建 設 マ ネ ジ メ ン ト研 究 論 文 集Vol.152008
社 会 資 本 整 備 に お け る 合 意 形 成 円 滑 化 の た め の 手 法
と適 用 方 法
∼紛争 アセス メ ン ト及 び メデ ィエー シ ョン∼
前 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究所 山 口 行 一* 前 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究所 溝 口 宏 樹* 前 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合研 究所 重 高 浩 一*By Yukikazu YAMAGUCHI, Hiroki MIZOGUCHI and Kouichi Shigetaka
わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 に お い て は 、 近 年 、 事 業 分 野 横 断 的 に 、 構 想 段 階 か ら住 民 参 加 の 機 会 を 確 保 す る こ と に よ り、 計 画 検 討 に透 明 性 ・公 平 性 を確 保 し、住 民 意 見 を反 映 した 円滑 な 事 業 実 施 が 努 め られ て い る。 一 方 で 、 そ う した 場 合 で も利 害 対 立 が 生 じ、 依 然 と して 事 業 が 長 期 化 す る場 合 も あ る。 こ う した 住 民 参 加 の 取 り組 み で は 、 通 常 の コ ミュ ニ ケー シ ョ ンが 利 害 関 係 者 間 で成 立 しな く な っ て い る こ とが あ る が 、 利 害 関係 者 が 社 会 全 体 の 不利 益 に つ い て 認 識 し、 議 論 に よ り問 題 解 決 を 図 りた い と望 ん で い る場 合 で あ っ て も、 議 論 を再 開 し合 意 形 成 を試 み る手 法 が 確 立 され て い な い 状 況 で あ る。そ こで 本 研 究 で は 、構 想 段 階 に お い て 、利 害 関係 者 間 で 通 常 の パ ブ リ ック ・ イ ン ボ ル ブ メ ン トな どの 住 民 参 加 手 法 で は コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン が成 立 しな く な っ た 場 合 、 及 び 成 立 しな くな る こ と が 予 見 され る場 合 に導 入 す る 社 会 的 な合 意 形 成 を 促 進 す る た め の 手 法 とそ の 適 用 方 法 を 提 案 す る。 具 体 に は 、 紛 争 ア セ ス メ ン トと メデ ィエ ー シ ョン手 法 の提 案 で あ り、 両 手 法 は 、現 行 の わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 の 住 民 参 加 制 度 下 で は 、実 施 体 制 の確 保 な どが 困難 で あ る た め 、 本 稿 で は 、 実 務 に 資 す る適 用 方 法 を提 案 して い る。 【キ ー ワー ド】 合 意 形 成 紛 争 ア セ ス メ ン ト メ デ ィエ ー シ ョ ン 1.は じめ に 国 土 交 通 省 所 管 の 社 会 資 本 整 備 に お い て は 、 住 民 参 加 制 度 が 整 備 され て き て い る1。 これ らを 背 景 に 、 構 想 段 階 か ら住 民 参 加 の 機 会 が 確 保 され る こ とに よ り、検 討 プ ロセ ス の透 明 性 や 公 平 性 を 高 め る こ とで 、 社 会 的 合 意 の 形 成 を促 す 取 り組 み が 蓄 積 され て き て い る2、 一 方 で 、そ うした場合 で も利害対 立 が生 じ、事業 が 長 期 化 す る場 合 も あ る。 計 画 検 討 は 、 計 画 内 容 、 進 め 方 に お い て 、適 切 に利 害 関係 者 の意 見 を反 映 し な が ら進 め る必 要 が あ る が 、 実務 上 の課 題 も 多 い た め 、 合 意 形 成 の技 法 や 技 術 の改 善 が 求 め られ て い る 3。 国土 技術 政策 総合研 究 所の過 去 の調査 で は、 実 務 上 の課 題 と して 、 例 え ば 、(1)利害 関係 者 及 び 利 害 構 造 を特 定 す る 作 業 が 困 難 で あ る(2)計画 検 討 の 発 議 前 に 、住 民 の ニ ー ズ に応 じて 検 討 す べ き問 題 を抽 出 し、 そ の 検 討 手 順 、及 び 住 民 参 加 の 実 施 方 法 を適 切 に 設 計 す る こ とが 困難 で あ る(3)会議 の 運 営 、 利 害 関 係 者 間 の 議 論 を適 切 に 進 め るな どフ ァ シ リテ ー シ ョ ン に 苦 労 して い る な どが 明 らか とな っ て い る4。 本 稿 は 、住 民 参 加 実 務 に お け る技 法 的 な 課 題 解 決 に資 す る こ と を 目的 に 、通 常 の住 民 参 加 プ ロセ ス で 実 施 され る コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 手 法(説 明 会 な ど) で は利 害 関係 者 間 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン が 成 立 しな くな っ た状 況 に お い て 、利 害 関係 者 間 の 議 論 が 再 開 され 、 次 の ス テ ップ に進 め る よ うな 合 意 点 を 見 つ け るた め の 具 体 的 手 法 及 び 適 用 方 法 を提 案 す る。 ま ず 、 社 会 資 本 整 備 の 住 民 参加 プ ロセ ス に お け る *総 合 技 術 政 策 研 究 セ ン タ ー,029-864-4239,
kenmane@nilim.gojp
コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン手 法 と提 案 す る 手 法 の位 置 づ け を既 往 文 献 を元 に 整 理 す る。次 に 、そ れ らを踏 ま え 、 合 意 形 成 を促 進 で き る 手 法 と して 、 紛 争 アセ ス メ ン トと メデ ィ エ ー シ ョン を 提 案 す る。 両 手 法 は 、 海 外 の 社会 資 本 分 野 、 国 内 の他 分 野 に お い て 多 くの 活 用 実 績 が あ る が 、 わ が 国 の社 会 資 本 整 備 に お い て は 、 制 度 ・実 務 上 困 難 な 点 も 多 く、 導 入 実 績 も ほ とん ど 無 い。 こ の た め 、 実 務 家 、 専 門 家 と の 意 見 交 換 等 を 行 い 、導 入 に お け る 制 度 上 の 課 題 を明 確 に した 上 で 、 両 手 法 の 実 務 に 資 す る適 用 方 法 を 提 案 す る。 2.既 存 研 究 (1)手 法 導 入 の 目的 こ こで は 、 社 会 資 本 整 備 の 住 民 参 加 に お い て 、 提 案 す る 手 法 が どの よ うな位 置 づ け と な る か を整 理 す る。 社 会 資 本 整 備 分 野 に お け る紛 争 に発 展 し うる利 害 と して 、パ ブ リ ック ・イ ン ボ ル ブ メ ン トの 研 究5で は 、 実 質 的 な利 害 、 プ ロセ ス に 関 す る利 害 、 心 理 的 な 利 害 の3つ が 示 され て い る。ま た 、コ ンセ ンサ ス ・ ビル デ ィ ン グ の 研 究6で は 、 社 会 的 文 化 的 要 因 、 法 的 枠 組 み 、 政 治 的 な 要 素 、 経 済 的 要 因 、 歴 史 的 要 因 が 示 され て い る。