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「自宅でもできる認知症予防」「がんを予防して幸せに生きる!がんがあっても前向きに生きる!」

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Academic year: 2021

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(1)市民公開講座 「自宅でもできる認知症予防」 2014.5.17 2014.7.19 「がんを予防して幸せに生きる! がんがあっても前向きに生きる!」 2014.8.16 報告書. 医療法人社団 一葉会. ひらお内科クリニック 院長 平尾良雄.

(2) 勇美記念財団2014年5月~7月までの実施報告書 今年度は、2014年8月に開催するがん市民公開講座に先立ち、 「自宅でもできる認知 症予防」というタイトルの講座を5月・7月に、 「がんを予防して幸せに生きる、がんがあ っても前向きに生きる」がん講座を6月に、ひらお内科クリニックと在宅療養を支える家 族・市民の会の共催で、開催しました。これらの講座にも公益財団法人. 在宅医療助成勇. 美記念財団の助成を明記させていただきました。 8月以外は、定員20名の小規模な講座で、平尾良雄理事長のがん、認知症、在宅医療 の話、在宅療養を支える家族・市民の会の皆様の体験談などを交え、認知症と、がんの基 礎知識及び予防について学びました。 〇「自宅でもできる認知症予防」 5月17日(土)14:00~15:30 参加者16名 認知症予防講座では、認知症の基礎知識・音楽(手遊びうた)とタクティールケア・自 宅でもできる認知症予防体操(幸せ体操)を行なった。 ◆参加者の感想 ・認知症の母親と二人で参加した。自宅にて母と体操します。 ・初回から参加しています。認知症の母と自宅で穏やかに過ごせるのも、この講座のお かげです。 ・認知症の夫の言動に、どうしたらよいか悩んでいます。今後、アルツハイマーについ て知りたいです。 〇「がんを予防して幸せに生きる、がんがあっても前向きに生きる」がん講座 6月21日(土)14:00~15:30 参加者9人 がん講座では、体験談(胃がん、乳がん)、がんの基礎知識(免疫)、がんの在宅医療に ついて学んだ。お茶会にて、参加者とスタッフの意見交換を行った。 ◆参加者の感想 ・主人が大腸がんにて手術し、退院して10日あまりです。参考になりました。 ・平尾先生体験者の話を聞いて、がんになった時の不安は軽くなりました。 〇「自宅でもできる認知症予防」 7月19日(土)14:00~15:30 参加者21名 認知症予防講座は山野美容芸術短期大学の先生を招き、 「いつまでも若く美しく」という 講演を聞きました。自宅でもできる認知症予防体操(幸せ体操)も行いました。 ◆参加者の感想 ・抗がん剤で 脱毛したときのウイッグのことが知りたかった。 ・お化粧のポイントがよくわかった。 【考 察】 新しい参加者が認知症講座、がん講座ともにあり、市民の関心が非常に高いことが分 かった。特にがんについては本人、家族ががん患者である場合、真剣に講義を聞いてい た。がんに関する新たな情報を得たいなど、最新治療にも期待する人たちもいる事がわ かった。.

(3) 市民公開講座. 「がんを予防して幸せに生きる! がんがあっても前向きに生きる!」 2014.8.16 報告書. 医療法人社団 一葉会. ひらお内科クリニック 院長. 平尾良雄.

(4) 目次 1)実施報告書(概要) 2)実施内容詳細 3)アンケート集計結果 4)考察・感想 5)謝辞 6)添付資料.

(5) 実施報告書 記入年月日 プログラム名. 2014年. 9月. 19日 金曜日. 公開講座「がんを予防して幸せにいきる!がんがあっても前向きに生きる!」. 主催法人名. 医療法人社団 一葉会 ひらお内科クリニック. 主催者氏名. 平尾 良雄. 実施結果. 予定通り完了 <開催日> 平成26年8月16日(土) <開催場所> 北本市文化センター第 1・第 2 会議室 <参加費> 無. 料. <参加人数> 130名(予定定員120名) スタッフ50名 <事業の成果> 今回の市民講座では昨年に引き続き、がん治療の最前線で活躍中の埼玉県立 がんセンター病院長田中洋一先生と、慶應義塾大学病院緩和ケアセンター長 結果概略. 橋口さおり先生を講師に迎え、がんの最新治療と緩和ケアについてお話を伺っ た。参加者にはこれまで行ってきた市民公開講座に増して、最新のがん治療と 緩和ケアの現状を把握して頂くことが出来た。 また、アンケートの結果からも「がんは死を覚悟するもの」という漠然としたイ メージから、がんについて正しい見識や緩和ケアについての知識を持って頂く 機会になれたものと考える。 <市民公開講座> 「がんがあっても前向きに生きる!」会場 アトリエ(北本市内) 平成26年6月21日(土)開催 <関連市民公開講座> 「がんがあっても前向きに生きる!」会場 アトリエ(北本市内) 平成25年10月18日(土)開催予定. 添付資料. 掲示用ポスター、当日配布資料、事前配布用パンフレット.

(6) 2)実施内容詳細 1. 本講座の位置づけ 本講座は、本年5月から10月まで毎月開催している市民公開講座の拡大版。北本市の方だけでは なく、広く埼玉県下にお住まいの方に、“がんを予防して幸せに生き、そしてがんになっても前向きに 生きる”ことについて学んでいただこうとするものです。 【共通テーマ】 がんを予防して幸せに生きる! がんがあっても前向きに生きる! 【個別テーマ】 ①がん治療の現状. ②がんの最新治療. ③がんと食事. ④がんの不安への対処法. ⑤がんの在宅療養. ⑥がんがあっても前向きに生きる. ⑦がんと治療費 2. これまでの講座概要 開催 時期. 共通テーマ. 個別テーマ. 6月. ①胃がん患者からの講演. ①胃がん患者. ②乳がん患者からの講演. ②乳がん患者. ③がんの基礎知識. ③ひらお内科クリニック院長. がんを予防して 幸せに生きる がんがあっても 8月. 前向きに生きる. 講師. ①県立がんセンター ①埼玉県立がんセンターの 取組みと最新治療. 病院長 ②慶應義塾大学病院緩和. ②緩和ケアとは. ケアセンター長. ③パネルディスカッション. ③統合医療福祉中村直行 研究室 ③ひらお内科クリニック. 3. 報告(8 月実施講座) 講座名称:『がんを予防して幸せにいきる!がんがあっても前向きにいきる!』 開催日時:平成26年8月 16日(土)14:00~16:30 開催場所:北本市文化センター第 1・第 2 会議室 開催目的:がんの最新治療と緩和ケアについての県民の意識向上 対象地域:埼玉県全域. 対 象 者:県民及び一般市民. 参加予定人数:120名. 参加費用:無. 料. 共催団体:在宅療養を支える家族・市民の会 (役員は、県民でご家族を在宅介護で支えた方、もしくはご本人が がん患者) 参加人数:130名 スタッフ 50 名 実施内容:第一部 :第二部. 基調講演 埼玉県立がんセンター. 田中洋一先生. 基調講演 慶應義塾大学病院緩和ケアセンター. 橋口さおり先生. シンポジウム. 中村直行先生(進行役).

