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連 結 会計 基 準 の 国際 的統一 化
一
国際会計基準公開草案第3号 の特徴 と問題点一
蜷
木
実
1 序 最近,各 国 に お い て会 計 基 準 の国 際 的 統 一 化 運 動 が 活 発 に 展 開 され,企 業 活 動 の遂 行 され る経 済 的 ・制 度 的 環 境 条 件 を 会 計 上 調 和 な い し統 一 化せ ん とす る 努 力 が,急 激 に 現 実 化 しつ つ あ る。 か か る統 一 化 運 動 の背 景 に は,(1)各 国 に お け る外 国証 券 の上 場 数 増 大 に 伴 い,発 行 会 社 や 会 計 監査 人 に よ る各 国 間 の会 計 基 準 の差 異 調 整 に要 す る莫 大 な犠 牲 が 認 識 され た こ と,(2)多 国籍 企業 や 国 際企 業 の海 外 活 動 の拡 大 に伴 い,海 外 直 接 投 資 に 関 す る現地 国 に お け る関 連 諸 規 制 に よる流 動 化 の阻 害 や 本 国 基 準 との 差 異 調 整 に 要 す る無 用 の 労苦 が 認 識 され た こ と,(3)各 国 間 の相 違 は 伝 統,慣 行,法 令 等 に 基 づ く ものが 多 いが,中 に は会 計 基 準 の不 備,不 徹 底 等 に 基 因 す る もの もあ って,ヨ リ一 層 適 正 な方 向に 統 一 され て共 通 的 な 基 準 の成 立 す る可 能 性 が認 識 され た こ と等 が,そ の主 た る促 進 くゆ 要 因 と し て 存 在 し て い る も の と 考 え ら れ る。 叙 上 の よ うな 現 実 的 背 景 の も と に,1962年,第8回 国 際 会 計 士 会 議(lnter-national Congress of Accountants)に お け る 国 際 会 計 基 準 必 要 性 の 強 調 以 来,会 計 士 国 際 研 究 グ ル ー プ(Accountants International Study Group)に よ る 調 査 ・研 究 報 告 の 公 表,更 にEEC加 盟 諸 国 の 会 計 士 協 会 で 構 成 す る ヨ ー ロ ッパ 会 計 士 連 合(Union Europeenne des Experts Comptables Economiques et Financiers)に よ る 共 通 会 計 基 準 設 定 の 活 動 な ど,次 々 に 会 計 基 準 の 国 際 的 統 一 化 運 動 は,具 体 的(1)Frederick D. S. Choi,``Multinational Financing and Accounting Harmony,"
Management Accounting, March 1974, PP.14-5.中 島 省 吾 稿 「IASC公 開 草 案 第1
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に 展 開 さ れ て き た 。 そ し て,こ れ ら の 米 国 や 欧 州 に お け る 国 際 会 計 基 準 の 形 成 活 動 を 統 合 す る も の と し て,1973年6月,米 国 を は じ め と す る9ヵ 月 の16に の ぼ る 職 業 的 会 計 士 団 体 を も っ て 構 成 す る 会 計 史 上 最 初 の 世 界 的 規 模 の 会 計 基 準 設 定 機 関 で あ る 国 際 会 計 基 準 委 員 会(lnternational Accounting Standards C。mmittee ゆ 一以下,IASCと 略称)の 成立をみたのである。 このIASCの 目的 は,「 国 際 会 計 基 準 に関 す る趣 意 書 」 に よれ ば,「 監 査 の 対 象 とな る計 算 書 お よび財 務 諸 表 の提 示 に あ た り準 拠 す べ き基 本 的 諸基 準 を, り リ ロ コ ゆ 公 共 の利 益 のた めに 作 成 公 表 し,か つ,こ れ が 世 界 的 に承 認 され 遵 守 され る こ くの とを促 進す る」 こ とに あ る。 しか し,既 に 述 べ た よ うに,「 国 際 会計 基 準 の形 成 は,そ れ ぞれ の経 済 的 ・制 度 的 特 殊 条 件 に も固 執 す る各 職 業 的 会計 士 団体 の 協 議 を通 じて,会 計 原 則 のい わ ぽ 国 際 性 と風 土 性 との相 剋 とい う困難 な問 題 を 内 包す る」もの で あ る。かか る意 味 に お い て,IASCの 目指 して い る多 国 籍 企 業 に よる会 計 情 報 の 国 際 的 開 示 や 国 際 的 監査 活 動 の 強化 が,実 際 に は どの よ う な動 機 や 理 念 に 支 え られ てい るか は,数 次 に わ た る国際 会 計 基 準 の具 体 的 内容 コ ロ コ コ ロ ロ や そ の現 実 的機 能 の検 討 を通 じて 解 明 され ね ば な らな い もの と思 われ る。 しか し,本 稿 で は,こ れ ら一 連 の 国 際 会 計 基 準 を 検 討 す るだ け の 余裕 は ない の で, 取 敢 えず わ が 国 では 目前 に 迫 って い る連 結財 務 諸表 の 制 度 化 と の 関連 も あ っ
(2)Joseph P. Cummings,``The International Accounting Standards Committee- ItsCommittee- PurposeCommittee- andCommittee- Status",Committee- TheCommittee- CPACommittee- Journal,Committee- Sept.1974.Committee- p.52-3.
(3) ICCAP,``Towards an International Accounting Profession", The journal of Accountancy, June 1974. p.80-82,
(4)IASC, Preface to Statements of International Accounting Standards, Jan.1975. para.2.(日 本 語 版 は,「 国 際 会 計 基 準 に 関 す る 趣 意 書 」 会 計 ジ ャ ー ナ ル 1975年3月 号 118頁)な お,本 稿 に お け る 引 用 文 中 の 傍 点 は,す べ て 引 用 者 が 施 した も の で あ る こ と に 留 意 さ れ た い 。 (5)津 曲 直 躬 稿 「棚 卸 資 産 に 関 す る 国 際 会 計 基q一一IASC起 草 小 委 員 会 の 原 案 を め ぐ っ て 一 」 会 計 107巻2号(50年2月)37頁 。 (6)わ が 国 に お け る連 結 財 務 諸 表 の 制 度 化 に つ い て は,昭 和48年7月9日 公 表 の 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 計 制 度 委 員 会 答 申 「連 結 財 務 諸 表 の 制 度 化 を 推 進 す る う え に お い て の 問 題 点 の 検 討 に つ い て 」 会 計 ジ ャ ー ナ ル 1974年2月 号 66-68頁 を 参 照 さ れ た い 。
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.て,特 に 検討 す べ き問 題 点 が 多 い と思 わ れ る1974年12月11日 公 表 の 公 開 草 案 第
(7)
3号 「連 結 財 務 諸 表 と 持 分 法 」(Consolidated Financial Statements and the Equity Method of Accounting)を 取 上 げ る こ と に す る 。 そ こ で,本 稿 で は,ま ず 本 草 案 の 全 体 に 貫 か れ て い る会 計 思 考 を 中 心 に,そ の 特 徴 と 問 題 点 を 明 らか に し,次 に そ の 主 要 な 特 徴 で あ る 持 分 法 の 適 用 上 で, コ コ コ コ ロ コ コ り り 連 結 会 計 思 考 が い か に 導 入 され 展 開 され て い るか とい う観 点 か ら,持 分 法 の 適 用 に あ た って 問題 に な る と思 わ れ る点 を 中心 に考 察 し,こ れ に 検討 を加 え て み た い 。 そ レて,伺 時 に わ が 国 で 将来 この基 準 が採 用 され う場 合 に生 ず る と思 わ れ る若 干 の 問 題 点 を も解 明 す る こ とが,本 稿 の課 題 で あ る。 皿 連 結に関す る草案の特 徴 と問題 点 本 草 案 の 特 徴 に つ い て は,そ の 解 説 等 に お い て 既 に 明 らか に され て いる の で,こ こで は 専 ら本 草 案 の 基 底 に な って い る と 思 わ れ る 会 計 思 考 を中 心 と し て,そ の特 徴 と問 題 点 につ い て考 察 す る こ とに す る。 そ こで,本 草 案 に おけ る 第1の 特 徴 と して,連 結範 囲 の拡 大 を挙 げ る こ とが で き るが,就 中,そ の判 定 基 準 と して実 質 的 な支 配 力 基 準 が 採 用 され て い る こ とで あ る。 即 ち,本 草 案 で は,「(a)直 接 また は間 接 に,他 の会 社 に おけ る議 決 権 の過 半 数 を所 有 して い る
