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中学校英語教科書の比較研究

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Academic year: 2021

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西 光 興

1は じ め に 学 習 指 導 要 領 に よ れ ぼ 中 学 校 に お け る外 国 語 教 育 の 目標 は 「外 国 語 を理 解 し,外 国 語 で 表 現 す る基 礎 的 な能 力 を養 う と と も に,言 語 に対 す る関 心 を深 め,外 国 の人 々 の 生 活 や も の の見 方 な どに つ い て 基 礎 的 な 理 解 を得 させ る」 こ と と して い る。 ゆ え に外 国 語(現 実 に は英 語)の 検 定 教 科 書 は す べ て こ の 目標 実 現 の た め に編 まれ て い る は ず で あ る。 昭 和62年 度 か ら新 た に 参 入 した1社 の もの も含 め て6 社 の 教 科 書(改 定 版)の い ず れ か が全 国 の す べ て の 中学 校 で 使 用 され て い る が,現 行 の各 社 の 各 学 年 用 教 科 書 で 実 際 に上 の 目標 実 現 の た め に い か な る取 り組 みが な され て い る か次 の4つ の観 点 か ら比 較 検 討 して み た い。 検 討 項 目及 び検 討 対 象 は以 下 の通 りで あ る。 1.言 語 活 動 へ の 取 り組 み 。 2.言 語 材 料 の 言 語 活 動 との 関 連 付 け。 3.言 語 に対 す る関 心 の 喚 起 及 び 国 際 理 解 推 進 へ の 取 り組 み 。 4.最 近 の 英 語 学 習 理 論 との 関 連 。 検 討 対 象 は次 の教 科 書(全18冊)で あ る。 NewCrownEnglishSeries1,2,3 (三省 堂)以 下Cと 略 記 。 NewEverydayEnglish1,2,3 (中教 出版)以 下Eと 略 記 。 NewHorizonEnglishCourse1,2,3 (東 京 書 籍)以 下Hと 略 記 。 SunshineEnglishCourse1,2,3 (開 隆 堂)以 下Sと 略 記 。 TotalEnglishNewEdition1,2,3 (秀 文 出 版)以 下Tと 略 記 。 OneWorldEnglishCourse1,2,3 (教 育 出 版)以 下Wと 略 記 。 II言 語 活 動 へ の 取 り組 み 。 A厂 聞 く こ と,話 す こ と 」 1.正 し い 発 音 を さ せ る た め の 取 り組 み 。 (1)発 音 記 号 の 指 導 EHS…1年 か ら各 課 「練 習 」 で 徐 々 に 。 T… … …1年 か ら各 ペ ー ジ の 下 で 徐 々 に 。 CW… …1年 の 巻 末 で ま と め て 。 (2)ア ク セ ン トの 指 導 全 … … …1年 か ら各 ペ ー ジ の 下 の 新 語 で 。 (3)イ ン トネ ー シ ョ ン の 指 導 EHW…1年 か らintonationcontourを 必 要 に 応 じ て 付 す 。 S… … …1年 か ら 「練 習 」 に 文 末 に ノ か \ を つ け さ せ る 問 題 を 含 む 。 (4)間 ・文 強 勢 の 指 導 E… … …1年 か らintonationcontourの 切 れ 目 と語 の 上 の'印 に よ っ て 指 導 。 S… … …1年 か ら 厂練 習 」 で 文 強 勢 の み 指 導 。 HW… … イ ン トネ ー シ ョ ン の 指 導 の 一 部 と し て 間 の と り 方 も 含 む 。 2.口 頭 で 英 語 を 発 表 さ せ る た め の 取 り組 み 。 各 教 科 書 と も こ の 活 動 を さ せ る こ と を 最 も 重 要 視 し て い る 。 特 に 具 体 的 な 場 面 設 定 に 意 を 用 い て い て,Eで は 各 ペ ー ジ に,HSTW