こ の た め 、計 画 検 討 に あ た っ て は 、 計 画 案 の 技 術 的 検 討 だ け で な く、 住 民 の もつ 価 値 観 や 、 心 理 的 ・歴 史 的 背 景 な ど利 害 を十 分 把 握 し、 検 討 を 開 始 す る前 に議 論 す べ き 内容 を把 握 した 上 で 、 利 害 関 係 者 が 利 害 を 相 互 に 理 解 し、 よ りよ い検 討 を 行 え る よ うに プ ロセ ス を 設 計 す る こ とが 重 要 で あ る とい わ れ て い る7。 米 国 に お い てPIを 普 及 させ て き た 米 国 内務 省8は 、 利 害 を 「各 参 加 者 が グル ー プ行 為 の 中 で 成 し遂 げ よ う と して い る もの(1998:p.6)」 と して お り、 表 明 す る立 場 や 要 求 と は別 の も の と解 説 して い る。 これ を 踏 ま え る と、 グル ー プ 行 為 の 中 で 各 参 加 者 が 成 し遂 げ た い こ とが 一 致 す る と合 意 に 達 した と考 え が ち で あ る が 、 同 省9で は 合 意 を 「全 て の 関 係 者 が支 持 あ る い は受 け 入 れ る こ とが で き る決 定 に い た る こ と(1998:pp.2-3)」 と定 義 して い る。 一 方 で 、鈴木10に よれ ば 、折 年、紛 争解決 の分野 で 広 く取 り入 れ られ て い る紛 争 の 定 義 は 、「当 事 者 同 士 の現 在 の願 望 が 同 時 に は 達 成 され な い と思 い 込 む こ とや 利 害 の 相 違 を感 じて い る こ と(2004:p.22)」 と な っ て い る。 Deutsch、Tjosvoldは 、 紛 争 に は 、 例 え ば 、 自 分 を 知 り 、 相 手 を よ り深 く 知 る こ と が で き る 、 人 間 関 係 を 強 め る 、 新 し い 気 づ き や ア イ デ ア を 得 る こ と が で き る な ど と い っ た 肯 定 的 な 側 面 と社 会 的 な っ な が りの 崩 壊 な ど の 否 定 的 な 側 面 が あ る と 説 明 し て い る 11 。 こ の た め、彼 らは 、問 題 は紛 争 そ の も の で は な く 、 利 害 関 係 者 ら が 、 紛 争 が 発 生 し た 場 合 、 肯 定 的 な 側 面 を 保 持 し な が ら否 定 的 な 側 面 を 最 小 化 す る よ うに 対 処 で き る か ど うか が 重 要 で あ る と 主 張 して い る12。 こ れ ら を 踏 ま え 、 本 研 究 で は 、 通 常 の 住 民 参 加 で 実 施 さ れ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 活 動(説 明 会 、 オ ー プ ン ハ ウ ス な ど)で は 、 利 害 関 係 者 間 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 成 立 し な い 状 態 を 紛 争 と定 義 し、 提 案 す る 手 法 は 、 事 業 の 構 想 段 階 に お け る 社 会 的 合 意 を 形 成 す る プ ロ セ ス の な か で 、 利 害 関 係 者 間 で 紛 争 が 予 見 さ れ る 場 合 、 紛 争 が 発 生 し た 場 合 の 対 処 方 法 と し て 検 討 す る 。 (2)適 用 手 法 こ こ で は 、 提 案 す る 手 法 の 枠 組 み を 明 ら か に す る た め 、 紛 争 へ の 対 処 方 法 の 観 点 か ら コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 手 法 を 整 理 す る 。 紛 争 に 対 処 す る 方 法 に は 、 一 般 的 に 紛 争 の 程 度 が 弱 い も の か ら 高 い も の に 向 け て 、 「回 避 ・無 視 」 「交 渉 」 「調 停 」 「仲 裁 」 「裁 判 」 「自力 救 済 」 が あ り 、 状 況 に 応 じ て 適 用 され て い る 。 経 済 産 業 省 ・3で は 対 処 方 法 に つ い て 、以 下 の よ う に 解 説 し て い る 。 (1)「 回 避 ・無 視 」 の 状 態 は 、 両 当 事 者 の 話 し合 い が 行 わ れ て い な い 状 態 で あ る。 一 方 が 紛 争 だ と考 え て い て も 、 も う一 方 は 紛 争 の 存 在 を 認 め な い 場 合 が 多 い 。 (2)「交 渉 」 の 状 態 で は 、 両 当 事 者 の 話 し 合 い が 行 わ れ る 。 (3)「調 停 」 に な っ て 初 め て 三 者 関 係 に な る。 調 停 で は 、 調 停 人 が 両 当 事 者 の 話 し合 い の プ ロ セ ス に 介 入 す る こ と に よ り、 よ り よ い 交 渉 を 可 能 に す る。 調 停 人 とそ れ ぞ れ の 当 事 者 の 話 し 合 い も 行 わ れ る が 、 両 当 事 者 間 の 話 し合 い も 行 わ れ る 。 (4)「仲 裁 」 「裁 判 」 に な る と 、そ れ ぞ れ の 当 事 者 が 、 仲 裁 人 や 裁 判 官 とい う第 三 者 に 向 か っ て 主 張 ・立 証 して い く プ ロ セ ス に 至 る 。 (5)さ ら に 、 「自力 救 済 」 で は 、 両 当 事 者 が 実 力 行 使 す る 紛 争 状 態 に な り、 こ こ で は 暴 力 が ふ る わ れ る 場 合 も あ る。(2004:p.4) わ が 国 に お い て は 、 道 路 計 画 な ど の 構 想 段 階 の 住
民 参 加 に 関 す る 取 り組 み に お い て は 、利 害 関 係 者 が 、 複 数 案 を 比 較 評 価 し て 、 最 適 案 を 検 討 す る 手 続 き が 実 施 され て い る が 、 紛 争 に な っ た 場 合 の 対 処 に は 、 「交 渉 」 と 「調 停 」 に 属 す る 手 法 が 適 用 され て い る と い う状 況 で あ る 。 フ ィ ッ シ ャ ー&ユ ー リー14は 、 「交 渉 と は 他 人 へ の 要 求 を な る べ く 通 そ う とす る と き に 用 い る 基 本 的 手 段 で あ る 。 別 の 言 い 方 を す れ ば 、 共 通 す る 利 害 と 対 立 す る 利 害 が あ る と き に 、 合 意 に 達 す る た め に 行 う 相 互 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で あ る 。」と 定 義 し て い る 。 交 渉 に は 、3つ の ア プ ロ ー チ が あ り、 相 手 に 勝 利 す る こ と を 目的 と し た 「ハ ー ド型 」、関 係 の 樹 立 と維 持 に 重 点 を お い た 合 意 を 目 的 と す る 。ソ フ ト型 」 の 他 、 効 果 的 か つ 友 好 裏 に 賢 明 な 結 果 を も た ら す こ と を 目 的 と し た 「原 則 立 脚 型 」 が あ る15。 ま た 、 交 渉 学 を 基 礎 と す る 紛 争 管 理 の 分 野 に は 、「協 調 的 ア プ ロ ー チ 」 と 「競 合 的 ア プ ロ ー チ 」 の タ イ プ が あ る16 。 近 年 の わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 分 野 に お い て 浸 透 し て い る 、 当 事 者 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に よ る 「Win-Win」 を 目指 す 合 意 形 成 の 考 え 方 は 、 交 渉 学 の 分 野 に お け る フ ィ ッ シ ャ ー ら の 「交 渉 」 の 「原 則 立 脚 型 」 に 立 脚 して お り 、 紛 争 管 理 の 分 野 の 「協 調 的 問 題 解 決(Collaborative problem-solving)17」 な ど に も 同 じ で あ る 。 