159 資料の概説 神奈川県逗子市小坪大崎海岸(35.23°N, 139.55°E)は,逗子市で唯一残された自然海岸 であり,環境省のモニタリング 1000 によると,県内第 5 位の広大な藻場を持つことが知ら れている。この豊かな藻場は,水産資源のゆりかごとして高い生物多様性を生み出している 予想され,地元の漁業にも大きく貢献している。しかしながら,2020 年のオリンピック・ パラリンピックセーリング競技を開催するため,現在,神奈川県,逗子市,地元企業により, 小坪大崎の藻場海域の漁港開発と防波堤(150 m 長×複数)を設置する計画が出されている。 もし,防波堤の建設がスタートすれば,工事の堆積物や海流の影響により,この海域に生息 する日本最北限のサンゴイソギンチャク群集を始め,隣接する貴重な歴史的遺産の和賀江島 を含む鎌倉市材木座や由比ヶ浜の砂浜海岸が大きく浸食される恐れがある。また,漁場であ る藻場の上に防波堤を建設するため,本海域の貴重な生物のゆりかごが破壊され,資源量が 大きく減少し,地元漁業者の収入が低下すると予測される。そこで,逗子市小坪大崎の藻場 環境と,そこに生息する動植物を保全することを目的として,2016 年 5 月 7 日に,自然保 護協会,海の生き物を守る会,貝類多様性研究所,東京経済大学の共催で砂浜海岸調査を行 ったので,その中で我々が拾得した生物を資料として報告する。なお,生物の同定は,貝類 多様性研究所の山下博由氏,海の生き物を守る会の向井宏氏にご協力いただいた。
逗子市小坪大崎の砂浜海岸に生息する
生物の記録(2016)
長谷川実李
1・近藤琴乃
1・北原直哉
2・大久保奈弥
1 1経済学部 2法学部 資 料逗子市小坪大崎の砂浜海岸に生息する生物の記録(2016) 160 表1 逗子市小坪大崎の砂浜海岸(35.23° N, 139.55° E)で見つかった貝類