(7) IASC, International Accounting Standards, Exposure Draft 3, Proposed State- ment,State- ConsolidatedState- Financial Statements and the Equity Method of Accounting, 1974.な お,日 本 語 版 は,国 際 会 計 基 準 公 開 草 案 第3号 「連 結 財 務 諸 表 お よ び 持 分 法 (案)」 会 計 ジ ャ ー ナ ル 1975年1月 号 53-59頁 が あ る の で,こ れ を 参 考 に した 。 従 っ て,本 草 案 第3号 の パ ラ グ ラ フ は,全 て 本 文 中 に(第 … … 項)と し て 示 し た 。 ⑧ 例 え.ば,次 の よ う な も の が 挙 げ られ る 。 .川 口1贋一 編 「国 際 会 計 基 準 公 開 草 案 第3号 『連 結 財 務 諸 表 お よ び 持 分 法(案)』 の 解 説 」 会 計 ジ ャ ー ナ ル 1975年1月 号 47-52頁 。 居 林 次 雄 稿 「通 結 国 際 会 計 基 準 に つ い て 」 会 計 ジ ャ ー ナ ル1975年2月 号8-12頁 。 中 島 省 吾 稿 「国 際 会 計 基 準 公 開 草 案 第3号 『連 結 財 務 諸 表 お よ び 持 分 法(案)』 の 解 説 」 企 業 会 計 27巻2号(50年2月)71-5頁 。 白 鳥 庄 之 助 稿 「連 結 財 務 諸 表 と持 分 法 に つ い て 一 国 際 会 計 基 準 公 開 草 案 に お け る 持 分 法 を 主 題 と して 一 」 同 上 76-82頁 。 辰 己 正 三 稿 「国 際 会 計 基 準 公 開 草 案 第3号 『連 結 財 務 諸 表 お よ び 持 分 法(案)』 の 解 説 」 産 業 経 理35巻3号(50年3月)53-60頁 。
連結会計基準の国際的統一化 65 場 合,ま た は,(b)法 制 上 また は 合 意 に よ り,他 の 会社 の経 営 者 の財 務 お よび 営 業 の方 針 を支 配 す る力 を有 して い る場 合 」(第7項),支 配(control)が 存 在 す る も の と考 え られ,特 に 過 半 数 の議 決権 株式 を所 有 してい な くて も,「 取 締 役 会 の 過 半 数 を 指 名 す る力 に よ り,経 営 に関 す る契 約 に よ り,ま た は 法 廷 の 指 示 に よ って 支 配 され る」(第7項)も の とみ な され るの で あ る。 そ して,叙 上 の よ うな条 件 の下 で支 配 され て い る会 社 は,子 会 社(subsidiary) と定 義 され,「(a)支 配が 一 時 的 で あ る と認 め られ る と き,ま た は,(b)資 金 の 移 動 に 関 す る厳 し い長 期 の制 限 に よ り,子 会 社 の 資 産 な い し営 業 に 対す る親 会社 の支 配 が阻 害 され る よ うな 状 況 」(第30項)に あ る場 合 に 限 り,当 該 子 会社 は, 連 結 か ら除 外 で き る も の と され て い る。 た だ,特 例 と して,「 裁 判所 の監 督 の 下 に置 か れ た り,破 産 な い し倒 産 の 法 律手 続 が 開 始 され た 場 合 」(第33項)に は, 支 配 力 は喪 失 す る もの と考 え られ るの で,同 様 な趣 旨か ら連 結 除 外 と され てい る。 また,重 要 性 の 少 な い 子 会社 も,当 然 の こ とな が ら,除 外 され る こと に な る。 従 って,わ が 国 の連 結意 見 書 で採 用 され て い る過 半 数 持 株 基 準 以 外 に 実 質 ゆ 的 支 配 力 基 準 が 採用 され,わ が 国 で は連 結 除外 とされ て い る異 業 種 子 会 社 まで も連 結 に 含 め られ て い るの で あ る。 そ こで,か か る連 結 範 囲 の拡 大 に関 連 し て,問 題 にな る と思 わ れ る点 に つ い て,若 干 考 察 して お きた い。 まず 第1は,在 外 子 会 社 に 関 す る問 題 で あ るが, 今 日の よ うに在 外 子 会 社 に よ る営 業 活 動 が 重 要 な影 響 を もつ 多 国 籍 化 時 代 に お い て は,こ れ を連 結 除外 す る こと に よ り,連 結 財 務 諸 表 の 意 義 が 失 わ れ て し ま ロゆ うの で,こ の 点 に は特 に問 題 は ない もの と思 わ れ る。た だ,資 金 移 動 の厳 しい 長 期 の制 限 下 に あ る も のを 除 く在 外 子 会 社 を 原 則 と して連 結 に 含 め る以上,本 草 案 の趣 旨 に照 ら して も,「外 貨 で表 示 され て い る財 務 諸 表 の換 算 の諸 方 法 」(第4
(9) IASC, Preface, op. cit., para.12.
⑳ 大 蔵 省 企 業 会 計 審 議 会 「連 結 財 務 諸 表 に 関 す る 意 見 書 」 (昭 和42年5月19目)連 結 基 準 二4。
①)こ れ は,米 国 の 会 計 実 務 に お い て も 一 般 的 傾 向 で あ る が,未 だ 約40%の 連 結 会 社 は,在 外 子 会 社 の 一 部 を 連 結 か ら 除 外 して い る 。 (AICPA, Accounting Trends& Techniques,26th ed.,1972. p.31,)
66 項(e))に 関 す る問 題 が,本 草 案 では 対 象 外 に され て い るの で,早 急 に解 決 され ね ば,本 草 案 の現 実 的 効 果 は,充 分 に 上 げ られ な い もの に な って し ま う こ とで あ る。 第2は,異 業 種 子 会 社 に 関 す る問 題 で あ るが,今 日の よ うに 複 合企 業 や多 角 経 営 企 業 の増 大 に よ っ て,そ の 子 会 社 の 営 む 事 業 活 動 の重 要 性 を考 え た場 合, これ を連 結 に含 め る基 本 的 思 考 に は,特 に 問 題 は な い もの と思 わ れ る。 た だ, 異 種 事 業 の 連 結 に 伴 って 生ず る 連 結 財 務 情 報 の 欠 陥 は,部 門 別財 務情 報 の補 足 的 ・追 加 的 公 開 に よ って 償:われ ね ば な らな い もの と考 え られ る。 そ れ に も拘 らず,本 草 案 で は,「 多 角 的経 営 の 会 社 の財 務諸 表 に お け る製 品種 類別,ま た は,業 種 別 に よる 開 示」(第4項(h))は 特 殊事 項 と して 除外 され,単 に 重 要 子 会 社 に つ い て は,「 社 名,事 業 の性 質,お よび 議 決 権 の あ る発 行 済 株 式 の所 有 割 合」 (第63項)の 開 示 を要 求 し,ま た,重 要 項 目に つ い て は,「 主 要 な地 域 別,大 陸 別,も し くは 国 別 」(第64項)の 分 析 的 開 示 を 要 求 して い るに す ぎな い。 この よ うな 点 も,本 草 案 の趣 旨を 充 分 に 達 成 す るた め に は,早 急 に改 善 され ね ぽ な ら な い 問 題 点 で あ る と思 わ れ る。 第3は,実 質 的 支 配 力 基 準 に 関 す る問 題 で あ るが,従 来,理 論 的 に は,支 配 力 基 準 が 支 持 され な が ら も,制 度 的 に は 容 易 に受 入 れ られ な か った の は,そ れ が 抽 象 的 であ って,実 務 上 多 くの 論 議 を 惹 起 せ しめ た こ とに あ る。 しか し,本 草 案 で は,前 述 の よ うに,相 当 具 体 的 に 規定 して い るた め,こ の 点 につ い て の 問 題 は,比 較 的 少 い の では な い か と思 わ れ る。 た だ,法 制 上 また は 合意 に よ る 場 合 に は,な ん らか の 支 配 ・従 属 の 関 係 を表 わす 文書 の よ うな物 的 証拠 を必 要 とす べ き だ と考 え るべ きでは な い か と い う問 題 が あ る。 更 に,こ れ に 関連 し て,資 本 の所 有 関 係 が 殆 ん どな くて 連 結 に含 め られ た 場 合,契 約 等 で認 め られ 働 これ は,米 国 の 会 計実 務 にお い て も一 般 に 認 め られ て お り,米 国 とカ ナ ダ所 在 の 子 会 社 の一 部を 営 業 の 性 質 に よ って 連 結 して い ない 会 社 は29%で,在 外 子会 社 につ い て は 僅 か2%で あ るにす ぎない 。(lbid., p.29-30,) (1⑳ この点 につ い て は,拙 稿 「連 結 報 告会 計 と部 門 別 報 告会 計 」 彦 根 論叢 第162・3合 併 号(48年8月)117-133頁 お よび 拙 稿 「部 門 別 財務 情 報 の 公 開 と そ の 有 用 性 に っ い て 」彦 根 論 叢 第169・70合 俳 号(49年11月)168-86頁 を参 照 され た い。