「Win-Win」 は 、 自 分 と 相 手 の 利 害 を よ く 理 解 し た う え で 、 共 通 の 利 害 に つ い て は 合 意 と し 、 利 害 が 対 立 す る 部 分 つ い て 、 客 観 的 で 公 正 な 基 準 を 用 い て 両 者 が 満 足 で き る 合 意 を 形 成 す る ア プ ロ ー チ で あ る 。 こ の よ う な 「Win-Win」 を 目指 す 交 渉 手 法 は 、 米 国 で は 、 多 く の 事 例 で 適 用 さ れ て お り 、 そ の 有 用 性 は 十 分 実 証 さ れ て い る と こ ろ で あ る 。 こ う し た 「Win-Win」 を 目 指 す 「交 渉 」 と い う手 法 に は 、 以 下 の よ う な 留 意 す べ き 点 が あ る 。 ま ず 、 受 け 入 れ る か は 別 に し て 、 相 手 の 言 い 分 を よ く 理 解 す る 。 次 に 、 落 し ど こ ろ を 探 す の で は な く 、 両 者 が 満 足 で き る 結 果 を 模 索 す る た め 、 自 身 が 満 足 で き る 目 標 を 設 定 す る 。 そ し て 、 自 分 の 「交 渉 可 能 な 領 域 (ZOPA)」 を 設 定 し た 上 で 「交 渉 」に 挑 む 。た だ し 、 自分 の 合 意 可 能 な 条 件 に よ っ て は 、「交 渉 」 を 適 用 し な い と い う選 択 も あ り う る 。そ し て 、パ レー ト最 適 ・ 改 善 の 考 え 方 やBATNA18、 二 重 関 心 モ デ ル ・9で 説 明 さ れ て い る と お り 、 適 用 し た と し て も 当 該 の 交 渉 で 「Win-Win」 の 結 果 が 担 保 さ れ て い な い 。 一 方 で 、 前 記 の 「調 停 」 で は 第 三 者 が 対 話 プ ロ セ ス に 介 入 す る こ と で よ り よ い 「交 渉 」 を 行 う と 定 義 さ れ て い る 。 つ ま り 、 「調 停 」 も 条 件 に よ っ て は 、合 意 に 至 ら な い こ と は 、 「Win-Win」 の 交 渉 に 立 脚 し て い る こ と か ら も 明 ら か で あ る 。 「調 停 」 に は 、 広 義 で み れ ば フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン や メ デ ィ エ ー シ ョ ン が そ の 手 法 と し て 属 し 、 第 三 者 に は 、 フ ァ シ リテ ー タ ー や メ デ ィ エ ー タ ー が 該 当 す る 。 市 民 参 画 型 道 路 計 画 プ ロ セ ス 研 究 会20に よ れ ば 、 フ ァ シ リテ ー シ ョ ン は 「会 議 を 円 滑 に 進 め 、 議 論 の 深 ま り を 促 進 す る こ と(2004:p.63)」 と 定 義 さ れ て お り 、 フ ァ シ リテ ー タ ー は 「参 加 者 の 発 言 に 潜 む 利 害 ・関 心 を 明 確 に し て 、 会 議 の 目 的 に 沿 っ た 議 論 が 展 開 さ れ る よ う、 個 々 の 発 言 や 議 論 の 内 容 を 整 理 す る と と も に 、 重 要 な 論 点 を 記 録 す る(2004:p.63)」 役 割 を も つ と説 明 さ れ て い る 。 わ が 国 に お い て は 、 ま ち づ く り 、 道 路 、 河 川 計 画 な ど の 検 討 プ ロ セ ス に お け る 住 民 参 加 の 機 会 に フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン が 導 入 さ れ た 事 例 が 蓄 積 さ れ て き て い る が 、 紛 争 の 程 度 が 深 ま り、 利 害 関 係 者 間 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 成 立 し な く な る 場 合 で も 、 上 記 の よ う に 議 論 を 促 進 す る こ と を 主 目 的 と す る フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン が 実 務 上 数 少 な い 対 処 方 法 と な っ て い る た め 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 手 法 の 選 択 肢 が 限 ら れ て い る と い え る 。 こ の た め 、 本 研 究 で は 、 よ り よ い 計 画 検 討 に 資 す る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 手 法 の 選 択 肢 を 拡 充 す る こ と を 目 的 に 、 利 害 関 係 者 が 社 会 全 体 の 不 利 益 に つ い て 認 識 し 、 議 論 に よ り問 題 解 決 を 図 り た い と望 ん で い る 場 合 に 、 議 論 を 再 開 し 、 合 意 の 形 成 を 目指 す 手 法 と して 、 「調 停 」 の 手 法 で あ る 「紛 争 ア セ ス メ ン ト」 と 「メ デ ィ エ ー シ ヨ ン 」 を 検 討 す る こ と と し た 。 紛 争 ア セ ス メ ン ト21と は 、あ る 事 案 に 対 す る 利 害 関 係 者 と そ の 利 害 を 特 定 し 、 対 話 に よ る 合 意 の 形 成 が 可 能 か ど う か を 判 断 す る 手 法 で あ る 。 メ デ ィ エ ー シ ョ ン22は 、紛 争 を 回 避 あ る い は 解 決 す る た め の 手 法 で 、 各 利 害 関 係 者 か ら 中 立 的 な 第 三 者 が 解 決 案 の 作 成 を 支 援 し 、 紛 争 の 当 事 者 が 最 終 的 な 意 思 決 定 を す る 手 法 で あ る 。 国 土 交 通 省 国 土 交 通 政 策 研 究 所(2006)23の 調 査
に よ れ ば 、 米 国 の 社 会 資 本 整 備 に お け る メ デ ィ エ ー シ ョ ン は 、 そ の 実 施 に よ り、 解 決 案 の 作 成 だ け で な く 、 進 め 方 に 対 す る 参 加 者 の 満 足 、 利 害 関 係 者 の 関 係 改 善 な ど の 効 果 が 得 ら れ る こ と が 確 認 さ れ て い る 。 加 え て 、 メ デ ィ エ ー シ ョ ン の 実 施 が 費 用 や 時 間 の 削 減 に つ な が る こ と も 確 認 さ れ て い る 。 同 調 査24の 米 国 の 運 用 実 態 に 関 す る 報 告 に よ れ は 、 米 国 で は 、 環 境 紛 争 を は じ め 、 多 く の 適 用 実 績 が あ る 。 連 邦 政 府 が 関 与 す る 環 境 紛 争 を 対 象 と し た メ デ ィ エ ー シ ョ ン サ ー ビ ス を 提 供 す るUSIECR
