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自己株式取得規制緩和の法理

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Academic year: 2021

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自己株 式取得規制緩和 の法理

Legal

Principles

of Deregulations

on the Acquisition

of Treasury

Stocks

Hideto Yoshida

The Commercial Law prohibits the acquisition of treasury stocks in principle . But, prohibitions were relaxed. Why were prohibitions relaxed ? What were aims of deregulations

? There are many legal problems on the acquisition of treasury stocks .

This paper studies these legal problems and compares with the management on the acquisition of treasury stocks in U. S: A. . I want to make clear the future as it ought to be on the acquisition of treasury stocks in Japan.

1.は じ め に 平 成6年 の商 法 改 正 にお いて 、 自己株 式 の 取 得 規 制 が 緩 和 され た。 しか し、 自己株 式取 得 規 制 をめ ぐる論 点 は 多々 あ る。 米 国 と 日本 に お け る 自 己株 式 の 取 扱 い の 違 い を比 較 検 討 し、 規 制 緩 和 の 必 要 性 が あ っ た のか 。 自己株 式 取得 をめ ぐる種 々 の 法律 上 の論 点 、 つ ま り、財 源 規 制 の あ り方 や 取 得 手 続 規 制 、取得 自 己株 式 の処 分 等 の 諸 問題 に つ い て論 述 し、 さ らに 、会 計 上 お よび 税 法 上 の 問 題 点 に つ いて も論 考 し、 経 営 判 断 と取締 役 の責 任 を明確 化 し、 自己株 式取 得 規 制 の あ り方 を考 察 す る こ とが 本 稿 の 目 的 で あ る。 2.自 己株 式 の 取 得 ・保 有 規 制 緩 和 の 必 要 性 商 法210条 は会 社 に よ る 自 己株 式 取 得 を禁 止 して い る。 設 立 ま た は新 株 発 行 の 際 に会 社 が 自己 株 式 を引 き受 け る こ とは理 論 上 当 然 に 認 め られ ない が 、 有 価 証 券 と して既 に成 立 して い る株 式 を 取得 す る こ とは 、 そ れ が 自 己の株 式 で あ って も、理 論 上 不 可 能 で は な い(注1)。 そ の立 法 趣 旨 と して、 会 社 が有 償 で 自 己株 式 を取得 す る こ とは、 株 主 に対 す る出 資 の 払 い戻 し とな り、会社資産 の充 実 を害 し、株 主 や 会 社 債 権 者 の 利 益 を害 す るお それ が あ る こ と、会社の 自己株式取得 によ り、 会 社 に株 式 を売 却 す る株 主 と売 却 しな い株 主 との 間 に機 会 の不 均 衡 を もた らす。 すなわ ち、買付 価格 が 実 価 よ り も高 くて も低 くて も売 っ た株 主 と売 らなか っ た株 主 の どち らか が損 を し、株主平 等 の 原 則 に 反 す るお それ が あ る こ と、 自 己株 式 の 売 買 に よ り個 人 的 利 益 追 求 に よ る不 当 な投 機 や

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株 価 操 作 が行 わ れ 、株 主 や 一 般 投 資 家 の利 益 が 害 され るお それ が あ る こ と、 自己株 式 の 取 得 が 会 社 支 配権 を維 持 す る 目的 で 議 決 権 を利 用 す る と きは 、株 主 お よ び会 社 債 権 者 の 利益 が 害 され るお そ れ が あ る こ と等 が あ げ られ よ う(注2)。 こ れ に対 し、 米 国 で は、 デ ラ ウ ェア 州 会 社 法 、 ニ ュー ヨー ク州 会 社 法 等 で は 自 己株 式 の 保 有 (金庫 株)を 認 め 、 自 己株 式 の 出 し入 れ を 自由 とす る もの で あ る。 他 方 、 カ リフ ォ ル ニ ア 州 会 社 法 、 模 範 事 業 会 社 法 等 で は、 自己株 式 の取 得 を利益 配 当 と と もに株 主 へ の分 配 と位 置づ け 、 取 得 した株 式 は 消却 す る こ と とされ て い る。 また 、 ヨー ロ ッパ に お い て は 、 わ が 国 と同 様 に、 原 則 禁 止 、 例 外 許容 の ス キー ム を採 用 して い る。 今 回 の 商 法 改 正 に よ り、 自己株 式 取 得 を 自由 に し た な ら ば、 上 述 の弊 害 が 現 実 化 して くる わ け で あ るが 、 そ の よ う な弊 害 の生 じや す い 自己株 式 の 取 得 が 、 ど う して緩 和 の 方 向 へ 転 換 す る こ と に な っ た の か 。 それ は、 バ ブ ル経 済 時 に お い て エ ク イ テ ィ フ ァ イ ナ ン ス が 活 発 に 行 われ た結 果 、 株 式 の発 行 数 が 過 剰 に 増 加 し、 株 式 数 の 需 給 の バ ラ ン ス を欠 く会 社 が 増加 す る と とも に、 わが 国 の企 業 と海 外 との 商 取 引 が 増 大 して い く中 で 、 一 層 の 国際 化 に対 応 して 、 諸 外 国 の 法 制 との調 和 を 図 る必要 性 が 従 前 に も増 して高 ま って き た等 の 会 社 制 度 を め ぐる最 近 の社 会 経 済 情 勢 お よ び会 社 の業 務 の 運 営 の 実 態 に鑑 み、 株 式制 度 の 運 営 の 一 層 の適 正 化 お よび 円 滑 化 を図 る ため 、 取 得 に 伴 う弊 害 を防 止 す る こ とが で き る限 りに お い て 、 自 己株 式 の取 得 規 制 を緩 和 して 、 企 業 の活 動 の 自由 を拡 大 し よ う とす る理 由 に よ る(注3)。 か ね て よ り、 経 済 界 か らの要 望 を受 け て 、 法務 省 は 自己株 式 取得 お よび 保 有 に関 す る商 法 上 の 規 制 の 見 直 しをす べ く、平 成5年1月28日 付 で 「自己株 式 の 取得 お よ び保 有 規 制 に 関 す る問題 点 」 を公 表 した 。 この 問題 点 の 中 で 、規 制 緩 和 の 必 要 性 につ い て経 済 界 か ら主 張 され て きた要 望 事 項' が 次 の8点 に ま とめ られ て い る。① 株 主 へ の 利益 還 元 の 充 実 、② 従 業 員 持 株 制 度 の運 営 の 円 滑 化 、 ③ ス トッ ク ・オプ シ ョン制 度 の 利 用 、 ④ 余 剰 資 金 の よ り適 切 な 運 用 、 ⑤ 企 業 買 収 へ の対 応 策 、⑥ 株 式 需 給 の 適 正 化 、 ⑦ 株 式 の不 当 な低 落 へ の 対 応 策 、 ⑧ 株 式相 互 持 ち合 い 解 消 の受 け皿 、 まず 、 ① の 株 主 へ の利 益 還 元 とは 、 自 己株 式 の取 得 の結 果 、社 外 株 式 数 が 減 少 し、 こ れ に よ り 一株 当 た り利 益 等 の株 価 指 標 の 向 上 に よ る株 価 の上 昇 が期 待 され、 株 主 へ の キ ャ ピ タ ル ゲ イ ンに よ る利 益 還 元 を行 うこ とが で き る と一 般 に説 明 さ れ て い る。 これ に 対 して は、 自己株 式 の 取得 に よ り社 外 株 式 数 は減 少 す るが 、他 方 、 会社 か ら 自己株 式 に対 応 す る金 銭 が 流 出す る こ とか ら、 自 己株 式 の 取 得 は、 理 論 上 は 、株 価 に とっ て 中立 で あ る との指 摘 もあ る と こ ろ で あ る。 また、 配 当 可 能 利 益 が 自己株 式 の取 得 に使 わ れ る結 果 配 当金 が減 少 す る可 能 性 も あ る。 しか し、 日本 の会 社 は 一 貫 して 株 主 を軽 視 して きた 。 その 実 態 は い ま も変 わ っ て い な い 。 利 益 還 元 をす る の な ら、 成 長 性 が 落 ち た会 社 は 内部 留 保 ば か りせ ず 、 利 益 を もっ と配 当 に 回 す べ き で あ る(注4)。 こ の 内部 留保 は 法 の 強 制 に基 づ か な い 、会 社 が 自治 的 に定 款 また は株 主 総 会 の 決 議 に よ り積 み 立 て る準備 金 で あ り、 「自治 的 に 」 とい う名 の も と、 会 社 の放 恣 に 流 さ れ る可 能 性 が あ る。 特 に横 並 び安 定 配 当政 策 を とっ て い る 日本 の 企 業 に お い て は、 余 剰 利 益 は別 途積 立 金 や 繰 越 利 益 と して過 度 に 内 部 留 保 され る可 能 性 が 十分 あ る と考 え られ る(注5)。 この よ うに 、 株 主 へ の利 益 還 元 の 充実 とい うニ ー ズが 経 済 界 か ら出 され た こ とにつ い て疑 問 を感 ぜ ざ る を得 な い。 ② は 、 現 行 の従 業 貝 持 株 制 度 の 運 用 上 の 問 題 点 と して 、従 業 員 持 株 会 に よ る株 式 の 買付 け が 毎 月 定期 的 に行 われ るこ とか ら、 そ れ が 株 価 の定 期 的変 動 要 因 とな って い る こ とが あ げ られ 、 これ を避 け る ため 、会 社 が 自 己株 式 を分 散 して 買 い付 け 、これ を従 業 員 持 株 会 に譲 渡 す る こ とに よ り、 そ の 運 営 の 円 滑 化 を 図 る とい う もの で あ る。 従 業 員 の福 利 厚 生 の た め に 従 業 員 持 株 制 度 の運 営 の

