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機関誌「救急救命」

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(1)

2002/Vo

.

1

5

NO.2 平成14年11月30日発行(年2回発行) 第

5

巻第

2

号(通巻第

9

号)

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財団法人救急振興財団

(2)

救急救命

9

2002/November C ONT ENT S グラビア 香芝-広陵消防組合消防本部の応急手当普及啓発活動 救 急 救 命 九 州 研 修 所 研 修 風 景 巻頭のことぱ

救急業務の高度化の推進について

3 6 総 務 省 消 防 庁 長 官 石 井 隆 一 7 クローズアップ救急 応急手当普及啓発活動の現状と課題⑤

-

香芝-広陵消防組合消防本部を取材して

-

編集室 8 基礎医学講座

外傷医療の標準化プログラム

ー包括的な外傷システムの構築に向けて 大 阪 府 立 泉 州 救 命 救 急 セ ン タ ー 所 長 横 田 順 一 朗 14

連載読み物

園図園

園田園

9回

」の

のち

MESSAGE/救急救命士をめざす人たちへ

事前学習ノススメ

救急に関する調査研究事業助成完了報告 北 里 大 学 名 誉 教 授 立 川 昭 二 18 救 急 救 命 九 州 研 修 所 教 授 川 波 哲 20

予防救急思想普及啓発指導マニュアルの作成及び家庭における

救急事故注意指数の創設

予 防 救 急 研 究 会 代 表 石 川 実(鹿沼地区広域行政事務組合消防本部) 22

救急業務の高度化とメディ力ルコントロール体制の基盤作りに

関する研究

日本医科大学付属千葉北総病院救命救急センタ 松本 尚、益子邦洋 26

財団法人救急振興財団平成

1

3

年度事業報告

30 第11回全国救急隊員シンポジウム開催プログラム 32

平成

1

5

年度財団法人救急振興財団調査研究事業の募集

34 インフォメーション/編集後記 35

(3)

特集「応急手当普及啓発活動の現状と課題⑥

J

(詳細p.8)

+

羽 目

(4)

ユ ニ ー ク な 講 習 実 施 一 覧 表

番号│ 実 施 日 受 講 団 体 名 1 I平成9年9月11日│関屋むつみ会 2 I 10年3月3日│特別養護老人ホーム 大和国白鳳 3 I 10年6月27日│西真美A子供会 種 別 救急 防火 防火 受講者数 30 40 80 4 I 10年9月21日│香芝市女性・家庭教育学級長会 │ 救急 100 5 I 10年11月18日│特別養護老人ホーム 大和国 │ 防火 40 6 I 11年2月19日│香芝高齢者学級生 │救急・防火 80 7 I 11年6月18日│子育て講座生 │ 救急 30 8 I 11年11月21日│三和小学校・幼稚園PTA 救急 30 9 I 11年11月23日│下回地区自治会 │ 救急 180 10I 11年11月29日│五位堂・香福高齢者学級生 │ 救急 150 11 I 12年 1月21日│香芝高齢者学級生 │ 救急 100 12I 12年2月18日│香芝高齢者学級生 │ 防火 100 13I 12年8月3日│香芝市婦人会員 │ 救急 35 14I 12年10月24日│香福・五位堂高齢者学級生 │ 防火 120 15I 12年10月25日│香芝市防火委員会 │ 防火 50 16I 12年10月26日│磯壁みつわ会 │救急・防火 30 17I 12年11月26日│畑之浦北住宅自治会 │ 救急 30 18I 13年 5月24日│近住仲良し会 │救急・防火 50 19I 13年7月13日│子育て講座生 │ 救急 20 20I 13年10月25日│香芝市防火委員会 │ 防火 50 21 I 13年11月15日│真美ヶ正ふれあいの会 22I 14年1月21日│鎌田幼小家庭教育学級 23I 14年2月8日│関屋家庭教育学級 24I 14年5月12日│逢坂自治会役員及び自警団 救急・防火 70 救急・防火 20 救急 20 救急・防火 50 25I 14年6月4日│ディサービス利用者及びスタッフ│ 救急 30 26I 14年6月10日│ディサービス利用者及びスタッフ│ 救急 30 27I 14年 6月14日│特別養護老人ホーム 大和国白鳳│ 救急 60 28I 14年6月25日│香福・五位堂高齢者学級生 │ 救急 120 29I 14年7月8日│香芝市婦人会員 │ 救急 50 30I 14年 7月26日│関屋第一寿光会 │ 救急 60 31 I 14年 8月27目│旭ヶE小学校家庭教育学級 │ 救急 100 合 計 31回 受講者数 1,955人

回目固固因

図目白目

企司会・進行の仲西課長 企 「旭ヶ

E

小学校家庭教育学級jの皆さん 企大きな声で歌おうよ! 4

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企防災クイズの様子

.

