• 検索結果がありません。

<論文>無償融資における実質課税の問題点 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "<論文>無償融資における実質課税の問題点 利用統計を見る"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

著者

菅原 計

著者別名

Sugawara Kei

雑誌名

経営論集

29

ページ

177-196

発行年

1987-03-23

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005764/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

l n Ⅲ Ⅳ v Ⅵ

無 償 融 資 に お け る実 質 課 税 の 問 題 点

菅 原 はじ めに 実質課税の意義 無 償融資における実質課税の論理 判例におけ る実 質課税の誤判 実質課税におけ る認識原理 むすび 計 I は じ め に 法人所得課税における法人税の課税標準は,各事業年度の所得の金額であ る。法人税法第22条第1 項は,かかる所得の金額を,当該事業年度の益金の 額から当該事業年度の損金の額を控除し た金額であるとし, 益金の額につい て同条第2 項は,益金の額に算入すべき金額は資産の販売,有償又は無償に よる資産の譲渡又は役務の提供,無償に よる資産の譲受けその他の取引で資 本等取引以外のものにかかる当該事業年度の収益の額とすると規定する。 犬ここで問題となるのは,無償による役務の提供が何故益 金となるのかとい うことである。 なお, この規定は,別段の定めがあるものを除き当 該事業年 度の収益の額とする。 とすれば,無償による役務の提供に よって会計上の収 益が認識されることを前提にしてい るようである。 し かし,「収益」 とい う 概念は,会計上の概念であるから,会計学上かかる取引を 「収益」と認識で きない場合,税法上「益金」 と認定することができるであろ うか。 もし認定 することができるとすれば,その根拠は何であろうか。 さらに,法人税法第22 条第4 項にい う「収益」お よび 「費用」 の額は,「一般に公正妥当 と認め られる会計処理の基準」に従って計算され るべきことが規定されている。 こ の場合,法人税法第22条第2 項と同条第4 項との関連を どのように解釈すべ きかが問題となる。

(3)

そ もそ も「収益」 お よび 「費 用」 とい う概念は, すぐ れて会 計学 上の概 念 であ り税 法上 の概念ではない。 税 法上 「収益」 お よび 「費用」 とい う概念を 使 う場 合に は√そ れは借用概念 であ り, そ の内容 は会計 学上の 概念に 支配 さ れる もの となる。 会 計学 上 の「収 益」お よび 「費用」 概 念は, 発生主義 に 基づ く損益計算原 理に基 づ く ものであ り, そ の認識 基準は 個別的 に は 「実 現」 主義 が適用 さ れ。1) そ の認識 要 件は 「客観性」,「確 定性」,「経 済的 実質性」 であ る。 会 計目的 は, 一 般 に 財 産 保 全 , 利 害 調 整 , 経 営 管 理 と さ れ, 会 計 の操 作 的 機 能 とし て 記 録2 ) ‥ ‥ ‥. ‥ 計算,測 定 整理, 情報伝達を 挙げ るこ とがで き る。 この 情報伝達機 能に より 提 供さ れる 情報は, 企業 実体 の損益情 報 と 財政 状態 情報 であ る。 これら の情 報は,最 終的 には企業利 益 の測 定に 帰結 す る。 会 計上の 企業利益測 定。は, 法 的 実質 性に 基 づ くのではな く, 経 済的 実 質性に基 づい てな される。 法人税 法 第22 条第4 項の解釈 は, かか る会 計上 の経 済的実 質性に基づ く損 益 計算に従 って 計算されるこ とを 宣言し た もので あ る。 かか る課税 の論理を 「実 質課税 の論理」 とい わなけ れば なら ない が, こ の「実 質課税」に 名を借 り て, 税務 行政 上あ るべき取引認 定 の法的合 理 性の 根拠 とし て これが使 われる 場合 があ る。 かか る税 務認 定 の根拠 とし て実 質課税 という 用語 が使 われる場 合 , そ の内容 は事実に基づい て径済的 実 質に 則し て測定さ れ る真実 の所 得を もって担 税力あ る課税所 得とす る 「実 質 課税 の論理」 とは 明確に区別 されな け ればなら ない。 こ の点, 判具に おい て も混同 され てい る場合 が少な くない。 これに関 す る最 も典型的 な例 とし て, 無 償融 資におけ る税 務認定を 挙げ る こ とができ る。 す なわち,税 務行 政上, 無 償融 資は 貸主 に利 息が入 った と仮 定し , そ の利 息を 寄付金 とし て借主 に 提供し た もの と認 定さ れ る。 税 務当局 は, この判 断根拠 とし て実質 課税 の原 則を 挙げ るが, か かる実 質課税の原則 な る ものは, 実質 課税 の論理 から 到底容 認 でき る ものではない6 「実質課税 の論 理」 とは, 法形 式に とら われず 現実 の取 引 の実質を 重視す る課税の論理 であ り,仮 設 取引を認 定す るた め の論理 で ない こ とはい うまで もない。 注 功 幻 拙著『会計認識基準の論理』広文社, 昭和59 年,99 ∼100頁。 井上達雄『新財務諸表論』中 央経済社, 昭和57年,10 頁。し かし, ここでは.

(4)

会計処理以前になんらかの認識が必要であ り, そ の認識 に基づい て会計処理方法 が選択 される。 このように考え ると,会計機能は認識・測定 ・伝 達と捉えること がで きる。 詳し くは, 拙著『会 計認識 基準 の論理』広文社,昭和59年.46 頁を参 照さ れたい。 1 実 質 課 税 の 意 義 ‥ ‥ 実 質 課 税 の 条 文 は , 所 得 税 法 第12 条 , 法 人 税 法 第II 条 に み ら れ , 法 律 上 帰 属 す る 者 が 単 な る 名 義 人 で 他 に 収 益 を 享 受 す る 者 力気 ヽる 場 合 に は , そ の 享 受 す る 者 に 帰 属 す る も の と し て 課 税 す る と い う 規 定 が あ る 。 い わ ゆ る 実 質 所 得 者 課 税 の 原 則 と い わ れ る も の で あ る 。 と の 規 定 が 確 認 規 定 な の か , 創 設 規 定 な の か に つ い て は い く つ か の 説 が あ る 。m 中 二 郎 博 士 は , 租 税 の 公 平 負 担 の 原m か ら 解 釈 原 理 と し て の 実 質 課 税 の 確 認 規 定 で あ る と 捉 え 次 の よ う に 述 べ る 。 「 こ の 原 則 は , 実 定 法 上 , 明 文 の 規 定 に よ っ て 明 ら か に さ れ て お り ( 所 得12 条 , 法 人11 条 ), ほ か に も , こ の 趣 旨 に 出 た 規 定 が 少 な く な い が , 実 質 課 税 の 原 則 は 単 に 明 文 の 規 定 の 存 す る 場 合 に の み 妥 当 す る の で は な く , む し ろ , そ れ ら の 規 定 は , 宣 言 的 ・ 確 認 的 規 定 の 意 味 を も つ に 止 ま り , 明 文 の 定 め の 有 無 に か か わ ら ず , 解 釈 原 理 と し て 一 般 に 妥 当 す る も の と 考 え な く て は な ら ふ , : こ れ に 対 し て 金 子 宏 教 授 は , 解 釈 原 理 と し て 一 般 に 妥 当 す る と 解 す る こ と に は 批 判 的 で あ る 。 な お , 所 得 税 法 第12 条 お よ び 法 人 税 法 第11 条 の 実 質 所 得 者 課 税 の 原 則 の 解 釈 に つ い て は2 つ ぁ る と し て 次 の よ う に 述 べ る 。 「1 つ は , 課 税 物 件 の 法 律 上 ( 私 法 上 ) の 帰 属 に つ き , そ の 形 式 と 実 質 と が 相 違 し て い る 場 合 に は , 実 質 に 即 し て 帰 属 を 判 定 す べ き で あ る , と い う 趣 旨 に こ れ ら の 規 定 を 理 解 す る 考 え 方 で あ る 。 他 の1 つ は √ こ れ ら の 規 定 は , 課 税 物 件 の 法 律 上 ( 私 法 上 ) の 帰 属 と 経 済 上 の 帰 属 が 相 違 し て い る 場 合 に は , 経 済 上 の 帰 属 に 即 し て 課 税 物 件 の 帰 属 を 判 定 す べ き こ と を 定 め た も の で あ る , と 解 す る =2 ) 立 場 で あ る 。」 同 教 授 は , 前 者 を 法 律 的 帰 属 説 , 後 者 を 経 済 的 帰 属 説 と 呼 び , 法 律 的 帰 属 説 が 妥 当 で あ る と す る 。 租 税 法 を 法 体 系 と し て 捉 え る 限 り 法 律 的 帰 属 説 が 妥 ■ ・I − ■I ゝjl − ゛当 で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。 し か し , 租 税 法 の 課 税 所 得 算 定 に お け る 所 得!-t, 法 的 所 得 で は な く 経 済 的 所 得 な の で あ る 。 従 う で , 税 務 行 政 上 具 体 的

