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認知症ケアのアウトカム評価票原案の開発

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認知症ケアのアウトカム評価票原案の開発

要 旨 【目 的】 認知症ケアのアウトカム項目を明らかにし, アウトカム評価票原案を開発することを目的とした. 【方 法】 文献検討,質問紙調査,専門家による検討により進められた.【結 果】 既存の文献では認知症症 状,生活行動,幸福感,QOL,介護負担の領域にアウトカムがまとめられた.認知症ケア経験者対象 239 人から は, 精神的安定, 生活行動, 認知症症状, 在宅療養継続などのアウトカムが明確になった. また, 在宅で認知症 ケア経験者 25人からは「笑顔,不安なく安心して暮らせる,楽しく喜ぶ」に重要度が高かった.【結 語】 専 門家の検討により, 最終的に以下の特徴をもった認知症ケアのアウトカム評価票を作成できた. ①アウトカ ムの主項目は「認知症症状・精神的安定」,「生活・セルフケア行動」,「その人らしい生活」,「介護者の負担」 で構成された. ② 2時点の状態をアセスメントし,該当する番号を書き,両者を比較して最高値持続,改善,維 持, 悪化, 最低値持続と判定する. ③アウトカムを高めるためのケア項目を設定した.(Kitakanto Med J 2007;57:231∼238) キーワード:認知症, アウトカム, ケア, 評価 は じ め に ケアの質評価の 3つ視点は,構造,過程,成果 (以下,ア ウトカム)といわれている. 構造は 物や設備,職員のケ ア体制であり, 過程にはケアの方法や内容が含まれる. わが国では現在もこの構造と過程を重視した医療やケア 施設の評価が行われている. アメリカではケアの質の評 価の焦点を構造と過程においていたが, 1987年ごろよ り, アウトカムに移行した. つまり, ケアした結果, 患者 や利用者の状態は改善したのか, 悪化したのか, アウト カムを評価することが重要と えている. その方法とし て 1995年に Shaughnessy PW らの グ ループ が OASIS (The Outcomes Assessment Information Set)を開発し,メ

ディケア対象者に 1999 年から 用が義務化されてい る. 筆者らはこれらを翻訳し,開発者と協議をし,アメリ カで研修を受け, OASISをもとに日本版の在宅ケアアウ トカム評価方法を開発した. その成果は著書としてまと め,わが国でも介護保険対象者に検証した. しかし,これ らのツールの項目は, 認知症者用のものではない. 認知症を評価するものに長谷川式簡易知能評価スケー ルがあり, わが国では最も古い歴 があり, 非常に広い 範囲で用いられてきた. しかし, この評価法は知能を評 価するものであり, ケアの質を評価するには問題がある. 1987年,英国の Tom Kitwood が,認知症に対するケアの 質を評価するツール Dementia Care Mapping (DCM)を 開発した. しかし, この方法は専門的な研修を受けた観 察者が評価するもので, わが国ではその人材は少なく, 日常で うには困難がある. 2005年, わが国では認知症 介護研究・研修センターが中心となり認知症者専門のア セスメント・ケアプラン表 (センター方式) が出版され た. これはその人らしさ (Personhood)を重視し,利用者 本位の継続ケアを目指したアセスメントツールである. このように, ようやくわが国では認知症者に対する専門 的なアセスメントが研究されるようになり, 今後はアセ スメントと連動するアウトカム票の開発が急務となるで あろう. わが国の認知症ケアのアウトカム評価方法の開発が行 われれば, 現場では認知症者のアウトカムに着眼するよ うになり, アウトカムを高めるケア体制やケア方法や内 容が推進されていくはずである. これにより, わが国の 認知症ケアの質向上が期待できる. 本研究の目的は認知 症ケアのアウトカム項目を明らかにし, わが国初の認知 1 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部保 学科 平成19年5月7日 受付 論文別刷請求先 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部保 学科 内田陽子