連結会計基準の国際的統一化 67 る利 益参 加 の割 合 は低 い もの と考 え られ るの で,か か る場 合 に は,少 数 株 主 持 分 が 連 結(支 配 株 主)持 分 に 比 較 して 異常 に 多 額 とな る こ と もあ る。 かか る場 合,本 草 案 で は 「子 会 社 と して 取 扱 うべ く要 請 され る関 係 の性 質 」(第63項)の 開 示 のみ を 要 求 して,持 分 関 係 に 関 す る追 加 的 な 開 示 を全 く要 求 して い な い こ とは 問 題 で あ る。 私 見 と して は,利 益 参加 を 中 心 とす る持 分諸 関 係 につ い て の 追 加 的 な 開 示 を 求 め る必 要 が あ るの で は な い か と考 え る。 第2の 特 徴 は,持 分 法(equity method)の 適 用 で あ るが,本 草 案 で は,連 結 財 務 諸表 の 作 成上,支 配 が 一時 的 で あ る とい う理 由 で,連 結 か ら除 外 され た 子 会 社 や 関 係会 社へ の 投 資 に 対 して は,持 分 法 を 適 用せ ねば な らな い と して い る (第31項)。この場 合 に お け る関 係会 社(ass㏄iated company)と は,(1)子 会社 以外 の被 投 資会 社 で,② 投 資 会 社 が 長 期 投 資 と して 保 有 す る意 図 が あ り,(3に れ に 対 し て相 当 の持 分 上 の権 利 を 有 し,か つ,そ の財 務 お よび営 業 方 針 に対 し て重 要 な影 響 を与 え る力 を 保 有 して い る もの を い うの で あ る(第14項)。 そ して,そ の 重 要 な影 響(significant influence)と は,方 針 の支 配 で は な くて,そ れ らの 方 針 決 定 に 関 与 す る こ とを 指す が,具 体 的 に は 「取 締 役 会 へ の代 表 派 遣,方 針 の 決 定 過 程 に お け る関 与,集 団 内会 社 間 の重 要 な取 引,経 営 陣 の人 事 交 流,技 術 情 報 の 依 存 関 係」(第15項)等 に よ って達 成 され うる もの と考 え られ て い る。 更 に,「 投 資 会社 が,被 投 資会 社 の議 決 権 の20%未 満 の持 分 しか 保 有 して い な い 場 合 に は,… … 明 らか な 反証 が 認 め られ な い 限 り,重 要 な 影 響 を 与 え る能 力 を も って い な い」(415項)も の とみ な され るの で あ る。 持 分 法 は,本 草 案 で の 最 重 要 問 題 で も あ るの で,次 第 で 詳 細 に論 ず る こ と に して,こ こで は,か か る持 分 法 の適 格 要 件 等 に つ い て,特 に 問題 に な る と思 わ れ る諸 点 につ い て のみ 考 察 す る こ とにす る。 まず 第1は,関 係会 社 概 念 の解 釈 の問 題 であ るが,本 草 案 で は,前 述 の よ うに,関 係会 社 め 概 念 規 定 と して コ つ コ 子 会 社 以 外 の被 投 資 会 社 と限 定 して い るが,こ の場 合 の子 会 社 と は,持 分 法 を 適 用 せ ん と して い る連 結 集 団 に属 して い る子 会 社 のみ を 想 定 して い るの か,蚤 リ広 義 に,い か な る企 業 集 団 に属 して い る子 会 社 で あ って も,他 の企 業 集 団 に 属 す る関 係 会社 に は な り得 な い と解 釈 され ね ば な らな い の か とい う問題 が 生 ず
68 コ る。 これ が,も し前 者 の よ うに狭 義 に解 釈 され た 場 合 に は,一 方 で 議 決 権 株 式 の 過 半 数 所 有 に 基 づ い て連 結 され て い るに も拘 らず,他 方 では 役 員 派 遣,重 要 取 引,技 術 情 報 な どに よ って,重 要 な 影 響 力(方 針決 定 に 関与 で きる)を も っ て い る状 況 に あ れ ば,こ れ を 関 係 会 社 と して 持 分 法 の適 用 対 象 とな し得 る の か とい う問 題 が 生 ず るの で あ る。.そして,反 対 に,も し広 義 に解 釈 され る とす れ ぽ,か か る解 釈 に 関 連 して,一 つ の 被 投 資 会 社 に 二 つ の投 資会 社 が それ ぞれ25 %の 持 株 で,同 程 度 に 重 要 な 影 響 力 を もっ て い る場 合 に は,当 該 被 投 資 会 社 は, 両 方 の関 係会 社 に な り得 る ので は な い か とい う問 題 が 生ず るの で あ る。 私 見 と して は,持 分 法 適 用 の趣 旨か ら考 えて,両 企 業 集 団 の 関 係 会社 と して持 分 法 の くゆ 適 用 が認 め られ る もの と思 わ れ る。 第2は,持 分法 の適 用 判 定 基 準 に 関 す る問 題 で あ るが,本 草 案 で は議 決 権 の 20%未 満 の持 株 の場 合 に は,明 らか な反 証 が あれ ぽ,重 要 な 影 響 力 を もつ と認 め られ る余地 が残 され て い る の に対 し,20%以 上 の持 株 の 場 合 に は,原 則 と し て 持 分 法 の適 用 が 強制 され,逆 に重 要 な 影 響 力 を もた な い 反 証 が あ る 場 合 で も,持 分 法 の 適用 を 回 避 で きな い の で は ない か と い う問 題 が 生 ず る。 連 結 判 定 コ ロ コ ロ 基 準 と して実 質 的 な支 配 力基 準 を採 用 した 基 本 的 連 結 会 計 思 考 よ りみ た 場 合, む し ろ重 要 な 影 響 力 基 準 が そ の 判定 上 の基 礎 とな るべ きで あ っ て,20%持 株 基 準 が そ の 基 礎 に され て い る こ とは,論 理 的 に 矛 盾 す る もの と 考 え られ る の で あ る。 第3の 特 徴 は,公 正 価 値 会 計(fair value accounting)と い う最 近 の 会 計 思 考 を 採 り入 れ て い る こ とで あ る。 即 ち,わ が 国 の連 結意 見書 で は 「支 配 会 社 の投 資 勘 定 の金 額 が,株 式 取 得 時 又 は 支 配 獲 得 時 に お け る従 属 会社 の資 本勘 定 に 占 ω こ の 点 に 関 連 し て,E.ペ ト リ は,そ れ が 相 互 持 株 で あ る 場 合 に は,両 社 が た と え 20%以 上 の 株 式 所 有 を 行 っ て い て も,意 見 書 第18号 に お け る 「主 た る 報 告 単 位 」(第 16項)と 「営 業 や 財 務 政 策 に 重 要 な 影 響 を 与 え う る能 力 の 存 在 」(第17項)を 要 件 と し て い る こ と を 考 慮 す れ ば,投 資 会 社 と な り う る も の は,そ の うち の1社 だ け で あ る と 考 え ね ば な らな い と 主 張 し て い る の で,こ の 問 題 に つ い て の 詳 細 な 検 討 は,別 稿 に 譲 りた い 。(Enrico Petri,``lncome Reporting and APB Opinion No.18,"Manage- mentNo.18,"Manage- Accounting,No.18,"Manage- Dec.1974. p.51)
