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液体絶縁物の液温と放電図形との関係に就いて 利用統計を見る

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(1)

金丸春雄

武田晴雄

On the Relation of Lichtenberg's Figure and

Temperature of Liguid Insulator

HaruoKanemaru

HaruoTakeda

Synopsis

 This paper describes the result of experiment, wich Lichtenl〕erg’s Figure how change to Xylene’s temperature variations, under the constant applied impulse voltage, as for example 30kV positive or negative charge are supplied to dry plate in Xylene.  Especially, this study is most studied about length of twig−like figure, number of branch in same figure, and it’s form ect., but in here used temperature is values between from 10 ◎Cto 65°C. Then this reports is foundmental experiment, as show, auther believe that mechanism of break down in liguid insulator is more known than less study, accordingly we hope this paper succeed one of assistance to in vestigation in break down theories.

1.緒

言  変圧器油、其の他芳香属炭化水素系液体絶縁物中の 放電図形、即ちListenberg’s Figureに就ては既に数 多くの研究結果が報告されている。特に後者に属する キシレン(Xylene)、及びDレエン(Toluene)中の Listenberg’s Figureの特性に就て筆者は既に其の研 究結果を発表して来た1)2)3)。もとより比抵抗の高い液 体中の放電図形は液中に置かれた写真乾板又はこれに 類する絶縁板上の沿面放電であり、厳密な意味で液体 それ自身の破壊現象を説明付けるには尚充分と言ひ難 い。然しながら液体絶縁物の破壊現象が其の構成分 子、介在物、水分、及び吸蔵ガス等に関係するもので あるならば沿面上微少層に於けるこの種の放電は是等 液体の放電を研究する上に又充分なる資料を与へるも のと思ふ。斯様な点で液体中の写真乾板に依るLich− tenberg’s Figureは更に尚研究をする必要がある。即 ち液体の破壊放電を究明する基礎的、且つ実験的方法 として放電図形は其の液体自身に依る化学的因子に依 る特性以外に物理的因子に依り如何に影響されるかを 確かめらるべきもので穫ると信じる。救に於て筆者等 は昭和37年度の工学部研究報告に発表した「液体絶縁 物中の放電図形の特性に就て」に引続き本稿に於て液 体の温度変化が如何に液中放電図形の特性に影響を与 へるかを述べ、且つ同時に現象としての液中コUナ放 電の特異性の二三の点に就き検討を加えてみた。従っ て、本稿は総て筆者等の実験的結果の報告である関係 上或は其の結果に不備な点が多々あることXは思ふが 前以てお詫びしておく。  本稿は液体絶縁物としてキシレンを用ひこの液体の 温度変化による液中リヒテンベルグ図形の形態、樹枝 長、樹枝数、及び枝分れ等につき詳細に報告するもの である。故に特定衝撃電圧のもとで本実験の他条件、 例へば圧力、湿度、電圧等はすべて先に報告した1) 場合とまったく同一条件のもとで行なわれたものであ る。些かなりともこの方面の参考となれば幸甚であ る。

2.実 験 条 件

   2.1液体絶縁物

 液体絶縁物として使用したキシレン〔Xylene, C6H4 (CH,)2〕は別名チメチノレベンゼンで芳香属炭化水素 に属し、三菱油化株式会社四日市工場にて精製された ものを使用した。其の静特性は無色透明な液体で比重 ⑧.870(15°C)、固有抵抗2.8×1011Ω一cm(20°C)、 粘度25°(20°CRedw.)、引火点58.7°C(pensky)、