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症ケアのアウトカム評価票の原案の開発を行うこととし た. 方 法 開発は以下の段階に ってすすめた (図 1). 1.第1段階(先行研究・書籍等の文献レビュー) 最新過去 10年間における先行研究, 書籍等の文献か ら, 認知症ケアのアウトカム評価開発の示唆を得るため に,「認知症」,「アウトカム」,「評価」,「ケア」「QOL」を キーワードに文献を検索し項目の概要を整理した. 2.第2段階(臨床現場でのアウトカム評価項目の明確 化) 現場におけるアウトカムの言語化をはかるため調査を 実施した. 対象は, 認知症看護・介護経験のある者で, 2005年 A 県認知症講演会に参加のうち協力の得られた 235人とした. 方法は, ケア提供者側からみたアウトカム とは何かを尋ねた質問紙を配布し回答を得た. 析は質 問紙に書かれた文章表現から研究者がアウトカムに該当 する箇所を抽出し, カテゴリー 類を行った. 3.第3段階(アウトカムの重要度調査) 文献及び現場での調査結果から明確になったアウトカ ム項目の重要度を確認するために調査を行った. 対象は, B県内で認知症ケアの経験をもつ訪問看護師で, 2006年 訪問看護管理者研修会に参加し, 調査に協力が得られた 25人とした.方法は,自記式質問紙調査とし,対象背景条 件 (臨床経験年数, 訪問看護経験年数, 認知症ケア経験の 有無,認知症ケアの経験年数等)及び,第 1・2段階の結果 から明確になった認知症ケアアウトカム項目について, 重要とする程度をアナログスケールで尋ねた. スケール は,「0%まったく重要でない」から「100%大変重要であ る」とし平 値を算出した. 4.第4段階(原案作成と原案 用後調査・専門家との コンセンサスメソッド) 1)原案の作成方法 第 1から 3段階までの調査結果から明らかになったア ウトカム項目について, 研究者及び専門家が項目を一つ 一つ検討し, 評価できるように表現を修正していった. 研究者及び専門家が評価方法 (記入方法) を検討した結 果, OASIS及び日本版在宅ケアアウトカム評価方法 を 採用することになった. それは, ケアアウトカム評価方 法として検証, 実用化されているからである. 表 1は原 案の一部を掲載し,評価方法 (記入方法)を説明したもの である. 原案はケア提供者が記入する票とし, アウトカ ムとは,「2時点あるいはそれ以上の時点での 康状態の 変化」の定義にしたがい, まず 2時点の期間を設定し, 第一回目と第二回目の日付を記入するようにした. つぎ に, 第一回目測定値の欄には, 各アウトカム項目の設問 に対して, ケア提供者が認知症者の状態をアセスメント して該当する番号を記入する. その後, 第二回目の測定 の間に実施したケアに該当したものがあれば「アウトカ ムを高めるケア」の欄の項目をチェックする. 第二回目 の日が来たら, 再び設問に該当する番号を記入する. そ して, 最終的なアウトカム判定は日本版在宅ケアアウト カム評価方法 と同様に次のように設定した. 第一回目 測定値と第二回目測定値を比較し,0から 0のものは「最 高値維持」,数値が少なくなったものは (例 : 1から 0)は 「改善」, 数値が多くなったもの (例 : 0から 2) は「悪 化」,回答番号の一番多い数値が続いた場合は「最低値持 続」,変化ない (最高値持続,最低値持続以外)ものは「維 持」と判定する.設問に対する回答番号は 0が正常で,数 値が多くなるほど重度になっている (表 1). 原案のオリジナルな特徴は, 新たに測定間に「アウト カムを高めるケア」項目を設定したことである. それは, 現場の調査及び専門家の会議においてどんなケアを行え ばアウトカムが高まるかそれを明確にしてほしいという 要望があったためである. ケア項目は文献及び専門家か らの検討で列挙し評価票に組み入れた. 2)原案 用後調査の方法 これらの原案を実際に認知症ケアに携わる者に 用調 査を依頼した. 対象者は認知症ケアの経験をもつ看護・ 介護・リハビリ関連職員であり, 調査のオリエンテー ションを受け主旨を理解し, 調査協力が得られた者 32 人とした. 方法は, 受け持ち認知症者に対し, ケアに関 わった前後の状態をアウトカム票原案に記入してもらい 用後の意見をもらった. さらに, これらの意見を踏ま えて再び専門家と検討し, 最終原案の完成を行った. こ こでいう専門家とは認知症専門士の資格をもつ者, 認知 症ケアの研究実績や研修の講師の実績をもつ者とした. 5.倫理的配慮 本研究は対象者に説明と同意を得, 個人名が特定され ないように配慮した. なお, 認知症専門家が所属する代 表的な機関である A 病院の倫理委員会にて審議, 許可を 得た. 成 績 1.第1・2・3段階の結果 (図 1) 認知症評価の尺度は 75件 (文献件数) あった. アウト カム項目として表示しているものはなかった. 評価項目 のなかで一番多くみられたのは, 診断を含む「認知症症 状」の項目であり,次いで,日常生活行動能力を含む「生 活行動」,「幸福感」,「QOL」,「介護負担」に けられた.代 表的なものを紹介すると,高齢者用多元観察尺度 (Multi-dimentional Observation Scale for Elderly Subject: MOSES) はセルフケアや失見当, 抑うつ, コミュニケー

