平成2 3年3月
NO.88
会 報
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2010年海外主要金融先物市場の現状
… ……… … 1―新興市場の進展と金融危機再発防止のための規制―
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Financial Futuresニュース
……… 22■
統計資料
… ……… 24・金融先物取引の出来高状況(平成22年度第3四半期)
・取引所金融先物取引の出来高状況
・取引所金融先物取引の建玉状況
・店頭金融先物取引の出来高状況
・店頭金融先物取引の建玉状況
・店頭金融先物取引の通貨別取引金額及び建玉残高
・国内取引所及び店頭における金融先物取引の取引金額(想定元本)の推移
・外国為替証拠金取引に係る証拠金の残高・口座数の状況
・外国為替証拠金取引の残高推移
・外国為替証拠金取引の口座数
・店頭外国為替証拠金取引の取引金額の分布状況
・店頭金融先物取引の取引金額の推移(暦年ベース)
2010年海外主要金融先物市場の現状
-新興市場の進展と金融危機再発防止のための規制-
当 協 会 調 査 部
1.概況(取引所取引と店頭取引) 2.CME・CBOT及びその他の米国の取引所 3.米国の先物業者の状況及びデリバティブ規制 4.NYSE Liffe 5.Eurex 6.アジア・太平洋地域の取引所 7.インド及びロシアの取引所の通貨先物等 本稿は、取引所、業界団体、規制機関等の刊行物 等を基に、当協会調査部がまとめたものです。 1.概況(取引所取引と店頭取引) 昨2010年の世界の取引所における先物市場は、 2008年9月のリーマン・ショック後の市場の後退か ら脱し、新興市場の急伸もあり、前年比25.1%増加 しました。店頭取引は、国際決済銀行(BIS)の残 高調査によれば、依然低調です。 規制面では、自己資本規制、レバレッジ規制、建 玉規制、店頭取引から取引所取引・集中決済制度へ の移行義務化、規制機関の再編など、市場全体及び 市場参加者の過剰なリスク負担を抑制し、金融危機 を再び生じさせないための「安全第一」の規制が次々 と提案され、実施に移されています。 インドやロシアを始めとする新興国が著しく伸び ています。主要な先物取引所は、新興国のユーザー の取り込みを図り、新興国はノウハウの学習に積極 的です。 ⑴ 取引所取引 a.2010年の出来高 2010年の世界主要55先物取引所※1の金融先物・オ プション取引の出来高は、証券先物・オプション取 引を含め、193億9百万枚(前年比25.1%増)※2とな りました。 ※1 金融・証券先物・オプションを取引する取引所の み。持株会社下に複数の市場がある場合は市場ごと に計算。 ※2 この他、農産物、エネルギー、金属等の商品の10 年の出来高は、28億4千万枚(前年比29.4%増)あり ました。図1 世界の金融先物・オプション出来高の推移 0 50 100 150 200 250 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 うち先物 億枚 ※ 95年までの計数には個別株先物・オプションは含みません。 本稿において使用される取引所・清算機関の略称一覧 ASX :AustralianStockExchange BM&F :BolsadeMercadorias&Futuros BMV :BolsaMexicanadeValores BOVESPA:SaoPauloStockExchange CBOT :ChicagoBoardofTrade CME :ChicagoMercantileExchange DBAG :DeutscheBörseAG DTCC :DepositoryTrust&ClearingCorporation ELX :ElectronicLiquidityExchange HKEx :HongKongExchangesandClearing HKFE :HongKongFuturesExchange ICE :IntercontinentalExchange ISE :InternationalSecuritiesExchange KCBT :KansasCityBoardofTrade KRX :KoreanExchange LME :LondonMetalExchange LSE :LondonStockExchange MCX :MultiCommodityExchangeofIndia MCX-SX :MCXStockExchange Mexder :MercadoMexicanodeDerivados MGE :MinneapolisGrainExchange MICEX :MoscowInterbankCurrencyExchange MX :MontrealExchange NSEI :NationalStockExchangeofIndia NYMEX :NewYorkMercantileExchange NYPC :NewYorkPortfolioClearing NZFOE :N e w Z e a l a n d F u t u r e s & O p t i o n s Exchange OCC :OptionsClearingCorporation
RTS :Russian Trading Systems Stock
Exchange
SAFEX :SouthAfricanFuturesExchange
SEHK :StockExchangeofHongKong
SFE :SydneyFuturesExchange
SGX-DC :Singapore Exchange Derivatives Clearing
SGX-DT :Singapore Exchange Derivatives Trading
SGX-ST :SingaporeExchangeSecuritiesTrading
TAIFEX :TaiwanFuturesExchange
TCC :TheClearingCorporation
b.商品種類別出来高 原商品の種類別には、長短の金利が32億8百万枚 (同30.0%増)、通貨が24億1百万枚(同142.0%増)、 株価指数が74億1千万枚(同16.1%増)(うち35億2 図2 商品種類別シェア 2010 年 金利先物・ オプション 個別株先物・ オプション 株価指数先物・ オプション 通貨先物・オプション 穀物等先物・ オプション 2000年 金利先物・オ プション 通貨先物・オプション 個別株先物・ オプション 株価指数先物・ オプション (28.2%) 穀物等先物・オ プション (12.7%) (14.3%) (10.7%) (28.1%) (33.2%) (15.1%) (1.5%) (32.4%) (22.5%) 千万枚がKRXのKOSPI200オプションです。)、個別 株先物及び個別株オプションが62億8千万枚(同 12.4%増)の出来高となりました。 通貨先物・オプションについては、インドMCX-SX8億8,460万枚(同294.4%増)、インドNSEI7億2,562 万枚(同220.5%増)、ロシアRTS1億2,339万枚(同 404.2%増)、金融取1億993万枚(同55.7%増)、韓国 KRX6,505万枚(同55.8%増)などで大きく伸びま した。CMEも、2億3,255千枚(同47.9%増)と増加 しましたが、CMEのシェアは6.5%(05年は約50%、 10年は約29%)と低下しています。 最 近 の 新 種 の 商 品 で は、 配 当 先 物※1が06年 の SAFEXに加え、08年にEurex、09年にNYSELiffe※2、 10年にはSGXと東京証券取引所でも上場され、合計 で2,766万枚(同39.1%増)の出来高となっています。 ※1 個別株先物又は株価指数先物の価格を構成する要 素のうちの配当を予想して取引を行います。 ※2 NYSELiffeは、Euronextグループの5デリバティ ブ市場(アムステルダム、ブリュッセル、リスボン、 ロンドン及びパリ)の総称です。2010年以降、それ までのEuronext.liffe、Liffeに代えて使用しています。 c.取引所・商品別出来高 取引所別には、表1のように、KRXが第1位。次 に欧州の2取引所と米国の4取引所、第4位と第8位に インドNSEIとMCX-SX、10位にブラジルBOVESPA の新興勢力、次いで、米国のISE、ロシアのRTS及 びブラジルBM&Fが続きます。1億枚を超えている 取引所は、全部で23(09年は19、08年は21、07年は 22)となりました。 ※ 各取引所全体の出来高には、農産物等の非金融・ 証券先物・オプションを含みます。 これらの金融・証券を取引する取引所のほか、中 国の上海(10年出来高6億21,896万枚)、鄭州(同4 億9,590万枚)及び大連(同4億316万枚)、米国の NYMEX(同5億48万枚)などの商品のみを取引す る取引所があります。 商品別には、表2のように、短期金利2(前年比 増減なし)、通貨2(同2増)、中長期国債1(同▲1) 及び株価指数5(同▲1)が上位10を構成しています。