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昭和38年12月

山梨大学工学部研究報告

第14号

である。又製造成績に依る履歴は初溜点138.5∼141.5 °C、138.4°Cにて97%、水分0.02%、不揮発物0.0008 %となっている。実験に先立って恒温40°Cに保つた ものを必要温度に調整して使用した。  尚資料のキシレンは各試料の乾板に付きコUナ放電 毎とり換えたので炭化生成物の影響は全く無いものと 思ふ。 2.2 電極及び写真乾板  キシレン中でLichtenberg,s Figureを撮るための 写真乾板をはさみ、これに所要の電圧を与ふべき針及 び板状電極は共に真鍮製の直径6mm尖端針状の電極 と厚さ20mm、直径80mmの円板状電極とである。又 写真乾板は富士写真フィノレム株式会社製プロセス乾板 を充分乾燥して使用した。 2.3 EP 力日 電  圧  印加電圧に就ては其の電圧の波形、極性、及び印加 時間等が其の図形に非常に影響を与へるものであるか ら印加電圧の状態は常に一定の条件に保つ必要があ る。本実験の電源は第1図に示す如き定数回路を持つ 衝撃電圧で波頭長T皿=1.6×10−8sec.波尾長49 ms の比較的スn・一一リ・一なものをchOPせずに用ひた。斯 様な波形を使用した理由の一つとして絶縁破壊を論ず る上に必要な常用低周波交流の半波形に関連を持たせ たものである。依て本稿では其の他の種類の電源、即 ち直流、交流及び高周波交流に就ては説明されていな い。

K G   L 駅 C    R 部。 」◎OV T 合 P   Fig.1 Connection of d輌agram where.  IR−Induction requlator  T−Main trans.100/0.1KV,5KAV 1φ  K−kenotron 150KV p.V.  Eo−Static voltmeter 25/50KV  G 一 Sphere gap 12.5cmφ  L−Inductance coi10.7mH  C−Condenser O.1μF  R−Resistance O.8×106Ω  A−Liquid insulator,(Xylene)  N−Needle electrode  P−Plate electrode  D−Dry plate 2.4周 囲 条 件 本実藩の行なわれた室内の温度、湿度及び圧力は夫 々10∼15°C、45∼55%RH、大気下の範囲で有る。

3.実 験 結 果

3.1実 験 方 法  第1図に示す回越で所要の衝撃電圧を発生し、この 電圧を試料AをXyleneにて満し、この中に浸したN −P電極間にてはさまれた写真乾板Dに与へるものと する。而してXyleneの温度を変化させ、この液温i変 化に対するLichtenberg’s Figureの変化を測定する。 従って他の変動し易き条件例へば圧力、湿度及び液の 純度等は出来得る限り一定にする事が望ましい。又 Xyleneの液温変化の範囲は広い程良い訳であるが弦 では大約常温から引火点が低いことを考慮に入れて101 ∼65°Cの範囲で測定を行った。  周知の如く液中のLichtenberg’s Figureは気中の・ それに比べて非常に小さい(約1.2mm/kV)ので乾 板上の図形は現像、定着後再び顕微鏡写真に撮り直し たものをスクリーン、プロジェクトして測定した。 3.2 図形態と液温との関係  一・般に一一’−i定液温中の放電図形は前にも報告した通り 基本的には針端より乾板面上を放射状に延びる樹枝状 図形であって、これが太い樹枝状図形(Thick twig− 1ik efigure)と細い樹枝状図形(Fine twig−like figure)とから成り、而して夫々の放射状樹枝が数多 くの枝分れ(branch)と屈曲(crooked bough)と を持って単独に、或は重り合って全般的には樹枝状図 形を構成しているものである。これを図形分類してみ ると次の様な仮定が定められる、第1表がこれであ る。  一一一一s定液温中の図形が0,P,Ω,或はR型であるか は主として印加電圧の大さ、波形、印加時間及び液 温、液の純度(含水率、繊維、瓦斯)等によって定ま るもののようで液の種類にはよらないと思はれるが実 験結果からは定性的に知られるのみで定量的関係は尚 不明である。即ち或る見解として例へば電圧波形の峻 度が高い場合にはO型が多く又P,Ω型は波尾長に関 係なく印加電圧の大さと印加時間に関係あるもののご とく思へる。R型は全く特異な図形で主として液の純 度に関係して偶発的に発生する場合が多い。即ち微細 な炭化生成物、乃至気泡、水分等が浮遊している様な 場合もこの一つである。  然るに本実験に於けるが如く液温の変化に対しては 図形は一般に温度上昇に伴ひQ型からP型を径て0型 になる。正図形、負図形を問はず液温の上昇に伴ひ太二 い樹枝状図形は減少し、細い樹枝状図形のみが比較的1

(3)

Photograph 1. Mlcrophotograph of twig−like figure     (A) Posltlve figu輪i囎Xylene

     (1) 30KV  15°C

灘鱗

鑑 vさひ 澱灘亡・   紮轍

(3)30KV

v9   く         か …N晴}w

  糠一蕪灘懇

古ec

  鎌購

 竈   “ ) 卍

     (5)30KV

諺.  、

蕪灘灘灘

  縫  P菜Sis ffE,   仲   ◆A

蕪議羅繍

  猿

購 .