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円滑 化 を図 る とい う こ とは 勧 め られ て よ いが 、 株 価 が 低 い と きに会 社 が 自社 株 を買 った つ も りで も実 際 に は も っ と値 下 が りす る こ とが あ る。 ま た、 持 株 会 は 、 自社 株 の 買 付 け に伴 う持株 会 の代 表 者 の 恣 意 を排 除 す る と と もに、 自社株 の 買 付 け が証 券 取 引 法 の禁 止 す る内 部 者 取 引 に 該 当 しな い よ うに す る ため に、 持 株 会 の規 約 で定 め られ た毎 月一 定 の 日に そ の 月 の 拠 出 金 と奨励 金 を も って機 械 的 に 買 付 け を行 っ て い る。 しか し、 会 社 が 自己株 式 を分 散 して 買 い付 け るか ら とい って 、 そ の 恣 意 性 は 排 除 され る わけ で は な い と考 え る。 なぜ な ら、 取得 す る こ とが で き る 自己株 式 の種 類 、 総 数 お よび 取 得 価 額 の 総 額 が 定 め られ た と して も、 そ れ は株 主総 会 が 取締 役 会 な い し代 表 取締 役 に 対 して 、 その よ うな 自己株 式 の取 得 を授 権 した こ と を意 味 す る と解 され る。 した が っ て 、 そ こで 授権 され る枠 の 中 で、 どの 時 期 に ど の程 度 自 己株 式 を取 得 す るか は、 取 締 役 会 な い し代 表 取締 役 の 経 営 判 断 に委 ね られ た もの で あ る か ら で あ る(注6)。 それ ゆ え、 株 価 の定 期 的 な変 動 要 因 を除去 す る た め に は 、 持 株 会 が 分 散 し て 買付 け を行 うな どの運 用 の工 夫 で足 り、 自己株 式 の取 得 をあ えて 認 め るほ どの 必 要 性 は な い よ うに 思 われ る。 ③ の ス トッ ク ・オ プ シ ョン制 度 は、 会 社 役 貝 、 幹 部 社 員 等 の会 社 に 対 す る貢 献 を 図 る ため に、 役 員 、 幹 部 社 員 等 に 自己株 の買 取 権 を付 与 す る制 度 で あ り、 米 国 で行 わ れ て い る もの で あ る。 今 回の 商 法 改 正 で は こ の制 度 の ため の 自 己株 式 取 得 ・保 有 は 認 め られ な か っ た。 現行 商 法 上 、 新 株 発 行 に よ っ て は ス トッ ク ・オ プ シ ョン制 度 の た め の 手 当て が で きな い た め、 自 己株 式 を利 用 す る必 要 が あ る と主 張 され て い る。 しか し、 新 株 発行 制 度 を整 備 す れ ば、 十 分 で あ る との 議 論 も あ る。 他 方 、 特 に 役 員 等 に対 す る ス トッ ク ・オ プ シ ョン制 度 は、 企 業 の短 期 的利 益 志 向 の 経 営 を助 長 しか ね な い(注7)。 ま た、 わが 国 に お い て 、役 員 報 酬 の 他 に イ ン セ ン テ ィ ブ を与 え る必 要 性 に つ いて 疑 問 を感ぜ ざ る を得 な い。 ④ に つ い て は 、余 剰 資 金 返却 の 必 要 な場 合 が あ り うる と して も、 そ の 方 法 は い わ ゆ る 自 己株 式 取得 に 限 られ るわ け で は な い。 商 法212条 が 定 め る株 式 の 消 却 は、 正 に株 主 へ の 出 資返 還 の 制 度 と して 設 け られ た もの で あ る し、 利益 配 当 に よ っ て返 却 す る こ と もで き る。 米 国 に お い て は これ ら を、会 社 財 産 の株 主 へ の分 配 の問 題 と して、共 通 の法 的 ルー ル に服 さ しめ る方 向 に あ る(注8)。 しか し、 会 社 法 的 に 見 て も っ と も問題 が 少 ない の が 、 利 益 配 当 に よ る会 社 財 産 の株 主へ の分 配 で あ る。 す べ て の株 主 に平 等 な 配 当 が な され 、株 式 の 売 買 を行 わ な い ため 、 株 価 操 作 や 株 式 買 占 め 防衛 策 に利 用 され る恐 れ もな い。 これ に対 して株 式 消 却 と自 己株 式 取 得 は、 そ の 方 法 に よ って は いず れ も会 社 債 権 者 の利 益 の侵 害 、株 主 平 等 原 則 違 反 、株 価 操 作 、 株 式 買 占め 防衛 策 へ の 利 用 、 とい っ た 問題 を抱 え て い る。 利 益 配 当 以外 の会 社 資産 の分 配 ・返 却 を禁 じる こ とは 、 可 能 で あ れ ば もっ と も望 ま しい解 決 策 と もい え よ う(注9)。 ま た、 自己株 式 は、 会 社 の業 績 が 良 い と資産 価 値 が 増加 し悪 い と減 少 す る もの だ か ら、 リス ク 分 散 とい う投 資(余 剰 資金 の運 用)の 目的 に照 らす と、 自 己株 式 は会 社 が 保 有 す るに もっ と も適 しな い投 資 物 件 で あ る(注10)。 そ れ ゆ え、 自己株 式取 得 は 、会 社 の 株 価 が 実 態 以 下 に下 落 し、他 方 、 有 効 な投 資 事 業 分 野 が見 当 た らな い と き、 余 剰 資金 利 用 の ため 、 自 己株 式 取 得 を した い とい うニ ー ズが 生 まれ るの も理 解 で き るが、 余 剰 資金 の よ り適 切 な運 用 方 法 と考 え る に は合 理 的 で は ない と思 う。 ⑤ の 企 業 買 収 へ の対 抗 策 と して 自己株 式 取 得 を認 め る こ とは 、 結 果 的 に は経 営 権 の維 持 につ な が る こ とを認 め る こ とが 適 切 か ど うか とい う点 に加 え、 市場 価 格 に よ り自 己株 式 を購 入 す る場 合 で あ って もそれ が 高 騰 して い る の で あれ ば、 対 抗 策 が成 功 し市場 価 格 が 下 落 す る こ とに よ り会 社

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財 産 の健 全 性 を害 す る恐 れ が あ る とい う問題 が あ る。 ま た、 株 式 を買 い 集 め た乗 っ取 り屋 か ら安 易 に 高値 で 自 己株 式 と して株 を引 き取 る こ と は、 会 社 の財 務 の健 全 性 を害 し、 他 の株 主 に 損 害 を 及 ぼす とい う弊 害 が 大 き い と考 え られ る。 しか し、 会 社 の重 大 な 損 害 の 発 生 を防 止 す るた め に 必 要 な場 合 に は 、 自 己株 式 の 取 得 が 支 配権 の維 持 につ なが る こ とに な って も、 企 業 買 収 へ の対 抗 策 と して 自己株 式 を取得 す る こ と を認 め るべ き場合 が あ る(注11)。 しか し、 改正 商 法 は 、 公 開 会 社 に は 市場 に お け る取 得 と公 開 買付 け しか 認 め な い の で、 買収 側 か ら相 対 で株 式 を買 い 取 る こ とは で きな い 。 ま た、 公 開 会 社 に は 、使 用 人 に 譲 渡 す る場 合 以外 は 自 己株 式 の保 有 を認 め な いの で、 こ の方 法 は と る こ とは で きな い 。 わが 国 で は本 当 に そ の 会 社 の買 収 を意 図 す るの で は な く、 い わ ゆ る 「高 値 肩 代 わ り」 を求 め る 目的 の 株 式 買 い集 め が ほ とん どだか ら、 会 社 支 配 の 公 正 よ り も、 会 社 の 損 害 の 側 面 が 重 視 され る べ き で あ る(注12)。 この よ うに、 企 業 買 収 防 止 の ため に、 株 価 が 高 くて も 自 己株 式 を取 得 す る こ とは 、資 本 の 空 洞 化 を もた らす 。米 国 で は 、 企 業 買 収 が株 主 に と って 有 利 で あ れ ば受 け 入 れ るが 、 日本 の よ うに、 た だ 経 営権 維 持 の ため に企 業 買収 を逃 れ よ う とす るの は 、株 主 の 利 益 に反 す るの で は なか ろ うか 。 ⑥ の 株 式 需 要 の適 正 化 に つ いて は、 株 式 を過 大 に 発行 した ため に 、 流 通株 式 数 が 増 大 して、 株 価 の 形 成 に悪 影 響 を及 ぼ す と と もに、 配 当 コス トの 負 担 が 増 大 した場 合 に は 、 これ を解 消 す るた め に 、 自 己株 式 を取 得 す る こ とが その 方 策 の一 つ と して考 え られ る。 こ の 方 策 は 、 結 局 の とこ ろ 発行 会 社 側 が 会 社 の 資金 調達 コス トの 面 か ら考 え た もの で あ る(注13)。 しか し、 この 解 決 策 と し て は 、 株 式 消 却 で対 処 す る こ とが で き、 株 価 操 縦 の 恐 れ も あ る こ とか ら、 自己株 式 取 得 に よ らな い で 、 株 式 の需 給 の調 整 は 市 場 原 理 に委 ね るべ きで あ る と考 え られ る。 ⑦ に つ い て は、 株 式 市 場 が 企 業 の 将 来 に対 して 悲観 的 で株 価 が 低 す ぎ る場 合 に 、 企 業 が 自 らの 資 金 を用 い て価 格 が低 迷 して い る 自 己株 式 を買 い戻 す こ とは、 わが 社 の将 来 は 、 株 式 市 場 が 考 え る よ りも明 る い とい う強 い メ ッセ ー ジ とな り、 株 式 市場 の 悲 観 が 修 正 さ れ れ ば株 価 が 上 昇 す る と い う こ とで あ る(注14)。 株 価 の 不 当 な低 落 に よ り会 社 、 株 主 さ らに は投 資 家 が 重 大 な損 害 を被 る こ とは あ りう る こ とで あ り、他 に 有効 な手 段 が な け れ ば、 自己株 式 の 取得 に よ っ て対 抗 す る こ と も考 え られ る。 しか し、 何 を も っ て不 当 な低 落 とす るの か の 判 断 が 恣 意 的 に な る可 能 性 が あ り、 相 場 操 縦 の弊 害 を惹 起 す る可 能 性 が あ る。 株 価 は 、 市場 原 理 に 委 ね るべ きで あ り、 公正 な証 券 市 場 に お い て価 格 が 形 成 さ れ て い る以 上 、 そ の価 格 は公 正 適 正 な もの で あ る と考 え るべ きで ある 。 株 価 が 不 当 に 下 落 した の か ど うか に つ い て は、 まず 、 企 業 の 実体 を市 場 に 開示 すべ きで あ る。 開 示 後 、 必要 が あ るな ら、 株 式 の 消 却 で対 処 す る こ と もで き る。 ⑧ の株 式 相 互 保 有 を解 消 させ るた め の 受 け 皿 につ い て は 、株 式相 互保 有 を任 意 に解 消 した 際 の 受 け 皿 と して 企 業 の選 択 肢 の一 つ と して 加 え た い とい う以上 の 意 味 を持 つ もの で は な い(注15)。 相 互保 有 の 規 制 は据 え置 い た ま ま、任 意 の 解 消 を容 易 にす るだ め に 自 己株 式 取 得 ・保 有 の規 制 を 緩 和 す るの で あれ ば 、 企 業 の選 択 肢 が 増 え るだ け で、 相 互 保 有 が解 消 に 向 か う とい う保 証 は な い (注16)。 そ れ ゆ え 、株 式相 互保 有 の 問 題 は、 自己株 式 取得 と切 り離 して考 え るべ きで あ る と思 う。 以上 、 経 済 界 か らの 要 望 は、 他 の 方 法 に よ る実 現 の 可 能 性 を検 討 すべ き で あ る ものや 、 あ るい は そ もそ も その よ うな 目的 の た め の 取得 に は 正 当性 が 認 め られ な い もの が 多か っ た よ うに思 わ れ る。 結 局 改 正 法 は 、 従 業 員 持 株 制 度 の 円 滑な 運 用 を行 うため の選 択 の 可 能 性 を与 え る ため に、 使 用 人 に譲 渡 す るた め の 取 得 と保 有 を一 定 限 度 で 認 め る と と もに、 消 却 の た め の 取 得 の一 形 態 と し

