と して は 、 「患 者 側 の 要 因」 「看 護 婦 側 の要 因 」 の2つ に大 別 す る こ とが で きた(表1参 照)。 表1. 共 感 プ ロセ ス に影 響 す る 因子 カ テ ゴ リ ー 患 者 側 看 護 婦 側 個室 重症度 患 者 ・家族 の受 け止 め 方 経験 姿勢 看 護 ケア体制 コ ー ド (5) (8) (12) 人生 ・生活 体験患者の体験 (7) 家 族の看 病 (10) ト ライ フス タイル に お け る経 験 (5) 看 護 体 験 マイナス体験 (19) 看護の再確認 (8) ト 満 足感 (4) コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン技 法 (17) 心 が け (28) 患 者 の と らえ方 (26) ス タ ッ フ の 影 響 (15) 病 棟 の看護 体制 (26) 内 容 患 者 が 個 室 に 入 っ た こ と で 、 話 しや す か っ た 患 者 が 重 症 だ っ た こ とや 、 処 置 ・ケ ア量 が 多 い た め 、 接 す る 回 数 が 増 え 、 関 係 が 深 ま っ た 患 者 ・家 族 が 自分 に対 して 好 意 的 に 接 し て くれ た た め 、 深 く関 わ ろ う と思 う よ う に な っ た 実 際 に 自分 が 患 者 の 立 場 を 経 験 した こ とで 、 患 者 の 気 持 ち が 理 解 で き る よ う に な っ た 家 族 の 死 を看 取 っ た り、 家 族 に 入 院 に付 き添 っ た こ とで 、 意 識 が 変 化 した 結 婚 ・出 産 ・育 児 ・離 婚 とい っ た 経 験 か ら 、 患 者 に 対 す る 意 識 が 変 化 し、 相 手 の 気 持 ち を 思 い や る よ う に な っ た 患 者 へ の 接 し方 で 悩 ん だ り、 注 意 さ れ た こ と か ら 、 意 識 して 関 わ る よ う に な っ た そ れ ま で の看 護 の 経 験 や 、 他 者 の 話 か ら 、 看 護 の 意 義 を改 め て 考 え る よ う に な っ た そ れ ま で の看 護 の 経 験 や 、 他 者 の 話 か ら 、 看 護 の 意 義 を改 め て 考 え る よ う に な っ た 自分 た ち が よ い 援 助 を行 っ た こ とで 、 喜 び を感 じ、 次 の 援 助 に も意 欲 を 持 っ て 臨 む よ う に な っ た 言 葉 に気 をつ け る、話 し方 に注意 す る、話 す と きの 態度 を工夫 す る等 患 者 の 立 場 に 立 っ て 考 え る 、患 者 の 気 持 ち を汲 む 、頼 ま れ た こ と に き ち ん と応 じる 、待 た せ ず 処 置 を す る 等 人 間(患 者)は 弱 い 、 患 者 は 敏 感 、 入 院 生 活 は ス ト レ ス等 か ら注 意 して 関 わ っ た ス タ ッ フ の 雰 囲 気 の 良 さが 、 患 者 に 対 す る 関 わ り方 に影 響 した
1)患 者 側 の 要 因 こ れ は 『個 室 』 『重 症 度 』 『患 者 ・家 族 の受 け 止 め 方 』 の カ テ ゴ リ ー が あ げ られ た 。 以 下 に そ れ ぞ れ の 事 例 をあ げ な が ら説 明 す る。 ① 個 室 患 者 が 個 室 に入 っ て い た こ と で 、 話 しや す い 状 況 に あ っ た こ と を語 って い た 。 事 例20 (大 部 屋 だっ た 頃)部 屋 で は言 わない んだ よね 、 あの 人 。 …一 歩 部屋から出 れば、それ な り に聞い て きて た か ら…一 番話 しや す か った の は 、(個 室一に入っ た)こ の 頃。 ② 重 症 度 患 者 が 重 症 だ っ た り処 置 や ケ アが 多 い こ とで 、患 者 と 接 す る 回数 が 増 え 、 関係 が 深 ま っ た とす る カ テ ゴ リー で あ る 。 事例8 今 はず い ぶ ん元 気 に なっ た ん だけ れ ど、回復 室 にいる 頃 に は 便 も なか な か 出な くっ て…胸 腔ドレーン とかい ろい ろ 入っ て、ニ トロ ダー ム 貼っ たりし て、自分 で力むこ とが でき ない よ う な感 じの 人 だ っ た ので 、便 出 す の に も看護 婦 が摘 便 して あ げ ない とだ せ な く て 。 …部 屋 に行 く回数が 多い の もあ って …夜 勤 の 時 にで も、廻 っ て い った 時 にで も、何 も して ない の に 、た だお 部 屋廻 っ た だけ な の に、 "世 話 に な る な あ" っ て言 って 。 ③ 患 者 ・家 族 の 受 け止 め 方 こ れ は、 患 者 ・家 族 が看 護 婦 に 対 して好 意 的 に接 して くれ た た め 、 看 護 婦 が 深 く関 わ ろ う と思 う よ う に な っ た カ テ ゴ リ ー で あ る。 事 例25 行 く とね 、 こ う、話をし たりす る と、(患者が)すご く (気持 が)紛 れ るっ て い うか 。 で 、来 るの 楽 しみ に して くれ て。 … 奥 さん もす ご く、あ の 、な んて 言 うの?向こ うが よくし て くれ た っ て い うの も何 か 変 な ん です け ど、 う ん、 話 とか もね、“今こう なん だ け ど…”み たい にして話して くれ て。 … こっ ちは 皆 とまず 、み ん な患 者 さん い れ ば 、皆 平等 に 自分 達 を、こ う、入 れ て や っ て るつ も りな んで す け ど、そ の中 で もやっ ぱ り向 こ うの好 きず きっ て い うの もあ る じゃ ない です か 、 で 、向こ うガ 結 権 自分に 対し て、話をし て くれ る、困っ てるこ とが あ っ たり と か、あ の .今こうい う風に 考 え て る んだ とかいって言っ てく れる と、やっ ぱ しこっ ち もそれ に対し て 応 え てあザ よ う と思 う じゃ ない で す か。 2)看 護 婦 側 の 要 因 看 護 婦 側 の 要 因 は 『経 験 』 『姿 勢 』 『看 護 ケ ア体 制 』 の 3つ に分 類 され た 。 a.経 験 こ の カ テ ゴ リー に は 、「患 者 体 験 」、「家 族 の 看 病 」、結 婚 ・ 出産 ・育 児 ・離 婚 とい っ た 「ラ イ フ サ イ ク ル に お け る経 験 」 とい う [人生 ・生 活 体 験]と 、 こ れ まで の看 護 実 践 を通 して 体 験 した 「マ イ ナ ス体 験 」 「看 護 の再 認 識 」 「満 足 感 」 とい っ た[看 護 体 験]の2つ の サ ブ カ テ ゴ リー が 包 括 され て い た 。 ①[人 生 ・生 活 体 験]− 「患 者 体 験 」 実 際 に 自分 が 患者 の 立 場 を体 験 した こ とで 、 患 者 の気 持 ちが 理 解 で きる よ う に な っ た こ とが 語 られ た 。 事 例2 (婦人科 を受 診 した こ とで)患 者 さん の気 持 ちか ら考 え る と、 その 、ま ず受 診 して み て もら うのに、 まず あ る程 度、そこ ま で 勇 気 がいり ます よね 。 ま して や 、そ の婦 人科 とい う科 に関 して 、何 とな く抵 抗 あ る か ら、 よっ ぽ どの こ とで ない と行 か ない よ うな 感 じ。… 結 果 が1週 闘 後っ て 言 わ れ た。その 間す っご いス トレス だ っ た ん で すよ。 入 院 の準 備 も しな きゃい け な い とか ね 、居 な い 間 ど う しよ うか とか ね。 そ うい うの す っ ご く、ずー っ と1週 間 ずー っ と考 えて 。 で 、結 果 聞 くまで そ うい うのが ず ー っ と続 き ま した。 で 、患 者 さん てこ うい うふ う にね、つ か まえ て る んだ なぁ っ て… 。 事 例4.自 分 も病気し てみて 、患 者っ てやっ ぱ弱い … まあ 、1週 間の あ れ(入 院)な んだ け ど、痛 み も本当 に そ の 人で な い とわ か ら ない って い うの … あ ん な激 痛 を味 わ って 、その 後 も…(病 棟 に)戻 っ て も、み ん な “本 当 に痛 い ん だべ か?” って。 そ うい うの あ ります よね 。 で も、その 人 で な けれ ば わ か らな い痛 み … 。 