(5)

に 問題とな るのはレ 経済的 所 得 の実質を巡っ て差 異が生 ずる場 合 であ る。 忠博士は, 法的実 質 と経 済的実 質につい て次の ように 述べ る。「当 事者が 意図 する経済的 効果を 一 般的 に 観 察し て客観的に 妥当 す ると 考え られ る法律 的 判 断を下し , これに 合致 す る ときは形 式主義に よる ことを 原 則 とす るが, そ れに合致し ない ときは実 質主 義 に より判 断さ れた事実 関係に 対し て 法人 税 法 が適用さ れ るべき こ とを 意 味す る。… …それが経 済的 実 質に 合致し ない と い う反証が 確か めら れた ときは, 経済的 実質に合致 させて 法律 関 係を 租税 法3 ) 的 に確定す ることに な る。」 経 済的所 得を 課税所 得 と捉え る ために適用され る租税 法の具 体的 運用 とし て は, 忠博士 の指摘 は当 を 得 てい ると言え よう。 他方北野弘久 教 授は, 税 法学 上実質 課税の原則 なるも のは全 く必 要 とし な い とい う。 すな わち,「従来, あ たかも税法に固有 の実 質課税 の 原則が問 題 に なると受け とら れ てきた場 合 の多 くが, 実はそ もそも 実質課 税 の原則を も ちだす 必要 の存 在し ない 場 合 か, 単 なる法的 実質主 義 に れは税法固有の問題 ではない)が 問題 とな る 場 合 であ る とい うことであ る。 ご く 例外的 に 経済的 実質主義を 問題 とし うる場合 が 考えら れない では ないが ,経 済的 実 質主 義を 法 解 釈 ・適 用 のレ ベ ル で も ち こむ こ とは 租 税 法 律 主 義 を 規定 す る 憲 法 構 造 上4) 許 され ない 。」 確かに経 済的 実質主 義 を 法解 釈 ・適用レ ベル でもちこむ ことは, 適 正な 課 税所 得算定上 問 題 とな ることは 言 うまで もない。 無 償融 資にお け る税 務認定 を問 題にす る のは, かか る観点 から論じら れねばなら ない。し かし, 税務会 計学上 実質 課税 の論理 は 基本的 思 考基盤 とし て必要 なの であ る。 この ように, 実質 課税につ い ては,い くつ かの異な る見解が 見 られ, 統一 概念は 未だ定立 を みない。し かし ながら, 法人 税法第22 条が益 金及 び 損金に つい て 「収益」 お よび 「費 用」 とい う会 計学的 概念に依 拠し て い るこ とは 明 ら かであ る。 ニLittleton は, 統 計的 手法 に基づ く会 計の対象 は富(wealth) であ る とし て 次 の ように述 べ る。「会 計の主 題は, 本質的に 経 済的 であ る ことは 明ら かであ る。 …… 富 のい くっ か の側面は, 会 計の重要 な関心事 (thecenterofgravity) とし ても 見出 され る。 多 くの勘定 の内容は, 投資, 回収, 配分, 借 入, 貸付, 所 有, 負債とい う 富 の 変動 を 表 わす。 他 の勘定 (企業の経営活動を記録する)

(6)

は,生産, 交換, 損失,利 得を 表 わす。 負債お よび資 本勘 定は , より多 くの 富を産 出す る過 程 の富を示し て い る。 収益勘定 は,生産 物 の流 出に ともな う 富 の流入を示し , 原 価お よび費用 勘定 は, 収益 の流入(inflow)を もたら す生 産物 の流 出(outflow)を 創造す るた めに使わ れる富を示す もの であ胤 このよ うに会 計概念 に依 拠し てい る限 り,「収 益」 お よび 「費 用」 とい う 概 念は, 企業 の経 済的 活動を対 象 に,そ の富 の純増 加す なわ ち会 計期 間にお け る経 済的利 益を 造 出 するため の重 要 な2 つ のフ ァクター とし て 捉え られ る。 この会計上算定 さ れ る利益 の真 実性 の保証 は, 経 済活動 の実質 に基 づ いて適 切 に認識 ・測定 さ れてい るか ど うかに よる。 ここに, 会計上 経 済的 実質性 の 認識 要件 を 必要 とす る理由があ る。 租税上 の公平 課税 の本質 が経 済的 実質性 (真実性) に基 づ く会 計上 の利 益 (所得)を もって 課税所 得 とす るこ とに求めら れ るなら,租 税 法学 上 の かかる 前提を 「実質課税 の論 理」 とい うこ とが でき よう。し かし な がら, 北 野教授 が指摘す る よ うに, 租 税法 律主義 が 税法適 用の大前提 であ るか ら, 租税法に 規定 のない 領域に つい て, 税務 行政 上認定 課税す るため の法理 とし 七 「実質 課 税の論理」が 適用 さ れ る余 地は ない とい うべ きであろ う。 確かに, 北野 教 授が指 摘す る よ うに,「日本 の税法 の実務 界を 支 配し てい る『税務認 定』 とい う考え 方 の法理 論的基 礎は, 実に,租 税 法 律主 義 とは別 個 の, この実質 課税 の原 則に存 在 す るのであ る。『税法』 とい う法 領域には, 一 般 の法 領域に みら れない 何 か特有 の法原 則が支 配す るも のと受け 取 られて6 ) きた 。」 かかる税務 認定は , 現実に 存 在す る のであ る。し かし, この ことに よって, 税務行政上 の税務 認定 と「実 質 課税 の論理」 とを 同一 視す べ き で は な い。 「実質課 税 の論 理」とは, 課 税 の公平 巨を 目的 とす る基 本論 理 であ り, 税務認 定 のため の原 則 と捉え ることは で きない。 もっ とも, 実質 課税 の論 理 が会 計 の 経 済 的 実 質 性 (真実性) に 根 拠 を お く と す る た め に は ,( 一 般 に 公 正 妥 当 と7) 認められる企業会計の基準」の定立化が前提となることはい うまでもない。 そ の意味では, かかる税務行政上 の誤判の責任の一端は明確な会計基 準の不 存在と,それを裏付け る会計学理論の不備にあ るのかもし れない。

(7)

