マ
ラ
ヤ
の
自
然
環
境
と
経
済
生
活
桑
田
幸
・ 三 は し が き 漢 民 族 の 海 外 進 出 の 事 実 は 、 近 世 か ら 現 代 に い た る 世 界 の 経 済 史 に お い て か な り 重 要 な 事 象 の 一 つ で あ る と 思 う 。 私 は (1 ) さ き に ﹁ 明 代 に お け る 華 僑 発 生 の 経 済 的 要 因 ﹂ を 吟 味 し た 。 そ の さ い 海 外 と く に 東 南 ア ジ ア 方 面 へ の 華 僑 の 大 量 進 出 は 、 明 代 と く に 明 末 に 近 い 嘉 靖 ( 一 五 二 ニ ー 六 六 ) ・ 万 暦 ( 一 五 七 三 一 一 六 一 九 ) の こ ろ に 集 中 的 に 認 め ら れ る こ と 、 そ の 原 因 と し て 、 明 初 以 来 の 外 部 的 な 刺 戟 や 造 船 ・ 航 海 技 術 の 発 達 な ど の 諸 条 件 が 成 熟 し て き て い た こ と 、 明 代 後 半 以 降 、 政 治 の 弛 緩 . 堕 落 に 伴 い 、 財 政 の 膨 脹 ・ 苛 斂 誅 求 を 惹 起 し 、 . 一 般 民 衆 の 経 済 生 活 を 圧 迫 し た こ と 、 と く に 通 貨 政 策 に お け る 失 敗 が 民 衆 の 経 済 生 活 を 混 乱 さ せ 、 経 済 価 値 を 奪 取 す る 役 割 を 果 し た こ と 、 西 洋 諸 国 と の 接 触 に 伴 い 、 中 国 へ の 洋 銀 の 大 量 流 入 が あ り 、 国 内 銀 価 の 暴 落 が 起 り 、 民 衆 の 経 済 生 活 の 破 綻 を 促 進 し た こ と 、 な ど を 指 摘 し た 。 華 僑 を 送 り 出 し た 側 の 事 情 は 、 そ の 後 、 清 代 、 中 華 民 国 と 時 代 が 下 る に つ れ て 変 遷 も あ っ た で あ ろ ヶ し 、 華 僑 発 現 の 地 域 的 な 欄 題 な ど 、 考 究 す べ き こ と が 少 な く な い 。 し か し 、 華 僑 に 関 す る 経 済 史 的 考 察 を 進 め る 過 程 で 、 華 僑 を 送 り 出 す 側 の 事 情 と と も に 、 そ れ を 受 け 入 れ る 側 の 事 情 を も 併 せ て 吟 味 す る こ と が 必 要 に な っ て く る 。 華 僑 の 発 出 と 受 容 と 、 両 面 あ い ま っ て 始 め て そ の 発 展 過 程 の 全 容 を 把 握 し 、 そ の 本 質 を 認 識 す る こ と が で き る と い え よ う 。 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 括 一 〇 九マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 、 , 一 一 〇 華 僑 の 進 出 先 は 地 球 上 ほ と ん ど 全 面 に お よ ぶ 。 し か し 、 そ の 九 六 パ ! セ ッ ト は ア ジ ア に 集 中 し 、 ど り わ け 東 南 ア ジ ア が を そ の 大 部 分 を 占 め て い る 。 そ の 東 南 ア ジ ア の 自 然 的 ・ 社 会 的 環 境 は 、 世 界 の 他 の 部 分 と 比 較 し て か な り 特 徴 的 で あ る 。 こ の 地 域 を 中 心 に 、 西 は イ ン ド か ら 東 は 日 本 に お よ ぶ 地 域 の 風 土 は 地 理 学 上 ]≦ 8 ω o o 口 ﹀ ωご と 呼 ば れ る こ と が 多 い よ う で あ る 。 強 烈 な 太 陽 、 多 量 の 降 雨 、 こ れ ら に 伴 う 豊 富 な 植 生 に よ っ て 、 東 南 ア ジ ア の 風 土 は い わ ゆ る 湿 潤 熱 帯 = 二 日 達 ↓8 営 。 の 典 型 を な す 。 こ こ に 住 む 人 々 は 、 こ の 自 然 環 境 に 適 応 し な が ら 、 そ れ ぞ れ 独 自 の 経 済 生 活 を 展 開 し て き た の で あ る 。 だ が 、 一 口 に 東 南 ア ジ ア と い っ て も 、 か な り の 地 域 差 が 認 め ら れ る 。 複 雑 多 様 な 自 然 的 ・ 社 会 的 環 境 を 理 解 し 、 人 間 と 環 境 と の 相 互 作 用 を 観 察 す る た め に は 、 こ の 地 域 的 差 異 を 捨 象 し た 、 抽 象 的 な 概 括 を 行 な う だ け で は じ ゅ う ぶ ん と は い え な い 。 ま た 、 便 宜 的 、 . 政 治 的 な 地 裁 区 分 に の み 依 る こ 乏 な く 、 経 済 地 理 的 な 観 点 か ら 区 分 す る 必 要 も あ ろ う 。 そ れ に は 、 地 理 学 や 生 態 学 な ど 関 連 諸 科 学 の 援 助 を 得 て 、 そ の 知 識 や 理 論 を 利 用 す る こ と が 望 ま し い 。 い な 、 む し ろ 必 要 で あ ろ う 。 私 は 一 九 六 八 年 以 来 、 ホ ン コ ン ・ マ カ ナ ・ 台 湾 に 遊 ぶ 機 会 を 得 た が 、 昨 年 ( 一 九 七 〇 年 ) に は 在 外 研 究 員 と し て 、 シ ン ガ ポ ー ル か ら マ レ イ シ ア を 経 由 し て タ イ 困 に 出 彌 じ 、 親 し く 現 地 の 華 人 と も 接 触 し 、 ま た 大 学 そ の 他 の 研 究 機 関 、 博 物 館 等 (4 ) を 訪 れ て 資 料 を 蒐 集 す る こ と が で き た 。 こ の よ う な 経 緯 か ら 、 本 稿 で は 、 華 僑 受 容 地 域 の 数 あ る 中 の 一 つ と し て ﹁ マ ラ ヤ ﹂ を 選 び 、 三 百 万 の 華 僑 を 擁 す る マ ラ ヤ の 自 然 的 環 境 と 、 そ こ に 織 り な さ れ た 経 済 生 活 の 特 徴 を 、 .経 済 史 的 な 観 点 か ら 吟 味 し た い と 思 う 。 低 開 発 国 の 発 展 へ の 離 陸 が 世 界 経 済 の 重 要 課 題 の 一 つ と せ ら れ る 今 日 、 マ レ イ シ ア 経 済 の 発 展 へ の 条 件 を 模 索 す る こ と は 、 本 稿 の 副 次 的 な ね ら い で あ る 。 ( 1 ) 彦 根 論 叢 第 一 四 五 号 (昭 和 四 十 五 年 九 月 ) ,( 2 ) 同 右 五 十 一 頁 参 照 。
