相模女子大学短期大学部食物栄養学科 2聖徳大学看護学部 3首都大学東京 責任著者連絡先〒2520383 相模原市南区文京 2 11 相模女子大学短期大学部食物栄養学科 児玉小百合
2018 Japanese Society of Public Health
原
著
沖縄県農村地域在住の自立高齢者における
幸福感と年後の生存との関連
児
コ玉
ダマ小
サ百
ユ合
リ 栗
クリ盛
モリ須
ス雅
ガ子
コ2 星
ホシ旦
タン二
ジ3
目的 高齢期の主観的ウェルビーイングに関連する幸福感の,簡便な評価と生存との関連は十分に 検討されていない。相互扶助の地域特性を有する沖縄県農村地域在住の自立高齢者を対象に, 4 段階の選択肢による簡便な幸福感の評価が,3 年後の生存の予測妥当性の高い因子になり得 るかどうかについて,多様な要因を調整変数として検討した。 方法 2012年度に沖縄県の農村地域で実施したアンケート調査の回答者から,要支援・要介護認定 者および幸福感に回答が得られなかった者を除き,3 年後の追跡が可能であった1,471人(男 性638人,女性833人)を対象とした。幸福感等の主観的指標は 4 件法で順序尺度化した。料理 10種類の週当たりの摂取頻度は 5 件法で順序尺度化し,主成分分析の第 1 主成分を加工食品以 外の料理の多い「食の多様性」とした。幸福感の 3 年間の生存日数に対する総合的分析は,調 整変数の欠損値を除いた734人を対象に,Cox 比例ハザード分析を行った。性・年齢および 3 年後の生存と有意な関連(P<0.05)を示した対象者の基本的属性(収入のある仕事・入院経 験・喫煙習慣のないこと・運動頻度・BMI 区分)および高齢期の健康に関連する変数(幸福 感,主観的健康感,自立度,体重変化,外出控えのないこと,連続歩行,転倒骨折がないこ と,地域活動,友人や近所付合,外出頻度,加齢役割,病気は自分で防げる,地域信頼,食の 多様性)を調整変数とした。幸福感と累積生存率との関連は,カプラン・マイヤー法による生 存分析を実施した。 結果 3 年後の生存者は1,387人(94.3)であった。幸福感の「とても幸福である」と回答した者 のうち 3 年後の生存者は95.9であり,「幸福でない」の生存者86.4と比べて有意に割合が 高かった。一方で,「幸福でない」と回答した者のうち死亡者は13.6であり,「とても幸福で ある」の死亡者4.1と比べて有意に割合が高かった。多変数調整モデルにおいて,3 年後の 総死亡のハザード比(HR)を有意に低下させていたのは,幸福感(HR=0.56,95CI 0.320.99),転倒・骨折がないこと(HR=0.26,95CI0.110.62),喫煙習慣がないこと (HR=0.44,95CI0.250.77)であった。累積生存率は,幸福感が望ましいほど有意に高 かった。 結論 4段階の選択肢による幸福感の評価は,沖縄県農村地域在住の自立高齢者において,3 年後 の生存の予測妥当性の高い因子になり得る可能性が示唆された。 Key words幸福感,主観的ウェルビーイング,生存,自立高齢者,Cox 比例ハザード分析 日本公衆衛生雑誌 2018; 65(5): 199209. doi:10.11236/jph.65.5_199
緒
言
2025年には第一次ベビーブームの世代が75歳以上 になり,わが国の高齢化率は著しく上昇する。要介 護予防の対策に向けて,地域が一体となり高齢者を 支援するシステムの構築が推進されている1)。健康 長寿は,多様な要因が直接的・間接的に影響しあい 規定されている2)。近年,主観的ウェルビーイング (subjective wellbeing)は,高齢期の生存予後を規定 する要因として着目されている。wellbeing は,「幸 福」,「幸福感」と日本語訳されることが多いが,happinessの 訳 と 重 複 し て い る 。 wellbeing に は , 「安寧」や「健全」という happiness とは異なる心 理 状 態 が あ る と の 指 摘3)を 参 考 に , 本 論 文 で は 「ウェルビーイング」と表記した。 高齢期は,健康の社会的決定要因である収入が減 少し,生活満足感は維持されない可能性がある一方 で,主観的ウェルビーイングを維持する人々は,生 命予後が良いとする研究は多数報告されている4~7)。 Steptoeら4)は,高齢期の生存と主観的ウェルビー イングとの関連研究をレビューし,主観的ウェル ビ ー イ ン グ の 評 価 は 生 活 満 足 感 な ど の “ life evaluation”,幸福感(feelings of happiness)およ びポジティブ・ネガティブ感情などの“hedonic wellbeing”,人生の意味や目的,すなわち生きが いなどの“eudemonic wellbeing”の 3 種類に分類さ れると指摘している。
Lowton の The Philadelphia Geriatric Center Morale Scale(PGC モラール・スケール)8,9)は,17 項目(改訂版)の質問から構成された高齢期の主観 的ウェルビーイングの評価指標である。わが国で昭 和53年から「国民生活選好度調査」10)に基づいて計 測されている主観的幸福感は,11段階で測定する方 式を取っている。また,国外で使用されているポジ ティブ・ネガティブ感情の評価票(CES-D スケー ル)11)は,20項目の指標で構成されている。既存の 主観的ウェルビーイングの計測は,複数の指標を用 いて多面的に評価されており,簡便な幸福感の評価 方法を用いて高齢期の生存との関連を明確にした研 究はなされていない。 一方,国内外の高齢者研究12~14)およびわが国の 「国民生活基礎調査」15)における「主観的健康感」の 指標は,高齢者が容易に回答できる 4 または 5 段階 の選択肢による単一指標を用いた簡便な評価法であ り ,高 齢期 の 生存 の予 測 妥当 性も 報 告さ れて い る12~14)。高齢期の主観的ウェルビーイングの指標 についても,高齢者が回答しやすい簡便な評価法と 生存との関連が明確にされると,健康長寿を支援す るシステムの構築に活用でき,公衆衛生学的意義が あると考えた。加えて先行研究により高齢期の生存 との関連が報告されている食生活状況,社会ネット ワークおよび身体状況などの多様な要因との関連に ついても,検討する必要があると考えた。 そこで本研究は,「幸福感」と命名した簡便な評 価指標が,3 年後の生存の予測妥当性の高い因子に なり得るかどうかについて,多様な要因を調整変数 として検討した。
