Title
Bacillus属細菌MK03由来のβ-agarase及びα-
neoagarooligosaccharide hydrolaseに関する研究( 内容の要旨 )
Author(s)
鈴木, 寿
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第298号
Issue Date
2003-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2639
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本掴)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記.番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 鈴 木 寿 (愛知県) 博士(農学) 農博甲第298号 平成15年3月13日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 岐阜大学 励d仇路属細菌MEO3由来のβ・agaraSe及び α-neOagarOOligosaccharidehydrola8eに関する 研究 主査 岐阜大学 教 授 副査 岐阜大学 助教授 副査 静岡大学 教 授 副査 信州大学 助教授 一徹 孝 之 啓 康 博 合木原・本 河鈴 田 橋 論 文 の 内 容 の 要 旨 本論文は、・寒天の高度利用を目的に、細胞外に高いネオアガロオリゴ糖分解活性を示した
寒天分解菌を単離、Baci//lL∫属と同定し、本菌のagarase及びneoagarooIigosacchari9e(NAOS)
llydrolaseについて`それぞれ高原に精製し、基本的な諸性質を明らかにするとともに、これらの酵素の基質分解特性を甲らかにしたものである。
岐阜県内の寒天製造ユニ喝撃地の土壌から、寒天分解菌のスクリ⊥ニングを行い、寒天分解 油性を示した13菌株を分解し、これらの菌抹から培養液中にネオアガロオリゴ糖を分解してアガロオリゴ糖を生成する酵素を生産した4菌株を選抜し牢。グラム陽性菌の生産する
agaraseやNAOS hyd]daseに関する研究報告がまったくなかったことから、これらの4菌株 から、グラム陽性薗で高い活性を示したMKO3株を選抜した。MKO3株の歯学的特徴並びに t6S ribosomalDNAの塩基配列の解析結果から.BaciL/tLS属と同定するとともに、本菌が agarase及びNAOShydroJaseを菌体外に分泌生産していることを明らかにした? 次いで、B〝Ci//tLSSP.MKO3のagaraseを培養上清液から硫安分画、DEAE-ToyopearJ650Sカ ラムクロマトグラフィー、SephadexG-150及びSuperdex200HR)0/30ゲル濾過クロマトグラ フィーにて収率7.0%、.J29倍精製し、SDS-PAGEで単一のバンドを示す酵素標品を得た。 この精製酵素の分子量はSDS-PAGEにて92kDa、ゲル濾過クロマトグラフィーによりIJ3 kDaと、推定され、単量体と考えられた。最適pH及び温度はそれぞれ7・6,40℃であった。 また、pH及び温度に対する安定域はそれぞれ7.l∼8.2及び35℃までであった。本酵素のN一 末端アミノ酸配列(20残基)はKERNVHWGDEVIQFWINAGYと解析され、他起仮のagaraseの配列と相同性が見られなかったことから本agaraseがアミノ酸配列レベルで新規な酵素で あることを明らかにした。基質分解特性については、本酵素をアガロースに作用させると急 激な低分子化が観察されること及びneoagarotetraoseを主生成物とするネオアガロオリゴ触 を生成することから本酵素はアガロース中のβ-Ⅰ,4結合を切断するエンド型のβ-agaIaSeで あること牢明らかにした。また、neOagarOhexaose及びneoagarohexaitoIに対する分解様式カ、 ら本酵素はネオアガロオリゴ糖の還元末端側ゐ.β-l,4結合を分解していることを実証した。 次に、NAOShydroJaseを培養上清液から、硫安分画、DEAE-ToyopearJ6joM及び.650Sの イオン交換クロマトグラフィー、Su阿dex200のゲル淳過クロマトグラフィーにより収率 3・6%で49・7倍精製し、電気泳動的に単一な酵革標晶を得た。分子量は.SDS朋GE及びゲル
掛割こよりそれぞれ42kDa及び320kDaと推定され本酵素は同一サブユニットからなる8
量体と考えらゎた。最適pH及び温度はそれぞれ6.l、30℃であった。PH及び温度安定性は それぞれ6・4∼8カ.及び30℃までであった。Nニー末端アミノ酸配列(15・残基)は MKXESAATIRAFNYTと快速されVibriosp・JTOJO7由来のα-NAOS hydroJase▲の配列と相同 性は認められなかった。本酵素のneoagarobiose、neOagarOtetJ・aOSt及びneoagarohexaoseに対 する分解様式から、本酵素は非還元末端側のq-),3結合を分解するα-NAOS・hydroJaseであ ることを示した。 以上、本研究は、グラム陽惟歯である助c仙∫属の1菌株より寒天分解酵素であるβ-agalⅥSe 及びα-NAOS hyd)・OJaseが菌体外に生産されること、また両酵素とも新規な特性を有する彬 素であることを明らかにしたもので学術的に極めて貴重な知見を提供したばかりでなく、木 蘭の発見は寒天を高度利用する際め酵素の給源としての利用が期待され、応用酵素学的にも 極めて価値が高い。 審 査 結 果 の 要 旨 平成15年1月27日14時30分より、審査委貞全点出席のもとに公開論文発表会が開か れ、約35分間にわたる発表と約25分間の質疑応答が行われた。審査委貞等からの質問 に概ね的確に答えた。 本論文机寒天の高度利用を目指し、寒天分解菌の探索、単離分解菌の同定、β一 agarase及びα-neOagar001igosaccharide(α-NAOS)hydrolaseの精製とそれらの基 本的諸性質、並びに基質分解特性について検討したもので、以下に示す研究成果を得 ている。 (1摘寒天分解菌の単離、同定:寒天製造工場数地内の土壌から、寒天分解菌13菌株 を分離した。このうち4菌株がネオアガロオリゴ糖を分解しネオアガロオリゴ糖とは異な争オリゴ糖を生成する菌体外酵素を生産していることを認めた。4菌棟のうち、