幻 葡 萄 葡 萄 jj67 田中二郎『租税法』(法律学全集11) 有斐閣, 昭和58年,118 頁。 金子宏『租税法』弘文堂, 昭和58 年,139 ∼140頁。 忠佐市『税務会計法』税務経理協会,昭和53 年,131 頁。 北野弘久『税法学原論』青林書院新社, 昭和59 年,98 ∼99頁。A.C.Littleton,StructureofAccountingTheory,AAAmonographNo.5,1953,tenthprinting.p-9. 北野弘久『 前掲書J,87 頁。 法 と会 計の関連上,ど うし ても明確な企業会計基準の形 成が必要となろ う。詳 細は 拙著『会計認識基準 の論理』広文 社, 昭和59 年,298 ∼303頁を参照されたい。 Ⅲ 無 償融 資におけ る実 質課 税の論 理 実 質課税 の原則に基づ くとさ れる税 務認定 が 行わ れた 事件とし て 清水惣 事 件 が有名 であ七。 事件 の概要は /X 会社 がD 会社 に対し て, そ の事業達成を 援 助す 右目的 で3 年 間で4,000 万 円を 限度 とし て 無利息 で融 資す る旨の契約 を 締結し た。 この契約 に基づ き,X 会社 はD 会社に 対し ,昭 和38 年12 月1 日 から昭 和39 年11 月30 日 まで の事業 年度 に21,417,390 円を √翌昭 和39 年12 月1 伺から, 昭和40 年11 月30 日まで の事業 年度 に26,544,600 円を融 資し た。 これに 対し,Y 税務 署長は,X 会社 がD 会社 に無利 息 で融資し た件につ き, 利 息相当 額(年10%の利率)を 寄付金 と認定し , 寄付 金損 金不 算入額 とし て昭 和38 年12 月1 日から昭和39 年11 月30 日まで の事業 年度に2,061,013 円, 昭和39 年12 月1 日から 昭和40 年11 月30 日の事 業年 度に おい て は2,582,134 円を, 申告所得 金額 に 加算す る更正処分を 行 った とい うものであ る。 これに 対し ,X 会社 はY 税 務署長 の更正処 分を 不服 とし て訴 訟を 提 起し た。一 審の 大津地 裁 では, 無利 息 の約定 に よる私法上 の効 力を税 務 上否定 す べき理由は ない と し てY 税務 署長 の更正処 分を 取消し た。 これに 対し,Y 税 務署 長は大 阪高裁 に控 訴し た。 大 阪 高裁は, 本件 無利息 融 資に つい ては, 法人税 法第22 条 第2 項 の規定 が 適用 さ れ るべ きであ るとし, 原判 決を 変更しY 税 務署長 の更正処 分を 認め る判 断を 示し た。 こ9 件 に関し て次 の3 点 が問題 とな る。 ト ダ ① 法人 税法 第22 条第2 項 の役務 の無 償提 供は 経済的 実 質におい 七益金を 構成 す る とい う規定は, 実質課 税 の原 則 であ るとい われ るが,「実 質課 税 の論 理」 から この経 済的実 質を 説 明す るこ とが 可 能であろ うか。

(8)

② 経 済 的 利 益 の 移 転 とい う税 務 認 定 に お い て, 貸主 の収 益 が 認 定 さ れ る とし な が ら, こ の利 益 移 転 を 寄 付 金 と す る 根 拠 は 何 であ ろ う か。\ ③ 判 旨 に もあ る よ うに , 無 償 融 資 に お い て は , 通 常 あ り うべ き利 率に よ り貸 主 に 利 息 が 収 受 され , そ の 経 済 的 利 益 が 借 主 に 移 転し た も の と 考 え ら れ て い る。 し かし , こ の 仮 定 さ れ た 利 息 収 受 に あ た りi 利 率 を ど の よ うに 認 定し よ うと す る の か。 一 率10 %基 準 は , あ ま りに も 画一 的 過 ぎ る と 言 わ な け れ ば な ら ない 。 「実 質 課 税 の論 理」 と は, 所 得 課 税 に お け る 所 得 の本 質 を 経 済 的 実 質 に 求 め る も の で あ り, 例 とし てi; ー ス 課 税 , タ ッ クス ・ヘ イ ブ ン 税 制 , 移 転価 格2 ) 税 制0 基 本 的 理 念 とし て存 在 す る も の で あ る。 吉良 実 教 授 は, 実 質 課 税 に つ い て,「 税 法 の 解 釈 ・適 用 に あ た り実 質 課 税 主 義 , 特 に 経 済的 実 質 主 義 を 是 認 す る こ と と な る と, 税 法 の恣 意 的 な 解 釈 ・ 適 用 が 行 わ れ , ひ い て は 税 務 署 の 課 税 権 の 濫 用 が 行 わ れ る弊 害 を 招 来 す る こ3 ) と に な る も の であ る, と の 批 判 が あ る」 とし な が ら 乱 「そ の 原 因 結 果 の 必4 」 然 性 が 今 日 充 分 に 証 明 さ れ て い る も の とは 認 め ら れ ない 」 と 指 摘 す る よ うに , 「実 質 課 税 の 論 理 」 は 租 税 法 上 公 平 課 税 を 支 え る基 本的 考 え 方 であ る。 と ころ で, 清 水 惣 事 件 に お け る税 務 認 定 は , 貸 付 金 に 対 す る利 息 収 受が 一 般 的 慣行 であ る こ とを 前 提 に , 無 利 息 の 場 合 に も 実 質 的 に利 息 収受 し これ を 贈 与 し た も の と 結果 的 に は 同 質 で あ る と い う。 す な わ ち , 現 実 の税 務 認定 に お い ては ,「そ の払 出金 の 実 質 が 貸 付 金 に 該 当 す る も0 であ る限 り, 他に 別 段 の 理 由 あ る も のを 除 い て 利 息 を 収受 す べ き も の と さ れ る。 つ ま り, 利 息O 受 入 れを し て い な い と きは, 収 受 す べ き利 息 相 当 額 の 経 済的 利 益 を 相 手 方 に 供 与 し て い る も の と 認 定 さ れt 。」 ニ こ0 利 息 収 受 と 経 済 的 利 益 の 供 与 を 支 え る 考 え 方 が , 実 質 課 税 であ ると 説 明 さ れ る が , 果し て か か る考 え 方 を 実 質 課 税 の 原 則 とい え る か ど うか, 本来 の 実 質 課 税 の 論 理 か ら 検 討 し な け れ ば な ら な い 。 「経 済的 実 質」 とい う用 語 は √ 形 式 事 実 では な く真 実 の 事 実 を 意 味 す る。 真 実 た る 事 実 が 無 償 融 資 であ るな ら ば , 経 済 的 実 質 に お い て も また 無 償 融 資 と い わ な け れば な ら な い。/税 法 上 問 題 と さ れ る の は , 真 実 た る 事 実 が 有 償 融・ 資 に もか か わ ら ず 無 償 融 資 を 仮 装 し た 場 合 であ る。 ■■■ ・・。。。 ・ 無 償融 資 と い う真 実 た る 事 実 に 対 し て, そ の 実 質 は 利 息 を 収 受 し て い る筈

(9)