25°C

     灘、

     離1

     蹴蘂

     難

45°C

     (2) 30KV  20°C

    鐡繋 難

  鐡鶴    灘

     (4) 30KV  35°C      お

       Pt  や

鎌^    ’・。 騰v  ,   灘

   ^       w        1      く  v

       翌xft線徽

x      忙 v       x x    く      ひ     :

       x    

にヱ

      難灘

v      藷

)      A   “ 糊        お ,          ÷      ザ  ^         N 欄.ぷ蹴ぷ=ぷ ±灘

      (6) 30KV  55°C

       where  nlagnlflcatlon 7Q t

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昭和38年12月

山梨大学工学部研究報告

第14号

(B) ]Negative figure in Xylene

(1)3

X KV 15QC

(3)30KV

45°C

(2)30KV

30°C (4) 30KV  60°C  where_magnification 70

(5)

和り一h㎏ 轤閧浮窒 qroup

Re十erence 1

 巴「

Agroup 0 警バ綱熟憶 A一f もの η

P

魂,繍搬図形蒙 がま・る B−Aクハげ @より伸ぽ @5《の n−AヒB @ζの和 o

Q

R

ぷ 一繊綱醐

東怐G鯉図形二1 こ ∵ 西⊥ Table 2. Data of long length of fine twig−like figure to tenperrature of Xylene Temperature   (°C) 10 15 25 30 35 40 45 50 55 60 65 Long length of tine twlg−like figure (mm.) P・・i・i・・fi…elN・9・・ive・fig・・e 1.49 1.53 1.67 1.67 1.68 1.72 1.70 1.70 1.72 1.70 1.73 1.49 1.59 1.73 1.77 1.72 1.87 1.92 1.91 1.87 1.77 1.79 Table 1. Type of Lichtenberg’s      figure in Xylene にすくない屈曲をもって中心から伸びている。しかし }中心から伸びるAgroup数としては多少増加している もののように見受けられる。斯様にして高い液温をも つXylene中の放電図形はむしろ常温の液体中図形よ り気中放電図形に似てくる(但し屈曲、枝分れは根本 的に相異している)この状態を写真1に示す。  これらの写真はいずれも異ったキシレン液温中の放 電図形を倍率70倍の顕微鏡で撮ったものである。    3.3 図形の大さと液温との関係  大気下常温に於けるキシVン中の印加電圧一細き樹 枝長との関係は先に発表した1)如く樹枝の最大等価直 径をDmmとすれば実験結果よりE≒11+4D kVなる 関係を得。即ち印加電圧10∼40kVの範囲で樹枝長は 1印加電圧に比例すると云へる。  然るにキシレンの液温が一定でない場合、一定電圧 を印加してもその細き樹枝長の特性は一一一‘定ではなく液 温変化による特異な結果を示すことを知った。  筆者等は印加電圧30kVに対する液温10∼65°Cの間 の結果を第2表に示し、之に依って第2図を求めた。 即ちこの結果を綜合して正図形と負図形とで液温に依 る相異が相当に認められる。常温に於ける両者の相 異、即ち同一電圧に対する樹枝長の差は左程ではない がこの場合は液温の増加と共に樹枝長は増加し、負図 形で45°C附近にその最大値をとり再び減少する傾向 に在る。正図形はこのような顕著な現象を起さないが 液温増加と共に増し、30∼60°Cの間は殆んど飽和す 匡