連結会計基準の国際的統一化 69 め る支 配 会 社 の 持 分 額 」 と比 較 して 差額 が生 じた場 合,原 則 と して 貸 借 と も に,「 連 結 調 整勘 定 」 と して 貸 借対 照 表 に記 載 す る ことに し て い る。 これ に 対 して,本 草 案 で は,そ の 「差 額 につ い て は,連 結 に あた り可 能 な限 りそ の 時 点 に お け る適 正 な:価格 に よ り,子 会 社 の資 産 お よび 負 債 の うち で,こ れ に 関 係 あ る もの に 配 分 すべ きで あ る」(第40項)と 投 資 消 去 差 額 の 適 正 な 価 格 まで の 分 析 ・配 分 が要 求 され てい る ので あ る。 更 に,本 草 案 に よれ ば,連 結財 務諸 表 の 作 成 ・提 示 に よ り,親 会 社 が 自己 の個 別 財 務 諸 表 の 作 成 上,子 会 社投 資 の 貸借 対 照 表 計 上 額 を検 討 す る必 要 性 か ら免 除 され るわ け で は ない の で,「 投 資 の 持 分 法 に よる連 結 貸 借 対 照 表 計 上額 が,適 正 な実 価 を超 え,か つ,そ の差 額 が 一 時 的 な もの で な い 場 合 に は,そ の貸 借対 照 表 計 上 額 は適 正 な実 価 ま で切 下 げ ね ぽ な らな い」(第35項)と 持 分 法 適用 時 に お け る投 資 の適 正 な 実 価current fair value) まで の 切 下 げ を要 求 して い る の で あ る。 第4の 特 徴 は,税 効 果 会 計(tax effect acc・unting)の 思 考.が随 所 に み られ る こ とで あ る。 元 来,税 効 果 会 計 は,個 々の 企 業 に おけ る会 計 上 の 収 益 ・費用 の 認 識 時 点 と課 税 上 の益 金 ・損 金 の 認 識 時 点 との 期 間的 差 異(timing difference) につ い て,両 者 の期 間 計 算 を 調 整 して,適 正 な 会 計 上 の期 間 利益 を算 定 す る た め の税 金 の期 間 配 分 に 関 す る会 計 処 理 方 法 で あ る。 しか し,連 結 会計 上 の税 効 果 の問 題 は,か か る認 識 時 点 の 差 異 に 基 因 す る もの で は な くて,収 益 ・費 用 を ロ ロ コ ロ リ 認 識 す る会 計 主 体 の 相 違,即 ち企 業 集 団 とそ の一 部 分 とい う会 計 的 認 識 を行 な う立 場 の 相 違 か ら結 果 す る問題 で あ って,財 務 諸表 を連 結 す る場 合に のみ 生 ず る問 題 で あ る。 例 え ば,連 結企 業 全 体 に とっ て は 未実 現 利 益 で あ って も,・そ の売 上 を 計 上 し た 会社 で は,実 現 利 益 と して課 税 の 対 象 とな って い るの で,こ の課 税 所 得 に 対 し て支 払 っ た税 金 は,「 次 期 以 降 ま で連 結 財 務 諸 表 上 で は 計 上 され な い 収益 に 係 る も の で あ るか ら,未 実 現 収 益 に 対 す る税 費用 は,当 該 利 益 が そ の企 業 集 団 に よ って 実 現 され る時 期 まで 繰 延 べ られ るべ きで あ る」(第39項)と そ の 繰延 計上 ⑮ 大 蔵 省企 業 会 計審 議会 前 掲 意見 書 連 結 基 準五2・3。 ㈹ 辰 己 正三 前 掲 稿 53頁 。
70 を 指 示 して い る。 そ して,こ れ とは 反対 に,子 会 社 の未 配 分 利 益 の うち,馳親 会 社 へ 配 分 され る持 分 相 当額 に課 税 され る税 金 は,「 そ の利 益 が究 極 的 に は配 当 また は他 の方 法 で 配 分 され,か つ,送 金 時 に 納 税 債 務 が発 生す る もの と合理 的 に 仮 定 し うる限 り,こ れ を 引 当 計 上 す べ きで あ る」(第41項)と そ の 引 当計 上 を 指 示 して い る ので あ る。 つ ま り,前 者 は 個 別 会 社 の 実 現 利 益 が 連 結 グル ー プに と って は未 実 現 利 益 と な り,従 って,そ の 税 金 を 繰 延 べ た 例 で あ り,後 者 は 反 対 に,個 別 会 社 で は未 発 生 の税 費 用 を,連 結 グル ー プの 立 場 か ら これ を 引 当 計 上 した 例 で あ る。 わが 国 の企 業 会 計 原 則 では,か か る税 金 の期 間 的 配 分 の 問 題 は,積 極 的 に取 扱 わ れ て お らず,従 って,ま た,わ が 国 に おい て は,か か る税 効 果 会 計 の慣 行 も存 在 して い な い。 この点 も,前 述 の持 分 法 の 適 用 と と もに, 今 後,積 極 的 に 前 向 きの 姿 勢 で 取 組 ん で ゆ か ね ば な らな い 問 題 で あ る とい え る で あ ろ う。 皿 草 案 に お け る持 分 法 の適 用 と問題 点 米 国 に おけ る連 結 会 計 上 の持 分法 に つ い て は,既 に別 稿 に お い て詳 細 に検 討 し,か つ,こ れ に 対 す る若 干 の 私 見 を も述 べ た と ころ で あ る の で,本 節 では, 本 草 案 に おけ る持 分 法 に つ い て 簡 単 に説 明 し,連 結会 計 基 準 との関 連 で特 に 問 題 に な る と思 わ れ る点 を 中 心 に 論 じて ゆ きた い。 本 草 案 では,関 係 会 社 へ の 投 資 に 関 す る会 計処 理 の方 法 と して は,原 価 法 と 持 分 法 とが あ り,原 価 法(cost method)に よれ ば,「 投 資 会 社 は被 投 資 会 社 の株 式 に 対 す る投 資 を 原 価 で 記 帳 す る。 投 資 会社 に よ る株 式 取 得 日以 降 に お い て被 の コ リ ロ ロ む コ 投 資 会 社 に 累 積 され た 利 益 の うち,配 当 され た 金 額 の み が,投 資会 社 の収 益 と ㈲ わ が 国 に お い て も,最 近,か か る 観 点 か らの 研 究 が 数 多 くみ られ る よ うに な った が,就 中,纒 ま った研 究 文 献 と して,中 田信 正 著 『税 金 配 分 会 計一 法人 税 期 間 配 分 の 会 計』 昭 和48年 が あ る ので,詳 細 につ いて は,こ れ を参 照 され た い 。 ⑱ 例 えば,拙 稿 「連 結 会 計 思 考 と持 分 法」 彦 根 論 叢 第158・9合 併 号(47年11月)133 -149頁,拙 稿 「連 結会 計 に お け る持 分法 の 適 用 を め ぐる諸 問 題 」 彦 根 論叢 第161号 (48年4月)42-64頁,お よび 拙 稿 「投 資 株 式 の 評 価 に 関す る最 近 の動 向」 商 大 論 集 (神戸 商 科 大 学)25巻1∼3号(48年9月)105-116頁 等 を参 照 され た い。
連結会計基準の国際的統一化 7孕 コ して認 識 され る。 受 取 り配 当 金 の うち,株 式 取 得 日以 降 の利 益 を超 え る部 分 に つ い て は,こ れ を投 資額 の返 還 と考 え て投 資 原 価 の 減 額 と して 記 帳 す る」(第23 項)と され てい る。 これ に 対 して,持 分法 に よれ ば,「 投 資 会 社 は,被 投 資 会 社 の 株式 へ の投 資 を,当 初 は 原 価 で 記 帳 し,そ の 後 は,株 式 取 得 日以降 に お け る ロ ロ リ ゆ ロ リ ロ ロ コ 被 投 資会 社 の利 益 も し くは 損 失 の うち 投 資 会社 の持 分 に 見 合 う額 を認 識 す る た め,当 該 投 資 の 貸 借対 照表 計上 額 を 増 額 も し くは 減 額 す る」(第24項)の で あ る。 但 し,「 当 該 増 減 額 は,集 団 内会 社 間 取 引 に よ って 取 得 した 資産 にか か る 未 実 現 利 益 を消 去 す るた め の 一 定 の 修 正 を 行 った 上 で,こ れ を投 資 会 社 の純 利 益 の算 定 に含 め る」(第24項)も の と され,「 当該 投 資 の 貸借 対 照 表 計 上 額 の修 正 は,ま た,被 投 資 会 社 の 資 本 の 変 化 が投 質 会 社 の 持 分 に及 ぼす 影 響 に関 す る 会 計 処 理 上 も必 要 で あ る」(第24項)と され て い る。 そ し て,原 価 法 とは 対 照 的 に,持 分 法 の も とで は,「 被投 資会 社 か ら受 け る む ロ コ の 配 当金 は,当 該 投 資 の貸 借対 照 表 計 上額 を 減額 せ しめ る が,投 資 会 社 の純 利 益 に は何 ら影 響 を 与 え る もの で は な い」(第24項)と され て い る。 それ は,「 配 当 金 受 領 額 は,被 投 資 会 社 の業 績 とは 関 係 が 薄 い 」(第27項)の で,「 受 領 した 配 当 金 を 基 準 と して 収 益 を 認 識 す る こ とは,当 該 投 資 に よ り稼 得 され た 収 益 を適 切 に 測 定 す る こ とに は な らな い」(第27項)か らで あ る。