だ とし ,利 息を 収受し てい ない 場合は借主 に経済的利 益 が 移転 され たとす る 税 務認定は, 利 息を 収受し てい ない とい う事 実を 認めた うえ で の仮設認 定 と 言 わなけ れば なら ず, 経 済的 実 質性を 重視す る実質課税 の論 理 から みて 担税 力あ る課税所 得 と認 定す るこ とはで きない。 次 に問題 と なる のは, 経 済的 利益 の移転が 何故寄付金 と認定 さ れ るのかと い うことであ る。 もっ とも, 税務上 寄付金 と認 定され る ことに よって, 貸主 が収受 された とされ る利 息 相当 額 の全額 に課税 され るこ とはない。 すなわ ち, 資本等の金額の で≒キj と所 得金額 の 2.5-100 を令 計した 古 に相当するSizi までは 損金 算 入 され るから で あ る(法人税法第37条第2 項,同施行令第73条第1 項)。 し かし, 収受 された と される利 息相当額 が借主に 移転し た と認 定し ながら, 寄付金 の損金 算入 限度 額を 超え る金額に課税し よ うとす る。 貸主 では なく , むし ろ 経済的 利益 の供 与を受け た とされ る借主に対 す る課税 関係 は ど うなる で あろ うか。 海 野安 美氏 は 次の ように述べ る。「 この場合 に は, そ の利 益相 当 額を 処理上 表現し な くて も, そ の額は 自動的 に利益 とし て表 現 され てい る ことに なるの で,し い て経理処理を 必要 とし ない。 か りに,そ の経済的利 益 相当 額を受 贈益 とし て表 現す る場 合には, 同額を 損金とし て の両 建処理を す6) る ことに な る。」 この よ うに, 借主 とし ては, 仮設 された利 息 支払額 が 損金 とな り, 供与 さ れ た経 済的利 益 が益金 と され, 結局相 殺され るとい う。 そ れで は, 貸主 にお い ては, 仮設 さ れた利 息収受 額 と経済的利益 の供与 が何 故 相殺 され ない の七 あ ろ うか。 そ の理由は, 経 済的利 益を 寄付金 と認 定す る ことにあ る。 法人 税法第37 条 第5 項に よる寄付金 の定義 に よると, 寄付金 の額は, 寄付 金, 拠 出金, 見 舞金そ の他 のい ずれの名義を も ってす る かを間 わ ず, 内国 法 人 が金銭 その他 の資 産又 は経済的 な利 益の贈与又 は無 償 の供与をし た場合に おけ る当該 金銭 の額若し くは金銭以外 の資産 のそ の贈与 の時に おけ る価額又 は 当 該経済的 な利 益 のそ の供与 の時に おけ る価 額に よる ものとす る, と規定 す る。 法人 税 法にお け る寄 付金 の概念は, この ように かな り広 義 の概 念 とし て捉 えら れ ている。 同条 には 経済的 な利 益 の供与 もまた寄付金 となる こと が明文 化 され ているが, この条 文 の法 解釈に おいて は, 自己所 有 の金 銭又 は資産を

(10)

無 償 で供 与 し た 場 合 で あ っ て, 無 利 息 融 資 の 仮 設 さ れ た 利 息 収 受 の供 与 を 含 む も のと 解 す る こ と は 無 理 であ ろ う。 最 初 か ら 受 取 っ て い な い 利 息 を 供 与 す る こ とは で き な い から であ る。 供 与 す る こ とが で き な い も のを , 寄 付 金 と 認 定 す るこ と も また で き な い 筈 であ る。 北 野 教 授は , 本件 に 関 す る寄 付 金 認 定 の 法 的 非 合 理 性 を 次 の よ う比 指摘 す る。「法 人 税 法 第37 条5 項 ・6 項 の 『寄 付 金 』 は , 法 の 格 別 の 個 別 的 ・ 具 体 的 否 認規 定 に よ り 『租 税 回 避 行 為』 とし て 否 認 さ れ る 場 合 に 基 づ く も のを 除 い て は, 当 該 無 償供 与 分 (本件の場合には無利息分)が 私 法 上 贈与 さ れ た と 認 め ら れ る 場 合 の も の で なけ れ ば な ら な い (『寄付金』 が認定 される場合 とは, 当 該融資行為 のなかに『無利息分を贈与する契 約』 が含有されてい るとみられる場合で なけ ればならない。 つ まり無利息分 の贈与 行為 が含有されてい る『混合契約』が存在 す るとみられ る場合でなけ ればなら な几 。」 こ のよ うに,経 済的 実 質からみて も法的 実 質 からみ て も, 無利息 融資の仮 設 さ れた利 息収受 分を寄付 金と認定す るこ とに は無 理 があ る。 さらに問 題 とな るのは, 仮設され た利 息 収受 分 の利 子率を ど の ように認定 し よ うとす るの かであ る。 清水惣事 件で のY 税 務署 長は 年10 %と認 定し てい る。 この利 率は, 課税庁 の推定利率 であ り, こ の利 率に よって利息収 受額が 測定 され, 寄付金 の損金不 算入額が 決定 され る。 仮 設取 引に 基づ く架 空の利 息 収受額 の測定は, 経済的 実質性を全 く無 視し た も のであ り, 会 計上一般に 公正 妥当 と認めら れた測 定とはいえ ない。 利 子率 は何 %が適切 かとい う議論が な され るが, これ は利息 収受取 引を 前 提にし た議 論であ る。 ここでは,利 息収受 の認定そ の ものが, 実 質課 税の論 理 から容 認 出来 ない とい う立場を とっ てい る ので問 題 とは なら ないが, もし , 租税 回避 に 該当 す る場合に は推定課 税 の利 子 率 の認定 は重 要な要 素となる。 海 野安 美氏 は,「理論的 には一 般 のいわ ゆ る 市中 金利 相当 の利 率に よるの が相 当であ り, おお むね10 %の基 準に固 定す るのは適当 でない といえ る。し かし ,一 方当 該法人 が貸付けをし て 収益を あげ ることを 目的 とし てい るもの で ないと きは, 市中 金利に よるの は相当 で な く, 当 該 法人 の通常(実際)の8 ) 借入利率(または通常の貸出利率)に よる の が 相当 ともいえ る」 と, 述べ るが, 貸 付けに よっ て収益をあげ ることを 目的 とし ない 法人 が, 通常 の貸出利率を 何に 求め ようとす るのか, かつ て貸付け た と きの利率 に求 められ るならば,

(11)

貸付け の相手 方, 貸 付条 件, 貸付期間 の全 く異な る別 の取 引に おけ る利 率を, 無利 息融資 の利率 とし て適用 す ることに な る。 かかる利 子率 の 認定は, 必 ず し も適切 とは言え ない。 この よ うに, 利 子率を 明確に 根拠づけ る認定基 準がない 限 り, 法人税 法第37 条に規定 す る寄付 金 の測 定は できない ことにな る。 か か る税 務認 定は, 租 税 徴収におけ る行政上 の独断的 認定であ って, 実 質課税 の原 則 とは 無縁 のも のであ り, むし ろ推 定課 税 の原則とい うべき ものであ る。 も っと も推定課税 が, 租税 法 律主義上 「 原m 」 となりえ ない ことはい うま でもな い。 この よう に, かか る税 務認定 の非合 理性は,実 質課 税 の論 理から 十 分論 証す ることが できるの であ る。 「実質 課 税の論 理」 とは, 課 税の公平性 の観点 から あ く まで経 済的 実質性 (経済的事実) に基づ く課税所 得を 計測す る ことを 目的 と す る租税 法上 の論理 であ り, 事 実に基づ かない 仮定取 引を 推定し , 課税し よ うとす る税務 認定に 対し ては これを阻 止 す る論 理 とし て作用 す るものであ り, い やし ぐ も税務認 定 の法理 とし て作 用す るも のでないこ とは 銘記し ておか なけ れば なら ない。 注 1) 藤浦照生「親 子会社間 の無利息貸付」, 金子宏編『ジ ュリストNo.79 ・租税判 例百選 (第2 版)』有斐閣, 昭和58年,94 ∼95頁。 ,2 ) リース課 税につい ては, 拙稿「'リース取引 の実質性と実質 課税の論理」,『経営 論集 ■25号』 東洋大学 経営学部,昭和61年,84 ∼94頁。 タックス・ペ イブソ税制 に,つい ては, 拙稿「我が 国のタックス・ヘ イブソ税制 と実質課 税の論理」,『経営 研 究所論集 ・11号』東洋大学 経営研究所,昭和61年,156- 、・61 頁。3 ) 吉良 実『実質課 税論 の展開丿 中央経済社,昭和55 年.74 頁。4 』『同書』,74 頁。5 ) 海野安 美『経済的 利益の税務』(現代税務全集17), ぎ ょうせい, 昭和56年,50 頁。6 )『同書』,47 頁。7 ) 北野弘久『税法解釈の個別的 研究h 学陽書房, 昭和57年,165 ∼:L66頁。8 』 海野安美『前掲書』,51 頁。 \. 判例における実質課税の誤判 ト 無利息融資に対し て, 実質的に課税すべきかどうかの認定は, 事実とし て