だ か ら、そ うい う と ころ を きちっ とや っぱ り患 者 さん に“あ なた で なけれ ばわか ら ない か ら…” とか 、そ うい うふ うな 聞 き方 を して あ げる と反 応 が 返っ て きま す よね 。 ②[人 生 ・生 活 体 験]− 「家 族 の 看 病 」 「患 者 体 験 」 と 同 様 に 家 族 の 死 を 看 取 っ た り、家 族 の 入 院 に 付 き 添 っ た こ と で 、 患 者 へ の 関 わ り方 の 意 識 が 変 化 し た こ と が 語 ら れ た 。 事例8 … 癌 っ て い うの は告 知 され て なか った ん だ けれ ど も、だ か らこ そ 、退 院し た ら、あ れ やろ う、これや ろ うっ て い うふ う に言い な が ら亡 くなった から 、そ ういう 気持 を少し で も関わって、 和ら げ て あ げ たい と思 って … 。 事 例31 奥 さ んが 私 に熱心 だ った ん で ない か な。 とにか く"△△ さ ん、△ △ さん"っ て い う感 じ だった か ら。…やっ ぱり 自 分 に余裕 が あ時 に部 屋 に入っ てっ て、話 す る とか、準 夜 の 時に 話聞 いて あ げ る。 事 例20 自分 の家 も、親もね、 身 障者 なの ね。 う ん、事 故 で 。 で 、 家 の 父親 もこう こ うで さ ぁっ て、こ うい うこ とを 経 てここ ま で 来 て、 今一 人 立 ち してる ん だ よっ て い うふ う に言っ た ら、“あ、 そ う なのー ” って。 向こ う(患 者)も“ どう す れ ばい い?” っ てい うの は 聞い て きた か ら 、 ちょっ と親 密に 相 談 に乗っ て… って い うの は −126−
思 っ た 。 ③[人 生 ・生 活 体 験]− 「ライ フサ イ クル にお け る経 験 」 これ は結 婚 ・出 産 ・育 児 ・離 婚 とい っ た 看 護 婦 の経 験 か ら、 患 者 に対 す る意 識 が 変 化 し、相 手 の 気 持 ち を思 い や る よ うに な っ た こ と を述 べ て い る 。 事例27自 分 も、 こ う、子供 生 んで か ら、夜 に、す ごい 、眠 れ な い … 。 で、あ あ、1日 で もいい か らゆっくり眠 り たいって、 そ ういう 気 持 、何回 か、やっ ぱり子 供 持っ てから 、そ うい うふ う に思 って る か ら、○ ○ さん だ けで な くて、他 の患 者 さん で も“夜眠れ ない、わぁ、 1日 で もいい か ら、 ぐっすり眠りたい”っ てそ うい う気 持 は さ、自 分 で も こう、あぁ なん となくわ かる な あ って 。 そ うい う共 感 す る っ てい うか ね 、そ うい うの わ か るの か な …。 … 親 の気 持 ち っ てい うの か な、小 児 科 にい て看 護婦 と して働 い てた 時 、独 身で あ っ た け ど も、 や っぱ、何 とな くさ、子供 生 んで か ら、違 う よう な気が す る んだ よ ね。本 当 に子育てって大 変 な んだ っ て い う。 だか ら、“あの お 母 さ ん は 、今こういう 状 態の 気 持 でこ の子 を見 てるん だな”とか って、そ うい うふ うに 、 …や っぱ り看 護婦 っ て、い ろん な経 験 も必 要 なん だ べ ね 。 ④[看 護 体 験]一 「マ イ ナ ス 体 験 」 患 者 へ の 接 し方 で悩 ん だ り、注 意 され た こ とか ら、 患 者 に 配慮 して 関 わ る よ う に な っ た こ とで あ る 。 事 例1 1回 、私 ね、婦 長室 に(患者が 苦 情 を言 い に)行 かれ た こ とあ る の。 “そ の態 度 が 良 くない ” っ て。 …(婦 長 室 か ら)い ろん な患 者 さ んが い るか ら、いろん な患 者 さ んに対 応で きる、何 て言 う の?あ れ(能力)を 備 え な きゃい け な い み たい な こ と言 わ れ たの さ。 … 患者 さ んの そ うい う不 安 とか 、そ うい うの を早 くに察 知 して 、も う ち ょっ と こっ ちが 、 “ど う しま した?” み た い に何 回 も訪 室 して い けば、こ の人 をこ こ まで 怒 らせ な い で済 んだ のか なっ て い うの は 残 る。 