・ ( 3 ) 昭 和 四 十 五 年 七 月 十 五 日 か ら 同 年 八 月 二 十 八 日 ま で 。 な お 、 昭 和 四 十 五 年 七 月 十 三 日 以 降 、 京 都 大 学 東 南 ア ジ ア 研 究 セ ン タ ー 学 外 研 究 参 加 者 の 委 嘱 を う け 、 種 々 研 究 上 の 便 宜 を 与 え ら れ て い る こ と を 付 記 し て 謝 意 を 表 す る 。 ( 4 ) 独 立 国 マ ラ ヤ 連 邦 ( 一 一 州 ) お よ び 英 国 統 治 下 の 自 治 州 で あ っ た シ ン ガ ポ ー ル な ら び に 英 国 植 民 地 で あ っ た 北 ボ ル ネ ナ ( 現 在 の サ バ 州 ) サ ラ ワ ク ( 現 サ ラ ワ ク 州 ) の 一 四 州 が 合 体 し て 、 一 九 六 三 年 九 月 に ﹁ マ レ イ シ ア ﹂ が 成 立 し た 。 一 九 六 五 年 八 月 、 シ ン ガ ポ ! ル が 分 離 ・ 独 立 し た 。 ボ ル ネ オ 海 を 隔 て て 、 マ レ イ シ ア は 束 と 西 に 二 分 さ れ て お り 、 そ れ ぞ れ を ﹁ 東 マ レ イ シ ア ﹂ ・ ﹁ 西 マ レ イ シ ア ﹂ と 呼 ぶ 。 本 稿 で は 、 そ の う ち ﹁ 西 マ レ イ シ ア ﹂ の み を 対 象 と す る 。 ﹁ 西 マ レ イ シ ア ﹂ ≦ ① 。。 汁 冒 ﹄ 坦 く ω 冨 は ま た ℃ o 巳 霧 巳 鴇 言 § 嵩 置 と 呼 び 、 ま た 竃 巴 9 旨 と も 称 す る 。 本 稿 で は ﹁ マ ラ ヤ ﹂ を 用 い る こ と と し た 。 こ の 点 に 関 し て 、 ﹀ 言 9 塁 .竃 ① 崔 ℃ ロ び 嵩 o ⇔ 寓 o 昌 か ら 出 さ れ た ↓ ず o ω 冒 o 犀 ω 目 ヨ ① ω 弼 ﹁ 窃 ψ の .寓 o 置 く ω 訂 罵 o 鴇 切 o o 犀 . 一 ㊤ ざ に つ い て み る に 、 O 。 o αq 吋 昌 ξ の 章 で マ レ イ シ ア の 面 積 を 区 分 し て 、 = 巴 里 P ω 鷺 9 ≦ 鴇 お よ び ω 筈 魯 の 三 地 域 と し て い る 。 ま, た 、 同 書 一 四 べ ! ジ の 言 。。 噂 o h 竃 p l 冨 鴇 ω 冨 1 ℃ o 安 8 巴 1 を み る に 、 西 園 レ イ シ ア の 部 分 を ]≦ Ω。 ﹃ 養 と 表 示 し て い み 。 一 ` 一 九 六 六 年 の 統 計 に よ 露 、 マ ・ や の 国 内 総 生 産 の 二 八 パ 毛 ζ は 農 禁 肇 ・ 八 パ ー セ ソ ・ が 鉱 業 で 占 め ら れ て い ・ る ・ ま た. 死 四 七 年 の 合 級 講 に よ る と 有 業 合 2 ハ 四 パ ー セ ン ト が 第 一 次 産 業 (内 訳 ゴ ム 馨 一六 パ ← ン ・ ・ 米 作 二 五 パ ー セ ン ト な ど ) 、 ニ パ ー セ ン ト が 鉱 業 と な っ て い る 。 . こ れ ら の 数 字 か ら 明 ら か な よ う に 、 マ ラ ヤ で は 今 日 で も 農 林 水 産 業 お よ び 鉱 業 な ど 、 自 然 環 境 に 左 右 さ れ る こ と の 大 き い 産 業 部 門 が 、 , 扇 民 経 済 の 中 で 大 き な 比 重 を 占 め て い る 。 (3 ) 人 間 の 歴 史 発 展 の 過 程 に お い て 、 自 然 が 演 じ る 役 割 に は 不 断 の 変 化 が み ら れ る 。 と い わ れ る と お り 、 近 代 に お け る 科 学 お よ び 技 術 の 発 展 は 、 怡 然 的 環 境 を 相 対 的 に 変 化 さ せ る こ と に 、 あ る 程 度 成 果 を あ げ つ つ あ る 。 こ の 点 、 マ ラ ヤ に お い て も 、 多 く の 改 善 が 認 め ら れ る が 、 な お 現 状 に お い て は 、 湿 潤 熱 帯 的 な 気 候 風 土 が 人 間 の 営 み を 頑 強 に 制 限 し つ づ け て い る 面 が 少 な く な い よ う で あ る 。 (4 ) マ ラ ヤ の 地 理 的 な 位 置 か ら 概 観 を 進 め て い こ う 。 マ ラ ヤ は お お む ね 北 緯 一 度 か ら 七 度 、 東 経 一 〇 〇 度 か ら 一 〇 四 度 の 間 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 、 一. 一 一
マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 . = 二 . に 教 説 。 東 は 南 シ ナ 海 に 面 し 、 西 は マ ラ ッ カ 海 眺 を 隔 て て イ ン ド ネ シ ア 領 の ス マ ト ラ 島 に 対 す る 。 北 は 南 タ イ の 半 島 部 に ﹂ 接 続 し 、 南 は .一 衣 帯 水 の ジ ョ ホ ー ル 水 道 を 隔 て て シ ン ガ ポ ー ル に 接 す る 。 , (6 ) こ の よ う な 相 対 位 置 は 長 い 年 月 の 間 に 漸 次 確 立 し て き た わ け で 、 許 雲 樵 教 授 に よ れ ば 新 生 代 の は じ め 、 マ ラ ヤ は 半 島 で は な く て 、 ﹁ イ ン ド ・ マ レ ー 地 塊 ﹂ の 一 部 を な し 、 ボ ル ネ オ . ス マ ト ラ ・ ジ ャ ワ な ど と 一 体 憎 あ っ た 。 今 か ら 一 五 〇 〇 万 年 ほ ど 前 、 第 三 紀 の い わ ゆ る ﹁ ヒ マ ラ ヤ 造 山 運 動 ﹂ に よ っ て マ ラ ヤ は 一 段 と 内 陸 化 し た 。 洪 積 世 の 最 後 氷 期 、 今 か ら 約 二 万 五 千 年 前 に 世 界 的 な 気 候 の 温 暖 化 、 海 水 の 膨 脹 が 起 っ た と き 、 低 地 が 湾 没 し て マ ラ ヤ の 陸 地 は 一 連 の 島 嶼 と 化 し た 。 そ し て こ の 二 万 五 千 年 来 の 侵 触 と 沖 積 と に よ っ て 、 こ れ ら の 島 嶼 は 相 互 に 連 続 し て 一 つ の 半 島 を 形 成 す る に い た っ た 。 と い う 。 囮 … 酬鰍㎜甜 一 。 蜘L巴5 邑B剛 ・出血 嘩 , ・ , ・ 騨 購 伸 . ㈱ 岡 b 亀 .恥 一 襲 島 N 脅
繊
翳
鷲
笏
.雛
/ n, G ㎝ ♂ .鷺
夢
姦'赴
灘
灘
O 観 繊 か 亀 西 . 獄 鰍 酬 φ 副 ご AN懸
。 。 礪鯉
MA ACC柳 Iacc亀鞍1
刈幽 艶'盟._ Fig.「1-Malaya:general.featuresSource:H. Robinson. Monsoon Asia,1966.