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ション等の多方面で評価してい る. 阿 部 ら は AD− HRQL (An instrument for assessing health-related quality of life in person Alzheimer disease) を翻訳し日本語版を 開発している. この尺度は, 社会的 流, 自己の認識, 活 動の楽しみ, 感情と気 , 周囲との関係で構成されてい る. また,山地らは,自立性の回復,情緒の安定,行動の安 定, ケアの受け入れ, 自発性の発現, 対人関係・社会性の 広がりの 6つをケアの効果項目として明確にした. セ ンター方式ではその人らしいあり方, その人の安心・快, 暮らしのなかでも心身の力の発揮, その人にとっての安 全・ やかさ, なじみの暮らしの継続を主なアセスメン トの視点としていた. 第 2段階としての調査結果で一番多かったアウトカム は「精神的安定」で 76個 (カテゴリー個数)であった.つ いで多くみられた大項目は「生活行動」31個,「認知症症 状」27個,「在宅継続」19 個,その他 4個であった (表 1). 大項目の「精神的安定」の内訳である中項目には,「笑顔」 23個,「不安のない安心の状態」15個,「楽しくいる・喜 ぶ」13個,「豊かな表情・感情表出」11個,「穏やかでい る」9 個などであった.大項目の「生活行動」の内訳であ る小項目には,「その人らしく生活」17個,「できることが 増える・保持」8個などであった.大項目の「認知症症状」 の小項目には「認知症症状の軽減」14個,「問題行動軽減」 13個であった.「在宅継続」の小項目には,「自宅・家族・ 地域のなかで生活」14個,「介護負担軽減」5個であった. 無回答, つまりアウトカムを書くことができなかった者 は 95人みられた (図 1). 第 3段階の調査では, 回答した人数は 25人であり, 臨 床経験年数は,「20年―25年未満」が 8人「15年―20年 未満」が 7人で平 年数は 18.2±7.6年であった.認知症 ケア経験年数は,「5年―10年未満」が 10人,「5年未満」 が 9 人であり, 平 年数が 5.1±3.1年であった. 第 1・2 段階の結果をもとに明確化した認知症ケアアウトカム 22項目の重要度についての結果を図 1に示した. 各項目 についての平 値の高い順に並べると,「笑顔が見られ る」91.8%,「不安なく安心に暮らせる」88.6%,「楽しく 喜ぶ」88.6%,「豊かな表情・感情表現」88.2%,「介護者 の介護負担の軽減」87.2%,「その人らしい生活が維持で きる」85.8%,「なじみの暮らしの継続」83.7%,「穏やか で落ち着いている」82.2%,「事故防止・安全の確保」78.5%, 「認知症の周辺症状の改善」78.4%,「暮らしの中で役割 が達成される」77.9%,「異常行動の改善」75.4%,「その 人の不安や感情がありのままに表現される」75.2%,「日 常生活行動の改善」73.2%,「できることが増えるまたは 維持できる」73.2%,「地域との 流を持ちながら生活で きる」71.4%,「自発的な言動・行動が見られる」70.7%等 であった. アウトカム項目をカテゴリー化した結果,「認 知症症状」,「精神的安定」,「生活・セルフケア行動」,「そ の人らしい生き方」,「介護負担」に けられた (図 1). 2.第4段階の 用後調査の結果 認知症ケアに携わる者 32名に原案を 用してもらい 意見をもらった. 対象者の所属は,「病院」,「在宅ケア機 関」が各 14名,「施設」4名であった. そのうち, 認知症 ケア専門士の資格をもつ者は 10名であった. 評価表を 用した意見では,「1回目・2回目の利用者状態の記入 (アウトカム該当番号)」については,「できた」25名,「で きない」6名,「無回答」1名であった.また,「できた」の 理由は「状態に変化がみられ該当した」があり,「できな い」理由は「著しく改善していない為判断に迷った」が あった.「ケア項目の記入」については,「できた」27名, 「できなかった」3名,「無回答」2名であった.「アウト カムの判定」については,「できた」26名,「できない」2 名,「無回答」4名であった.「できた」の理由は「結果が でているので判定しやすい.」また,「無回答」の理由は「あ る程度できたが, 軽度の改善時に判断に迷った.」であっ た.「自 にとって 用可能か」については,「はい」26名, 「いいえ」4名,「無回答」2名であった.「はい」の理由 は「アセスメントと同時にこの票を 用すると状態像が 細かくチェックできケアの方向性が定めやすい」,「評価 の内容とケア項目が並んであったのでわかりやすかっ た」,「チームで共有化しやすい」という意見があがった. また,「いいえ」の理由は「今回初めてケアアウトカムと いうことを知ったので, 用できるまで慣れていない」 という意見であった.「この票でケアアウトカムの評価は 可能か」については,「はい」24名,「いいえ」4名,「無回 答」4名であった. 3.最終的な専門家とのコンセンサスメソッド(最終原 案でのアウトカム項目の決定) 原案のおおむね原案は 用可能なものと判断された. さらに専門家の討議により以下に票の修正を加えた. 認 知症症状の項目には中核症状は代表的な記憶障害を, 周 辺症状は行動障害と精神症状に けた. 精神的安定は認 知症症状と関連あるために「認知症症状・精神的安定」 同じカテゴリーとした. 妥当性が検証された尺度を有効 活用したほうがよいとのことで, 中核症状の記憶の評価 には CDR (Clinical Dementia Rating) の項目を 用し た. また,生活・セルフケア項目の一部に MOSES を 用した.また,「生活・セルフケア行動」を食事,排泄,移 動, 金銭管理などの具体的な ADL (Activities of Daily Living),IADL (Instilment Activities of Daily Living) を 設定した. さらに,「その人らしい生き方」に役割, 趣味, 外観の保持, 他者との 流等を具体的に設定した (図 1).

