悪臭発生源に関する分析結果の解析手法
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(2) 2. 2)アルデヒド. があるのに対し,GC−MS 装置でほカラム系内が真. 試料:100mJカラムに直接濃縮. 空に引かれているために,直接導入してカラム先端に. 条件:GC−MS−SIM,カラムChromosorblOl,1m,. 濃縮ができる。この時試料は100mJの注射器にとり,. 600C→1800C(100C/min昇温);m/z29でAcetal−. 導入口に注射針をさして固定し,キャリヤーガス He. dehyde,iso−Butylaldehyde,n−Butylaldehyde,iso−. を止めた状態にすれば,数分間で吸引されて,吸着管. Varelaldehyde,n−Varelaldehydeを分析,m/z57で. をカラムに接続したのと同様な状態になる。ついで,. Propionaldehydeを分析. カラムを加熱昇温分析する。この方法は発生悪源臭の. 3)脂肪酸. 試料:100mJをカラムに直接濃縮 条件:GC−MSrSIM,カラムChromasorblOl,1m, 1200C→2200C(10OC/min昇温);m/z60でAcetic acid,m/z 74 で Propionic acid,m/z73でiso−. ような数100mgの試料の分析に対して有効である。 本報では分析結果の評価を主題としたので分析手法. の詳細に関しては省略した。 なお,下水およびし尿処理場において発生する臭気. Butanoic acid,n−Butanoic acid,m/z 60 でiso−. にはアルデヒド,脂肪酸,硫黄化合物,窒素化合物が 同等に存在しているのが調査の結果分っており,上記. Valeric acid,n−Valeric acidを分析. 分析法はこれら実際に合わせたものである。. 4)硫黄化合物 試料:1mJ. 3.分析結果と臭気評価. 条件:GC−FPD,カラム TCEP25%+H3PO41%. 3.1調査対象について. Chromosorb W AW,80∼100mesh. 悪臭発生源として下水処理場とし尿処理場を選び,. 5)窒素化合物. Ammonia,Trimethylamine. その廃ガスを試料に用いた。近年これら両者の悪臭対 策が問題とされ,調査も数多く実施しているので,そ. 試料:20Jを修酸ビーズ管に反応描集,60mJのガラス. れらから数例を代表に取上げた。. びん中で飽和KOH溶液により再生,その気相2n−Jを. 分析結果は分析成分と濃度を表示し,各成分につい て推定臭気強度を同時に示した。この推定臭気強度ほ. GCへ導入 条件:GC−FTD,空気流路にクロトン酸管を加え,. 物質濃度(Ⅹ)と臭気強度(Y)との関数関係式から求. 検出器にクロトン酸蒸気送入;カラムPEG20M20%. めた。関数関係式は日本環境衛生センタ←において昭. +KOH2%ChromosorblO3,1200C Hydrogen cyanide,Acetonitrile,Acrylonitrile. 和46年から54年にかけて無臭室法に従い調香師を主体. 試料:1mJ. 条件:GC−FID,カラムTenax GC,2m,1000C →2000C(100C/min昇温) 6)低級炭化水素 試料:1mJ. とした専門パネルがえたデータ1)を使用した。. 3.2 下水処理場A,B 下水処理場では汚泥の燃焼によって発生する廃ガス. が畳も多く,臭気対策上問題となっている。この種試 料ガスの分析結果を表1に示す。 ここで定量された成分のうち一酸化炭素,二酸化炭. 条件:GC−FID,カラムActivatedAluminaTR,. 素,メタン等は別として,アセトアルデヒド,酢酸等. 3m,1100C. が高い。これに対し下水原具に含まれている硫黄化合. 7)一酸化炭素. 物ほ,この時不検出で,熱分解によってすでに除去さ. 試料:1mJ. れている。さて,これらの成分で関数関係式が求めら. 条件:GC−FIDラネーニッケル触媒でH2添加,カ. れているもの成分について臭気強度を計算すると,ア. ラムMS13Ⅹ,2m,20OC. セトアルデヒドや/ミレルアルデヒドが高く,燃焼過程. 二酸化炭素. で生ずる分解成分が悪臭の主体をなしていることが明. 試料:1mJ. らかである。従って,たとえばこの試料について云え. 条件:GC−FID,ラネーニッケル触媒でH2添加,. ば薬液洗浄,活性炭吸着の脱臭方法でほ効果ほ期待で. カラムPorapak Q,3m,600C. きないと判断される。. 以上の分析手法の中で,カラムに直接濃縮というの ほGC,MS装置使用の場合に適した方法でつぎのよう. つぎに,この試料の悪臭原因であるアセトアルデヒ ド2.1ppmと嗅覚試験との関係を考えてみる。現場に. にする。すなわち,100mJ位の試料ガスを濃縮して分. おける喚覚試験は通常臭気が感じられなくなるまでの. 析する際に,普通のGCであれば,低温吸着または常. 希釈倍率で臭気濃度を表示する。従って,化学分析で. 温吸着によって一旦濃縮管に捕捉して後導入する必要. の濃度をその成分の嗅覚閥値膿度で割った値は,この.