だか ら、相手が 言い た かった こ と を私 が察知 で きな かっ た が た め に、私 の態 度 が 冷 たい 態 度 に相手 は 取っ た わ け で し ょ… 。 事 例19 患 者 さ んか ら 叱 られる こ と もあ る しね。口の き き方 が あ れ だ って ね。人 が こ んな に苦 しいっ て言っ て るのに 、時間で ない と看 護 婦 さ んは 、結 局 ほ ら、痛み 止 めで も何 で も、今や った ば っか しだ から 、あ と3時間し ない と使 え ない と かって言う って 。 で も 自分 と して は苦 しい ん だ って 。そ れ に対 して 、どう す れ ばい い か っ て悩 ん だこ と もあ る…。 前 は、本 当 に杓 子 定規 。今 はい ろいろ… 臨 機応 変 にで きる け ど… 。 ⑤[看 護 体 験]一 「看 護 の再 認 識 」 そ れ まで の看 護 経 験 を通 して 、 看 護 の意 義 につ い て 改 め て 考 え た り、 意 識 して 関 わ る よ うに な った こ とが 述 べ られ て い る。 事 例25働 き始 め て か ら、担 任 の先 生 と 会っ た ん で すよ ね。で、ちょ う どス ラ ンプ だ った んで す 、そ の 時 も。 … そ の 中 で末 期 の 患 者 で こ れ か ら死 ん でい くって い う人 が い た 時 に 、 だ ん だ ん近 づ い て きた な って 思 っ た時 に、…明る くて、優し くて、と にか く自分の側 にい てくれ る よう な 看 護婦に 最 後 に看 て もち え ば一 番 幸 せ だ っ て い う の を聞 いて 、そうい う気 持 でい る って い うの が一 番大事な こ とな ん だ よ って い うふ うな こ と言われ た と きに 、な ん かこ うツキーン と き. た もの が あ っ て、そ れ か らはね 。… な るべ くだ った ら極 力明る く、自 分 で は心 掛 け て るつも り な んだ け ど。 ⑥[看 護 体 験]− 「満 足 感 」 よい 援 助 が で きた とい う実 感 が 、 次 の患 者 へ の 関 わ り 方 に対 す る意 欲 へ と結 び つ い て い る。 事例4 そ の 方、お父 さん亡 くな って何 年 ぶ りで(死 亡診 断 書 を も らい に来 た)… 遠 くか ら来 て 、(電話 を)か け た ら子供 さんが 出 て 、 (帰宅 は)8時 過 ぎだ っ て言 った の 。私 と接 した のが お 昼 頃 で さ、 帰 っ たの が そ ん な時 間 。 そ の時 、 私 、家(自 宅)か らか けて 、 で、 優 しか った の か 、印象 的 だ っ たの か 、投 書 さ れて あ っ た の。 遠 い と ころ まで( 電話を)かけ て くれ て 、さ らにね ぎ らって も らっ た み た い な こ とを ね。…そ う した 接し 方を す れ ば返っ て くる とい うの も今 回 ちゃ ん とわ かっ た。 事例26私 たちが頑張れば、患者の思いとか、家族の思いを叶え ら. れるっ てい う、いい思い、こ れこそ本当だなぁって思い。そこが (意識 して関わ るようになった)まず第1だっ たね。スタートがそ こか ら。 b.姿 勢 こ の カ テ ゴ リー は 、 患 者 に接 す る際 に 看 護 婦 が気 をつ け て い る こ とで あ る が 、 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン技 法 」 と 「心 が け」、 「患 者 の と ら え 方」 の3つ の コ ー ドが 包 括 さ れ て い る 。 ① コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン技 法 患 者 と関 わ る 時 の 具 体 的 な接 し方 につ い て 述 べ て い る。 「心 ない 言 葉 は吐 か な い 」(事 例1)、 「患 者 に わ か りや す い 言 葉 で 話 す 」(事例11)と い っ た 言 葉 に注 意 す る もの 、 「特 に用 事 が な くて も声 を か け る」(事例5)、 「声 を か け、 意 欲 を持 たせ る」(事 例9)と い った 声 か け や 、 「じっ く り坐 っ て 話 す 」(事 例4)、 「相 手 の ペ ー ス で 話 を 聞 く」 (事例22)、 「話 しや す い 雰 囲 気 をつ くる」(事例24)と い っ た態 度 面 、 あ る い は、 「ス キ ン シ ッ プ を取 り入 れ る」(事 例4)「 経 験 した こ と を例 に挙 げ て 説 明 す る」(事 例20) とい っ た工 夫 が み られ た 。