研 究 方 法
. 対象者と調査内容 本研究の調査は,2012年11月に,沖縄県本島北部 に位置する農村地域の A 自治体に居住する65歳以 上のすべての高齢者(2,430人)を対象に,実施さ れた。本調査は「A 健康長寿村プロジェクト」の一 環として,自治体と大学が協働し,健康寿命延伸支 援策の基礎資料を得る目的で実施された。調査員教 育 され た調 査 員が 質 問表 を持 参 し訪 問面 接 し, 1,846人から回答が得られた(回収率76.0)。 分析には,要支援・要介護認定者および幸福感に 回答が得られなかった者を除き,3 年後の追跡が可 能であった自立高齢者1,471人(男性638人,女性 833人)を対象とした。生存日数の定義は,調査票 回収日の2013年 1 月31日から,観察期間終了日の 2016年 3 月30日までとした。生存死亡状況の不明分 は,A 自治体担当者が同居家族等へ確認作業を実施 した。 . 調査項目 1) 生存分析に用いた変数 調査項目の中から先行研究を参考に指標を選択し, 3 年後の生存との関連を単相関分析により検討し た。生存と有意な関連を示した指標間に,相関係数 0.5以上6)の関連はないことを確認した。 本研究では主観的ウェルビーイングに関連する指 標として,幸福感および生活満足感を調査したが, 生活満足感は 3 年後の生存と有意な関連が認められ なかったため,生存分析には投入しないこととし た。幸福感の設問は,「ご自分は幸福だと思います か」とし,回答は「とても幸福である」を 4 点, 「まあまあ幸福である」を 3 点,「あまり幸福でない」 を 2 点,「幸福でない」を 1 点と順序尺度化した。 主観的健康感の設問は,高齢者の死亡リスクの予測 妥当性が確認されている先行研究14)を参考に,「ご 自分で健康だと思いますか」とし,選択肢の「とて も健康である」を 4 点,「まあまあ健康である」を 3 点,「あまり健康でない」を 2 点,「健康でない」 を 1 点と順序尺度化した。自立度の評価は,「老研 式活動能力指標」16)を参考に設問を設定し,最高12 点,最低 0 点とした。 高齢期の健康に関連する指標および評価は,先行 研究の身体的フレイルの評価17)などを参考に選択し た。外出控えがないことの設問は「ころぶのが怖く て外出を控えることがありますか」とし,回答の 「はい」を 0 点,「いいえ」を 1 点と評価した。外出 頻度の設問は「外出回数(となり近所を含む)はど れくらいですか」とし,「週 1 回未満」を社会的孤立基準として妥当であると報告した研究18)を参考 に,選択肢の「ほぼ毎日」,「週 3~4 回位」,「週 1 ~2 回位」を 1 点,「月 2~3 回以下」,「月 1 回以下」 の「週 1 回未満」を 0 点とした。連続歩行の設問は 「続けて 1 キロぐらい歩くことができますか」とし, 「はい」を 1 点,「いいえ」を 0 点とした。転倒・骨 折がないことの設問は「過去 1 年間にころんだり, ころんで骨折をしたことがありますか」とし,選択 肢の「ころばなかった」を 1 点,「ころんだ」と 「ころんで骨折した」を 0 点と評価した。体重変化 の設問は「過去 1 年間に体重の変化がありましたか」 とし,回答の体重増加および変化なしを 1 点,体重 減少を 0 点とした。 「地域活動」の設問は「地域活動やボランティア 活動をしていますか」とし,選択肢の「ほぼ毎日し ている」を 4 点,「時々している」を 3 点,「ほとん どしていない」を 2 点,「まったくしていない」を 1 点と順序尺度化した。「友人・近所付き合い」の 設問は「友人や近所の人との付き合いをしています か」とし,選択肢の「ほぼ毎日」を 5 点,「週 3~4 回位」を 4 点,「週 1~2 回位」を 3 点,「月 2~3 回 以下」を 2 点,「月 1 回以下」を 1 点と順序尺度化 した。「地域信頼」の設問は,「あなたは一般的に地 域の人々を信頼できると感じますか」とし,回答の 「とても感じる」を 4 点,「少し感じる」を 3 点, 「あまり感じない」を 2 点,「感じない」を 1 点と順 序尺度化した。 加齢意識に関連した「加齢役割」の設問は「自分 の役割について,家庭や社会の中で,年をとるにつ れてどのように感じますか」とし,選択肢の「重要 になった」,「あまり変わらない」を 1 点,「重要で なくなった」を 0 点とした。「「病気は,自分自身で 気をつけることで,防ぐことができる」といった考 え方について,どうのように思われますか」の設問 は,選択肢の「その通りである」を 1 点,「そうで はない」,「どちらともいえない」を 0 点と評価した。 食事摂取頻度調査の質問票は,食品群ベースの多 様性評価19)を参考に,高齢者が回答しやすいよう料 理名に呼称を修正した。さらにインスタント食品, 菓子パン,沖縄県で日常的に摂取される缶詰のポー クを加えた。10種類の料理(肉料理,大豆食品, 卵・卵料理,魚料理,牛乳・乳製品,果物,野菜料 理,ポーク,インスタント食品,菓子パン)の摂取 頻度を,「毎日食べる」,「週 5~6 日」,「週 3~4 日」, 「週 1~2 日」,「食べない」の 5 段階の選択肢で尋ね た。調査票には「現在の食生活についておたずねし ます」と記載し,具体的な期間は特定しなかった。 摂取頻度の得点化は,筆者らの先行研究20)と同様に, 2種の多様性得点の評価19,21)を参考に検討し,本研 究の自立度の知的能動性16)と有意な関連を示した 5 件法の順序尺度化得点21)を使用した。 2) 生存分析に用いた調整変数 対象者の基本的属性として,性,年齢,家族構 成,収入のある仕事の有無,経済的満足感について 尋ねた。健康状態・生活習慣については,入院経験 の有無,かかりつけの医師および歯科医師の有無, 喫煙および飲酒の習慣,運動(ウォーキングも含め る)の頻度について尋ねた。