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表 1 認 知 症 ケ ア ア ウ ト カ ム 評 価 票 原 案 の 記 載 方 法 (一 部 抜 粋) 3. そ の 人 ら し い 生 き 方 (7 項 目) * 手 順 1 : 測 定 日 の 記 入 : 第 1 回 目 の 時 期 を 設 定 し て 記 入 す る →(4 月 1 日) * 手 順 1 : 測 定 日 の 記 入 : 第 2 回 目 の 時 期 を 設 定 し て 記 入 す る →(6 月 1 日) 評 価 項 目 設 問 に 対 す る 回 答 (利 用 者 の 状 態 番 号) 1. 第 一 回 目 測 定 値 2. ア ウ ト カ ム を 高 め る ケ ア 3. 第 二 回 目 測 定 値 4. ア ウ ト カ ム 判 定 ① 役 割 と 発 揮 の 有 無 役 割 を も ち 発 揮 し て い ま す か ? ■ お り た た み な ど の 役 割 提 供 0 : 発 揮 し て い る (内 容 ) ■ 過 去 の 習 慣 や 特 技 を 生 か し た 役 割 の 実 現 ■ 最 高 値 持 続 1 : し て い な い 0 □ 家 族 へ の 協 力 依 頼 0 □ 改 善 そ の 他 ( ) ■ 役 割 発 揮 に 対 し て ほ め る, 感 謝 す る □ 維 持 □ い ろ い ろ な レ ク の 機 会 を 取 り 入 れ る □ 悪 化 □ そ の 他 □ 最 低 値 持 続 ( ) ② 過 去 の 趣 味 ・ 生 き が い の 実 現 過 去 の 趣 味 や 生 き が い が 実 践 で き る 場 が あ り ま す か ? ■ 本 人 の 過 去 ・ 生 い 立 ち の 理 解 0 : あ る (内 容 ) ■ 趣 味 を 生 か し た レ ク を 計 画 し 実 施 す る □ 最 高 値 持 続 1 : 時 折 あ る 2 ■ 道 具 の 工 夫 1 ■ 改 善 2 : め っ た に な い ■ 個 別 を え た 催 し を 企 画 ・ 実 施 す る □ 維 持 3 : な い □ そ の 他 □ 悪 化 そ の 他 ( ) ( ) □ 最 低 値 持 続 ③ 外 見 外 見 (服 装 や 髪 型) は そ の 人 ら し さ が 保 た れ て い ま す か ? ■ な じ み の 服 を 持 ち 込 む 0 : 保 持 で き て い る ■ 整 容 を 行 う □ 最 高 値 持 続 1 : 少 し 乱 れ る こ と が あ る が ほ ぼ 保 た れ て い る ■ 着 衣 ・ 着 脱 を 整 え る □ 改 善 2 : 乱 れ る こ と が 多 い 1 ■ 化 粧 を 行 う 1 ■ 維 持 3 : い つ も 乱 れ て お り そ の 人 ら し さ が 保 持 で き な い ■ 他 者 と の 流 の 場 を 作 