ユーロドル預金(3 ヵ月)先物の約2.4%、日経225オ プションの約19%です。また、NSEIの米ドル・ルピ ー通貨先物の1枚の取引金額は1,000ドルで、CMEの 通貨先物の1枚の取引金額は10万ドル程度です。最近、 ミニサイズの商品が増加傾向です。 ※ 主要取引所の主要商品の概要については、会報第 87号「海外金融先物市場の主要金融先物・オプショ ン商品の概要」をご参照ください。 ※ 商品ごとに1枚当たりの取引金額が異なるので、取 引金額ベースの順位は大きく異なります。例えば、 KOSPI200オプション1枚の取引金額は約1.8万ドルで、 表1 年間出来高の上位10取引所 (単位:枚、 %) 2009年 2010年 前年比 1. 3, 102, 891, 777 3, 748, 861, 401 +12. 1 2. 1, 667, 487, 486 1, 896, 916, 398 +12. 4 3. 1, 476, 083, 383 1, 656, 415, 559 +12. 2 4. 918, 507, 122 1, 615, 788, 910 +17. 2 5. 1, 411, 966, 662 1, 115, 491, 922 ▲20. 9 6. 831, 198, 222 1, 008, 021, 180 +16. 5 7. 680, 825, 901 923, 593, 304 +35. 6 8. 224, 273, 548 884, 606, 842 +294. 4 9. 781, 648, 285 846, 895, 365 + 8. 3 10. 546, 989, 560 803, 470, 201 +56. 1 KRX Eurex CME NSEI CBOE NYSE Liffeロンドン CBOT MCX-SX Nasdaq OMX PHLX BOVESPA ⑵ 店頭取引 国際決済銀行(BIS)がG10諸国の主要銀行を対 象として半年ごとに調査する世界のOTCデリバテ ィブ取引残高(想定元本ベース)は、図3のように、 調査が開始された1998年6月末から2008年6月末の 683兆ドルまで増加を続けた後、リーマン・ショッ ク時に598兆ドルに減少し、その後も2010年6月末が 582兆ドルと低迷を続けています。 同じくBISが3年ごとに実施している世界53 ヵ国 の中央銀行等が参加し、約1,309の金融機関等を対 象にした外国為替及びデリバティブ市場に関する調 査によると、2010年4月に実施した今回の調査では、 通常の外国為替市場での1日あたりの平均取引高は、 3兆9,810億ドル(前回(2007年調査)3兆3,240億ドル) となり、前回比、現在の為替レートでは19.7%増、 表2 年間出来高の上位10商品 (単位:枚) 2009年 2010年 1. 2, 920, 990, 655 3, 525, 898, 562 2. 224, 273, 548 821, 254, 927 3. 226, 362, 368 705, 319, 585 4. 556, 314, 143 555, 328, 670 5. 321, 265, 217 529, 773, 463 6. 437, 585, 193 510, 955, 113 7. 333, 407, 299 372, 229, 766 8. 189, 852, 019 293, 718, 907 9. 300, 471, 703 285, 503, 076 10. 192, 859, 090 248, 504, 960 KOSPI200オプション(KRX) 米ドル・ルピー通貨先物(MCX-SX) 米ドル・ルピー通貨先物(NSEI) E-MiniS&P500先物(CME) S&P CNX Nifty株価指数先物オプション(NSEI) ユーロドル預金(3ヵ月)先物(CME)
DJ Euro STOXX 50先物(Eurex) T-Note(10年)先物(CBOT)
DJ Euro STOXX 50オプション(Eurex) EURIBOR(3ヵ月)先物(NYSE Liffeロンドン) ※ 個別株先物、個別株オプション及びETFを除きます。
為替変動調整後レートでは18.1%増となっていま す。なお、当協会会員による同月の店頭外国為替証 拠金取引(店頭FX)のBIS調査結果に対する割合は、 全通貨ペアの取引全体では2.4%(同0.4%)、同スポ ット取引では6.6%(同2.4%)、米ドル・円の取引全 体では8.2%、同スポット取引では22%(同3.0%)と、 図3 店頭デリバティブ取引残高(BIS) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 98/0698/1299/0699/1200/0600/1201/0601/12'02/06'02/1203/0603/1204/0604/1205/0605/1206/0606/1207/0607/1208/0608/1209/0609/1210/06 兆米ドル 金利スワップ それぞれ高くなっています。 ⑶ 取引所及び清算機関のグローバルネットワーク の構築とグループ化 有力商品の相互上場・会員の相互アクセスは、 1984年のCMEとSGX-DTの相互決済協定や1993年 のCMEとMATIF(現在のNYSELiffeパリ市場)の 相互アクセスなど盛んに行われましたが、2000年代 になって合併・買収が盛んになりました。特に2006 年から2008年リーマン・ショック前まで、買収ブー ムともいうような現象が生じ、様々な組合せの合併・ 買収の憶測が流れ、取引所の株価や会員権価格が高 騰しました。 リーマン・ショック後はこの合併・買収の動きが 止まった一方で、再び相互アクセス・相互発注を可 能とする提携が活発になりましたが、2011年には再 度、SGXによるASX買収提案(2010年10月)、ロン ドン証券取引所によるカナダTMXの買収合意(2011 年2月)、ドイツ取引所とNYSEEuronextによる合 併合意(2011年2月)など大型の合併の提案・実施 が行われています。 以前の提携は、電子通信技術が発達し始めた時期 で、同一の取引システムを使用することで相互アク セスが円滑に行うことができ、取引の活発化につな がるということが主な動機であったと思われます。 すなわちテクノロジー主導であり、一方最近の提携 は、提携先の市場ユーザーや得意分野への進出への 玄関口として利用することなど営業戦略主導となっ てきています。 a.取引所同士の合併・買収・グループ化 取引所統合の結果、下記の5つの大きなグループ が形成されました。これらで、商品を含めた全世界 の出来高の37.9%を占めます。 ① ICE(ICE+IPE+NYBOT+WCE+TCC) ② CME(CME+CBOT+NYMEX) ③ NASDAQOMX{(NASDAQ+PHLX+BSE) +OMX(北欧10 ヵ国)+NordPool} ④ Eurex{(DBAG+DTB)+SOFFEX}+ISE ⑤ NYSE Euronext{(NYSE+Archipelago+ Amex)+Euronext(フランス+オランダ+ベル
ギー+ポルトガルの各証券・先物取引所+NYSE Liffe)+CBOT貴金属部門} b.取引所間の提携 最近の取引所間の提携には次のようなものがあり ます。 ① 2008年、KRXのKOSPI200先物を、韓国の夜間 にCMEのGLOBEXで取引する。 ② 2010年、EurexがKRXのKOSPI200オプション を上場し、KRXが取引しない欧州及び米国の日 中に取引を行い、Eurexでの各取引日の取引終了 時、変動証拠金は韓国ウォンで授受され、ネット された建玉残はKRXに移管される。関係会員に 伝達された建玉情報は、店頭ブロック取引機能を 使ってKRXのシステムに入力される。 ③ 2010年、NYSELiffeが 東 京 証 券 取 引 所 の TOPIX先物を上場し、日本の夜間に取引を行い、 建玉は自動的に東京証券取引所に移管する。 ④ CMEとBM&FBovespa(2008年 実 施 )、CME とメキシコBMV・MexDer(2011年予定)及び BM&FBovespaと チ リ のBolsadeComerciode Santiago(BCS)(2010年合意)の相互アクセス・ 相互発注を行う。 ⑷ 電子取引化の進展と注文急増に対する取引所の 対応 a.電子取引の能力増強 先物取引所では、自動取引システムによる注文(事 前に決めた市場状況になると自動的に発注される、 いわゆるプログラム取引又はアルゴリズム取引)の 増加と応答時間の速度上昇への取引参加者の要望に 対応するため、各取引所とも電子取引システムの能 力を高めています。またロジックの混乱防止など安 定性も確保しています。注文発信から結果報告受取 りまでの速度については、数年前の数百ミリ秒から 最近導入されるシステムでは数ミリ秒(あるいはそ れよりも速い数百マイクロ秒)になってきています。 