② 心 が け ふ だ ん 、 患 者 と関 わ る 際 の 心 が け につ い て語 ら れ て い る 。 患 者 の 「気 持 ち を汲 む」 「待 た せ ず 処 置 をす る」(事 例 22)、 「頼 ま れ た こ と に き ち ん と応 じ る」(事 例5・8・ 13・27)、 「看 護 計 画 は細 か に修 正 す る」(事 例23・26) とい っ た こ と な どが 挙 げ られ た 。 特 に 、 相 手 の気 持 ち に な って 考 え る とい う こ とに 関 して は 、 以 下 に示 し た事 例 の他 に も多 くの研 究 対 象 者 が 語 っ て い た 。 事 例14 患 者 と同 じ思い にな って 、言 葉 で はい い け ど、とて も、私 に は まだ で きてい ない と思 う。… 喜 ぶ こと はで きる と思 うの 。で も 一緒 に、患 者 と悲 んだり 、悩 む って い うの は、す ご く難 しいんじゃ ない か な と思 うの。 だ か ら私 、きっ と患者 と一緒 に悲しめ れば本 当 に 少 しはわ かっ たの か な と思 え る感 じが す るの 、いや なこ と とか を も、患者 と話 し合 える よ う になる と 、私 は少し 患 者 と近 づ けた の か な と… 。 事例26患 者 さん の 気持 ちに 近づくっ て 事 なん だ ろ うけど 、や っ ぱ りこ う、専門 職っ て事 を取っ 払っ てし まっ て、で、聴 くこと が一番 だ と思 うん だ よね 、そ れ が素 直 に相手 の言っ たこ と そ の まま 受 け 入 れ られ る んで は な い か な ぁっ て思 い ます 。 そ こか ら次 の こ とが 、 まず ね 、専 門職 と して の 関 わ りを して い けば い い ん だ ろ う し、最 初 は本 当 に ね、そ う い う こ と意 識 して い け れ ば も うち ょっ と近 づ け ら れ る の か な と思 って い ます け ど。 事 例23(病 棟 交替 で)ここ に来 た 時は ね、 も う、清 潔面 にも 力 入 れ て る し、す ご くさぁ“ えーっ!” てい う感 じだ っ た のね 。 で 、必 然 的 に手 が か か れば 、閣 係 も ね、もっ と身近 に考 え る っ て い うか さ。 本 当 に カ ン フ ァ レ ンス っ て い うか、 看 護 診 断 が 入 っ た 頃 な ん だ け ど、ち ゃ ん とや る し、必 ず 時 間 設 けて や る しね 。そ うい うス タ ッフ の 雰 囲気っ てい うか、 そ れは あっ た と思 う。 ③ 患 者 の と らえ 方 看 護 婦 が ふ だ ん患 者 を ど の よ う に と らえ て い る か が 、 関 わ り方 に影 響 して い る 。 事 例2 一 人 で ね、 あ の 、全部 背 負 っ て る っ て こ とに 関 して は、 (患者 は)やっぱ り ど こか で く じけ る と思 う。人 間 て弱い と思 うか ら、必 ず誰 か に しが み つ きたい とか ね、泣 きた い とか って あ る と思 うの さ。 そ うい う とき にやっ ぱ り、 ちょっ とこ う、ね、話 して あ げ て 励 ませば、 ちょっ と…そ れ こそ,少 し,一 緒 に… 共 感 にな っ たか なっ て いう 感 覚。 事例10 患 置 さんて 敏 感 だ か らね。 あの 、病気 …気 持 も患っ て るか らね 。 うん、や っ ぱ り、ち ょっ との そ うい うの(何 気 な 看 護 婦 の 態 度)で も、受け 止め 方が ま た ちが う と思 うん だ よ ね。 