(3) 3. 臭気濃度に相当するわけである。本試料については分. 3.3 し尿処理場C,D. 析値から計算される予想臭気濃度は1400倍,これに対. し尿処理場においても下水処理場とほぼ同様の工程. して嗅覚試験値ほ約1700倍であってよい近似を示す。 ただし,この種悪臭試料ほ採取試料毎に変動がある のが普通である。従って,厳密を期するためには繰返. で汚泥の焼却処理を行っており,類似の悪臭問題をか かえている。この廃ガスの分析例を表3に示す。 分析結果ほ下水の場合と同じ傾向であるが,各成分 の濃度が一段と高くなっている。下水はし尿の薄まっ. えし採取により平均を求める必要がある。. たものであることを考えれば当然である。ここで,成. 下水処理場で自然発生状態の原臭試料に関する分析. 分濃度から臭気強度を求めると,アセトアルデヒド. 結果を表2に示す。 この場合ほ前記の酸化状況と異なり,嫌気性雰囲気. 5.1,iso−/ミレルアルデヒド5.9,isor吉草酸5.1が非. にあってアルデヒド類は検出されない。成分の量から. 常に大きいことがわかる。実際に臭気の性質は不快臭. 見ればアンモエア,硫化水素の順で多いが,臭気の寄. が著しくて,これは脂肪酸の影響として説明できる。. 与度から云えばメチルメルカプタン,硫化水素の順と なっている。すなわち,この種の臭気ではメチルメル. つぎに下水の場合と同様に推定臭気濃度を上記成分 について計算してみると,. カプタンが最大の原因となっているのが一般であると. アセトアルデヒド. いう例を示している。. iso−バレルアルデヒド. 10667倍. 4143倍. 表1下水処理場廃ガス 物. 質. 名. 分 子. ア セ ト ア ル デ ヒ ド. CH3CHO. ア. ア ク ロ レ イ ン. C2H3CHO. /レ. プ ロ ピオ ンアルデヒ ド. C2H5CHO. デ. iso−プ チ ル ア ル デ ヒ ド. C3H7CHO. ヒ. n−プ チ ル ア ル デ ヒ ド. C8H7CHO. ド. iso一バ レ ル ア ル デ ヒ ド. C4H9CHO. n−バ レ ル ア ル デ ヒ ド. C止Ⅰ9CHO. Y=1.01log x+3.85 Y=1.51logx+3.30 Y=1.01log x+3.86. 4.2. Y=0.99logx+4.18. 3.8. Y=1.3(うlog x+5.28. 4.1. 脂. H COOH. 肪. CH8COOH. 酸. C2II5COOH. Y=1.4(うlog x+5.0ニi. C3II?COOH. Y=1.16】0き‡Ⅹ+5.(う6. C4H9COOH 芳香族炭化水素. ベ ト ス. ン. ービ. ル. ン′. ニL. チ. レ. C6 Hs ン′. C6H5CH3. ン. C6H5C2H3. エ チ ル ベ ン′ ゼ ソ m.p−キ. う/. レ. C6H5C2H5 ン. 5. l 7 ハリ. ン. ′ヽ り. 嘉川. HCN. ル. CIi3CN. ル. CLH:ICN. 素 j co. * 日本ぶ境蘭生センター,悪臭物質の測定等に関する研究 p.248. 7. ア. (CIi3)aN. 5. C8Hd NH3. 1. リ一. ソ. C3H6. 二 酸 化 ナノミ 素 coヱ ** 6段階臭k強度表示. リ一. ソ′. ニ. ア. ノノこ. C止㍉ C2H6. 5. り/. ニ. ア. 化. ニアォ. チ. ル 化. シ. 酸. C2H2. 1. ソ. ピ. ト. ソ メ. ア. 窒素化介物. 一. リ. 5. ソ. タ レ. ロ. CH4. 8. ソ. チ. セ. プ. チ. アユエプ. レ レ. ル. Y=1.4filogx+2∴i7. C6H4(CH3)2. タ. メ. 低級炭化水素. ロ. Y=1.40logx+1.05 Y=1.42logx+3.10. Y=1.(汀logx十2.38 Y=0.901logx十4.56. 2.7 3.6. ‖ソ ル.