e2

P

妻 ▲

k

鴛LS ← 窒 苫 1 一.−50KV十 一メー50KV 一

一1−−1−−H.−H−−1.−

         Temperuture °C Fig.2 Cnrve of long fine twig−like figure     length to temperature in Xylene る如く樹枝長は一定値となる。この負図形の特性曲線 の推移は後述するキシレンの破壊電圧一液温との関係 曲線に酷似している。即ち正図形の変化は半径で最大 0.2mm、負図形で最大0.4mmである。この値は最小 長に対し13∼26%に相当し、又常温(15°C)の液中 樹枝長に比較すると45°C附近にて正図形は110%に 又負図形は122%に増大する事を認める。而して図形 の形状は液温増加と共にP型より漸次0型に移りつs あるもののように感じられる。  この細き樹枝長対液温との関係を示す第2表の数値 は夫々各液温に対し10回、即ち10枚の写真乾板より得 た回数試験の結果の図形を拡大採択し、これを平均し た値である。斯くの如く統計的に処理する事に依って 実験誤差を極力注意した心算である。第3表は是等の

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昭和38年12月

山梨大学一工学部研究報告

第14号

Table 3. Data of over again experimental test on length of fine twig−like figuve 〔a〕 Postive figure  E=30 kV T=50°C Number of experlment 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Long length of flne twig. Ri 1.64 1.72 1.57 1.57 1.93 1.66 1.43 1.63 1.87 2.01 Vi=Ri−R 一〇.063 十〇.Ol7 −0.133 −0.133 十〇.227 −0.043 −0.273 −O.073 十〇.167 十〇.307 Mea・V・1・・1豆一1…3i Vi 2 0.00398 0.00C29 0.01770 0.01770 0.05300 0.00185 0.0745 0.00533 0.02790 0.09430 ΣVi2

1

 ==0.29655 これより

標鞠差・一/i吾i−〆°i響一…8・

確率誤差・一゜

Y一/°・67留’181

       =0.039   .’. R=1.703士0.039=1.664∼1.742 〔c〕 Negative figure  E=30 kV T=40°C

Numb.of

 exp. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 L.L.ofF.T.  Ri(mm) 1.74 1.80 2.03 1.86 1.89 2.13 1.96 1.66 1.82 1.89

M・V・IR・1・878

Vi=Ri−R 一〇.138 −O.078 十〇.1220 −0.0180 十〇.Ol2 十〇.252 十〇.082 −0.218 −0.058 −O.012 Vi 2 0.01910 0.00610 0.Ol480 0.00032 0.OOO14 0.06340 0.00673 0.04750 0.00337 0.OOO14

1

ΣVi2  :=0.15160 〔b〕 これより ・イ゜i;讐1°一…3・   γ一〇・6745竺0・130=0.0286      レ!10  .’. R=1.878士0.0286二1.850∼1.906 ON 仰 帆 Positive figure  E=・30 kV T=15°C

Numb.of

 exp. L.L.ofF.T.  Ri(mm) 1.63 1.54 1.57 1.79 1.70 1.52 1.04 1.37 1.36 1.77 Vi・=Ri−R 十〇.101 十〇.011 十〇.041 十〇.261 十〇.171 −0.009 −0.489 −O.159 −0.169 十〇.241 Vi 2 0.01020 0.00012 0.00168 0.07000 0.02930 0.00008 0.02490 0.02530 0.02860 0.05820 一・一 ヨOK∨t −・?│−50KV一 .こ〉・・vz二・       ヨ       o蹄ノ辞         「=〔−7τ一一 1 2 3 4 5 6 7 3 9 10 M.V. R・=1.529 ΣVi2 =0.24838 これより ・一 Y°i61iiii・4−8i8−…66   _「O.6745×0.166       =0.035   γ一      /]万  .’. R=1.529士0.035=1.494∼1.564 D   IO   20   50  40   50   60   70         丁emp臼rature  OC  Fig.3 Curve of Probability error 回数試験の二三の例を示す表であり、第3図はこの表 の如く各液温に就ての回数試験より得た確率誤差のi変 動範囲で殆んど0.01mm以内に押えることが出来る。    3.4樹枝数と液温との関係  液体絶縁物中の樹枝状図形は一般に気中の図形に比 して其の枝分れ、即ち樹枝数が多く、且つ屈曲も多 い。この原因として液体の分子結合がガスのそれより 密にして、且つ質量的にも重いからであると同時に不 純物、粘度及び圧力等に影響されるものと考へられ る、然るにこの液体の温度が高くなれば熱エネノレギー による分子それ自体の状態が変り低い電気的励発に依 ってイオン化し易い状態におかれることは想像され る。即ち実験上⑲条件が変らなくとも温度変化に依6 液それ自身の物理的変化に依1て液中コロナの状態に 或る種の変化あるを認めざるを得ない。それが図形上 樹枝数の増減となり、或は樹枝長の屈曲となって現わ れるものと推測される。筆者等はこの点に就き液体の