マ ラ ヤ の 地 形 に つ い て は 国 αq μ が よ く そ の 特 徴 を 表 現 し て い る 。 マ ラ ヤ の 総 面 積 約 五 万 一 千 平 方 マ イ ル ( 約 二 二 万 一 千 平 方 キ ロ メ ー ト ル ) の お よ そ 四 分 の 三 は 丘 陵 と 山 地 と で あ り 、 山 脈 は 南 北 な い し 北 北 西 -南 南 東 の 方 向 に 走 っ て い る 。 中 央 山 脈 O ① 三 邑 蜜 昌 σq Φ は タ イ と の 国 境 か ら 南 下 し 、 南 南 東 に 折 れ て マ ラ ッ カ ζ ︾ ピ ー > O O > を 指 向 す る 。 中 央 山 脈 の 西 に は ビ ソ タ ソ 山 脈 噛 チ Φ 切 言 ↓§ αq 窓 鵠 σq ① が 北 の 国 境 か ら 南 下 し て タ イ ピ ン ↓ 9 ℃ 冒 σq に ・い た る 。 中 央 山 脈 の 東 側 は ケ ラ ン タ ン 鴇 1 い > 2 ↓ > 2 や ト レ ソ ガ ヌ 月 国 国 Z O O > Z ¢ の {向 原 で 、
\ マ ラ ヤ の 最 高 峯 タ ハ ソ 山 O 信 8 p σq ↓ 雰。 言 口 ( 七 一 八 六 フ ィ ー ト 回 二 一 九 〇 メ ー ト ル ) . が あ る 。 こ れ ら の 三 大 山 地 は 、 マ ラ ヤ の 主 要 な 河 川 、 す な わ ち ペ ラ ク 河 ω § σq 巴 ℃ ⑦ 鑓 犀 、 ケ ラ ン タ ソ 河 Qn § σq 鉱 囚 ① ご 三 碧 お よ び パ ハ ソ 河 ω 琶 σq 鉱 冨 冨 5 の 流 域 を 決 ・ 定 し て い る 。 ベ ラ ク 河 ( 全 長 約 .一 七 〇 マ イ ル ) は 、 ビ ン タ ソ 山 脈 と 中 央 山 脈 の 間 を 南 流 し て マ ラ ッ カ 海 峡 に 入 る 。 反 対 側 の 、 中 央 山 脈 と ト レ ソ ガ ヌ 高 原 と の 問 を ケ ラ ン タ ン 河 ( 全 長 約 一 七 〇 マ イ ル ) が 北 流 し 、 パ ハ ン 河 ( 全 長 約 二 〇 〇 マ イ ル " マー ラ や 最 長 ) は 南 流 し 東 に 折 れ る 。 ケ ラ ン タ ン ∴ ハ ハ ソ 面 河 は 南 シ ナ 海 に 注 い で い る 。 さ 山 地 の 多 い 半 島 中 心 部 の 両 側 に は 、 励 々 の 海 岸 平 地 が ひ ら け て い る 。 南 の 方 は 起 伏 の 多 い ジ ョ ホ ー ル δ 国 O 田 の 丘 陵 で 、 = 一〇 〇 メ レ ト ル 級 の 山 が 点 在 し て い る 。 強 烈 な 画 一 的 な 降 雨 の せ い で 、 河 川 の 上 流 は 一 般 に 河 幅 が せ ま く 水 流 が 速 い 。 特 に は 曲 り く ね っ た 急 流 を 形 作 り 、 ま た 時 に は 絶 壁 の 峡 谷 を 形 成 す る 。 下 流 は 海 岸 平 地 の 下 り 傾 斜 で 、 山 々 の 側 面 の 広 い 平 地 を 横 切 っ て 緩 慢 に 流 れ る 。 マ ラ ッ カ (7 ) ・ 海 峡 に 注 ぐ 河 川 は 概 し て 河 口 近 く で 泥 化 し 、 マ ン グ ロ ー ブ が 湿 地 に 生 え て い る 。 東 海 岸 で は 海 へ の 河 口 が 、 南 シ .ナ 海 の 強 き .い 潮 力 に よ っ て 作 ら れ た 砂 州 に よ っ て 妨 げ ら れ 、 船 舶 の 航 行 を 困 難 に し て い る 。 海 岸 は 砂 地 が 多 く 、 大 概 カ ス ア リ ナ 木 が 生 え て お り 、 こ の 木 の 下 を 通 っ て 河 口 か ら 河 口 へ 岩 石 の 岬 を 迂 回 し て 行 く こ と も 出 来 る 。 マ レ イ 半 島 の 五 分 の 四 の 地 表 は 森 林 と 沼 沢 で あ る 。 海 岸 と 森 林 山 地 と の 中 間 の 内 陸 部 は 農 耕 地 帯 で あ る 。 ゴ ム や パ ー ム ナ イ ル の エ ス テ ー ト や 小 経 営 が 多 く み ら れ る 。 米 作 は い た る 所 に 見 か け ら れ る が と く に 北 部 の ペ ル リ ス ℃ 国 男 岩 ω ケ ダ ー 冨 O > = ウ エ ル ズ リ ー 男 切 ○ ≦ Z O 国 ≦ 、国 ﹃ ピ 国 ω い 団 団 ( ペ ナ ン の 対 岸 に あ り 、 ペ ナ ン 州 に 属 す る ) 、 ペ ラ ク ℃ 国 ㌍ 囚 の 北 部 お よ び ケ ラ ソ タ ン 河 の デ ル タ 地 帯 な ど が 中 心 で あ る 。 採 鉱 は ペ ラ ク や セ ラ ソ ゴ ー ル ω 円 い > Z O O 菊 地 方 に 多 く み ら れ る 。 半 島 の 東 西 両 側 の 島 々 は 保 養 と 観 光 に 適 し て い る 。 ラ ソ カ イ 島 ℃ 三 p ロ い き σq 厨 註 や ﹁ 東 洋 の 真 珠 ﹂ と 呼 ば れ た ペ ナ ン 島 凸 勺 身 § σq Hω ド 巳 や 、 か つ て ナ ラ ン ダ 領 で あ っ た パ ソ コ ー ル 島 押 目 αq パ 自 軍 碧 蔚 な ど は マ ラ ッ カ 海 峡 に 位 置 し 、 テ ィ オ マ ン マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 ' 、 一 = 二
. ● マ ース ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 、 . 一 一 四 島 ℃ 巳 窪 目 o 日 p 昌 は 南 シ ナ 海 域 で 最 大 の 島 で あ る 。 マ ラ ヤ の 気 候 は 、 ケ ッ ペ ソ の い わ ゆ る ﹁ 熱 帯 雨 林 気 候 区 ﹂ ﹀ { .の 諸 特 徴 を そ な え て い る 。 気 温 の 年 較 差 が 小 さ く 、 一 年 (9 ) 中 高 温 多 湿 多 雨 で あ る 。 熱 帯 雨 林 の 形 成 は ま え に 見 た と お り で あ る 。 ラ テ ラ イ ト 土 壌 地 帯 に は ゴ ム を 中 心 と す る 樹 木 農 業 が 盛 ん に 行 な わ れ て い る 。 モ ン ス ー ン の 影 響 で ﹀ ヨ 気 候 -熱 帯 季 節 風 気 候 に 区 分 す べ き 地 域 が か な り み ら れ る こ と 、 の ち に 見 る と お り で あ る 。 マ ラ ヤ の 気 候 は 一 般 に モ ン ス ー ン 的 な 風 系 に よ っ て 和 ら げ ら れ て い る と い え よ う 。 だ か ら 、 全 体 と し て の 気 候 は 時 に 、 ま た 所 に よ っ て は 不 快 で あ る と し て も 海 岸 地 方 で は 快 適 で 、 湿 度 も が ま ん で き な い 程 で は な い 。 北 東 お よ び 南 西 の モ ン ス ー ン に よ っ て 一 年 は 二 期 に 分 け ら れ る 。 北 東 モ ン ス ー ン 、は 十 月 か 十 一 月 に 始 ま り 、 二 月 か 三 月 ま で 続 く 。 南 西 モ ン ス ー ン は 四 月 の 中 頃 か 五 月 か .ら 吹 き は じ め 、 九 月 か 十 月 中 頃 ま で つ づ く 。 二 つ の モ ン ス ー ン の 中 間 期 は 、 そ れ ぞ れ 八 週 間 く ら い で 、 こ の 時 期 に は 卓 越 風 は な い が 、 対 ■
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F三g.2一 ⊃吻laya:rainfa】1.Source:H. Robinson. Monsoon Asia,1966
流 的 な 降 雨 が 毎 日 あ り 、 雨 量 は 多 い 。 西 部 お よ び 内 陸 部 で は こ の . 時 期 が 雨 量 最 大 で あ る 。 東 海 岸 で は 北 東 モ ン ス ー ン 期 に 、 反 対 に 西 海 岸 と く に マ ラ ッ カ 地 域 で は 南 西 モ ン ス ー ン 期 に 雨 量 が 最 大 で あ る 。 年 平 均 雨 量 は 閃 茸 N に 見 る よ う に 一 〇 〇 イ ン チ 前 後 で あ る が 、 年 ご と に 、 ま た 地 域 に よ っ て 相 当 較 差 が あ る 。 さ ら さ れ た 地 形 の と こ ろ で は 最 大 二 五 〇 イ ン チ を 超 え る し 、 保 護 さ れ た 土 地 で は 六 〇 イ ン チ を 下 回 る と こ ろ も あ る 。 六 月 と 七 月 が 最 も 乾 燥 し て い る 。 西 海 岸 で は 、 南 西 の ス マ ト ラ 島 と 背 後 の 内 陸 山 地 と に 保 護 さ れ て い る た あ 、 南 西 モ ン ス ー ン は 余 り 大 き な 力 と は な ら な