主示a圏

(6)

7

研 修 風 景

(7)

目指(より、救急行政の推進にあた り、ご理解とご尽力をいただき感謝 申し上げます。 さて、本年は救急業務、救急救命 士制度にとって新たな飛躍の年にな ろうとしています。既にご案内のと おり、去る七月一一一一日に開催され た、消防庁と厚生労働省との共催に よる第二回目の﹁救急救命士の業務 のあり方等に関する検討会﹂におい て、救急救命士の処置範囲拡大に関 する中間報告が取りまとめられまし た。同報告書では救急救命士の処置 範囲の拡大についての基本的方向や 当面の検討課題が示されています。 その骨子をご紹介しますと、救急救 命士の行う特定行為のうち、①除細 動については包括的な医師の指示の 下(同時進行性の指示なし)での除 細動を認める、②気管挿管について

は限定的に-認める場合の諸条件につ いて早急に具体化を図る、③薬剤投 与についてはその適否や一認めるとし た場合の諸条件について慎重な議論 をさらに継続する、こととされまし た。現在、検討会の各委員をはじめ 関係者の方々に、同報告において指 摘された諸条件を具体化し、今年中 に最終的な報告を取りまとめていた だくようお願いするなど、消防庁と し て 鋭 意 努 力 を し て い る と こ ろ で す 。 また、同報告でも指摘されている とおり、救急救命士の処置範囲の拡 大を行うにあたってはメディカルコ ントロール体制の整備が必要です。 消防庁としても従来その体制整備を 積 権 的 に 推 進 し て き た と こ ろ で す が、今回、あらためて、厚生労働省 とともに、各都道府県知事に対して 争巻頭のごとぱ

総務省消防庁長官 メディカルコントロール協議会の設 置 促 進 に つ い て 要 請 し た と こ ろ で す 。 メ デ ィ カ ル コ ン ト ロ ー ル 体 制 は、救急救命士の処置範囲拡大に関 してのみならず、将来にわたり、救 急業務の更なる高度化を図っていく 上で重要な役割を担うものです。治 初と医療関係者との連携の下で、メ ディカルコントロール体制が全国的 に整備され機能することにより、救 急救命士への国民の期待に十分応え ることが可能となると考えておりま す 。 一方で救急救命士の養成と運用の 促進も重要な課題です。平成一四年 四月一呂現在の救急救命士運用隊は 二、八八四隊、全救急隊の約六三% となっています。消防庁としては、 早期に全ての救急隊において救急救 命士が運用されるよう、引き続き、 救急救命士の養成や高規格救急自動 車をはじめとする資機材の整備に努 めてまいります。 以上のとおり、消防庁としては、 国民の信頼と期待に応え傷病者の救 命率の一層の向上を図るため、厚生 労働省とも連携を図りつつ、今後と も、救急業務の一層の充実と高度化 に積極的に取り組んでまいります。 全国の消防本部、救急救命士を含む 救急隊員の皆様におかれでも知識・ 技能の維持向上にこれまで以上に積 極的に取り組んでいただくようお願 いする次第です。 終わりに、わが国の救急業務、救 急救命士制度の新たな飛躍と、関係 各位のご健勝、ご発展を心から祈念 して、私のご挨拶といたします。

(8)

ク ロ ー ズ ア ッ プ

重輔

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瞳量購

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香芝@匹醸消防組合消防本部を取材して││

文 l l 編集室 奈良県の北西部、奈良盆地の西端に位置し、大阪と奈良を結ぶ交通の要衝として発展してきた 香 芝 市 。 今回訪れた香芝・広陵消防組合消防本部では、子供かうお年寄りまで市民に幅広く救急業務や 応急手当を理解してもううために﹁ユニークな救急講習﹂と題した講習会を実施している。落語 あり、クイズあり、ギター演奏ありと一風変わったこの講習会は、応急手当の普及雷発を目指す 消防側から市民へのアプローチの方策として全国的にも大変珍しい取組みである。﹁ユニークな 救急講習﹂開催の経緯、その効果、今後の展望などについてお話をうかがった。

盟ユニークな救急講習輔

1 1 最初区、この﹁ユ一丁クな救急講習﹂を 始めるようになっだきっかけ巴ついてお聞か せ < 、 だ さ い 。 仲西五年前の平成九年の秋ごろから、福祉 で消防をやろうという話が出ました。しかし、 自治会などに救急や防火の話をしに行っても 参加者が少なくて、一、

000

世帯もある大 きな団地に出向いて行っても、役員さんも入 れ て こ

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人しか集まらないなんてこと もあったんですね。そこで、何か面白いもの を取り入れることによって一人でも多くの人 に足を運んでもらいたい、という願いからこ の講習会を始めました。 ー l l 参加者はどのよう巴募っているのです か 。 仲西最初は広報誌に載せたこともあるんで すが、去年の秋ごろからは口コミで、﹁そん なに面白いものならうちでもやってもらえな いか﹂ということで依頼の数が増えまして、 8 救:患救命第9号 飯敦則田 員井敬夫

西

一 か 月 に 四

1

五回という月も出てきました。 今日は救急を中心にやりましたが、防火を 中心に行うときもありますし、防火と救急を 両方行うときもあります。どういう内容にす るかということは依頼される方に決めてもら いますが、どちらかというと救急をテ

l

マ に した方が希望が多いですね。 -i 回数、か多くなると出し物のネタを老えだ りするのち大変、だと思うのです、か、練習など はいつやられているのですか。

(9)

仲西それが一番問題なんですよ。クイズに しても落語にしても、二回三回と受けてもら っているところもありますので、これは前に やったから新しいネタを考えないといけない な と 。 るものをやるという方法で行っています。