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は巻 末 の 折 り込 み にチ ャー トを配 し,新 出 文 型 の 口頭 練 習 を行 い や す くし て い る。 その 上 「練 習(Exercise)」 で は全 教 科 書 に お い て 口 頭 で 答 え させ る形 式 や 生 徒 同 士 で 対 話 させ る 形 式 な どを多 くし て い る。(「表1」 参 照) また 本 文 の6割 以 上 が 対 話 文 にな っ て い て roleplayingな どに よっ て生 徒 に話 す機 会 を 多 く与 え る こ とが で き る よ う に な っ て い る。 特 にHTWは 対 話 文 が多 い 。 B「 読 む こ と」 概 要 を と ら え させ る こ とに 重 点 を置 い て い て,本 文 の 内容 と一 致 す る文 を選 ばせ た り, 本 文 の 要 約 文 の 空 所 に適 切 な単 語 を記 入 さ せ た り,本 文 の 内容 につ い て の英 語 の 問 い に 英 語 で答 え させ た りす る練 習 が 大 部 分 を 占 め, いわ ゆ る 「英 文 和 訳 」 は文 法,文 型 の 練 習 の ひ とつ と して 与 え られ て い る に過 ぎな い。 C「 書 く こ と」 まず 文 法,文 型 を理 解 させ 運 用 さ せ るた め に,全 教 科 書 で 次 の練 習 を させ て い る。 1.文 を指 示 に従 っ て書 きか え させ る。 2.文 が 成 り立 つ よ う に空 所 に適 語 を記 入 させ る。 3.語 順 を正 さ せ る。 4.語 形 を文 脈 に合 う形 に変 え させ る。 次 に英 文 を書 か せ る練 習 と して,全 教 科 書 で 多 く採 用 して い る形 式 は 1.例 文 に な ら っ て,指 定 の 話 題 に つ い て 自分 の立 場 で 英 文 を書 か せ る 。 2.文 型 を指 定 し て,和 文 英 訳 を さ せ る。 3.英 語 の 問 い に対 す る 自分 の 立 場 で の 答 を英 語 で書 か せ る。 4.指 示 さ れ た場 面 に合 う英 文 を書 かせ る。 な ど とな っ て い て,全 文 英 訳 は意 外 に少 な いo な おBCに 関 し,教 科 書 別 に どの よ う な形 式 の 練 習 を どの 程 度 行 わ せ よ う と して い る か を見 るた め に 厂表1」 を作 成 した。 この 場 合 大 問1個 の 中 に平 均3個 の小 問 を 含 む。 各 形 式 の 数 値 に よ っ て あ る程 度,ど の 〔表1〕Ezerciseの 主な 形 式 と大 問 数 (1大 問が2つ の 形 式 を 含 む もの が 若 干 あ るが,そ の場 合 そ の2つ の 形 式 そ れ ぞ れを1大 問 と して あ る) 教科書 形式 C E H S T W 計 1 1.〔絵 に よ る練 習 〕 文型練習 9 15 4 4 37 23 92 例 にな ら って 対話 17 9 12 io 25 28 101 2.〔 文 法 練 習 〕 書 きか え 42 20 28 8 26 4 128 空所補充 7 3 13 11 4 4 42 語形変更 4 6 4 2 2 0 18 語順 を正 す 13 0 2 6 2 0 23 3.〔 英 文 和 訳 〕 19 0 0 1 io 4 34 4.〔 英 作 文 〕 部分英訳 8 5 13 2 4 3 35 全文英訳 6 6 2 3 2 i 20 対話文作 り 12 0 io 4 2 14 42 文型指定作 文 10 13 3 7 14 8 55 話題指定作 文 5 28 22 7 13 4 79 場面適合 文作 り 5 r 6 0 5 3 20 5.〔 英 文 読 解 〕 内容一致文選択 5 2 5 2 4 4 22 要 約文空所補充 3 7 6 3 4 7 30 英 問英答 5 11 6 5 5 16 48 教 科 書 が どの 領 域 の どの 形 式 の練 習 を特 に さ せ よ う と して い る かが 判 断 で き よ う。 C… 書 きか え,英 文 和 訳,対 話 E… 話 題 指 定 作 文,書 きか え H… 書 きか え,話 題 指 定 作 文,空 所 補 充 S… 空 所 補 充,対 話 T… 文 型 練 習,書 きか え,対 話 W… 対 話,文 型 練 習,英 問 英答 III言 語 材 料 の 言 語 活 動 との 関 連 付 け 。 「言 語 活 動 」 に は適 切 な 「言 語 材 料 」 を必 要 とす るが,中 学 生 の場 合 に は 「言 語 活 動 」 を じ ゅ うぶ ん に行 わ せ る た め に は,「 言 語 材 料 」 す なわ ち語 彙,文 法,文 型 の 基 礎 知 識 を段 階 一2一

