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高校生の意志決定行為に関する基礎的研究-自己実現達成に向けた意志決定スキルの育成-

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Academic year: 2021

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(1) 高校生の意志決定行為に関する基礎的研究 一自己実現達成に向けた意志決定スキルの育成一 専攻   教科・領域教育学 コース   生活・健康・総合内容系. 学籍番号  M08229H 名 前   中村和弘 I 研究の背景と目的. 定に関連する要因を把握するために、大学生を対.  高校生は毎日の生活の中で多くの決定を下して. 象にFGIを行った。その結果、高校生の意志決定. いる。そのほとんどは無意識に行われ、通常はそ. に関連する大きな要因として「性格慎向」と『自. れでも大きな問題を生じることは少ないであろう。. 己実現志向:自己の人生目標とそれに対する方向. しかし、時として人生における重要な決定を下す. 性の認識、及び目標実現に向けた現在の取り組み. べき場面に遭遇することがあり、そのような場合、. の度合い」が浮かび上がってきた。. 情報に基づいた、より合理的で責任のある意志決.  この結果から「性格傾向に関する質問」と「自. 定が求められる。. 己実現志向尺度」を試作し、予備調査でその内的.  意志決定ろキルは、飲酒喫煙・薬物乱用・性に. 整合性と再検査法による信頼性を確認した。さら. 関する問題や安全に関わる健康教育においてのみ. にRadfordらの「DBQ(意志決定行為質問票)」を加. ならず、学校教育全般において、自己実現の達成. え、3種類の調査内容からなる質問紙を作成した。. に向けて具体的な自分自身の目標や課題を設定し、. なお、DBQは意志決定の際に感じる感情や重要視. 克服していくために必要なスキルである。意志決. する事柄などを問うものである。そして、前記の. 定スキル育成のための学習内容は幅広い。本研究. 対象に対して、高校生の意志決定に関連する要因. では自己実現達成に向けて、高校生に必要とされ. が、実際の意志決定プロセスにどの程度関わって. る意志決定スキルを育成するプ1コグラム開発の基. いるのかを調査、分析、検討した。. 礎的情報を収集するために、高校生の意志決定プ. 3)分析方法. ロセスと、意志決定に関連する要因を把握するこ.  各分析にはSPSS16.OforWindowsを用い、有意. とを目的とする。. 水準は5%とした。手順は以下の通りである。. ①r性格傾向に関する質問」とr自己実現志向尺 皿 研究方法. 度」のそれぞれについて、項目の採否と下位尺度. 1)対象. の決定を目的として、プロマックス回転による因.  三重県立A高等学校普通科1年生4クラス152. 子分析(主因子法)を行った。. 名、2年生4クラス152名、3年生4クラス150. ②DBQの8要因について、α係数により信頼性を. 名の計454名(女子203名、男子251名)を調査対. 求めた上で、尺度として採用した。次に、8要因. 象とした。. 間の関連性をみるために相関分析を行った。.  調査は、2009年7月上句に、A高等学校の教室. ③各尺度得点において、男女差を検討するために、. で実施した。. 亡検定を行い、学年差を検討するために、一元配. 2)一調査内容と方法. 置分散分析及ぴ多重比較を行った。.  質問紙作成のための基礎的情報の収集として、. ④要因間の関連性を検討するために、DBQの8要. 高校生の意志決定プロセスを明らかにし、意志決. 因について、性格傾向を表す3要因と自己実現志. 448一.

(2) 同を表す4要因との相関分析を行うた。また、性. の得点が有意に高かった。. 格傾向を表す3要因と自己実現志向を表す4要因.  第2学年では、r不明瞭」r不安」の得点が有意. との間で、相関分析を行った。. に高く、「自己実現志向」の得点が有意に低かった。.  その上で、性格傾向を表す3要因と自己実現志. 他方、第3学年の「模索」の得点が有意に低く、 r既決」の得点が有意に高かった。. 向を表す4要因を独立変数、DBQの8要因それぞ れを従属変数とする重回帰分析を行った。. 4)重回帰分析  意志決定への高い「自己評価」は、「積極的傾向」. r有能感」慨決」と有意な正の関連、r悲観的傾. 皿 結果 1)性格傾向及ぴ自己実現志向. 向」「不安」と有意な負の関連があった。.  r性格傾向に関する質問」について、3因子を.  意志決定の際のrストレス」は、r悲観的傾向」. 抽出した。第I因子は行動力・自信などを有する. r不安」と有意な正の関連、r積極的傾向」r有能. 「積極的傾向」、第皿因子は不安感・失敗感など. 感」と有意な負の関連があった。. を有するr悲観的傾向」、第皿因子は人より優れ.  意志決定を行う際の望ましくない反応パターン. た知識・能力・記憶力を有するr有能感」とそれ. である「自己歎嚇」「回避」「短慮」は全て、「積極. ぞれ命名した。. 的傾向」と有意な負の関連があった。さらに、噌.  「自己実現志向に関する質問」について、4因. 己歎嚇」はr不明瞭」と、r回避」はr悲観的傾向」. 子を抽出した。第I因子は自分の将来の見通しが. r不明瞭」r不安」と、r短慮」はr悲観的傾向」. できない「不明瞭」、第皿因子は将来への心配や. 「不安」と、有意な正の関連があった。望ましい. 焦りを感じているr不安」、第皿因子は将来はま. 反応パターンである「選択」は「積極的傾向」「有. だ先のことなので、今は情報を集めたり経験を積. 能感」「模索」「既決」と有意な正の関連があった。. んだりする段階と考えている「模索」、第IV因子 は既に将来の目標及び方向性を認識し、その実現. 1V 考察. に向けて取り組んでいる「既決」と命名した。.  高い自己実現志向が健全な意志決定を促進する. 2)DBQ. とともに、意志決定スキルの高まりが自己実現、.  各尺度のα係数は「自己評価」が.718、「スト. すなわち将来の目標設定と目標達成を強くサポー. レス」が.788、「社会的関連性」が.849、「熟慮」. トするであろうという相互作用が見出された。さ. が.853、「自己欺購」が.585、『回避」が.808、『短. らに、意志決定スキルの効果的な育成のためには、. 慮」が.771,r選択」が.621であり、そのまま全. スキルの認知的側面からの働きかけだけではなく、. てを尺度として採用した。. 生徒の失敗、不安、心配、焦燥などの情緒的側面.  要因問の関連性については、「自己評価」は「ス. への働きかけが有効であることが示唆された。こ. トレス」 『自己歎蹄」 「回避」「短慮」などとの. れらバランスのとれた働きかけで養われたスキル. 間に有意な負の相関をもち、 r選択」とは有意な. による課題克服の積み重ねが、生徒の自己効力感. 正の相関をもつなど、Radfordらの先行研究と一. を高め、将来にわたる自己実現達成への礎となる. 致した結果が得られた。. ものと期待される。. 3)男女差及び学年差  男子では、r有能感」r不明瞭」r自己歎臓」r回. 主任指導教員.荒木 勉. 避」の得点が有意に高く、女子では、「ストレス」.   指導教員:西岡 伸紀. 449.

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