(U.S.Institutefor Environmental Conflict Resolution)で は 、2003年 に30件 、2004年 に42 件 の 実 施 実 績 が あ り 、約90%が 全 体 的 ま た は 部 分 的 な 合 意 に 達 し て い る 。 ま た 、 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 政 府 に 関 係 す る 紛 争 や 環 境 問 題 に 対 し て メ デ ィ エ ー シ ョ ン を 実 施 し て い るMODR(Massachusetts Office of Dispute Resolution)で は 、社 会 資 本 整 備 関 係 の 案 件 で60∼70%が 合 意 に 達 し て い る 。 ま た 、わ が 国 に お い て は 、2002年 に 福 井 総 合 病 院 で メ デ ィ エ ー シ ョ ン が 導 入 さ れ た 事 例 な ど を 有 す る 医 療 分 野 や 、学 校 と 親 、教 師 と 生 徒 と の 紛 争 や 、 「い じ め 」 防 止 の 目的 で 適 用 の 実 績 の あ る 教 育 分 野 な ど で 普 及 し始 め て お り、そ の 有 効 性 が 確 認 さ れ て い る 。 上 記 よ り 、 両 手 法 は 、 わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 に お い て も 活 用 を 検 討 で き る と 判 断 し た 。 3.検 討 方 法 米 国 で は 、 社 会 資 本 整 備 及 び 諸 政 策 課 題 に 関 わ る 紛 争 解 決 を 目 的 と し て 、 紛 争 ア セ ス メ ン トや メ デ ィ エ ー シ ョ ン が 過 去30年 以 上 に わ た っ て 利 用 され て い る 。 し か し 、 法 制 度 や メ デ ィ エ ー シ ョ ン 事 業 者 が 存 在 し な い な ど、背 景 が 大 き く 異 な る 日本 に お い て 、 メ デ ィ エ ー シ ョ ン を 活 用 す る 場 合 、 メ デ ィ エ ー タ ー と な り う る 主 体 の 特 定 や 、 中 立 性 を 担 保 した 形 で の 合 意 形 成 プ ロ セ ス へ の 関 与 方 法 な ど が 問 題 と な る 。 わ が 国 の 現 在 の 住 民 参 加 に 関 す る 制 度 的 枠 組 み の 中 で 、 紛 争 ア セ ス メ ン ト と メ デ ィ エ ー シ ョ ン の 活 用 方 法 を 提 案 す る た め 、 以 下 の 検 討 を 行 っ た 。 ま ず 、 合 意 形 成 の 運 営 を 担 う専 門 家(フ ァ シ リ テ ー タ ー、 メ デ ィ エ ー タ ー 等)の 活 用 方 法 に つ い て 、 専 門 家 の 中 立 性 ・第 三 者 性 確 保 の 制 度 的 枠 組 み 、 専 門 家 の 適 用 判 断 、 専 門 家 の 資 格 要 件 、 専 門 家 の 選 定 手 続 き等 の 観 点 か ら海 外 、 国 内他 分 野 に お け る 先 進 事 例25を 収 集 し、整 理 した。 次 に 、 わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 に お い て 、 合 意 を 円 滑 に 形 成 す る た め の 手 法 、 そ の 運 営 を担 う専 門 家 の 確 保 方 法 、 実 施 手 順 、 手 法 の適 用 方 法 に つ い て 検 討 を 行 っ た。 検 討 は 、 平 成18年 度 、19年 度 の2ヵ 年 に わ た っ て わ が 国 の住 民 参 加 に 関 す る学 識 者4名 との 議 論 を も とに 行 っ た 。 そ して 、 平 成20年2月 に 米 国 の 行 政 機 関 な ど紛 争 解 決 に 関 わ る実 務 家15 名 と紛 争 ア セ ス メ ン トと メデ ィエ ー シ ョン の 適 用 に 関 す る 留 意 事 項 な どに つ い て意 見 交 換 を行 い 、 提 案 内 容 を ブ ラ ッシ ュ ア ップ した。 国 内 学識 者 、 米 国 実 務 家 は 文 末 脚 注 に示 す26。 本 稿 で は 、(1)現行 の 住 民 参 加 制 度 の 枠 組 み の 中 で 活 用 で き る合 意 形 成 円 滑 化 の た め の 手 法(紛 争 ア セ ス メ ン トとメ デ ィエ ー シ ョ ン)、(2)合意 形 成 円 滑 化 の た め の 手 法 の 適 用 上 の 課 題 、(3)実施 手 順 、(4)手法 適 用 の判 断 、(5)実施 の タイ ミ ン グ 、(6)実務 に お け る 留 意 点 、(7)中立 的 第 三 者 の 要件 と確 保 につ い て 提 案 す る。 4.検 討 結 果 (1)提 案 す る 紛 争 ア セ ス メ ン ト及 び メ デ ィ エ ー シ ョ ン 手 法 の 定 義 図-1合 意 形 成 プ ロ セ ス(概 念)27
本 研 究 に お い て 提 案 す る 合 意 形 成 を促 進 す る 手 法 で あ る紛 争 ア セ ス メ ン ト とメ デ ィ エ ー シ ョ ン を 、 以 下 の と お り定 義 し、 適 用 の 流 れ を 図-1の よ う に 提 案 す る 。 ● 紛 争 ア セ ス メ ン ト メ デ ィ エ ー シ ョ ン の 実 施 に 先 立 ち 、 利 害 関 係 者 や 討 議 す べ き 事 項 を特 定 す る と と も に 、 紛 争 解 決 に 向 け て ど の よ うな 手 法 が 適 切 ま た は 可 能 か 、 そ れ を 実 施 し た 場 合 に 生 産 的 な合 意 へ と達 す る 見 込 み が あ る か を 評 価 す る た め の 方 法 。 一 般 的 に は 、 第 三 者 に よ る ヒア リ ン グ な どの 聞 き 取 り調 査 に よ り実 施 され る。 ● メ デ ィエ ー シ ョ ン 対 立 点 が 発 生 した 場 合 や 予 見 され た 場 合 に お い て 、 事 業 主 体 や 各 利 害 関 係 者 か ら 中 立 的 な 立 場 に あ る 第 三 者 が 対 話 や 解 決 案 の 作 成 を 支 援 し、 対 立 点 を解 消 す る 方 法 。 一 般 住 民 の 意 見 収 集 ・意 見 集 約 を 目的 とす る 市 民 協 議 会 と は 異 な り、 利 害 対 立 を 調 整 した 解 決 案 の 作 成 を 目的 と し て 実 施 され る。 (2)両 手 法 の 適 用 上 の 課 題 本 研 究 で 提 案 す る 紛 争 ア セ ス メ ン ト及 び メ デ ィ エ ー シ ョ ン は 、 現 行 の 住 民 参 加 制 度 を前 提 と して お り、以 下 の 課 題 を踏 ま え た も の で あ る。 社 会 資 本 整 備 の紛 争 は 、 一 般 的 な 紛 争(例:離 婚 や 遺 産 相 続)と 比 較 して 、 例 え ば 、 利 害 関 係 者 が 多 様 か っ 広 範 囲 に存 在 す る 、利 害 の 内 容 が 多 様 で あ る 、 検 討 開 始 時 に は利 害 が 必 ず しも顕 在 せ ず 、 後 か ら利 害 対 立 が 発 生 す る場 合 が あ る な どの 特 異 で 合 意 形 成 が 困 難 な特 徴 が あ る。 この た め 、 手 法 の 実 施 者 は 利 害 関 係 者 の 掘 り起 こ し作 業 を 十 分 に行 う必 要 が あ る な ど の負 担 が 大 き い 。 ま た 、 わ が 国 に お い て は 、紛 争 当事 者 間 の話 し合 い を 中 立 的 立 場 で メデ ィエ ー ター が 関 与 で き る体 制 が 整 っ て い な い 。 米 国 で は 、USIECRやEPAと い っ た 政 府 系 の組 織 に お い て ロ ス ター と呼 ばれ る メ デ ィエ ー タ ー 名 簿 が 作 成 され 、 個 別 の 現 場 に お い て こ の 名 簿 を 参 考 に メデ ィエ ー ター を選 出 して い る。 わ が 国 に お い て は 、 中 立 性 を 如 何 に確 保 す るか が 課 題 で あ る。 さ らに 、 フ ァ シ リテ ー ター に比 べ 、 メ デ ィエ ー タ ー は 利 害 関係 者 間 の 対 立 点 を解 消 す る た め の 解 決 案 の 作 成 を支 援 す る点 で 、 高 い 技 術 力 が 求 め られ て い る。 