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て、 特 に 目的 を限定 す る こ とな く定 時総 会 決 議 に基 づ き利 益 に よ る消 却 を行 うた め の 買 入 れ を認 め た。 ま た、 閉鎖 会 社 につ い て、 そ の株 式 に必 要 な 限度 で流 通 性 を もたせ るた め に 、 そ の株 式 の 譲 渡 に つ き譲 渡 制 限が 定 め られ て い る会 社 で株 式 の 譲 渡 の承 認 請 求 が あ っ た場 合 に会 社 が 買 受 人 とな る こ とに よ る取 得 お よ び相 続 人 か ら買 い受 け る ため の 取 得 も認 め られ た 平 成6年 改 正 商 法 施行 後 の 最初 の定 時株 主 総 会 で は、自社株 買い実施 の機運 は広が らなか った。 そ の理 由 は 次 の 通 りで あ る。 まず 、 自社 株 買 い は 、本 来、キャ ッシュ ・フローが豊かで将来に不 安 の な い優 良企 業 が実 施 す る もの で あ るが、 現 在 の企 業 収 益 環 境 で は こ う した 日本 企 業 が 限 られ て い る こ とで あ る。 次 に企 業 の側 で は、 企 業 規 模 、利益額 の拡大 を至上 目的 として追求す る成長 志 向 一 辺 倒 の経 営 理 念 がや は り根 強 い こ とで あ る。 一 方 、 資本市場や 、広 く産業社会 の中で も、 資本 効率 重視 の 経営 とい う コンセプ トが まだ幅広 く受 け 入れ られ て いな い こ とが挙 げ られ る(注17) この よ う に 自 己株 式 取 得 は、 企 業 の 選 択 肢 が 増 え た とい う点 に お い て は意 義 が 認 め られ るが 、 現状 で は 、 企 業 に 定 着 す るか ど うか 、 そ して 、 商 法 改 正 に よ り規 制 を緩 和 す る必 要 性 が あ っ たか ど うか疑 問 で あ る。 3.法 律 上 の 問 題 点 (1)財 源 規 制 の あ り方 会 社 が 取 得 で き る 自己株 式 の 取得価 額 の 総 額 は 、 貸 借 対 照 表 上 の 純 資 産 額 か ら商 法290条1項 各 号 の 金 額 の合 計 額 を控 除 し(こ の額 ほ 配 当可 能 利 益 に相 当 す る)、 さらに定時総会 において利 益 よ り配 当 し も し くは 支 払 う もの と定 め ま た は 資 本 に 組 み 入 れ た 額(商 法293条 の2)の 合 計 額 も控 除 した額 を超 え る こ とが で きな い。 こ の よ うに 取得 財 源 が 配 当可 能 利 益 か ら別 途処 分 額 を除 い た額 に制 限 され るの は、 自己株式の取得が資本充実維持 の原則に反 し、会社 の財産 的基礎 を危 う くす る恐 れ が あ るか らで あ る。 一 方、 総 会 決 議 時 以 後 に 会社 の 財務 状 態 が 悪 化 して い た場 合 の会 社 債 権 者 の保 護 を図 る必要 が あ る。 そ こで 、 改 正 法 は 、 中 間 配 当 の場 合 に相 当 す る規 制 を置 き、 その営業年度末 に会社 の純資 産 額 が 配 当 可 能 利益 の 算 出 に あ た り控 除 すべ き額 を下 回 るお そ れ が あ る と思 わ れ る場 合 に は 自己 株 式 の 取 得 を して は な ら な い とす る(商 法210条 の4第1項 、212条 の2第5項)。 こ の 規 制 は 、 決 算 期 末 に 配 当 可能 利 益 が ゼ ロ を下 回 る お そ れ が あ るこ とが予 測 され る場 合 に は 自己株 式 を買 い 受 け る こ とが で きな い とす る もの で、 二 重 の財 源 規 制 が加 え られ るこ とに な る。 米 国 で は、 いず れ の州 法 にお い て も自 己株 式 取 得 が 許 容 さ れ て い る が、 その財源規制 は、デ ラ ウェ ア 州 、 ニ ュー ヨー ク州 にお いて は、 す べ て の 剰 余 金 に よ る 自 己株 式 の取 得 を認 め て い る(注1 8)。 た だ し、 ほ とん どの 州 は、会 社 が支 払不 能 で あ る場 合 、 あるいはその取得 によ り支払不能 と な る場 合 に は 自 己株 式 の 取得 は 一切 認 め られ な い 旨 を明文 で規 定 す る(注19)。 カ リフ ォル ニ ア州 は・ 自己株 式 の 取 得 や 配 当 な ど を分 配(distribution)概 念 に組 み 込 み(注20) 、 会 社 か ら株 主 へ の現 金 ・財 産 の移 転 を同一 の基 準 で規 制 す る。 分 配 は、 留 保 利 益 か らの み な し う るが(注21)、 会 社 に留 保 利 益 が な い場 合 で も、 分 配 直 後 の資 産 総 額 が 負 債 総 額(資 産 負債 比率) の125%以 上 で、 か つ 流 動 資 産 が 流 動 負債(流 動 比率)の100%以 上 で あ れ ば分 配 で き る と規 定 (財政 状 態 基 準)す る(注22)。 ただ し、 この 両 基 準 を、 会 社 が 支 払 不 能 か 取 得 に よ り支 払 不 能 に 陥 る よ うな 場合 の 取得 を禁 じる支 払 不 能 基 準 に よ って 補 完 させ て い る(注23)。 ア メ リカ模 範事 業 会 社 法 で は 、 自己株 式 の 取得 や 配 当 な どに つ き分 配概 念 が 採 用 され 、支払不

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能 基 準 を規 定 す る と と もに 、分 配 直 後 の会 社 資産 総 額 が 負 債 総 額 お よ び残 余 財 産 分 配優 先 株 式 に 支 払 うべ き額 の合 計額 未満 とな る分 配 の 禁 止 を規 定(貸 借 対 照 表 基 準)し て い る(注24) ま た、 自 己株 式 取 得 の財 源 規 制 に つ いて は、 利 益 消 却 に よ る場 合 とそれ 以 外 の場 合 に よ り、 そ の 理 由 な い しは趣 旨 の点 で か な りの 差 異 が あ る。利益消却 のための 自己株式取得 の場合 には、会 社 が 対 価 を支 払 って 買 い受 け た株 式 は 消 却 に よ って 消 滅 す る。 した が って 、会社 が支 出す る株 式 の 買受 代 金 に 対 応 す る資 産 は存 在 しな い こ とに な るか ら、買受代金 の財源 が広義の資本 に含 まれ る と きは、 そ れ は ま さに 株 金 の 払 い戻 しに あ た り、資本充実 の原則 に反す る結 果 となる。 それゆ え、 資 本 減 少 の 手 続 き を と らず に な さ れ る株 式 消却 の 財 源 は 、本質的 に配 当可能利益 の範囲 内で あ る こ とが 要 請 さ れ るの で あ る(注25)。 これ に 対 して、 使 用 人 に譲 渡 す る ため の 自 己株 式 の 取得、 お よび 閉 鎖 会 社 の特 例(譲 渡 制 限株 式 に つ い て会 社 が 売 渡 請 求 を した場 合 ま たは 株 主 の相 続 人 か ら買 い 受 け る場 合)に よ り 自己株 式 を 取得 す る場 合 は 、 配 当 可 能 利 益 を超 え て行 う こ とが で き な い もの と され て い る が(商 法210条 の2第3項 、204条 の3の2第7項 、210条 の3第2項)、 取 得 し た 自己株 式 につ い て は 資 産 と し て の 価 値 が あ り、 讓 渡 す れ ば 対 価 の支 払 い を受 け る こ とが で き るか ら、 配 当 可 能 利 益 の 限 度 を超 えて 自 己株 式 を取 得 した か ら とい っ て、 た だ ち に 資 本 充 実 維 持 の 原 則 に 反 す る とい う こ とは い え な い(注26)。 また 、 使 用 人 に 譲 渡 す るた め に発 行 済 株 式総 数 の100分 の3を 超 え な い範 囲 で 、 自 己株 式 を取 得 す る こ とが で き る(商 法210条 の2第3項) 。 閉 鎖 会社 の 特 例 につ い て は 、株 主 の相 続 人 よ り買 い受 け て取 得 す る こ とが で き る 自 己株 式 の数 は 、会 社 が 売 渡 請 求 を して取 得 した 自己 株 式 の 数 と併 せ て発 行 済 株 式 総 数 の5分 の1を 超 え る こ とが で きな い(商 法210条 の3第1項) とい う数 量 規 制 も な され て い るの で 、 これ らの 場 合 に お い て は 、 自己株 式の取得財源 を配 当可能 利 益 を基 準 とす る合 理 性 が な い よ うに思 わ れ る。 しか し、 自己株 式 取得 に よ り会 社 財 政 の健 全 性 を害 す るお そ れ の あ る場 合 は、 取 締 役 は 自 己株 式 を取 得 して は な ら な い こ と を明 確 に すべ き で あ る(注27) 。 そ こで、 前述の よ うに、 米国の ほ とん どの州 で規定 され て い る衡 平法 上 の 支 払不 能 基 準 を採 用す べ きで あ る。すなわち、将来のキャッ シュ ・フ ロー を指 標 と して 資金 状 況 を考 慮 し、 会 社 が支 払不 能 で あ るか 、 あるいは 自己株 式取得 に よ り支 払 不 能 に陥 る よ うな場 合 の 自 己株 式 取 得 を禁 ず る基 準 で あ り、会社 債権者保護 の観 点か ら有 効 な もの で あ る と思 う(注28)。 ま た、 会 社 が 配 当 可 能 利 益 の範 囲 内 で 自己株 式 を取 得 す る こ とは、株主 の配当 を受け る利益 と 衝 突 す る可 能 性 が あ る。何 らの 制 約 が な い な らば 、極 端 な場 合 は、取締役 が配当可能利益の全部 また は 多 くを 自己株 式 の 取得 の ため に用 い る場 合 もあ る。 配 当 可 能 利 益 に よ り 自己株 式 を取得 す る こ と も、 利 益 処 分 の一 種 と して株 主 総 会 の承 認 を 必要 とす るが 、経営者支配 ない し同族支 配の 強 い会 社 に つ い て は 、 必 ず し も公 正 な決 議 が確 保 さ れ る とは 限 らな い 。 そこで、定款 で、 配当可 能 利 益 の何 割 以 内 に 限 って 、 自己株 式 の 取得 財 源 と して用 い るこ とが で き る等 の 規 制 をす る(注2 9)と い う方 法 もあ るが 、 私 見 と して は、 自己株 式取得 の 目的根拠 ・算定 基礎 の開示(特 に利益消 却 の 場 合)を 法 定 化 す る こ とに よ り合 理 的 な制 約 が な され る と思 う。 さ らに、将来の企業 内再投 資 の ため の任 意 積 立 金 の 計上 目的 の 根 拠 及 び算 定 基 礎 の 開 示 も法 定 化 す る こ とに よ り、 公 正 な利 益 配 当 が行 われ る の で は な い か と考 え る(注30)。 (2)取 得 手 続規 制 商 法 は、 株 主 総 会 の 決 議 を 自己株 式買 入 の た め の 一 般 的 な要 件 と して い る。 しか し、具体 的な