(7) 【基調講演 1】 「県立がんセンターの取組みと最新治療」. 県立がんセンター病院長. 田中 洋一 先生. がんとはどういう病気なのかということと、国や埼玉県のがんに関する政策や県立がんセンターの 紹介をしたい。 ●がんのメカニズムと発生要因 2010 年の調査では男性の 60%、女性の 45%が 生涯の中でがんにかかるとわかった。誰でもがん になる可能性があるということだ。がんが原因で 死亡する確率は男性 26%、女性 16%。がんは体の 細胞の中の遺伝子に何らかの異常が複数起きて できる。増殖して転移する。男女共に年齢を重ね るごとに異常が起きやすくなって来る。 感染症や細菌等がもとで発生するがんもある。 肝炎の原因になる HCV ウィルス、胃がんのもとにな るピロリ菌、子宮頸がんのもとになる HPV ウィルス、白血病のもとになるヒトレトロウイルス HTLV‐1 な どがそれに当たる。 がんを発生させる要因の中で最も大きいのはタバコ。そのほか食事、飲酒、極端な肥満なども要因に なってくる。タバコの煙の中には発がん物質が含まれており、それを吸うと肺を経由して有害物質が血 液中に吸収される。だから体のどこにがんが発生してもおかしくない。タバコを要因とするがんの種類 は 16 種類と幅広く、喫煙者の煙を吸う受動喫煙でもがんはできる。 大腸がんは酒が原因であることが証明されている。男性の場合、まったく飲まない人と毎日ビール 1 本、もしくはお銚子 1 本を飲む人ががんになる確率は後者が前者の 2 倍。3 本飲む人は 3 倍の発生確率 になるというわけだ。 がんのリスクを減らすためには、タバコと酒をやめ、塩分控えめで栄養バランスのよい食事をとるこ とが大事。欧米人の場合は異常な肥満も、がんを発生させるもとになっている。 ●日本のがん対策 1995 年から 2060 年までの人口構成の推移予測を見ると、全体的に人口は減っていくが、高齢者の 比率はどんどん増えていく。それに伴いがんになる実数も増えていくということだ。 日本では 1981 年にがんが死亡原因のトップになり、以後独走態勢にある。1984 年から国のがん対策 が始まり 10 年ごとにがん対策が行われている。今年で第 4 次、新たな対策が始まった。 2007 年にはがん対策基本法ができた。これをもとにがん対策推進基本計画が策定され、5 年ごとに 見直されている。基本計画の骨子はがんを克服するには予防と早期発見が大事だということ。併せて 新たな研究も進めていく。基本計画で重点的に取り組むべき課題として、早期発見のためにがん健診 の受診率を上げる、そして禁煙。全体目標はがんによる死亡者を 20%減らす(75 歳未満)ことだ。 平成 24 年からの 5 年計画では働く世代や小児へのがん対策、がんに対する教育の普及・啓発に力を 入れていくとしている。これによりがんになっても安心して暮らせる社会の構築、経済的な不安をなく して治療ができる環境を目指していく。 がん診療連携拠点病院というのが決められており、埼玉県では当院がそれに当たる。そのほか地域.

(8) がん診療連携拠点病院として埼玉では 11 施設が国から指定されている。それ以外に埼玉県が指定す る病院が 11 ある。いずれもハイレベルながん診療が行える病院である。 ●埼玉県のがんの実態 埼玉県は 75 歳以上の人口の伸び率が 2010~2030 年で 215%と推測されており、全国トップとなっている。 喫煙率も全国 5 位など芳しくない結果である。 がんの死亡率で高いのは肺がんで女性は全国 8 位 である。乳がんは全国 7 位、男性の大腸がんは 21 位と なっている。がん健診受診率は大腸がんだけが全国 18 位。がんの治療を行う認定医数は全国 46 位、ホスピス の病床数も全国下位である。 これをもとに県ではがん対策推進計画を策定。健診 率のアップや拠点病院を中心に高度な医療を普及させることに力を入れている。県のがん対策推進条 例が昨年末にでき、今年 4 月に施行された。ここでは健診の普及率 50%を目指すとしている。 臓器別のがんによる死亡数で伸びているのは肺がん。昔多かった胃がんはある程度のところで頭打 ちになり、過去は少なかった大腸がんが増えてきた。欧米型の食事の普及やアルコールのせいかもし れない。肝臓がんは少し増えたが頭打ち状態。乳がん、子宮がんは発生頻度は高いが死亡率は低い。 ●県立がんセンターについて 県立がんセンターは、埼玉県行政施行 100 周年記念事業の一環として昭和 50 年に開設された。がん の専門医療機関として役目を果たしつつ、がんの研究を進めるという目的に沿って研究所も併設。が ん医療の地域拠点病院として現在に至っている。 そんな中、昨年 12 月に新しく生まれ変わり今年 1 月から診療を開始した。地上 11 階、地下 1 階の近代 的な建物で、広大な敷地を擁する森の中のがんセンターというイメージだ。天井には太陽光発電のパ ネルを設置するなど、省エネ、省 CO2 にも対応している。目指しているのは先進的ながん医療。 ・増床、最新機器について がんの三大治療は手術、放射線、化学療法。そこで手術室も増やして 11 室になり、面積も広くなった。 放射線医療の最新の機器を設置した部屋も 4 室ある。化学療法としては、外来に通いながら抗がん剤 を投与するためにベッド数を 42 から 60 床に増やした。 さらに先進的な機器として PET-CT2 台を導入。これにより精密な検査ができる。CT などの画像検査 では通常、頭部、胸部、腹部などと部位を絞って検査を行うが、PET 検査は全身を一度に調べることが できる。このほか、遺伝子の異常を見つける次世代ゲノムシークエンサーも導入した。 また、がん患者の増加に対応して入院用のベッド数を 25%増加、準集中治療室 16 床も新たに作った。 緩和ケアも充実させようということで、これまでの 2 倍の 36 床に。相談支援センターの充実も図った。 しかし、いくら規模を大きくしても 1 病院ですべてをまかなうことはできないため、地域の連携が必 要になる。さらに相談機能を充実させ、地域との連携を図っていく。 放射線治療に関しては県で初導入となった機械が 2 種類ある。従来はがんに対して放射線を大まか に照射せざるを得なかったが、これを使うとがんの部位に集中的に当てることができるので、強度変.