(4) 4. 表2 下 水 処 理 場 原 臭. 表3 し尿処理場廃 ガス 物. 質. 名. 分 子. C2H5CHO. C4H9CHO. l。−/こレルアルデヒド. C4H9CHO. Y=1.3〔うlog x+5.28. ア ク ロ レ イ ン. C2H8CHO. iso一ブナル ア ル デ ヒ ド. 酢 プ ロ ピ オ ン 酸. C3H7CHO C3H7CHO. 酸. CH3COOH C2H5COOH. iso一酪. 酸. C3H7COOH. n一酪. 酸 酸 酸. C3H7COOH. Y=1.1(うlog x+5.6(i. C4H9COOH. Y=1.09logx+5.(う5 Y=1.09logx+5.(泊. iso一書. 辛. n一書. 草. 硫 化 水 素 硫 メ チ ル メ ル カ ブ タ ン 黄 化 ノゝ 【】 硫 化 メ チ ル 物 ニ 硫 化 メ チ ル. 3:言;31;≡壬:‡;i:……二≡二3…. C4H9COOH. 5・1芦 Y=0.951(〕gX+4.14. H2S. 1−。1.Y=1.251(〕gX+5.99. CII3SHHHHH. − ■− ̄−. .∴ニー ̄こ_ ::こ こ:∴∴1こ∴ ア ン. 窄素化ム‖物. NH3. Y=1.(う7logx+ニi∴i8. (CHa)3N. Y=0,9()1loき;Ⅹ+4.5(う. 1. 5. OO. 4. n︶. ソ. 3. レ. 5. 工U. O. ビ. ロ. プ. 一q. ロ. 5. ソ. バ. 0〇. レ. チ. セ. プ. C. ソ. レ. チ. エア. 仇描 描描描描 C C C C C. ルン. C2Ⅰ‡3CN. ソ. ル. CH3CN. ン. 基. ェ. 低級炭化水素. ク ク. メ. H CN. ウ︼ 9 7 7“⋮5・14・3㍍ 4 4 54・4. 一 ● 三 ∴∴了 .−−..‥. Y=1.01log x+3.85 Y=1,01logx+3.86 Y=1.51logx+こう.30 Y=0.900logx+4.18 Y=0.900logx+4.18 Y=1.3(;log x+5.28. 4 5 3 .4 一4. CH3CHO. ブロ ピオンアルデヒ ド. 1 5. ア セ ト ア ル デ ヒ ド.
(5) 5. 表4 し 尿 処 理 場 原 臭 物. 名. 質. 分. ナ. 物 質 濃 臭 克 強. 式. のlうミj 係. C2H5CHO CH3COOH. 酢 プ ロ ピ オ ン 酸. 酸. iso一酪. 酸. C8H7COOH. n一酪. 酸. C3H7COOH. Y=0.950logx+4.14 Y=1.251()g X+5.99 Y=0.784logx+4.06 Y=0.985logx+4.51. H2S CH3SH (CH3)2S (CH3)2S2. 0 7 3 0. ル. 仁じ 仁U 4 3. 硫 化 メ チ ニ 硫 化 メ チ ル ン モ ニ. Y=1.4(ilog x+5.03 Y=1.43logx+5.08 Y=1.09log x+5.(う5. C2H5COOH. 硫 化 水 素 メ チ ル メ ル カ ブ タ ン. ア. Y=1.01log x+こi.85 Y=1.01log x+3.8(う. CH3CHO. 一l一. 酸素化合物. ア セ ト ア ル デ ヒ ド プロ ピオ ンアルデヒド. Y=1.67log x+2.38. ア. Y=0.901logx+4.56. ト リ メ チ ル ア ミ ソ. 表5 そ の 他 検 出 成 分 フラン町刀. ホルムアルデヒド HCHO. インチン⑳コ CH、i. ジフェニルメタン昏−C−⑳. ナフクレン. :トメチルナフタレン C2H5. 2メチルナフタレン. エテルナフタレン. ビフェニル㈹ fIC=CfI. llし’し’11. フルオレン. アセナフテン. アセナフテレン. アセトン(CH3)2CO. メチルエチルケトンCH31COC2H5. ベンゾフラン. ジベンゾフラン. ジフ、テルフタレート. クレゾール. 軋。H. キノリン. ヒリジン. クロロホルム. Q CHC13. COOCIHリ -COOCtHs. 馳. フェノール董. ベンズアルデヒド. 3−ブテンニトリルC3H5CN. イソキノリン. ニトロクレソし→ル. 2一メチルビリジン. クロルエチレンC2HニiCl. 各. トリクロルエチレンC2HClこi. テトラクロルエチレンC2C14. 沃化メチルCH3Ⅰ. チオフェン叩. 安息香酸. ペンテンC5HlO. へキセンC6H12. シクロペンテンC5H8. COOH 由. NO2.