BMI 値は,自己申告 の身長・体重を用いて算出し,肥満判定に従い 4 区 分に分けた。対象者の基本的属性の中から,3 年後 の生存と有意な関連を示した収入のある仕事をして いること,入院経験のあること,喫煙習慣がないこ と,運動頻度,BMI(4 区分)を生存分析の調整変 数とした。 . 分析方法 幸福感の回答別にみた対象者の基本的属性のう ち,順序尺度化した回答割合は Kruskal-Wallis の順 位和検定,その他は x2検定を実施した。生存分析 に用いた変数の性別・年齢階層別にみた生存・死亡 と の 関 連 の う ち , 順 序 尺 度 化 し た 回 答 割 合 は Mann-Whitney のU 検定,その他はx2検定を実施 した。10種類の料理の摂取頻度に類似性を見出す分 析は,すべての項目に回答が得られた1,166人を対 象に,主成分分析を実施した。 3 年間の生存日数に対する総合的分析は,Cox 比 例ハザード分析を用い,幸福感の死亡に対するハ ザード比(hazard ratio以降 HR と記す)を算出 した。その際に,回答を 0 点と 1 点の 2 値で評価し た変数および BMI(4 区分)は,カテゴリーとし て扱った。分析対象は,すべての項目に回答が得ら れ た 734 人 ( 男 性 337 人 45.9 , 女 性 397 人 54.1)とした。 分析モデルは,主観的ウェルビーイングの先行研 究4,7)を参考に,◯幸福感のみ,◯性・年齢を調整, ◯ 3 年後生存に有意な関連を示した基本的属性を調 整,の 3 モデルとした。性・年齢のみを調整変数と したモデルを作成した理由は,先行研究7)の結果と ハザード比を比較するためであった。さらに,幸福 感が 3 年後の生存の予測妥当性の高い因子になり得 るかどうかについて,◯多様な要因を調整変数とし たモデルを検討した。 幸福感と累積生存率の関連は,カプラン・マイ ヤー法による生存分析を用いて,幸福感の 4 選択肢 別に比較した。2 群間の累積生存率の差の検定は, 幸福感の回答の良好な「とても幸福である」と「ま あまあ幸福である」,および回答が良好でない「あ
表 幸福感の回答別に見た基本的属性 幸 福 感 P 値 とても 幸福である 幸福であるまあまあ 幸福でないあまり 幸福でない n n n n 性・年齢 65~75歳未満(男性) 53 16.5 208 64.8 42 13.1 18 5.6 75歳以上(男性) 77 24.3 201 63.4 34 10.7 5 1.6 65~75歳未満(女性) 56 18.8 207 69.5 28 9.4 7 2.3 n.s. 75歳以上(女性) 134 25.0 336 62.8 51 9.5 14 2.6 家族構成 一人暮らし 60 19.7 181 59.3 52 17.0 12 3.9 一人暮らし以外 260 22.3 771 66.1 103 8.8 32 2.7 収入のある 仕事 している 99 24.4 265 65.3 39 9.6 3 0.7 していない 213 20.7 664 64.5 114 11.1 39 3.8 経済的満足 感a) 満足している 104 57.1 68 37.4 7 3.8 3 1.6 まあまあ満足している 124 19.8 465 74.4 34 5.4 2 0.3 あまり満足していない 47 12.4 267 70.6 58 15.3 6 1.6 満足していない 34 14.2 124 51.9 51 21.3 30 12.6 入院経験 あり 65 23.6 156 56.7 32 11.6 22 8.0 なし 253 21.4 784 66.4 122 10.3 22 1.9 かかりつけ 医師 ありなし 27738 22.019.7 816122 64.963.2 12429 15.09.9 404 2.13.2 n.s. かかりつけ 歯科医師 なしあり 179128 26.517.6 425481 63.066.1 9354 12.88.0 2617 3.62.5 喫煙習慣a) 吸っている 19 16.8 72 63.7 16 14.2 6 5.3 やめた 59 19.9 191 64.5 35 11.8 11 3.7 以前から吸わない 225 23.0 630 64.4 99 10.1 25 2.6 飲酒習慣a) ほぼ毎日飲む 35 22.6 106 68.4 11 7.1 3 1.9 n.s. 週 3~4 回 12 18.2 40 60.6 13 19.7 1 1.5 週 1~2 回 16 17.4 58 63.0 15 16.3 3 3.3 ほとんど飲まない 243 21.9 720 64.9 111 10.0 36 3.2 運動頻度a) ほぼ毎日 122 29.3 265 63.5 23 5.5 7 1.7 週 3~4 回 40 17.5 157 68.9 24 10.5 7 3.1 週 1~2 回 62 22.1 192 68.3 23 8.2 4 1.4 ほとんどしない 90 17.9 311 61.8 79 15.7 23 4.6 BMI 区分 (kg/m2) 18.5未満 10 15.4 40 61.5 8 12.3 7 10.8 18.5以上25未満 183 24.0 476 62.4 86 11.3 18 2.4 25以上30未満 77 20.6 248 66.5 40 10.7 8 2.1 30以上 11 18.6 39 66.1 7 11.9 2 3.4 a) 順序尺度化データの検定は Kruskal-Wallis の順位和検定,その他はx2検定を使用した。 P<0.05, P<0.01, P<0.001, n.s. P≧0.05。各項目の割合は欠損値を除いて算出した。 まり幸福でない」と「幸福でない」をまとめ,ログ ランク検定を用いて検討した。分析対象は,幸福感 に回答が得られた1,471人とした。 分析ソフトは,統計処理には SPSS Statistics 23.0 (IBM)を使用し,統計学的有意水準は 5とした。 . 倫理的配慮 本研究は,首都大学東京研究安全倫理委員会の承 諾を得た(承認番号H2744,2015年 6 月25日)。自 治体とは公務員法の守秘義務を確認し,個人情報保 護のために調査票は個人を特定できないよう匿名化 (ID 番号化)され,分析者は ID 化されたデータを
