第
10回 画像通信
• 画像通信の概要 – 構成、画素、走査、送受信原理 • ファクシミリ – 画像の走査と同期、光電変換と記録変換、伝送方式、 符号化・復号化 • テレビジョン – テレビジョンの仕組み、撮像装置、走査、映像信号、カ ラーテレビジョン信号、周波数インターリービング • テレビジョン受像機 – 受像機の構成、ディスプレイ(ブラウン管、液晶、プラズ マ、有機EL)、信号系回路、偏向系回路画像通信の概要(P.192)
画像通信の原理 画像を有限の数の点で表したものを画素(ピクセル)に分解し、 画素を読取り、組立てる動作(走査)を行うことで、画像を伝える 画像通信の構成 画 像 入 力 符 号 化 処 理 伝 送 復 号 化 処 理 画 像 出 力 静止画像通信 ⇒ Fax 紙出力 動画像通信 ⇒ テレビジョン ディスプレイ出力 画像通信:写真、図面、文章(文字)などの視覚情報を 電気信号に変換して伝送し、受信側で再現する通信形態 符号化処理 アナログ通信においては、変調や多重化など ディジタル通信においては、圧縮や誤り訂正なども行います画素 N個の画素 個の画素M M×N画素の画像 000000000000000000000000000000000 000000000000000111000000000000000 000000000000001101100000000000000 000000000000011000110000000000000 000000000000110000011000000000000 000000000001100000001100000000000 000000000011000000000110000000000 0000000001111111111111110000000000 000000001100000000000001100000000 000000011000000000000000110000000 000000110000000000000000011000000 000001100000000000000000001100000 000000000000000000000000000000000 Faxの場合、白黒の情報を 0 or 1 の画素として表現 カラー画像の場合、各画素は赤色、緑色、青色の光(明るさ) の合成で表されます(RGB:Red Green Blue)
画像通信の画素
ディジタルの場合は、R、G、Bそれぞれ8ビットの明るさで構成されます 画素は通常8ビット の明るさで表現 カラーの場合は RGBで表現 • 画素の「明るさ」は電圧の大 きさで表されます • 画素の左から右、上から下 の順に順次、電圧を取り出し、 送り出します(走査) =左から右に取り出す流れ を走査線と呼びます • 走査によって、2次元信号 (画像)を1次元の電気信号に 変換して、送り出します電気信号
画像通信の走査
1画面は複数の走査線で 構成されています走査と同期
送信側と受信側で走査線のタイミングを 合わせることを同期と呼びます画像通信の送受信
問1、問2へファクシミリ(P.194)
ファクシミリの構成 =ラテン語の「写しとる」 原画に光をあて、反射光を 光センサなどで、読み取り、 受信側で左→右、上→下に 走査して、復元します 主走査:水平方向(左→右) 副走査:垂直方向(上→下) 主走査方向の1mm当たりの画素数を 画素密度(画素/mm)といい、 副走査方向の1mm当たりの走査線数を 線密度(本/mm)といいます 問3へ光電変換、記録変換
送信側において、画素の明るさや色を電気 信号に変換することを光電変換といいます 受信側において、信号から画素を復元し、 紙に出力することを記録変換といいます 光電変換には、CCD(電荷結合素子)など 半導体イメージセンサが用いられる エリアセンサ:矩形領域読取り リニアセンサ:線で読取り ファクシミリにおいて、リニアセンサが一般的に用いられる理由を調べましょう 問4へ 黒色部分低い電圧 白色部分高い電圧伝送方式(P.197)