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を追 っ て与 え な け れ ば効 果 が期 待 で きな い 。 そ こで 学 習 指 導 要 領 が 示 す各 学 年 の 言 語 材 料 を各 教 科 書 が どの よ う に扱 っ て い る か を見 る た め に各 文 法 事 項,文 型 の 初 出 の 課 を教 科 書 別 に表 に ま とめ て み た。(「表2」 参 照) 特 徴 的 な点 を列 挙 して み よ う。 1.1年 でbe動 詞 の 出 し方 に 違 い が 見 ら れ る 。 第1課 か ら扱 っ て い るHSWは いず れ も自 己 紹 介 と言 うfunctionに お け る表 現 で, SとWがIam∼,HがMynameis∼,ま た Eは 「友 達 の 紹 介 」 とい う場 面 で のThisis ∼ で あ る。 従 来 のThisisapen.式 の 「わ か り切 っ た こ と」 を 言 い合 う非 現 実 的 な対 話 は 出 さ な くな っ て い る。Cは 手 品 師 の 口上 とし てThisisabird.を 出 して い るが,こ れ は興 味 を 引 き つ け る生 き た場 面 設 定 とな っ て い る。 2.1年 の 第1課 か らS+V+0の 文 型 を 出 して い るの はTだ けで あ る。 身 近 か な 事 柄 を話 し合 う場 合,こ の 年 ご ろ の子 供 に とっ て は 「持 ち 物 」 は もっ と も好 奇 心 を抱 きや す い 話 題 で あ り,最 も導 入 しや す い 文 型 で あ る と 考 え た の で あ ろ う。HとWはhaveよ り先 に likeを 出 して い るが,こ れ も 「好 き,嫌 い 」 が 中学 生 同士 の対 話 の話 題 と して 自然 で あ る と考 えた の で あ ろ う。 3.2年 で は過 去 形 の 登 場 の させ 方 に多 少 違 い が 見 られ る。SとWは 第1課 か らwasと wereを 出 し,第2課 で規 則 動 詞 の過 去 形 を 出 して い る 。 「きの う… だ っ た 」とい う 「過 去 の 状 態 」 の 報 告 か ら過 去 時 制 に入 るの が 「き ょ う」 と対 比 させ る の に便 利 な の だ ろ うか 。 一 方Cは 規 則 動 詞 ・不 規 則 動 詞 を3,4課 で指 導 した後 でwas,wereを 第5課 に出 して い る が,「 き の う… した 」と実 際 に行 った 行 動 に っ い て話 す 場 面 が 多 い との判 断 で あ ろ うか 。 4.過 去 進 行 形 をSとWは 第1課 で,一 般 動 詞 の 過 去 形 よ り前 に 出 し て い る が,was, wereの 指 導 に続 け て 教 え るの が 容 易 と考 え た の で あ ろ う。 た しか に現 在 進 行 形 が 定 着 し 〔表2〕 指 導 要 領 指 定 主 要 文 法 事 項 文 型 等 の初 出 の課 (付:付 録,表:表 見 返 し) 学 年 教科書 文法 ・文型等 C E H s T W be動 詞 4 1 1 i 4 1 一般 動詞 7 6 4 4 1 3 一般 動 詞+(e)s 9 7 7 10 5 4 助動詞 13 12 12 ii 10 9 選択疑問文 10 2 5 3 3 5 Wh一 疑 問 文 5 2 3 3 3 2 1 命 令文(Be_以 外) 8 10 9 2 7 7 名詞の複数形 3 6 6 5 3 6 人称代名詞 4 2 2 2 1 1 指示代名詞 4 1 2 i 2 i 疑 問代名詞 5 2 3 3 3 2 数 量代 名詞 (形容 詞) 7 14 6 5 12 6 現在進 行形 12 13 11 13 ii 11 S+be+副 詞(句) 6 15 6 4 6 12 S+V+副 詞(句) 9 9 8 5 5 4 S+V+C(名 詞) 4 2 1 i 4 1 S+V+C(代 名詞) 10 10 13 9 14 12 S+V+C(形 容 詞) 6 3 8 6 9 5 S+V+0(名 詞) 7 6 4 4 1 3 年 S+V+0(代 名詞) 7 9 7 5 8 7 Therebe∼ 14 14 14 14 13 13 発音記号 の使用開始 付 1 2 3 2 付 語 の ア ク セ ン ト 1 i 1 i 1 1 intonationcontour 1 2 2 1 alphabet(活 字 体) 1 付 表 表 表 表 alphabet(筆 記 体) 付 付 付 付 表 付 重文 2 5 8 1 8 複文 10 3 6 3 9 5 May∼? 7 1 7 5 7 2 2 Why∼? 9 7 6 2 8 9 命令 文(Be_) 5 1 8 9 2 8 感嘆文 9 4 5 7 11 7 比 較as∼as.. ii 2 3 6 1 4 一er,-est 11 2 4 6 1 4 more,most 6 4 6 9 7 不規則 ii 7 8 7 7 4 年 過 去 形(-ed) 3 4 3 2 3 2 過去形(不 規則) 4 3 2 i 4 1 未来 形(wil1) 7 8 7 4 6 5 (begoingto) 9 8 5 3 6 3