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消 却 の方 法 、 時期 、株 式数 等 まで すべ て総 会 決 議 で 決 め な け れ ば な らな いの か は、 一 つ の 問題 で あ る。 取 締 役 会 に も一 定 の 裁 量 が な い と機 動 的 な 自己株 式 の 取得 が で き な い とい う意 見 もあ ろ う が 、 あ ま りに裁 量 が大 きい と株 価 操 作 や 株 式 買 占め対 策 等 に 用 い られ る危 険 も大 き くな る。 また 株 主 総 会 に お い て決 定 す る趣 旨か ら して も、 い か な る 目的 で 、 どれ だ け の 金 額 を使 用 して 、 一 株 当 りい くら以 下 の取 得 価 額 で 、 い か な る種 類 の株 式 を取得 す るか とい った 重 要 な こ とは、株主総 会 で決 定 す る必 要 が あ ろ う(注31)。 総 会 決 議 を取 得 要 件 とす るこ とは、 自己株 式 の取 得 に伴 い生 ず る支 配権 の移 転 ・固定 化 とい う 支 配 の 公 正 に対 す る危 険 に対 して有 効 な対 処 方 法 で もあ る。 な お 、普 通 決 議 を要 件 とす る場 合 に は、特 別 決 議 を要 件 とす る場 合 よ り も 自己株 式 の取 得 が 支 配 権 の移 転 ・固 定化 の 手 段 と して 用 い られ る危 険 が 増 大 す る(注32)、 す な わ ち、 株 主 総 会 決 議 は、 株 主 全 員 が 取得 の 意 思 決 定 に 参 加 す る機 会 を与 え られ るが 、 特 別 決 議 は、 よ り多 くの株 主 の意 思 が 反 映 され るか らで あ る(注33)。 こ れ に 対 して は数 量 規 制 を課 す こ とが 有 効 な対 処 方 法 で あ る が、 改正 法 は 、使 用 人 に 譲 渡 す る ため の 取得 に つ い て は発 行 済 株 式 総 数 の3%以 内、 閉 鎖 会 社 の特 例 に よ る 自己株 式 の 取 得 数 は発 行 済 株 式総 数 の5分 の1以 内 とい う数 量 制 限 を課 す が 、 総 会 決 議 に基 づ く利益 に よ る消 却 の ため の取 得 に つ い て は 数 量 規 制 は課 して い な い。 この 利 益 消 却 に よ る取 得 の場 合 は 、 取得 し た らす ぐに消 却 す る とい う こ とで、保 有 に伴 う弊 害 が ない の で、 取 得 数 の制 限 は 置 か な くて も よ いで あ ろ う と い う考 え 方 で あ る。 しか し、 自 己株 式 の 大 量 取得 が株 価 に 影響 を及 ぼ す とい う証 券 取 引 法上 の 問題 だ け で は な く、 支 配 の公 正 とい う商 法 上 の 問題 に 関 わ る、 また 、 取得 に よ り会 社 の基 礎 構 造 に か な りの 変 動 を も た らす 場 合 もあ りう る(注34)。 さ らに 、会 社 と して は 株 主 の配 当 に 回せ る利益 で 消 却 す るの だ か ら、 そ れ な りの理 由 を開示 す る必要 が あ る と思 わ れ る。 それ ゆ え、 前 述 の ご と く、 自 己株 式 取 得 の 目的 根 拠 ・算定 基礎 の 開示 を法 定 化 す る こ とに よ り合 理 的 な制 約 が な さ れ るの で は な い か と考 え る。 また、1回 の買 付 け株 式数 が 多 い場 合 は、 相 場 操 縦 に利 用 さ れ る可 能 性 が あ るば か りか 、 市 場 に混 乱 が生 じ る原 因 とな る。 そ こで、1回 の 取得 株 式 数 を制 限す る必 要 もあ る(注35)。 次 に、 自 己株 式取 得 に伴 う株 主 間 の 問題 につ い て検 討 す る必 要 が あ る。 会 社 が株 主 の一 部 か ら だけ 株 式 を買 い取 る こ とは株 主 間 に不 平 等 を もた らす 。 す な わ ち、 会 社 が 取 得 に際 し実 価 以 上 を 支 払 え ば、 残 っ た株 式 の価 値 が希 釈 化 され る。 逆 に対 価 が 実価 以 下 で あれ ば 、 残 余 の株 式 の価 値 が 高 ま る。 自己株 式 の取 得 は こ の よ うな点 につ い て株 主 平 等 の 原 則 に対 す る侵 害 が 問題 とな る。 しか し、 不 利 益 を受 け る株 主 が 同意 す れ ば、 平 等 原則 違 反 に 問 わ な くて も よ いの だが 、 総 会 決 議 とい う意 思 決 定 に参 加 す る機 会 が全 株 主 に与 え られ る こ と と、決 議 で 定 ま る 内容 が 全 株 主 に平 等 で あ る こ と とは決 して 同 じで は な い。 株 主 平 等 原 則 が 多数 決 の濫 用 を抑 え る役 割 を担 うこ とを考 えれ ば 明 らか で あ ろ う。 も う一 つ 、 残 存 株 主 が 不 利 益 を受 け るの は 、会 社 が 高 値 で 自 己株 式 を買 付 け る場 合 で あ る。 安 値 で取 得 す れ ば、 不 利 益 を受 け るの は 手放 す株 主 の 方 で あ る。 利 益 を得 る 側 の 残 存 株 主 の 同意 を擬 制 して こ の結 果 を正 当化 す る こ とは で きな い(注36)。 そ こ で改 正 法 は、 公 開株 式 につ い て は、 市 場 取 引、 店 頭 取 引(商 法210条 の2第8項 、212条 の 2第4項)お び 公 開買 付(商 法212条 の2第4項 但 書)に よ る取 得 が 認 め られ て い る。 ま た、 非 公 開 株 式 に つ い て は、 相 対 取 引、 つ ま り特 定 人 か らの取 得 を株 主総 会 の特 別 決 議 が あ る とき に認 め る(商 法210条 の2第2項2号 、 第5項 、204条 の3の2、212条 の2第4項)こ とに よ り、 株 主 平 等 の 原 則 との 抵 触 を回避 す るこ とが な さ れ て い る。