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破壊機構が液中Lichtenberg’s Figureに依て広く解 明され得べきものと信じ、研究を行ったものである。 第4図は16°Cのキシレン中に於ける樹枝数と印加衝 撃電圧との関係を示すもので電圧に対する増加の割合 は指数的に増し半対数で殆んど直線化される特性であ る。即ち電圧に対してはその図形の伸びに伴ひ当然飛 躍的な増加を示すものであって不思義ではない。  弦に樹枝数と称するは前項3.2で説明した図形態中 のA、B各グ7v・・一プの総和即ちCグノレープの数を意味 するものである。斯様な特性を持つ樹枝総数も給与電 史soo 忌姻 茎 .土200 き 呂100 言 呈 匂_50 9 玉 曼 1!X

      ’APP|‘ed impulse VDItage in }く▽ Fig.4 Number of branch on twig−like     figure in Xylene fODO 急500 +400 受 一二5.も t…200 呂

s

§100 二 呈 皇 一・−oOS‘tive r}⑲ore −・−N騨ive fmpre   APPト㎡卿er踏y.

Y−」癖

路馳=践7 fsu=旧.1 旨25エ126 r−a5tgS    lo       Temperotu re’・C’「 Fig.5 Relation cnt・we of number of branch     on twig−like figure to tempeeature     in Xvlene       い 圧が一定であっても液温に依って又不変ではないこと を第4表及び第5図は示している。  この特性表は印加衝撃電圧が士30kV 一定の場合で あって一般に液温増加と共に樹枝総数も指数的に増加 する。然しながらこの増加の状態が電界中心から増加 するものでなく、電界中心から発生するAグ/v ・一プに 属する樹枝数はむしろ不変で一定量であり、其の数も 少い。換言すればこの発生量は液温には無関係で唯給 与電圧即ち図形の電界の強さに比例するのみで液温と 電界の強さとは関連性のないことを意味する。依って Bグノレe−一プに属する樹枝数のみが液温増加と共に増加 することは即ちコロナ放電に依る電荷の拡散(Diffu− sion)が活発に行なわれることを意味するものと考へ られ、其の結果樹枝数の増加となるものと解される。 Table 4. Number of branch on twig−like      figure in each temperatere of      Xylene Positive Figure Applied Voltoge (kV) Temp. (°C) 30 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65

Agroup

9 11 11 15 11 14 17 12 15 9 14

Bgroup

270 265 335 331 374 376 382 391 427 468 468 Sum o止

A&B

equal to C 279 296 346 346 386 390 399 403 442 471 482 Negative Figure A.V (kV) 30 Temp. (°C) 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 A group 14 12 14 13 12 14 15 13. 13 13 16   《、、t( 14

Bgroup

287 309 326 309 328 367 388 372 377 387 405 470 Sum of

A&B

equal to C 30T 321 340 322 340 381 403 385 390 400 421 484 1

89

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昭和38年12月

山梨大学工学部研究報告

第14号

又正放電図形と負放電図形との差異は顕著に現れずむ しろ液温差に依る両者の特性はまったく同一なもので 有ると思はれる。 Table 5. Data of over again experimental      test on number of branchs          〔a〕  斯様な樹枝数の測定には時間をかけて拡大写真より 数えたもので之より図形上屈曲や枝分れが判然としな い個所が多々有り当然是等は誤差となることの困難に 当る。依て筆者等はこれを出来丈け避ける意味で一定 電圧の下で所定液温の資料を10枚を得る、所謂回数試 〔c〕 Positive Figure  E=30 kV T=50°C Number of experiment 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Number of branchs 504 437 351 293 464 336 389 412 410 435 Mean V・1・・i n=403.1 Vi=ni−n 十100.9 十36.9 −52.1 −110.1 十60.6 −67.1 − 14.1 十 8.9 十 6.9 十34.9 Vi2 10200 1360 2720 12200 3710 4500 1990

 79

 48

1220 ΣVi 2=37827

P.F

E・=30kV T=15°C N.of exp. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 M.V.