普通救命講習会への橋渡しとして

1 1 2 この講習会を開催して、どんな効果、かあ り ま し だ か 。 飯田やはり救急の講習会は難しいイメージ を持たれているんですね。話の中身をできる だけ分かりゃすくするようには努めているん ですが、どうしても医学的な話などはお経を 聞いているような感じで聞いておられると思 うんです。特にお年寄りは消防というところ に行くだけでも抵抗を示される場合がありま すので、その部分を除いてあげて、和 やかな雰囲気の中で落ち着いた気持ち で話を開いていた、だいて、﹁あのとき そういえば落語と一緒に救急の話を聞 いたな﹂と少しは印象に残ってもらえ ればいいかなと思ってます。 仲西ある自治体でこの講習会をやら せてもらった時に、最後に﹁どうでし た﹂と聞いたら﹁今日は寝ておる人お らんかったな﹂と言われて、それが印 象に残っているんです。いつも寝てい る ん だ な と 。 防火の講習会ではビデオを写した り、はしご車を持っていったり工夫を 凝らしてはいるんですが、はしご車を 持っていっても乗せてくれないと分か ったら参加者が集まって来ないんで 今日は防災ヘリのクイズを出しましたが、 県に一機あるということも皆さん知らないん ですよ。そういう消防の

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も兼ねながら、 マンネリ化しないように考えてやっています。 練習は、ほとんど個人のレベルです。この 講官会も仕事ですが、日常の業務を放ってお いて練菅するわけにもいきませんので、みん なで集まってやるというよりは、個人ででき ~Á. ユニークな 救急講習の様子 す。応急手当の講習会では人形を相手にして くださいと言ったらみんな引いてしま、つんで すね。だから我々はおもしろおかしくやって 多くの人たちに足を運んでもらって、救急の 実情とか消防の実態を地域の方々に分かって いただくことが大切だと思、つんです。 飯田この講習会に参加した方が家庭に帰っ て、おもしろかったから隣の人に教えてあげ ようとか、今日こんなことをしてきたよとい う話をされる中で、﹁救命講習会﹂というも のがあるということを多くの人たちに分かっ てもらう、それが僕らの目的ですね。 広報誌でお知らせしてもどうしてもカタい A笑いあふれる会場内

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実施日 団 体 名 受講者数 1月 8日 健康運動普及推進員養成講座 24 1月18日 香芝市婦人会磯壁支部 10 1月25自 香芝市婦人会瓦口支部 10 2月 58 健康運動普及推進員養成講座 19 2月 9自 香芝市婦人会別所支部 12 2月26日 香芝市婦人会鎌田支部 6 3月16日 香芝市婦人会平野支部 8 4月 7日 香芝すみれ塾 36 4月29白 六道山自警団及び婦人会 16 5月 7日 香芝市中地区民生児童委員協議会 26 5月17日 香芝市学童指導員 24 6月 2日 馬見中1丁呂自治会 9 6月 7日 特別養護老人ホーム大和圏白鳳 25 6丹市白 香芝西中学校生徒 102 6月20日 香芝北中学校生徒 118 6月30日 タイガー警備保障株式会社 89 実施国体 16団体 修了者数 534名 平成14年上半期普通救命講習実施状況 表現になってしま、つんですよ。こういう場を 設けて、やわらかい雰囲気で聞いていただい て、救命講習もひょっとして面白いんじゃな いかな、良いこと教えてくれるんじゃないか なと、そう思っていただくことが大切なんで あって、ここで手技や医学的な説明をするの が目的ではないんですね。

応急手当の普及啓発に向けて

ーーユ一丁クな救急講習のほか区、応急手当 の普及に向けて取り組まれていることは何で す か 。 仲西香芝市には四つの中学校があるのです が、市の教育委員会からの依頼もありまし て、三年生全員に普通救命講習を受けてもら っています。授業時間内に講習を入れ るのは学校の方も難しいようですが、実 際にやってみると覚えが早いんですよ。 飯田僕らもあまり中学生って興味を 持っていないかなと思っていたんです が、これが熱心で手技の飲み込みも早 いんです。一、二回指導すれば僕らよ りもうまくやれる子もいますからね。 仲西学校によってはクラスごとに行 うところもあれば、三年生全クラス一 斉に行うところもあるんですよ。一斉 に行うときは訓練人形が足りませんの で、消防学校に借りに行ったりするん で す ね 。 そういった意味で、当組合としても 力を入れていますので、中学生に命の大切さ を理解してもらって、応急手当を覚えてもら えたらありがたいです。 ー ー ー 学 校 以 外

C

も企業などからの依頼はあり ま す か 。 去年、数は少なかったんですが、ガソ リンスタンドに声をかけて、従業員の方に普 通救命講習を受けてもらい、普及啓発用のパ ンフレットを給油に来る人に渡してもらった ことがありました。 員井現在の取組みとしては、小さい事業所 や庖舗のなかで一人からでもバイスタンダー を育てようということで、各庖舗、事業所か ら参加者を募って消防署で日を設定して講習 イ 中 西 会を聞いています。 一

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名ぐらいの会社で一気に一

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名という のは大変ですが、銀行とか庖舗関係とか、全 員は無理だけど一人ずつだったら出せますよ ということで、毎年五

01

O

名ずつ来てい ただいています。 これは管内の広陵町の方で始めたのですが 結構好評で、これと同じように香芝市の方で も今後実施しようかなと考えています。 救 怠 救 命 第9号 10 ー

l

i

応急手当の普及巳向けて熱心巴取り組ま れているようです、か、実際巴救命講習受講者 の万の奏功事例などはありますか。 飯田先日、心肺停止の患者さんの現場に出 動したんですが、実際に講習を受けてバイス タンダ

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をやられていた方がいまし た。しかし、全体としてみれば、実際にやっ ていただいている現場は少ないのが実態です。 私たちが出動してバイスタンダ

I

に出くわ すのも年間二

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件あればいい方で、その中で 講習会を通じて手技を習ったと言われるのは 五