Faxの解像度 普通文字:密度8×3.85本/mm(200×100dpi) 小さな文字:密度8×7.7本/mm(200×200dpi) 微細文字:密度16×15.4本/mm(400×400dpi) G3、スーパーG3はモデムを 利用してアナログ回線で利用 できるディジタル伝送方式 普通のFaxはG3、スーパーG3は 送受信で対応している必要あり 解像度(dpi) 符号化 伝送速度 G3 200×200 MH or MR 14.4kbps スーパーG3 200×200 MMR or JBIG 33.6kbps G4(ISDN) 400×400 MR,MMR 64kbpsa) ランレングス符号化 RunLengthEncording 左上から順に読み取る 白黒黒黒白黒白白白黒・・・ 白ラ ン 黒ラ ン 白ラ ン 黒ラ ン 白ラ ン 黒ラ ン 同じデータが並んだ状態をランと呼びます ランの長さで記述すると 白1黒3白1黒1白3黒1・・・ 例えば、白(文字なし)が16個続いた場所があると、 0000000000000000 となり16bit 必要だが、 16を2進数で表せば10000 ⇒ 5ビットとなり ⇒ 1/3 に削減となります 同じデータがたくさん並ぶほど データは削減できます ⇒ Faxデータに有効
Faxの圧縮技術(1)
b) エントロピー符号化 ① MH方式(モディファイドハフマン符号方式) 良く出てくるものには短い記号を割り当てます 「白3」 ・・・ 1000 「黒3」 ・・・ 10 余り出てこないものは長い記号でも影響は少ないです 「白8」 ・・・ 10011 「黒8」 ・・・ 000101 ② MR方式(モディファイドリード符号方式) ある行とすぐ下の行の差を符号化します 差が少なければ送信量は小さくなります 例) 15 → 20 → 21 → 25 15 → +5 → +1 → +4 下記の行は変化しないので、 MR方式では削減となる 教科書 P199の例Faxの圧縮技術(2)
b b b a a c c c c a a a c c c c b 3 a 2 c 4 a 3 c 4 bが3個 aが2個 cが4個 ランレングス符号化 データ内に同じ記号が連続して並んでいる場合、 その記号の連続回数を記録していく方法 元データ 圧縮データ cが4個 aが3個 連続的に並ぶ個数が多くないと圧縮できません 例) abcdefgh → 1a1b1c1d1e1f1g1h データは倍になってしまいます 1文字8bitとすると ⇒ 128bit ⇒ 80bit エントロピー符号化 ハフマン符号 データの出現頻度に応じて、ビット長の違う符号を割り当てる 普通の符号化 データ値 符号 00 01 10 11 A B C D 1つのデータに必要なビットは、 2.0bit となている 出現度に基づく符号化 データ値 符号 0 10 110 111 A B C D 1つのデータに必要なビットは、 0.8×1+0.1×2+0.05×3+0.050×3 = 1.3bit に削減できる 出現確率 0.8 0.1 0.05 0.05 ハフマン符号は、現在のファイル圧縮にも利用されています。 興味のある人は、作り方を調べてみましょう。 問5へ
ハフマン符号化(参考) 0.80 0.10 0.05 0.05 0.1 0.2 0 1 0 1 0 1 1.0 ハフマン符号作成の手順 ①生起確率順に並べる ②生起確率の低い2つを選び枝を1つにまとめ、生起確率をたし合わせる (元の2つの生起確率は削除)2つの枝には“0”、“1”のラベル付けをする ③生起確率1.0の枝ができたところで符号化終了、そうでなければ④へ ④②へ戻り手順を繰り返す ①確率順 に並べる ② -a) 生起確率の低い 0.5 、0.5 をまとめて 0.1 ② -b) 2-a)の0.1と残ったものの中で更に、 生起確率の低い2つをまとめる 0.1と0.1をまとめて 0.2 ② -c) 2-b)の0.2と残った0.8をまとめ 1.0となるので終了 カラーファックス: カラー画像を伝送可能なFaxで、JPEGと呼ばれるカラー画像の圧縮を 利用しています。(JPEGについては、後日学びます P.261) 光電変換、記録変換は白黒Faxと同じです。 事前に送・受信側ともカラーFaxであることが分かっていることが必要で、 情報が多くなるため伝送に時間がかかります。 そもそも、Faxの解像度は高くないため、カラーの必要性があまりなく 普及していないのが現状です。 JPEGを利用した機器 ディジタルカメラ、スマートフォン、イメージスキャナ、 ディジタル複合機、プリンタ etc