(12)

無 利 息融 資 な の か ど うか に よ る。 もし 事 実 とし て 有 償融 資 で あ る な ら , 確定 申 告 にお け る無 償 融 資 を 否 認し , 更 正 又 は 決 定 をし なけ れ ば な ら な い。 何 故 な ら, か か る 行 為 は 租 税 回 避 行 為 に 該 当 す る から であ る 。 租 税 回 避 と は , ( 法 律 上 の 行 為 形 式 を 濫 用 し て , 租 税 負 担 を 不 当 に 軽 減 す1) る行為をい5 」 から , こ れを 禁止 する論理 とし て実 質課 税 の論 理が作 用す る こ とは当然 であ る。し かし , モ の場 合に も, 実質課税 の論 理に 支え ら れた租 税 回避の否認 は, 個 別に 実定 租税法 規に 明文 の規定 の存 在を 必 要 とす る。 清水惣 事件 のX 会社 とD 会社 は, 親子 会社 であ り, と もに 法 人 税法上 の同 族 会社であ る。 従 って, この事件 では, 法人税 法第132 条 の同 族会社 の行為 又 は 計算の否認 規定 が 適用さ れるか 否かが焦点 とな る。 こ の第132 条 の要件 は, 法人 の行為又 は 計 算 で, これを 容認し た場合には 法人 税 の 負担を 不当 に 減 少させ る結果 とな ると認 められ ることを必 要とす る。 そ こで, 本件 の場合 に, 法人 税 の負担を不当 に減少 させ る 結果 とな ると認 められるか ど うか, す な わち租税 回避 に 該当 す るか ど うかが問 題 とな る。一 審 の大津 地裁 では, 事実 認定 の結果 租税回避 に該当し な い とい う判 断を示し た。「本件 の無利 息融 資は, 租税 負担を 不当に 回避し , 又 は 軽 減す る意図に 出た ものと も, 経 済的 合 理 性を 全 く無 視し たものと も認め ら れ ない から, 租 税回避に当 る とはいえ ず, そ の無利 息 の約定 の私法上 の効 力を 税 法上 否定 す べ き理由は なご」 とし て,Y 税務署長 め更正 処分を 取 消し た。 事実認 定 の結果レ 租税 回避 とは認めら れ ない のであ るから, 実 質課税 上こ れを 否定す べ き理由は ない ことに な る。 ところが, 二審 の大 阪 高裁 では一 審 判決をし りぞけ , 利子 率を 除きY 税 務署長 の更正処 分を 全 面的 に 認 めた ので あ る。そ の 根拠は, 租税 回避 の事実が見 出され たから では な く, 法人税 法第22 条 第2 項に よ るとする。 大 阪高裁 (昭和53年3 月30日)に よる本条 の 解釈は 次O よ うであ る。「資産 の無 償譲 渡, 役務 の無 償提供 は, 実質的 に みた 場合, 資産 の有 償譲 渡, 役務 の有 償提供 に よっ て得た 代 償を 無償 で給付す る のと同じ であ る ところ から, 担税力を示 す もの とみて, 法22 条2 項は これを 収益発生 事 由とし て規定し た3 ) も のと考え ら れ る。」 この場 合r 実質的 に みた場 合」 とす る 「実 質」 の捉え 方 が問 題 とな る。 役務 の無 償提供を 有 償提 供に よって無 償給 付し たのと同じ であ る こ とを もっ

(13)

て 「実質」 と捉え てい る。 無 償 提供 が事実 であ る から, 有 償提供 と認定 す る こ とは仮設 であ り事実では ない6 し か も無償 給付し た と認め る ことは, 最初 の無 償提供 を認 めたことに な る。 かか る仮設 を もって,「実 質よ と捉え る こ とは 明ら かに誤 りと言 わなけ れ ばなら な い。「実 質」 の 意味を 明ら かに 誤解 し てい る。 ト \ さらに,「収益発生 事由 とな る」 と述 べ られ てい るが, この「収益」 とは 会 計上 の損益 計算におけ る「収 益」 と同義 とし て使 われてい るのか ど うかか 問 題とな るo もし ,会 計上 の 「収益」 概 念と同義 であ るなら ば, 収益発生 事 由 となら ない ことはい うまで もない。 仮に,‥「収益」 概 念に 別な意味を与 え てい るとす れば,い かな る意味 で使 われ てい るの かが判 旨の中 で定義 され七 い なけ れば なら ない。 も っ とも, 商法 におい て も税 法におい て も法独自の 「 収益」 定義 の条文が 存在し ない も の を , 裁 判所が 独自 の概 念を 定義 する こ とはあ りえない から, これ は会 計上 の 「収益」 概念を 借用し た ものと考え る の が至当 であ る。 立法上, 商法 が 第O^ 条 第^ 項を 設け, 税 法が第22 条第4 項 を 設け てい る ことから みて当 然 と言 わ なけ れば ならない。 とすれば, 判 旨の「収益発 生 事由 とし て規定し た」 と解す る考え方 は理解 出来 な くな る。 相 京溥士 教授は この点につ き次の よ うに述 べ る。「公 正な 会計 贋行にお い て もこの よ うな場合 収益を認 識し 計上す る慣 行は な く, 法人 税法 も役務の無 償 提供を受 けた 場合収益 の発生 原 因 と定 め てい ない。 ま さか,『無 償に よる 役 務の提供を受 け た場合』 が法22 条2 項 の 『そ の他の取 引で資本等取 引以 外 の もの』に 該当す るとい う解釈 はあ る まい。 法が 収益発 生原因 とし てい ない 事実, すな わち無利 息に よる金 銭 の借入 をし た側 に利 息 相当額の収益 が発生 し た とし, そ れ ぶ同額の収 益 の発生を 貸主 の側に認 める とヤ う論法は尹T盾と い わざ るを 得 ない 。」 この ように, 役 務の無償提 供 に よって, 収 益発生 事由 とする大阪 高裁の見 解は, そ れ 自体論 理矛盾を 犯し た ものであ り,「実 質課税 の論理」 から みて 到 底担税力を 有す る もの とは認 めが たい。 に もかかわら ず,「実質的に みた 場 合」 とい うあた か も経済的 実 質性 に裏 付け され てい る ような 表現 凪 「経 済的 実質」を 無視し た論弁的 表 現であ って, 実質的に何 ら合理的 意味内容を 有 す るものでは ない。 ‥

(14)