1

六件の数ではないかと思います。倒れて いる人を発見したら応急処置とはいかないま でも、せめて一一九番に通報してあげると か、観察をしてあげるとか、そこまででもい いからやってもらおうと普及啓発をしている ん で す が ・ ・ ・ 。 翼井その段階に応じて、ある程度の効果は 望めたであろうという事例は何件かあるので すが、いわゆる社会復帰とか、退院されて歩

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いて自宅までという奏功事例は今までないで すね。パイスタンダ

l

の数は若干でも右上が りに増えていますので、徐々に効果は上がっ ていくのだと思いますが、今のところはまだ 大きな効果が出ていません。 1 1 普通救命講習受講者の数は増えているの に実際巴バイスタツダ

i

の 奏 功 事 例 、 か 少 な い のは、どのあだり巴問題があるとお考えですか。 仲西今日の救急講習会の事前質問にもあっ たのですが、テレビや新聞で感染についての 特集なんかを見ると、やっぱり見知らぬ人に 応急処置をして、感染したらどうしようと不 安に思ってしまうようです。 飯田住民の方は確かに興味はあると思、つん ですよ。ただ、いざ講習会に足を向けようか という段階になると、なかなか向けにくいら しく、特に官庁関係に行くというのは抵抗感 があるみたいなんですね。そこを和らげてい かない限り普及率は上がっていかないだろう し、いくらそれを紙面で訴えたところで、そ れだけの効果は期待できない。だからこうい う場を生かして、できるだけ身近な感覚とい うか、住民の方と分け隔てのない密接な関わ りの中で救命の重要性を訴えることができる ならばそれに越したことはないと思いますね。

救急医療体制の現状と課題

││次に、香芝市の地域特性や、救急の特徴 な ど 巴 つ い て お 聞 か せ < 、 だ さ い 。 由民井周辺には幹線道路が結構走っているの で、香芝市の場合は交通量がかなり多いです ね。ですから交通事故の割合が高いんです。 それに伴う死亡事故の発生率も高くなってい ますから、当然重症事案が多いということに な り ま す 。 仲西それともう一つ、香芝市は大阪府のベ ットタウンとして栄えていますので、大阪か ら越されて来る方が多いんですよ。ですから かかりつけが大阪の病院という方が結構いら っしゃって、大阪の病院に運ぶことが多いの も特徴ですね。 1 1 1 大阪の病院まで運ぶとなると、 の問題はありませんか。 搬送時間 飯田専門的な病気をもたれていて、その病 院しか手段がないという場合は搬送していま す。ただ、患者さんの状態によってはそこま でもたないという方もいますので、そういう 方には説得を試みて、できるだけ近くの病院 に搬送するようにしています。それが救急の 原則ですから。 仲西香芝の西にある高速道路を通って、五 j 一

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分で大阪に入ってしまうので、距離は 長いけれど時間的には高速道路を行けば結構 早いんです。近くには奈良県立医科大学病院 があるんですが、信号があって、交通量も多 いですから、実際近くにあるようでも昼間走 っ た ら 二

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分ぐらいかかるんです。それなら 高速で行った方が距離は長いけれど、時間的 A救急救助課仲西課長 にはそんなにかからないという事情があるん で す 。 ー

l

重症事案が多いということですが、こち らでは搬送先病院の選定基準として重症度・ 緊急度の判断はどうなさっていますか。マニ ュアルを作成されているのでしょうか。 民井当組合では細かな基準は定めずに、す べて救急隊長の判断に委ねられています。今 は救急車内から救急隊員が病院選定するとい う流れですが、特別な依頼がない限り、病院 選定は救急救命士の判断ということで進めて い ま す 。 飯田マニュアルを作ってしまえばマニュア ルに縛られてしまうんです。重症度とか緊急 度は現場の救急隊長の判断、それに勝るもの

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はないと思います。 実際現場で見ている状態から判断して病院 を選定するのがベストであり、それをマニュ アルで縛ってしまうと、その順番でしか運べ なくなってしまいます。日で見えないところ に隠されている部分は疾病にしでもあると思 うんですよね。それは実際現場でしか体験で きないものですし、現場の直感ですよ。 異井医療機関の数とか地域性もいろいろあ りますからね。二次医療機関へ搬送したら転 送になった場合なんかも実際ありますが、そ ういった時には内部で事後検証したときに注 意しあって、経験的に若い隊長には次回の救 急事案から気をつけるよう指導しています。 飯 田 病 院 側 に は 悪 い で す が 、 で き る だ け オーバートリア

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ジで連絡させていただいて いるんです。実際に救急隊長の判断で三次医 療機関に運んでもっこ次対応ではない﹂と言 われることもありますが、可能性としてある 以上は最善の手配をするのは当然ですし、そ ういう形で隊長に任せています。 ーーー管内の医療機関の状況はどうなっている の で す か 。 A救 急 救 助 課 飯 田 主 任 員井三次医療機関は、近くにある奈良県立 医科大学の救命救急センターと奈良市にある 奈良県の救命救急センターがあります。しか し、この管内には二次医療機関が一筒所しか ないんです。人口は一

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万人ですが一箇所し かない。それも三 j 四年前にできて、それま では一切なかったんです。ですから、管外に 搬送する患者さんが圧倒的に多かったんです。 飯 田 管 内 に 一