この た め 、 社 会 資 本 整 備 に お い て メデ ィエ ー シ ョン導 入 に あ た り、 メデ ィエ ー ター の 役 割 を 果 たす こ とが で き る 実 務 家 を 如 何 に確 保 す るか が課 題 で あ る。 わ が 国 に お い て は 、 社 会 資 本 整 備 に 関 わ る合 意 形 成 の 専 門家 の 要 件 に つ い て は 、 土 木 学 会 四 国 支 部 28な どに お い て検 討 が され て い る も の の 、メデ ィエ ー タ ー の 職 能 が 確 立 され て お らず、 そ の 供 給 体 制 に 工 夫 が 必 要 で あ る。 法 律 、 制 度 上 の観 点 か らは 、 まず 、 メデ ィエ ー シ ョン に よ る解 決 案 と行 政 の意 思 決 定 の 問 題 が あ る。 行 政 や 議 会 が最 終 的 な 意 思 決 定 と管 理 責 任 を付 託 さ れ て い る た め 、 メデ ィエ ー シ ョン に よ る利 害 関係 者 間 で 形 成 され る合 意 は どの よ うに 取 り扱 わ れ るべ き か に つ い て は しば しば 議 論 され て い る29。 そ の他 、 導 入 に あ た り関 連 の あ る弁 護 士 法 な ど の 法 制 度 との 課 題 等 が 論 じ られ て い る30。 これ らの課 題 を踏 ま え 、 本 研 究 で は 、 わ が 国 の 社 会 資 本 制 度 に お い て 実 施 可 能 な提 案 が 必 要 で あ る。 (3)両 手 法 の 実 施 手 順 わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 に 両 手 法 を適 用 す る に あ た り、表-1、 表-2の よ うな 実 施 手 順 を 提 案 す る。 表-1紛 争 ア セ ス メ ン トの 進 め 方31
表- 2メ デ ィ エ ー シ ョ ン の 進 め 方32 表- 3適 用 判 断 の 考 え 方 (4)両 手 法 適 用 の 判 断 適 用 の判 断 に つ い て は 、表-3の よ うに 提 案 す る。 合 意 形 成 円 滑 化 の た め の 両 手 法 の 適 用 に あ た っ て は 、 計 画 検 討 プ ロセ ス を 踏 ま え 、 中長 期 的 な ス パ ン で 計 画 ・設 計 し、 戦 略 的 に進 め る こ とが 重 要 で あ る。 メ デ ィエ ー シ ョ ン手 法 適 用 の判 断 は 、 個 別 の 事 業 の 状 況 に よ り異 な るが 、既 に 紛 争 状 態 に あ る場 合 を 除 き 、 紛 争 に 陥 る 可 能 性 が あ る か ど うか を 紛 争 ア セ ス メ ン ト等 で 判 断 す る こ とが 必 要 で あ る。 紛 争 に 陥 る 可 能 性 が あ る か ど うか は 、 当 該 事 業 の 過 去 の 経 緯 や 類 似 事 業 の状 況 、PI活 動 等 に お け る コ ミュ ニ ケ ー シ ョン の 状 況 な ど の周 辺 状 況 と 、 円 滑 な コ ミュ ニ ケー シ ョ ン関 係 構 築 に 向 け た 努 力 に対 す る 反 応 の 両 面 か ら判 断 す る。 ま た 、 適 用 して も合 意 が担 保 され て い な い こ とか ら、適 用 の 条 件 と して 、利 害 関係 者 に集 ま っ て 話 し 合 っ て も らえ る か ど うか 、 議 論 に よ り解 決 案 が 作 成 で き るか 、議 論 が 発 散 す る危 険 が 大 き くな い か 、 生 産 的 な 合 意 へ と達 す る 見 込 み が あ るか 、 調 整 で き る 利 害 対 立 か 、厳 しす ぎ る時 間 の 制 約(例:予 算 要 求 、 選 挙)は 無 い か 、 計 画 に 調 整 で き る余 地 が あ る か な どを 検 討 しな け れ ば な らな い 。 条 件 を満 た さな い 場 合 は 、 適 用 を 見合 わ せ る判 断 も必 要 で あ る。 (5)実 施 の タ イ ミ ン グ 紛 争 ア セ ス メ ン ト ・メデ ィエ ー シ ョン とPIと の 関係 は 、(1)両方 を並 行 して 実 施 す る 、(2)両手 法 を 先 に 実 施 し、 そ の 結 果 も反 映 した 案 を も っ てPIを 実 施 す る 、(3)紛争 アセ ス メ ン ト ・メデ ィエ ー シ ョ ンの み を 実 施 す る3つ の パ ター ンが 考 え られ る。 当該 事 業 の 計 画 検 討 に お い て 、 事 業 に よ る効 果 ・ 影 響 の 範 囲 の 広 さ、 市 民 等 へ の情 報 提 供 の 状 況 、 利 害 対 立 の状 況 な どに よ り適 宜 、 選 択 して い く こ と が 必 要 で あ る。 (6)実 務 に お け る 留 意 点 紛 争 ア セ ス メ ン ト メ デ ィ エ ー シ ョ ン適 用 の 判 断 は 担 当 者 の 値 感 な どで は な く、原 則 紛 争 ア セ ス メ ン トに よ り判 断 す べ き で あ る。 紛 争 アセ ス メ ン トを行 うこ とに よ り、 利 害 関係 者 や 論 点 な ど紛 争 の 構 図 が 明 らか に な り、 そ の結 果 、 メ デ ィエ ー ター と して どの よ うな 人 が 相 応 しい か 、 そ の 要 件 も明 らか に な る。 さ ら に 、 メ デ ィ
エ ー シ ョン に どの 程 度 の期 間 や 費 用 を 要 す る か 、 何 に つ い て 議 論 す れ ば よ い の か の 見 通 しを 立 て る こ と が 可 能 と な る。 紛 争 ア セ ス メ ン トを 実 施 す る中 立 的 第 三 者 は 、 発 注 者 に対 す る聞 き 取 り対 象 者 の 守 秘 義 務 を契 約 等 で 厳 格 化 す る こ とが 重 要 で あ る。 利 害 対 立 が 弱 い 場合 な どは 、必 ず し も中 立 的 第 三 者 で な く、 事 業 主 体 自 らが 実 施 、 通 常 の 調 査 業 務 と して コ ンサ ル タ ン トが 実 施 す る こ と もあ り得 る。 た だ し、 中 立 的 で 無 い場 合 、 潜 在 的 な利 害 を把 握 しに くい お そ れ が 生 じる。 メ デ ィ エ ー シ ョン メデ ィ エ ー シ ョン は 、 事 業 の 規 模 、 受 益 者 や 影 響 範 囲 の規 模 、利 害 対 立 の 大 き さ ・深 刻 さな ど、 個 々 の 事 業 の 特 性 に 応 じて そ の プ ロセ ス を設 計 す る。 紛 争 ア セ ス メ ン トの 結 果 を も とに 、 メ デ ィエ ー シ ョン の 目的 や 成 果 とい っ た位 置 付 け、 主催 者 、 会 議 の 進 行 役 、事 務 局 、関 係 主 体 の役 割 等 、プ ロセ ス(全 体 の 枠 組 み)を 設 計 す る。 特 に 、 利 害 対 立 が 激 しい 事 業 に お い て は 、 メ デ イ エ ー ター の 中 立 性 を十 分 に確 保 で き る よ う設 計 す る こ とが 必 要 で あ る。 利 害 対 立 が軽 微 な場 合 は 、 メデ ィエ ー タ ー の 中 立 性 を一 定 程 度 確 保 しつ つ 既 存 のPIの 仕 組 み を活 用 す る こ と も可 能 で あ る。 メデ ィエ ー シ ョ ン を実 施 す る に あ た り、 メデ ィエ ー シ ョン結 果 の 取 り扱 い に つ い て は 、行 政 に決 定権 が あ る こ と を、 利 害 関 係 者 他 で広 く確 認 して お く必 表-4メ デ ィ エー シ ョ ン と委 員会 等 と の 違 い 要 が あ る 。 