る □ 悪 化 そ の 他 ( ) □ そ の 他 □ 最 低 値 持 続 ( ) ④ 他 者 (主 介 護 者 ・ 職 員 以 外) と の 流 の 機 会 他 者 (家 族, 友 人, 地 域 住 民, 研 修 生, 実 習 生 な ど) と の 流 の 機 会 は あ り ま す か ? □ 本 人 の 興 味 を 引 き 出 す 0 : あ り □ 外 出 の 機 会 を つ く る □ 最 高 値 持 続 1 : 時 折 あ り 1 □ 外 出 の 為 の 準 備 を 整 え る 3 □ 改 善 2 : め っ た に な い □ 他 者 に 協 力 を 求 め る □ 維 持 3 : な い □ そ の 他 ■ 悪 化 そ の 他 ( ) ( ) □ 最 低 値 持 続 ⑤ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 成 り 立 ち ま す か ? ■ 目 を 見 て 話 す 0 : い つ も 成 り 立 つ ■ 訴 え を 聴 く □ 最 高 値 持 続 1 : ほ ぼ 成 り 立 つ が 時 折 成 り 立 た な い こ と が あ る □ 興 味 の あ る こ と を 語 り か け る □ 改 善 2 : あ ま り 成 り 立 た な い □ 回 想 法 □ 維 持 3 : 成 立 し な い 3 □ ス キ ン シ ッ プ 3 □ 悪 化 そ の 他 ( ) □ 感 情 に 働 き か け る ■ 最 低 値 持 続 □ 個 別 に 関 わ る 時 間 を 多 く す る ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ * 記 入 方 法 の 解 説 → 設 問 に 対 す る 回 答 は 0 が 正 常 で 数 字 が 多 く な る ほ ど 重 度 に な っ て い る. 該 当 し な い 場 合 そ の 他 に 記 入 す る 手 順 2 : 該 当 す る 利 用 者 の 状 態 に 対 す る 回 答 番 号 を 記 入 手 順 3 : 1 と 2 回 目 測 定 間 に 実 施 し た ケ ア に 該 当 す る も の に ■ 記 入 手 順 4 : 該 当 す る 利 用 者 の 状 態 に 対 す る 回 答 番 号 を 記 入 手 順 5 : 0 → 0「 最 高 値 維 持 」,1 回 目 よ り 2 回 目 が 数 値 が 低 い 「 改 善 」,多 い 場 合 「 悪 化 」, 一 番 番 号 が 多 い も の が 続 く 「 最 低 値 維 持 」, 変 化 な い 場 合 は 「 維 持 」 と ■ 記 入 評 価 方 法 の 引 用 文 献 * 島 内 節 ・ 友 安 直 子 ・ 内 田 陽 子, 在 宅 ケ ア ー ア ウ ト カ ム 評 価 方 法 と 質 改 善 の 方 法, 医 学 書 院, 20 02 , p 12 6-13 1