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万人近くも人口があって、 二次医療機関が一箇所しかないというのは全 国的にみてもめずらしいと思、つんですよ。で も、残念ながらそういう病院がなかなかでき ないんです。 員井一筒所しかないわけですから、当然そ の病院に集中するわけですね。 そこで幸い管内ではないんですが、近隣で 四 j 五箇所の二次医療機関がありますので、 そちらに搬送するようにしています。搬送時 間等は特別に長くはないです。全国平均より は逆に短いんじゃないでしょうか。 救 急 救 命 第9号 12 A救 急 救 助 課 員 井 係 長 ーーーいろいろと救急医療巴関する問題も多い ようです、か、指示体制など、実際巴活動され ている中で何か問題はありますか。 虞井ここでは奈良県立医科大学病院の救命 救急センターとタイアップして指示をもらっ ています。それだけで支障があるかという と、今まで五 j 六年間やってきましたが、ま ったく支障はないですね。常に二四時間医師 が座っておられるので、私たちが今までやっ てきた中で指示体制に困ったことは全くない で す 。 一般病院の医師の中には救急に理解が乏し い方もいらっしゃいますが、救命救急センタ ーの医師たちは救急隊員の活動にかなり理解 を示していただいています。

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││それはいわゆる顔の見える関係というこ と で す か 。 員井特別顔の見える関係ということじゃな いんでしょうが、当然名前の分からない先生 もいますし、研修医が電話に出る時もありま す。指示をもらうときには逆に世間話もでき ないので、組合の名前と救急救命士の名前が はっきりしていれば、ある程度了解は得られ るようにはなっています。 顔の見える関係作りという点では、私たち が開催するいろいろな研修会で救命救急セン ターの先生方にご協力していた、だいています し、逆に先生方が開催される学会には消防側 からも参加するようにしています。また、ど V通信指令室の様子 この地域でもやっていると思いますが、奈良 県でも三年前から救急救命士等の勉強会を開 催していまして、県内二箇所の救命救急セン ターの医師に幹事になっていただいていろい ろとご指導いただいています。

覇救急救命士を

目指す職員巴対する教育瞳

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最近、研修所巴入所してくる研修生のレ ベルガ話題

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なっていろいろ議論されていま すが、救急救命士を自指す職員の方む対し て、先輩救命士として何か取り組まれている ことはありますか。 飯田私は救急救命士になる前は通信指令室 の中にいたんですよ。署に異動してから救急 に配属になって救急救命士って面白そうだな と。しかし、いざ研修所に入ってみると、私 は全く現場経験がなく、医学的な知識のかけ らもないような状態から行っていますので、 スタートラインから全く違、つんですよね。い ざ研修所に入った時点で差があるなと私自身 十分身をもって感じましたし、現場経験があ る人や入所前から勉強してきている人たちと 同じレベルまでいこうとするには、相当な苦 労がありましたね。 真井私が一番最初だったんですが、その時 は全く何も分からなかったんで大変な状態で した。でも今は救急救命士が十数名いますの で、先輩としてどういうところを勉強してお いた方がいいよとかいろいろなアドバイスも 行っています。また、入所前には、一年 j 一 年半の準備期間をとって事前学習に当ててい ま す 。 そういった意味では、正式な育成計画とい ったものはありませんが、先輩から後輩への 指導という点ではうまくいっていると思います。 飯田最近の若い人の中には救急に興味を持 ってくれる人も結構いますんで、ありがたい なと思っているんですよ。 仲西救急救命士を目指す若者が消防学校を 出て戻ってきて、必ずしもすぐに救急に配属 されるとは限らないんですね。こういった組 織ですから、ポンプ車にも乗らなければいけ ないし、何でも屋的な働きが求められるんで す。しかし、年数が経って研修所に行けるよ うになるまで、その者が救急救命士になりた いという気持ちを持ち続けられるようにする のが自分たちの責任であると思っているんです。 111 最後に、合後の展望をお聞かせくださ ー し 仲西将来的にはもっと多くの救急救命士を 養成して、指令室はもとより、救急救命士の 資格を持った救助隊員を配属して事故現場に 一緒に出動するというような体制を整えて、 救命率の向上を図っていきたいと考えています。 ーー今後のますますのご活躍巳期待していま す。本日は長時間巳わだりあり、かとうござい ま し だ 。

(14)

覇基礎医学講瞳

ー包括的な外傷システムの構築に向けて

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時甥

馴 ↑ 一 切 立 ン ヂ 貝 府 セ

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川 阪 急 日 大 救 f J 救 j i 外傷患者に対する診療の質向上には、ごく 早 期 の 対 応 が 重 要 な こ と は 一 一 一 日 う ま で も な い 。 診療の質の保証は、司

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丘 町 ( 救 命が可能であるはずの死亡)や失わずに済ん だ機能不全を無くすことで達成される。これ には受け手となる医療機関の診療機能に大き く依存するが、同時に、 発症から病院到着までの 病院前救護のあり方と医 療機関選定が鍵を握って いる。外傷患者特有の病 態と治療の特殊性を考慮 すれば、必然的に救急現 場から手術室までの包括 的な外傷医療システムの 構築が急務である。その ためには病院前救護から 急性期診療に至る標準化 されたプログラムの存在 が必要である。最近、こ ういったプログラムを普 及させるために行われて いる各種研修コ

l

スがあ る 。 はじめに 今回、包括的な外傷システムの構築に不可 欠である標準化プログラムに言及しながら、 外傷救急の本質に迫ってみよう。 生命の仕組みと外傷患者の救命 図 1 に示すように、生命は大気中の酸素を 体内に取り込み、全身に酸素を供給する一連 の作業によって維持されている。ことに中枢