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て い れ ば,そ の 通 り と考 え ら れ る 。 〔表2〕(つ づ き) 学 年 教科書 文法 ・文型等 C E H s T W 過 去進行形 5 3 2 i 5 i 現在 形受け身 6 11 9 10 10 6 過去 形受け身 6 11 9 10 11 6 2 不定詞(名 詞 的) 8 10 5 8 2 3 (形容 詞 的) 8 io 10 8 9 10 (副詞 的) 8 1D 5 8 8 3 動名詞 io 10 io 9 2 9 S+V+C(名 詞) 12 5 3 7 年 S+V+C(形 容 詞) 2 5 8 3 8 10 S+V+0(動 名 詞) 10 10 10 9 2 9 S+V+0(不 定 詞) 8 10 5 8 2 3 S+V+O+O 10 7 8 9 8 5 関 係 代 名 詞which(主) 5 7 6 6 6 6 who(主) 5 7 6 6 6 6 that(主) 5 7 6 6 6 6 which(目) 5 9 7 .7 3 that(目) 5 9 7 7 whom 6 9 7 7 whose 6 10 8 7 8 6 関係 代名詞 の省略 6 10 5 7 7 6 現在完 了形(完 了) 4 4 3 2 4 3 (経験) 4 3 3 2 3 2 (継続) 3 2. 2 2 Z 3 現在分詞(形 容) 2 6 4 4 5 5 過去分詞(形 容) 2 6 4 4 5 5 動名詞(主 語) 7 4 7 1 4 1 (補 語) 1 (前 置 詞 の 目的) f 4 1 1 S+V+疑 問 詞+ 年 不定詞 8 i 4 5 i 8 S+V+疑 問詞 節 8 4 7 3 8 8 S+V+that節 2 2 8 i 5 4 S+V+接 触 節 2 2 i 1 8 4 S+V十 〇+C 9 1 8 1 1 4 It+be∼(+for...)+ 不定詞 9 3 8 4 4 7 S,+V+0+不 定 詞 8 9 7 5 3 7 5.受 け身 の扱 い 方 に も多 少 差 が あ る。C HSはagentを 表 すby∼ を 伴 わ な い もの か ら入 り,ETWはby∼ を伴 う もの か ら入 っ て い る。 前 者 は 「be+過 去 分 詞 」 と い う受 け身 形 の動 詞 の 形 態 と意 味 を まず 理 解 させ る こ と か ら入 る こ とが 有 効 との 判 断 に よ る もの で あ ろ う。 一 方 後 者 はby∼ も含 め た 「受 け身 の 文 型 」 とい う と らえ 方 を まず させ た 方 が 使 わ せ や す い と考 えた の で あ ろ う。 6.3年 で は関 係 代 名 詞 の 目的 格 の 扱 い 方 に 差 が 見 ら れ る。HとWは 目 的 格 のwhich, that,whomを 用 い た文 が 本 文 中 に は1文 も 出 て 来 ず,「 文 法 の ま とめ」の 中 に1つ ず つ こ れ ら を括 弧 で く くっ て用 い た例 文 が 載 って い る に過 ぎ な い。 口語 英 語 優 先 の 考 え 方 の表 れ の ひ とつ と見 て よ い で あ ろ う。 7.現 在 完 了形 の 出 し方 に か な り差 が あ る。 CHは 「継 続 」 「完 了J経 験 」 の順,EFは 「継 続 」 「経 験 」 「完 了 」 の順 ,Sが 「完 了」 「経 験 」 厂継 続 」 の 順,Wが 経 験 」 「完 了 」 「継 続 」 の順 とな っ て い る 。 は た して どの 順 序 が 最 も教 えや す い の で あ ろ う か。 今 後 の 研 究 課 題 と した い 。 8.動 名 詞 が 前 置 詞 の 目的語 とし て 用 い ら れ て い る文 を採 り入 れ て い るの はSTWで あ り,補 語 と して 用 い られ た文 を載 せ て い るの もWだ けで あ る 。 や は り全 教 科 書 で 扱 うべ き で あ ろ う。 9.新 出 語 数 に 少 し差 が 見 られ る。3年 分 合 計 して,多 い順 にH(1077),W(1062), E(1040),S(1024),C(995),T(991) とな っ て い る。 い ず れ に して も これ だ けで は 身 の まわ りの こ とに つ い て 表 現 す る に は十 分 とは 言 え な い 。 そ こで各 教 科 書 と も身 近 か な 事 柄 に 関 す る表 現 力 増 大 を ね ら って,日 常 生 活 に 関連 す る語 彙 を部 門別 に絵 を付 して数 十 語 ほ ど本 文 以 外 の ペ ー ジ で追 加 して い る。 こ れ は好 ま し い こ とで あ る。 また 中 学 生 に とっ て か な り難 し い と思 え る単 語(例astronaut, nuclear,pollution,oxygenな ど科 学 用 語, pneumonia,appendicitisな ど医 学 用 語)も 本 一4一

