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平成 21 年 9 月 5 日 角山 智投資環境レポート(2009年9月)
1.主な株価指数 8月は、中国株が大幅に値下がりしました。反面、出遅れていた英国株が好調です。 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株(指数) (TOPIX) (JASDAQ) (TSEREIT) (S&P500) (FT100) (上海)
2009年1月 -7.6% -8.8% -0.9% -8.6% -6.4% 9.3% 2009年2月 -4.7% -5.1% -13.7% -11.0% -7.7% 4.6% 2009年3月 2.2% -1.6% 9.8% 8.5% 2.5% 13.2% 2009年4月 8.3% -0.4% -0.8% 9.4% 8.1% 5.1% 2009年5月 7.2% 7.2% 6.2% 5.3% 4.1% 6.3% 2009年6月 3.5% 10.8% 9.3% 0.0% -3.8% 12.4% 2009年7月 2.2% 1.9% 1.8% 7.4% 8.5% 15.3% 2009年8月 1.6% 2.1% 1.6% 3.4% 6.4% -21.8% 累計 12.4% 4.8% 11.8% 13.0% 10.7% 46.5% ◆NYダウ NYダウは、9000ドル台で推移しています。
2.金利 ◆米国長期金利
下のチャートは、米10年債( 10-YEAR TREASURY NOTE )の推移です。長期金利は一時的に4% 近くまで上昇しました。
◆米国短期金利
下のチャートは、米国短期国債( 13-WEEK TREASURY BILL )の推移です。私は、米国短期金利 の代用として用いています。2008年12月におけるFFレート引き下げ(1%から一気に0∼0.25%へ) により、米国もゼロ金利に突入しました。長短金利差が開いているので、銀行は利鞘を稼ぐこと ができそうです。
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3.為替 ◆円ドル 円ドルは、90円台前半まで上昇してきました。 ◆円ユーロ 円ユーロは、130円台での推移です。4.その他の指数 ◆恐怖指数
恐怖指数 [CBOE VOLATILITY INDEX(^VIX)] は、マーケットの先行き不安が高まった際に急上昇 することで知られています。この指数が40を超えれば、相場は大底をつけるといわれていました が、昨年秋には80を超えてしまいました。 今は、少し落ち着きを取り戻しつつあります。 ◆フィラデルフィアKBW銀行株指数 フィラデルフィアKBW銀行株指数 [KBX Bank Index(^BKX)]は、米国の主要銀行24銘柄で構成 されており、多くの投資家が注目している株価指数です。 今年に入ってからの下げは急でしたが、かなり戻しています。
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◆REIT指数 iシェアーズ ダウ・ジョーンズ米国不動産インデックス・ファンド(IYR)は3月に安値を付け、 その後は戻しています。6月末時点の配当利回りは8.41%となっています。 ◆ハイイールド債指数 ハイイールド債とは、信用格付けの低い高利回り債券のことです。「ジャンクボンド」とも呼ば れます。そのため、投資適格債券とは異なった値動きを見せます。信用リスクが高まれば債券価 格は下落し、信用リスクが低まれば債券価格は上昇します。 今回は、指数の代用として、iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ファンド(HYG)を用いました。 株価は、底値から戻りつつあります。6月末時点の配当利回りは10.52%となっています。◆商品指数
商品指数は、iShares S&P GSCI COMMODITY INDEXED TRUST(GSG)で代用します。このETFは
S&P GSCI トータルリターン指数に連動しています。
株価は、今年の2月頃にボトムをつけました。
◆バルチック海運指数
バルチック海運指数(Baltic Dry Index)は、ロンドン海運取引所が算出する外航不定期船の 運賃指数です。海運株との連動性が高く、景気の先行指標としても注目されています。
この指数は、年末年始がボトムでした。いったん戻ったものの、その後は弱含みで推移してい ます。
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5.経済統計(米国)◆ISM製造業景況感指数
ISM(Institute for Supply Management:供給管理協会)が毎月発表している指数で、製造 業の景況感を表します。景況動向指数は、製造業約 350 社の購買担当役員にアンケート調査を行 い、前月との比較で「よい」「同じ」「悪い」の三者択一の回答を元に作成されています。我が国 における、日銀短観の「DI(業況判断指数)」と似ています。 ISM製造業景況指数は、翌月の第一営業日に発表されることから、速報性に優れています。 また、企業の景況感を反映していることから、景気判断の先行指標として使うことができます。 見方については、50%が景気動向を判断する分岐点となり、50%を上回れば景気拡大、下回れ ば景気後退を示唆するといわれています。なお、FRBは、この指数が 50%を下回っている場合 に利上げをしたことがなく、FRBの利上げスタンスを見極める意味でも注目されています。 2009年8月は、久しぶりに50%を上回りました。 ●2009年 3月・・・36.3% ●2009年 4月・・・40.1% ●2009年 5月・・・42.8% ●2009年 6月・・・44.8% ●2009年 7月・・・48.9% ●2009年 8月・・・52.9% 700 900 1100 1300 1500 1700 1900 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 製造業景況指数 TOPIX (各種データより筆者作成、右メモリは50%からのプラスマイナスを表す)
◆雇用統計
米国企業は、景気が減速をはじめると、迅速に雇用を減らします。レイオフ(解雇)された労 働者は消費を控えるため、やがてGDPの悪化を招きます。
雇用統計は、翌月の第一金曜日に前月分が発表されることから、速報性の高い経済指標として 投資家から注目されています。特に、非農業部門雇用者(NFP:Nonfarm payroll employment) の前月比増減数が重視され、メディアで伝えられる「米雇用統計」はこの数字を指しています。 なお『サブプライム後の新資産運用』によれば、FRBの判断基準は次のとおりです。 ●15 万人以上の増加・・・雇用・景気ともに堅調 ●10∼15 万人の増加・・・雇用回復の目安 ●10 万人以下の増加・・・雇用・景気ともに懸念 2009年8月は、雇用者数の減少に歯止めがかかりつつあります。 ●2009年 3月・・・65万2千人の減少 ●2009年 4月・・・51万9千人の減少 ●2009年 5月・・・30万3千人の減少 ●2009年 6月・・・44万3千人の減少 ●2009年 7月・・・29万6千人の減少 ●2009年 8月・・・21万6千人の減少 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 -100 0 100 200 300 400 500 600