N.ofB

    ni 395 327 258 286 248 207 244 246 288 286 n=278.7 Vi==ni−n 十116.3 十48.3 −20.7 十 7.3 −30.7 −71.7 −34.7 − 32.7 十 9.3 十 7.3 Vi2 13600 2260  429

 53

 943 5150 1210 1070

 87

 53

ΣVi2=24855 これより

難偏差・イ慧一〆漂一64・9

}差・一゜

Y一゜’67鍔4’9−・3・7

     .’. n=403.1士13.7==389∼417 〔b〕 これより

・イ襟一52・5

    0.6745×52.5       =11.2   γ=      ゾ了百  .’. n=278.7±112=268∼290 〔d〕

P.F

F=30 kV T=25°C N.of exp. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

M.V

NofB

ni 259 295 287 403 410 432 297 383 361 333 n=345.9 Vi=ni−n 一86.9 −50.9 −58.9 −57.1 十64.1 十86.1 −48.9 十37.1 十15.1 −13.9 Vi2 7550 2600 3470 3260 4120 7420 2400 1380 228 198 ΣVi2=32621 Negative Figure  E= 30 kV T=40°C N.of exp. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 M.V. これより

N.ofB

ni 415 400 431 354 314 400 372 482 424 437 n=402.9 Vi=ni−n 十12.1 − 2.9 十28.1 −48.9 −88.9 − 2.9 −30.9 十79.1 十2仁1 十34.1 Vi2 146

 9

780 2390 7900

 9

956 6270 446 1160 ΣVi2 == 2eO66 ・イii竺{−6…    0.9745×60.1       =12.6  γ=     _      γ10 .’ D n== 345.9±12.6=333∼359 これより

一雁1−47・㌔i

    O.6745×47.2       =10.1   γ=ニ       ゾ]厄 ㍊㌧ n== 402.9d:10.1=393A“413

(9)

験を行ひこの資料にもとずく樹板数の平均1直を考へ確 率誤差をたしかめてみたその若干の例を第5表(a)、 (b)・(c)、(d)に示しておく。    3.5 破壊電圧と液温との関係  芳香属炭化水素系キシレン中のLichtenberg’s Fi− gureは一定電界中に於ても液温によりその図形上に 変化を生ずる事は以上の通りである。  従って現象として実際液中放電としては如何なる放 雷特性、即ち液温対破壊電圧の関係があるか知る必要 が有る。かくてこそこの破壊特性と図形特性との間に 存在する相関性が液体絶縁物の絶縁破壊機構を解く上 の資料となるべき事はたしかである。  筆者等はこの点両者の液温変化に対して可変現象で あり、夫々独立したものであるとは思えない。むしろ 不可分立な規定は兎も角としても両者間の関連は表裏 一体のものであり、動的現象が静的現象に置き換えら れたものと考へる。即ち液中コロナ放電の有様が終焉 的に液中Lichtenberg’s Figure上の樹枝長、樹枝数、 屈曲、分布型式等で測られるものと思ふが、但し実験 上求められた図形資料もそのまx放電現象を充分に且 つ忠実に説明し果すことは尚高度の測定上の技術と研 究とを必要とするものである。なんとならば液中の不 純物(水分、ガス、繊維質)の化学的に図形に及ぼす 影響が知られていないからである。  第6図は精製された第1種変圧器油、キシレン及ト ルエンの温度対破壊電圧特性曲線である。測定条件と して気圧763mmHg、相対湿度54%、真鍮製12.5mmφ 球電極、間隙長2.5mmの規程槽を使用した。変圧器 油の場合、其の破壊電圧は20°C附近で最小値をとり それ以上の油温内では破壊電圧は上昇し、90∼100°C 一〇一唱ur口nsformer oil −・一揩撃?獅 一メーTiolveりe  50 巳45 是40 皇 \,

