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パウル・ヒンデミット 《Lieder mit Klavier op.18》における一考察

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Academic year: 2021

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氏 名 橋 ハシ 本 モト 美 ミ 香 カ 学 位 の 種 類 博 士 ( 音 楽 ) 学 位 記 番 号 博 音 第 1 4 6 号 学 位 授 与 年 月 日 平 成 2 1 年 3 月 2 5 日

学 位 論 文 等 題 目 〈 論 文 〉 パ ウ ル ・ ヒ ン デ ミ ッ ト 《 Lieder mit Klavier op.18》 に お け る 一 考 察 論 文 等 審 査 委 員 ( 総 合 主 査 ) 東 京 芸 術 大 学 教 授 ( 音 楽 学 部 ) 寺 谷 千 枝 子 ( 副 査 ) 〃 〃 ( 〃 ) 伊 原 直 子 ( 〃 ) 〃 〃 ( 〃 ) 多 田 羅 迪 夫 ( 〃 ) 〃 〃 ( 〃 ) 檜 山 哲 彦 ( 論 文 内 容 の 要 旨 )

本 論 文 の 目 的 は 、 こ れ ま で に ほ と ん ど 光 の 当 た る こ と の な か っ た 《 Lieder mit Klavier op.18作 品 18》 に 代 表 さ れ る ヒ ン デ ミ ッ ト の 歌 曲 に つ い て 、 元 ピ ア ノ 弾 き で あ り 現 在 歌 い 手 の 立 場 と し て の 視 点 か ら 分 析 ・ 紹 介 す る も の で あ る 。 ま た ヒ ン デ ミ ッ ト 自 身 が 《 作 品 18》 を 自 信 作 と し て い た 理 由 に つ い て も 考 察 し 、「 ヒ ン デ ミ ッ ト = 器 楽 だ け で な く 、歌 曲 の 作 曲 に も 優 れ た 作 曲 家 」で あ る こ と を 主 張 し た い 。本 論 文 に よ っ て 他 の 作 曲 家 に は な い ヒ ン デ ミ ッ ト 独 特 の 魅 力 が 見 え 、 複 調 ・ 多 調 や 4 度 和 声 な ど の も た ら す 立 体 的 な 響 き の 楽 し み 方 も 見 え て く る で あ ろ う 。 ヒ ン デ ミ ッ ト の 名 を 有 名 な も の と し た の は 器 楽 の 為 の 曲 が 主 で あ り 、歌 曲 で は 15曲 か ら な る 歌 曲 集《 マ リ ア の 生 涯 》 以 外 ほ と ん ど 知 ら れ て い な い 。 多 作 で 知 ら れ る ヒ ン デ ミ ッ ト で あ る が 、 そ れ は 器 楽 曲 の 話 で あ り 、 歌 曲 を も 多 数 残 し て い た 事 自 体 、 あ ま り 知 ら れ て い な い の で あ る 。 ヒ ン デ ミ ッ ト が 残 し た 声 楽 曲 に は オ ペ ラ も あ り 、 歌 曲 も あ り 、 13曲 の モ テ ッ ト も あ り 、 ま た 膨 大 な 数 の 合 唱 曲 も あ り 、 ま た 生 涯 に 渡 っ て 歌 曲 の 作 曲 に 携 わ っ て い た 。《 マ リ ア の 生 涯 》だ け は そ の 名 を 知 ら れ て い る が 、演 奏 家 の 立 場 か ら ヒ ン デ ミ ッ ト の 数 あ る 歌 曲 を 歌 い 、 分 析 し て み る と 、 彼 の 他 の 歌 曲 に も 同 じ よ う な 傾 向 を 持 つ 作 品 が あ る こ と が わ か り 、 そ れ ら が ヒ ン デ ミ ッ ト 節 と も い え る 特 徴 で あ る こ と も わ か っ て く る 。 た ま た ま 《 マ リ ア の 生 涯 》 は 15曲 も の 大 き な 歌 曲 集 な た め に こ の よ う に 大 き く と り あ げ ら れ 賞 賛 さ れ や す い 傾 向 に あ る が 、 実 際 歌 っ て み た 者 と し て こ の 《 作 品 18》 に 対 し て も 《 マ リ ア の 生 涯 》 に 劣 ら な い 重 要 性 を 感 じ 、 も っ と 詳 し く 述 べ る 必 要 性 を 感 じ た の で あ る 。 第 一 章 の 第 一 節 に お い て 初 期 の 歌 曲 か ら 《 作 品 18》 ま で の 先 行 研 究 に つ い て 、 第 二 節 に お い て は 作 曲 を 習 い 始 め る 前 に 独 学 で 書 い た 《 ソ プ ラ ノ あ る い は テ ノ ー ル の 為 の 7 つ の 歌 曲 》 か ら 《 作 品 18》 ま で の 音 楽 的 な 流 れ を 演 奏 家 の 目 か ら 独 自 に 見 直 す も の と す る 。 第 二 章 に お い て は 《 作 品 18》 の 全 8 曲 を 細 か く 楽 曲 分 析 し 、 そ の 構 造 や 音 楽 的 効 果 を 探 る も の と す る 。 ま た 、 第 三 章 に お い て は 第 二 章 の 楽 曲 分 析 と 実 際 の 体 験 を 元 に 《 作 品 18》 の 演 奏 時 の 工 夫 と 実 践 、 そ し て そ の 演 奏 効 果 な ど に つ い て 検 証 す る 。 ( 総 合 審 査 結 果 の 要 旨 )