ヒ づ グ

酸素の取り込み 生命の仕組み 園1 (病態) 神経への酸素供給が維持されることで、呼吸 の命令(自発呼吸)が発せられ、呼吸、循環 を介する生命の輪が形成されている。この輪 のいずれの部位が障害を受けても、生命維持 は直ちに困難になる。 外傷後、呼吸や循環が損なわれると命を落 とす。そこで最初に呼吸や循環の回復が急務 となる。呼吸を維持するには酸素投与、気道 の確保と補助人工換気が中心をなすが、とき に頚部・胸部に対する手術が必要となる。循 環異常の大半は出血によってもたらされる。 迅速な止血と輸液・輸血療法が必要で、マン パワ

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と設備の整った手術室等が必要とな る。鑑別すべきショックとして心タンポナ

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デと緊張性気胸のあることは言うまでもな い。この場合、的確になされた心嚢穿刺や胸 頭蓋外二次損傷 “ABCの因子" +低酸素血症 +高・低炭酸ガス血症 + ショック 呼吸管理:気道の開放、酸 素投与、適切な換気。 循環管理:止血、輸液療法、 閉塞性ショック*の解除。 → 病 院 前 か ら 可 能 な 処 置 が多い。 手術療法 →唯一、医療機関内でしか 処i置できない。 →病院選定と時間が重要 救:宗救命第9号 14 図2 頭蓋内損傷の病態と救命処置 脳組織は初田の外傷で回復不可能な損傷を受けるが、血腫の存 在による周囲の圧迫(頭蓋内二次損傷)や低酸素血症などによ って著しく障害される(頭蓋外二次損傷)。前者は医療機関で しか治療できないが、後者は病院前救護から適切な処置が可能 である。外傷といえどもiji&~ま「呼吸と循環の維持j で救われる O (* :緊張性気胸や心タンポナーデを指す。)

(15)

腔ドレナ I ジが命を救う。脳が直接損傷を受 け、生命維持を図難にすることもまれではな い。血腫を形成する損傷なら手術療法を必要 とするが、脳組織の一次損傷に対しては決定 的な治療はなく、唯一、呼吸と循環を維持す ることが治療の基本となる(図 2 ) 。 観察と処置(治療)の話離 医師はもちろん、各職域の医療従事者は外 傷患者の観察と処置の教育は受けている。救 急救命士を含む救急隊員も例外ではない。例 えば、救急隊員は気道閉塞、フレイルチェス ト、緊張性気胸、心タンポナ

1

デ、腹腔内出 医療従事者の資格と観察の場所が救命処置を限定する 救命に必要な処置・手術 救急隊員 現場の医師 医療機関の医師 酸素投与

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気管挿管 ×

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補助換気 。*1

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外出血の止血 。本2 0*2

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手術等での止血術 × ×

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輸液療法 ×本3

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輸血療法 × ×

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胸腔穿刺・ドレナージ ×

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心嚢穿刺 × 。本4

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関頭血腫除去術 × ×

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表1 *1 マスク換気。 *2:圧迫止血が中心で本格的な止血は困難。 *3:救急救命士 より心肺停止時にしか行えない。 *4:ポータブル超音波診舗装置を有している 場合のみ診断が可能。 血など致命的な外傷の病態や損傷に関して十 分な知識を持っている。観察からそれらの存 在を疑うことが可能であっても、ほとんど満 足な救命処置ができない。また、たとえ医師 といえども現場では諸検査や医療資器材に限 界があり、手術を含めて大がかりな処置がで きない。せいぜい米国間云、 H J H ) R m w B 包片のレ ベルに留まる(表 1 ) 。最終的に、外傷患者の 救命には医師と十分な医療設備の存在が不可 欠 と な る 。 急性呼吸不全なら一刻も早い現場での酸素 投与が救命を可能にする。ここに、重度外傷 患者には急性疾病とは異なる医療上の特殊性 がある。したがって、病院前救護においても 次に述べる相違点が生じる。 病院前救護における外傷の特殊性 病院前救護のあり方には、蘇生を優先し現 場に留まることを許容する E 望 者 侍 立 ミ 3 の 理論と、現場では最小限の処置に留め搬送時 間の短縮を優先する E

80uhrE ロ コ の 理 論 と が存在する。例えば、循環器の急性症では早 期の心調律の回復を最優先し、同)己紹

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︿ 吋 ¥ ︿ 喝 な ら 現 場 で 除 細 動 を 行 、 っ 。 E ∞ 片 山 可 h r H L

3 の代表例である。急性疾患の中には現場や院 外での診療行為を前倒しにする方が救命率の 向上を期待できる例が多いからである。しか し、内出血の止血など院外で根治的な処置の できない例では、迅速に医療機関に搬送する

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妥採用しなければならない。そ の代表が外傷である。ただし、外傷患者を一律 に E

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ロ 3 で規定することはできな い。そこで、生命危機の状態を把握し、直ち に搬送開始の決断を下すように、二疋の基準 を設けるのが理想的である。また、時間を短 縮するために省いてよい処置と逆に行わなけ ればならない最小限の処置を指導する必要が ある。こうして生まれた搬送決断の基準を近 年 、 E -。 包 弘 仲 間 。 3 ( 以 下 、 E F 除。 3 と表記)と称 して隊員に指導している。特に、我が国では 同 玄 吋