や っ ぱ り普 段 、健 康 な時 と違 う しね。 c.看 護 ケ ア 体 制 看 護 ス タ ッ フ の雰 囲 気 の 良 さが 、 自分 の 患 者 に対 す る 姿 勢 に影 響 した とす る 「ス タ ッ フの 影 響 」、受 け 持 ち看 護 婦 で あ っ た こ とや アナ ム ネ ー ゼ を聴 取 した こ とか ら、 関 係 をつ く りや す か った とす る 「病 棟 の 看 護 体 制 」で あ る 。 事例2 受 け持 ち も確 か に私 の 名 前 にな って ます し、 あ とアナム ネーゼ も私 が取っ てる ん です よ。あ る程度 アナ ム ネ ーゼ を取 っ た と きに聞 い た し、向 こ う(患 者)も やっ ぱ り受 け 持 ちとい う こ とに関 して は、接 しや す いっ てい うか、言い やすいっ ていう の あ る ん じゃ な いか な って い うの は 盛 じまし た ね。 以 上 の影 響 因 子 は、 共 感 的 プ ロ セ ス の 段 階 で 、 第4段 階 の 『積 極 的 関 わ り』、 第5段 階 の 『関 係 の 深 ま り ・成 長 』 の 段 階 まで 進 ん で い た と判 断 した 事 例 か ら例 示 した が 、第1段 階 の 『第 一 印象 』、第2段 階 の 『独 自性 の 気 づ き』 の 段 階 に 分 類 さ れ た研 究 対 象 者 にお い て も、 同様 の 影 響 因 子 が抽 出 さ れ て い た。 しか し、 後 者 の場 合 は、 そ の 内 容 に “固 定 受 け持 ち 制 は負 担 に な る時 もあ る”、 “時 間 が な い の で 、 患 者 の話 が ゆ っ く り聞 け な い ”、 “患 者 に は 公 平 に”、 “死 亡 して い く患 者 が多 く、 満 足 感 が 得 られ な い ” な ど、 患 者-看 護 婦 関 係 の成 立 に否 定 的 な方 向 に 働 い て い た 。 ま た、『経 験 』な ど につ い て は 、前 者 と比 較 して 、 ほ とん ど語 られ て い な か っ た 。 4.情 動 的 共 感 性 尺 度 得 点 の 結 果 31名 の 対 象 者 か ら 得 ら れ た 結 果 を 因 子 分 析 し た と こ ろ 、 加 藤 ・高 木 の も の と 同 様 に 、 「感 情 的 暖 か さ」 「感 情 的 冷 淡 さ 」 「感 情 的 被 影 響 性 」 の3つ の 因 子 に 分 か れ た の で 、 本 ス ケ ー ル の 手 続 き に し た が っ て 処 理 し た 。 対 象 者 の 「感 情 的 暖 か さ 」 は54.16±6.84、 「感 情 的 冷 淡 さ 」 は30.07±8.68、 「感 情 的 被 影 響 性 」 は23.52±3.94 で 、 加 藤 ・高 木16)の 行 っ た 首 都 圏 女 子 大 学 生 の52.33± 6.03、29.92±6.70、23.32±4.Olと ほ ぼ 変 わ ら ぬ 結 果 で あ っ た 。 共 感 プ ロ セ ス の 段 階 別 に 、 「第1・2段 階 」 「第4段 階 」 「第5段 階 」の3群 問 でKruskal-Wallis検 定 を 行 っ た と こ ろ 、 段 階 別 の 情 動 的 共 感 性 尺 度 の 総 得 点 並 び に 因 子 毎 の 合 計 得 点 で 有 意 差 は み ら れ ず 、看 護 婦 の 年 齢 、経 験 年 数 、 所 属 病 棟 、 学 歴 等 のχ2検 定 の 結 果 で も有 意 差 は な か っ た 。 考 察 1.患 者 一看 護 婦 関係 に お け る 共 感 プ ロセ ス 31名 の 分 析 か ら、患 者 一看 譲i婦関 係 に お け る 『第 一 印 −128−