メデ ィエ ー シ ョ ン の合 意 は 、 一 般 に は 法 的 な 意 味 で の 決 定 で は な い も の の 、 行 政 が メ デ ィエ ー シ ョ ンの 解 決 案 と異 な る意 思 決 定 を行 う場 合 に は 、 そ の 理 由 が 具 体 的 に説 明 可 能 で な けれ ば な らな い 。 (7)中 立 的 な第 三 者 メ デ ィ エ ー シ ョン の 中 立 的 第 三 者 と既 往 の 委 員 会 等 との 違 い は 、 表 一4に 示 す よ うに 、 委 員 長 とそ の 選 定 方 法 、 委員(討 議 へ の 参加 者)と そ の 選 定 方 法 、事 務 局 で あ る会 議 の 運 営 者 、 そ して 、 委 員 会 の 役 割 に あ る。 a)メ デ ィ エー タ ー の 要 件 メ デ ィエ ー ター は 、 メデ ィエ ー シ ョン に 参 加 す る 利 害 関 係 者 の 信 頼 を得 て 、公 平 ・公 正 な 立 場 で メ デ ィ エ ー シ ョ ン を運 営 し、 利 害 調 整 を 行 い 、 解 決 案 の 作 成 を支 援 す る な ど、 中 立 的 な第 三 者 と して 重 要 な 役 割 を担 うた め 、 高 度 な技 術 が 求 め られ る。 こ の役 割 を担 うた め に 、 社 会 資 本 整 備 の 紛 争 解 決 の メデ ィエ ー タ ー は 、中立 性 の 他 、信 頼 性 、専 門 性 、 実 効 性 の 要 件 を満 た す こ と が必 要 だ と提 案 す る。 (1)信頼 性:利 害 関 係 者 か ら信 頼 が 得 られ る メ デ ィ エ ー シ ョ ン に 参 加 す る利 害 関 係 者 か ら信 頼 が得 られ る こ と、 〈具 体 的 に 考 え られ る方 〉 ・論 点 とな っ て い る事 項 に つ い て 知 見 を 有 す る 学識 経 験 者 ・当 該 地 域 の 実 情 に 詳 しい 、当該 地域 出身 の有識 者、 学 識経 験 者 ・地 域 の 名 士 、ま ちづ く りの リー ダー な ど、ステー ク ホル ダー に既 に信 頼 を得 て い る方 ・社 会 科 学(法 学 、経 済学 、社会学 な ど)関 係 の学 識 経 験 者 等 〈手続 き 面〉 ・信 頼 性 を確 認 す る手 続 き と して 、実質 的 に事 業主 体 が 選 定 し た メ デ ィ エ ー ター で あ れ ば 第1回 会 合 で 参 加 者 全 員 に承 認 して も ら うこ と が 必 要 で あ る。 ・メデ イエ ー シ ョン参 加 者 が メ デ イ エ ー タ ー の 選 定 (複数 候 補 者 の 比 較 検 討)を 行 うこ とが 望 ま しい 。 (2)中立 性:中 立 的 な 第 三 者 厳 格 な メ デ ィエ ー シ ョン に な る ほ ど 、 中 立 性 が 明 確 に 求 め られ る。 こ の た め 、 メデ ィエ ー ター を 担 う 個 人 や 事 業 者 が 固 有 に 有 す る特 質 と、 契 約 な ど手 続 き 上 の 両 面 か ら中 立 性 を 確 保 す る こ とが 必 要 で あ る。
〈具 体 的 に 考 え られ る 方 〉 ・専 門 領 域 に偏 りが 無 く、社会 資本整備 に関す る幅 広 い 知 見 を有 す る方 ・当 該 事 業 の 検 討 委 員 会 の 場 な どで あ る専 門 や 利 害 を 代 表 す る委 員 に な っ て い な い 方 ・当 該 事 業 に 関す る業 務 にそ の 時 点 で 関 わ り(業 務 を 受 託 して い る な ど)を 持 っ て い な い 方 ・当該 事 業 に よ る 直 接 的 な 効 果 や 影 響 を うけ る地 域 住 民 や 職 業 に つ い て い な い方 等 〈手 続 き面 〉 契 約 に お い て 、 メデ ィエ ー タ ー の 独 立 性 、 第 三 者 性 を 書 面(特 記 仕 様 書 や 覚 書 、協 定 等)で 明 記 す る。 メデ ィエ ー ター の役 割 や 権 限 を 明 確 化 し、 利 害 関係 者 及 び 社 会 に 対 し、 中 立 な 立 場 か ら審議 を進 行 す る こ とを 宣 言(表 明)さ せ る。 (3)一定 の 専 門 性:社 会 資 本 整 備 に 対 す る一 定 の 知 識 当 該 事 業 に 関 して 、 必 ず しも 高 度 な 専 門 性 は 必 要 で は な い が 、最 低 限 、"専 門 用 語 が わ か る 、そ れ らを 利 害 関 係 者 に わ か りや す く説 明 で き る"程 度 の 専 門 知 識(科 学 ・技 術 ・工学 的 知 識)を 有 す る こ と。 当 該 事 業 の 直 接 的 な 専 門 家 は 、 利 害 関 係 者 か ら不 信 感 を持 た れ た り、 最 適 解 を 求 め られ た りす る可 能 性 が あ る た め 、避 け た方 が よ い 場 合 も あ る。 〈具 体 的 に 考 え られ る 方 〉 ・社 会 資 本 整 備 全 般 に つ い て 広 く(浅 くて も よ い) 知 見 を 有 す る学 識 経 験 者 ・社 会 資 本 整 備 に 関 す る行 政OB/OG ・コ ン サ ル タ ン トの 技 術 者 、ま ちづ く り専門家 ・社 会 資 本 整 備 に 関 す る取 材 や 執 筆 経 験 豊 富 な ジ ャ ー ナ リス ト 等 (4)実効 性:メ デ ィ エ ー シ ョ ン ス キ ル 議 論 を進 行 す る 、 参 加 者 の 意 見 を吸 い 上 げ解 決 案 に結 び 付 け る な ど議 論 を 具 体 成 果 へ とま と め る ス キ ル と、 会 議 進 行(フ ァ シ リテ ー シ ョン)や コ ミ ュニ ケー シ ョン の ス キ ル を 有 す る。 〈具 体 的 に 考 え られ る 方 〉 ・審 議 会 、委員 会等 で座 長 、委員長 の経験 のあ る方 ・メデ ィエ ー シ ョン ・フ ァ シ リテ ー シ ョン の 実 施 経 験 の あ る 方 等 b)メ デ ィ エー タ ー の 確 保 メ デ ィ エ ー タ ー は 一 般 的 に は 上 記 の 要 件 を満 た す 個 人 が 相 応 しい が 、我 が 国 で は 、現 時 点 に お い て 、 前 記 の 要 件 を 全 て 満 た す 個 人 の メデ ィエ ー ター を確 保 す る こ と が 困 難 な場 合 が 多 い 。 こ の よ うな 要 件 を 満 た す 個 人 が い な い 場 合 、 メ デ ィエ ー ター グ ル ー プ を 構 成 して 対 応 す る こ と も 可能 で あ る こ とを 提 案 す る。 ま た 、 紛 争 ア セ ス メ ン トに よ り、 実 質 的 に メデ ィエ ー タ ー とな り得 る主 体(個 人 、 事 業 者)を 関 係 者 の 中 か ら選 出 す る こ と も 可能 で あ る。 本 研 究 で は 以 下 に3つ のバ リエ ー シ ョン を 提 案 す る。 (1)要件 を 満 た す 個 人 要 件 を満 た す 個 人 が メ デ ィ エ ー タ ー とな り メデ ィエ ー シ ョン を 主 宰 す る。 要 件 を 満 た す 個 人 が い る こ と が 条 件 とな る。 能 力 あ る メ デ ィエ ー タ ー が 利 害 関 係 者 か らの 意 見 や 質 問 を的 確 に 素 早 く裁 く こ とが 可 能 とな り、審 議 は ス ム ー ス に 進 行 され る。 (2)要件 を 満 た す 個 人 を 中 立 的 専 門 家 が 支 援 要 件 を満 た す 個 人 が メ デ ィエ ー タ ー とな る が 、 メ デ ィエ ー タ ー を支 援 す る 立 場 で 中 立 的 な 専 門 家 が参 加 す る 。 部 分 的 に 高 度 な専 門 性 が 要 求 され 、 個 人 の メ デ ィ エ ー タ ー で は 対 応 困 難 が 想 定 され る場 合 に 考 え られ る ケ ー ス で あ る。 