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紹介 田中道雄・鄭杭生・栗田真樹・李強編著『現代中国の流通と社会』

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紹介 田中道雄・鄭杭生・栗田真樹・李強編著『現

代中国の流通と社会』

著者

大西 康雄

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

47

12

ページ

89-89

発行年

2006-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00007411

(2)

89 紹   介 『アジア経済』XLVII 12(2006. 12) 中国の経済,社会はすさまじい速度で変貌してい る。すでに多種多様な研究が行われているが,本書 は,タイトルにあるとおり「流通と社会」という切 り口からその実像に迫ろうとした点に特色を有する。 二兎を追おうというのではなく,より多面的な分析 を目指した試みである。編著者の「はしがき」によ ると,同様の問題意識でフランス,日本を取り上げ た研究書が本書に先行して2冊刊行されている(い ずれもミネルヴァ書房刊)。 本書は全10章から構成されている。前半5章を日 本人研究者が,後半を中国人研究者が担当してお り,両国の研究者の異なった視点が盛り込まれてい る点はユニークである。第1章「中国の商業流通と 都市開発」,第2章「WTO 加盟後の中国流通構造」 は,中国における商業部門の変貌を,国内市場の構 造変化に対応した商店街の再開発という国内的視点 (前者)と,商業分野の対外開放に伴う外資の参入 という国際的視点(後者)から描き出している。第3 章「中国における消費者行動と価値観の変容」は, 日米共同で行われた「世界価値観調査データ」に依 拠しながら,中国の消費者意識の特徴を分析してい る。60カ国地域に及ぶ同調査データから日中両国を 取り出して比較しており,興味深い。第4章「日本 企業と中国企業との相互経済交流」,第5章「中国 における大規模小売業の展開」は,企業活動の現状 報告である。前者では,日本の対中投資の概況と中 国企業の対日投資に関するアンケート調査が紹介さ れている。後者では,流通分野への外資の進出と国 内企業の対応ぶりが事例を交えて分析されている。 第6章「中国の消費化社会に関する考察」は,改 革開放政策以降の消費の変化を「消費の公共空間」 の拡大としてとらえる。この新しい空間の中で, 人々は消費者としての自由度を拡大し,価値観を変 化させていることが指摘される。こうしたミクロの 観察をもとに,マクロの統計的データ(『都市競争 力青書』社会科学文献出版社 2003年)や筆者自身 が行った北京市での実態調査によって都市社会の変 化に多面的に迫ろうと試みている。第7章「現代中 国社会における富裕階層考察の方法」,第8章「転 換期における中国都市住民の転職」は,新しいイシ ューとして注目される「富裕階層」の出現や,就職 行動を取り上げ,それぞれの変化を改革開放政策と 関連づけて概観している。改革開放政策は,まず経 済システムの改革から始められたが,その過程で社 会構造にまで及ぶ変化をもたらしたことが叙述され る。以上3つの章からは,中国の社会学がどのよう な問題に注目し,いかなる方法論で取り組もうとし ているのか,その研究動向を知ることもできよう。 第9章「現代中国の流通と社会構造」は,本書の 問題意識に正面から取り組んだ論考で,流通と社会 構造の相互関係に焦点をあてて分析している。流通 に関しては生産者,卸売業,小売業,消費者など, 社会に関しては社会階層,産業構造,市場構造,都 市構造,就業構造などに着目し,それぞれの変化が 他に与える影響を分析することで,流通と社会構造 の相互連関をダイナミックに描き出そうと試みてい る。第10章「中国物流近代化の発展と課題」は,成 長著しい物流業の現状を分析している。物流近代化 は,流通体制の改革とともに本格化したが,その最 も重要な契機は WTO 加盟と産業構造改革であった ことが強調される。前者はグローバル流通企業や外 資系物流企業の本格的参入をもたらし,これら企業 との競争にさらされた国内産業もまた物流近代化の 要求を強めることになったからである。 冒頭に記したように,各章とも現状分析に主眼を 置いているが,簡潔に今後の展望を試みており,傾 聴すべき指摘も含まれている。 (アジア経済研究所地域研究センター)

田中道雄・

杭生・栗田真樹・李強編著

『現代中国の流通と社会』

(MINERVA

現代経済学叢書81)

ミネルヴァ書房 2005年  x+235ページ  大 おお 西 にし 康 やす 雄 お  

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