表 食事内容の主成分分析結果 第 1 主成分 第 2 主成分 第 1 主成分食の多様性 大豆食品 0.599 -0.132 卵 0.594 -0.157 乳製品 0.584 0.291 くだもの 0.563 -0.223 魚 0.550 -0.073 野菜料理 0.490 -0.371 肉料理 0.485 0.342 第 2 主成分加工食品 ポーク 0.131 0.746 インスタント食品 0.032 0.711 菓子パン 0.121 0.520 寄与率() 21.8 17.7 累積寄与率() 21.8 39.5 主成分負荷量0.4以上に囲み線をした。 すべての項目に回答が得られた1,166人を対象とした。 使用した。
研 究 結 果
. 幸福感の回答別にみた基本的属性 分析の対象とした1,471人の平均年齢は,77.09± 7.36歳(男性75.63±6.86歳,女性78.21±7.53 歳),年齢範囲は65~104歳であった。65~75歳未満 の男性は321人(21.8),女性は298人(20.3), 75歳以上の男性が317人(21.5),女性は535人 (36.4)であった(表 1)。 幸福感の「とても幸福である」の回答割合が,同 じ基本的属性内の他の回答と比べて有意に高かった 回答は,75歳以上の男性(24.3),一人暮らし以 外(22.3),収入のある仕事をしている(24.4), 経済的満足感の「満足している」(57.1),かかり つけ歯科医師あり(26.5),喫煙習慣の「以前か ら吸わない」(23.0),運動頻度の「ほぼ毎日」 (29.3),BMI区分の「18.5以上25未満」(24.0) などであった。一方,幸福感の「幸福でない」の回 答割合が,同じ基本的属性内の他の回答と比べて有 意 に 高 か っ た 回 答 は , 65 ~ 75 歳 未 満 の 男 性 (5.6),一人暮らし(3.9),収入のある仕事を していない(3.8),経済的満足感の「満足してい ない」(12.6),入院経験あり(8.0),喫煙習慣 の「吸っている」(5.3),運動頻度の「ほとんど しない」(4.6),BMI区分の「18.5未満」(10.8) などであった。 . 食事の摂取頻度を用いた主成分分析 料理10種類の週当たりの摂取頻度に類似性を見出 すため,摂取頻度得点を用いて主成分分析を実施し た(表 2)。第 1 主成分は,加工食品(ポーク,イ ンスタント食品,菓子パン)以外のすべての料理の 摂取頻度が主成分負荷量0.4以上を示し,内的整合 性を示す Cronback a 信頼係数は0.618であった。第 1 主成分の主成分名を「食の多様性」とし,主成分 得点が 3 年後の生存と有意な関連を示すことを確認 した。 . 性別・年齢階層別にみた健康関連要因と生 存・死亡との関連 本 研 究 の 対 象 者 1,471 人 の 3 年 後 の 生 存 者 は , 1,387人(94.3)であった(表 3)。65~75歳未満 の生存者は男性308人(96.0),女性293人(98.3), 75歳以上は男性288人(90.9),女性498人(93.1) であった。 幸福感の「とても幸福である」と回答した者のう ち 3 年後の生存者は95.9であり,「幸福でない」 の生存者86.4と比べて有意に割合が高かった。一 方で,「幸福でない」と回答した者のうち死亡者は 13.6であり,「とても幸福である」の死亡者4.1 と比べて有意に割合が高かった。性別・年齢階層別 の比較によると,幸福感の回答と生存・死亡との関 連に有意な差が認められたのは男性の65~75歳未満 のみであったが,幸福感の良好な回答者が生存する 割合は高い傾向が示された。 主観的健康感の「とても健康である」の回答者が, 他の主観的健康感の回答者と比べて 3 年後に生存す る割合は,男女共にすべての年齢階層において最も 高 か っ た ( 男 性 65 ~ 75 歳 98.0 , 75 歳 以 上 97.4 年 齢 階 層 は 以 下 同様 , 女 性 100.0 , 96.0)。75歳以上では,連続歩行が「できる」(男 性94.3,女性96.6)は「できない」(男性 85.6,女性89.7)と比べて有意に生存者の割 合が高かった。また,地域活動を「時々している」 (男性95.8,女性96.4)は,「まったくして いない」(男性85.3,女性90.7)と比べて 有意に生存者の割合が高かった。 . 幸福感,多様な要因,生存日数との総合的 分析 Cox 回帰分析の対象者734人のうち,3 年後の生 存者は704人(95.9)であった。幸福感の死亡に 対する HR は,◯調整変数なしの Model 1(HR= 0.38,95 conˆdence interval(CI)0.240.61), ◯ 性・年齢を調整した Model 2(HR=0.36,95 CI0.220.57),◯基本的属性を調整した Model 3 (HR=0.42,95CI0.260.70)であった(表 4)。 3 年後生存に有意な関連を示した多様な要因を調整 し た Model 4 に お い て は , 幸 福 感 ( HR = 0.56 ,表 性 別・ 年齢階 層別 にみた 健康 関連要 因と 3 年後 の生 存・死 亡と の関連 全体 (n= 1, 471 ) 男性 ( n= 63 8) 女性( n= 83 3) 65 ~ 75 歳未 満 75 歳以上 65 ~ 75 歳未満 75 歳以 上 生存 ( n= 1, 387 ) 死亡 (n= 84 ) P 値 生存 (n= 30 8) 死亡 ( n= 13 ) P 値 生存 ( n= 28 8) 死亡 (n= 29 ) P 値 生存 (n= 29 3) 死亡 (n= 5) P 値 生存 (n= 49 8) 死亡 (n= 37 ) P 値 n n n n n n n n n n 幸福感 a) とても 幸福である 30 7 95. 9 1 3 4.1 52 98.1 1 1.9 7 1 92. 2 6 7. 8 n. s. 5 5 98. 2 1 1. 8 n. s. 12 9 9 6.3 5 3.7 n. s. まあま あ幸福であ る 90 2 94. 