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文 に多 少 採 り入 れ られ て い る が,中 学 生 の 知 的 レベ ル に 対 す る配 慮 が うか が え る。 総 じて どの 教 科 書 も文 法 を過 度 に意 識 させ 〔表3〕 非 使 用 文 法 用 語(× は非 使 用) 教科書 C E H S T W 文法用語 平叙文 X X X 否定文 X 単 文 ・重 文 ・複 文 X X X X X 命 令文 X 間接疑問(文) X X X X × 目的語 X 補 語 X X X 修 飾(語 ・句) X 代名詞 X 所有代名詞 X X X X X 接続詞 X X 助動詞 X X 冠 詞 X X X X X be動 詞 X X X 一 般 動詞 X X 疑問詞 X X X X 単数(形) X 原 級 X 動詞の原形 X 現在形 X 過去形 X 不規則動詞 X 現在分詞 X X 動名詞 X X 不定詞 X X 人 称 X X X X 主 格 X X X X 所有格 X X X 目的格 X X X 過去進行 形 X 未来(形) X 先行詞 X X X 付加疑問(文) X X X X X 節 X X X X 句 X X X X X 短縮形 X X X 活 用 X X X X X 時 制 X X X X X な い よ う に 気 を 配 っ て い る 。 「表3」 は 中 学3 か 年 間 で 扱 う全 文 法 事 項 の う ち,使 用 を 避 け て い る 文 法 用 語 を 教 科 書 別 に 見 た も の で あ る が,文 法 用 語 の 使 用 を 最 も ひ か え て い る の は Eで25項 目,次 い でW(19),H(18),T(16), C(13),S(11)と な っ て い る 。 文 法 用 語 に 代 る 表 し 方 の 例 を い く つ か 挙 げ る と, 平 叙 文 → 普 通 の 文 冠 詞 →a,an,the be動 詞 →am,is,are 不 定 詞 →to+動 詞 の 原 形 現 在 分 詞 → 動 詞 の ∼ing形 原 級 → も と の 形