C い 。 ま た 規 則 的 で も な い σ し か し 、 ,現 地 の 人 が ﹁ ス マ ト ラ し ω ⊆ 日 ⇔ 賃 霧 と 呼 ぶ 南 西 か ら の ス コ ー ル が み ら れ 、 烈 し い け れ ど も 長 く は 続 か な い 。 北 東 モ ン ス ー ン の 時 期 に は 連 続 的 な 大 強 風 に 襲 わ れ 馬 海 面 は 荒 れ 、 烈 し い 雨 に 見 舞 わ れ る 。 マ レ ー 人 は こ の 時 期 を ﹁ 港 を 閉 じ る 季 節 ﹂ "ζ 窃 ぎ ↓ 葺 o 勺 囚 § ず . と 呼 ん で い る q こ の 時 期 に は 航 海 ば 困 難 で あ り 危 険 で み る 。 地 方 航 路 に 関 す る か ぎ り 、 東 海 岸 は 全 面 的 に 十. 一 月 か ら 二 月 こ ろ ま で 閉 鎖 さ れ る の で あ る 。 マ ラ ヤ の 気 温 に つ い て は 、 さ き に も ふ れ た よ う に 、 年 中 画 一 的 な 高 温 が 優 勢 で あ る 。 た と え ぽ 、 ペ ナ ン 島 に お い て 最 も 温 度 の 低 い 月 は 十 二 月 で あ る が 、 気 温 は 七 八 ・ 八 度 F ( 一. 二 八 度 C ) で 、 最 高 の 月 四 月 の 八 一 ・ 八 度 F ( 二 八 度 C ) に 比 し 較 差 は 微 小 で あ る 。 マ ラ ヤ の ど こ で で も 、 温 度 計 が 九 〇 度 F ( 三 二 度 C ) を 記 録 す る こ と は ま れ で あ る 。 内 陸 の 高 地 で は 気 温 が 下 り 、 標 高 四 七 五 〇 ブ ィ ー ト の カ メ ロ ン ・ ハ イ ラ ン ド 9 ヨ ① H o ⇒ 臣 αq 包 ⇔ ロ 研 で は 平 均 気 温 は 六 三 ・ 七 度 F . ( 一 八 度 C ) で あ る 。 右 に 見 た よ う に 、 月 平 均 気 温 の 較 差 は 四 度 F く ら い に 過 ぎ な い が 、 日 較 差 は 比 較 的 大 き い 。 海 岸 地 方 の 日 較 差 は 一 〇 度 F か ら 一 五 度 F く ら い に 達 す る 。 (平 均 日 中 温 度 の 最 高 八 五 度 F な い し 九 〇 度 F 、 平 均 夜 間 温 度 の 最 低 七 二 度 F な い し 七 五 度 F ) 内 陸 部 で は 一 五 度 F か ら 二 〇 度 F の 日 較 差 が あ る 。 ヂ ( 1 ) d 三 貯巴 Z 。9 曽圃 8 ρ ω 冨 諜 脇け ざ 亀 尾 8 吾 Oo ぎ 周 o 機 ﹀ ωげ 。。 巳 ↓ 冨 ﹁ 。。 民 国 。。 。。 け・ 一8 。。・ 国 際 連 合 エ カ フ ェ 統 計 年 鑑 一 九 六 八 年 日 本 エ カ フ ェ 協 会 翻 訳 。 ' ( 2 ) 開 店 o 詳 o目 窪 o 一〇 ミ O ①冨 口 の o 楠 ℃ 8 旦 暮 一8 " ↓ 冨 団 8 口 o昌 一〇 U ① く ① 一8 旨 ① 暮 o h ]≦ o 一Q 憲 φ 幻 ① ℃ o 昌 oh o 言 置 ωざ p o 薦 〇 三 N Φq げ 冤 些 o 回昇 9 屋 一 諏 o 罵 一 げ ロ 涛 ho ﹁ 閑 ①8 匿 賃 g け一 8 ①ロ Ω u o < o一 8 § 。導 導 け冨 器 ρ 器 警 oh 夢 Φ O o︿ 。量 目 ①暮 oh 誓 o 閃 巴 Φ 欝 け凶 o ロ o h 罎 p冨 巻 . 一 り㎝ q・ 所 収 。 (3 ) 堀 江 俣 ⋮蔵 ﹁ 経 済 史 概 説 ﹂ 一 九 六 一 年 初 版 二 二 頁 o ( 4 ) 以 下 、 本 節 の 研 究 に つ い て は = ・ 幻 o露 霜 o戸 竃 o 塁 0 8 > ω一 p . 一㊤ ①① 本 節 注 ( 2 ) の 男 o 噂 o 洋 ウ イ ン ス テ ッ ド 著 野 口 勇 訳 ﹁ マ レ ー の 歴 史 ・ 自 然 ・ 文 化 長 許 雲 樵 著 ﹁ 馬 来 亜 叢 談 ﹂ 一 九 六 二 年 版 、 臼 ず o ω 賃 銭 窪 目 ヨ ① ω ℃ h o器 (記 9。 ご 恩 ) ・ 竃 。。ξ 鴇 ﹃ 団 $ 見 切 o o犀 一雪 O な ど の 諸 書 を 対 照 ・ 参 酌 し た 。 ( 5 ) 正 確 に は 北 緯 一 度 一 六 分 か ら 同 六 度 四 三 分 四 一 秒 ま で 、 東 経 一 〇 〇 度 七 分 二 四 秒 か ら 同 一 〇 四 度 一 七 分 四 六 秒 ま で 。 (﹁ 馬 来 亜 地 理 ﹂ 一 九 六 二 年 に よ る ) (6 ) 同 教 授 著 ﹁ 馬 来 亜 叢 談 ﹂ 一 . 太 古 時 代 的 馬 来 亜 に よ る 。 許 教 授 は 一 九 三 一 年 商 渡 以 来 地 理 ・ 歴 史 を 中 心 に 東 南 ア ジ ア 研 究 に 従 事 、 現 在 シ ソ ガ ポ ー マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 . . ・ 一 一 五
マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 ル 東 南 亜 研 究 所 所 長 。 ( 7 ) 爵 贔 ﹁o ぐ ① 熱 帯 の 泥 土 質 の 海 岸 に 発 達 す る 森 林 、 紅 樹 林 。 常 緑 高 木 で 樹 木 の 種 類 は ナ ナ パ ヒ ル ギ 、 か ら 多 数 の 気 根 を 海 中 に の ば す 。 (8 ) 8 ω岳 ユ 葛 木 麻 黄 。 大 き な 鳥 の 尾 を 立 て た よ う な 形 の 木 で 葉 を 生 じ な い 。 (9 ). 一舞 ¢ ユ P① 赤 色 土 、 保 水 力 の 弱 い 、 や せ た 土 壌 。 熱 帯 雨 林 気 候 区 に 広 く 分 布 し て い る 。 = 六 ビ ル ギ ダ マ シ な ど 二 〇 種 ぐ ら い 。 密 生 し て 枝 二 前 節 で は 、 マ ラ ヤ 全 体 の 地 理 的 位 置 、 地 形 お よ び 気 候 に つ い て 概 観 し た 。 自 然 環 境 の 諸 要 素 の 中 で も 、 こ れ ら は 人 間 の 経 済 活 動 に と っ て 根 本 的 に 重 要 な も の で あ る と 考 え た か ら で あ る q 土 壌 、 地 質 、・ 海 洋 、 陸 水 お よ び 生 物 等 に つ い て は 、 今 後 必 要 に 応 じ て 取 り あ げ て い く こ と と す る 。 ・ 5 。9 6 8 り 濁 隔 G 7 10 2 1 3 40 Fig.3-Region of Malaya Souree. H.Robinson. Monsoon Asia p.328 1錫 ・ゴ ム地 帯 2 中西 部 沼 沢 海 岸 3 北 部 臨 海 平 地 ' 4 ペ ナ ン 島. 5 ケ ラ ソ タ ン?デ ル タ 6 :東海 岸縁 辺 地域 7東 ジ ョホ ー ル 8 パ ハ ソ ・ロ ソ ピソ流 域 9 トレ ソ ガ ヌ高 原 10 山 地 ・渓 谷 地域 本 節 で は 、 マ ラ ヤ 各 地 域 の 特 殊 性 を 明 ら か に し 、 マ ラ ヤ の 実 態 把 握 へ の ア ブ. ロ ー チ を 進 め た い 。 マ ラ ヤ の 地 域 地 理 の 研 究 に お い て 新 境 地 を , 拓 い た の は U o び ξ の 業 績 で あ る と 思 う 。 出 ' 即 o げ ぎ ω o 昌 の ]≦ o 蕊 o o 口 ︾ 臨 ㊤ に お い て も 、 U o び げ 団 の 区 分 を 引 用 し て い る 。 も と 、 U o げ ξ は シ. ン ガ ポ ー ル を 独 立 の 一 地 域 と し て 合 計 十 一 地 域 に 区 分 し て い た 。 こ こ に は シ ン ガ ポ ー ル を 除 外 し た 十 地 域 に つ い て 、 そ の 概 要 を 紹 介 し よ う 。 、 .