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(3)取 得 自己株 式 の処 分 商 法211条 は 、 株 式 の 消 却 の た め に 自 己株 式 を取 得 した と きは 、遅 滞 な く失 効 手 続 を と り、株 式 を消 滅 させ なけ れ ば な らな い と規 定 して い る。 ま た 、 閉鎖 会 社 の 特 例 に よ り 自己株 式 を取得 し た と きは 、 会社 は、 相 当 の 時期 に これ を処 分 しな け れ ば な ら ない 。 た だ し、 使 用 人 に譲 渡 す る た め に 取得 した 自己株 式 に つ い て は、 買 い受 け た と きか ら6か 月以 内 に使 用 人 に譲 渡 す る こ とを要 す る。 閉鎖 会 社 の特 例 に お い て は、 そ の よ うな確 定 的 な期 限 は付 され て い な い。 定 款 で株 式 の譲 渡 を制 限 して い る会 社 に お い て は 、株 式 の 譲 受 人 を探 し出す の が 困 難 な場 合 もあ る こ と を考 慮 し て の結 果 で あ る(注37)。 こ こに い う相 当 な時 期 の処 分 とは 、 自 己株 式 の取 得 に伴 う危 険 を回 避 す るた め の 最 良 の時 期 をい い 、 遅 滞 な く とい う程 度 の迅 速 さ を意 味 せ ず 、 で き るだ け 早 い 適 宜 か つ 有 利 な 時 期 に処 分 す る こ とを意 味 し、 具 体 的 な 時期 ・方 法 は、 善 管 注 意義 務 に 基づ く取 締 役 の合 理 的 な判 断 に委 ね られ 、 その 違 反 に対 して は責 任 を負 う。(注38)。 次 に、 譲 渡 価 額 に つ い て検 討 し、 そ の あ り方 を考 察 す る。 従 業 員 持 株 会 へ の 譲 渡 の た め に 自 己 株 式 を取 得 す る場 合 、 取 得 した 自己株 式 を い く らで譲 渡 す るか に つ いて は改 正 法 に は特 に 規 定 が な い 。 この 場 合 、 そ の取 得 価 額 と譲 渡 価 額 の 関係 が 問題 とな り うる。 特 に、 取 得 価 額 よ り も時 価 が 高 くな っ た場 合 に 、取 得 価 額 で使 用 人 に譲 渡 で き るか に つ い て は、 会 社 が保 有 す る 自 己株 式 を 譲 渡 す る こ とは、 実 質 的 に は新 株 発 行 と同様 な効 果 を有 して い る と考 え られ るか ら、 時 価 よ りも 著 し く低 い価 額 で 譲 渡 す る とき に は 、 第 三 者 に 対 す る新 株 の 有 利 発 行(商 法280条 の2第2項) と同視 して 、 株 主 総 会 の特 別 決 議 を要 す る との考 え方 も成 り立 ち う るか らで あ る(注39)。 これ に 対 して は、 使 用 人 に 譲 渡 す る ため の 自己株 式 の 取得 は、 使 用 人 の福 利 厚 生 を図 る こ とを 目的 とす る もの で あ り、 実 際 問 題 と して取 得 後 の 時価 の 変 動 は予 想 で きな い か ら、 取 得 後 の譲 渡 を ス ムー ズ に行 うた め に は ほ とん ど常 に株 主 総会 の 特 別 決 議 を要 す る こ とに な って 煩 雑 で あ る こ と、 ま た 、新 株 発行 や 転 換 社 債 、 新 株 引 受権 附 社 債 の発 行 の場 合 も、 発 行 価 額 な い し転 換 条件 の 決 定 後 、 時価 が 上 昇 して も、 発 行 決 定 時 の 時 価 を基 準 と して 定 め られ た発 行 価 額 な い し転 換 条 件 で発 行 な い し転 換 す れ ば よい こ とな ど を勘 案 して 、 あ えて 特 別 決 議 を要 求 す る必要 は な い と考 え られ る。 そ こ で取 得 価 額 よ りも時 価 が 高 くな っ た 場合 に 特 別 決 議 を要 せ ず して 取得 価 額 で譲 渡 す る こ とは可 能 で あ る し、 取 得 価 額 よ り も時価 が低 くな っ た場 合 に は 時価 で 譲 渡 す る こ と も可 能 だ と し、 さ らに 、従 業 員 持 株 制 度 に対 し会 社 か ら支 払 わ れ る報 奨 金 な い し奨 励 金 につ い て 、 そ れ が 合 理 的 な 範 囲 の もの で あ れ ば 、 そ れ に よ って 取 得 価 額 な い し時価 を若 干 下 回 る よ うな こ とが あ っ て も問題 に な らな い と解 され る(注40)。 私 見 と して は、 奨 励 金 な い し は報 奨 金 と して合 理 的 な 範 囲 の デ ィ ス カ ウ ン トで あ れ ば 問 題 に な ら な い との解 釈 に つ い て 、この合 理 的 範 囲 とい う抽 象 的表 現 に 疑 問 を持 た ざ る を得 な い 。さ らに 、 会 社 が 一 定 割 合 の奨 励 金 を補 助 として 支 出 す る こ と 自体 、出 資 の 払 い戻 し と考 え る こ とが で き る。 ま た従 業 員株 主 の み が こ の よ うな奨 励 金 を供 与 さ れ る とL>う こ とは 、 他 の 株 主 との 関係 上 株 主 平 等 の 原 則 に 反 す る と考 え られ る(注41)。 ま た、 株 主 平 等 の 原 則 は 、 会 社 が 特 定 の株 主 か ら株 式 を 取得 す る場 合 だ け で な く、会 社 が 自 己株 式 を た とえ ば 特 定 の 株 主 に の み譲 渡 す る場 合 に も問 題 に な る(注42)。 した が って 、 時 価 にか か わ らず使 用 人 に 特 に有 利 な価 額 で 自己株 式 を譲 渡 しよ っ と す る と きは 、会 社 の 利 益 とな る理 由 を明 らか に し、 株 主 の判 断 を仰 ぐ必要 が あ る。 そ れ ゆ え、 商 法280条 の2第2項 を類 樋 用 して 糊1決 議 に よ る こ とを要 し・ 聯 役 は そ の 必 要'性につ い て 総 会 に お い て 理 由 を開 示 しな け れ ば な ら な い と思 う。 しか し、 株 価 が大 き く変 動 した 場 合 、 ま た、 従 業 員 持 株 会 に資 金 が 不 足 して い る場 合 等 、 会 社

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は従 業 員 に譲 渡 で きず 、保 有 し続 け る しか な い 。 この よ うに や む を得 な い事 由 で所 定 の期 間 内 に 従 業 員 に提 供 で き な い場 合 は、保 有期 間 の2倍 の 範 囲 内 で延 長 を認 め る決 議 をす る こ とが で き、 この決 議 を経 て い る場 合 は、 取 締 役 の 判 断 に よ って保 有期 間 の 延 長 を認 め るべ き で あ る(注43)。 (4)会 計 処 理 上 の諸 問題 自 己株 式 の会 計 処 理 につ い て は種 々 の論 点 が あ るが 、 まず 自 己株 式 の実 体 につ い て考 察 す る。 従 来 の 商 法 学 者 の通 説 は、 自己株 式 の有 価 証 券 と して の面 を強 調 して そ の 資産 性 を認 め 、 そ の取 引 も通 常 の 流動 資産 の 取 引 と同様 資産 取 引 と して会 計 処 理 をす れ ば足 りる と して い る。 こ れ に対 し、 会 計 学 者 の通 説 は 、 自己株 式 の実 体 で あ る会 社 対 株 式 の実 質 的 関係 を重 視 して そ の 資産 性 を 否 定 し、 そ の 取得 は 、 取得 の財 源 い か ん に かか わ らず、 実 質 上 は 資本 の 払戻 つ ま り実 質 上 の 減 資 で あ り、 そ の 売 却 は 資 本 の 増加 で あ るか ら、 そ の取 引 は 資本 取 引 と して会 計処 理 すべ きで あ る と して い る(注44)。 また 、バ レ ン タ イ ン に よれ ば、自 己株 式 は 未 発行 授権 株 式 と同 じ く、 現 に存 す る 資産 で は な く、 これ を売 却 す る こ とに よ って 資 産 を獲 得 す るた め に 利 用 され う る手 段 な い し可 能 性 にす ぎ な い。 そ して会 社 が 支 払 不 能 な い し破 産 の 状 態 に な れ ば 、 か よ う な手 段 と して 役 立 たず 、 債 権 者 に とっ て は 、 そ の 価 値 はゼ ロ で あ る。 この 意 味 に お い て これ を資 産 と表 示 す る こ とは、 債 権 者 を害 す る (注45)。 さ ら に、 自己株 式 の取 得 は、 利 益 配 当 ない し残 余 財 産 の分 配 と同 じ く、 実 質 上 は会 社 財 産 の分 配 な い し払 戻 で あ るが 、 資 産 として 表 示 す る こ とは、 そ の真 相 に 反す る(注46)。 しか し、 た とえ 資産 の部 に計 上 され る に して も、 臨 時 的 な もの にす ぎな い 。 ア メ リカ 法 の場 合 の よ うに取 得 さ れ る場 合 が 広 くか つ それ が 相 当長 期 に保 有 さ れ る場 合 と異 り、 わ が 現行 商 法 の 下 で は 自己株 式 を資産 の部 に計 上 す る こ とは、 そ れ ほ ど大 きな弊 害 で は な い(注47)。 そ れ ゆ え、 自 己株 式 は、 会 計 上 は 資本 の部 に お い て 自己 資本 額 か ら控 除 すべ き性 格 を有 す るが 、使 用 人 に 譲 渡 す る た め に また は 閉鎖 会 社 の特 例 に よ り取 得 して保 有 す る 目的 で 取得 され た 自 己株 式 は 、 長期 の 保 有 が許 され ず 、所 定 の期 間 の うち に処 分 す る こ とが義 務 づ け られ て い るの で、 あ えて 自 己株 式 の保 有 を資本 か ら控 除 す る実 益 は な い で あ ろ う。 した が って 、'自己 株 式 は 、 有 価 証 券 として の 資 産 性 とそ の 特 異 性 を考 慮 して 、 貸借 対 照 表 の 流動 資産 の部 に他 の 株 式 と区 別 して 表 示 され る(商 法290条1項5号 、 商 法 計 算 書 類 規 則12条1項 、 財 務 諸 表 等 規 則18条1項)。 その 評 価 は 、 他社 株 式 の 場合 と同 様 に 、 取 得 価 額 を原 則 と し、 時価 が これ よ り低 い とき は時 価 に よ る こ と もで き る。 しか し、 時 価 が 取 得 価 額 よ り著 し く低 い と きは、 時価 で記 載 しな け れ ば な らな い(商 法285条 の 6第1項 ・第2項 、 商 法285条 の2第1項 ・第2項)。 次 の 問 題 点 は、 自己株 式 の譲 渡 時 に発 生 す る譲 渡 差 損 益 の 会 計 処 理 で あ る。 譲 渡 損 益 が 経 常 的 で あ り、 か っ 金 額 も大 き くな い場 合 に は営 業 外 損 益 に計 上 す る こ とに よ り、 自己株 式 の保 有 が 流 動 資 産 項 目に計 上 す るこ と と会 計 上 の首 尾 一 貫 性 が 保 たれ る(注48)。 他 方 、 自己株 式 に 関 わ る一 連 の取 引 は会 計 上 は 資本 取 引 の性 格 を持 つ の で あ り、 譲 渡 損 益 は資 本 勘 定 を増 減 させ るべ き性 質 の もの で あ る。 しか し、 商法 上 特 段 の定 め が な い以 上 、 営 業 外 損 益 と特 別 損 益 の い ず れ に 計上 す るのか 、 また独 立 した科 目 を設 け て記 載 す るの か は、 そ れ ぞ れ の会 社 の実 情 に 応 じた会 計処 理 に 委 ね られ る こ とに な る(注49)。 また 、 利益 消 却 に よ る 自 己株 式 の 取得 の場 合 に お け る会 計処 理 に つ いて考 察 し なけ れ ば な ら な い 。利 益 消却 の ため に取 得 し た 自 己株 式 は遅 滞 な く株 式 失効 の 手 続 を し なけ れ ば な ら な い(商 法 211条)。 営 業 年 度 中 に利 益 消 却 の ため に取得 し た 自 己株 式 は、 その 営 業 年 度 中 に消 滅 して い る は