専 門 家 は ア ド バ イ ザ ー 的 な 役 割 で あ り、 メデ ィエ ー タ ー で は な い 。 共 同 事 実 確 認 は 、 こ の ケ ー ス で 専 門 家 が 不 定 期 に 参加 す る ケ ー ス と も い え る。 (3)メデ ィエ ー タ ー チー ム を構 成 複 数 の 人 に よ りメ デ ィ エ ー タ ー グ ル ー プ を構 成 し、 メデ ィエ ー シ ョン を 主 宰 す る。 要 件 を満 た す 個 人 が 存 在 しな い 場 合 や 、 論 点 が 複 雑 で 社 会 資 本 整 備 以 外 の 事 項 な ど 多 様 な 専 門 性 が 求 め られ る場 合 な どに 考 え られ る ケ ー ス で あ る。 メデ ィエ ー ター グル ー プ 内 で の 混 乱 を さけ る た め、実施 目 的 及 び 各 メ デ ィエ ー タ ー の 役 割 を 明 確 に して お く こ とが 必 要 で あ る。 5.む す び 本 稿 で は 、 社 会 資 本 整 備 の構 想 段 階 に お け る計 画 検 討 にお い て 、紛 争 を未 然 に 防 ぐ、 及 び 、 紛 争 状 態 に 陥 っ た利 害 関係 者 が計 画 検 討 の 再 開 な どを 望 ん だ 場 合 に 、 話 し合 い を進 め 、 合 意 を形 成 す る手 法 と し て 、 紛 争 ア セ ス メ ン トと メデ ィエ ー シ ョン を提 案 し た 。 紛 争 ア セ ス メ ン ト及 び メデ ィエ ー シ ョン は 、 第 三 者 が 対 話 プ ロ セ ス に介 入 す る こ とで 、 よ り よい 当事
者 間 の 交 渉 を 行 う こ と を 目的 と して お り、 米 国 の 社 会 資 本 整 備 分 野 や わ が 国 の 医 療 分 野 な どで 導 入 実 績 が あ り、 合 意 が 形 成 され る な どの 効 果 が 報 告 され て い る。 しか しな が ら、 わ が 国 の 社 会 資 本 整 備 に お い て は 、 これ ま で 、 両 手 法 を 実 施 す る手 続 きや 、 プ ロセ ス運 営 上 、 重 要 な 役 割 を もつ メデ ィエ ー タ ー の 中 立性 、 実 効 性 な どを 担 保 す る制 度 は確 立 され て お らず 、 こ れ らの 手 法 に 近 い形 で の適 用 事 例 も ほ とん どな い 状 況 に あ る。 この た め 、 本 稿 で は 、社 会 資 本 整 備 に 関 わ る紛 争 の特 性 を踏 ま え 、 利 害 関係 者 の 特 定 方 法 、 メデ ィエ ー シ ョン の 実 施 方 法 、 メデ ィエー ター確 保 の方法 、 プ ロセ ス に お け る メデ ィエ ー タ ー の 中 立 性 確 保 の方 法 とい っ た 課 題 を 検 討 し、実 務 に お け る適 用 方 法 を 、 バ リエ ー シ ョン を 持 たせ て 提 案 した。 今 後 は 、 以 下 の よ うな 課 題 の 解 決 に 向 け た 検 討 が 重 要 で あ る。 メデ ィ エ ー シ ョン は 、 時 間 ・費 用 面 で も大 き な負 担 と な り うる こ とか ら、紛 争 ア セ ス メ ン トを 実 施 し、 メ デ ィエ ー シ ョン を適 用 す るか 否 か の 技 術 的 判 断 を 適 切 に行 え る よ うに 事 例 を 蓄 積 し、 分 析 を 行 う こ と が 重 要 で あ る。 これ ら は 、 メ デ ィ エ ー シ ョ ン プ ロセ ス の適 切 な設 計 な どに 資 す る と考 え られ る。 ま た 、 メ デ ィエ ー シ ョ ンの 実 施 に お い て は 、 中 立 的 第 三 者 で あ る メデ ィエ ー ター の役 割 は 大 き い 。 本 稿 で 提 案 して い る信 頼 性 、 中 立性 、 一 定 の 専 門 性 、 実 効 性 の メ デ ィ エ ー ター の 要 件 に つ い て 、 わ が 国 に お け る試 行 事 例 等 の 分 析 、 海 外 制 度 等 の 比 較 研 究 を 元 に 、 さ ら に検 討 を進 め て い く こ とが 重 要 で あ る。 これ らは 、 利 害 関 係 者 間 の 円 滑 な 合意 形 成 に 資 す る と考 え られ る。 実 務 に お い て は 、利 害 関係 者 が 、 日本 の 社 会 ・歴 史 的 背 景 、制 度 的 枠 組 み を 十 分 踏 ま え て 手 法 の 適 用 を検 討 す る と とも に 、 個 別 の 案 件 ご との 特 性 や そ こ で 得 られ た 知 見 を 蓄 積 し、 経 験 を 重 ね な が ら、 ブ ラ ッシ ュア ップ して い く こ とが 重 要 で あ る。 謝 辞 本 研 究 を遂行 す る にあ た り、徳 島大 学 山 中英 生 教授 、 東京 大学 小 泉 秀 樹 准 教授 、松 浦 正 浩 客員 講 師 、早 稲 田 大 学 入江 秀 晃 客 員 研 究員 を始 め 、15名 の 米 国の 紛 争 解 決 専 門 家 に 、 多 大 な る ご 協 力 を い た だ き ま し た 。 記 して 感 謝 の 意 を 表 しま す 。 本 研 究 の 成 果 の 一 部 は 科 研 費(19760365)の 助 成 を 受 け た も の で す 。 本 研 究 の 成 果 は 、 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 建 設 マ ネ ジ メ ン ト技 術 研 究 室 のHPに 「社 会 資 本 整 備 に お け る 合 意 形 成 円 滑 化 の た め の 手 引 き(案)∼ 紛 争 ア セ ス メ ン トお よ び メ デ ィ エ ー シ ョ ン ∼ 」 と し て 公 表 し て い ま す 。 【参 考 文 献 ・脚 注 】 1 国 土 交 通 省 所 管 の 社 会 資 本 整 備 に お い て は、 「河 川 法 (1997)」 な ど の 住 民 意 見 の 反 映 に 関 す る 法 律 が 施 行 され 、各 事 業 分 野 に お い て 「国 土 交 通 省 所 管 の 公 共 事 業 の 構 想 段 階 に お け る住 民 参 加 手 続 き ガ イ ド ラ イ ン (2003)」 「構 想 段 階 に お け る 市 民 参 画 型 道 路 計 画 プ ロ セ ス の ガ イ ド ラ イ ン (2005)」 「一 般 空 港 に お け る 新 た な 空 港 整 備 プ ロ セ ス の あ り方 (案) (2003)」 な ど に よ り実 施 方 針 が 示 され て い る ほ か 、 「社 会 資 本 整 備 に お け る住 民 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 す る ガ イ ドブ ッ ク (2007)」 な ど の 技 術 資 料 も 作 成 され て い る 。 2 例 え ば、(仮称) 横 浜 環 状 北 西 線2003年6月 か ら検 討 開 始 3 例 え ば 、 山 口行 一 ・ 仲 村 明信 ・溝 口宏 樹 (2007) 計 画 検 討 手 続 き の 適 切 性 確 保 に 関 す る難 し さ 一 行 政 の 住 民 参 加 担 当 者 育 成 の 観 点 か ら 一, 土 木 学 会 第62回 年 次 学 術 講 演 会, 4-115 4 ibid .
5 米 国 土 地 改 良 局 (1992) "Public Involvement Training:
Resource Notebook" 6 Susskind
, L., McKearnan, S. and Thomas-Larmer, J. (1999) "The Consensus Building Handbook" California: Sage Publication
7 ibid .
8 米 国 内 務 省 (1998)" Conflict Management
Guidebook"
9 ibid .