ただし、その実際の速度は、ホストコンピュータか らの距離や条件によって異なるため、取引所は、取 引所から離れた地域でも安定性・スピードの向上及 びユーザーにとってのコスト低減のためにハブを設 けています。 b.電子取引・清算システムのアウトソーシング 電子取引が始まった1990年代には、各取引所が自 前の電子取引システムを開発していましたが、最近 では、外部のシステムを購入する場合がほとんどで す。その中でNasdaqOMX(OMX)とKRXが積極 的に販売活動を行っています。 ① OMX OMXのシステムは、世界で50 ヵ国以上、70以上 の取引所・清算機関で採用されています。日本でも、 2011年2月に稼働を開始した大阪証券取引所の新デ リバティブ売買システムはOMXのものです。東京 工業品取引所でも2009年5月から稼働しています。 ② KRX 従来比較的小規模の取引所は、OMXのシステム を選択していましたが、最近はKRXがそのシステ ムの売込みに力を入れています。 韓国では、合併(2004年)前の韓国証券取引所 (KSE)は独自システム、韓国先物取引所(KOFEX) はOMXのシステムと、異なるシステムを使用して いましたが、合併後、2007年にKRXの独自システ ムに統合しました。KRXは、2005年以降、アジア を中心とした各国の新設取引所や新取引システム開 発を支援し、ラオス証券取引所の設立の支援及び 49%出資を行い(2011年1月取引開始)、カンボジア とも証券取引所の開設を準備中です。この他ベトナ ムの次世代取引システム開発を受注(2009年)。マ レーシア取引所に対しては、債券取引システム開発 (第一次2008年3月、第二次2009年1月)、マーケット・ メーカー監視システムの開発(2009年4月)及びイ スラム商品取引システムの開発(2009年8月)など
があります。 ③ NSC、LIFFE CONNECT NSCを採用する取引所は、Euronextの各現物取 引所のほか、CME、MX、BM&F、CBOT、KCBT、 MGEなど。LIFFECONNECTを採用する取引所は、 NYSELiffe各取引所※、金融取などのほか、東京証 券取引所(オプション)が導入を決定しています。 清算システムは、OMXのSECURのほか、CME とNYMEXが 開 発 し、CMEとNYMEX、LCH. ClearnetSAなどが採用するClearing21がありま す。 ※ NYSEEuronextグループは、現物・デリバティブ の取引システムを新取引システムUniversalTrading Platform(UTP)に移行しつつあります。 c .清算機関の多角化・店頭デリバティブ取引の取 込み 従来は、取引所取引は清算機関が清算するので安 全性が高く、店頭取引は相対だから信用リスクがあ るとされてきましたが、店頭取引も清算機関が清算 するようになってきています。それには、①BIS規 制で、清算機関との取引だと自己資本の負担がかか らないこと※、②2008年のAIG等破綻により顕在化 した決済リスクに対する規制上の要請、があります。 そこで多くの清算機関が店頭取引の清算業務に参入 しようとしています。 ※ 例えば、日本の金融商品取引業者の自己資本規制 では、取引の種類によって1%から15%の掛け目に取 引相手が銀行だと1.2%から5%の掛け目の取引先リス ク相当額となりますが、清算機関相手の取引は、取 引先リスクから除かれています。 d.クレジット・デリバティブ クレジット・デリバティブは、1990年代に店頭市 場において相対で取引され始め、2008年まで取引が 急増しました。そこで、上場商品の多角化を図る先 物取引所でも、Eurex、CME、CBOT及びCBOEが 2007年に競って上場しましたが、店頭での大手取引 参加者からの協力が得られず、どの取引所でも取引 高は伸びませんでした。 CDSの取引に伴う決済リスクの軽減が政治課題と なり、各取引所・清算機関とも店頭で行われたCDS 取引の清算業務に進出しようとしています。 米国では、ICETrustが09年3月に、CMEが09年 12月に、CDS清算を開始しました。ICETrustは、 2011年1月 ま で に 想 定 元 本 累 計8.9兆 ド ル、ICE ClearEuropeは同じく4.4兆ユーロの清算実績があ ります。ICEグループのCDSの2010年の清算実績は 10兆 ド ル、 収 入 は、 取 引 シ ス テ ム を 運 用 す る Creditexが1億600万ドル、清算業務が6,000万ドル ありました。 その他欧州では、08年12月にNYSELiffeとLCH. ClearnetLtd. がCDS取引をBclearで取り扱い始め、 LCH.ClearnetSAが2010年3月にユーロ圏のCDSの 清算を開始し、2011年1月までに278億ユーロの取扱 い が あ り ま し た が、 そ の 後 低 調 で す。Eurex Clearingも09年7月にCDS取引の清算を開始し、同 年中に9,500万ユーロのCDSを清算しました。 ⑸ 市場参加者 先物業者数は、米国においては、この数年間、取 引所取引を行う業者が減少しており、これまで増加 してきた店頭FX業者も自己資本規制等の規制強化 により減少に転じました。 また、大手先物業者による国際的な統合及び投資 銀行系先物業者による穀物、エネルギー、金属等の 商品先物への参入が見られます。なお、農産物、金 属等の商品の出来高は、金融・証券の出来高が落ち 込んだリーマン・ショック時も増加を続け、2010年 は28億4千万枚(同29.4%増)と増加しました。 従来現物株を中心に投資してきた個人投資家も、 mini株価指数先物、個別株先物、個別株オプション、 通貨先物などデリバティブ取引に積極的に参加して いるようです。取引所は、個人投資家用にミニ商品 や、さらに小さなマイクロ商品を上場するとともに、
世界各地からアクセスする新しいユーザー層の便を 図るため、各地域にハブを設けています。 ⑹ デリバティブ規制 世界の規制当局は、金融危機再発防止のための規 制を導入しています。 店頭デリバティブ取引については、米国、EU等 において、市場全体の決済リスク及び金融機関、証 券・先物業者及び投資家等の市場参加者のリスク負 担を抑制する規制が提案・実施されています。 a.バーゼルⅢ バーゼル銀行委員会は、銀行の自己資本規制につ いて、普通株等Tier1の最低必要規制率(minimum commonequityrequirement)を現行の2%から4.5% に引き上げ、さらに資本保全バッファー※2.5%の保 有を義務付けることで、合わせて7%とします。 2015年1月1日までにかけて段階的に導入します。 さらに、G20金融安定理事会(FSB)は、国際的 に活動する、「システム上重要な金融機関(G-SIFIs、 systemicallyimportantfinancialinstitutions)」には、 さらに自己資本の上乗せを求めることになりまし た。対象金融機関等は、2011年中に決定する予定で す。 ※ 業績の変動を吸収する機能。逆張り型の資本積立 てで、加熱時に拡大させ、ストレス時に取り崩します。 b.金融規制改革法(米国) 米国では、2010年7月に金融規制改革法が制定さ れました。金融機関によるリスク負担の抑制や店頭 デリバティブに対する広範囲の規制が盛り込まれて います。(3.(2)a.参照) c.EUにおける店頭デリバティブ規制案 EUにおいても、一定の店頭デリバティブ商品の 集中清算機関での清算の義務化、取引参加者による 取引情報の取引情報蓄積機関(repository)への報 告 の 義 務 化 な ど を 含 む 欧 州 市 場 イ ン フ ラ 規 制 (EMIR)が提案されています。2011年末までに最 終案を固め、2012末までの実施を予定しています。 こ れ ら の 規 制 は、 各 国 で 規 制 を 定 め る 指 令 (directives)ではなく、直接市場参加者に強制する 規制(regulations)となります。2005年に制定され た金融商品市場指令(MiFID)についても、より一 層の取引の透明性及び投資者保護を図るための見直 しが行われています。MiFIDⅡは、2011年央に制定 の予定です。 規制機関として、欧州システミック・リスク理事 会(ESRB)、欧州証券市場機構(ESMA)、欧州銀 行機構(EBA)などが設置されます。 このうち2010年1月に業務を開始したESMAは、 各加盟国の監督機関の監督機関として、金融に関連 するEU規制の実施の確保、規制実施のための基準 作り、規則集等の作成のほか、格付業者及び取引情 報蓄積機関の監督、清算機関及びシステム上重要な EUの銀行の監督機関への参加、集中清算機関での 清算を義務化する対象となる店頭デリバティブ商品 の決定等を行います。なお、取引所や投資業者の許 可や監督は各EU加盟国の監督機関が引き続いて行 います。 EUでは、金融取引税の導入を検討中です。 d.英国、金融機関の監視機能を再度BOEへ 英国は、現在の金融サービス機構(FSA)は廃 止し、中央銀行内及びその下部に金融規制関係の機 関を設置します。(4.(4)参照) e.新興国、資本流入規制 ブラジルや韓国が海外からの資本流入規制を行っ ています。 ブラジルは、海外からブラジルへの短期投資を抑 制するため、ブラジルレアル建ての債券買付に係る 外国為替取引に対する金融取引税(IOF)を10月4