(9) 調放射線治療が極めて効率的にできるようになった。 これは非常に誤差を少なくして当てることができる機械。脳の腫瘍も 1 ミリ以内の誤差で照射できる。 肺など呼吸によって動く臓器についても呼吸に合わせて放射線を出せるなど、様々ながんに活用でき る。 ・手術について 腹腔鏡手術などの鏡視下手術も可能だ。がんの部位を大きく切らないで小さな穴を複数開けて、カ メラを入れて拡大してみながら手術を行うので体の負担が少ない。 ダビンチというロボット支援手術も行う。ロボットアームを使い手術をするが、今現在保険診療で認め られているのは前立腺がんだけ。週二回のペースで行われている。前立腺は高齢になると非常にがん ができやすい場所。前立腺とそこにつながっている精嚢を切り取って、膀胱と下の尿道をつなげる。前 立腺は骨盤の中の深いところにあるので、ふつうの手術では非常にやりづらいがロボットを使うと細 かいところまで手が届き容易にできる。 ・遺伝子の診断治療 遺伝子情報を元にしたパーソナル医療。先ほど次世代ゲノムシークエンサーを使って遺伝子を調べ るといったが、これは遺伝子情報を非常にたくさん取り出すことができる、それを解析することが重要。 正常な細胞ががん化していくのに遺伝子の異常が積み重なってがんができていく。異常な遺伝子の中 でキーになる遺伝子がある。それを抑えることによってがん化を食い止めることができることがわか ってきたので、そういう治療が実際に行われている。 ・通院治療センター 外来で化学療法を行う場所。リクライニングチェア 36 台とフラットなベッドが 24 台あり、合計 60 台で 毎日 100 件近い化学療法を行っている。点滴をして抗がん剤を入れる。入院しないで抗がん剤ができ るので、通院治療の化学療法がどんどん増えている。働きながらでも受けられることがメリットだ。 ・チーム医療 新しい機器が増えたが、一番重要なのはチーム医療。そのなかでキャンサーボードという患者の状 態をいろんな診療科や職種が併せ持って検討していく仕組みがある。栄養サポートも必要。がんは栄 養状態が悪くなっていくが、それでは満足な治療ができないので、しっかり栄養を摂るためにはどうし たらいいが大事になる。 ・緩和ケア 身体的な苦痛、精神的な苦痛を取り除くということでは非常に重要な役目を果たしている。精神科 の医師、看護師で緩和ケアの認定取得者、薬剤師、理学療法士、管理栄養士などがチームを組んでやっ ている。 ・医療安全活動 院内感染を防ぐための感染防止対策も必要。医療全体の安全を見守るチームも重要になる。医療事 故の防止と起きてしまったときの対応を図り、事故が二度と起こらないようにする。.

(10) 患者さん自身が行うべき責務としては、自分の体の状態を正確に医師に伝える、病院の規則を守る、 職員の意見を尊重するがある。 職員が参加する研修があり、看護師、ドクター、検査部門、栄養士、防災センターなど各部門が 3 つの キーワードを掲げて取り組んでいる。 ・相談支援センター 重要な位置づけでいかに地域と連携していくかを追求している。相談のための個室は 6 つある。裏 側には職員がつめていていつでも対応できる。病気や入院の相談が大半だが、患者さんやご家族から の相談は相談センターもしくは地域連携部門が担っている。 ●まとめ がんセンターの役割は高度ながん医療を行うだけでなく患者さん、ご家族に寄り添ったやさしい環 境を提供することや、新たな研究活動をして新しいがん医療に貢献していく、地域の拠点病院としてと して埼玉県全体のがん医療のレベルアップを図っていくことにある。 がんのリスクを減らすためにタバコは吸わない、お酒はほどほど、バランスのよい食事を心がけるほ か、定期的ながん健診の受診をお勧めする。. 【基調講演 2】 「がんがあってもあなたらしく」. 慶應義塾大学病院緩和ケアセンター長. 橋口 さおり 先生. がんは今や身近な病気、罹患すると辛い思いをする。そんな中でどう過ごしたらいいのかをお話し する。 ●緩和ケアセンターとは がんに限らず生命を脅かすような病気になったときは、 患者さんやご家族はいろんな問題に直面する。どうい う診断でどういう治療法があり、それはどういう副作 用があるか。痛みや苦痛という肉体的苦痛も発生する のか。嚥下や運動機能に問題はあるのか。五感の障害 はあるのかという肉体的な問題のほか、心の問題とし て不安になったり落ち込んだり、なぜこんな病気にな ったのかという怒りや恐怖、絶望、孤独感、葛藤、罪悪 感、ストレスなどが次々と襲ってくる。病気の状況によ っては自分のことを自分でできなくなることもある。 社会との関係性もある。家族をはじめ、友人、趣味の仲間などとの関係性の中でこれまで同様に役割 を果たせなくなるかもしれない。病院というプライバシーを確保できづらい公の場所は、果たして安心 して治療を受けることができる環境かどうかという問題もある。 また治療や投薬にかかる費用など経済的な不安もある。スピリチュアル(人生の意味、価値)を考えさ.