「 パ ウ ル ・ ヒ ン デ ミ ッ ト 《 Lieder mit Klavier op.18》 に お け る 一 考 察 」 と し て 、 演 奏 の 機 会 の 少 な い 《 Lieder mit Klavier op.18》 を 作 曲 家 ヒ ン デ ミ ッ ト の 最 も 重 要 な 作 品 の ひ と つ で あ る と い う 視 点 か

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ら 、 こ の 作 品 の 楽 曲 分 析 と 演 奏 論 を 集 中 的 に 深 く 掘 り 下 げ た 論 文 で あ る 。

あ え て 的 を 広 げ ず 、 作 品 を し ぼ り 徹 底 的 に 解 明 研 究 し よ う と 一 貫 し た 意 欲 的 な 論 文 で あ る 。 ピ ア ノ 科 を 卒 業 し ピ ア ニ ス ト と し て 伴 奏 活 動 を 経 て 、 声 楽 に 転 向 し た 経 験 に よ り 、 楽 曲 分 析 で は 特 に ピ ア ノ 伴 奏 部 分 に 焦 点 を 当 て 、ヒ ン デ ミ ッ ト が「 Lieder mit Klavier」( 本 論 文 で は「 ピ ア ノ 歌 曲 」と 訳 さ れ て い る ) と 題 し た 意 図 に 注 目 し 、 ピ ア ノ は 伴 奏 で は な く 共 に 音 楽 を す る Duoと 考 え た の だ と す る 主 張 を 裏 付 け る 、 綿 密 で 鋭 利 な 研 究 は 注 目 に 値 す る 非 常 に 質 の 高 い も の で あ る 。 第 三 章 で は 演 奏 論 に 及 ん で い る が 、 ピ ア ニ ス ト と し て 又 声 楽 家 と し て の 両 視 点 か ら こ れ ま で の ヒ ン デ ミ ッ ト 研 究 や 演 奏 の 経 験 か ら 、 具 体 的 か つ 実 践 的 に 自 身 の 言 葉 で 述 べ ら れ て お り 、 ヒ ン デ ミ ッ ト 入 門 書 と し て 役 割 を な し う る 内 容 に な っ て い る 。 時 折 口 語 体 に 過 ぎ る 箇 所 の あ る 文 章 が 気 に な る が 、 演 奏 家 の 感 性 の 自 然 な 語 り 口 と し て わ か り や す い と 同 時 に 細 か く 解 明 さ れ た ヒ ン デ ミ ッ ト へ の 思 い が 強 く 伝 わ る 論 説 で あ る 。 論 文 作 品 は 前 回 に す で に 演 奏 さ れ て い る た め 、学 位 審 査 演 奏 会 で は ヒ ン デ ミ ッ ト の「 九 つ の 英 語 歌 曲 」 よ り 「 Echo」( や ま び こ ) 他 3 曲 、「 歌 曲 ( 1942)」 よ り 「 Ich will Trauern lassen stehn」( 私 は 悲 し む の を や め よ う ) 他 5 曲 、「 Das Marienleben」( マ リ ア の 生 涯 ) よ り 6 曲 が 演 奏 さ れ た 。 掘 り 下 げ の 深 い ヒ ン デ ミ ッ ト 研 究 の 土 台 の 上 に 立 っ た 説 得 力 の あ る 演 奏 だ っ た 。 時 折 声 質 に 疲 れ を 見 せ た こ と 、 英 語 、 フ ラ ン ス 語 の デ ィ ク シ ョ ン が 明 瞭 さ に 欠 け る こ と 、 よ り 広 が り の あ る 表 情 の 豊 か さ な ど 改 善 の 余 地 を 残 す が 、 多 角 的 な 音 域 を 交 差 す る テ ク ニ ッ ク と 、 特 に ド イ ツ 語 の 詩 の 解 釈 と 語 り に 表 現 力 を 持 っ た 安 定 感 の あ る 水 準 の 高 い 演 奏 で あ っ た と 言 え る 。 論 文 、 演 奏 と も に 学 位 取 得 に ふ さ わ し い と し 「 合 格 」 と 判 断 し た 。

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