カラーFax(P.200)
中間周波数 増幅回路 同期回路 復調 回路 音声検波 回路 色回路 チューナー 回路 音声出力 回路 同期回路 水平垂直偏向回路 色回路 音声増幅 回路 音声送信機 変調回路 映像送信機 混合器 映像増幅 回路 送信の仕組み 受信の仕組み 送信アンテナ スピーカ 受像管 受信アンテナ 水平垂直 偏向回路 撮像管 マイクロホン 映像増幅 回路
テレビジョン(P.201)
FM変調 AM変調 問6へ地上ディジタル放送の概略
映像 音声 データ 映像符号化(圧縮) 音声符号化(圧縮) データ符号化(圧縮) 多重化 伝送路符号化 変調 (OFDM) アンテナ 映像、音声、データは圧縮後、 右図の様に多重化され、誤り 訂正符号やインターリーブなど の処理が行われます 変調は、OFDMを利用して周波 数利用効率を上げています 多重化することで、多様なビットレート(ワンセグ、文字放送など)に対応でき、 連続的な誤りを訂正可能な符号化ができますVHF周波数 90 ~ 108MHz マルチメディア放送 108 ~ 170MHz CATV 170 ~ 202.5MHz 災害対策用の無線通信 207.5 ~ 222MHz マルチメディア放送 UHF周波数 470 ~ 710MHz 地上ディジタル放送 715 ~ 725MHz 高速道路交通システムの無線通信 730 ~ 770MHz 携帯電話 アナログテレビで利用されていた90~770MHzのうち、ディジタル放送 では利用しない周波数帯を違うサービスに使えるようになりました
テレビジョン放送の周波数(P.202)
アナログテレビ放送では、上記周波数帯をすべてテレビ用 としていましたが、現地上ディジタル放送では、470~710MHz帯 しか利用しません。 テレビ映像と音声に 必要な周波数帯域 5.6MHz 6MHz 12MHz ディジタル放送の 電波の周波数帯域 アナログ放送の 電波の周波数帯域 ディジタル放送の電波利用周波数 ⇒ アナログ放送の1/2 アナログ放送では、周波数帯域を狭くすると、 隣接チャンネルが混信してしまうため広くする必要がありました。 470MHz 710MHz 6MHz 1ch分 12MHz 1ch分 アナログ放送だと20ch分 ・・・・・ 6MHz 1ch分 12MHz 1ch分 12MHz 1ch分 6MHz 1ch分 6MHz 1ch分 ・・・・・ 6MHz 1ch分 6MHz 1ch分 ディジタル放送だと40ch分 アナログ放送の 周波数間隔 ディジタル放送の 周波数間隔テレビジョン放送の周波数帯域
問7へ・ 発光点が左から右に高速に移動(走査)し、 右端に到達したら、下に下がって再び左から右に移動する ・走査線=走査の軌跡 標準テレビ(SDTV)では525本、ハイビジョン(HDTV)は1125本 画面に表示されるのは480本(有効走査線数)と1080本とです ・・・・ 有効走査線 走査線
走査線
SDTV:Standard Definition TV 、HDTV:HighDefinitionTV
SDTVでは、走査線を間引いて送り(インターレース)、TV受像機 のコスト軽減と、動画の滑らかさを両立させています ・・・・ 順次走査(プログレッシブ) 飛び越し走査(インターレース) ・・・・ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ① ③ ⑤
インターレースとプログレッシブ
各フィールドは1/60秒で構成、 1/30秒で1フレームを構成します ↓ 1秒間に30フレーム(30fps) 奇数フィールド (奇数番目走査線の集まり) ① ③ ⑤ ⑦ ⑨ ② ④ ⑥ ⑧ ⑩ 偶数フィールド (偶数番目走査線の集まり)