(11) せられることも多くなる。通院の問題、入浴・排泄・食事・家事・育児・金銭管理という基本的な生活上の 問題。だめになったときは誰に支援してもらうかなどいろんな問題が発生する。 そのときにどういう仕組みを利用できるか。どういうところでどういう相談をしたらいいのかをやっ ていくのが緩和ケアだ。 緩和ケアとは、もともと治癒を目的とした治療が有効でなくなったときということを前提に位置づ けられてきた医療であり、手を尽くしたがもうこれ以上は不可能というときのケアだった。しかし最近 は考え方が変わり、生命を脅かすような疾患になってしまったときに、そこに該当する患者さんやご家 族の痛みや苦痛、症状を早期に発見して適切に対応することであるというふうになってきた。そのとき そのときに必要なケアを提供する。亡くなった後のご家族の心のケアも含めて行う。 2007 年にがん対策基本法が施行された。当時は緩和ケア=治療が行き詰った終末のケアというふ うに捉えられていた。今は早期から取り組んで心身の苦痛を緩和することに力を入れている。インター ネットの発達で患者も情報を集めるようになり、がんに対する法令も変わり、緩和ケアが満たすべき条 件も厳しくなった。 早期から苦痛を取り除く緩和ケアのメリットは大きい。世界的な医学論文で肺がん患者を 2 種に分け た調査報告がある。早くから定期的に緩和ケアを受けている患者さんとそうでない患者さんとでは結 果が異なる。前者は患者さんの QOL を高く保つことができ、辛さも少ない。しかも生命が 2 ヶ月延びた との報告もある。それを受けて最近では拠点病院の中に緩和ケアセンターをつくろうという動きが高 まっている。 治療を開始したときにはまずスクリーニングをして、どういう辛さを抱えているか聞き出す。モニタリ ングをしていくのは看護師や薬剤師だが、これにより辛さに対応する。 当院の緩和ケア外来は治療室の一角に部屋があり、痛みや辛さを聞いてそれにあった処方を行う。 身体的な苦痛が強くなると予想した段階で、地域のクリニックやホスピスを紹介する。当院には遠隔地 から通っている患者さんもいる。1/3 は近隣、1/3 は都内、1/3 は首都圏から来ている。しかし遠隔地から 通い続けることは困難なので、早めに二人主治医制をとって地元の開業医と連携しながら、簡単な症 状のケアは地元の先生にお願いし、抗がん剤治療は当院でやるというふうにケースバイケースで対応 している。 当院では緩和ケア外来と、がん特有の体の機能の衰えを防ぐがんのリハビリテーション外来、口腔機 能ケア外来の 3 つの機能がある。 ●地域医療について ある機関が余命が限られた場合どこで過ごしたいかを調査したところ、4 割が自宅と回答した。だめ ならホスピスか緩和ケア病棟。しかし、東京都内ではいずれも難しく在宅に重きを置いているので在宅 医療を行う医師との連携に力を入れている。在宅での不安は症状が進んだときはどうすべきかに集中 する。東京都では医師会が中心となってバックアップベッドを備えるようになってきている。大きな病院 のバックアップベッドは院内の患者ですぐに埋まるため都内では期待できない。埼玉県でも厳しい。こ の仕組みをうまく考えていかないと首都圏での医療は難しいだろう。 ●患者として心がけるべきこと がんになったらどう過ごすかはそれぞれが考えていると思うが、キーになるのは患者さんと医師と のコミュニケーション。アメリカの治療学会がまとめた最適な治療を受けるために患者さんが心がける.

(12) こととして、①病期の状態と治療の選択肢につい て十分説明を受ける。②抗がん治療が自分に対し てどういう意味を持つのかを理解する。③最適な 治療を受けるために自分の生活の質 QOL を落と さない、の 3 つを挙げている。 また、治療の効果や治療に要する期間も知るべ きだし、副作用やそれに代わる治療法、治療費に ついても知る必要がある。新しい薬に対し国の承 認を得るために安全性や有効性を確認するために行う臨床試験を行う治検という取り組みもあるの で、条件さえ整えばそれにチャレンジしても構わない。 しかし、治療の選択肢が尽きることもあるので、最悪の場合も想定する必要がある。症状緩和を重点 とする治療に重きをおく、苦痛を軽減することでその人らしい生活をするということを医療者と一緒に 考えていくという心もちでいてほしい。自分にとって何がベストかを考え実行することが大事だ。 ●インフォームド・コンセントについて 治療の選択をするために医師は情報をしっかり患者さんに伝えることが大事。患者さんはその情報 を理解した上で、自分の価値観に沿ってどうするかを選んでいく。これがインフォームド・コンセント(説 明と同意)。 西洋から発した考えなので国の文化の影響もかなり受ける。西洋は自己決定権を大事にする文化が あるからこそ、それを重視した意思決定の事をインフォームド・コンセントという。それを進めるに当たっ て想定する患者像とは、自分の病状に関する情報を理解できて、それを得て自分の状況と価値観に一 致するような医療上の選択をしたいと望み、正しい選択ができる理性的で理論的な人。強い個人に裏 打ちされたものだが、実践は難しい。 洋画と邦画にも価値観の違いが現れている。ハリウッド映画は物がよく壊れる。街も地球もぐちゃぐ ちゃになるという世界観。神様は絶対的な存在で非常に気まぐれ。親であれ子であれ関係なく理不尽 なことが起こる。だから自己決定権が大事。自分のことは自分で決めなければならないという概念で ある。 一方、日本は神様が近いところにいる。「和を持って尊しと成す」のように家族をはじめとする集団を 大事にする。意思決定をする中で自分が所属している集団の意向が強く反映されるので、西洋で言う インフォームド・コンセントは馴染みにくい。 緩和ケア外来では意思決定も支援する。患者さんの話を聞き「自分はこれがいいと思うんだけど」と いう意見を聞きながらアドバイスをしていく。最近シェアード・ディシジョン・メイキングと言って協働して 意思決定を行うということが進められている。インフォームド・コンセントは医師主導の考え方、それに 対抗して出てきたのがシェアード・ディシジョン・メイキングで、患者さんご自身が何を聞きたいかを聞き 出し、その方にとって何が最適なのかを一緒に探っていく。選択に迷ったときは緩和ケア外来を受診で きる。. ●医師に何を聞いたらいいかわからないときは 情報を集めていくときに心配事が整理できないことも多々ある。そういうときのために国立がんセ.

(13) ンター東病院では医師に対する質問事項を整理したパンフレットを作っている。診断名は何か、進行度 はどうかなど聞いておきたいような質問事項が並んでいるので困ったときは利用するとよい。 最近がん患者さんに対する支援が強化されている。大きな病院では抵抗感があるが、市区町村のレ ベルで患者さんが気軽に相談に行けるような相談支援の場所を設置する動きが活性化している。 ●がんになったときの心のあり方 当院でがん患者さんの心の動きを知るためにアンケートを行ったところ、全体の 1/3 はかなりの抑う つ状態。精神科に行っても薬を飲んでも解決しない。医師にかかっても不安材料は帳消しにならない。 どう過ごすべきかを一緒に考えていくことが大事だ。 がんになったときの心のあり方をどうするかということで、最近行われているのがマインドフルネス (気付きによるケア)。禅から発したもの。人間は考えながら生きている。食事一つとってもこれを食べよ う、そのためにはこれを買ってこういう段取りで調理すると考える。旅行に行くときも行程や段取りを 考える。音楽を聴きながら運転するなど 2 つのことを同時進行できる。これらのすべては自分のコント ロール下にある。ところがコントロール不可なこともある。大きなミスを犯したとか重篤な病気が起こる と目の前のことに集中できなくなる。 人は現在も生き、過去も生きており未来もある。時の流れは速い。心のありようはどこにあるかとい うと、過去のことを思い描いたり、未来のことを思い描いたりで今のことは意外とわかっていない。特 に心配事の場合は、過去こうしたから悪かったんじゃないかとかこれから先はどうしようと思い悩むこ とが多く、今のことは忘れている。 進行がんといわれたら、過去のあれがよくなかったのではないか、まもなく死ぬかもしれないと自 分の中で辛い部分を膨らませていく傾向にある。マインドフルネスはそういうふうに自分が考えている んだなということに気付かせるような考え方であり、オリエンテーションといくつかのエクササイズで 組み立てられている。今のこの感覚に集中するという瞑想のエクササイズもある。呼吸や背中の感覚 などに注意を向ける訓練、違うところに意識の焦点を合わせることで今を見直す訓練などを行う。アメ リカの医療者の養成プログラムにも組み込まれているほどだ。当院でもマインドフルネスを研究の一環 として乳がんの患者さんに取り入れているが、患者さんの QOL は上がっているなど緩和ケアの領域で はマインドフルネスが発展してきている。 ●まとめ 病気になったときに一番大切なのは今。今を大切に生きましょうと患者さんにも言っている。緩和ケ アは末期になって利用するものでなく、診断が下されたときから利用できる。最善の選択をするために 必要なものはコミュニケーション。自分の考えや価値観を医師に伝えてほしい。今を大切に!.