象 』、『独 自性 の気 づ き』、『共 感 的 理 解 』、『積 極 的 関 わ り』、 『信 頼 関係 の深 ま り ・成 長 』 とい う共 感 プ ロセ スが 明 ら か に な っ た 。 まず 、 こ の プ ロ セ ス に つ い て 考 察 す る 。 私 達 は 人 と出 会 っ た と き に、 自分 の経 験 か ら得 て き た 価 値 観 で相 手 を見 る 。 また 、 人 間 に対 す る印 象 は 、 周 囲 の影 響 を 受 け や す い 。例 えば 、 自分 に よ り近 い と こ ろ に い る 人 が 、 他 の 人 に対 す る印 象 を語 っ た と き、 自分 に近 い分 、 そ の 人 の 印象 を 自分 の もの と して と らえ て しま う こ と もあ る。 しか し、 そ こ に と ど ま っ て い て は 、 患 者 と の 関係 性 は 変 化 して い か ない 。 本 研 究 の事 例 の 中 で も、 看 護 婦 が 患者 の普 段 の 印 象 とは違 っ た態 度 や行 動 に意 外 性 を感 じた と き、注 意 を引 きつ け られ 、 相 手 の 状 況 や気 持 を理 解 しよ う と変 化 して い る 。 そ して 、看 護 婦 が そ の 人 に抱 い た印 象 に と ら われ ず に患 者 に 関 わ り、 関 係 を深 め て い る こ とが み い だ せ た。 また 、 そ こ で 共 感 的 に理 解 す る こ と に よ っ て 、 和 らげ た い 思 いが 生 じ、積 極 的 に 関 わ って い る。 つ ま り、 患 者 の個 別 性 ・変 化 へ の気 づ きが 、 関 係 発 展 の 根 本 的 な原 理 だ とい え よ う。看 護 婦 が 患 者 の 気 持 を把 握 し、 そ の 気 持 に沿 い た い 、報 い た い と関 わ っ て い っ た と き、 共 感 した こ と を直 接 的 な 言 語 と して伝 え て い な く と も、 そ の 行 動 は患 者 に伝 わ り、 関 係 の 変 化 、 患 者 行 動 の変 容 に結 びつ い て い る。 本 研 究 で 得 られ た 共 感 プ ロ セ ス は 、 この よ うな積 み 重 ね で患 者 と看 護 婦 の 信 頼 関 係 を生 み 出 してい く こ と を表 して い る もの だ と考 え られ る。 次 に、 こ の プ ロセ ス を 、先 行研 究 と比 較 して考 察 を加 え る。 図2に 示 す よ う に、 トラベ ル ビ ー3)は 、 人 間対 人 間 の 関 係 の 確 立 を 通 して、 看 護 の 目的 が 達 成 で きる と して 、 「初 期 の 出会 い 」「同一 性 の 出現 」「共 感 」「同 感 」「ラポ ー ト」と、5つ の 関係 確 立 ま で の プ ロセ ス を提 示 して い る 。 これ は、 本 研 究 の 共 感 プ ロセ ス とほ ぼ 一 致 した段 階 で 、 特 に こ の プ ロ セ ス を経 て 関係 を深 め た と き に、 患 者 ・看 護 婦 が 互 い に 成 長 す る とい う点 で 近 い もの が あ る と考 え ら れ る。 しか し、 本 研 究 で 明 ら か に な っ た、 和 らげ た い と感 じた看 護 婦 が 即 座 に何 らか の具 体 的 な援 助 行 動 に移 り、 患 者 の 変 化 を実 感 して い く とい う過 程 につ い て は述 べ られ て い な い 。 トラベ ル ビ ー は 「同 感 」 の位 相 にお い て 、看 護 婦 に苦 悩 を和 ら げ た い とい う願 望 が 起 こ り、 病 人 の苦 悩 に入 り込 み 、 参 加 す る こ と に よ っ て 、 苦 悩 を一 人 で背 負 う こ との重 荷 か ら救 う と述 べ て い る よ う に、 気 持 の 変 化 の 面 で と ら え て い る 。 これ は、 トラベ ル ビ ー が この 理 論 を精 神 疾 患 患 者 との経 験 か ら導 き出 した た め 、 具 体 的 行 動 の 部 分 で 相 違 点 が み られ た もの と思 わ れ る 。 今 まで 、 トラベ ル ビ ー の理 論 は 臨 床 に活 用 しづ ら い もの と考 え られ て い た が 、本研 究 で 導 き出 さ れ た プ ロセ ス に 、 研 究 対 象 の範 囲 を広 げ 、状 況 に よ る違 い を検 討 して い く こ と に よ っ て 、 この 理 論 を広 く適 用 す る こ とが 可 能 に な る で は な い か と考 え られ る。 ま た、 小 代12)は 、都 内 の 看 護 婦 を対 象 に、 図3の よ う に共 感 の プ ロセ ス を 明 らか に して い る。 