な お, 同 判 旨は か か る 税 務 認 定 の 例 外 とし て 対 価 的 利 益 を 受 け て い る 場 合 と , 果 実 相 当 額 の利 益 を 手 離 す 合 理 的 理 由 が あ る 場 合 を 挙 げ る が , 具 体 的 に い か な る場 合 が 該 当 す る か に つ い て は 何 ら 説 明 が な い。 す な わ ち ,「営 利 法 人 が 金 銭 (元本) を 無 利 息 約 定 で 他 に 貸 付け た 場 合 に は , 借 主 か ら こ れ と対 価 的 意義 を 有 す る も の と認 め ら れ る経 済 的 利 益 の供 与 を 受 け て い る か, あ る い ぱ. 他 に当 該 営 利 法 人 が こ れ を 受 け る こ とな く 右果 実 相 当 額 の 利 益を 手 離 す こ とを 首 言 す る に 足 り る 何 ら か の 事 情 が 存 す る場 合 で ない か ぎ り, 当 該 貸 付 が な さ れ る場 合 に そ の 当 事 者 間 で 通 常 あ り うべ き利 率 に よ る 金 銭 相当 額 の 経 済 的 利 益 が 借 主 に 移 転 し た も の とし て・・…・こ れが 当 該 法 人 の 収 益 とし て 認5 ) 識 さ れ る こ と 欧 な る の で あ 右。」 借 主 から 対 価 的 意 義 を 有 す る 経 済 的 利 益 の供 与 を 受 け て い る 場 合 とし て, 藤 浦 照 生 氏 は 「 無 利 息 融 資 の 代 償 とし て 融 資 期 間 中 相 手 方 か ら 不 動 産 の 無 償 使 用 を認 め ら れ, 利 息 相 当 額 と 賃 料 相 当 額 とが 対 価 関 係 にあ る と 認 め ら れ る6) 場 合 が想 定 さ れ」 る と す る が , 同 氏 も 指 摘 す る よ うに こ の 場 合 は 無 償 融 資 で ぱ な く有 償 融資 と な り, 無 償 融 資 の 例 外 的 場 合 に 該 当し な くな る。 も う1 つ の例 外 で あ る5 果 実 相 当 額 の利 益を 手 離 す 何 ら か の 事 情 が 存 す る 場 合 とは , い か な る 場 合 が 想 定 さ れ う る であ ろ うか 。 お そ ら く√ 法 人 税 法基 本 通 達2-1-25 で い う4 つ の 事 由 を 想 定 し てい る も の と思 わ れ る。 す な わち , ① 債務 者 が 債務 超 過 に 陥 っ て い る こ と , ② 債務 者 に 会 社 更 生 法 が 適 用 さ れ た 場 合 , ③ 債務 者 の 債 務 超 過 の 状 態 が 相 当 期 間 継 続し , 事 業 好 転 の 見 通し が な い こ と, ④ 債権 者 集 会 の協 議 決 定 等 に よ り相 当 部 分 相 当 期 間 だ な 上 げ さ れ る こ とに な っ た こ と, であ る ○ し かし な が ら , こ の 通 達 は 利 息 支 払 契 約を 含 む 貸 付金 に か か る 益 金 不 算 入 の 取 扱 要 件 を 定 め た も の で あ り , 無 償 融 資 の 例 外 的 要件 とし て そ の ま ま受 入 れ るこ とは で き な い 。 藤 浦 照 生 氏 は ,「例 え ば ① や む を 得 な い 外 的 事 情 に 基 づ く場 合i ② 親会 社 が 子 会 社 の経 済 活 動 を 援 助 し て 早 期 育 成 を 図 り , 将 来 の利 益 還 元 を 期 待 す る 場 合 , ③ そ の他 こ れ に 類 す る 場善」 を 挙 げ るが , そ うだ と す る と , 清 永惣 事 件 に おけ る場 合 , 藤 浦 氏 の い う② に 該当 し, 大判 旨 の よ うだ 結 論 に は な ら な い 筈 であ る。 そ もそ 乱 税 務 上 無 利 息 融 資 の 経 済 的 利 益を 認 識 し よ うと す る 根 拠 は> 営

(15)

利 法 人 に と っ て 金 銭 貸 借 に お け る無 利 息 融 資 が 経 済 原 則 に 反 す る とい うこ と が 前 提 と な っ てい る。 し かし , 金 銭 貸 借 に お い て , 無 利 息 で 融 資 す る こ と が 経 済 原 則 に 反 す る とい う前 提 は , 金 銭 貸 借 を 主 た る 営 業 目的 と す る営 利 法 人 に は あ て は ま るが , 金 銭 貸 借 を 主 た る営 業 とし な い 営 利 法 人 に は 必 ずし もあ ては ま る も の で は な い 。 営 利 法 人 が , 営 利 を 目的 とし て 事 業 を 営 ん で い る こ とは 異 論 を は さむ 余 地 が な い。 か か る営 利 法 人 が 無 利 息 で 融 資 す る と い う こ と は , そ の 取 引 が た ん ら か の営 利 性 と 結び つ くから で あ って , 経 済 的 合 理 性 が 前 提 と な っ てい る こ と は 確 か であ る。 営 利 法人 の 経 営 活 動 に お い て 無 利 息 融 資 を 行 うこ と は, 利 息 以 上 の 経 済 的 見 返 り が 期 待 さ れ て い る か ら に 他 な ら な い 。 従 っ て, 無 利 息 融 資 が 経 済 原 則 に反 す る とい う前 提 は , 現 実 的 に は 適 合 し な い とい うべ き で あ る。 ニ 注 1) 新井隆 一 「租税回避」, 金子宏 編集『 税務百科 大辞典3j ぎ ょ5 せい,昭和55 年,213 頁。2 』 藤浦照生「親子会社間の無利息貸付」,金子宏編『i> ュリストNo.79 ・租税判 例百選(第2 版)』有斐閣,昭和58年,94 頁。 りI 00 ■< * 司 の 妁 『同書』,94 頁。 相京溥士「収益概念と法人税法22 条2 項 の解釈」, 税法研究所,昭和54 年8 月号,26 頁。 藤浦照生『前掲書J,94 頁。r 同書』,95 頁。 『同書』,95 頁。 日 本 税 法 学 会 編 『 税 法 学 』 V. 実質課税における認識原理 : 法人税法喜74 条は,「確定し た決算に基づ き……申告書を提出しなければ ならない」と規定する。 この確定し た決算とは,商法第283 条によって定時 株主総会において承認された計算書類を指し ている。 我が国商法の計算規定は,第34条,第284条の2, 第285条,第285条の2, 第285条の4, 第285条の5, 第285条の6, 第285条の7, 第286条,第286条 の2, 第286条の3, 第286条の4, 第286条の5, 第287 条, 第287 条の2, 第288条,第288条の2, 第290条, 第291条に条文化されているが,直接「収

(16)

益 」 お よ び 「費 用 」 の 認 識 ・ 測 定 に 関 す る 条 文 は 見 当 ら な い 。 商法 は 貸借 対 照 表 を 中 心 に 会 計を 規 制し て い る と い え る。 そ の理 由 は , 複雑 な 損 益 取 引 を 個 々に 条 文 化 す る こ と の困 難 さ に よる。 も っ と も, 商 法 に よ る会 計 規制 の要 は , 第290 条 の 配 当 可 能 利 益 の 規制 にあ る か ら 当 然 と 言 わ なけ れ ば な ら な い 。 江 村 稔 教 授 は 次 の よ うに 述 べ る。 配当 可 能 利 益 規 制 の 「考 え 方 を 商法 が と り つ づ け る か ぎ り, 企 業 会 計 に おけ る 損 益 計 算 に , 直 接 的 に か か お る 期 間 収 益 や 期 間 費 用 め 定 め 方 を , そ の ま ま, 法的 視 制 に 登 場 せ し め よ うと す る こ とは , ま っ た く 不 可 能 で あ る。 会 計学 上 の 主 張 であ る 実 現 主 義 や 発 生 主 義 を , わ が 商 法 の よ うな 考え 方 と の関 連 に おい て, 法 文 化 す る こ とは で きな い の で あ る。 し た が っ て , 期 間 収 益 や 期 間 費 用 の 決 定 と 直 接 に 関 連し 七 計 上 さ れ る 貸 借対 照 表 項 目 の 若 干 の も の を , 法 的 規 制 と し て表 現 す るこ とが 著し く困 難 と な る こ と も ま た , 当 然 の こ と と い わ なけ れ1) 万 ば な ら な い 。」 従 っ て, 商 法 は 適 正 な 損 益 計 算 に 関 し て 公 正 な る 会 計 慣 行 を 前 提 に し てい る 。 昭和49 年 の商 法 改 正 で 「公 正 な る 会 計 直行 を 斟 酌 す べ き」 規 定 を 第32 条 第2 項 に 設 け た の もか か る 趣 旨 に よ る。 法 人 税 法 の 課 税 所 得 算定 が , 確定 決 算 基 準 を と っ てい る こ と は, 税 法 も ま た 「公 正 な る会 計 慣 行 」 を 尊重 し て い る とい え る。 法人 税 法 第22 条 第4 項 は,「 第2 項 に 規定 す る当 該 事 業 年 度 の 収 益 の額 及 び 前 項 各 号 に 掲げ る額 は , 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 め ら れ る 会 計処 理 の基 準に 従 っ て 計 算 さ れ る も の と す る」 と 規定 す る。 法 人 税 法 の 規 定 は, い わ ゆ る益 金 お よび 損 金 の 算入 又 は 不 算 入 の別 段 の定 め を 明文 化し た もの で あ る から , そ の 前 提 に な る所 得 認定 に あ た っ て は 「一 般 に 公 正 妥 当 と 認 め ら れ る 会 計処 理 の 基 準」 に 従 うこ と を 確認 し た も の で あ る。 「 実質 課 税 の論 理 」 と は, 課 税 の公 平 性 の 観 点 から , 経 済 的 実 質 性 を 中 核 に 客 観性 お よび 確 定 性 要 件 を 満 た す 「収 益 」 お よ び 「費 用 」 の 認 識 ・測 定 を 通 し て測 定 さ れた 期 間 利 益 を 前 提 に , 実 質 的 に 担 税 力 の あ る 経 済 価 値 増 加 た る 所 得 に 対 し て課 税 す べ き こ とを 目的 と す る 租 税 法 上 の 論理 と い え よ う。 吉 良 実 教 授 は , 実 質 課 税 主 義 の 本 質 に つ い て 次 の よ うに 述 べ る。「 具 体的 こ は 『担 税 力 』 を 有 し て い る か ど うか が 税 法 上 に お け る 課 税 の 根拠 であ り, そ の 『担 税 力 』 があ る か否 かは , 私 法 上 の 抽 象 的 ・形 式 的 な 『所 有 権』 と か