IV言

語 に対 する関心の喚起及び

国際理解推進 への取 り組み

A言 語 に 対 す る 関 心 の 喚 起 1.英 語 学 習 の 意 義 に 気 づ か せ る 。 T2年 第10課 「英 語 の 役 割 」,S2年 第9課 "Let'sStudyaForeignLanguage" ,H2年 第9課"Let'sTalkaboutLanguages"な ど が 目 立 っ て い る が,ど の 教 科 書 も 全 学 年 に お い て 日本 人 と外 国 人 と の コ ミ ュ ニ ケ イ シ ョ ン の 場 面 を じ ゅ う ぶ ん に 取 り入 れ て い て,英 語 学 習 の 大 切 さ,楽 し さ が 感 じ とれ る よ う に な っ て い る 。 2.ジ ェ ス チ ャ ー の 意 味 の 違 い を 知 らせ る 。 言 語 以 外 で 伝 達 の 助 け と な る も の に ジ ェ ス チ ャ ー が あ る が,国 に よ っ て ジ ェス チ ャ ー の 表 す 意 味 が 異 な る 点 を 紹 介 し,広 い 意 味 で 言 語(伝 達 の 手 段)へ の 興 味 を か き 立 て る 。 例 え ば,C2年 第9課,H3年 第7課,E3年 表 見 返 し と第1課 な どが 目 立 つ 。 3.語 源 に よ っ て 言 葉 の 深 さ を 知 ら せ る 。 E2年 第3課 でdoll,sandwichな ど の,H 2年Let'sRead3で はkangarooの 語 源 を 楽 し く紹 介 し て い る 。 さ ら にE3年 裏 見 返 し で は ア ル フ ァ ベ ッ トの ル ー ツ を 絵 入 り で 紹 介