(14) 【第二部. シンポジウム】. がんを予防して幸せに生きる がんがあっても前向きに生きる パネリスト/田中 洋一先生、橋口さおり先生、平尾良雄先生. 司会/中村直行先生. 《講演を聴いて》 中村. みなさん、こんにちは。講演を聞いて非常に. 勉強になりました。田中先生のお話の中に緑という フレーズがたくさんありました。緑は医学的にもい いといわれています。漢字にすると人が木に寄り 添うと書いて「休む」という字になる。心と体を休 めてがん治療に専念するという意味ではとてもい い環境だと思います。 橋口先生の緩和ケアのお話。昔は緩和ケアとい えば終末期というイメージで、一般には馴染みが 薄い言葉でした。それを先生は丁寧に説明してくれました。 お二人のお話には共通する部分もあります。1 つはチーム医療。埼玉県立がんセンターではチーム医 療を行っているとのこと。橋口先生のお話にも二人主治医やシェアード・ディシジョン・メイキングという 言葉が出てきました。後者は日本語にすると患者さんと家族が協働して意思決定しましょうということ です。テーマは違うかもしれませんが、お二人の考えの根幹は同じではないかと思います。 先ごろ、国立がんセンターがわが国のがんの実態を数字で発表しました。それによると、がんの罹患 患者数がついに年間 80 万人を突破したと。統計を始めた 35 年前に比べて患者数が 4 倍になっており、 これからも罹患する人が増えてくると予測されています。 もう一つ大事なお話として、病院での治療もわかるけど、在宅での医療も少なくないということでし た。そこで平尾先生に在宅医療についてお話を伺いたいと思います。 平尾. 私がこういう勉強会を開催するのは、在宅医療を行っている中で最近特に増えているのががん. の患者さんだからです。以前は脳卒中とか脳梗塞の後遺症で寝たきりの方が多かったのですが、最近 はがんで病院で治療を受けていたけど家に帰りたいという方が増えてきました。 午前中はクリニックに来る患者さんの診察をして、午後から在宅医療に行きます。寝たきりとか通院困 難な方の家に看護師などと一緒にうかがって診療をするわけです。医師だけでなく、訪問看護師、薬剤 師、ケアマネージャー、ヘルパーなどとチームを組んで在宅医療に取り組んでいます。 県立がんセンターの地域医療連携室や地域の大きな病院などから、当院や訪問看護ステーションに 直接話が来て、対応できる場合は受け入れるため、がん患者さんも在宅医療の対象です。自宅は生活 の拠点ですから、多くの方が在宅を希望しているのではないでしょうか。在宅医療は個人や家族の考 えを大事にする医療だと思います。 中村. 会場の中には死因のトップになっているがんだからこそ、専門病院で診て貰わねばと思ってい. る方も少なくないと思いますが、田中先生のお話の中にも在宅医療、あるいは地域連携というお話が 出ましたが、在宅医療の患者さんもいるのですか? 田中. 地域連携は段階的に二つに分けられます。一つは症状が重く治療が難しくなってきた患者さん. を診て頂く、地域連携として在宅医療がある。もう一つの国が奨励している地域連携というのはもっと 軽く、初期がんでセンター病院で治療をした後、自宅近くの医院で診て貰うというものです。がんセン.

(15) ターはそれをやっています。肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、肝がんの 5 大がんについて地域連携 を進めなさいと。これについては地域の先生にみていただきやすい初期のがんに対して推進していま す。連携はなかなか難しかったのですが、地域医療連携室のスタッフを充実させたところ促進されまし た。 緩和ケアに関わるような患者さんに関しては、市町村の医師会とがんセンターで全体的な勉強をし ようということで数年前に話し合い、緩和ケアに関するマニュアルを作りました。地域の医療機関や訪 問看護ステーションで「こういうときはどうしたらいいか」というときに利用できるようになり、少し進 展しました。ただ、それを支えるクリニック側の対応はなかなか難しいです。 中村. 橋口先生のお話の中に二人主治医制という言葉がありました。これは従来のかかりつけ医と大. きな病院の医師の二人の主治医がいてという意味であるなら、在宅医療とも関連はあると思いますが どうでしょうか? 橋口 二人主治医制をやるにあたり、田中先生がいわれた軽い症状の人たちのとは少し違う感覚です。 手術などか終わってある程度の期間を地域に任せるというのは難しい。体が動ける患者さんは基本的 には大きな病院に通ってきますので。そういう意味で少し症状が重くなったけれど在宅医療はまだ早 いというあたりから、少しずつクリニックに任せるという感覚でかかる主治医という意味として使って いると思います。二人主治医というのは、がん治療の場合は患者さんがやはり通いたいと。地域連携は 東京都にもありますがなかなか普及していません。 中村. 今おっしゃっていることは地域連携パスという言葉でしょうか。この意味は?. 田中. それぞれの病気にはそれぞれの進行度があります。各進行度についてどういう感覚でどうい. う検査を行うかという取り決めがあり、それを表にまとめたものをパスといいます。これを一つの病院 だけでなく、地域の医療機関と基幹病院で共有していくこと。それを連携パスといいます。 《会場からの質問への回答》 中村. ありがとうございました。では、みなさんからいただいたご質問にお応えしたいと思います。ま. ずは田中先生へのご質問。次世代ゲノムシークエンサー検査は誰でも受けられるのでしょうか?費用 はどのくらいですか?保険は適用されますか? 田中. どういう人にこの検査を行うかというと、現在は主に肺がん、一部大腸がんについても行って. います。手術等で組織をとった場合に組織の遺伝子を調べる。通常の遺伝子解析装置を使い、さらに次 世代ゲノムシークエンサーという解析装置を使ってやります。どれくらいマッチングするかを検証しな がらやっています。いずれは次世代ゲノムシークエンサー主流になっていくでしょう。目的とする遺伝 子以外にもたくさんの情報が出てくるので、いずれそれががんに関わっているということがわかって くれば治療に応用するという期待もできます。 今は研究の段階ですので保険は即認められて いませんが、遺伝子診断は保険で認められて いるので、それを流用して点数化することはで きます。 中村. 保険が認められるということですね。. 次のご質問。PET-CT の受診には紹介状が必要 ですか?費用はどのくらいですか? 田中. PET-CT はどういう病気に対して認める.