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ず で あ り、 通 常 は期 末 に保 有 され て い る こ とは な い。 仮 に期 末 に保 有 され て い る と して も、 遅 滞 な く株 式 失 効 の手 続 が され るべ き もの で あ るか ら、 資産 と して の 性 格 を認 め る こ とは で き な い。 したが っ て 、資 産 の 部 に計 上 す べ きで は な く、株 式 失 効 の手 続 が さ れ た の と同 様 の 処 理 を行 っ て 、 貸 借 対 照 表 に は 表示 し な い のが 相 当 で あ る(注50)。 しか し、株 式 失効 の 手 続 を行 っ て い な い の に 、 行 った と同 じ扱 い にす る の は事 実 に 反 す るか ら会 計 的 に は許 さ れ な い(注51)。 また 、 米 国 の 場 合 は、 留 保 利 益 の 範 囲 内 で 自 己株 式 の取 得 は 自由 で あ る。 そ して取 得 した 自 己 株 式 は 消 却 す る こ とが 多 い 。 そ れ に よ っ て 資本 金 が減 少 す るが 、 留 保 利 益 は減 少 しな い(利 益 消 却 で は な い か ら)。 そ して 必 要 が あ れ ば 、 新 株 を発 行 して 資 本 を調 達 す る。 わが 国 に お い て は、 発 行 した株 式 を買戻 して 消 却 す れ ば 資本 の 払戻 しな の に 、 利 益 消 却 は そ の実 態 を覆 い隠 して し ま う(注52)。 そ もそ も、 資 本 取 引 と損 益 取 引 区分 の 原 則 に したが っ て、 自己株 式 を会 社 が 取 得 し、 消却 して 減 資 を し た場 合 に は、 資本 金 と資 本 剰 余 金 とに チ ャー ジす るの が 本 来 的 で あ る。 自己株 式 の 取 得 価 額 の うち、 額 面 部 分 は 資 本 金 を減 額 す る の で あ るが 、 時価 発 行 に よ っ て い る株 式 を会 社 が 取 得 し た の で あ れ ば 、 そ の 時 価 発 行 の 際 に 資本 金 に組 み 入 れ られ た分 と資本 準備 金 に 組 み 入 れ た分 と に分 析 して 、 資 本 金 と資 本 準 備 金 と を減 額 す る。 しか し、 利 益 を も って 株 式 を消 却 す る た め に 自 己株 式 を取得 す るの で あ れ ば、 資本 金 は 減 額せ ず に、 資本 剰 余 金 を減 額 す べ きで あ るが、 商 法28 8条 の2は 、 株 式 払 込剰 余 金 、 減 資差 益 、合 併 差益 の 三 つ につ い て の み 資本 準備 金 とす る の み で 、 そ の 他 の 資 本 剰 余 金 を法 定 準備 金 に繰 り入 れ るこ と とは して い な い。 した が っ て 、 利益 を も っ て す る株 式 の任 意 消却 に つ い て は、 利 益 剰 余 金 を減 額 す る こ とにせ ざ る を得 な い(注53)。 わ が 国 の現 状 か らみ れ ば、 利 益 消 却 よ りも資 本 準 備 金 を財 源 とす る消 却 の ほ うが 行 わ れや す い で あ ろ う。 これ な ら払 込 資本 の枠 内 で あ るか らま っ た く問題 は な い 。 しか し、 そ れ に は 資本 準備 金 の使 用 につ い て の規 定(商 法289条)を 改正 し なけ れ ば な らな い(注54)。 それ ゆ え、 利 益 消 却 の た め に 取 得 した 自己株 式 が 、何 等 か の 理 由 で期 末 に保 有 され て い る場 合 は、 有 価 証 券 と して の 資 産 性 は ま っ た く認 め られ ない もの で あ り、 近 い う ちに 消 却 され る もの で あ るか ら、他 の 自己 株 式 と区別 して、 資本 の控 除 科 目 と して貸 借 対 照 表 資 本 の 部 に表 示 さ れ るの が 妥 当 で は な い か と考 え る。 (5)税 法 上 の 問 題 点 現 行 税 法 に お い て は 、 自 己株 式 の利 益 消 却 が行 わ れ る と、 株 主 が 配 当 を受 け た とみ な した課 税 が 行 わ れ る。 み な し配 当 課 税 は、 株 主 に対 して 現 実 に 金 銭 の分 配 が な い場 合 に も、 配 当が あ っ た もの とみ な して 課 税 が 行 わ れ る わ け だ が 、 利 益 消 却 とい っ た場 合 に 、 実 際 に株 主 に対 して経 済 的 利 益 が あ る と考 え るべ きな の か 、 課 税 の 適 正 を確 保 す る上 で本 当 に 必 要 な制 度 な の か検 討 す る必 要 が あ る。 自 己株 式 の利 益 消 却 に よ り、 発 行 済 株 式 総 数 は減 少 す るが 資 本 金 は不 変 で あ る こ とか ら、 残 存 株 式1株 当 た りの 資 本 金 額 が 増 加 す る こ とに な る。 その ため 、 消 却 した株 式 に 対 応 す る資 本 の金 額 の うち 消却 さ紅 な か っ た株 式 に対 応 す る部 分 の 金 額 が 配 当 とみ な され 、 さ らに、 会 社 か ら株 主 に対 し、 配 当 とみ な され た金 額 が 交付 され た もの とみ な さ れ る(所 得 税 法25条2項1号 、 法 人 税 法24条2項1号)。 な お 、 株 式 の 利 益 消 却 に 係 わ る み な し配 当 に 対 す る源 泉 徴 収 不 適 用 制 度 が 設 け られ て い る(租 税 特 別 措 置 法9条 の5九 ただ し、 こ の源 泉 徴 収 不 適 用 の 特 別 措 置 は 、 み な し配 当 を非 課 税 とす る もの で は な い の で、 配

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当の 額 が 年10万 円 を超 え れ ば支 払 調 書 等 の 提 出 が 必 要 とな る。 ま た 、 残 存株 主 は 、従 来 どお り、 残 存 株 主 につ い て取 得 価 額 の付 け 替 え計 算 を行 い、 その 取 得 価 額 を増額 させ る必 要 が あ る(所 得 税 法 施 行 令113条1項)。 な お 、 み な し配 当 は 通 常 の 受 取 配 当 と同 じ く受 取 配 当 の益 金 不 算 入 制 度 の 適 用 を受 け るこ とに な る。 この 資 本 金 の増 加 分 を配 当 とみ な して 配 当所 得 課 税 が 行 わ れ る。 これ は 利 益 の 積 立 金 が 資 本 に 組 み 入 れ られ た とみ な す た め で あ る。この 株 式 を売 却 し なか っ た株 主 に対 す るみ な し配 当課 税 は 、 現 金 の 流 入 が な い株 主 に 課税 が 生 ず る と い う点 で違 和 感 が あ り、 企 業 が 自社 株 買 い を躊 躇 す る一 っ の 原 因 とな っ て い る(注55)。 ま た、 利 益 消 却 の結 果 、1株 当 た りの 資 本 金 が 増 加 す るた め 、 株 主 に 経 済 的 利 益 が あ っ た とみ なす との見 解 に つ い て は 、 株 主 の 利 益 を形 式 的 に1株 当 た りの 資 本 金 の み で と らえ る の は適 当 で は な い で あ ろ う。 利益 消 却 の 場合 、 時 価 で買 入 れ を行 え ば 、1株 当 た りの 純 資 産 はか え っ て減 少 す る こ と もあ りう る。 た とえ、 残 存 株 主 につ い て の割 合 的 利 益 の 増 加 が あ る と して も、 この段 階 に お け る課 税 は 、 残 存 株 主 に とっ て所 得 が 生 じな い と こ ろに 課 税 す る こ とに な る。 した が って 、 も と も と分 配 が ない の に利 益 が あ っ た とみ なす こ と 自体 無 理 が あ る の で は な い か と考 え る。 また、 売却 した株 主 につ いて は、 市 場 か らの 自社 株 買 い の 期 間 中 に市 場 で株 式 を売 却 した株 主 は、 そ の株 式 が 企 業 に よ っ て 自社 株 買 い さ れ た の か 、他 の 投 資 家 に よ っ て購 入 され た の か判 別 が で きな い の で 、 み な し配 当課 税 で は な く通 常 の株 式 譲 渡 と して課 税 が 行 わ れ る。 公 開 買付 の場 合 は 、 応 じた株 主 の 特 定 が 可 能 な の で、 売 却 株 主 に もみ な し配 当課 税 が 行 わ れ る。 次 に 、 米 国 とわが 国 との税 制 の違 い を 比較 検 討 す る こ とに した い。 米 国 で は、 会 社 か らの 金銭 の分 配 が行 われ た時 点 で そ れ を受 け取 っ た株 主 へ の 課 税 が な され る。 そ の課 税 は 、分 配 が全 株 主 に平 等 に行 われ るか 否 か に よ り配 当課 税 か株 式 譲 渡 課 税 か が 決 め られ る。 全 株 主 に平 等 に行 わ れ る場 合 に は、 税 法 上 の利 益 が 存 在 す る か ぎ り、 配 当 課 税 とな る。 全 株 主 に平 等 で な く分 配 を行 え ば 、 二 重 課 税 の株 主 レベ ル で の課 税 は結 局 の と こ ろ株 式 譲 渡 課 税 とい う こ とに な る(注56)。 これ に対 して 、 わが 国 で は、 二 重 課 税 の株 主 レベ ル で の 課 税 は配 当課 税 とす る。 しか も、課 税 の 時 点 は税 法 上 の 利 益 が 減 額 す る 時 点 で あ っ て 、 現 金 が 株 主 へ 分 配 さ れ るか 否 か を問 わ な い(注57)。 つ ま り、 わが 国 に お い て は、 み な し配 当課 税 は 、 利 益 消 却 の場 合 の み に適 用 され るわ け で は な く、 利 益 の 資 本 組 入 れ とい っ た場 合 に お い て も適 用 され 、 か ね てか ら問題 と され て きた 。 現 行 税 法 は、 利 益 準備 金 の 資 本 組 入 に つ い て(同 時 に株 式 の無 償 交 付 が な され て い な くて も)、 利 益 の配 当 が な され た もの と して株 式 に 対 し所 得 税 が 課 税 され るの に対 し、 資 本 準 備 金 の 資 本 組 入 に伴 う新 株 発 行 に 対 して は 、 株 式 に 所 得 税 は課 さ れ な い。 資本 準備 金 、 利 益 準 備 金 お よ び利 益 の 資本 組 入 に よ る新 株 発行 をい ず れ も株 式 分 割 と して、 そ の 間 に 商 法 上 の 法 的 性 質 に お い て差 は な い に もか か わ らず 、 資 本 準 備 金 の 資 本 組 入 に よ る新 株 の 無償 発行 に つ い て は株 主 に配 当所 得 課 税 は な さ れ な い の に 、 なぜ 利 益 の 資 本 組 入 、 利 益 準 備 金 の 資本 組 入 を原 資 とす る新 株 発 行 に課 税 す るの か。 ま して や 現 行 税 法 の よ うに、 利 益 準 備 金 を資本 に 組 み 入 れ た だ け で株 主 に配 当 が な さ れ た もの とみ な し課 税 す る の は、 ま っ た くそ の理 由 が な い とい わ な け れ ば な らな い(注58)。 私 見 と して は 、 利 益 お よ び利 益 準 備 金 の 資本 組 入 お よび それ に伴 う新 株 の無 償 交付 の場 合 も、 所得 の実 現 で は な く、 株 式 分 割 に伴 う投 下 資本 の価 値 増加 で あ り、 資本 準 備 金 の 資本 組 入 に伴 う 新株 発 行 の 場合 と同 様 、 株 主 に所 得 税 を課 さな い こ と とす れ ば 、 課 税 の公 平 が 図 られ る こ とに な る と思 う。 さ ら に、 有 価 証 券 の源 泉 分 離 課 税 制 度 を改正 し、 キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン課 税 の 強化 に よ り、 未 実 現 評 価 益 に課 税 す るの で は な く、実 際 の 売却 時 の 実 現 利 益 に課 税 すべ きで あ る と考 え る