叙 上 の よ うな理 由 か ら, 本 草 案 で は,か か る持 分 法 に よ る会 計処 理 が,非 連 結子 会 社 のみ な らず,関 係 会 社 の 投 資 に対 して も適用 され るべ き もの とされ,更 に そ の持 分 法 の 適 用 に 当 って は,連 結 の 場 合 と同 様 な 手 続 を実 施 す べ き もの とされ て い る ので あ る。 即 ち,「 連 結 上 持 分 法 を 適用 す る上 で,適 切 な諸 方 法 の多 くは,子 会 社 の 完 全 な 連 結 を 行 な うに 際 して適 用 可 能 で あ った 諸 方 法 と同 様 な もの で あ る」(第49項) と連 結 手 続 の 準用 を 要 求 して い る の で,か か る持 分 法 が 適 用 され た 場 合,非 連 結 子 会 社 等 に お け る純 資産 の増 減 部 分 中,親 会 社 の持 分 相 当 額 は,連 結 損 益 に 加 減 され,そ の 結 果,連 結剰 余金 の増 減 と な っ て,結 局 は 連 結 純 損 益 と連 結 剰 余 金 とで み る限 り,当 該 子会 社 等 を連 結 した の と 同 じ効 果 を 上 げ る こ とが で き る こ とに な るの で あ る。 そ こで,会 計 原 則 審 議 会 意 見 書 第18号 で は,「連 結 と持 分 法 との 相違 は,財 務 諸
し 72 コ 表 上 に 報 告 され る詳 細 性 に あ る。従 って,従 属 会社 の 投資 が持 分法 で会 計 処 理 され よ うが,従 属 会 社 が 連 結 され よ うが,当 該 期 間 の 投資 会社 の純 利益 お よび コ ロ ゆ 当 該 期 末 の 株 主 持 分 は 同 一 で あ る」 と され て い るの で あ る。 しか も,か か る効 果 は,投 資 勘 定 に よ る 一 行 の 修 正 仕 訳 に よ っ て 達 成 さ れ る の で,そ の 効 果 的 側 面 を 把 え て,別 名 「一 行 」 連 結("one-line"consolidation)と 呼 ば れ る こ と も あ る が,持 分 法 と 完 全 な 連 結 と は,そ の 本 質 に お い て は,全 く別 個 の も の で あ る か ら,安 易 に 持 分 法 を 連 結 の 代 替 的 方 法 と し て 適 用 す る こ と は 許 さ れ な い の で あ る 。 元 来,持 分 法 は,原 価 法,時 価 法(market value method)等 と 並 ん で,投 資 株 式 の 評 価 に 適 用 さ れ る 一 つ の 評 価 方 法 で あ っ た も の が,1959年8月,米 国 公 認 会 計 士 協 会 公 表 の 会 計 調 査 公 報 第51号 に お い て,初 め てone-line consolidation と い う発 想 に 基 づ く持 分 法 の 会 計 思 考 が 連 結 会 計 基 準 に 導 入 さ れ た の で あ る 。 し か し,そ こ で は,未 だ 非 連 結 子 会 社 株 式 の 評 価 方 法 と し て,持 分 法 が 好 ま し い ゆ もの と され てい た にす ぎなか った が,1966年12月 公 表 の意 見 書 第10号 で は,国 内 に あ る非 連 結 子 会 社 に つい て は,原 価 法 は廃 され て,持 分 法 が 原 則 と され る に 至 った の で あ る。 更 に,1970年 代 に 入 っ て,世 界 の資 本 市 場 に おけ る株 式 支 配 の一 般 化 とい う今 日の経 済 社 会 の情 勢 の 中に あ っ て,特 に 過 半 数 所 有 に 至 ら な い が,投 資 先 会社 の経 営や 財 務 政 策 に重 要 な影 響 力 を もつ 投 資 会 社 が,各 種 の 資 本 提 携 の形 態 を と って激 増 し,そ の実 態 が益 々 複雑 化 して い る現 実 に 鑑 み て,ま ず英 国 で,1971年1月,会 計基 準運 営 委 員 会 に よる 「基 準 会 計 実 務 書 第 1号 一 関 係 会社 の経 営成 績 に 関す る会 計 」 に お い て,そ の問 題 の重 要 性 が 認 識
U9)AICPA,``APB Opinion No.18:The Equity Method of Accounting for
Invest- mentsInvest- in Common Stock,"March 1971. The Journal of Accountancy, June 1971.
para,19. p.66.
⑫① Ibid., para.14. p.65.
⑳ Paul Grady, Inventory of Generally Accepted Accounting Principles for
Busi- nessBusi- Enterprises,Busi- Accounting Research Study No.7,1965, para.19. p.323-4.
a2)AICPA,``APB Opinion No.10;Omnibus Opinion-1966'㌧The Journal of
連結会計基準 の国際的統一化 73 され て,か か る持 分 法 の 適用 範 囲 の拡 大が 図 られ た 。 続 い て,米 国 で も,同 年 3月 公 表 の 意 見 書第18号 に お い て,持 分法 の適 用 範 囲が 一 段 と拡 大 され,在 外 会 社 を 含 む 非連 結 子会 社 のみ な らず,50%所 有 の折 半 出 資 会 社,合 弁 会 社,更 に は20%な い しそれ 以 上所 有 の関 係会 社 に 対 す る投 賓 に つ い て も,持 分 法 に よ って 評 価せ ね ば な らな:いも の と され た ので あ る。 叙 上 の よ うな経 緯 か ら も明 らか な よ うに,本 草 案 で も,か か る方 向 で持 分 法 の適 用 が導 入 され た の で あ るか ら,そ れ は,米 国 の 連 結 会 計 基 準 に お け る よ う に,連 結財 務諸 表 上 のみ な らず,個 別 財 務 諸 表 上 で も考 え られ るの で あ るが, た だ,国 に よ っ ては,個 別 財 務 諸 表 上 の適 用 が 問 題 とな る こ とが あ る。 「た と えば 西 独 で は,一 般 的 解 釈 が 個 別 表 上 持 分 法 を 適用 す る こ とは違 法 だ と して い る …。 また,英 国 で は,個 別 表 に 持 分 法 を 適用 す る こ とは 行 な わ れ て い な い」 の で,か か る理 由か ら,本 草 案 で は,個 別 財 務 諸 表 上 で の持 分 法 の採 用 の有 無 に 拘 らず,連 結 財 務 諸表 上 で は これ を採 用 せ ね ば な らな い と した の で あ る(第26 項)。 従 って,本 草 案 で は,基 本 的 に は 持 分 法 の 適用 上,連 結 手続 が準 用 され て い る の であ るが,必 ず し も全 て の 場 合 に お い て,こ の連 結 会 計 思 考 が 貫 徹 され て い る とは 限 らな い の で,以 下 で は,主 と して かか る連 結 と 同一 の効 果 が 達 成 で き ない よ うな 問 題 点 に つ い て 考 察 して ゆ きた い と思 う。 まず 第1の 問 題 は,持 分 法 が連 結 子 会社 の株 式 に も適 用 され ね ば な らな い と い うこ とで あ る。 つ ま り,本 草 案 で は,持 分法 の適 用 は 非 連 結 子 会 社 と関 係 会 社 へ の 投 資 株 式 に は 強 制 され て い るが,連 結 子 会 社 株 式 に つ い て は 特 に 言 及 せ ず,む しろ 原価 の ま まで会 計 処 理 され る と も解 せ られ るの で あ る(第37項)。 こ れ も,非 連 結 子 会社 や 関 係会 社 の純 損 益 を 連 結 財 務 諸 表 上 に 導 入 す るた め の 手
㈱ ASSC, Statement of Standard Accounting、Practice No.1,``Accounting for the
Results of Associated Companies," (The Institute of Chartered Accountants in
England and Wales),1971.な お,原 光 世 稿 「英 国 に お け る 関 係 会 社 経 営 成 績 の 開
示 基 準 」 企 業 会 計 27巻3号(1975年3月)76-77頁 の 紹 介 も あ る 。
㈱ AICPA,``APB Opinion No.18ノ'op. cit。, p.63&p.65-66.
㈱ Ibid., PP.63.