、 . ( 雪 叩 ω 参 照 、 な お 累 叩 H を も 併 せ て 参 照 せ ら れ た い ) 1 錫 ・ ゴ ム 地 帯 ・( 1 ) 中 央 山 脈 の 西 側 に 南 北 に の び る 。 鉄 道 ・ 道 路 網 が 最 も 発 達 し て い る 。 錫 地 帯 の 中 心 都 市 と し て ↓ ﹀ 弓 H Z 9 弓 ○ = お よ び 国 d > い ♪ い d ζ ℃ ¢ 即 が あ る 。 , 錫 鉱 の 労 働 力 と し て 重 き を な す 華 人 が 優 勢 で あ る 。 プ ラ ン テ ー シ ョ ン 地 域 で は 、 イ ン ド 人 が 労 働 力 の 主 た る 供 給 者 で あ る 。 マ レ ー 人 の 農 民 は 主 に 南 部 で 来 作 や ゴ ム 栽 培 に 従 事 し て い る 。 ク ア ラ ・ ル ン プ ー ル は こ の 地 域 の 中 心 で あ る 。 華 人 の 鉱 業 セ ン タ ー と し て 成 立 し た が 、 今 や 全 マ レ イ シ ア の 首 都 と し て 急 速 に 成 長 し 近 代 化 し た ・ 合 三 万 六 千 麓 ( 一 九 五 七 年 ・ 以 下 同 じ ) マ ラ ・ カ は 合 七 万 ・ 古 い 植 民 地 で ・ か つ て は 東 南 ア ジ ア 最 大 の 商 業 中 心 地 で あ っ た 。 シ ン ガ ポ ー ル の 発 展 に よ り 重 要 性 を 失 っ た が 、 街 の 建 築 物 は そ の 歴 史 を 想 起 さ せ る も の が あ る 。 富 裕 に し て 文 化 的 な 華 人 の ホ ー ム ・ タ ウ ン で あ る 。 2 中 西 部 沼 沢 海 岸 長 さ 一 七 〇 マ イ ル 、 巾 二 〇 マ イ ル く ら い で 、 い く つ か の 河 の 河 口 を 含 む 沼 沢 森 林 お よ び マ ン グ ロ ー ブ 林 の 地 域 で あ る 。 不 快 適 な 、 未 発 達 な 地 帯 で 、 鉄 道 が で き る ぎ で は 、 1 錫 ・ ゴ ム 地 帯 に と っ て は 障 害 物 で あ っ た 。 臨 海 港 に ℃ o 詳 ≦ Φ 昼 ↓ ① 一。 パ ﹀ 昌 . 。 昌 お よ び ℃ o 同 け ω ≦ Φ 幕 口 冨 日 Fが あ り 、 そ れ ぞ れ タ イ ピ ン 地 方 、 イ ポ ﹁ お よ び キ ン タ 渓 谷 地 方 、 ク ア ラ ル ン プ ー ル 地 方 の 出 口 に な っ て い る 。 三 港 は 曲 り く ね っ た 、 マ ン グ ロ ー ブ の 群 生 す る 運 河 に 位 置 し 、 水 路 は 常 時 し ゅ ん せ つ の 必 要 が あ る 。 3 北 部 臨 海 平 地 マ レ ー 農 民 の 独 壇 場 で あ る 。 米 作 を 主 と し 、 野 菜 ・ コ コ ナ ツ も 産 す る 。 イ ン ド 人 経 営 の ゴ ム プ ラ ン テ ー シ ョ ン も 散 見 さ れ る 。 中 心 都 市 ア ロ ー ル ス タ ー は 人 口 五 万 三 千 、 バ タ ー ワ ー ス は 錫 製 練 の 中 心 で あ る 。 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 一 一 七
マ ラ ゼ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 、 一 一 八 4 ペ ナ ン 島 , 一 一 〇 平 方 マ イ ル 、 丘 陵 や 岩 石 な ど の 自 然 条 件 で 3 臨 海 平 地 と 差 異 が あ る 。 英 国 に よ り 一 七 九 六 年 に は じ め て 領 有 せ ら れ た と き は 無 人 で あ っ た の が 、 今 で は 人 口 組 五 〇 万 に な っ た 。 ジ ョ ー ジ タ ウ ン は 人 口 約 二 三 万 五 千 、 マ ラ ヤ 西 海 岸 唯 一 の 深 水 停 泊 地 で あ る 。 商 業 や 海 軍 基 地 と し て の 機 能 は シ ン ガ ポ ー ル に 奪 わ れ 、 9今 日 で は 北 部 臨 海 平 地 や キ ソ タ 渓 谷 の 物 資 の 集 散 地 な ら び に 錫 の 精 練 セ ン タ ー と な っ て い る 。 , 5 ケ ラ ン タ ン ・ デ ル タ 馳 マ ラ ヤ 東 北 端 の 小 地 域 で 、 マ レ ー 農 民 の 密 集 す る 北 部 臨 海 平 地 に 似 て い る 。 、 米 作 に 漁 撈 を 交 え て お り 、 マ ラ ヤ の 産 米 の 相 当 部 介 を ま か な っ て い る 。 ケ ラ ソ ダ ン 河 沿 い に ゴ ム の プ ラ ン テ ー シ ョ ン が あ り 、 海 岸 に は ユ コ ナ ツ も 栽 培 さ れ て い る 。 主 要 都 市 コ タ バ ル は 人 口 三 万 八 千 で 、 .近 代 的 な 空 港 が あ る 。 6 東 海 岸 縁 辺 地 域 . 孤 立 的 な 沿 海 地 帯 で あ る 。 沖 積 低 地 で 海 岸 の 砂 浜 に カ ス ア リ ナ の 木 が 茂 り 、 そ の 背 後 に は 、 北 で は 熱 帯 雨 林 が 、 南 で は 沼 沢 樹 林 が 続 く 。 こ の 地 域 は 延 長 約 三 〇 〇 マ イ ル に 及 び 、 処 々 に マ レ ー 人 の 漁 村 が 散 在 す る 。 彼 等 は 農 業 を 副 業 と し て い る 。 海 岸 は 北 東 モ ン ス ー ン の 期 間 中 、 激 浪 に さ ら さ れ 、 海 港 は 閉 鎖 さ れ る 。 沿 岸 村 落 間 の 連 絡 は 、 小 舟 に よ っ て な さ れ る 。 北 部 に は 自 動 車 道 路 が 整 備 さ れ た 。 主 要 都 市 は ク ア ラ ・ ト レ ン ガ ヌ ( 人 口 二 万 九 千 ) と ク ア ン タ ン ( 二 万 三 千 ) で あ る 。 ブ キ ト ・ ベ シ 鉄 鉱 の 開 発 が 注 目 さ れ る 。 年 産 約 二 百 万 ト ン 。 ( そ の 大 部 分 は 日 本 へ 輸 出 ) 7 東 ジ ョ ホ ー ル 花 崗 岩 、 石 英 岩 お よ び 頁 岩 の 丘 陵 で 大 部 分 は 熱 帯 樹 林 で お お わ れ て い る 。 エ ソ ダ ウ 河 流 域 は 広 大 な 低 湿 地 を な し て い る 。 い く ぶ ん 孤 立 的 な 低 開 発 の 地 域 で 生 活 水 準 も 非 常 に 低 い 。 戦 時 中 に 錫 ・ 鉄 お よ び ゴ ム が 開 発 さ れ 、 主 と し て 華 ﹁