7 5 0 5.3 205 98.6 3 1.4 18 2 90. 5 19 9. 5 20 4 98. 6 3 1. 4 31 1 9 2.6 2 5 7.4 あまり 幸福でない 14 0 90. 3 1 5 9.7 37 88.1 5 11.9 3 0 88. 2 4 11. 8 2 7 96. 4 1 3. 6 4 6 9 0.2 5 9.8 幸福で ない 3 8 86. 4 6 1 3.6 14 77.8 4 22.2 5 1 00. 0 0 0. 0 7 1 00. 0 0 0. 0 1 2 8 5.7 2 1 4.3 主観 的健康感 a) とても 健康である 17 5 97. 8 4 2.2 48 98.0 1 2.0 3 8 97. 4 1 2. 6 4 1 1 00. 0 0 0. 0 n. s. 48 96 .0 2 4. 0 n. s. まあま あ健康であ る 78 1 95. 2 3 9 4.8 176 97.8 4 2.2 16 5 92. 2 14 7. 8 17 8 98. 3 3 1. 7 26 2 9 3.6 1 8 6.4 あまり 健康でない 31 2 93. 4 2 2 6.6 57 91.9 5 8.1 6 0 89. 6 7 10. 4 5 7 98. 3 1 1. 7 13 8 9 3.9 9 6.1 健康で ない 11 3 85. 6 1 9 1 4.4 26 89.7 3 10.3 2 3 76. 7 7 23. 3 1 7 94. 4 1 5. 6 4 7 8 5.5 8 1 4.5 自立 度 b ) 8~ 12 点 1 ,07 9 96. 3 4 1 3.7 262 98.1 5 1.9 21 0 93. 3 15 6. 7 26 7 98. 5 4 1. 5 34 0 9 5.2 1 7 4.8 4~ 7 点 10 2 85. 0 1 8 1 5.0 8 72.7 3 27.3 3 1 83. 8 6 16. 2 7 1 00. 0 0 0. 0 5 6 8 6.2 9 1 3.8 0~ 3 点 7 1 79. 8 1 8 2 0.2 8 72.7 3 27.3 1 0 58. 8 7 41. 2 5 83. 3 1 16. 7 4 8 8 7.3 7 1 2.7 外出 控えがないこ と なし 1 ,08 6 95. 2 5 5 4.8 284 96.3 1 1 3.7 n. s. 23 7 91. 9 21 8. 1 n. s. 25 1 98. 4 4 1. 6 n. s. 31 4 9 4.3 1 9 5.7 n. s. あり 26 2 91. 3 2 5 8.7 17 89.5 2 10.5 4 2 85. 7 7 14. 3 3 6 97. 3 1 2. 7 16 7 9 1.8 1 5 8.2 外出頻 度 ほぼ毎 日~週 1 回以 上 1 ,10 7 95. 3 5 4 4.7 265 96.4 1 0 3.6 n. s. 23 1 92. 8 18 7. 2 n. s. 24 8 98. 0 5 2. 0 n. s. 36 3 9 4.5 2 1 5.5 n. s. 週 1 回未 満 23 2 91. 0 2 3 9.0 35 94.6 2 5.4 4 5 84. 9 8 15. 1 3 5 1 00. 0 0 0. 0 11 7 9 0.0 1 3 1 0.0 連続歩 行 できる 94 1 96. 8 3 1 3.2 258 97.4 7 2.6 19 9 94. 3 12 5. 7 23 1 98. 7 3 1. 3 n. s. 25 3 9 6.6 9 3.4 できな い 40 7 89. 5 4 8 1 0.5 42 87.5 6 12.5 8 3 85. 6 14 14. 4 5 6 96. 6 2 3. 4 22 6 8 9.7 2 6 1 0.3 転倒・骨折が ないこと なし 1 ,06 0 95. 8 4 7 4.2 249 96.5 9 3.5 23 2 93. 5 16 6. 5 22 4 99. 1 2 0. 9 n. s. 35 5 9 4.7 2 0 5.3 n. s. あり 20 5 89. 1 2 5 1 0.9 29 87.9 4 12.1 3 1 79. 5 8 20. 5 4 2 95. 5 2 4. 5 10 3 9 0.4 1 1 9.6 体重変 化 体重増 加・変化な し 1 ,07 6 95. 1 5 5 4.9 252 96.2 1 0 3.8 n. s. 22 2 92. 5 18 7. 5 23 3 99. 1 2 0. 9 36 9 9 3.7 2 5 6.3 n. s. 体重減 少 23 4 90. 7 2 4 9.3 41 95.3 2 4.7 4 8 82. 8 10 17. 2 4 2 93. 3 3 6. 7 10 3 9 2.0 9 8.0 地 域活動 a) ほぼ毎 日している 2 7 93. 1 2 6.9 8 1 00.0 0 0.0 n. s. 8 88. 9 1 11. 1 8 1 00. 0 0 0. 0 n. s. 37 5. 0 1 2 5. 0 時々し ている 54 7 96. 6 1 9 3.4 143 95.3 7 4.7 11 4 95. 8 5 4. 2 12 8 99. 2 1 0. 8 16 2 9 6.4 6 3.6 ほとん どしていな い 24 8 96. 9 8 3.1 60 1 00.0 0 0.0 5 0 94. 3 3 5. 7 5 5 1 00. 0 0 0. 0 8 3 9 4.3 5 5.7 まった くしていな い 54 9 91. 0 5 4 9.0 94 94.0 6 6.0 11 0 85. 3 19 14. 7 10 0 96. 2 4 3. 8 24 5 9 0.7 2 5 9.3 友 人・近所付 き合い a) ほぼ毎 日 37 9 96. 7 1 3 3.3 90 96.8 3 3.2 n. s. 6 3 96. 9 2 3. 1 7 4 97. 4 2 2. 6 n. s. 15 2 9 6.2 6 3.8 週 3~ 4 回 33 5 97. 4 9 2.6 73 98.6 1 1.4 6 5 97. 0 2 3. 0 8 0 97. 6 2 2. 