74
⑳ こ の 点 に 関 連 し て,プ ラ イ ス ・ウ ォ ー タ ー ・・ウ ス 会 計 事 務 所(Price Waterhouse) の 調 査 結 果 に 基 い て,自 由 世 界38か 国 に お け る 連 結 財 務 諸 表 と個 別 財 務 諸 表 と の 関 係 や 持 分 法 の 適 用 状 況 な ど に つ い て,IASC加 盟 国 と そ の 他 の 国 に 区 別 し て,一 覧 表 に 整 理 し て 示 せ ば,お よ そ 次 の 通 りで あ る 。(Price Waterhouse International, Survey of Accounting Principles and Reporting Practices in 38 Countries, Sept.1973.) 第1表 財 務 報 告 制 度 と持 分 法 の 適 用 状 況
斎 趣
必 須 多 数 半 数 少 数 不 可 不適用 1.財 務 報告 制 度 1.連 結 財 務 諸 表 の み 0 (0) (2)4 (δ)(も
15 (7) 15 (0) 2.個 別財 務諸 表 のみ(8)
13 (3) (δ)(1)
11 (5) 10 (1) 3.両 財 務 諸表 の併 用 11 (5)(&)
(8)
(3)6 (0)0 16 (2) H.持 分 法 の適 用 状 況 1.非 連 結 子 会 社 . 3 (3) (も (δ) 8 (1) (1)3 21 (4) 2.50%所 有会 社(1)
(1)
(乙) (2)9(1)
18 (1) 3.50%以 下 の 合併 会 社 5 (5)(1)
0 (0)(;)
(1)
20 (1) 4.20%以 上 の 関 係会 社(1) (1)
0 (0)(;)
(1)
21 (1) 5.個 別 表 上 で の 適用 0 (0) 2 (2) 1 (0) 5 (1)(1)
28 (6) 〔注〕()内 の数値は,IASC加 盟 国の数を示す。 第2表 IASC加 盟国 の連 結 会 計 制度 の比 較\
\ 項 目
一\ 財 務 報 告 制 度 持 分 法 の 適 用 状 況国 名 \ \
1 2 3 1 2 3 4 5 ナ 一 ス ト ラ リ ア × × ◎ 一 △ △ △ 一 カ ナ ダ ○ △ 一 ◎ ○ ◎ ○ 一 フ ラ ン ス △ ○ △ △ △ △ △ 一 酉 ド イ ツ × × ◎ × × × × × 日 本 × ○ △ 一 一 一 一 一 メ キ シ コ × ○ △ ◎ ◎ ◎ ◎ △ オ ラ ン ダ × × ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ア イ ル ラ ン ド × × ◎ 一 ◎ ◎ ◎ 一 英 国 × × ◎ 一 ◎ ◎ ◎ 一 米 国 ○ 一 一 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ 〔注〕 上 欄 の数 字 は,第1表 の項 目番 号 を 示 し,◎ 印は 必 須,○ 印は 多 数,△ 印は 少 数,× 印 は不 可,そ して 一 印 は不 適用 を 表 わ す 。連結会計基準の国際的統一化 75 段 とし て持 分法 を 理 解 して い る こ とに よ るの で あ ろ うが,た とえそ れ が 連 結 に 際 して相 殺 ・消去 され て し ま うとは い え,投 資 株 式 の 評 価 方 法 と して優 れ て い る もの で あ る な らば,や は り連 結 子 会 社 に 対 して も持 分 法 は 適 用 され るべ きで あ る。 そ れ に も拘 らず,か か る両 者 に適 用 上 の差 異 を 認 め た こ とは,持 分法 の 適用 が技 術的 に煩 雑 な の で,そ の実 効 の上 る部 分 に の み これ を 求 め て,連 結 子 会 社 株 式 につ い て は,か か る技 術 的煩 雑 さを避 け た の で あ ろ うか 。 しか し,「 た とえ 原 価 法 で も,… 連 結決 算 で は 必ず 連 結 剰 余 金 の 計 算 を しな けれ ば な らな い。 この 連結 剰 余 金 の計 算 そ れ 自体 は,持 分 法 の計 算 と実 質 的 に 同 じで あ る。 む しろ 持 分法 で計 算 して お くこ と の方 が,同 時 に 連 結 剰 余 金 の 計 算 が 行 な え る し,連 結 手 続 が原 価 法 よ り容 易 に行 な い うる利 点 が あ る」 ので あ る。 更 に,本 草 案 で は 「投 資 会 社 の,被 投資 会 社 に対 す る 出資 持 分 の売 却 損 益 は, 連 結 損 益 計算 書 の上 で,売 却 時 に お け る連 結 貸 借 対 照 表 計 上 額 と売 却 代 金 との 差額 に よ って 認識 され なけ れ ば な らない 」(第56項)と され て い るが,こ の 場 合 に お け る貸借 対 照 表 計 上 額 と は,非 連 結 子 会 社 と関 係 会 社 に つ い て は,持 分 法 に よ る算 定額 で あ る の に対 し て,連 結 子 会 社 につ い て は,原 則 と して 原 価 で あ っ て,両 者 に お け る 売 却 損益 が異 な って計 上 され る とい う 問 題 が 生 ず る。 即 ち,投 資 会 社 の帳 簿 上 に おい て,非 連 結 子 会社 と関 係会 社 に つ い て は,「 投 資 先 会 社 よ りの損 益」 と して計 上 され た も のが,連 結 子 会 社 に つ い て は,「 投 資 先 会 社 株 式 の 売 却 損 益 」 と して計 上 され る こ とに な る の であ る。 第2は,持 分 法 適用 の一 時 的 中止 に関 す る問 題 であ るが,本 草 案 で は 「被 投 資 会 社 の 欠損 に対 す る投 資 会 社 の持 分相 当額 が,持 分 法 に よ って 計 算 され た 投 資 の 貸 借対 照 表計 上額 と被 投 資 会 社 に対 す る融 資 額 との 合 計 額 を 超 え る場 合 に は,投 資 会社 は通 常,持 分 法 の適 用 を中 止 す べ きで あ る」(第57項)1と 指 示 して い る。 そ して,「 そ の 後 に おけ る損 失 は,投 資 会 社 が 被 投 資 会 社 に対 して債 務 保 証 を して い る か,被 投 資 会 社 に対 し て さ らに 財 政 援 助 を 行 な う約束 を して い る場 合 の み に,こ れ を 計 上 す るべ き で あ る」(第57項)と い う見 解 を と って い ㈱ 稲 垣 冨 士 男稿 「IASC公 開 草 案 第3号 に 対 す る意 見 」 産 業 経 理 35巻3号(1975年 3月)65頁 。
76 る。 しか も,た とえ そ れ 以 降 に お い て,当 該 被投 資 会 社 が利 益 を計 上 した 場 合 で も,「 … 投 資 会 社 は,こ の 利益 の 自己持 分相 当額 が持 分法 の適 用 を 中 断 した 期 間 を 通 じて認 識 しな か った 損失 に対 す る 自己 持 分 相 当額 の全 額 を回 収 した 後 で な け れ ば,持 分法 の適 用 を再 開 す べ きで は な い」(第57項)と 欠 損 時 に おけ る 持 分 法 適用 の一 時 的 中 止 を指 示 して い るの で あ る。 か か る会 計思 考 は,連 結会 計 思 考 とは矛 盾 す る も ので あ り,持 分 法 適 用 の基 本 的 思 考 で あ る 「連 結 と同一 利 益 の報 告 」 に 一 致 し ない もの で あ る。 とい うの は,連 結財 務諸 表 必 要 性 の主 な理 由 の一 つ は,好 ま しか らざ る関 係 会 社(unfa『
vorable affiliations)また は 欠 損 従 属 会 社(losing subsidiaries)セこ関 す る情 報 が,
か か る 会社 の除 外 に よっ て,報 告 か ら隠 され る とい う可 能 性 に あ る と指 摘 され て い る よ うに,利 益 よ り も,む し ろ損 失 を 漏 らさず 認 識 す る こ とに こそ,そ の 意 義 が あ るか らで あ る。従 って,意 見 書 第18号 で は,「 しか しなが ら,投 資 先 会社 が 直 ち に営 業 利 益 を 計 上 し うるで あ ろ うこ とが 確 か な 場 合 に は,そ れ 以上 の損 失 に 対 して 引当 金 を 設 定 せ ね ば な らな い。 とい うの は,例 え ば,当 期 だ け の重
要 な非 反 復 的 損 失(material, nonrecurring loss of an isolated nature)に よっ て,
た とえ 投 資 先 会社 の 基 本 的 な 収益 活動 が毀 損 され て い な くて も,投 資 勘 定 は零 以 下 に 減 額 せ しめ られ る こ と もあ るか らで あ る」 と持 分法 の継 続 的 適 用 を 指 示 して い る。 か く して,本 草案 に お い て も,関 係 会 社 が 存 続 す る限 り,た と え巨 額 の 欠 損 が 計上 され て い て も,持 分法 が継 続的 に適 用 され る こと は,継 続 性 の 上 か ら も望 ま しい こ とで あ る と思 われ るの で あ る。 第3は,未 実 現 内部 利 益 の消 去 に 関 す る問 題 で あ るが,本 草 案 で は,「 企 業 集 団 に帰 属 す べ き損 益 は,集 団 内 の会 社 間取 引を 通 じて取 得 され た 資 産 の 帳 簿 価
(29)William H. Moore,"Accounting for Sources of Income,"The Journal of
Accountancy, April 1945. p.289.な お,か か る 思 考 がIASCに あ る こ と は,米 国 代
表 のJ.P.カ ミ ン グ ズ(Joseph P. Cummings) も 言 明 し て い る 。(AICPA,"An
Interview with Joseph P. Cummings, AICPA Representative to the International
Accounting Standards Committee,"The Journal of Accountancy, Oct.1974. p.