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図 1 認知症ケアアウトカム票原案の項目の明確化過程 第 1段階 文献検討> 主項目 認知症症状 生活行動 幸福感 QOL 介護負担 *検討 1: 文献で概要 を整理, 現場のアウト カ ム を 調 査 し カ テ ゴ リー化 ⇩ 検討 1 第 2段階 臨床現場でのアウトカム項目> n=239 大項目 小項目 n 認知症症状 27 認知症症状軽減 14 問題行動軽減 13 生活行動 31 その人らしく生活 17 できることが増える・保持できる 8 自発性のある生活 4 安定した生活 2 精神的安定 76 笑顔 23 不安がない安心の状態 15 楽しくいる・喜ぶ 13 豊かな表情・感情表出 11 穏やかでいる 9 落ち着いている 3 自己肯定・受け入れている 2 在宅継続 19 自宅・家族・地域の中で生活共有 14 介護負担軽減 5 その他 4 満足した自然死 3 環境の適応 1 *検討 2: 現場でのアウトカム の重要度を検討するために調査 を行い点数化 ⇩ 検討 2 第 3段階 アウトカム重要度> n=25 大項目 小項目 M±SD 認知症症状 認知症の周辺症状の改善 78.4±18.9 異常行動の改善 75.4±18.5 認知症の中核症状の改善 40.1±22.9 精神的安定 笑顔が見られる 91.8±13.8 不安なく安心に暮らせる 88.6±13.4 楽しく喜ぶ 88.6±15.8 豊かな表情・感情表現 88.2±11.1 穏やかで, 落ち着いている 82.2±22.9 その人の不安や感情がありのま まに表現される 75.2±20.8 ケア提供者の指示を理解できる 61.9±20.9 生活・セル なじみの暮らし生活の継続 83.7±16.8 フケア行動 事故防止, 安全の確保 78.5±19.2 日常生活行動の改善 73.2±21.2 できることが増えるまたは維持 できる 73.2±23.1 自 の意思どおりに生活できる 64.6±23.8 その人らし その人らしい生活が維持できる 85.8±18.9 い生き方 暮らしの中で役割が達成される 77.9±21.1 地域との 流を持ちながら生活 できる 71.4±20.2 自発的な言動・行動が見られる 70.7±23.4 好きな時間に食事ができて外に も出られる 66.6±23.6 介護負担 ケア提供者, 職員の介護負担軽 減 63.2±25.9 介護者の介護負担軽減 87.2±15.8 *検討 3: 評価票作成のためにアウトカムを 測定できる表現に修正し原案を作成 それを実際に 用してもらい現場の意見及び 専門家と協議して最終原案を作成した *注 : 検討は研究者・専門家で行った ⇩ 検討 3 第 4段階 (最終原案) でのアウトカム項目 大項目 小項目 認知症症状・精神的安 ①中核症状の記憶障害 定 ②周辺症状の精神障害 ③周辺症状の行動障害 ④苦痛に対する表現 ⑤楽しいことに対する表現・笑顔 生活・セルフケア行動 ①身づくろい ②着替え ③食事 ④入浴 ⑤トイレの 用 ⑥移動 ⑦金銭管理 ⑧事故の回避 ⑨休息・睡眠 ⑩なじみの暮らしの継続 その人らしい生き方 ①役割の有無と発揮の程度 ②過去の趣味・生きがいの実現 ③外観の保持 ④他者との 流の機会 ⑤コミュニケーション ⑥対象とのあいさつ ⑦本人のニーズの実現 ⑧レクリエーションやリハビリ各 療法に対する参加の程度 介護者 (ケア提供者) ①本人との関係 の負担 ②ケアのストレス・心身の疲労 ③介護継続の意思 ④サービスへの満足度, +CDR. * MOSES採用