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包片ほども処置範囲が多くない ことから、より厳しい条件となる。 注意すべき点は、 EFF のゆが次の三原則を守 ることで支えられることである。 川病態を的確に判断する、とくに生命危 機 を -評 価 す る こ と 。 同適正な医療機関を選定すること。 同迅速に救急搬送すること。 ここで重要なのは適正な医療機関の存在で ある。我が国では救命救急センターを中心に その任を果たしているが、・本来、米国のよう な階層化された外傷センターが存在してしか るべきである。今後の課題の一つである。 病院前救護と医療機関に共通の考え方とこ れを制度化した体制ができてこそ質の保証さ れた外傷医療となる。このため、医師、医療機 関と救急隊員、消防機関の双方に対して、整合 性のとれた共通プロトコ I ルが必要となる。 外傷患者を観察する共通性 患者観察には隊員、医師にとって共通の理 論がある。その要点は生理学的徴候の異常か ら生命危機を評価、これを迅速に回避し、加 えて二次損傷を引き起こさないことである。 この原則は当然、最初に傷病者に接する救急 隊員にも当てはまる。しかし、院外であるた め医療資器材には制約があり、さらに、医療 行為が行えず、処置にも限界がある。このよ

(16)

うな厳しい条件があるからこそ、様々な工夫 を凝らし、最良の方法を探る努力がなされて い る 。 例えば、生命危機のチェックを医療機関で は

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と 呼 び 、 気 道 川 問 、 換 気 回 、 循環例、中枢神経倒、脱衣と体温保護側を短 時 間 に 行 、 っ 。 こ れ を ﹁ ﹀ 切 の り 開 ω ア プ ロ ー チ ﹂ ともいう。生命危機を把握すれば医師は直ち に蘇生に取りかかる。現場での初期の観察も 同様であり﹁初期観察(初期評価)﹂と呼ば れる。気道の異常、ショック症状などを認め れば、余計な観察は省き直ちに搬送を開始す る ( 図 3 ) 。なぜなら、隊員が行える処置は簡 便な方法による気道確保、補助換気、酸素投 与、開放性気胸の処置、プレイルチェストの 生命危機のチェック (Primary survey) 生命危機のチェック (一次検索) -ABCDEsアプローチ →蘇生に必要な損傷検索 (身体、 X線、 FAS T) @初期評価 (DABC) @致命的損傷の検索 (簡易な身体所見) │ 蘇 生 │ 1L&G │三次医療機関│ 圧迫固定法、外出血の止血などに限られてい るからである。したがって、 E F 除 。 リ リ と な る わ けである。医療機関では﹁﹀切のり開 ω アプロー チ﹂の異常から、胸部

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腹腔内出血、心タンポナ

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デ、血胸を 検索する超音波検査)を駆使して致命的な損 傷を見つけ出し、直ちに蘇生に結びつける。 しかし、現場ではたとえ致命的な損傷が存在 していても、バイタルサインと意識レベルの みでは危険を察知できないことがある。その ため、二疋の重篤な損傷を体表から観察する よう教育している。これを簡易全身観察(迅 速全身観察)と呼ぶことが多い。これは後に 述べる病院選別基準の∞

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の損傷を見つ け、生命危機を先んじて予測する作業である。 治療を必要とする全身の損 傷検索 (Secondary survey) 生命危機に関連しない全身 の損傷検索 (二次検索) @受傷機転、病歴 @受傷機転、病歴 @身体所見、検査 @身体所見 @継続した観察 ;転送の判断│ │損傷に応じた本格的治療│ @継続した観察 │損傷に応じた病院選定│ 図3 病院前救護と診療の共通点と相違 外傷観察の流れはほぼ向様である。最初のステップ(一次検索またPri -mary survey)はいずれも生命危機をチェックする作業であるが、生命 危機に対して現場では搬送開始を、医療機関では蘇生を開始するO 現場 では初期評価で生命危機を認知できなくても、生命危機を予測させる致 命的な損傷を検索する手順を追加させているo (詳細は本文参照) 生命に危険がないことを確認すれば、全身 のどこにどのような損傷が存在するかを検索 する。これを医療機関では

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と呼ぴ、詳細な病歴や受傷機転の聴取と系統 だった身体所見からなる。種々の諸検査を利 用することも可能である。最終の目的はどの ような治療が必要かを判断し、処置すること にある。一方、現場では諸検査以外の手順は 同じであるが、その目的は医療機関の選定に ある。不明な場合は、助言や指導を受けるべ きであろう(メディカルコントロール)。 病院前では救命的な処置に限界があるた め、搬送開始の判断と迅速な搬送そのものに 期待することになる。この際、最も強調すべ き点が二次損傷の回避である。二次損傷には 酸素化や循環を悪化させることで中枢神経を 一層障害する生理学的な要素と、患者を愛護 的に扱わないために生じる解剖的な要素とが ある。気道確保、酸素投与、外出血の止血な どは、救命的処置であると同時に二次的脳損 傷回避の目的がある。また、頚椎外傷の否定 できない症例に対し、一頚髄損傷の増悪をきた さぬよう頚椎カラーを装着するのは当然であ る。背面を観察する際でも、脊椎外傷が潜在 する可能性を考慮して、円。悶

1 5

-法を行う点 も院内診察と同様である。さらに、脊椎全体、 四肢の安定化と搬送時の二次的身体損傷を回 避する工夫として、ロングパックボ

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ドの使 用が推奨されている。ただし、ロングバック ボ

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ド使用に際し、頭頚部の固定が気道の確 保よりも決して優先しないことを十分認識す べ き で あ る 。 救 怠 救 命 第9号 16

(17)