54.)
連結会計基準の国際的統一化 77 額 に 含 まれ て い る未 実 現 利 益 に つ い て,集 団外 の 持 分 に帰 属 す る部 分 へ の適 切 な配 慮 を 払 った 上 で,こ れ を 消 去 す るた め の 修 正 を しな け れ ば な らな い」(第51 項)と され て い る。 こ こで 問 題 に な るの は,「集 団 外 の 持 分 に帰 属す る部 分 へ の 適 切 な配 慮 を 払 った 上 で 消 去 す る」 とい う こ とは,具 体的 に どの よ うな 内容 の こ と を意 味 す るの か とい うこ とで あ る。 そ こで,既 に 述べ た よ うに,持 分法 の 適 用 は,連 結 と同 一 的 効 果 を 得 よ うとす る思 考 よ り発 想 した もの で あ るか ら, 「子 会 社 の完 全 な 連 結 を行 な うに 際 して 適用 可 能 で あ った 諸 方 法 」(第49項)に 立 返 っ て,考 えな け れ ば な らな い 。しか し,本 草 案 で は,未 実 現 内 部利 益 は 消去 せ ね ぽ な らな い が,そ の 際, 「当 期 に生 じた未 実 現利 益 は,少 数 株 主 持 分 に 対 す る適 切 な考 慮 を払 った 上 で,連 結 利 益 か ら控 除 す べ きで あ る」(第38項)と 同 じ趣 旨 の こ とが,や や 具 体 的 に 述 べ られ て い るに す ぎな い。 そ こで,ま ず 第1 に,持 分 法 の適 用 に 当 って 消 去 す べ き額 は,全 額 なの か,持 分 割 合 相 当額 な の か とい う問題 が生 じ,第2に は,一 応,全 額 消 去 した 上 で の 少 数 株主 へ の按 分 負担 を想 定 した も の で あ る のか も しれ な い とい う問 題 が生 ず るの で あ る。 まず,第1の 問 題 に つい て は,米 国 で は,100%未 満 の持 株 の場 合に は,会 計 ゆ 実 務 上,全 額 消 去 と持 分 相 当 額 消 去 の 両 者 の 方 法 が 実 施 さ れ て い る が,1971年 11月 公 表 の 意 見 書 第18号 の 注 解 で は,過 半 数 持 株 に よ る 支 配 が 存 在 し,か っ, ア ー ム ズ ・レ ン グ ス 取 引(arm's-length transaction)で な い 場 合 に は,未 実 現 内 部 利 益 は 全 額 消 去 す べ き も の と さ れ,「 そ の 他 の 場 合 に は,投 資 会 社 は 投 資 先 会 社 に 対 す る投 資 会 社 の 普 通 株 式 持 分 に 係 わ る 内 部 利 益 を 消 去 す る こ と が 適 切 で あ ろ う」 とそ の 見 解 が統 一 され て い る。 しか し,本 注 解 は持 分 法 会 計 上 で の み 適 用 され る もの で あ るか ら,連 結 会 計上 に適 用 され る 「グル ー プ内 に 残 る資 産 に 含 まれ て い る会 社 相互 間 損 益 は,全 て 消去 せ ねば な らない 」 とす る全 額 消 去 基 準 に は 影 響 を 及 ぼ さな い の で あ る。 そ こで,理 論 的 に は,連 結 会 計 と持 分
⑳ Paul Pacter,``Applying APB Opinion No.18-Equity Method," The Journal
of Accountancy, Sept.1971. P.56.
00 AICPA, Accounting Interpretation of APB Opinion No.18, para.1.
78 法 上 とで は,連 結 財 務 諸表 に報 告 され る利 益 が,異 質 的 な 性 質 の もの とな り, 「連 結 と同一 の利 益 を報 告 す る」 とい う持 分 法 の 基 本 的 会 計 思 考 の 破綻 を きた す こ とに な る の で あ る。 叙 上 の よ うに,最 近 の米 国 で は,会 計 士 国 際 研 究 グル ー プの 報 告 に も あ る よ うに,持 分 法 の適 用 に 伴 って,未 実 現 内 部 利益 が 投 資 会社 の 持 分割 合相 当額 で 消 去 され る とい う会 計 思 考 が 出 現 し始 め た が,本 草 案 に も,か か る思 考 の影 響 が あ る も の と考 え られ る。 つ ま り,親 子会 社 間 で は,持 分 割 合 が過 半 数 で あ るか ら, 全 額 消 去 して も,そ れ ほ ど金額 的 に は大 差 は な いが,持 株 率20%程 度 の 関 係 会 社 で 全 額 消 去 す る とな れ ば,随 分,親 会 社 の 負担 が過 重 に な り,一 見,不 均 衡 に み えて くる。 そ こで,か か る均 衡 概 念 を拡 大 し て,親 子 会 社 間 の取 引 に まで 適 用 され て く る と,消 去 され なか った 相 当な 金 額 は,連 結 財 務 諸 表 上,実 現 利 益 化 され て し ま う とい う重 要 な:問題 が 生 ず る ので あ る。 次 に,第2の 問 題 につ い て は,米 国 で は 「… 消 去 せ ね ば な らな い 会社 相 互 間 の利 益 また は損 失 の金 額 は,少 数 株 主 持 分 の 存 在 に よ り影 響 を 受 け る こ とは な い 。 会 社 相 互 間 の 損 益 を 完 全 に 消 去 す る こ とは,… 基 本 的 な 仮定 と一 致 す る。 会 社 相 互 間 の損 益(=未 実現 内部利益…引用者注)の 消去 は,過 半 数 持 分 と少 数 持 分 と に比 例 して 配 分 して も よい 」 と全 額 消 去 の 上 で,こ れ を支 配 株主 と少 数 株 主 に 按 分 負 担 させ る こ とは 認 め られ て い る。 しか し,こ の場 合 で も,連 結 会 計 に よ って 少 数 株 主 持 分 額 は 影 響 され るべ きで は な い とい う見 地 か らは,問 題 が 生 ず るの で あ る。 とい うの は,「 本 来 少 数 株 主 は,各 個別 の子 会 社 貸借 対 照 表 ・ 関 係 会 社 貸 借対 照 表 で 自己 の 持 分 額 を 主 張す る もの で あ る。 そ れ に もか か わ ら ず,連 結 表 上 で 少 数 株 主 持 分 の金 額 を 増減 させ る こ とは,結 果 的 に非 現 実 的 な コ コ コ コ 少 数 株 主 持 分額 を表 示 す る こ とに な って しま い,連 結表 そ の も のが 非 現 実 的 な 会 計 数 値 の 総 合 に な る」 か らで あ る。
04 Accountats International Study Group, Series No.6, Consolidated Financial
Statements, AICPA,1972. para.65.
ag Paul Grady, op. cit., para.14, p.322.