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(注59)。 この よ うに、 み な し配 当課 税 が 利 益 の資 本 組 入や 自 己株 式 の利 益 消 却 そ の もの の 実 施 を阻 害 し て い る こ と、 ま た、 商 法 と税 法 の 整 合 性 の確 保 の観 点 か ら も、 み な し配 当 課税 の撒 廃 こ そが 課 税 の 適 正 を確 保 す る上 で 必要 で は な いか と思 う。 (6)取 締 役 の責 任 次 に、 自己株 式 取得 に 関 す る取 締 役 の会 社 に対 す る責 任 の観 点 か ら考 察 す る必 要 が あ る。 旧法 210条 は、 自 己株 式 取 得 が 許 さ れ る場 合 を 明 文 で 定 め て い るが 、 株 式 の 消 却 の た め にす る と き (同条1号)、 合 併 また は他 の 会 社 の 営 業 全 部 の譲 受 け に よ る と き(同 条2号)、 お よび株 主 が株 式 買 取 請 求 権 を行 使 した と き(同 条4号)は いず れ も、 自己株 式 を取 得 す る こ とそ れ 自体 に つ い て、 取 締 役 が そ の 裁 量 で経 営 判 断 を行 使 して す る 自己株 式 取得 で は な い(注60)。 こ れ に 対 し、 改 正 で新 た に許 容 され た 自 己株 式 取 得 は 、株 主 総 会 の 授 権 を基 礎 に 、 取締 役 が 経 営 判 断 を行 使 して 取 得 す る とい う もの で あ り、 自己株 式 取得 に つ き取 締 役 の裁 量 が広 く認 め られ て い る。 そ れ ゆ え、 そ の経 営 判 断 の行 使 につ き善 管 注 意 義務 ・忠 実 義 務 の違 反 に よ る責 任(商 法 266条1項5号)を 問 わ れ る可 能 性 が あ る こ と を意 味 す る(注61)。 この 商 法266条1項5号 に基 づ く取締 役 の 法 令 違 反 の責 任 は 、 取 締 役 の故 意 ま た は過 失 を要 件 とす る。 禁 止 に違 反 す る 自 己株 式 取得 が 、 い か に会 社 の利 益 に な る と考 え て な さ れ た もの で あ っ て も、 法 令 違 反 の行 為 につ い て は 経 営 判 断 と して尊 重 す べ き もの で は な い。 た とえば 、 使 用 人 に譲 渡 す る ため に会 社 が 買 い 受 け る こ との で き る株 式 の総 数 は発 行 済 株 式 総 数 の3%が 限度 と され 、 か つ 取得 価 額 の 総 額 は 配 当 可 能 利 益 を超 え て は な ら な いが(商 法210条 の2第3項)、 この 枠 を超 え る量 の 取 得 が な され た場 合 は 、 故 意 また は過 失 に よ り超過 した 自己 株 式 が取 得 さ れ た 場 合 に は 、 取 締 役 は 、 そ の超 過 部 分 につ い て 、 商 法266条1項5号 に基 づ く賠 償 責 任 を負 う もの とす べ き で あ ろ う。 も っ とも、 使 用 人 に譲 渡 す るた め に す る 自己株 式 の取 得 ま た は 閉鎖 会 社 の特 例 に よ り 自己株 式 を取得 す る場 合 に お い て は 、 取得 し た株 式 を処 分 して得 た 対 価 お よび処 分 し な い で保 有 して い る株 式 の 時 価 に相 当す る額 を控 除 して 損 害 賠 償 の額 を算 定 すべ きで あ る。 これ に 対 し、 利 益 に よ る株 式 の 消 却 をす るた め の 自 己株 式 の 取 得 に お い て は 、 この よ うな控 除 は 問題 とな らな い(注62)。 また、 使 用 人 に譲 渡 す る た め に 自己 株 式 を取 得 す るに は 、 定 時 総 会 の決 議 が 必要 で あ るが(商 法210条 の2第2項)、 そ の決 議 内容 の 自 己株 式 取 得 が取 締 役 に義 務 づ け られ る わ け で は な く、 そ の授 権 され た枠 の 中 で、 取 締 役 は 、 その 経 営 判 断 に基 づ い て 総 数 と取 得 価 額 総 額 を設 定 す る こ と に な る(注63)。 さ ら に、 取 得 後6か 月 以 内 に使 用 人 に譲 渡 し な け れ ば な らな い(商 法211条)。 譲 渡 の相 手 の あ る こ とだ か ら、従 業 員 持 株 会 に 資金 が不 足 す る等 、 使 用 人 の側 の事 情 で 譲 渡 で き な い よ う な場 合 ま で、 責 任 を取 締役 に 問 うこ とは で きな い で あ ろ う。(注64)。 資 本 の 欠 損 が 生 ず るお そ れ が あ る場 合 の 自己株 式 の 取得 につ い て の取 締 役 の責 任 に つ いて は、 商 法210条 の4第2項 本 文 に お い て、 自 己株 式 取 得 を した 営 業 年 度 の終 りに お い て 資本 の 欠 損 が 生 じた場 合 、 資本 の 欠 損額 と自 己株 式 の取 得 価 額 の 総額 か ら営 業 年 度 中 に処 分 した 自 己株 式 の処 身 価 額 の総 額 を控 除 した額 を比 較 し、 そ の い ず れ か 少 な い額 か ら営 業 年 度 末 に保 有 して い る 自己 株 式 の 時 価 を控 除 した額 に つ き、 取 締 役 は会 社 に 対 し賠 償 責 任 を 負 う もの と規 定 して い る。 利 益 に よ る株 式 の消 却 をす るた め の 自己株 式 の 取得 に お い て は、 資本 の 欠 損額 と 自 己株 式 の 取 得 価 額 の 総 額 を比 較 し、 そ の い ず れ か 少 な い額 に つ き、 取 締 役 は会 社 に対 し賠 償 責 任 を負 う。 ま た、 年