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し て い る 。 4.英 語 以 外 の 言 語 に も 言 及 す る 。 C3年 第10課 で は ウ ェ ー ル ズ 人 が イ ン グ ラ ン ド の 支 配 下 で ウ ェ ー ル ズ 語 の 使 用 を 禁 止 さ れ た こ と を 紹 介 し,民 族 と 言 語 の 関 係 に つ い て 考 え さ せ る 内 容 と な っ て い る 。 B国 際 理 解 推 進 へ の 取 り組 み 。 1.英 語 の 教 科 書 で は あ る が,か つ て の よ う に 英 米 一 辺 倒 で は な く 多 くの 国 々 に つ い て 言 及 し て い る 。 英 米 以 外 で は次 の 国 々 で あ る 。 (ヨ ー ロ ッパ)フ ラ ン ス,ス ペ イ ン,オ ラ ン ダ,ノ ー ル ウ ェ ー,ス イ ス,イ タ リ ア(南 北 ア メ リ カ)カ ナ ダ,ブ ラ ジ ル(ア ジ ア)シ ン ガ ポ ー ル,中 国,イ ン ド,タ イ,マ レ ー シ ア, カ ン ボ ジ ア,韓 国(ア フ リ カ)ケ ニ ア,ニ ジ ェ ー ル(太 洋 州)オ ー ス ト ラ リ ア,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド,パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア 2.以 上 の 国 々 に つ い て 主 に 何 に つ い て 述 べ て い る か を 見 て み る と, 1位 日 常 生 活2位 日本 と の 対 比 3位 地 理,自 然4位 も の の 見 方 5位 名 所,珍 し い 物6位 歴 史 な ど と な っ て い る 。 3.外 国 人 に 日本 に つ い て 紹 介 す る 発 信 型 の 内 容 と し て, (1)日 本 紹 介 一 小 田 原,鎌 倉,日 光 案 内 ぶ す (2)日 本 の 作 品 の 英 訳 一 厂附 子 」(狂 言)「 夕 鶴 」「くも の糸 」「む じな 」「走 れ メ ロ ス 」 「日本 の民 話 」 4.人 類 共 通 の 問題 を採 り上 げた もの Cは 原 爆;航 空 騒 音 につ い て,Hは ア フ リ カ の飢 餓;酸 性 雨,熱 帯 雨 林 減 少 につ い て, Wは 環 境 汚 染 に つ い て な どが あ る。

V最

近の英語学習理論 との関連

教 科 書 の選 定 に あ た って は,現 在 の よ うな 多 人 数 学 級 単 位 に,多 様 な資 質 の 生 徒 に対 し 一 斉 に週 に3時 間 だ け 英 語 を教 え な け れ ぼ な ら な い 厳 し い 状 況 に お い て は,何 よ り も 「使 い や す さ 」 が 規 準 と な る で あ ろ う。 そ れ ゆ え に,各 教 科 書 執 筆 者 は,戦 前 か ら のDirect Methodと 戦 後 間 も な く 紹 介 さ れ たOral Approachが 現 在 教 壇 に 立 っ て い る 中 学 校 英 語 教 師 の 大 多 数 に よ っ て 支 持 さ れ,実 践 さ れ て い る 事 実 を ふ ま え,絵 や チ ャ ー ト を 用 い た patternpracticeを じ ゅ う ぶ ん に 採 り 入 れ て い る 。 し か し,後 に 登 場 し たCognitive Approachが 注 目 さ れ る よ う に な っ た こ と と, patternpracticeが 意 味 の 理 解 を 伴 わ な い こ とが あ る と の 問 題 点 の 指 摘 も あ り,現 行 り 教 科 書 で は じ ゅ う ぶ ん 場 面 を 設 定 し た 上 でpat・ ternpracticeを 行 わ せ,さ ら に 意 味 の 確 認 ま で さ せ て い る 。 1970年 代 か ら ヨ ー ロ ッ パ を 中 心 に し てD. A.Wilkins,J.A.vanEkな ど に よ っ て 唱 導 さ れ たNotiona1-FunctionalApproachが 今 や 我 が 国 で も盛 ん に 研 究 ・実 践 さ れ つ つ あ る 。 こ れ や そ の 他 の 教 授 法 を 教 科 書 作 り に 導 入 す る 試 み が 随 所 に 見 ら れ る よ う で あ る 。 (1)実 生 活 の あ る 場 面 で の 決 ま っ た 言 い 方 の 紹 介 一CのLet'sTalk,EのLet'sSpeak English,Sの 「こ ん な と き ど う 言 う か 」 (2)実 用 英 会 話 Tは3年 の 付 録 で8つ の 場 面 で の 会 話 表 現 Wは 厂英 語 の 休 憩 室 」 で (3)RolePlaying 本 文 の6割 以 上 を 占 め て い る 対 話 文,「 練 習 」 の 中 の 対 話 の 部 分 で 生 徒 同 士 役 割 り を 決 め て こ の 訓 練 が じ ゅ う ぶ ん に で き る 。 (4)InformationGap 例 え ばC1年 の 第4課 第5課 の よ う に, Thisisa∼ を使 う 場 面 でinformationgapが う ま く利 用 さ れ て い る 。 (5)TotalPhysicalResponse 各 教 科 書 のclassroomEnglishで 。 (6)Phonics 発 音 とつ づ り の 関 係 の 指 導 に 。(例 え ばCの