連結会計基準の国際的統一化 79 IV 結 本 草 案 で は,「 連 結 財 務 諸 表 は,個 別 の 法 人 格 か らす る 法制 上 の垣 に と らわ れ ず に,あ たか も,そ れ が 単 一 の 企 業 体 で あ るか の よ うに,当 該 企 業 集 団に 関 す る財 務 情 報 を 提 示 す る もの で あ る」(第17項)と す る と ころが ら,被 投 資 会 社 に 対 す る投 資 株 式 に つ い て も,既 に み た よ うに,当 該 被 投 資 会 社 を 全 て 連 結 し た 場 合 と同 じ効 果 が 得 られ る よ うに 会 計処 理 す る こ と を基 本 的 に 要 請 す る こ と は,論 理 上 の 当 然 の 帰 結 で あ る とい え るで あ ろ う。 しか し,議 決 権 株 式 の過 半 数 を所 有 して,完 全 に 支 配的 利 害関 係 の存 在 す る子 会 社 と,過 半 数 未 満 の所 有 で 重 要 な 影 響 力 しか存 在 しな い関 係 会 社 とは,所 詮,会 計 上 区 別 して取 扱 わ れ ね ぽ な らな い。 そ こで,同 じ連 結会 計 思 考 に 立 ち なが ら も,前 者 に 対 して は, 当該 会 社 の全 て の財 産 お よび損 益 項 目を 連 結 財 務 諸 表 に連 結す る と ころ の全 部 連 結(full consolidation)が 適 用 され,後 者 に 対 して は,連 結 貸 借対 照 表 上 の投 資 株 式 と連 結 損 益 計 算 書 上 の 関 係 会 社 損 益 で の み 表示 す る と ころ の一 行 連 結 が 適 用 され る ことに な る ので あ る。 か か る意 味 に お い て,本 草 案 の 意 図 して い る よ うな連 結 持 分 法 会 計 は,経 済 的 実 体 観 に立 つ 企 業 集 団 と して の 連 結 財 務諸 表 の 作成 ・公 表 を前 提 としな い 限 り,認 め られ な い も の な の で あ る。 従 って,わ が 国 の 商 法 や 企 業 会 計 原 則 で は,法 律 的 実 体 観 に 立 つ 個 別 企 業 と して の個 別 財 務 諸 表 ゐ作 成 ・公 表 を 前 提 と して い るの で,こ れ は 認 め られ な い の で あ る。 そ こで,原 価 法 の 立 場 を 基 本 的 に 維 持 しな が ら,持 分 法 の 立場 か ら批 判 され てい る問 題 点 を 改 善 す る方 法 と し て,重 要 な非 連 結 子 会 社 に対 し て 「そ の 従 属 会 社 に 対 す る 支 配 会 社 の 投 資 原 価,支 配 会 社 の持 分,そ の従 属 会 社 の 当期 純 利 益 そ の 他 必 要 な 財 務 的情 報」 の ほか に,当 該 「従 属 会 社 と連 結 会 社 との 取 引 に よ って 発生 した未 実 現 損 益 の金 額 が 多額 で あ る場 合 に はそ の 旨」 を 連 結 財 務 諸 表 の脚 注 に 注記 す る こ とが 要 求 され る こ とに な る。 しか し,現 行 商 法 の規 定 上 に,当 該 問 題 に 関す る定 め の な ㈹ 大蔵省企業会計審議会 前掲意見書 連結基準八4(1) ㈱ 同上 連結基準八4(2)
80 い の は,現 行商 法 自体 が 連 結 財 務 諸 表 そ の もの を前 提 と して考 え られ てい ない か らで あ っ て,も し連 結 財 務 諸 表 を 前 提 と した 思考 が導 入 され た 場 合 には,持 分 法 の適 用 も許 され るの で は な い か とい う問題 が生 ず る の で あ る。 こ の点 に関 して,矢 沢 教 授 は,原 価 以 上 に な る実 価 で の 評 価 は,現 行 法 上,単 独 財 務 諸 表 で は 許 され な い が,連 結財 務 諸 表 が 特 別 な追 加 情 報 を 示 す もの とす れ ば,単 独 財 務 諸 表 の 評価 基 準 に は よ らな い の だ と割 り切 れ ば,実 価 法 に よ る こ と も不 可 能 で は な い と発 言 され て い る。 また,稲 垣 教 授 は,こ の点 に 関 して 「実 価 法 を適 用 した 結果,投 資株 式 が 評 価 増 され る点 は,た しか に 現 行 の わ が 国 の 法 制 上 で は 問題 で あ ろ う。 しか し これ とて も,技 術 的 に そ の 批 判 を 回 避 す ゆ る こ とは可 能 で あ る」 とされ,持 分 法 に よ る投 資 株 式 の 評価 増 減 を連 結精 算表 上 で の み修 正 記 入 す る方 式 を 提 唱 され て い る。 更 に,第2法 と して,個 別 会社 の帳 簿 上 に も これ を 反 映 させ,投 資 株 式増 価 勘 定 と従 属 会社 振 替 損益 勘 定 とを 対 照 勘 定 と考 え て,支 配 会 社 の 個 別 報 告書 上 か らは 削 除 し, 「借 方 の投 資 株 式 増 価 勘 定 と投 資 株 式 の原 価 とを 合 計 した金 額 が,当 該株 式 の実 価 を示 す こ とに な り,貸 方 の 従 属 会 社 振 替 損 益 勘 定 と支配 会社 個有 の利 益 剰 余金 とを 合 計 した ゆ 金 額 が,連 結 剰 余 金 を 意 味 す る こ とに な る」 と具 体 的 に会 計 技 術 上 か ら当該 問 題 を解 決 し うる可 能 性 と方 向 を示 唆 され て い る の で あ る。 既 に 述 べ た よ うに,本 草案 で は叙 上 の よ うな持 分 法 の適 用 は,単 に 連 結 財 務 諸 表 上 で の み要 求 され て い る の で あ るが,そ れ は,わ が 国 の連 結 意 見 書 に おい て も全 く見 られ な い もの で あ り,し か も,中 島 教 授 に よれ ば,「 この 要 求 に つ い て は,世 界的 な大 勢 と して,こ れ に 反 対 して も他 の国 の 協 調 は え られ な い 情 勢 で あ った」'と報 告 され てい るだ け に,特 に 慎 重 か つ 迅 速 に 解 決 せ ね ば な らな い重 要 な問 題 で あ る と思 わ れ る。 た だ,現 在 の と こ ろで は,「 会 計処 理 に か ん ⑳ 矢 沢惇 「連 結 財 務 諸表 制 度 実 施 の 方 向 と問 題 点 」 に 関す る座 談 会 に お け る発 言,企 業 会 計 46年:9月 臨 時増 干旺号 125頁 。 ㈹ 稲 垣 冨 士 男 稿 「連 結財 務 諸 表 の 問題 点一 投 資 株 式 の実 価 法 ・棚 卸 法 一」 税 経 通 信 29巻9号(49年8月)15頁 。 ω 同上 16頁 。 ㈱ 中 島省 吾 前 掲稿(企 業 会 計)73頁 。
連結会計基準の国際的統一化 81 す る諸 基 準 の 国 際 的 統 一 化 が 進 め られ て ゆ く過 程 に お いて 各 国 の会 計 原 則,法 規 と の食 違 い が に わ か に 解 消 で きな い とい う現 実 的 判 断 の上 に 立 てば,少 な く と も会 計 方 針 の 開 示 とい う形 で それ ぞれ の財 務 諸 表 の作 成 表 示 が 国 際 会 計 基 準 か ら隔 って い る事 実 が 明 らか に され る こ とが 期 待 され る」 ので,「 各 国 の 会 計 コ ロ コ 実 践 に は そ の 意 味 で の経 理 自由 が容 認 され る とと もに,他 方 で は 国 際 会 計 基 準 コ リ コ ロ ロ と して の 会 計方 針 の 開 示 に よっ て結 局 は統 一 化 の効 果 が 確 保 され る」 とみ る柔 軟 な方 向 か ら漸 次厳 格 な方 向へ と移 行 ・発 展 して ゆ くこ とが,国 際 性 と風 土 性 との 相剋 とい う難 問 を抱 え た 「会 計 基 準 の国 際 的 統 一 化 」 の た め の 無理 の な い り コ コ リ サ リ ロ リ コ 一 つ の発 展 方 向 で あ り,ま た 公 共 の利 益 のた め に,世 界 的 に 承 認 され遵 守 され る途 を開 いて ゆ くこ とに もな るの で は な い か と思 わ れ るの で あ る。 (50,3.31.稿) ㈱ にの 溝 ロー 雄 編 「会 計 方 針 の 開 示 」 会 計 107巻3号(50年3月)4頁 。 な お,こ れ に 近 い 考 え 方 は,IASCの 米 国 代 表 で あ るJ. P.カ ミ ン グ ズ(Joseph P. Cummings)に も み ら れ,当 初 は 差 異 の 開 示 に よ る 統 一 化 効 果 の 達 成 が 意 図 さ れ て い る よ うで あ る 。 (AICPA,``An Interview with Joseph P. Cummings, AICPA Representative to the International Accounting Standards Committee," The Journal of Accountancy, Oct.,1974, p.56.)