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察 1.原案の有効性と限界,今後の課題 本研究は多様化する認知症ケアにおいてアウトカムの 概念及びその評価方法がいまだ明確でないことを背景に 原案の開発を段階的にすすめた. 現在, 認知症ケアのア ウトカムそのものを明記する文献はなく, 本調査でも現 場のケア提供者 95人がアウトカムを記述できなかった. したがって, アウトカムに関連する QOL や症状等に関 連する評価方法の文献に基づき, 現場のケア提供者がお およそ摑んでいるアウトカムを言語化し, それをさらに 研究者と専門家によって修正する方法で原案を作成し た. 研究方法においてデータ不足などの課題があったと はいえ, わが国初の認知症ケアアウトカム評価票の原案 が作成されたことは意義がある. この原案によって認知 症者のケアを受けた後の状態変化 (改善, 維持, 悪化等) が測定できること, アセスメントして該当番号を記入す ればよいため簡 であり, かつ客観的に誰もがアウトカ ムが把握できることの有効性が期待できる. 今回, 原案 用後の調査結果で「記入できる」,「判定できる」,「 用 できる」の回答が高かったことから, この原案は現場で も 用できると えている. しかしながら, 今回の調査 では限られた対象者であったため, 広く一般的に 用で きるかは疑問が残る. また, 開発したものは原案であり, 今後は対象者を拡大して評価票の妥当性, 信頼性の検証 を行って評価票の完成が求められる. 2.原案の特徴 今回, 開発した原案におけるアウトカムの特徴は以下 のとおりである. 認知症ケアのアウトカムとして, 中核 症状よりも周辺症状 (精神症状,行動症状)が重要視され た. これは中核症状が脳病変の部位と程度が大いに関与 するのに対して周辺症状は環境因子に影響を受け, 介入 の余地があるといわれている. つまり, 質の高いケアを 提供すれば, アウトカムの向上が期待できる領域だとい える.第 2・3段階の調査でも周辺症状のなかの特に精神 症状の項目は多く抽出され, 重要度も高かった. 認知症 者は見当識障害から現在の状況判断ができず, 強い不安 に包まれ, このことから行動障害として扱われることが 多い. その行動を抑えるのではなく, 表現できるように する, 笑顔を誘うことが大切だ という文献や専門家の 意見により,これらを「認知症症状・精神的安定」という 大項目に設定したことは適切といえる. また, 認知症者に対して日常生活の援助とケアについ て残存能力の維持・活用を常に意識する必要がある. 多 くの評価尺度に生活項目が設定され, 現場からもこれら があげられた.本研究では「生活・セルフケア行動」とし て, 身づくろい, 着替え, 食事等の具体的な項目を設定し た. ADL の評価票は多数開発されているが, 認知症専用 のものは限られており, 今回, 医療スタッフの誰でもが 容易に 用でき, 信頼性や妥当性も有するといわれてい る MOSES の一部を採用した. 専門家より生活を自立し ていくために必要な IADL 項目の金銭管理, 休息・睡眠 の必要性を指摘され, センター方式等 でも重視されて いるなじみの暮らしの継続も取り入れた.「その人らしい 生き方」について役割の発揮,趣味・生きがいの実現,各 療法の参加等を入れたが, これらは近年認知症ケアに必 要だといわれていることを具体的に設定したものであ る. そして, 介護者の負担については日本版在宅ケアア ウトカム評価方法 と同様に, 日本が家族と同居してい ること, 家族が介護している状況, 施設等ではケア提供 者が介護しており, 介護負担の問題が多いことを配慮し たものでこれらをアウトカム項目に入れたことは適切だ と える. 今回, アウトカムを高めるケア項目を組み入れ, 対象 32名中の 27名が「記入できた」と回答していた.本研究 で開発した評価票を記入することでアウトカムを高める ことを意識づけると同時にどんなケアを行えばよいかを 示しており, ケア提供者にとっても役立つものと える. しかし, 認知症者は在宅や施設, グループホーム, 病院等 多岐に渡るため, これらの項目が適応できるかどうか, 今後, 対象者を拡大しての継続調査が必要である. 謝 辞 本研究にお世話になりました美原記念病院関係職員の 皆様, 沖田裕子様, 奥村朱美さん, 大学研究者の先生方, その他対象者, 協力者専門家の方々に深く感謝にします. なお, 本研究は 2006年文部省科学研究費基盤研究 C (企 画調査 18639019) 及び 2007年基盤研究 C (19592555) の 助成を受けてまとめたものの一部である. 文 献 1. 田髙悦子, 川越博美, 宮本有紀ら. 認知症ケア専門特化型 訪問看護ステーションにおけるサービスの質の評価基準 の開発. 老年看護学. 2007; 11 (2): 64-67. 2. 島内 節, 大賀英 , 山口亜幸子ら. 利用者のケア効果か らみた在宅ケア機関の評価方法―利用者条件調整による 標準値と機関比較―. 日本在宅ケア学会誌. 2001; 3 (1): 76-77. 3. 島内 節, 友安直子, 内田陽子. 在宅ケア―アウトカム評 価と質改善の方法. 医学書院. 2002: 1-157. 4. 大塚俊夫,本間 昭.高齢者のための知的機能検査の手引 き. ワールドプランニング. 2000: 9-13. 5. 田中志子.痴呆性高齢者の「利用者本位」を支えるアセス メント技法 DCM.GPnet. 2004; 6: 31-39. 6. 認知症介護研究・研修東京センター.認知症の人のための ケアマネジメントセンター方式の い方・活かし方.中央