4 11 7 9 6.7 4 3.3 週 1~ 2 回 31 9 94. 9 1 7 5.1 74 96.1 3 3.9 6 6 91. 7 6 8. 3 7 2 1 00. 0 0 0. 0 10 7 9 3.0 8 7.0 月 2~ 3 回以 下 15 5 94. 5 9 5.5 34 97.1 1 2.9 4 2 93. 3 3 6. 7 3 6 97. 3 1 2. 7 4 3 9 1.5 4 8.5 月 1 回以 下 15 1 85. 8 2 5 1 4.2 26 89.7 3 10.3 4 2 76. 4 13 23. 6 2 3 1 00. 0 0 0. 0 6 0 8 7.0 9 1 3.0 地 域信頼 a) とても 感じる 51 4 95. 4 2 5 4.6 89 97.8 2 2.2 n. s. 10 8 93. 1 8 6. 9 9 1 98. 9 1 1. 1 n. s. 22 6 9 4.2 1 4 5.8 n. s. 少し感 じる 55 1 95. 3 2 7 4.7 132 96.4 5 3.6 11 4 94. 2 7 5. 8 13 5 97. 8 3 2. 2 17 0 9 3.4 1 2 6.6 あまり 感じない 17 2 91. 5 1 6 8.5 50 94.3 3 5.7 3 4 82. 9 7 17. 1 4 0 97. 6 1 2. 4 4 8 9 0.6 5 9.4 感じな い 7 4 86. 0 1 2 1 4.0 23 88.5 3 11.5 1 2 66. 7 6 33. 3 1 6 1 00. 0 0 0. 0 2 3 8 8.5 3 1 1.5 加齢役 割 重要に なった,あ まり変わら ない 1 ,10 2 95. 5 5 2 4.5 262 97.0 8 3.0 21 7 92. 3 18 7. 7 n. s. 25 8 99. 6 1 0. 4 36 5 9 3.6 2 5 6.4 n. s. 重要で なくなった 21 4 88. 8 2 7 1 1.2 35 87.5 5 12.5 5 4 85. 7 9 14. 3 2 5 89. 3 3 10. 7 10 0 9 0.9 1 0 9.1 病気 は自分で防げ る その通 りである 87 6 95. 8 3 8 4.2 204 97.6 5 2.4 18 5 92. 5 15 7. 5 n. s. 20 5 99. 5 1 0. 5 n. s. 28 2 9 4.3 1 7 5.7 n. s. そうで はない,ど ちらともい えない 46 8 91. 8 4 2 8.2 101 92.7 8 7.3 9 1 87. 5 13 12. 5 8 2 96. 5 3 3. 5 19 4 9 1.5 1 8 8.5 a) 順 序尺 度 化デ ータ の生 存者 と死亡 者の 比較 は, 1)は Ma nn-Whit ney の U 検定 ,そ の他 は x 2検 定 を使 用し た。 P < 0. 05, P < 0. 01, P < 0. 00 1, n. s. P ≧ 0.0 5。各 項目 の割 合は欠 損 値 を 除 い て 算 出した。 b ) 老研式 活動能力指 標13 項目を 参考に,自 立度の指標 を選択した 。
表 幸福感の 3 年後の死亡に対する総合的分析Cox 比例ハザード分析
3 年後の死亡 Model 1 Model 2 Model 3 Model 4 HR (95CI) HR (95CI) HR (95CI) HR (95CI) 幸福感a) 0.38(0.240.61) 0.36(0.220.57) 0.42(0.260.70) 0.56(0.320.99) 性(ref男性) 0.66(0.311.38) 1.13(0.452.85) 0.85(0.332.22) 年齢(+1 歳) 1.08(1.031.14) 1.09(1.031.14) 1.05(0.991.12) 収入のある仕事をしていること (refなし) 0.61(0.201.88) 0.82(0.252.74) 入院経験があること(refなし) 1.97(0.874.48) 1.50(0.613.66) 喫煙習慣がないことa) 0.42(0.240.73) 0.44(0.250.77) 運動頻度a) 0.94(0.701.26) 1.05(0.761.44) BMI 区分(kg/m2)(ref18.5未満) 18.5以上25未満 0.46(0.171.23) 0.54(0.181.63) 25以上30未満 0.25(0.070.88) 0.32(0.081.33) 30以上 0.00(0.00) 0.00(0.00) 主観的健康感a) 0.96(0.561.65) 自立度a) 0.90(0.791.03) 外出控えがないこと(refあり) 1.83(0.684.89) 外出頻度(ref週 1 回未満) 0.99(0.362.75) 連続歩行(refできない) 0.50(0.191.33) 転倒・骨折がないこと(refあり) 0.26(0.110.62) 体重変化(ref体重減少) 1.17(0.433.23) 地域活動a) 1.09(0.651.82) 友人・近所付き合いa) 0.95(0.681.34) 地域信頼a) 0.72(0.471.11) 加齢役割(ref重要でなくなった) 1.28(0.523.17) 病気は自分で防げる(ref防げない) 0.98(0.432.23) 食の多様性a) 0.75(0.501.13) 強制投入法。 HRハザード比,CI信頼区間,refハザード比が 1 となる基準カテゴリー,P<0.05, P<0.01, P<0.001。 すべての項目に回答が得られた734人を分析対象とした。 a) 順序変数および量的変数は 1 点増加時のハザード比 95CI0.320.99),転倒・骨折がないこと(HR =0.26,95CI0.110.62),喫煙習慣がないこと (HR=0.44,95CI0.250.77)が有意な関連を 示した。すべてのモデルで,幸福感が高いことは 3 年後の死亡の HR を有意に低下させていた。 幸福感の回答が良好な群は,良好でない群と比べ て累積生存率は有意に高いことを確認した(Log Rank 検定10.7,P<0.01)(図 1)。
考
察