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「つ づ り と発 音 」) VIお わ り に これ まで の検 討 の 結 果 言 え る こ とは,す べ て の 教 科 書 が 「言 語 活 動 」 を活 発 化 させ る手 だ て を積 極 的 に採 り入 れ て い て,教 師 が様 々 な 困 難 な状 況 の 中 で も 「言 語 活 動 」 を全 生 徒 に行 わ せ るの に適 した 「言 語 材 料 」 を提 供 し て い る。 教 育 制 度 そ の もの に も関 わ る こ とで あ るが,今 後 中 学校 の 英 語 教 育 の活 性 化 を進 め る道 は授 業 時 数 の 増 加 と,「 個 別 化 」とい う こ とに な ろ う。 す なわ ち生 徒 ひ と りひ と りの 力 に応 じた 進 度 で 「わ か る」 「意 欲 の 湧 く」内 容 の モ ジ ュ ー ル 型 教 科 書 が,grammatical itemsとfunctionalitemsを 有 機 的 に融 合 し た モ ジ ュ ー ル を 中心 に編 まれ,進 度 別 小 グ ル ー プ 別 に,な る べ くnativespeakerと teamteachingの 形 で毎 日授 業 が行 え る よ う にな り,上 級 学 校 へ の 入 学 試 験 も主 に音 声 に よ る伝 達 能 力 を試 す もの に変 革 され る こ とで あ ろ う 。 昭 和62年10月1日 11J.A.vanEk:TheThreshold五evelノ わγ ModernLanguageLearninginSchools, 1985 12H.G.Widdowson:TeachingLanguage asCommunication,1979 13H.H.Stern:FundamentalConceptsof LanguageTeaching,1984 14」 ・Yalden:TheCommunicativeSyllabus, 1985 参 考 文 献 1文 部 省 「中 学 校 学 習 指 導 要 領 外 国 語 編 」, 1976 2文 部 省 「中 学 校 指 導 書 外 国 語 編 」,1978 3伊 藤 健 三 他 「実 践 英 語 科 教 育 法 」,1985 4垣 田 直 巳 他 「新 ・英 語 科 教 育 の 研 究 」,1986 5大 沢 茂 他 「現 代 の 英 語 科 教 育 法 」,1985 6池 永 勝 雅 他 「英 語 指 導 の 基 本 」,1984 7語 学 研 究 所 「英 語 教 授 法 事 典 」,1962 8A.W.ハ イ ル マ ン ・松 香 洋 子 監 訳 「フ ォ ニ ッ ク ス 指 導 の 実 際 」,1985 9D.A.ウ ィ ル キ ン ズ ・島 岡 丘 訳 注 「ノ ー シ ョ ナ ル ・ シ ラ バ ス 」,1984 10M.Finocchiaro,C.Brumfit:The Functional-NotionalApproach,1983

参照

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