(17)

『そ の他 の権利 』 が法的 に 帰 属ないし は結合し ている か ど うかに よって決 ま る ものでは なくて, 租税 を 負担す る ことが で きる『経済 力』 が 事実上 帰属 な いし は結合し てい る かど うかに よって決 まるものであ る, との 考慮が そ の前 提 にあ るもの と解 され る。 け だし ,『租税』 は経済的 負担 であ る から,『担税 力 』があ るか ど うかは,『経 済力』 があ るかど うかとい うこと であ り, そ のi 経 済力 は, 具体的 な経 済的 利益 (所得税法・法人税法上においては収益とか所得) が, 事実上帰 属ないし は 結合し てい るかど うかに よって 決ま る ものだ から で2) あ る。」 課税対象 が所得 であ る ならば, そ の所得 は法的要件を 満 たし た所 得 ではな く, 経済的 要件を 満 たし た所 得 でなけ ればなら ない。 そ こに,「実質課 税O 論 理」 の本質を 見 出す ことが で きる。 し かし, この よ うな実 質 課税 の意義が,旧 ド イツ租税 調整 法第1 条 第2 項 に よるい わゆる 「経 済的 観察 法」 の延長 とし て我 が国 では展 開 され てい る。 そ の うえ,経 済的観 察 法に 根拠をお くと され る実 質課税 の原 則が, 税 務認定 の法理 であ るかの ごと く捉え られてい る のは問題 であ る。 す でに ド イツでは, この経 済的 観察 法に よる租税法 の拡大 解釈 は とられ て い ない。 金子宏教 授は 次の よ うに述べ る。「1950 年代の中 頃 以降, ド イツで は, 租税 法律を その文 言 からは なれ て緩や かに解釈 する ことに 対し て批判 が 強 くなり, 今 日の判 例 ・通 説 はけ 法的 安定性を重 視す る立 場 から, 租税 法律 はそ の文 言に即し て 解釈 され なけ ればならない との考え方を とっ てい る。 も ちろ ん, このことは, 租 税 法律 の解釈 に当 って, その経済的 意 義 が解 釈の基 準とし て重視 され るべ きことを/ 否定す る ものでは なご。」 ∧ 我 が国では, 実質 課税 の原 則が 租税法 の拡 大解釈の 根拠 原則 とし て 捉えら れ る煩向かあ るが, これは 明ら かに時代 の逆行とい うべ きであ ろ う。 ところ で, 前述 の よ うに √ 法人 税法 第22 条第4 項は,「一 般に 公正 妥当と 認 められ る会 計処理 の基 準」 に従 って計 算され ることを 要請し てい るが√ そ の場 合同条 詐2 項 と の関 連 が問題 とな る。 同条第2 項に よる と, 益金 力額は 別段 の定 めを 除 き収 益 の額 とす るとし, 次の ものを 挙げ る。 ① 資産 の販売, ②有 償に よる資 産 の譲 渡, ③無 償に よる資 産の譲 渡, ④ 有 償に よる役 務の提 供, ⑤無 官に よる 役務 の提 供, ⑥ 無 償によ る資産の譲受け, ⑦ そ の他 の取引 で資本等取 引以外 の もの, であ る。 △

(18)

無札 回,融 資が 収益を構成す るとい う考え 方は, 清水惣 事 件 での大阪 高裁 の 判 旨 犀も見ら れ る ように, この法人 税法 第22 条第2 項 の無 償に よる役 務の提 供 に該当す る とい うものであ る6 し かし,大同 項の 規定は, 同条 第4 項に支 配 され てい ると 解釈し なけ ればなら ない。 とす れば, 無 利息 融資 におい ても, そ れが「収 益」 と認識 され るか否 かは,「一 般に 公正 妥当 と認 められ る会 計 処 理 の基 準」 に よって判断されなけれ ばなら ない。 コ 十 鈴木得三 郎氏 は, 無償の用 役提供 の場 合 仕訳は 生じ ない が√あ え て仕訳 す ると,借方 現 金, 貸 方収益 とな り, それが 移転す るのであ るから借方費用, 貸方 現金 と なる とし て 次 のよ うに述べ る。「こ の取 引が 同時 に成立し たと仮 定 す ること 自身無意 味であ る。 …… こ の取 引に よって 財貨 の変動は 生起し な い ことを 仕 訳 自身 が説 明し てい るとし かい い よ うがない。 同額 の現金 の受 渡 し に 対し て, 簿記 知識 のある 人ならば 損益仕訳 を 起 こさない のが 通常であ る。 こ の取 引が 観念的 で 事実でない のだ から 当 然の帰 結 かもし れない。 財貨 の変 動 がない のに収 益, 費用を 計上す るり は, 仮 装行 為 で法人 税 法第70 条 の“事 実を 仮装し て経理し た…,・。” ことになろ 仁 そ こで, 法人 税 法第22 条第4 項 でい う,「一 般に公正 妥 当 と認められ る会 計処理 の基 準」に 従 って, 無利息融資 が会 計上 「収益」 と認識 され ない こと を 明 確にし てお こ う。 会計上 「収益」 を認 識す るためには,3 つ の認 識要件 を満 たす ことが 必要 であ る。3 つ の要 件 とは,「客観性」,「確定 性」 そし て 「経 済的実 質性」 であ る。 会 計上 の客 観性 の概念は,Wagner が指 摘す る よ うに ,「財務 資料 が所与 の 企業実 体に 生 起す る経済 事象と, そ れら の 事象 に関し て の利用者 の心に抱 かれ る心 理的 イ タージ との聞に, 高度 の信頼関 係を 生 み出す よ うに 表示され5 ) る時 存在す る とい われ る資質 であ る。」ト この客 観性 め要 件は,取 引事象が 現実に生 起し , 企業 実 体内 に経済 価値増 加を もたらし た ことを満たし てい るかど うかを 確認す るも のであ る。 無償融 資は, 無利息 を 条件に 貸付け た ものであ るから,利 息 収入 た る金銭 の収受は 一度 も存在し ない。 従 って, これを経 済価 値増 加 の現 象とし て 現金 収入を仮 定し ,一 時的 に せ よこれを 「収益」 とし て認識 す ることは, 客 観性 の要件を 満たす ものでは ない。 ニ 確定性 の要 件は,Windal が指 摘する ように,「あ る項 目が, 十分に確定 性

(19)