本研究は,沖縄県の農村地域に居住する自立した 高齢者1,471人を 3 年間追跡し,4 段階の選択肢に より簡便に評価した幸福感は,多様な要因を調整変 数とした上でも,3 年後の死亡リスクを有意に減少 させる影響が大きいことを明らかにした。 . 幸福感,多様な要因,生存日数との総合的 分析 幸福感,転倒・骨折がないことおよび喫煙習慣が ないことは,3 年後の死亡リスクを有意に減少させ る影響が大きいことが明らかになった。幸福感の死 亡に対する HR の変化をみると,幸福感のみの調 整のない HR は0.38,性・年齢を調整した HR は 0.36,基本的属性を調整した HR は0.42,多様な要 因を調整した HR は0.56であった。15年間の追跡研 究7)における総死亡と幸福感(2 項目による評価) の関連を参照すると,「幸せでない」に対する「ま あ ま あ 幸 せ ( moderately happy )」 の 調 整 の な い HR は0.82,性・年齢を調整した HR は0.91,社会 的要因・慢性疾患などを調整した HR は0.96(P= 0.08),喫煙習慣を調整した HR は0.99(P=0.14) であり,本研究の 4 件法による幸福感は,3 年後生図 幸福感と 3 年間の累積生存率の関連 存の予測因子として感度が高い可能性が示唆された。 地域高齢者の追跡調査において,喫煙者はフレイ ルの発症リスクが高かったと報告されている22)。本 研究においても,幸福感と同様に,喫煙習慣がない こと,転倒・骨折がないことは,死亡リスク減少に 有意な関連を示し,これらの結果は科学的根拠に基 づいた介護予防に活用することができ,意義のある 結果と考えた。 一方で,調整変数の投入後に主観的ウェルビーイ ングと生存との有意な関連が消失したという研究結 果7,23,24)がある。主観的健康感が高いことが総死亡 の リ ス ク を 低 減 さ せ る こ と は よ く 知 ら れ て い る12~14)。また,主観的健康感と幸福感が正の相関 を示すことも報告されている23)ことから,関連要因 間の構造的な相互関係をさらに明確にする必要性が あると考える。 . 幸福感の指標としての妥当性 カプラン・マイヤー生存分析において,累積生存 率の変化は,「幸福である」と「まあまあ幸福であ る」,および「あまり幸福でない」と「幸福でない」 の各々が重なり合う傾向が示された。PGC モラー ル総得点を 3 分位に分類し,累積生存率を比較した 研究6)においても,中分位と低分位の累積生存率の 変化が重なり合い,本研究と類似の傾向が示されて いる。先行研究6)と同様に,幸福感の累積生存率の 変化に類似性が示された回答を 2 種に操作的に区分 し,カテゴリーとして扱い Cox 比例ハザード分析 を実施した。2 件法の幸福感の評価は,Model 4 と 同様の調整変数の分析においては,生存との関連に 有意性を示さなかった。以上のことから,4 段階の 選択肢は高齢者の生存との関連の評価として感度が 高い可能性が示唆された。 既存の主観的ウェルビーイングの設問は,「最近 1 週間」,「この 1 か月間」など対象期間を限定して いるが4),本研究では幸福だと思う期間を限定しな い設問とした。このような設問に対して,対象者は 現在のみならず,過去を含めて,自分の人生は幸福 かどうかと瞬時にイメージし,回答したと推察し た。また,回答の選択には,現在の健康状態や生活 状況も反映された可能性があり,そのことも本研究 の幸福感が簡便ながら,3 年後の生存の予測妥当性 の高い因子になり得る可能性を示唆する一因となっ たのではないかと推察した。 . 本研究の今後の課題 4 段階の選択肢による幸福感の評価は,簡便で高 齢者が容易に回答できるため,他の集団の調査研究 でも活用し,簡便な指標としての信頼性や妥当性を 検証していく必要がある。「健康日本21(第 2 次)」 が掲げる健康寿命の延伸の根拠として,科学的根拠 に基づいて算出された健康寿命の指標25)をアウトカ
ムにした分析も,今後の高齢者施策に有用である。 また,既存の因果構造モデル2,26,27)に幸福感を加 え,支援の優先性を明確にする根拠として活用した い。さらに,高齢期の幸福感は供食との関連も報告 されていることから28),食行動面との分析も今後の 課題とした。
結
語
沖縄県農村地域在住の自立高齢者において,4 段 階の選択肢による簡便な幸福感の評価は,多様な要 因を調整変数とした上でも,3 年後の生存の予測妥 当性の高い因子になり得る可能性が示唆された。 本研究は沖縄振興特別推進交付金による「A 自治体健 康長寿体験滞在型観光の促進事業」の一環として行われ た「A 健康長寿村プロジェクト」の成果の一部である。 アンケート調査にご協力いただいた対象者,ならびに本 研究に多大なご支援をいただいた事業推進委員会委員の 皆さま,A 自治体の方々に深謝します。 なお,本研究は開示すべき COI はありません。(
受付 2017. 9.21 採用 2018. 2. 5)
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Association between feelings of happiness among community-dwelling,
independent, elderly individuals in an Okinawan farm village and survival three
years later
Sayuri KODAMA, Sugako KURIMORI2and Tanji HOSHI3
Key wordsfeelings of happiness, subjective wellbeing, survival, independent elderly, Cox proportional hazard model