(16) かということが決められているので、紹介状無し でいきなりという事例はありません。こういう疾 患が疑われるということで、がんセンターにかか っていただいて主治医が PET-CT が必要と認め れば受けられます。地域のクリニックの医師の診断 が確定したところで、これは PET-CT が必要だろ うと判断されれば直接がんセンターに検査を依頼 することはあり得ます。費用は保険無しで 11 万円 前後ですから、3 割負担の場合は 3 万前後になる かと思います。 中村. 続いてのご質問です。医者の不養生という言葉がありますが、多忙な中で先生方がご自身の健. 康のために心がけていることはありますか? 平尾. 自分の好きなことをできる限りやっています。食事時間を極力縮めて、そういう時間をつくるよ. うにしているので、早食い自体が体に悪いという指摘もあるでしょうけど(笑)。心療内科で患者さんの 悩みを聞くのはもはやライフワークになっているので、疲れは感じません。しかし、三時間みっちりやる とぐったりします。ぐったりするくらい仕事に集中していることを、自分では体にいいことやってるなと 思っています。仕事が生きがいなので、ストレスも疲れも感じません。在宅医療で深夜電話がかかってき ても、自分が必要とされていることに喜びを感じます。嫌だと思ったらできませんから、うれしいことで す。 橋口. 特に体にいいことはしていません。ストレスのまま食べ、その結果太り…(笑)。ストレスを軽減する. ために、忙しい合間を縫って趣味の時間がとれるときはそこに没頭しています。 田中. 私もお二方と似たようなものです。食道がんの手術がライフワークで 10 時間くらいかかります. ので、好きでないとできない仕事です。ただ体調を維持できないと長時間の手術はできないので、体 調を整えることは意識しています。 ふだんの生活は深夜に夕食を摂り、一杯飲んで寝るみたいな日々です(笑)。でもアルコールは量を 抑え、禁煙を維持。外食するときは栄養バランスを考え、極力緑黄色野菜を摂るよう心がけています。 中村. お三方に共通するのは仕事が好きということですね。非常に厳しい状況の中でがんのご家族を. 支えていらっしゃる方もいるかもしれません。最悪の事態も想定しなければならないし、治らないケー スもあります。平尾先生はそういうときはどんな話を患者さんとしているのですか? 平尾. 在宅医療では患者さんのかかりつけ医としてご本人が元気なときから治療に関わっているケー. スと、がんの末期で治らないから在宅でというケースとがあります。いずれかにより対応は大きく違っ てきます。後者の場合はできる限りご本人が望むように、自分らしく生活できるようにを支援します。お 酒が好きな方にはダメとは言わない。セキが出たり、呼吸困難という症状がなければタバコが好きな 方にも喫煙は強いない。 病院は嫌だから家に帰りたい、たとえ 1 週間でも家でターミナルを送りたいという方は、紹介された 時点で最期の段階。ご家族も大変辛い状況なのでご本人と共にご家族も支えないといけません。痛い とか辛いという感覚があると人間は生きていたくないと思うので、それはしっかり軽減するようにして います。スピリチュアルの問題もありますが、寄り添っていくということです。ご本人の経歴や考え方を 聞くのも重要です。ある患者さんに「最期はどう迎えたいか?」と聞いたら、「それだけは聞いてほしく ない」と涙を流されました。ご本人の中では非常に重いことだったのだろうと思います。寄り添うこと.

(17) が大事です。 中村. ありがとうございました。最後に一つお三方に質問です。もしもご自分、あるいは非常に身近な. 方ががんだとわかったら、どうやって前向きに生きられますか? 平尾. 前向きに生きることは難しいんです。うつになる方も多いと聞いています。でも、今日この会場. に来ている方は、がんについてきちんと知ろうというお気持ちがあるので、勉強しておけばもし自分が そうなったときにこうしようという気持ちになると思います。私がこうした勉強会を開いている理由は、 専門家のお話を伺って私自身もがんについて勉強しようという気持ちがあるからです。病気を理解し た上で自分ならこうするということを考える。そういう機会だと思います。それが前向きということに なるかと思います。 橋口. 緩和ケアもチームを組んで働いていますが、メンバーの半数ががん経験者です。いろんな情報. 交換をしていますが、そんな中で感じることは前向きに生きるとは積極的に生きるということではなく て、彼らが心がけていることは「一日一日を大切に生きよう」です。私ががんになったら毎日あがくと 思います。でも、それが生きるということだと思いますし、日々の生活を悔いがないように生きたいで す。先々のことを考えるよりも今日を、今のこの瞬間を大切にすることが大事だと思います。 田中. 今のお話は末期の方の場合ですが、がんと診断されたとき、身内または自分がどうするかとい. うことについてはいろんなエビデンス、臨床試験をもとにして組み立てられたがんの治療の中から最 善のものを選びたいですね。そういう仕組みや治療がしっかりしている施設にかかりたいです。また治 療だけでなく、自分の QOL を保つためにベストなものを選びたい。最終的に決めるのは自分。いろんな 人の意見を参考にしたうえでベストの方策を選びたいと思います。 中村. ありがとうございました。先生方が医療や患者さんやご家族と真摯に向き合っていらっしゃるこ. とがよくわかりました。安心して医療が受けられる社会とは何だろう。簡単に答えが出ることではあり ませんが、今日の勉強会がそのきっかけの一つになれば幸いです。長時間にわたり、ご清聴ありがとう ございました.

(18) アンケート集計結果. アンケート回収数. 84/130. 1.参加者の年代. 男性 2名 1名. 3名 5名 14名. 2名 9名. 20代. 30代. 40代. 50代. 60代. 70代. 80代以上. 女性 1名. 2名 7名. 15名. 10名 13名. 20代. 30代. 40代. 50代. 60代. 70代. 80代以上. 男性、女性ともに 60 代以上が大半を占めた。女性は 70 代、60 代に次いで 50 代 が多く参加している。 加齢に伴いがんになるリスクも上昇するため、50~60 代以上は周囲や身内にも 「がん」を患う人が出てくる等の理由からがんに対する関心が高くなっている と推測される。.