日に2%から4%へ引き上げ、10月18日にさらに6% に引き上げ、海外投資家が取引所で通貨デリバティ ブ取引を行う場合の証拠金への課税率も0.38%から 6%に引き上げました。 韓国は、2010年7月、通貨デリバティブ取引(FX 先渡し、FXスワップ、クロスカレンシー金利スワ ップ、NDFなど)を規制することで資本の流出入 及びウォンの取引を抑制する。具体的には、①国内 銀行及び外国銀行支店の通貨デリバティブの持ち高 を前月の自己資本のそれぞれ50%以下及び250%以 下とする。②企業の外国通貨借入を海外での使用目 的に限定する。③国内銀行の外国通貨の流動性規制 を強化する、などの規制を実施しました。 2.CME・CBOT及びその他の米国の取引所 米国では、2010年9月現在、17(前年比3増)の取 引所が商品先物取引委員会(CFTC)に指定され、 SEC管轄の4取引所を含む20取引所が実際に取引を 行っており、15取引所で金融・証券先物・オプショ ンが取引されています。 10年の米国全体の穀物等の商品を含む出来高は71 億2千 万 枚( 前 年 比12.7 % 増 )、 そ の う ちCME、 CBOT及びNYMEXのCMEグループが米国全体の 出来高の43.2%を占めています。 ⑴ CME・CBOT CMEは、1898年、農産物取引所として設立され、 1972年に国際金融市場(IMM)を開設して世界初 の通貨先物取引を開始しました。07年にCBOT、08 年にNYMEXを買収しました。 CBOTは1848年、 穀 物 取 引 所 と し て 設 立 さ れ、 1977年にT-Bond先物を上場しました。99年にEurex に追い抜かれるまで長年出来高世界一の先物取引所 でした。 a.2010年の出来高 CMEの2010年の出来高は、16億5,641万枚(前年 比12.2%増)と前年比増加しましたが、これまでの 最高の2008年の18億9,340万枚には届きませんでし た。商品別には、通貨の先物・オプションが2億3,255 万枚(同47.9%増)と大きく増加しました。その他、 ユーロドル金利先物・オプションなどの金利商品が 6億9,494万枚(同16.0%増)、株価指数の先物・オプ ションが7億345万枚(同0.6%)、生牛、生豚などの 農産物が2,499万枚(同24.0%増)でした。このほか、 02年以降上場した複数種類の資産の指数の先物であ るTRAKRS、99年以降上場した米国や欧州の気温 指数の先物・オプションが取引されています。2009 年3月に上場した取引単位が既存の通貨先物の約 1/10であるe-Micro通貨先物(米ドル・日本円は1万 ドル)は、全6通貨ペア合計で150万枚(同85.6%増) の出来高がありました。 CBOTの2010年の出来高は、農産物等を含め9億 2,359万枚(前年比35.6%増)で、こちらも2008年の 9億6,077万枚には届きませんでした。商品別では、 2年~ 30年の米国債先物・オプションが6億5,454万 枚(同43.1%増)で、全体の出来高の70.8%を占め ます。このほか、30日フェド・ファンド金利先物・ オ プ シ ョ ン1,941万 枚( 同33.3 % 増 )、Mini DowJones工業株価指数先物・オプション3,414万枚 (同▲14.5%)などとなっています。とうもろこし、 大豆、小麦等の農産物、金属及びエネルギーの先物・ オプションは合わせて2億471万枚(同23.6%)で全 体の出来高の22.1%を占めています。 グループ中のNYMEXは、エネルギーが4億2,054 万枚(同11.8%増)で84.0%を占めています。 b.提携・新商品 ① ダウ・ジョーンズ社との提携 CMEとダウ・ジョーンズ社は、ダウ・ジョーン ズ株価指数を所有する合弁会社を設立し、CMEが その90%、ダウ・ジョーンズ社がその10%を持分と
することに合意しました。また、ダウ・ジョーンズ 社 と は、 米 ド ル 指 数 で あ るDowJonesCME FX $INDEXを共同開発し、その先物を2010年7月に 上場しました。米ドル指数は、豪ドル、英ポンド、 カナダドル、ユーロ、日本円及びスイスフランの6 通貨から構成されます。 ② メキシコ取引所・ブラジル取引所 CMEとメキシコBMVは、ラテンアメリカ外から BMVのデリバティブ関連子会社であるMexDerの 商品の発注を行う場合はCMEが、メキシコ内から CMEの商品の発注を行う場合はBMVが排他的に取 り扱う旨、合意しました。CMEはBMV株1.9%を買 い付けます。また CMEとBM&FBovespa、CME とBMV・MexDer(2011年 予 定 ) 及 びBM& FBovespaとチリのBolsadeComeruciodeSantiago (BCS)の相互アクセス・相互発注を行う旨合意し ました。 ③ E-micro先物の商品性改良 E-micro先物に日本円、カナダドル及びスイスフ ランを加え、最終決済方法をこれまでの差金決済か ら受渡決済に変更しました。 ④ OTR米国債先物を上場 CBOTは、2010年10月、直近に競争入札される2年、 5年及び10年(OTR、On-the-Run)の米国債の先物 を上場しました。 ⑤ 外国為替ボラティリティ指数先物を上場 CMEは、2011年2月、CMEに上場される通貨先 物のうち主要なものに基づく一連の実現ボラティリ ティ(FXVolContracts)の先物を上場しました。 c.清算 CME及びCBOTで行われた取引の清算はCMEの 内部で行っています。証拠金はSPANにより計算し ます。顧客勘定の建玉についてはグロスで計算しま す。(ネットマージンとグロス・マージンの違いは、 会報第84号9頁参照) 2009年12月、NYMEX買収に伴い取得した電子シ ステム「クリアポート」により商品、株式及び外国 為替の取引所外取引の清算を開始しました。ロイタ ーとの合弁で2006年に開始した外国為替の取引所外 取引は、2008年10月に撤退しました。2009年12月に 店頭市場で取引されたCDSの清算を開始しました。 d.電子取引化 欧州の取引所の完全電子取引化は、極めて短期間 で行われましたが、CME・CBOTにおいては、緩 やかに移行しています。CBOTも合わせたCMEグ ループでの全商品の立会場取引の割合は11.9%(前 年13.4%)、電子取引の割合は86.3%(同85.2%)と なっています。 ⑵ 米国のその他の先物取引所 ICEFuturesUS(旧NYBOT)は、コーヒー、砂 糖などの農産物が55%、株価指数が37%、通貨先物 が7%を占めます。2010年は、米ドル指数先物が636 万枚(前年比152.3%増)と大きく増加し、取引所 全体でも1億729万枚(同15.3%増)となりました。 清算はICEClearUSが行います。 CBOEは、個別株オプションが51%、株価指数オ プションが24%を占めます。06年2月に上場した CBOEボラティリティ指数(VIX)先物が09年には 6,245万枚(同87.3%増)になりました。清算はOCC が行います。CBOEが2003年のCBOE先物取引所に 続いて設立したC2取引所は、2010年10月に個別株 オプション等の取引を開始し、同年の出来高は361 万枚ありました。 ISEは、電子取引所として設立され、00年に取引 を開始し、個別株オプションが63%を占めます。07 年12月、Eurexが買収しました。07年4月、ユーロ、 日本円等の通貨先物を上場し、10年の出来高は26万 枚(同▲21.0%)でした。清算はOCCが行います。 NASDAQOMXPHLXは、個別株オプションが 64%を占めます。07年1月から7月にかけて米ドル決