10 Rubin , J.Z., Pruitt, D.G., & Kim, S.H. (1994)
Social
Conflict:
Escalation,
Stalemate,
and
settlement. 2nd ed. New York, NY: McGraw-Hill (WR
は 鈴 木 有 香 (2004)「 交 渉 と ミ デ ィ エ ー シ ョ ン 」 東 京: 三 修 社)
11 鈴 木 有 香 (2004)「 交 渉 と ミ デ ィ エ ー シ ョ ン 」 東 京:
三 修 社 (Deutsch, M. (1973). The resolution of conflict:
Constructive and destructive processes. New Haven, CT:
Yale University Press.Deutsch, M & Colman, P.T., ed.
(2000) The Handbook of Conflict Resolution: Theory and
Practice, San Francisco: Jossey-Bass. Tjosvold, D (1998),
"The cooperative and competitive goal approach to
conflict: accomplishments and challenges", Applied
Psychology: An International Review, Vol.47
pp.285-313Rubin, J.Z., Pruitt, D.G., & Kim, S.H. (1994)
Social Conflict: Escalation, Stalemate, and settlement. rd
ed. New York, NY: McGraw-Hill) 12 Ibid .
13 経 済 産 業 省 (2004)「 調 停 人 養 成 教 材 ・基 礎 編 」 14 金 山 宣 夫
,浅 井 和 子 訳 (1989) ハ ー バ ー ド流 交 渉 術
東 京: 三 笠 書房 (Fisher and Ury (1981)"Getting to Yes:
Negotiating agreement without giving in" New York:
Penguin Books USA Inc)
15 ibid . 16 鈴 木 有 香 (2004)「 交 渉 と ミ デ ィ エ ー シ ョ ン 」 東 京: 三 修 社 17 ibid . 18 松 浦 正 浩 (1999)" 第 三 者 の 補 助 を 用 い た 公 共 事 業 に 関 す る 合 意 形 成 一米 国 に お け る メ デ ィ エ ー シ ョ ン"土 木 学 会 計 画 学 研 究 ・講 演 集Vol.1, No.22, 1999
19 Rubin , J.Z., Pruitt, D.G., & Kim, S.H. (1994) Social Conflict: Escalation, Stalemate, and settlement. 2nd ed. New York, NY: McGraw-Hill
20 屋 井 鉄 雄 、 前川 秀 和 (2004)「 市民 参 画 の み ち づ く り: パ ブ リ ッ ク ・イ ン ボ ル ブ メ ン ト (PI) ハ ン ドブ ッ ク 」 東 京: ぎ ょ うせ い
21 例 え ば、 「土 地 利 用 計 画 に お け る 紛 争 ア セ ス メ ン ト (ス テ ー ク ホ ル ダ ー 分 析) 実 施 要 領 」(2006年7月 /Consensus Building Institute, Inc.,Pace University
land Use law Center,翻 訳: 馬 場 健 司 、 松 浦 正 浩)
22 紛 争 ア セ ス メ ン トは、 文 献 に よ っ て は 、 メ デ ィエ ー シ ョ ン の 第 一 ス テ ッ プ と な っ て い る 場 合 も あ る。 23 国 土 交 通 省 国 土 交 通 政 策 研 究 所 「社 会 資 本 整 備 の 合 意 形 成 円 滑 化 の た め の メ デ ィ エ ー シ ョ ン 導 入 に 関 す る 研 究 」 国 土 交 通 政 策 研 究 第70号 24 ibid . 25 例 え ば 、徳 島 市 北 常 三 島町 交 差 点改 良 (2005年 か ら検 討 開 始)、 福 井 総 合 病 院 医 療 メ デ ィエ ー シ ョ ン (2004年 検 討 開 始) 26 国 内 学 識 経 験 者 は、 徳 島 大 学 山 中 英 生 教 授 、 東 京 大 学 小 泉 秀 樹 准 教 授 、松 浦 正 浩 客 員 講 師 、早 稲 田大 学 入 江 秀 晃 客 員 研 究 員 の4名 。 米 国 の 紛 争 解 決 に 関 わ る 実 務 家 は 、以 下 の 組 織 か ら 各2∼5名 。 (米 国 環 は境 紛 争 処 理 研 究 所/連 邦 高 速 道 路 庁/連 邦 環 境 保 護 庁/コ ン セ ン サ ス ・ビル デ ィ ン グ研 究 所/リ ゾ ル ヴ) 米 国 環 境 紛 争 処 理 研 究 所 は 、連 邦 政 府 に 関 す る環 境 紛 争 に つ い て 、連 邦 政 府 に よ る メデ ィ エ ー シ ョ ン の 利 用 を 支 援 す る た め に 設 置 さ れ た 組 織 で あ り 、社 会 資 本 に お け る メ デ ィ エ ー シ ョ ン利 用 に 関 す る情 報 を 蓄 積 し て い る 。 主 要 な 業 務 に 、 ロ ス タ ー (メ デ ィエ ー タ ー 名 簿) の 管 理 が あ る 。 連 邦 高 速 道 路 庁 は 大 半 の 道 路 整 備 に お い て 、 事 業 官 庁 で は な く 、州 政 府 に 対 し て 補 助 金 を 配 賦 す る役 割 を 担 っ て い る が 、ま た 同 時 に 州 政 府 に よ る 計 画 策 定 及 び 事 業 実 施 に お い て メデ ィ エ ー シ ョン を 含 む 共 同 プ ロ セ ス の 採 用 を 勧 奨 して い る 。 連 邦 環 境 保 護 庁 は 規 制 官 庁 で あ り、 社 会 資 本 整 備 に 主 体 的 に 関 与 す る こ と は 稀 だ が 、環 境 規 則 に 関 す る論 争 や 訴 訟 に つ い て メ デ ィ エ ー シ ョ ン を 利 用 して き た 経 験 が 長 い 。 本 部 (ワ シ ン トン) 及 び 地 方 事 務 所 (ボ ス トン) と意 見 交 換 し た 。 公 共 セ ク タ ー を 主 な 事 業 領 域 とす る 紛 争 解 決 事 業 者 と し て 、そ の 経 験 と 事 業 規 模 で トッ プ ク ラ ス に あ る コ ン セ ン サ ス ・ビ ル デ ィ ン グ 研 究 所 と リ ゾ ル ヴ の 代 表 者 に 、行 政 機 関 か ら の 受 注 や 中 立 性 担 保 の 方 法 論 な ど に つ い て 意 見 交 換 を 行 っ た 。 27 国 土 交 通 省 国 土 交 通 政 策 研 究 所 (2006)「 国 土 交 通 政 策 研 究 第70号 社 会 資 本 整 備 の 合 意 形 成 円 滑 化 の た め の メ デ ィ エ ー シ ョ ン 導 入 に 関 す る 研 究 」 28 例 え ば 、土 木 学 会 四 国支 部 (2007)「 四 国の 土木 技 術 者 に お け る 合 意 形 成 運 営 技 能 の 評 価 方 法 に 関 す る 研 究 」 29 例 え ば、 国 土 交 通 政 策 研 究 所 (2005)「 国 土 交 通 政 策 研 究 第43号 社 会 資 本 整 備 に お け る 第 三 者 の 役 割 に 関 す る研 究 」 30 唐 木 芳 博,山 田 哲 也,山 形 創 一 (2005)「 社 会 資 本 整 備 分 野 に お け る 合 意 形 成 の た め の メ デ ィ エ ー シ ョ ン 導 入 に 当 た っ て の 法 的 検 討 課 題 」, PRI Review, No.21, pp.6-15 31「 土 地 利 用 計 画 に お け る 紛 争 ア セ ス メ ン ト (ス テ ー ク ホ ル ダ ー 分 析) 実 施 要 領 」(2006年7月
/Consensus Building Institute, Inc., Pace
University Land Use Law Center, 翻 訳: 馬 場 健 司 、
松 浦 正浩) を参 考 に 筆者 らが作 成
32 Susskind , L., McKearnan, S. and Thomas-Larmer, J. (1999) "The Consensus Building Handbook" California:
SagePublicationを 参 考 に 筆 者 ら が 作 成