人 が 従 事 し て い る 。 ジ ョ ホ ー ル 河 流 域 に は ゴ ム や パ イ ン ア ッ プ ル が 栽 培 さ れ て い る 。 8 パ ハ ン 。 ロ ン ピ ン 流 域 野 生 森 林 の 、 孤 立 的 な 、 未 開 発 の 地 域 で 、 人 口 も 稀 薄 で あ る 。 沿 岸 処 々 に 米 作 を 生 業 と す る マ レ ー 人 部 落 が 散 在 す る 。 パ ハ ン 河 は 地 域 交 通 の 動 脈 で あ る が 、 こ の 地 域 が 商 業 的 に 未 発 達 で あ る た め 、 余 り 水 上 交 通 は 活 発 で は な い 。 ジ ョ ホ ー ル ・ バ ! ル か ら 半 島 を 縦 貫 し て コ タ バ ル に 向 う 鉄 道 が 、 パ ハ ン 中 流 に 沿 っ て 通 っ て い る 。 9 ト レ ン ガ ヌ 古 同 原 お も に 花 崗 岩 か ら 成 る 丘 陵 地 が 多 い 。 最 も 高 い の は タ ハ ン 山 ( 二 一 九 〇 メ ー ト ル ) で 、 こ の 山 か ら 河 川 が 放 射 状 に 流 れ 出 る 。 ■ そ の 大 部 分 が ジ ョ ー ジ 五 世 ナ シ ョ ナ ル パ ー ク を 形 成 し て い る 。 非 常 に 高 い 部 分 を 除 い て は 森 林 に お お わ れ て (4 ) い る の で 、 近 づ き に く く 実 質 的 に 空 虚 で あ る 。 東 端 沿 い の 鉱 物 の 採 堀 -錫 や 鉄 の 一 を 別 に す れ ば 、 こ の 地 域 の 開 発 は 余 り 行 な わ れ て い な い 。 10 山 地 ・ 渓 谷 地 域 マ ラ ヤ の 北 ・ 中 部 の 大 部 分 を 占 め る こ の 地 域 は 、 中 央 山 脈 の そ び え る 荒 地 で あ る 。 ペ デ ク 渓 谷 が 西 部 山 脈 と 中 央 山 脈 と を 分 断 し て い る 。 人 口 は 極 く 稀 薄 で あ る 。 沖 積 の 谷 底 の い く つ か に は マ レ ー 人 が 米 作 で 暮 し て い る 。 ラ ウ ブ 地 方 は 金 鉱 の 中 心 と し て 知 ら れ て い る 。 以 上 が U o げ ξ に よ る マ ラ ヤ の 地 域 地 理 的 な 分 析 の 概 略 で あ る 。 わ れ わ れ は 第 二 節 と 第 三 節 で 試 み た マ ラ ヤ の 自 然 環 境 の 全 体 的 お よ び 地 域 的 観 察 を 通 じ ℃ 、 マ ラ ヤ の 自 然 の 統 一 性 と 多 様 性 と を 一 応 認 識 す る こ と が で き た 。 進 ん で 次 第 で は 、 こ の 全 体 的 な ら び に 地 域 的 な 自 然 環 境 を 基 盤 と し て 、 相 互 作 用 的 に 展 開 せ ら れ て き た 人 間 生 活 の 経 済 的 側 面 の 特 徴 を 追 求 す る こ と と す る 。 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 . 一 一 九
・ マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 幽 一 二 〇 (1 ) 筆 者 は 一 九 七 〇 年 八 月 シ ン ガ ポ ー ル か ら マ レ ー 半 島 を 北 上 し 、 マ ラ ッ カ ・ ク ア ラ ル ソ プ ! ル ・ イ ポ ー ・ ペ ナ ン を 歴 訪 し た 。 マ ラ ッ カ ・ ク ア ラ ル ソ ブ ー ル 間 は 地 上 を 自 動 車 で 、 他 の 区 間 は 飛 行 機 上 か ら 地 形 そ の 他 を 観 察 す る こ と が で .き た 。 と く に イ ポ : で は 錫 鉱 経 営 華 人 陳 必 亮 氏 の 厚 意 に よ り 採 鉱 ・ 洗 滌 な ど の 現 場 を 隈 な く 参 観 で き 、 感 銘 に 堪 え な い 所 で あ る 。 (2 ) 一 九 六 九 年 現 在 四 五 万 。 (4 ) 筆 者 は 一 九 七 〇 年 の 旅 行 中 に 、 こ の 東 海 岸 沿 い 地 域 で 鉄 や 錫 の 開 発 事 業 に 従 事 し て い る 数 少 な い 日 本 人 の 一 人 、 尾 沢 豊 英 氏 と 相 い 譏 っ た 。 同 氏 の 談 に よ れ ば 、 こ の 地 域 で は 毎 年 九 月 か ら 二 月 こ ろ ま で が 雨 期 で 、 河 川 は 氾 濫 し 、 交 通 杜 絶 の 状 態 に 陥 い る と の こ と で あ っ た 。 四 上 来 観 察 を 進 め て き た マ ラ ヤ の 特 殊 な 自 然 環 境 に 対 す る 人 間 の 適 応 の 方 式 は 、 何 よ り も ま ず 食 料 や 原 料 の 生 産 に お け る 土 地 利 用 の 形 態 に よ く 現 わ れ て い る 。 自 然 環 境 に 対 す る 原 始 的 な 適 応 形 態 で あ る ﹁ 採 取 ﹂ か ら は じ ま っ て 、 ﹁ 焼 畑 ﹂ 、 水 田 農 業 、 さ ら に 近 代 的 な 農 業 な ど の 諸 形 態 が マ ラ 、ヤ で は 同 時 並 行 的 に 行 な わ れ つ つ あ る わ け で 、 土 地 利 用 の 発 展 過 程 を 比 較 研 究 す る う え に お い て も 大 変 好 都 合 で あ る 。 ' ユ マ ラ ヤ の 山 地 民 は つ ぎ の 三 グ ル ー プ に 大 別 さ れ 、 一 九 六 五 年 セ ン サ ス で 約 四 万 六 千 人 を 算 す る 。 ω ネ グ リ ! ト ケ ダ ー や ペ ラ ク で は セ マ ン と 呼 ば れ 、 ヶ ラ ゾ タ ン で は パ ン ガ ン と 呼 ば れ る 。 約 ,一 千 五 百 人 。 ② セ ノ イ サ カ イ と も 呼 ば れ ペ ラ ク や セ ラ .ン ゴ ー ル に か け て 住 居 を も っ て い る 。 約 二 万 七 千 人 。 ㈲ 原 始 マ レ ー ジ ャ ク ソ と も 呼 ば れ る 。 マ ラ ヤ の 中 部 以 南 に 多 く 住 む 。 約 一 万 八 千 人 。 現 在 で は 、 山 地 か ら 出 て 平 地 の 村 に 定 住 す る 者 、 海 岸 の マ ン グ ロ ! ブ 林 に 入 っ て 漁 村 暮 し を す る 者 も あ り 、 放 浪 か ら 定 着 ま で 、 さ ま ざ ま の 生 活 形 態 を 展 開 し て い る 。 セ マ ン の 場 合 は 、 移 動 と い っ て も 一 定 の 領 域 -一 五 な い し 二 〇 平 方 マ イ ル の 間 -が き ま っ て い る 。 狩 猟 用 具 は 弓 ・ 矢 ・ 吹 矢 な ど 。 動 物 の ほ か 、 ド ﹂ ア ン 、 ラ ン ブ ー タ ン な ど の 果 実 を 食 す る 。 農 業 は 全 く 行 な わ な い が 、 球 根 を と っ た あ と ' 7 ● 、
に 野 生 ヤ ム 芋 の 上 部 を 地 中 に 埋 め る 程 度 の こ と は 知 っ て い る 。 そ う す る と や ム 芋 が 再 び 成 長 し て 新 ら し い 球 根 を 生 ず る 。 か れ ら が 移 動 生 活 か ら 定 住 生 活 に 移 行 す る 第 一 歩 と し て は 、 家 の 周 囲 に 畑 を ひ ら い て 、 バ ナ ナ や タ ピ オ カ を 植 え る の で あ る 。 こ の 段 階 で は 、 か れ ら の 経 済 生 活 の 中 心 は 、 ま だ 移 動 的 な 採 取 ・ 狩 猟 に 置 か れ て い る 。 次 の 段 階 は ﹁焼 畑 ﹂ で あ る 。 ま ず 耕 地 を 選 定 す る の で あ る が 、 た い て い 急 傾 斜 地 が 好 ま れ る 。 巨 木 を 切 り 撤 し 、 三 一 六 週 間 乾 燥 さ せ た 上 で 火 を つ け る 。 こ う し て 焼 畑 が で き る と 、 直 ち に 播 種 に か か る 。 陸 稲 ・ ト ウ モ ロ コ シ ・ タ ピ オ カ ・ バ ナ ナ . サ ト ウ キ ビ な ど が 一 般 的 で あ る 。 播 種 は 男 が 掘 り 棒 で 穴 を 掘 り 、 . 女 が 種 子 を ま く 。 種 子 で な く 若 芽 を さ す こ と も あ る 。 収 穫 し た 穀 物 の 一 部 を ぞ ミ の ま ま 乾 燥 さ せ て 貯 蔵 す る こ と も 、 か れ ら は 知 っ て い る 。 (2 ) 焼 畑 の 弊 害 に つ い て 、 別 技 篤 彦 教 授 は つ ぎ の よ う に 述 べ て い る 。 焼 畑 に よ っ て 森 林 を 焼 却 す あ こ と は 最 初 は 土 壌 に 効 果 的 で あ る が 、 同 時 に 腐 植 土 の も と に な る い っ さ い の 物 質 を 破 壊 す る こ と に な る 。 そ し て 人 口 の 増 加 に 伴 い 、 休 閑 地 が 次 第 に 短 縮 さ れ 、 焼 却 の 度 数 が ひ ん ぱ ん に な る と 森 が 再 生 さ れ る 代 り に イ ン ペ ラ ー タ 種 の 粗 い 雑 草 が 生 え る 広 い 草 原 が 拡 大 し て く る 。 こ の 種 の 草 原 が ひ と た び 形 成 さ れ る と 繁 殖 率 が 高 い の で 他 の い っ さ い の 植 物 は 成 長 し に く く な る 。 こ れ に 伴 っ て 当 然 土 壌 浸 蝕 の 程 度 は い っ そ う 強 く な る の で あ る 。 と 。 か く て 、 マ ラ ヤ で は 焼 畑 は 法 律 的 に 禁 止 ざ れ て お り 、 ま た 全 般 的 な 生 活 水 準 の 向 上 も あ っ て 、 焼 畑 は 減 少 し つ つ あ る 。 し か し 東 部 の 奥 地 な ど で は な お 行 な わ れ て い る 。 パ ハ ン 地 方 の セ ノ イ は 新 し い 畑 を 開 く と 必 ら ず 古 い 居 住 地 を 放 棄 す る 慣 習 を も っ て い る 。 ケ ダ ! 北 東 部 の マ ラ イ 人 は 、 一 か 所 に 定 住 し つ つ そ の 畑 を 変 え て い く 。 (3 ) . こ の よ う に 焼 畑 が 根 強 く 行 な わ れ る に つ い て は 、 そ れ な り の 原 因 が 考 え ら れ る 。 別 技 教 授 の 説 に よ れ ぽ 、 湿 潤 熱 帯 の 土 壌 の 大 部 分 は 周 知 の ご と く 紅 土 ( ラ テ ラ イ ト 、 最 近 で は う テ ソ ル と も よ ば れ る ) か ら 成 っ て お り 、 酸 性 で 窒 素 や 有 機 物 の 含 有 量 の 乏 し い 土 で あ る 。 し か も そ れ は 激 し い 浸 蝕 作 用 な ど の 結 果 、 一 般 に 温 帯 の 土 壌 よ り や せ て い る 。 こ の や せ た 土 壌 に 対 す る 人 間 の 利 用 法 と し て は 、 歴 史 的 に 焼 畑 あ る い は 移 動 的 農 業 が 出 現 し た の で あ っ た 。 . マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 . ' - 一 二 一
じ マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 一 二 二 と い う こ と で あ る 。 南 マ ラ ヤ の ジ ・ ク ン ・ オ ラ ン ・ フ ル の 生 活 に 関 す る 前 田 成 文 氏 の ・ ポ ㍑ は 非 常 に 興 味 深 い も の が あ る 。 か れ ら は 、 焼 畑 農 業 と 、 狩 ・ 漁 そ れ に 家 の 周 囲 の 菜 園 な ど で 食 料 自 給 を は か る 一 方 、 籐 ( と う ) 木 材 な ど 森 林 資 原 の 売 却 や 、 賃 労 働 に よ っ て 得 た 現 金 収 入 に よ り 、 生 活 必 需 品 や 一 部 奢 侈 的 な 商 品 を 購 入 し 、 い わ ば 半 文 明 的 生 活 に 入 り っ っ あ る 。 定 住 的 な 水 田 農 業 に お い て は 、 水 の 供 給 が 基 礎 条 件 で あ る が 、 マ ラ ヤ で は 概 し て 豊 富 な 雨 量 と 多 く の 河 川 に 恵 ま れ て い る 。 し か し 、 地 形 的 に 大 規 模 な ダ ム サ イ ト に 乏 し い 。 従 来 は 河 水 を 引 い た り 、 水 車 や ツ ル ベ で 汲 み 上 げ る な ど 伝 統 的 な 潅 漑 が 行 な わ れ て き た 。 .二 十 世 紀 以 降 、 近 代 的 な 潅 漑 技 術 が 導 入 せ ら れ 、 ペ ラ ク 地 方 を 中 心 に 大 規 模 経 営 の 水 田 が 普 及 し つ つ あ り 、 璽 マ ラ ヤ 全 体 で 三 七 パ ー 池 ソ ト に 達 し て い る と い う 。 ・ , 機 械 化 に つ い て は 、 水 田 底 部 の 土 質 が 関 係 を も つ 。 堅 い 土 質 の ウ ェ ズ レ ー や ケ ラ ソ タ ソ 地 方 で は 一 応 成 功 し た が 、 土 質 の 軟 弱 な と こ ろ で は 不 成 功 で あ っ た 。 .ま た 、 地 形 上 、 広 大 な 低 湿 地 の 連 続 す る ペ ラ ク 南 部 な ど で 、 大 規 模 な 機 械 化 が 進 め (5 ) ら れ て い る 。 マ ラ ヤ の 降 雨 期 は 、 一 般 的 に 九 月 か ら 一 二 月 で 、 こ の 時 期 に 稲 作 が 集 中 す る 。 最 近 は 潅 漑 施 設 の 増 加 と と も に 二 期 作 も 漸 増 し っ っ あ る が 、 そ の 面 積 は 現 在 に お い て も 水 田 面 積 の 四 ・ ○ パ 1 セ ン ト 内 外 に す ぎ な い 。 一 方 、 本 朝 作 よ り 二 期 作 の 場 合 の 気 象 条 件 は は る か に よ く 、 収 量 も 高 く な る 。 こ の よ う な 自 然 条 件 に よ り ょ く 適 応 す る 新 品 種 ﹁ マ リ ン ジ ャ ﹂ ζ ﹀ ピ ー 2 1 夢 が 日 本 人 の 手 で 作 ら れ ・ 普 及 の 段 階 に は い ・ て い る こ と 窪 目 さ る べ き で あ 舞 ・ ﹂ ■ 稲 作 に 関 し て は 、 排 水 、 病 害 虫 な ど い ろ い ろ の 問 題 が あ る が 、 マ ラ ヤ で は 野 ネ ズ ミ の 害 も 見 過 ご す こ と は で き な い 。 そ の 種 類 は 二 五 種 に の ぼ り ・ 寿 命 は 六 か 月 か ら 七 か 月 で あ り ・ 稲 の 六 パ ー セ ン ト が 損 害 を う け て い る と 馳 ・ マ ・ や の 中 部 や 北 部 の 水 田 地 帯 の 雨 の 多 い と こ ろ に 多 く 、 そ の 防 除 に つ い て は 、 水 田 内 侵 入 期 頃 が よ い が 、 水 田 地 帯 に 有 力 な 天 敵 が な ダ