済の各種通貨オプションを上場し、その10年の出来 高 は、58万 枚( 同 ▲52.5 %) で す。07年12月 に NasdaqOMXがPHLXを買収しました。清算はOCC が行います。 CCFE(シカゴ気候先物取引所)は、03年に設立 され、10年の出来高が44万枚(同▲67.8%)ありま した。清算はTCCが行います。 ELXは、主要投資銀行等により設立され、09年7 月に2年~ 30年物米国債先物の、10年6月にはユー ロドル金利先物の取引を開始しました。米国債先物 のCBOTシェアは、2.0%です。清算はOCCが行い ます。 NYSELiffeU.S.は、CMEグループのNYMEX買 収に伴い、CBOTの貴金属部門を譲り受けました。 ユーロドル先物、2年、5年、10年及び30年物米国債 の先物を2011年中頃までに上場する予定です。清算 は、現在取引している貴金属や株価指数先物は OCCで、上場予定の金利先物は、DTCCとの合弁で 新たに設立・登録したNYPCが行う予定です。 ⑶ 米国の清算機関 全米で14のデリバティブ清算機関がCFTCに登録 されており※、そのうち、先物取引所の一組織であ る清算機関は6機関(CME、CBOT、MGE、NYMEX、 North American Derivatives、Natural Gas Exchange)、先物取引所の子会社である清算機関は 6機 関(KCBT、ICEClearUS、TCC、ICEClear Europe、Canter、NYPC)、独立した法人である清 算 機 関 は3機 関(OCC、LCH.ClearnetLtd、IDC) あります。 ※ 休眠中のものを除きます。 3.米国の先物業者の状況及びデリバティブ規制 ⑴ 先物業者の状況 米 国 の 登 録 先 物 業 者 数 は、10年9月 現 在、 FCM142※、RFED8、IB1,596、FB6,591、FT1,344、 CTA2,560、CPO1,228、AP51,245となっています。 新たに設けられたRFEDを除き、全業種で前年比減 少しています。その推移を図4で見ますと、総合的 な先物業者であるFCMは、83年の461社をピークに 減少し続け、02年に179社になった後、一般投資家 向けOTC外国為替取引を営む業者数の増加や証券 先物を取り扱う証券業者の増加により増加に転じま したが、05年以降は再び減少を続けています。10年 は、FCM、主に業者の外務員であるAP、投資信託 の性格を持つCPO、FCMに注文をつなぐIB、投資 顧問の性格を持つCTAともに減少しています。 ※ FCM142社(前年比▲24社、うち8社はRFEDに移行) のうち実際に取引を行っているFCMは、126社(同6 社)、うち新規参入8社、撤退14社です。
⑵ デリバティブ規制 a.金融規制改革法 米国においては、2010年7月、金融危機再発防止 に向け、ドッド-フランク・ウォールストリート改 革及び消費者保護法(金融規制改革法)が制定され ました。同法には、金融機関による自己取引を規制 し(ヘッジファンドへの投資は自己資本の3%まで、 ヘッジ目的以外のデリバティブ取引の禁止等)、店 頭デリバティブに対する広範囲の規制(スワップ業 者が外国為替業者に対する登録制度の導入、自己資 本規制要件の強化、標準化されたデリバティブの取 引所又はスワップ執行施設での取引及び集中清算機 関での清算の義務化など)、金融関係当局から構成 される金融安定化監視評議会(FSOC)を設置して システミックリスク(連鎖破たん)を防止する、消 費者金融保護庁(CFPA)を設置してサブプライム・ ローンなどの金融商品を監視する、運用資産1億ド ル以上のヘッジファンドをSECに登録させ、開示義 務を課すことのほか、CFTCが外国為替を含む店頭 でのスワップ取引及びフォワード取引の監視を担当 すること(SECは証券関連デリバティブを担当)な 図4 米国の登録先物業者数の推移 FCM:futurescommissionmerchant,IB:introducingbroker,FB:floorbroker, FT:floortrader,CTA:commoditytradingadvisor,CPO:commoditypooloperator, AP:associatedperson
どが盛り込まれています。 ① CFTC、外国取引所にノーアクション・レター に代えて登録制度を導入 CFTCは、2010年11月、金融規制改革法案に基づ き、米国内の顧客に対する外国取引所で取引される 先物・オプションの販売規制について、米国内の会 員・参加者がその電子取引端末にアクセスできるよ うにする全ての外国取引所は、従来のノーアクショ ン・レター方式※1に代えて、CFTCに登録しなけれ ばならないこととする(Part48)旨意見を公募し ました。現在20あるノーアクション・レターを受け ている外国取引所は、その既得権は認められず※2、 120日以内に登録申請を行わなければなりません。 ※1 当該外国取引所が商品取引所法(CEA)第5条に 基づく契約市場(DCM)としての指定を受けず、 又は同法第5a条に基づくデリバティブ取引執行施設 (DTEF)としての登録を行わずに、米国の会員・ 参加者が当該外国取引所に直接アクセスを行うこと ができることをCFTCに確認することを要請し、 CFTCがその旨のノーアクション・レターを発出す る方式。 ※2 但し、これまで提出した書類を使用できる。新登 録制度の基準や手続きについても、従来実際に行わ れてきたものについて今回明文化されるものはある が、従来のノーアクション・レター方式と大きくは 異ならない。 ② CFTC、スワップ・ディーラー等に登録制度を 導入 CFTCは、2010年11月、金融規制改革法案に基づ き、スワップ・ディーラー(SD)※1及び主要スワ ップ参加者(MSP)※2(合わせて、スワップ会社(swap entities))について、登録制度を導入するとともに、 スワップ会社が全米先物協会(NFA)の会員とな ること及び外務員が欠格事由に該当しないことの確 認を行うことを義務付ける規則について意見を公募 しました。その内容は、①登録制度及び包括的な規 則の制定、②標準的なスワップ取引に対する清算機 関、取引所その他の取引システムでの清算・取引執 行の義務付け、③記録の作成・保存及び報告制度、 ④CFTCによる監督に関する規則制定です。 ※1 SDの定義は、①それ自身がスワップのディーラ ーとして振る舞う者、②スワップのマーケットメー カー、③自己勘定で通常の業務として取引相手と繰 り返しスワップ取引を行う者、④スワップのディー ラー又はマーケットメーカーとして一般に知られる 者となるような業務を行う者のいずれかに該当する 者。但し、保険対象の預託機関が顧客に対する貸付 に関連してスワップ取引を当該顧客と行う場合には SDとはみなされず、SDの定義からの除外基準は、 過去12 ヵ月において、スワップ取引想定元本金額が 1億ドル以下、政府等とのスワップ取引想定元本金 額が2,500万ドル以下、スワップの取引相手が15以下 及びスワップ取引件数が20以下の全てを満たす場 合。 ※2 MSPの定義は、①主要なスワップの種類※3のいず れかにおいて、相当のポジション※4を保有する(ヘ ッジ目的、リスク軽減目的等を除く)者、②そのス ワップ残高が相当の取引相手リスクをもたらし、米 国の金融システムの安定性に重大な影響がある者、 ③自己資本と比較して高レバレッジとなっており、 連邦の銀行監督機関が定める自己資本規制の対象と なっておらず、主要なスワップの種類のいずれかに おいて、相当のポジションを有する者のうちいずれ かに該当する者。 ※3 「主要なスワップの種類」とは、①金利、外国為 替レート等のレートを参照にするレート・スワップ、 ②クレジットスワップ、③エクイティ・スワップ、 ④その他の商品スワップをいう。 ※4 「相当のポジション」とは、第一テスト(レート・ スワップ以外の主要なスワップの種類の現在の日次 平均無担保リスク負担が10億ドル、レート・スワッ プは30億ドル)又は第二テスト(レート・スワップ 以外の主要なスワップの種類の現在の日次平均無担 保リスク負担及びそれに伴う将来のリスク負担が20 億ドル、レート・スワップは60億ドル)のどちらか に適合する場合のポジション。 ③ 先物業者の自己資本要件の引上げ CFTCは、2009年12月、先物業者であるFCM及 びIBに対する調整済自己資本(ANC、adjustednet capital=流動資産-負債-調整額)必要額※1のうち の固定額部分をそれぞれ25万ドルから100万ドル及 び3万ドルから4.5万ドルに引き上げました。加えて、 ①FCMが店頭デリバティブ商品の顧客建玉及び非 顧客建玉をデリバティブ清算機関その他の清算機関 で清算する場合(以下、そのような建玉を「店頭デ リバティブ清算建玉」といいます。)に、それらの 店頭デリバティブ清算建玉をリスクに応じた額の計 算 要 素 に 加 え る、 ②FCMが そ の グ ル ー プ 勘 定 (proprietaryaccount)で取引所で取引する場合の 先物・オプションの建玉を資本から控除すると同様、