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法規. 2006: 1-7, 69-71.

7. Shaughnessy PW, Crister KS.Outcome Based Quality Improvement. A Manual for Home Care Agencies on How to Use Outcomes. National Association for Home Care. 1995: 1-25. 8. 新井平伊. 観察式による痴呆の行動評価 (3). 老年精神医 学雑誌. 1996; 7 (8): 917-923. 9. 阿部俊子, 山本則子, 鎌田ケイ子ら. 痴呆性老人の生活の 質の開発 (AD-HRQL-J) の開発. 老年精神医学雑誌. 1998; 9 (12): 1489-1498. 10. 山地佳代, 竹崎久美子, 塩塚優子ら. ケア効果としての痴 呆性老人の変化の構造―痴呆棟で働く看護職への質問紙 調査を通して―. 老年看護学. 2000; 5 (1): 107-114. 11. ジョセフ・J・ガロ,テリー・フルマー,グレゴリー・J・ パベッツァ.医療・看護・福祉の現場で役立つ高齢者アセ スメントマニュアル. メディカ出版. 2006: 99-104. 12. 山口晴保, 佐土根朗, 沼記代ら. 認知症の正しい理解と 包括的医療・ケアのポイント. 協同医書出版社. 2005: 50-91.

(8)

Development of An Original Outcome Assessment Tool

in Dementia Care

Yoko Uchida

1 Department of Health Science Medicine, Gunma University Graduate School of Medicine

Purposes: The purposes of this study are to identify outcome measures in dementia care and to develop an Original outcome assessment tool. M ethods: We reviewed the literature,conducted a questionnaire survey. And we examined outcome measures by experts. Results: Outcome measures (dementia symptoms, living behavior, happiness, quality of life, and care giving burden) were identified by the current literature review. The results of the survey in 239 persons who experienced dementia care revealed outcome measures such as psychological stability,living behavior,dementia symptoms and will of continuous care at home. Smile, secured living without anxiety, enjoy, and pleasure were highly important in 25 persons who experienced dementia care at home. Conclusion : We developed the outcome assessment tool with the following characteristics by expert review. (1) Primary outcome measures were dementia symptoms/psychological stability, living/self-care behavior, individual living style, and caregivers burden . (2)Conditions at two time points should be assessed,applicable number should be recorded,and a judgment should be made whether it is maintaining at the maximum level,improving,maintaining the current level,deteriorating,or maintaining at the minimum level . (3) Care items were developed to improve the outcomes.(Kitakanto Med J 2007;57:231∼238)

図 1 認知症ケアアウトカム票原案の項目の明確化過程 第 1 段階 文献検討> 主項目 認知症症状 生活行動 幸福感 QOL 介護負担 *検討 1: 文献で概要 を整理 , 現場のアウト カ ム を 調 査 し カ テ ゴ リー化 ⇩ 検討 1 第 2段階 臨床現場でのアウトカム項目> n=239 大項目 小項目 n 認知症症状 27 認知症症状軽減 14 問題行動軽減 13 生活行動 31 その人らしく生活 17 できることが増える・保持できる 8 自発性のある生活 4 安定した生活 2 精神

参照

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