く 、 乾 季 以 外 に は 食 物 も 多 い 。 乾 季 に 不 足 す る 食 物 も 、 ﹁ 水 ﹂ の 条 件 が よ ぐ な り 、 二 期 作 化 す る と 、 ネ ズ ミ の 増 加 を 助 長 す る こ と が 考 え ら れ る と い う 。 ・ つ ぎ に 、 マ ラ ヤ の 気 候 と 人 間 の 労 働 の 関 係 に つ い て 吟 味 し よ う 。 こ の 点 に つ い て も 別 技 教 授 は 、 近 年 マ ラ ヤ で 行 な わ れ き た そ の 統 計 的 調 査 の 結 果 と し て 別 表 1 を 掲 げ 、 労 働 時 間 の 過 小 は 原 住 民 の 怠 惰 さ を 示 す も の で は な く 、 熱 帯 気 候 の 激 し さ に 対 す る か れ ら の 適 応 性 を 示 し て い る と い 5 。 こ の 点 に つ い て 私 は 大 体 に お い て 同 意 す る も の で あ る が 、 適 応 に 当 っ て の 人 種 的 な 差 異 に 注 目 し た い 。 す な わ ち 、 人 種 の い か ん を 問 わ ず 、 熱 帯 の 烈 し い 気 候 に 適 応 し て 、 温 帯 に お け る よ り は 労 働 時 間 を 大 巾 に 短 縮 す る 必 要 の あ る こ と は 否 定 す べ く も な い 。 だ が 、 た と え ば マ レ ー 人 と 華 人 と の 間 に 勤 惰 の 差 異 が 認 め ら れ る 。 こ の 点 を 看 過 し て は な ら な い と 私 は 思 う 。 表 一・1農 民 お よび 漁 民 の 労 働 時 間 (1日 の時間で示す) 仕 事 の 種 類 計 軽 度 中等度 重 労働 3.3 5.1 0.8 0.5 1.2 0.3 1.3 4。3 自給 的農民 民 漁 資粋 マ ラヤ医学研究所の調査に よる。 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 .た と え ば 、 マ レ イ シ ア 政 府 が 、 マ レ ー 人 の 雇 用 を 促 進 し 所 得 水 準 の 上 昇 を は か る た め 、 ゴ ム 園 で の 華 人 労 働 を 排 除 し て マ レ ー 人 を 代 替 さ せ よ う と し た と こ ろ 、 マ レ ー 人 は 早 朝 か ら の 重 労 働 で あ る と し て 、 こ れ を 敬 遠 し だ と い う こ と を 聴 取 し た 。 表 1 の 労 働 時 間 の 統 計 そ の も の も 、 人 種 的 な 配 慮 が な さ れ て い る の か ど う か 疑 問 で あ る 。 こ の 問 題 は 、 今 後 の 課 題 と し て 保 留 し て お き た い 。 最 後 に も う 一 つ 、 気 候 と 直 接 結 び つ く 風 土 病 に つ い て の 医 学 地 理 学 ζ Φ 島 8 一 〇 Φ o σq 冨 ℃ ξ の 発 展 に ふ れ て お こ う 。 マ ラ ヤ に お け る マ ラ リ ヤ の 分 布 に つ い て 、 そ れ が 地 形 的 条 件 と 結 び つ き 、 海 岸 の マ ン グ ロ ー ブ 湿 地 帯 、 内 陸 の 低 地 帯 お よ び 山 麓 ・ 高 地 地 帯 の ︻三 つ が そ れ ぞ れ 異 な る ア ノ フ ェ レ ス 属 の 蚊 を 発 生 さ せ 、 罹 患 率 も こ れ に よ っ て 相 異 す る 現 象 が 町 ら か に さ れ た 、 と い う の で あ る 。 こ と に ゴ ム 慨 の 開 発 に 伴 う 樹 林 の 伐 採 が 山 地 の 流 水 を 日 光 の 直 射 に 暴 露 し そ の 結 果 最 も 悪 性 の 々 ラ リ ア 媒 介 蚊 で あ る ア ノ フ ェ レ ス ・ で ク ラ ッ ス を 発 生 さ せ る こ と が わ 一 二 一二
マ ラ ヤ の 自 然 環 境 と 経 済 生 活 = 西 か っ て か ら 、 自 然 の 調 和 的 均 衡 の 破 壊 を 最 小 限 度 に と ど め る よ う 、 プ ラ ン テ ー シ ョ ン 開 発 に 細 心 の 注 意 を 払 う に 至 っ て い 重 鳳 53 ・ 以 上 沸 簡 単 な が ら 農 業 生 産 を 中 心 に 、 マ ラ ヤ の 自 然 環 境 に 適 応 す べ く 人 間 が 展 開 し て き た 経 済 生 活 の 種 々 相 を 吟 味 し て (10 ) き た 。 こ の 分 野 め 究 明 に つ い て は 、 実 態 調 査 の 拡 充 ・ 深 化 と と も に 、 関 連 諸 科 学 の 研 究 成 果 を 一 段 と 摂 取 し て い く こ と が 必 要 と 考 え ら れ る 。 と 同 時 に 、 わ れ わ れ の つ ぎ の 課 題 は 社 会 環 境 に 注 視 し 、 そ れ と 経 済 生 活 と の 関 係 に メ ス を 入 れ る こ と ' で あ る と 思 う 。 . ・ ( 1 ) ネ グ リ : ト ・ セ ノ イ ・ 原 始 マ レ ー の 呼 称 は 、 岩 田 慶 治 ﹁ 東 南 ア ジ ア の 少 数 民 族 ﹂ 一 九 七 一 年 に よ っ た 。 な お 、 セ マ ソ お よ び セ ノ イ に 関 し て は 同 書 の ほ か 、 ウ イ ソ ス テ ヅ ド ﹁ マ レ ー の 歴 史 ・ 自 然 ・ 文 化 ﹂ お よ び 別 技 篤 彦 著 ﹁ モ ン ス ー ン ア ジ ア ﹂ 一 九 六 八 年 を 参 照 し た 。 ( 2 ) 別 技 教 授 前 掲 書 二 七 頁 。 ( 3 ) 同 前 二 六 頁 。 ( 4 ) 前 田 成 文 ﹁ マ ラ ヤ 原 住 民 の 経 済 生 活 ﹂ ア ジ ア 経 済 一 〇 巻 五 号 一 九 六 九 年 。 ( 5 ) 別 技 教 授 前 掲 書 九 二 ・ 九 七 ・ 九 八 頁 。 ( 6 ) 家 永 泰 光 ﹁東 南 ア ジ ア の 水 ﹂ 一 九 六 九 年 参 照 、 な お ゴ ム に つ い て も 多 収 量 ゴ ム 植 替 え が 進 め ら れ て い る 。 萩 原 宜 之 ﹁ ゴ ム 小 農 と 植 替 え 政 策 ﹂ ア ジ ア 経 済 第 一 〇 巻 五 号 参 照 o ( 7 ) 家 永 泰 光 前 掲 書 一 、 .一 四 ・ 五 頁 参 照 。 ( 8 ) 別 技 教 授 前 掲 書 一 九 頁 。 ( 9 ) 同 前 二 〇 頁 。 気 候 ・ 風 土 と 人 間 の 健 康 管 理 と い う 重 要 な 問 題 に 関 し て 、 シ ン ガ ポ ー ル 建 設 の 立 役 者 ↓ ・ ω ・ ピ 巴 h一 〇 い の 伝 記 寓 意 ユ 8 0 0 一房 ・ 蜜 窪 。 ・ 一 ⑩① 9 根 岸 富 二 郎 訳 を み る と 、 ラ ッ フ ル ズ 自 身 、 約 二 〇 年 近 く を 東 南 ア ジ ア で 過 ご し く そ の 間 に 一 度 帰 国 し て い る ) .脳 腫 瘍 と 過 労 で 四 五 才 で 早 逝 し て い る 。 妻 オ リ ビ ア は 約 一 〇 年 間 東 南 ア ジ ア で 生 活 し た が 、 気 候 に 堪 え ら れ ず 四 三 才 で 死 亡 。 後 妻 の 生 ん だ 主 人 の 子 供 の う ち 四 人 ま で が 四 オ ま で に 赤 痢 ・. コ レ ラ な ど で 死 亡 。 生 命 を 救 う た め 早 く 帰 国 さ せ た 次 女 も 十 九 才 で 死 ん で い る. 。 こ の 百 五 十 年 間 、 医 吃 薬 学 の 進 歩 は め ざ ま し い が 、 ま だ ま だ じ ゅ う ぶ ん と は い え な い 。 ( 10 ) た と え ば I B P ( ぎ 帥9 田 梓ざ 8 一 国 9 00q げ o一 ℃ 3 0q 量 8 ヨ ①) に よ る マ レ ー シ ア の 生 物 ・ 食 糧 生 産 力 ・ 生 物 資 源 の 管 理 ・ 環 境 の 保 全 ・ 環 境 破 壊 と そ れ に 対 す る 人 間 の 適 応 力 な ど に 関 す る 基 礎 調 査 な ど 。 マ ラ ヤ 農 業 の 発 展 を 論 ず る 洪 国 平 氏 は 、 そ の 先 行 条 件 と し て 全 国 的 規 模 に お け る 土 壌 調 査 の 実 施 を 主 張 し て い る 。 同 氏 ﹁ 馬 来 亜 農 業 発 展 的 地 理 与 歴 史 背 景 ﹂ 東 南 亜 研 究 第 四 巻 五 五 ﹁ 六 三 頁 、 一 九 六 八 年 。