(6) 6. iso一書 草 酸. の分析によって完全に把握されるのであって,これを. 5500倍. となって,臭気強度の順序とはやや異なる。これは臭. 否定する事実が見出されない限り,この考えで悪臭の. 気強度と物質の関係式の傾きが成分によって違うこと. 対応を進めるのが最も自然である。. による。またこの試料では硫化水素がかなり高く,そ. 3.5 考 察. の推定臭気濃度は10200倍でアセトアルデヒドに匹敵. 悪臭汚染に対処するには,GCまたはGC−MS分. して高い。なお,嗅覚試験値では約10000∼30000とな. 析によって全成分を分析し,そのデータにもとづいて 対策を立てる基本の考え方を実例によって示した。結. っている。. 局,多くの分析例から処理場における生物系発生源の. し尿処理場投入場所での原臭の分析結果の例は蓑4 に示す。. 典型的な試料を選んだことになったが,これらの手法. これも下水原臭と同様の性質であるが,硫黄化合物. は他のゴミ処理場,魚腹骨処理場,クラフト/くルプ工. が圧倒的に多くてメルカブタン性悪臭の典型を示して. 場あるいは各種化学工場においても,分析値に違いが. いる。臭気強度が6を超えていて6段階表示の目盛を. あるだけで全く同様である。とくに,化学工場からの. オーバしたひどさである。これに対しアン㌧モニア,ア. 臭気に対してほ,石油製品や溶剤類が原因であるので,. ミン類の寄与ほそれ程大きくほない。これらの点から. 化学分析によらなければ何の情報もえられない。この. も下水とし尿は程度の差であることがわかる。その他. 場合喚覚試験は全く無意味である。従って本報では,. の検出成分以上の分析成分の他に処理場廃ガス中に検. 内容が複雑とされる生物系汚染源でも,化学分析に何. 出された成分を表5に一括して示した。. の支障もなく,完全なデータがえられることを検証し. これら成分ほ自然発生のもの,分解過程で発生する. て,悪臭解析の手法を示した。. もの,および化学製品として混入してきたものが混っ. 悪臭を含めて環境汚染の分析に対するGC−MS技. ている。また,臭気成分であるものも,ないものも混. 術の導入を,著者らが始めて掟唱し3),かつ最初に実. っている。ただ,現時点では質と量の関係上,これら. 施して4)以来,ようやく近年その普及が進んで来たこ. 雑多な成分が処理場の悪臭に影響を及ぼしている事実. とは環境汚染の防遥の面で喜ばしい傾向であるが,他. は認められない。微量成分の探索となれば,さらに多. 方計測技術の進歩と逆行し,嗅覚だけで事を処理しよ. 種の化合物が含まれてくることは明らかである。しか. うとする時代錯誤が残っているのも事実である。この. し,化学分析を行なわないで悪臭汚染は複雑で,不明. ような動きが,悪臭を何かとらえ難いものとして,そ. な点があるといった議論はほとんど根拠がない。先の. の防除を遷延させている原因となっている以上,化学. 分析例で示したように,処理場における悪臭現象はア. 分析の有利を整理するのも結果の1つと考えて,これ. ルデヒド,脂肪酸,窒素化合物,硫黄化合物の数成分. を表示すれば以下の通りである。. 容易. 不可能. ほ. 発. 主要臭気原因の決定. 生. 臭気成分濃度の測定. 容易,連続も可能. 何んとか可. 源. 各種脱臭方法の検討. 有利. 不利. 二 斬 ら 北 痘 房 て H〃 州り カ 言−. 嗅覚試験. 垂. 化学分析. 悪. 計測の目標. 処理効率の計算. 容易. 現実に無理. 化学工場廃気調査. 容易. 不吋能かつ危険. 環 臭気原因の探索. 容易. 不可能. 境 環境濃度水準の測定. 容易. 極めて困難. 以上ほ10年前には推測されたことであるが,現在集. 2)花井・加藤:熱イオン化検出器によるアン㌧モニ. 積しつつある上記の外数百の調査データによって確実. アとトリメチルアミンの同時分析,横浜国大環境. 研紀要,7,29(19飢). になったと思われる。. 3)厚生省:悪臭防止法解説,1971年6月 文. 献. 1)日本環境衛生センター:悪臭物質の測定等に関 する研究,昭和55年3月. 4)日本環境衛生センター‥朝霞浄水場異臭水分析. 試験報告乱 昭46年5月.
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