グラム陽性でアガロース及びネオアガロオリゴオリゴ糖に対し高い分解活性を示した HEO3珠を選抜した。木蘭珠の菌学的性質、並びに16Sriboso皿占DⅣAの塩基配列の解析結果から、蝿03搾をBacil]us属と同定.し、本菌がagarase及びα-ⅣAOShydrolaseを生
産していることを明らかにした。 (2)β-agaraSeの精製と諸性質‥培養上清液から、硫安分画、イオン交換クロマトグ ラフィー並びにゲルクロマトグラフィーにより酵素を精製し、SDS-PAGで単一のバンー73-ドを示す酵素標晶を得た。SDS-PAGE(92kDa)及びゲルクロマトグライー(113kDa)の 結果から本酵素が単量体であることを推定した。最適pHは7.6、頭安定性は7.1⊥8.2 であること及び最適温度は40℃で熱処理に対して35℃まで安定であることを明らかに した。本酵素のⅣ一束端20アミノ●酸残基の配列をEERⅣⅤ珊GDEVIQ阿川AGYと決定し、この 配列から本酵素がアミノ酸配列レベルで新規のagaraseであることを指摘した。SDS、 Fe、Zn、Hg、Pb、Alが本酵素を強く阻害し、EDTAでは阻害されないことを明らかにした。 本agaraSeが、アガロースのβ-1,4結合を切断してneoagarOtetraOSeを主生成物とす るネオアガロオリゴ糖を生成するβ一型琴素であること、neOagarOhexaoseに作用して neoagarotetraoseとneoa$arObioseを生成すること及びneoagarotetraoseやneoa寧arO-bioseには作用しなItことを認めた。さらに、neOagarOhexaitolに対する分解様式の 結果から、neOagarOhexao?eは還元末端側に位置するβ-1,4結合を切断していること
を実証した。
また、反応開始とともにアガロースの平均分子量が急激に低すすること
からエンド塑酵素であることを明らかにした。 (3)α-NAOS hydrolaseの摘製と諸性質:培養上浦液から硫安沈殿、イオン交換クロマトグラフィー並びにゲルクロ.マトグラフイ一により酵素を精製した。精製酵素棲晶は
SDS-PAGE及びPAGEにモ単-のバンドを示した。分子量は、SDS-PAGEにて42kI)a、ゲル 濾過法にて320kDaであったたことから8量体と推定した。最適p日及び温度はそれぞれ 6.1、30℃で、pH及び温度に対してそ′れぞれ6.4∼8.■6及び30℃まで安定であることを示 した。本酵素のⅣ-末端15アミノ酸残基の配列を拇ⅢES舶TIRA州YTと決定した。この配列は唯一報告されているVibrio sp.JTOlO7由来の菌体内α一NAOS hydrolaseの配列と
相同性が認められなかうたとしている。分解速度は、neOa由rohexaoseがもっとも速
く、次いでneoagarotetraose、neOagarObioseの煩である羊とを認め、VibTio由来の 酵素と逆の結果を得ている。本酵素による各基質からの分解産物について薄層クロマ トグラフィー及びFAB⊥且S分析を行いこneoagarabioseを基質とした場合にはα-1,3結 合を切断し3,6-anhydro-L-galactoseとD-galactoseを生成すること'、neOagarOt-etrq-ose及びneoagarohexaoseの場合には、非運元末端例のα-1,3結合を切断し、1,3-an-hydro一トgalactoseに加え、それぞれagarotriose及びagaropentaoseを生成すること
を明らかにした。本酵素はVLbrio由来の酵素と異なりagarotrioseやagar0ムentaoseは
ほとんど分解しない特徴を持っていることを指摘した。 以上、本論文は寒天の高度利用を目的に、寒天分解菌としてぬciJJロ5属細菌を単離し、本菌の生産する菌体外β-a$araSeとα-NAOShydrolaseについてその特性を朗ら
かにしたもので、学術的に貴重な情報を提供するとともに、微生物酵素反応によるア ガロオリゴ糖の大量生産技術の開発にも大きく貢献するものと評価され、今後の研究 の進展が期待された。 審査委貞会において、本論文の樟成や内容について慎重■に審議した結果、審査委負 全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値のある ものと判定した。[基礎となる学術論文]
1・H.SuzukiiY.Sawai,T.Suzuki,and E.Eavai:Purification and characterization
OfaneXtraCellular a-neOagar001igosaccharidehydrolase fromぬcillus sp.
且EO3.
J.Biosci.Bioepg.,Vol.93,No.5,pp.456-463(2002).
2.H.Suzuki,Y.Savai,T.Suzuki,and'E.Eawai:Purification
and charaCterizati。n Of extracellular B-agaraSe from Baci]1us sp.IⅨ03.
J.Biosci.Bioepg.,(20`03).(inpress)