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度 末 決 算 に お い て 欠 損 を生 ず るお それ が な い と認 め た こ とに つ いて 、 注 意 を怠 らな か っ た こ と を 証 明 した と きは 、 取 締役 は その 責 任 を免 れ る(商 法210条 の4第2項 但 書)。 こ れ は 中 間配 当 の場 合 の 資本 の 欠 損 が 生 じた ときの 取 締 役 の賠 償 責 任(商 法293条 の5)に 対 応 す る もの で あ る。 しか し、 取締 役 は 、 自 己株 式 取 得 が会 社 に と って最 善 の 利 益 で あ る と考 え て経 営 上 の判 断 を下 した に もか か わ らず 、会 社 に 損 害 を与 え るだ け の 結 果 に 終 わ る こ と もあ る。 ア メ リカ法 に お い て 経 営 判 断 の 法 則(BusinessJudgmentRule)は 、 取 締 役 が 会 社 お よび彼 自身 の権 限 内 に お い て、 あ る経 営 上 の 決 定 を下 した 場 合 に 、 そ の 決 定 に合 理 的 な根 拠 が あ り、 か つ 彼 が 会 社 の最 良 の利 益 で あ る と正 直 に信 じた事 柄 以 外 に は 影響 を受 け ず に 、 彼 独 自の裁 量 と判 断 の結 果 と して 当該 決 定 を下 した の で あ るな らば 、 裁 判 所 は 経 営 内 部事 項 に は 干 渉 しな い し、 裁 判 官 の判 断 を もっ て取 締 役 の判 断 に代 替せ しめ る こ とは し ない とい う もの で あ る(注65)。 つ ま り、会 社 の 最 善 の 利 益 が何 か を判 断 す るの は 、 本 来 、 取 締 役 の職 務 で あ り、 裁 判 所 が これ を独 自に 判 断 す る こ とは 、 裁 判 所 が会 社 を経 営 す る こ とに な るか らで あ る(注66)。 また、 取 締 役 の会 社 に対 す る損 害 賠償 責 任 とい う こ とを考 え た場 合 に は、 経 営 判 断 の失 敗 につ い て は 、制 限 的 に解 す る こ とが適 切 で あ る とい うこ とが で きよ う。た とえ 結 果 か らみ る と、最 善 の 選 択 では な か っ た経 営 判 断 、 失 敗 で あ った 経 営 判 断 で あ って も、 取 締 役 に責 任 を課 す こ とが適 当 で な い場 合 が あ る。 会 社 に 対 す る関 係 で み た と きに 、 取 締 役 に 会 社 に生 じた損 害 を賠 償 させ る とい う結 果 が 問題 な の で あ る。 この よ うに考 えて きた 場合 、 取 締 役 の 注 意 義 務 違 反 に基 づ く責 任 につ い て、 米 国 で 論 じ られ て い る よ うな 経 営 判 断 の 法 則 を、 日本 で も導 入 す べ きで あ る とい う こ とに な るの で あ る (注67)。 した が って 、 自己 株 式 の 取得 につ い て 一 定 の 経 営 判 断 を肯 定 し、 無 過 失 の 立証 を取 締 役 に課 す とい った 立 証 責任 の 転 換 で 対 応 す る こ とが 妥 当 で あ る と考 え る。 4.む す び 商 法210条 は 会社 に よ る 自己株 式 取 得 を禁 止 して い る。 設 立 ま た は新 株 発 行 の 際 に 会 社 が 自己 株 式 を引 き受 け る こ とは 認 め られ な い が 、 有 価 証 券 と して既 に成 立 して い る 自己株 式 を取 得 す る こ とは 、理 論 上 不 可 能 で は な い 。 米 国 で は 、 自 己株 取 得 は原 則 自由 で、 通 常 の業 務 執 行 の ひ とつ と考 え られ て い る。SECに 登録 す れ ば 、 取 締 役 会 の 決 議 で実 施 す るこ とが で き、 保 有(金 庫 株) の形 態 も認 め られ て い る。 しか も、 そ の処 分 の 方 法 も、 従 業 員 、 役 職 員 へ の譲 渡 の 方法 がバ ラエ テ ィ に 富 み 、 市 場 へ の再 放 出 も可 能 で あ る。 日本 に お いて 、弊 害 の生 じや す い 自己株 式 の取 得 が 、ど うして 緩 和 の 方 向へ 転 換 す る こ とに な っ た の か。 そ れ は 、 バ ブ ル 経 済 時 に お い て エ ク イテ ィ フ ァ イナ ン ス が活 発 に行 わ れ た結 果 、株 式 の 発 行 数 が過 剰 に 増加 し、 株 式数 の 需 給 の バ ラ ンス を欠 く会 社 が 増 加 す る と と もに 、 わ が 国 の企 業 と海 外 との 商 取 引 が 増 大 して い く中 で 、 一 層 の 国 際 化 に対 応 して、 諸 外 国 の法 制 との調 和 を図 る 必要 性 が 高 ま って きた た め 、 自己株 式 の 取得 規 制 を緩 和 して、 企 業 の 活動 の 自由 を拡 大 し よ う と す る理 由 に よ る。 規 制 緩 和 の 必 要 性 に つ い て 経 済 界 か ら主 張 され て き た8点 の要 望 事 項 は、 他 の 方法 に よ る実 現 の可 能 性 を検 討 すべ きで あ る もの や 、 そ もそ もそ の よ うな 目的 の た め の取 得 に は正 当性 が 認 め ら れ な い もの が 多 か った よ うに 思 わ れ る。 本 来 、 自社 株 買 い は、 キ ャ ッ シュ ・フ ロー が豊 富 で将 来 に不 安 の な い優 良 企 業 が 実 施 す る もの で あ るが 、 現 在 の 企 業 収 益 環 境 で は こ う した 日本 企 業 が 限 られ て い る。企 業 の側 で も、企 業 規 模 、 利 益 額 の拡 大 を 目的 とす る成 長 志 向 の 経 営理 念 が根 強 く、

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資本 効 率 経 営 とい う コン セ プ トが まだ 受 け 入 れ られ て い な い 。 この よ うに 自 己株 式 取 得 は 、 企 業 の選 択 肢 が 増 え た とい う点 に お い て は 意 義 が 認 め られ るが 、現 状 で は 、企 業 に 定 着 す るか ど うか 、 そ し て、 商 法 改 正 に よ り規 制 を緩 和 す る必 要 性 が あ っ た か ど うか 疑 問 で あ る。 ま た、 法 律 上 の 問題 点 に も種 々 の 論 点 が あ る が 、 まず 自 己株 式 取 得 の財 源 規 制 に つ い て は、 利 益 消 却 に よ る場 合 とそ れ 以 外 の 場 合 に よ り、 そ の理 由 な い し趣 旨の 点 でか な りの差 異 が あ る。 利 益 消 却 の た め の 自己株 式 取 得 の 場 合 に は、 会 社 が 対価 を支 払 っ て買 い受 け た株 式 は 消 却 に よ っ て 消 滅 す る。 した が って 、 買 受 代 金 の財 源 が広 義 の 資 本 に 含 まれ る と きは、 そ れ は ま さ に株 金 の払 い戻 しに あ た り、 資 本 充 実 の原 則 に 反 す る結 果 とな る。 それ ゆ え、 資本 減 少 の 手 続 き を と らず に な さ れ る株 式 消 却 の 財 源 は、 本 質 的 に 配 当 可 能 利 益 の 範 囲 内 で あ る こ とが要 請 され る。 こ れ に対 して 、 使 用 人 に譲 渡 す るた め の 自 己株 式 の 取 得 、 お よび 閉鎖 会 社 の 特 例 に よ り 自己株 式 を取得 す る場 合 は、 配 当可 能 利 益 を超 えて行 うこ とが で きな い もの と され て い るが 、 取 得 した 自己株 式 に つ い て は資 産 と して の価 値 が あ り、 譲 渡 す れ ば対 価 の支 払 い を受 け る こ とが で き るか ら、 配 当 可 能 利 益 の 限度 を超 え て 自己 株 式 を取 得 したか ら とい って 、 ただ ち に 資本 充 実 維 持 の 原 則 に 反 す る とい うこ とは い え な い 。 また 、 数 量 規 制 もな され て い るの で、 これ らの場 合 に お い て は 、 自 己株 式 取 得 の財 源 規 制 を配 当 可 能 利 益 を基 準 とす る合 理 性 が な い よ うに思 わ れ る。 しか し、 自 己株 式 取 得 に よ り会 社 財 政 の 健 全 性 を害 す るお それ の あ る場 合 は 、取 締 役 は 自 己株 式 を取 得 して は な らな い こ と を明 確 に す べ きで あ る。 そ こで 、 米 国 の ほ とん どの州 で 規 定 され て い る衡 平 法 上 の支 払不 能 基 準 を採 用 す べ きで あ る。 す なわ ち、 将 来 の キ ャ ッシ ュ ・フ ロー を指 標 と して 資 金 状 況 を考 慮 し、 会 社 が 支 払 不 能 で あ るか 、 あ る い は 自 己株 式 取 得 に よ り支 払 不 能 に陥 る よ うな場 合 の 自己株 式 取 得 を禁 ず る基 準 で あ り、 会社 債 権 者 保 護 の観 点 か ら有効 な もの で あ る と思 う。 ま た、 会 社 が 配 当 可 能 利 益 の範 囲 内 で 自 己株 式 を取 得 す る こ とは 、株 主 の 配 当 を受 け る利 益 と 衝 突 す る可 能 性が あ る。 私 見 と して は 、 自 己株 式 取 得 の 目的根 拠 ・算 定 基礎 の 開 示(特 に利 益 消 却 の場 合)を 法 定 化 す る こ とに よ り合 理 的 な制 約 が な さ れ る と思 う。 さ らに 、 将 来 の企 業 内再 投 資 の た め の任 意 積 立 金 の 計 上 目的 の根 拠 お よび 算 定 基 礎 の 開示 も法 定化 す る こ とに よ り、 公 正 な 利 益 配 当 が行 わ れ るの で は な い か と考 え る。 次 に 取得 手 続 規 制 につ い て、 商 法 は 、株 主 総 会 の決 議 を 自己株 式 買 入 の ため の一 般 的 な要 件 と して い る。 しか し、 具 体 的 な消 却 方 法 、 時 期 、 株 式 数 等 まで すべ て 総 会 決 議 で決 め な け れ ば な ら な い の か 問 題 で あ る。 取 締 役 会 に も一 定 の 裁 量 が な い と機 動 的 な 自 己株 式 の 取 得 が で きな い と い う意 見 もあ ろ うが 、 あ ま りに裁 量 が 大 き い と株 価 操 作 や 株 式 買 占め 対 策 等 に用 い られ る危 険 も大 き くな る。 総 会 決 議 を取 得 要 件 とす る こ とは、 自己株 式 の 取得 に 伴 い生 ず る支 配 権 の移 転 ・固定 化 とい う支 配 の 公 正 に対 す る危 険 に 対 して有 効 な対 処 方 法 で も あ る。 な お、 普 通 決 議 を要 件 とす る場合 に は、 特 別 決 議 を要 件 とす る場 合 よ り も 自己株 式 の 取 得 が 支 配 権 の移 転 ・固定 化 の 手 段 と して 用 い られ る危 険 が増 大 す る。 これ に対 して は数 量規 制 を課 す こ とが 有 効 な対 処 方 法 で あ るが 、 総 会 決 議 に 基づ く利 益 に よ る 消 却 の ため の取 得1こつ い て は 数 量 規 制 は課 して い な い 。 この 利 益 消 却 に よ る取得 の 場合 は、 取 得 した らす ぐに消 却 す る とい う こ とで、 保 有 に伴 う弊 害 が な いの で、 取 得 数 の制 限 は 置 か な くて も よ い で あ ろ う とい う考 え方 で あ る。 しか し、 自己株 式 の 大 量 取 得 が 株 価 に影 響 を及 ぼ す とい う証 券 取 引法 上 の 問題 、支 配 の 公 正 とい う商 法 上 の 問 題 、 さ らに会 社 と して は株 主 の 配 当 に 回せ る利 益 で消 却 す るの だ か ら、 それ な りの理 由 を開 示 す る必 要 が あ る と思 わ れ る。 それ ゆ え、 前 述 の こ

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