Objectives As an indicator of subjective wellbeing, feelings of happiness assessed based on simple items have not been fully elucidated in terms of its relation to survival during old age. The purpose of this study was to examine whether the predictive validity of feelings of happiness assessed using a 4-item measure is high as an indicator of assessing survival three years later, using a variety of factors as ad-justment variables among independent, elderly individuals living in a farm village in Okinawa, wherein a spirit of mutual help is prevalent among the residents.
Methods From a longitudinal study conducted in 2012, a total of 1,471 respondents (638 men, 833 women), excluding participants who needed long-term care and non-respondents of their feelings of happiness, completed a detailed questionnaire. A 4-item measure of feelings of happiness and other indicators of subjective wellbeing, including a 5-item measure of cooked food consumption, were considered as ordinal scales. From the results of the principal component (PC) analysis, we named the ˆrst PC ``diet variety,'' of which cooked food was less consumed. The Cox proportional hazard model was used for 734 subjects' data, excluding missing values, to examine comprehensive associa-tions among feelings of happiness, survival times, and health indicators in a multivariate model that adjusted for age, sex, and body mass index, among others. A correlation analysis between survival after three years was performed to select indicators used simultaneously in the analysis. Kaplan-Meier analysis was also conducted to examine the cumulative survival rate over three years. Results A total of 1,387 participants (94.3) survived during the three-year follow-up. The survival rate
was signiˆcantly higher in those who indicated ``very happy'' items (95.9) than in those who indi-cated ``unhappy'' items (86.4). Meanwhile, the mortality rate was signiˆcantly higher in those who indicated ``unhappy'' items (13.6) than in those who indicated ``very happy'' items (4.1). Within the multivariate model, the hazard ratio (HR) for mortality three years later was signiˆcant-ly reduced in those with feelings of happiness (HR=0.56, 95 conˆdence interval [CI]: 0.32 0.99), in those who did not experiences falls and fractures (HR=0.26, 95 CI0.110.62), and in those who were non-smokers (HR=0.44, 95 CI0.250.77). The cumulative survival rate in those who experienced good feelings of happiness was signiˆcantly higher than in the others. Conclusion The predictive validity of feelings of happiness assessed by a 4-item measure might be high as
an indicator to assess survival three years later among independent, elderly individuals living in a farm village in Okinawa.
Department of Food and Nutrition Science, Sagami Women's Junior College 2Department of Nursing, Seitoku University