(19) 2.本講座をどのようにして知ったか 12 10 8 6 4 2 0. ポスター. 広報. 男性. 折り込み チラシ 12. その他. 未記入. 5. 知人の誘 い 12. 3. 4. 0. 女性. 10. 9. 7. 12. 9. 1. 様々な媒体を通して参加者があった。 新聞折込チラシやポスターを見ての参加は、健康やがんについての関心が高いこと をうかがわせる。一方で知人の誘いによる参加が多いことから、本講座に一人で参 加することへの不安や葛藤があることが推測される。. 3.参加者所在地 女性 3名 1名. 男性. 1名. 3名. 5名 6名. 4名 22名. 5名 34名. 北本市. 桶川市. 鴻巣市. 伊奈町. その他. 北本市からの参加が大半である。桶川市や鴻巣市からも数人の参加があった。 伊奈町からの参加もあった。.

(20) 4.がんについてどのような印象をもっていますか ①がんは予防できる病気だと思う. 女性. 男性 13名. 21名 27名. 23名. できると思う. 出来ないと思う. できると思う. 出来ないと思う. ②がんの早期発見、早期治療はとても大事だと思う. 女性 5名. 男性 6名. 30名. 43名. 大事だと思う. 大事だと思わない. 大事だと思う. 大事だと思わない.

(21) ③がんの早期発見のために、人間ドックやがん検診を受けている. 男性. 女性 22名. 16名 26名. 受けている. 受けていない. 20名. 受けている. 受けていない. ④がんに対する知識はあったほうがいいと思う. 女性. 男性. 8名. 9名 40名. あったほうが良いと思う. なくとも良いと思う あったほうが良いと思う. 27名. なくとも良いと思う.

(22) ⑤がんの治療は専門病院で受けたいと思う. 女性. 男性. 16名. 17名. 19名 32名. 受けたい. 受けたくない. 受けたい. 受けたくない. 「②がんの早期発見、早期治療はとても大事だと思う」 「④がんに対する知識はあったほ うがいいと思う」は男女とも半数以上が丸印をつけた。その一方で「①がんは予防できる 病気だと思う」に丸印をつけた人は男女とも半数以下であった。 「③がんの早期発見のために、人間ドックやがん検診を受けている」「⑤がんの治療は専 門病院で受けたいと思う」は女性の半数以上が丸印をつけた。男性は半数以下にとどまっ た。. 5.自分が「治らないがん」であることがわかったと仮定してお聞きします ①家族、友人にはできるだけ知らせたい. 男性. 女性 16名. 14名 22名. 32名. 知らせたい. 知らせたくない. 知らせたい. 知らせたくない.

(23) ②病院で最期まで治療してもらいたい. 男性. 女性. 6名. 7名. 30名. 41名. 治療してもらいたい. 治療してもらいたくない. 治療してもらいたい. 治療してもらいたくない. ③できるだけ在宅で療養したいが、最期は病院に入院する. 女性. 男性 13名. 22名. 26名. 入院する. 入院しない. 23名. 入院する. 入院しない.

(24) ④最期まで自宅にいたい. 男性. 女性. 5名. 6名. 31名. 42名. 自宅にいたい. 自宅にいたくない. 自宅にいたい. 自宅にいたくない. ⑤緩和ケアはしっかり受けたい. 女性. 男性. 14名 18名. 18名. 34名. 受けたい. 受けたくない. 受けたい. 受けたくない. 「⑤緩和ケアはしっかり受けたい」には男女ともに半数以上が丸印をつけた。本 講座によって緩和ケアの知識が高まったことが影響しているかもしれない。 一方で、 「②病院で最期まで治療してもらいたい」 「④最期まで自宅にいたい」は 男女ともに丸印をつけたものが少なかった。 「①家族、友人にはできるだけ知らせたい」は男性は半数以上が丸印をつけたが、 女性は半数以下であった。 「③できるだけ在宅で療養したいが、最期は病院に入院する」には女性の半数以 上が丸印をつけたが、男性は半数以下であった。.

(25) 本講座の感想をお聞かせください 30 25 20 15 10 5 0. 大変良かっ た 男性 18 女性. 29. 良かった. 少し悪かっ た 0. 悪かった. 記入なし. 14. どちらとも言 えない 1. 0. 3. 16. 1. 0. 0. 2. 男性. 女性. 大変良かった、良かったと答えた方が 90%以上を占めた。. 6.参加者の感想 ・がんになっても安心して治療していただけることがよくわかりました。但し、経済的にどの程度までの 治療になるのか、そのことが心配です。 ・現在のところ、自分はがんには・・・・とは希望的に思っていますが、しかし、がんになる率は可能性大と 考えるべきとも思います。やはり、早期発見、知識は本当に大切なこと、つくづく思います。“今を大切に” このことは心に。 ・病気になった時の心構えについて改めて自覚することが出来ました。ありがとうございました。特に 中村直行先生の患者さんをケアする側の先生達への質問が。人々に平等のなやみがあることが理解 できて安心しました。 ・今回はじめてです。次回もお聞きしたいと思います。 ・緩和ケアの意味が良く理解できて、よかったです。 ・講座が始まる前の音楽、とても癒されました。スタッフ皆さんの笑顔の接客はとてもよかったです。田 中先生のお話からがんセンターが新しくなったことや最前線の治療方法 etc を、橋口先生から今を生き る大切さと、ケアについてお聞きして大変有意義な時間でした。今日来てよかったです。気をつけて元 気に“今”を大切に生きていきます。 中村先生(声が又いい)の司会はダントツに良かったです。貴重な先生方の体験をも聞けました。 ・開演前に流れました. さだまさしさんの『いのちの理由』とてもよかったです。大切な人をがんで失っ. た経験もあり、自分の将来のことも不安に思っていた為、講演の内容はとても勉強になりました。 多くの情報を得て選択肢を持つこと。人とつながることが大切だと感じました。シンポジウムの時間は 先生方の存在を身近に感じられ、和やかな雰囲気の中で、考えることができ貴重な時間を持てました。 ・緩和ケアについて、今まで漠然と考えていたけどもっと考えていきたい。とにかく病気にならない様 に気をつける。がんセンターはすばらしい病院と思いました。.