FCMの店頭デリバティブ清算建玉についても資本 から控除する、③非顧客勘定の先物・オプション及 び店頭デリバティブ清算建玉について証拠金必要額 に対する自己資本必要額の比率を4%から顧客勘定 と同じ8%に引き上げることとしました。 ※1 固定額、リスクに応じた額※2又は当該業者が会員 となっている登録先物協会が定めるANC必要額 (NFAも同時に改正し、FCM100万ドル、IB4.5万ド ル)のいずれか大きい額。 ※2 NFAは、外国為替会員の自己資本要件の変動額部 分について、外国為替会員が全ての顧客との取引の カバーについてSTPを採用している場合は、適用し ないこととしました。 b.店頭FXに関する新規制 ① 店頭FXの証拠金率規制を2%に CFTCは、2010年10月から、一般顧客向け※1店頭 外国為替取引について、業者※2が顧客から受け入れ る証拠金額の想定元本に対する比率をNFAが定め る比率を下限とすることとしました。但し、NFA が定める比率は、主要通貨ペア※3は2%以上、それ 以外の通貨ペアは5%以上でなければならないこと としました※4。このほか、オプションの売りは、同 じく想定元本の2%又は5%、オプションの買いは、 オプションプレミアムの全額、証拠金が不足する場 合は追加証拠金を徴求するか、顧客の建玉を手仕舞 いすることとしました。 ※1 一般顧客とは、総資産1,000万ドル未満若しくはリ スク管理のために取引を行う場合は500万ドル未満 の個人で、先物業者若しくは証券業者でない者、又 は金融機関若しくは投資会社を除く総資産1,000万ド ル未満若しくは本業に関連して取引を行う場合は純 資産100万ドル未満の会社、又は総資産500万ドル未 満の商品プールをいう。 ※2 FCM(店頭FXを行うが、主には取引所取引を行 う。)又は新たに設けられた一般顧客向け外国為替 取引業者(RFED,retailforeignexchangedealer)(主 に店頭FXを行う。)はCFTCに登録しなければなら ない。さらに今回、店頭FXの仲介をするIB、CTA、 CPOそしてその外務員にも登録が義務付けられた。 なお、このほか、米国の金融機関、証券業者及び金 融持株会社も店頭FXを行うことができる。FCMで もあるNFAの外国為替会員(forexdealermember) は、2011年2月現在17社(このうち、RFEDが12社、 主に店頭FX及び取引所取引FXを取り扱うFCMが5 社)。 ※3 主要通貨ペアは、通貨ペアの両方が主要通貨であ り、主要通貨は、NFAが定め、1年に1度以上見直す。 現在NFAでは、英ポンド、スイスフラン、カナダド ル、日本円、ユーロ、豪ドル、NZドル、スウェー デンクローナ、ノルウェークローネ及びデンマーク クローネとしている。 ※4 下記③参照。 ② CFTC、店頭FX業者による財務報告に新項目 を追加 CFTCは、2010年11月、店頭FXの相手方となる FCM及びRFEDが提出しなければならない財務報 告として、従来の財務諸表、最低自己資本規制値計 算書、損益計算書、株主変動報告書、劣後債務変動 報告書、取引所取引に係る顧客資金分別管理状況報 告書等に加え、①一般顧客との外国為替取引からの 総収入額、②一般顧客及び顧客以外の者(自己勘定 を除く)の口座での外国為替取引の売建玉と買建玉 をネットした想定元本の合計額、③一般顧客向け外 国為替取引資産の合計額、④一般顧客向け外国為替 取引に係る債務の合計額、⑤一般顧客向け外国為替 取引に係る最少証拠金必要額を追加しました。 ③ NFA、外国為替会員に関する規則を改正 NFAは、商品取引所法の改正に伴い、2010年9月、 NFA規則を改正し、①外国為替会員(FDM)がそ の規律に責任を有する勧誘員及び口座担当者の数に 応じた手数料を廃止する、②各FDMは1名以上の CCO(ChiefComplianceOfficer)を置き、CCOは 毎年法令遵守管理状況の報告をNFAに行うこと、 ③外国為替取引に関し一般顧客が預託する証拠金の 想定元本に対する比率を主要通貨(英ポンド、スイ スフラン、カナダドル、日本円、ユーロ、豪ドル、 NZドル、スウェーデンクローナ、ノルウェークロ ーネ及びデンマーククローネ)は2%以上、その他 の通貨は5%以上とする、④一般顧客の証拠金預託 額が預託必要額を下回った場合は、追加証拠金の徴 求又は当該一般顧客の建玉を強制決済すること、⑤ NFA非会員から外国為替の注文を受けることを禁 止することとしました。
NFAは、2009年9月、3,000万ドル以上の自己資本 を有する外国為替会員に認めていたレバレッジ規制 (主要通貨100倍、それ以外25倍)を免除する規定を 廃止しました。 ④ NFA、外国為替会員の日次取引記録を分析 NFAは、2011年2月4日から、FDMに対し、①日 次の全注文取引記録、②日次の成立した取引のリス ト、③日次のFDMによる全価格調整のリスト、⑤ システム障害や相場急変など非常事態があったとき はその日次のリスト等の取引記録の報告を義務付け ることとしました。報告対象日の11:59p.m.までの報 告期限に遅滞した場合は、1営業日あたり200ドルの 過怠金を科します。NFAは、そのような報告内容 について、①顧客注文が取引システムに到着した時 刻から取引が成立する時刻までに遅れがあるかどう か、②顧客への提示価格が注文が到着した時刻にお ける取引システムに反映された価格と異なる頻度、 ③特定のFDMにおける注文成立価格が市場価格 (Bloomberg等)から離れている、又はFDMのスプ レッドが他のFDMが提示する価格から離れている かどうか、④顧客のストップ注文や追証を引き起こ す価格が他のFDMが提示する価格と一致している かどうか、等について分析します。 なおNFAは、2010年6月と12月、FDM2社が取引 システムに顧客にとって不利な価格のスリッページ と顧客にとって有利な価格のスリッページが不釣り 合い(顧客に不利)となるようにプログラムを設定 し、損害を与えた等により、過怠金を合わせて78万 ドル徴収しました。 ⑤ NFA、定率会費を2倍に引上げ NFAは、2011年1月1日から、定率会費を先物受 託取引片道1枚当たり1セントから2セントに、FDM による外国為替取引想定元本1万ドル当たり1セント から2セントにそれぞれ引き上げました。FCMの定 額年会費1,500ドル又は5,625ドル、FDMの総収入に 応じた会費5万ドル~ 12.5万ドルは据え置かれます。 なお、新しく制定・作成されたCFTC規則第5章(取 引所外外国通貨取引)及びNFAガイド(外国為替 取引)は、当協会調査部で全訳しています。必要と される会員は、その旨お申し出ください。 4.NYSE Liffe ⑴ 2010年の出来高 NYSELiffeの5市場の10年の出来高合計は、12億 2,255万枚(前年比15.7%増)でした。 a.NYSE Liffeロンドン NYSELiffeロンドンの10年の出来高は、農産物 等を含め全体で10億80万枚(前年比16.5%増)とな り、欧州では、Eurexに続いて第2位です。 商品別には、短期金利が5億5,733万枚(同13.2%) で、全体の55.2%を占め、株価指数が8,837万枚(同 ▲16.8%)、長期英国債、ユーロ建てスワップノー トなどの中長期金利が3,001万枚(同18.9%増)でし た。 農産物等の取引所全体に占める出来高シェアは 0.9%ですが、ココア、コーヒー、砂糖の先物・オ プションは、ともに2 ~ 3百万枚程度の出来高があ ります。 BClear※1は、10年、3億4,084万 枚( 同30.6 % 増 ) の取扱量がありました。 短期金利先物のパック※2とバンドル※3の出来高が 急増しています。EURIBOR先物では、それぞれの 2010年の出来高は、201万枚(同279%増)及び246 万枚(同297%増)でした。Schatzなどドイツ中期 国債先物の代替として、取引されているようです。 その理由は、①欧州内の金利格差の拡大によりドイ ツ国債のEU全体の指標としての機能低下、②パッ ク・バンドルのスプレッド及び手数料が各限月個別 に取引するよりも低いこと、などが挙げられます。 ※1 05年10月に店頭で取引された株式を取引所で取引 されたものとして清算するシステムをいいます。そ
の後CDS及び商品も取り扱うようになりました。 ※2 四半期限月(3,6,9,12月)の先物において、1年 ごとに区分された連続する4限月分の先物を同一取 引単位一括して買い付ける又は売り付ける取引をい います。金利スワップのヘッジ等に使われます。 ※3 四半期限月(3,6,9,12月)の先物において、2年 以上1年ごとの連続する4限月の先物を同一取引単位 一括して買い付ける又は売り付ける取引(従って2 年バンドルは最初の1年のパック及び2年目のパック の合計)をいいます。金利スワップや中期国債のヘ ッジ等に使われます。 b.その他のNYSE Liffe市場 アムステルダム市場の10年の出来高は、1億2,437 万枚(同0.4%増)で、その69.1%を個別株オプショ ンが占め、その他は株価指数及びユーロ/米ドルな どの通貨先物です。 ブリュッセル市場の10年の出来高は、142万枚(同 5.7%増)で、個別株オプションが88.1%を占め、そ の他は株価指数先物です。 リスボン市場の10年の出来高は、21万枚(同▲ 6.7%)で、その57.4%を株価指数先物が占めていま す。 パリ市場の10年の出来高は、1億1,914万枚(同 12.8%増)で、その37.6%をCAC株価指数先物が占 め、その他は個別株オプション及び小麦、菜種など の農産物です。 ⑵ UTP Euronextの電子取引システムは、全現物市場が 従来のNSC-EMMから新システムUTP(Universal TradingPlatform)に移行され、デリバティブ市場 も2011年に現在のLIFFECONNECTからUTPに移 行する予定です。 ⑶ 清算・決済 a.LCH.Clearnet及び新清算機関の設立 LCHとClearnetは、03年12月に対等合併し、とも に 新 た に 設 立 さ れ た 持 株 会 社(LCH.Clearnet GroupLimited)の子会社となりました。合併後に Euronextが保有株を買い戻し、ユーザーが73.3%、 取引所が10.9%、Euroclearが15.8%を保有していま す。 NYSELiffeは、これまでLCH.Clearnetを利用し ていましたが、2012年末をめどに欧州の証券及びデ リバティブの取引の清算機関をロンドンとパリに新 たに設立し、ロンドンでは、金利、商品及び外国為 替の取引所取引を清算し、パリでは株式及び株式の デリバティブを清算する予定です。 b.取引所取引の清算と多角化 LCH.ClearnetLtd.は、 取 引 所 取 引 で は、NYSE Liffeロンドン、LME、LSE-SETS、EDXロンドン、 OTC取引では、ドイツ等の国債等の現金担保付債 券貸借(レポ取引)、金利スワップ取引、電力、 OTCガス取引、タンカー輸送量を含む運賃契約な どの清算を行っています。 LCH.ClearnetSAは、アムステルダム、ブリュッ セル、リスボン及びパリの証券取引所での取引のほ か、2008年12月に、欧州環境取引所(BlueNext)※ の二酸化炭素排出権(EUA)及び排出削減量取引 (CER)(同08年12月)の清算を始めました。 ※ NYSEEuronext及びフランスのCaissedesDepots がそれぞれ60%、40%を出資して2007年に設立され ました。 LCH.Clearnetグループの09年12月まで1年間の清 算 手 数 料 収 入 合 計2億2,130万 ユ ー ロ( 前 年 比 ▲ 34.6%)の分野別内訳は、デリバティブ・先物・オ プション・スワップが9,870万ユーロ(前年比▲ 24.3%)、株式が6,060万ユーロ(同▲47.3%)、債券・ レポが3,260万ユーロ(同9.4%増)、商品・エネルギ ーが2,940万ユーロ(同▲53.6%)となっています。 ⑷ 英国、金融機関の監視機能を再度BOEへ 2010年5月に発足した保守・自由民主党の連立政
権は、金融安定化のため、中央銀行内に金融基本方 針委員会(FPC)を設置するなどの方針を表明しま した。この他、具体的な規制機関として、中央銀行 の下部機関として健全性規制機構(PRA)を設置し、 銀行等の預金受入機関の安全性規制を行い、独立し た機関として、消費者保護・市場機構(CPMA) を設置し、業者の行為規制及び消費者保護を行いま す。また、現在の金融サービス機構(FSA)は廃 止します。 なお、1997年5月には、労働党が総選挙で勝利し、 中央銀行の銀行監督部門や各規制機関を統合したよ り効率的な規制システムを導入する方針を表明しま した。この方針に基づき、98年6月、中央銀行の銀 行及び市場の監督・監視部門がFSAに統合され、さ らに証券先物協会(SFA)等各自主規制機関の職 員の雇用契約をFSAとのものに切り替え、実質的 な統合が行われた経緯があります。 5.Eurex Eurexは、1988年に設立されたドイツ先物取引所 (DTB)と86年に設立されたスイス・オプション金 融先物取引所(SOFFEX)が98年に取引・清算シ ステムを統合して成立した共同市場です。DTB、 SOFFEXともに設立当初から電子取引のみを行っ ていました。 03年にはEurexに関する契約が14年まで10年延長 され、出資比率は従来の50 / 50のままで、Eurex からの利益配分を従来のDBAG80%及びスイス取引 所20%をそれぞれ85%及び15%に変更しました。 ⑴ 2010年の出来高 Eurexの10年の出来高は、18億9,691万枚(前年比 12.4%増)となり、KRXに次いで世界第2位です。 商品別では、BUNDなどの金利が5億7,481万枚(同 23.4%)と全体の30.3%、株価指数が8億511万枚(同 0.9%増)と全体の42.3%を占め、残り30%のほとん どは個別株オプションです。08年に上場した配当先 物・オプションが10年は452万枚(同77.5%増)と 増加しました。 ⑵ 米国進出・KOSPI200オプション上場 Eurexは、00年8月以来CBOTに電子取引システ ムを提供してきましたが、03年、その提携を解消し、 04年2月にシカゴにUSFEを開設し、米国債先物、 株価指数先物、通貨先物などを上場しましたが、取 引が低調で、06年10月にその70%の株式を売却しま した。 07年12月、ISEを28億ドルで買収しました。 KRXと提携し、KOSPI200オプションを10年8月 に上場し、KRXが取引しない欧州及び米国の日中 に取引を行うこととしました。Eurexでの各取引日 の取引終了時、変動証拠金は韓国ウォンで授受され、 ネットされた建玉残はKRXに移管されます。関係 会員に伝達された建玉情報は、店頭ブロック取引機 能を使ってKRXのシステムに入力されます。10年 のEurexでの出来高は18万枚でした。 ⑶ 清算・決済 a.Eurex Clearing AG EurexClearingAGは、Eurexの100%子会社で、 98年9月に設立され、Eurexでの取引を清算します が、その他にも、ドイツ国債の業者間取引のための 市場・清算サービス、レポ取引、CDS取引、株式取 引等の清算サービスを提供します。 b.Clearstream ドイツ国内の証券取引及び国際的な証券取引の清 算、決済及び保管は、DBAGの完全子会社である ClearstreamInternationalAG※が、その子会社であ るそれぞれClearstreamBankingフランクフルト及
びClearstreamBankingルクセンブルグを通して行 っています。 ※ 99年にDBAGと世界の主要金融機関約90社が株主 となっているルクセンブルグのCedelInternational SA(Cedel)との50%ずつの出資で設立されました。 02年にDBAGがCedelの持分を買収し、完全子会社と しました。 6.アジア・太平洋地域の取引所 ⑴ SGX-DT(シンガポール) シンガポールには、証券取引所であるSGX-ST、 金融・証券先物を取引するSGX-DTのほか、ゴムを 取引するシンガポール商品取引所(SICOM)、通貨 やエネルギーを取引するシンガポール・マーカンタ イル取引所(SMX)があります。 SGX-DTの前身は、シンガポール国際金融取引所 (SIMEX)で、1984年9月にアジア初の金融先物取 引所として設立され、同年ユーロドル先物及びドイ ツマルク通貨先物の取引を開始しました。設立にあ たっては、CMEの取引制度や規制を導入しました。 先物取引法は、その後86年3月に制定されました。 99年12月、証券取引所との合併を機に名称を現在の ものに改めました。 シンガポール・マーカンタイル取引所(SMX)は、 インドMCX取引所等10取引所を運営するFinancial Technologies(India)Limitedが設立し、ユーロ・ 米ドル通貨先物の取引を2010年8月に開始しました。 a.2010年の出来高 SGX-DTの10年の出来高は、6,071万枚(前年比 14.5%増)でした。日本、台湾、シンガポール、イ ンド及び中国の株価指数先物・オプションが5,988 万枚(同14.6%増)と全体の98.6%を占めています。 2004年のNYSELiffeによるユーロドル金利先物上 場によるCMEとNYSELiffe間の今日のあおりを受 け、ユーロドル金利先物の取引が07年になくなり、 ユーロ円先物の出来高も激減しています。 2010年、EurexのEuroSTOXX先 物(SGX-DTで は米ドル建て)を上場し、Eurexの夜間に取引を行 っています。 b.シンガポールの規制 シンガポールにおいて証券取引と先物取引を規制 する法律は、02年10月に施行された2001年証券・先 物法です。同法は、従来の証券業法と先物取引法を 統合したものです。証券・先物法は、証券、先物、 レバレッジ外国為替取引その他の資本市場商品につ いて規制します。先物は、金融、証券、エネルギー 及び金を原商品とします。さらに2008年2月、それ まで商品取引法(規制機関はシンガポール国際企業 庁)が管轄していた商品先物取引も証券・先物法(規 制機関はMAS)に移管されました。 規制機関は、シンガポール通貨庁(MAS)です。 MASは、03年7月からSGX会員に対する立入検査の 主たる責任を引き受け、SGXはそのための費用とし て年間230万SドルをMASに支払っています。 証券取引、先物取引、レバレッジ外国為替取引、 企業資金調達助言業務、資金運用、証券発行による 資金調達及び証券保管業務の規制業務を営むには、 その種類に応じた資本市場業許可をMASから受け なければなりません。資本市場業許可は、3年間又 はMASが指定する期間有効です。銀行等は資本市 場業許可の保有要件を免除されます。外務員は、外 務員としてのMASの許可が必要です。 資本市場許可業者は、11年2月現在、251社(08年 比43社増)います。うち、先物取引を行う業者は48 社(同7社増)、レバレッジ外国為替取引を行う業者 は19社(同1社増)です。先物取引を行う業者の数は、 01年3月末の50社から04年3月末の31社まで減少した 後、増加しています。 シンガポールでは、2010年度以降の通常の法人税 率は17%(1997 ~ 2000年度の26%から段階的に低