看 護 婦 と患 者 が 出 会 う初 期 の 段 階 で 「相 性 」が 認 知 され 、私 的 自 己 をopen に し合 う 「相 互open」 、 患 者 へ の 「同情 」、 「確 認 し合 う 相 互 作 用 」 とい うプ ロセ ス を 経 て 「共 感 」 が お こ る と し て い る 。 そ して 、 この 共 感 の お こ る きっ か けが 、 患 者 が い つ に な い 表 現 や 反応 を した り、 内 面 が 吐 露 され た 時 で あ る こ と を指 摘 して い る。 本 研 究 で も、 患 者 の独 自性 の 気 づ きが 共 感 的 理 解 へ の 前 段 階 に な る こ とが 示 され た よ う に 、患 者 の 変 化 に気 づ く こ との 重 要 性 が 再 確 認 さ れ た とい え よ う。 しか し、 小 代 は 相 性 が い い と認 知 され た患 者 の場 合 「共 感 」 へ と発 展 しや す くな る と して 、 プ ロ セ ス の 第1段 階 に 「相 性 」 を あ げ て い る 。 こ れ は 本 研 究 に お け る 患 者 側 の 影 響 因子 の 「患 者 ・家 族 の受 け 止 め方 」 に対 応 す る もの で あ る。 一 般 に、 看 護 婦 が 患 者 に対 し否 定 的 な 印 象 を持 って い た と して も、 普 段 の 関 わ りの 中 で 患 者 へ の 思 い を変 化 させ 、 そ の 関 わ りに よ っ て 患 者 も変 化 して い く こ とか ら、 臨床 場 面 に お い て は 、 患 者 関係 に 影 響 を与 え る要 因 と して と ら え た 方 が 適 切 で あ る と思 わ れ る 。 小 代 の プ ロ セ ス に お け る 「共 感 後 」 で は、 看 護 婦 と患 者 の 関係 が 変 化 し、看 護 婦 と して の職 業 的 ア イ デ ン テ ィテ ィ も強化 さ れ る と と らえ られ て お り、 本 研 究 で の 看 護 婦 自 身 の 成 長 の 内容 と同 様 で あ る。 小 代 の プ ロ セ ス は 、 共 感 が お こ る ま で を中 心 に研 究 さ れ て い る た め 、 本 研 究 の 共 感 プ ロセ ス に お け る第3段 階 ま で が 詳 し く、 そ の 後 の 関 わ り方 、 患 者 の 変 化 に つ い て は述 べ ら れ て い な い 。 ま た 、本 研 究 で は看 護 婦 の “何 と か して あ げ た い ” とい う思 い を相 手 の気 持 ち を理 解 し た た め に起 こ る もの と して 、『積 極 的 関 わ り』の 中 の1つ の プ ロ セ ス と して と ら え たが 、小 代 は こ の看 護 婦 の 思 い を 「同 情 」 と して 、 「共 感 」が 起 こ る前 段 階 の1プ ロ セ ス に位 置 づ け て い る 。 この 相 違 につ い て は プ ロセ ス の順 序 性 とい う点 で検 討 の 余 地 が あ る が 、 同様 の 内 容 が 抽 出 さ れ て い る た め 、 この 要 素 は共 感 プ ロ セ ス に不 可 欠 な もの で あ る こ とが 示 唆 さ れ た 。 以 上 、 述 べ た よ う に、 本 研 究 で 得 られ た 共 感 プ ロセ ス を、 トラ ベ ル ビ ー 、小 代 の2つ の プ ロ セ ス と比 較 して み る と、 概 ね 一 致 す る 点 もあ る こ と か ら、 患 者 −看 護 婦 関 係 に お け る共 感 プ ロセ ス の 妥 当 性 が 示 され る もの と考 え られ る 。 こ の比 較 にお い て注 目で きる の は、 どの研 究 者 も本 研 究 と同様 に、看 護 婦 の 気 づ き を強 調 して い る こ と、 関係 が 成 立 した 後 に は、 患 者 ・看 護 婦 相 互 に 成 長 す る こ とで あ る。 これ よ り、患 者 の 気 持 ち に共 感 して ゆ くに は、 まず 相 手 の 気 持 ち に気 づ く こ と、 そ して 、 看 護 婦 に とっ て 、 患