(26) ・前回と今回とお話を聞きまして、とてもわかりやすくお話をして頂き、がんになっても安心して生活で きると思います。 ・先生にはお忙しい中を本日は有難うございました。がんを予防して幸せに生きる。がんがあっても前 向きに生きる。たとえなってしまった時には、今を大切にちゃんと生きるよう心を見直して過ごしていけ たらと思います。 ・がんについて考えることが出来て良かった。 ・前回と今回ともお話を伺いとても良い話を聞きありがたく、今は健康であるので『今』を大切に生きた いと思います。大変有難う御座いました。 ・橋口先生のお話を、また聞きたいと思います。 ・ご立派な先生の講演、感銘を受けました。これからは、今、今日一日を大切に過ごそうと思います。 ・机の数が足りない ・これからどうすれば良いか少しでも近づけたい。 ・医療の進歩を感じました。橋口先生の『今を大事に』が心に残りました。 ・がんと言われたら私はうつ病になると思います。そのためにも緩和ケアは必要だと思いました。 ・今後、もしもの時に備え、とても勉強になりました。 ・先生のお話を伺って、がんになっても前向きで生きれるよう努力したいと思いました。 ・手元に資料があればもっと良かった。 ・緩和ケアの考え方がかわりました。 ・がんの予防・身体的なケアが中心のお話が多かったが患者の方の心・気持ちは・・・。今回は、自分ではど うすることもできない気持ち 受けとめてくれるところがあると知り少し楽になりました。 ・お話の内容を資料として配布してほしかった。 ・緩和ケアのお話は大変勉強になりました。 ・がんの原因等についてグラフにまとめてあり分りやすいと感じました。男性の方が女性よりもがんに なる確率が高いことが分かり、たばこが原因で多いことをお聞きしたのでたばこを吸わないようにし たいと思いました。がんによって気分を重くすることが多いけど、しっかり受け止めて前向きに生きるこ とが大事であると分かったので、自分ががんで治らないと言われても状況を時間かけて受けとめ前向 きに生きたいと思いました。 ・鴻巣市でもこのような市民の集い、講演会を開催して欲しい。初めての参加で来て大変良かったです。 いろいろ勉強になりました。次回も参加致します。 ・休憩が少ない。 ・大変勉強になりました。 ・非常にわかりやすく説明していただいて、現状がよくわかりました。 ・実際に受診しないとお話を伺うことのできない先生方のお話が聞けて良かったです。 ・先進技術を導入して一段とレベルアップした県立がんセンターの輝かしい病院と、終末期医療におけ る緩和ケアの重要性を今回認識ができ、ありがとうございました。 ・がんのこと、医療施設のことがよくわかりました。 ・がん、緩和ケアについては学校で選択科目の講義や保健について話を聞いていたが、さらに詳しく知 ることができた。今後PTを目指し、なれた時に役立てたいと思う。 ・Shared. dicision making これを知り安心が増えました。.

(27) 7.今後開催してほしい講座 ・高脂血症. ・糖尿病. ・高血圧. ・認知症. ・心臓病. ・マインドフルネス. ・精神保健医療センターや保健所との共同講演会が開催されたら嬉しく思う。 ・がん講座を何回か続けていただきたい。がんと知った時の心理状態のケアなど ・高齢者の転倒防止 ・ロコモティブシンドローム ・北本市の医療体制について ・がん治療の費用 ・終末期~亡くなった時の状況 ・大腸がんの前のポリープ切除後からがんになるケースは〇年に1回発生するのか ・胃の逆流が時たま起こる投薬しなくても胃がんにならないのか ・肥満、生活習慣病の予防するための、市民でのエクササイズや交流会 ・寝たきり高齢者の予防するための取組み ・介護の現状と問題点及び今後の展望. 講師、スタッフ一同.

(28) 4)考察・感想 がんに対する興味、関心が非常に高いことが今回の参加者数につながったと思う。またアンケートか らもがん治療に対する興味、関心の高さがうかがわれた。 前回(2013年8月17日)と今回の市民公開講座の題名「がんを予防して幸せにいきる!がんがあっ ても前向きにいきる!」は同じであった。 基調講演①「県立がんセンターの取組みとがんの最新治療」については昨年に引き続き、県立がん センター院長の田中洋一先生にお願いした。田中先生には、がんのメカニズムと発生要因、日本のが ん対策、埼玉県のがんの実態などについて、一般市民である参加者のためにわかり易く説明して頂い た。また、県立ガンセンターの最新機器、次世代ゲノムシークエンサーによる遺伝子診断治療など、地 域医療の拠点病院として、がん医療に貢献していくことを話された。 基調講演②は「がんがあってもあなたらしく」というテーマで、慶応義塾大学病院緩和ケアセンタ ー長の橋口さおり先生にお願いした。がんという病気には誰もが不安を持っている。. がんを告知さ. れると、その時から次々と疑問や不安が浮かんでくる。「本当に自分はがんなのだろうか・・・ 療で本当にいいのだろうか・・・ か・・・. この病院でいいのだろうか・・・. 自分はこれからどうなってしまうのだろうか・・・. この治. もっと良い治療方法はないだろう. がんの痛みは耐えられないほどつらいので. はないか・・・」 様々な不安がある中で、橋口先生は、緩和ケアは患者さんやご家族の痛みや苦痛、症 状を早期に発見して適切に対応することであると話された。そして、最善の選択をするために必要な ものはコミュ二ケーションであり、今を大切にすることの重要性を強調された。 「がんを予防して幸せにいきる!がんがあっても前向きにいきる!」というテーマは考えようによ っては非常に抒情的なものである。しかし 2 人に 1 人ががんに罹患し、3 人に1人ががんで死亡する時 代では 誰もが避けて通れないテーマでもある。 今回の市民公開講座は、がんの最新治療、緩和ケアということをテーマに開催した。がん治療の進歩 はめざましく、がんは治る病気になりつつある。しかし、「これ以上治療が困難である」と告知されるこ ともある。在宅で療養しているそうした患者、家族を支援することも、今後の大きなテーマの一つにな り得ると考えている。在宅療養支援に携わる者は、患者さんが「生きていてよかったと思えること」を支 えることに日々努力を続けている。すべてはがん患者とその家族のために・・・である。 今後も「在宅療養ができる地域づくり」の実現のために、在宅療養を支える家族・市民の会の仲間た ちとともに、在宅医療に関する知識の啓発に努めていきたい。そしてがんとがん治療に関する正しい知 識を提供し、がん患者と家族の不安を少しでも軽減できるよう今後も市民講座を開催していきたいと 考えている。 「生きることでなく、よく生きることこそ、何よりも大切にしなければならない」 ソクラテス『クリトン』 を本講座の栞の最後に記した。.

(29) 5)謝辞 この度は、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団様の多大なる助成・ご支援により、市民公開 講座を開催することができました。大変感謝致しております。 本講座の開催に際し、広く市民へ在宅療養の可能性に対する正しい理解が浸透していくことを祈り、 末尾の言葉に変えさせていただきます。. 6)添付資料 別紙参照.

(30) 医療法人社団 一葉会 ひらお内科クリニック 院長 平尾 良雄 〒364-0031 埼玉県北本市中央 3-71-4 TEL:048-592-8861 平成 26 年 9 月 19 日 作成.

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