§1;▽

… tZSpmm9 9壽嬬ξ 5姥朗         30     60       鵬          Temperature  ec Fig.6 Relation curve of break down voltage   to liquids temperature in liquid insulator 附近で最大値をとり再び減少する。又20°C以下の低 温に対しては破壊電圧は増加する。この常温に近い油 温を境としてV型の特性を画くことはClark4)の実験 にも発表されている。この現象は簡単に推測されるも ので、20°C以上の油温に対しては混入水分の蒸発、 溶解ガスの脱気(放出)が主な原因と思われるが、20 °C以下の場合に在りては低温度に対して油中介在物 の化学的変化が不明な為、如何なる因子に依って破壊 電圧上昇となるかわ即断し難い。然しながら温度低下 と共に油分子の速度勾配、即ち粘度が上り絶縁性が強 化されることも一つの原因と思はれる。  この変圧器油の破壊曲線に比して、キシレン、トノレ エンに於ては変圧器油と異り一般に10∼65°Cの範囲 に於て液温と共に破壊電圧は上昇する傾向にあるが然 し実験中感知した現象として破壊電圧のバラツキが変 圧器油に比し甚だしく広範囲であると云ふことであ る。或る意昧に於ては同一液温に対して破壊電圧値は 唯一つの値を持たず不定に近い散在点をとる、これは キシレン、トノレエン等がCH3の化合物中非常に揮発 性で蒸発点、引火点、及び粘性の低い性質に起因する 温度変化に対して敏感であり、且つ不安定であると感 えられるものでこの原因は空気の溶解度にあるものと 推定される。液自身の固有抵抗換言すれば絶縁抵抗は 大であっても耐圧性に弱い化学的性質を有するもので あるとも考へられるがこれに関しては電圧の長時間印 加試験を実験しその結果を検討してみなければ断定は 出来ない。

4.結

言  液体絶縁物としてのキシレンは比抵抗、耐電圧共に 変圧器油に対し優っているが強電界中の耐圧性が不安 定一6iあり、特に液温増加に対して甚しい、換言すれば 温度特性の不安定と云ふことである。この原因の一つ は主として化学的因子に起因するものであることは実 験中屡々体験し得る問題である。  キシレン中の放電図形から見れば全般的には変圧器 油中のそれと形状の上に大差なく唯その樹枝長、樹枝 数に於て相異を認めるものである。従来変圧器油中の コロナ放電の現象を静止図形として油中1,ichtenber−− 9’sFigureに依って或る程度破壊特性を窺知し得る ものであったかこの方法でキシレン、トノレエン或はこ の系列の液体絶縁物を結論付ける事は当を得ないと思 われる。特に液温変化に対して図形変化が常に定性的 或は定量的結果を明示しない限り今後の研究が尚一層 必要になる。筆者等の実験結果を綜合すれば  (1) キシレ!ン中のLichtenberg◆s Figureは液温

(10)

昭和38年12月

山梨大学工学部研究報告

第14号

 の増加に伴ひ樹枝数は増加する。而してこの増加  の原因が枝分れによる樹枝数の増加である。 (2)液温増加と共に細き樹枝状図形の伸びは気中  Lichtenberg’s Figureに似て屈曲が非常に減少  した放射状図形となる。 (3)細き樹枝長の長さは液温増加に対し正図形と  負図形とでその趣を異にする。   即ち前者は殆んど変化なく一定量と見倣される  が後者は液温と共に増加し、45∼50°C附近で最  大値をとり再び減少する傾向にある。 (4) 液温増加と共に一定電圧に対し太き樹枝状図  形は消滅、或は短かくなる。特にこの現象は正図  形に於て顕著である。 (5)キシレンの破壊放電(火花放電)による炭化  生成物は同一放電条件(電圧、放電電気量)のも   とで変圧器油より遥かに多量で汚染度が高い。  以上この実験を行ふに当り実験上種々御手伝願った 日本鉱業株式会社中山峯雄君、滋びに本学電気工学科 職員石川多俊君の両氏に御礼申し上げると共に終始御 指導を賜らた本学工学部中村元和教授に対し心から謝 意を表するものであります。          文  献 (1)金丸・昭37年電気学会東京支部1−21 (2)金丸・昭37年山梨大学工学部研究報告第13号84  ∼96P (3)金丸・昭38年電気学会連大会1−79 (4) Clark J. Erallkl. Inst.21642P 1933 (5) Toriyama. Dust Figure of surface discharge  and its apPlications.

92

参照

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