があ るどい うことは, 覆される(reversed)可能性がない とい うようなもので6 ) なければならない。」この要件は, 測定の不変性を要求するものであり, 測 定時点で将来簡単に修正されることがないような測定値を要請するものであ る。税務認定におけ る利息収入の測定は,10 %もし くは法定利率に よる。 か かる測定は確定性要件を満たす ものではない。 何故なら,税務認定におけ る利子率の選択にあたっては,種々の利率が考 えられるから であ る。 例えば, ①税務上の一率10 %,②市中金利における借 入利率, ③市中金利における貸付利率, ④当該法人の通常の借入利率, ⑤当 該法人の通常の貸付利率, ⑥法定利率6 %などを挙げ ることができる。 清水惣事件に見られ るように,高裁判決で10%から6% に変更されている。7) どれをとるべきかについては, 裁判所の判断もまちまちである。 し かし, いずれの利子率を選択し ても,「一般に公正妥当と認められる企 業会計の基準」におけ る確定性の要件は満たされない。 確定性 とは,価値増 加の客観的生起に対し て,測定値を確定することであるから,利息計算にお いては契約上の利子率が確定性を満たす唯こ の利率であり, この場合の利子 率はゼ1==1なのである。 故に,受取ったと仮定すれば,利子率をいくらにすべ きかとい う税務認定上 の問題は, たとえ どの利子率が選択されても確定性の 要件を満たすものではない。 これら客観性および確定性の要件は,ともに相対的概念である。 この相対 的 概 念 に 基 づ く 客 観 性 お よ び 確 定 性 の 質 を よ り 高 め る 中 核 的 要 件 が 経 済 的 実8) 質性 であ る。 法形式 上 は無 償融 資 であ るが, 経済的 実質 上有 償融 資であ るな らば, 会計上当 然 ながら 「収 益」 を認 識し, 測定 する ことに な る。 法人 税 法 第22 条 第2 項 は, か か る関連 で解 釈し なけ れ ばなら ない。 法形 式 上 も, 経済 的 実 質上も無 償融 資であ るに もか かわらず,受取利 息を 認定す るこ とは, 会 計上 の認識要 件 であ る「客観 性」,「確定性」,「経 済的実 質性」 のい ず れの要 件 を も満た す もの ではな い。 注 幻 幻 匈 匍 江村稔『企業会計 と商法』中央経済社,昭和53年,212 頁。 吉良実『実質課税論の展開よ 中央経済社,昭和55年,94 ∼95 頁。 金子宏『租税法』弘文堂,昭和58 年,101 頁。 鈴木得三郎「期待可能な経済的利益は収益か」, 日本税法学会編 『税法学』税

(20)

法研究所,昭和54 年4 月号,6 頁。5

)Johnw.Wagner,"DefiningObjectivityinAccounting,"AccountingReview (July.1965 ),p.604.6

)Floydw.Windal ,"TheAccountingConceptofRealization, ”AccountingReview (April,1961 )√p.252.7 ) 海野安美『経済的利益の税務 』(現代税務全集)ぎ ょうせい, 昭 和56 年,51 ∼60 頁。8 ) 拙著『会計認識 基準 の論理』 広文 社, 昭和59 年,100 頁。 Ⅵ。 む す び 無償に よる役 務 の提供 に よっ て, 税 務上収益を認 定す る根拠 とし て, 法人 の行為計算 の否認, 有償 取引同 旨説,同一 価値移 転説な どがあ るが, 法人 の 行 為 計算 の否認 につい ては 実定 法 上否認 すべ き根 拠条文 が 明示 さ れてい る必 要 があ る。 法人税 法第132 条を もって, 行為 又 は計算 の否認を す る ことは で きない。 何故なら, 同 条は 「法人 税 の 負担を 不当 に減 少させ る結果 とな ると 認 められ るも のがあ ると き」 とい う条 件が付 されてい る から であ る。 明ら か に, 租税回避行為 であ る と認め ら れない かぎ り,無 償に よる役 務提供 行為を 否 認するこ とはで きない。 有 償取 引同 旨説又 は 同一 価値 移転 説は, 法人 税法 第22 条第2 項 の解釈 から 実 質的に 担税力あ る所得 と認 定 さ れ るとす るが, 事実 た る無償取 引を 有償取 引 と同じ であ るとす る見 解, また, 経済 価値が 移転す る場合に は 同じ経済的 価 値が貸主に 収益 とし て 存在し なけ ればなら ない とする 見解は, と もに 「経 済的 実質」 を基 礎とし てい るよ うに みえ るが, 実 は事実 ではない 仮 設的取 引 を 前提に 説明し た も のであ る。 法人税 法第^i-i条 第^ 項を , かか る仮 設的 取引を 認定す る根 拠条文 と解す る ことには無理があ る。 何故 な ら, 同条 第4 項に より第2 項の 「収益」 は,「一 般 に公正 妥当 と認 めら れ る会 計処理 の基 準」 に よって算 定す べ きこと が明文 化 さ れてい るから であ る。 さらに,い わゆ る「経済 的利 益」 の移転に伴 なうて, 同一 価値 が貸主 に収 益 とし て存在 する とい う認 定 は, 貸主 の収益 が移転し て い るのであ るから価 値移転を費 用 とし て 捉え なけ れ ばなら ない。 費 用 とし て 把握 す るとす れば, 貸主 の経済的利 益はフビロとな る。 借 主 の経 済的 利 益は, 確かに利 息を 支払わ

(21)

ない とい う意 味で生 じ てい るが, 同一 価値を 貸主 の収 益 とし て認 定す るた め に は, 借主 が利息を貸主 に支払 った とい う仮定 が 必要 に な る。 支 払ったと仮 定 され る時点 で, 借主 の経済的 利益は ゼl=lとな るが, さら に貸主 がこの経済 的 利 益を 供与し た と仮定 す ることから,借主 の径済的 利 益は 増加す ることに な る。 この よ うに考え ると, 税務上むし ろ問 題 とな るの は借主 の方であ り, 貸主 の方 でない ことが分 る。し かし, 税務認定 上 は, 貸主 に収益を 認定し よ うとす るから, この仮 設的取 引の矛盾 は ます ます 大 きく なる。 もし , 貸主 で生じ た収益が借主 に移転し た と仮定 す る と, それ は贈与であ り損金性 は ない筈 であ る。 寄 付金 と認定 す るこ とは, 贈 与 の一 部を 損金とし て 認めた こ とに な る。 損金性を容認 す ると, 経 済的利 益 の同一 価値 移転を 否 定す る ことに なり, また有 償取引 同旨 も否定 す ることに つ なが る。 これは, 明ら かに論 理矛 盾であ る。 い従 って, 法人税 法第22 条 第2 項の, 無償に よる役務 の 提供に よって収益を 認 定す る場 合 とは, 事実 とし て有償 であ る場 合を 想定し てい ると解すべきで あ ろ う 経 済的 実 質 の観点 から, 法人 の行為又 は 計算を 否認し 更正 又は 決定を する とい う税 務認定 の多 くは, 事実 から遊離し た仮 設的 取 引を 前提に推定課税を し てい る場 合が 少な くない。 かかる税務認定 は, 租 税法律 主義に反 す るもの であ り, 公 正な 担税力に基づ く適正 な課税所 得 の算定 把握を 理念 とす る「実 質課税 の論 理」 から みて容認 できない。 十1986 ・10・30

参照

関連したドキュメント

[r]

日本においては,付随的審査制という大きな枠組みは,審査のタイミング

「有価物」となっている。但し,マテリアル処理能力以上に大量の廃棄物が

とができ,経済的競争力を持つことができることとなる。輸出品に対して十

これに対し,わが国における会社法規部の歴史は,社内弁護士抜きの歴史

ヘーゲル「法の哲学」 における刑罰理論の基礎

『ヘルモゲニアヌス法典』, 『テオドシウス法典』 及びそれ以後の勅令を収録