下)ですが、先物取引所による金融先物取引の市場 運営収益が課税免除となっており、SGX-DT会員で ある法人については、先物取引や外国為替取引、非 居住者が差し入れた証拠金からの収入に対し10%の 軽減税率が適用されるなどの税制上の優遇措置があ ります。 ⑵ ASX及びSFE(オーストラリア) オーストラリアでは、先物取引所の設立もその電 子取引化も比較的早く、SFEは、1960年に羊毛の先 物取引所として設立され、99年11月に完全電子取引 SYCOMに移行しました。 SFEは、金融先物(オーストラリアBA手形(3 ヵ月)先物など)、証券先物(SPI200株価指数先物 など)、商品先物(羊毛、電力など)を上場し、 ASXは、証券現物、証券先物(S&P / ASX株価指 数先物など)、商品(小麦など)の先物のほか、07 年11月に個別株、株価指数、外国為替レート及び金 と石油のCFD(contractfordifference)を上場し ました。 SFEで 行 わ れ た 取 引 の 清 算 は、SFE清 算 会 社 (SFECC)が行います。 SFEは、92年にNZFOEを買収、2000年9月に株式 会社化、同月に豪ドル建てCPや国債以外の債権の 決 済 機 関 で あ るAustraclearを 買 収 し ま し た。 NZFOEの商品は、04年3月にSFEに移管されました。 06年7月にASXがSFEを買収し、完全子会社としま した。 このほか、全豪証券取引所(06年12月にニューキ ャッスル証券取引所から名称変更)があり、2011年 後半には、私設取引システムであるChi-Xが証券取 引所として業務を開始する計画です。 a.2010年の出来高 SFEの10年の出来高は、8,617万枚(前年比33.4% 増)でした。オーストラリアの商品では、BA手形(90 日)、国債などの金利先物・オプションが7,410万枚 (同39.6%増)で全体の85.9%を占め、その他株価指 数の先物・オプション、羊毛などの農産物及び電力 の先物・オプションがあり、ニュージーランドの商 品では、BA手形(90日)先物・オプションが142万 枚(同▲39.9%)などとなっています。 b.オーストラリアの規制 オーストラリアにおいて証券、先物及び商品を規 制する法律は、法人法第7章(金融サービス・市場)、 監督当局は、オーストラリア証券・投資委員会 (ASIC)です。ASICが規制対象業者から徴収した 手数料等は国庫に納入され、ASICの経費約3.9億豪 ドルは、連邦政府の予算により賄われます。(連邦 政府、ASICが規制対象業者から徴収した手数料等 5.8億豪ドルは国庫に納入されます。) デリバティブを含む金融商品の売買、助言などの 金融サービスを提供する金融サービス業務を営む者 は、ASICからオーストラリア金融サービス許可 (AFSlicence)を取得する必要があります。AFS許 可業者は、その外務員に特定の金融サービスを提供 することを委任する通知を行ったときは、その旨 ASICに届出書を提出しなければなりません。 ASICが2010年に市場監視業務をASXから引き継 ぎました。 ⑶ HKFE(香港) HKFEは、1976年に香港商品取引所として設立さ れ、綿花や砂糖を上場していましたが、現在はそれ らの商品は取引されていません。2000年にSEHK等 と統合され、現在は持株会社であるHKExの下に SEHK、HKFE、証券の清算を行う香港証券清算会 社(HKSCC)、先物の清算を行うHKFE清算会社 (HKCC)、オプションの清算を行う香港証券オプシ ョン清算会社(SEOCH)の子会社があります。
a.2010年の出来高 HKFEの10年の出来高は、1億1,605万枚(前年比 17.7%増)でした。HangSeng株価指数先物・オプ ションなどの株価指数が47.1%を占め、個別株オプ ションが52.6%を占めます。 b.香港の規制 香港では、証券・先物法が02年に制定され、証券 法、商品取引法、レバレッジ外国為替法など10を超 える法律が整理・統合されました。監督当局は、証 券先物監察委員会(SFC)です。年7.2億HKドルの SFCの経費は取引数量に対する一定の手数料など市 場利用者が支払う各種手数料で賄われます。規制業 務を行う者は、SFCから規制業務の種類に応じて、 許可業者から委任を受けて業務を行う外務員は、と もにSFCから許可を得る必要があります。 ⑷ KRX(韓国) KRXは、証券取引所(KSE)、先物取引所(KOFEX) 及び店頭株式市場(KOSDAQ)が2006年1月に合併 してできました。KRXの中に証券市場部門、先物 市場部門及び店頭株式市場部門があります。 証券取引所と先物取引所の合併以前にKSEに上場 していた株価指数先物・オプションは、04年1月に 一旦KOFEXに移管し、その後合併しました。 a.2010年の出来高 10年の出来高は、KRXのKOSPI200オプションの 他は、KOSPI200先物8,621万枚(前年比3.7%増)、 米ドル/韓国ウォン通貨先物6,425万枚(同56.1% 増)、国債先物2,692万枚(同34.2%増)などです。 KOSPI200オプションの09年における投資家種類 別の売買シェアは、証券会社が32%(前年32%)、 個人35%(同36%)、外国32%(同28%)などとな っています。米ドル/韓国ウォン通貨先物は、証券 会社が32%(前年21%)、個人13%(同7%)、外国7% (同5%)、銀行33%(同41%)などとなっています。 b.韓国の規制 韓国では、証券、先物及び商品を規制している証 券取引法、先物取引法その他多くの投資関係の法律 を統合した金融投資業・資本市場法が07年8月に制 定され、09年2月に施行されました。 規制当局及びその機能は、韓国財政経済部(金融 業に関する法案作成、先物取引所の認可・認可の取 消し)、金融監督委員会(FSC)(金融業の許可・処 分、規則の制定等)、証券・先物委員会(SFC)(FSC に関連する重要事項の予備的決定)及び金融監督院 (FSS)(FSCの実働部門として証券・先物取引の監 視)です。うちFSSは、銀行、証券会社、先物業者 等からの利益、債務等に応じた手数料により運営費 を賄います。 自 主 規 制 機 関 と し て は、 韓 国 金 融 投 資 協 会 (KOFIA)があります。(韓国先物協会、韓国証券 業協会、資産運用協会が統合しました。) 韓国でも、2009年9月に店頭FXのレバレッジ規制 倍率を50倍から20倍に引き下げています。 ⑸ TAIFEX(台湾) 台湾には、台湾証券取引所(TSEC)、TAIFEX 及び店頭証券市場(GTSM)があります。TAIFEX は、1997年に株式会社として設立され、翌年株価指 数先物を上場しました。TAIFEXでの取引の清算 は、TAIFEXの清算部門が行い、TSEC及びGTSM での取引の決済・清算は、台湾集中保管清算会社 (TDCC)が行っています。 a.2010年の出来高 TAIFEXの10年の出来高は、1億3,979万枚(前年 比▲0.6%)でした。株価指数先物・オプションが 87.0%を占めます。
b.台湾の規制 台湾において先物を規制する法律は、先物取引法 です。 規制機関は、04年に設置された行政院金融監督管 理委員会(FSC)の証券先物局(SFB)です。自主 規制機関としては、中華民国先物業協会(CNFA) があります。 7.インド及びロシアの取引所の通貨先物等 インドNSEIの10年の出来高は16億1,578万枚(前 年比75.9%増)でした。そのうち通貨先物は、7億2,562 万枚(同220.5%増)です。 インドMCX-SXは、2008年に設立され、通貨先物だ けを取引しています。10年の出来高は、8億8,460万 枚(294.3%増)でした。 インドのUSE(UnitedStockExchange)は、10 年8月に米ドル・ルピー、ユーロ・ルピー、円・ル ピー及び英ポンド・ルピーの各通貨先物を上場しま した。USEに15%出資しているボンベイ証券取引所 (BSE)が取引のインフラなどを提供します。 ロシアRTSは、09年2月にユーロ・米ドル及びユ ーロ・ルーブルの各通貨先物の取引を開始し、10年 は6億2,399万枚(同32.0%増)で、うち1億2,339万 枚(同165.8%増)が通貨先物・オプションでした。 ロ シ アMICEXの10年 の 出 来 高 は3,199万 枚( 同 65.6%増)で、うち1,293万枚(同▲27.3%)が通貨 先物でした。