院外で行う重症度評価は、初期診療で医師 が行う理論と同様である。評価に用いる指標 とその優先順位も同じであり、川生理学的徴 候の評価、同身体所見からの損傷評価、同受 傷機転、同傷病者の弱点(高齢、妊婦、病歴な ど)の順である。この評価基準をもとに、対 応可能な医療機関が選定される(図 4 ) 。この 選定基準は基本的には三次救急医療施設への 搬送適応を規定するためのものであるが、先 に述べたように地域によっては、これに匹敵 する機能を有する病院へ搬送してもよい。こ の基準を遵守するとオーバートリア

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ジとな り、収容側の医療機関に過分な負担を強いる が、オーバートリア I ジでないと救命できる 機会が少なくなる。逆に、アンダートリア I ジ では確実に

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﹃庶民﹃が増加する。 迅速な搬送 迅速な搬送は、収容依頼に対する医療機関 の対応と搬送手段の選択などに大きく依存す る。収容依頼を迅速にするには、隊長自らが 医師と直接交信し、簡潔に重要な情報を伝え ることである。継続した交信も重要で、必要 なら助言、指導を受ける。搬送手段をうまく 選ぶことも時間の短縮化につながる。地域に よりヘリコプターの活用も考慮する。医療行 為を前倒しする方法としてドクターヵーやド クターヘリも活用すべきである。 標準化プ

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グラムと研修コース 前記のような内容を整理し、標準化プログ ラムとして普及させるために、研修コ

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ス が 存在する。米国では外傷救護の標準化教育プ ログラムとして救急隊員向けに出叶戸

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付 可

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ピ 向 。 ∞ 己 円 ) ℃ 。 丘 ⑧ ) があるが、我が国では諸般の事情から導入が できず独自のコ

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スがある。日本外傷学会と 日本救急医学会とで開発中の標準化プログラ ム で し ﹁ ﹀ 寸 開 。

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同 ︿ 山 宮 内 拝 芯 ロ 自 己 ! の 向 。 ) と 称 し て い る 。 我 が 国の隊員向け研修コ

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ス に は 、 回 同 J H k m w を参考に実状に適合させた司寸(リ﹄

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式に日本に導入された出寸戸∞があ る。現在、各組織の連携を図り、医学 的根拠に基づくプロセスの確立、用語 の統一、啓発活動の推進などを調整す る場として日本救急医学会に司寸宍 U

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何 ︿ 丘 ロ 巳 芯 ロ 俸 の向。)委員会が設けられ、我が国の 病院前外傷救護標準化プログラムとし て進化、発展させる努力を行ってい る 。 さ ら に 、

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吋開。との整合性を図 る努力も重ねている。 おわりに 救急医療に占める外傷の頻度は決し て少なくない。ようやく最近になっ て、外傷医療に関して病院前救護や初 期診療の手順を標準化する動きが見え 始めた。標準化プログラムとは推奨す べき一つのお手本を示すものであっ て、他の方法を除外するものではな い。状況に応じた多くのオプションを 許容してこそ広く受け入れられる。そ の目標は日本中どこでも外傷患者に対 して良質の医療を提供できるようにすること である。とくに、

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を防ぐ ことである。医学や医療制度は変化するもの であり、したがって標準化プログラムも日々 更新されることは一言うまでもない。 将来、外傷に特化した救急医療体制、包括 的な外傷システムを構築するには標準化プロ グラムと研修コ

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スの展開は急務であろう。 (なし) 注釈

St巴p1では、傷病者の観察開始 時に「気道閉塞、呼阪の異常、シ ョック、窓識低下」のみで“L& G 観察では、示した数値が基準とな る。 .St巴P3,4で該当し、病院選定に 苦応する場合、医師の助言、指導 を受けるのがよい(MC:メデイ カルコントロール) 5歳以下の小児 高齢者 妊 婦 'l).呼吸器疾患を治療中 インシユリン投与の患者 肝硬変 極度の肥満 由友病など出血傾向 (口の何れか一つに チェックあり) し) (口の何れか 一つにチェックあり) (なし) 口 以 下 の 歩 行 者 ・ 自 転 車 事 故 8km/時の事故 はね飛ばされ、蝶週 日 以 下 の バ イ ク に よ る 事 故 32km/時以上の事故 バイクか5投げ出され 6m以 上 か5の 墜 落 口 口 口 口 口 自 口 口 増大する頭部の腫張 奇異呼吸(フレイルチェスト) 開放性気胸 増大する頚胸部の皮下気腫 骨盤の動揺(骨盤骨折) 上腕・大腿に2本以上の骨折 四肢の蝶断 四肢麻痩 遠位四肢を除く鋭的損傷 外傷と熱傷の合併 開放性頭蓋陥没骨折 にチェックあり) 口 同乗者の死亡した自動車事故 救 出 に20分以上要した自動車事故 車外に放出された自動車事故 車の横転事故 64km/時以上の衝突事故 50cm以上の車体変形がある事故 30cm以上のコックピットの凹み 口 口 口 口 口 口 口 口 口 口 口

ロ 重症度評価と病院選別の基準の参考例 図4

(18)

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こわれて消えだ

玉﹂という曲がある。 今日でも歌われている童謡に﹁しゃぼん しゃぼん玉 とんだ 屋根までとんだ 屋根までとんで こわれて消えた 野口雨情作詞・中山晋平作曲。子どもたち がしゃぼん玉遊びをしている光景を歌った一 見たわいもない歌である。 しかし、二番は﹁しゃぼん玉 ばずに消えた/うまれですぐに/こわれて消 消えた/と え た ﹂ である。これもしゃぼん玉がうまく飛 ばなかったときの光景を歌ったと受けとれる

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のち観

一 一 授 閉 口 均 一

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ト プロフィール たっかわ しょうじ 医療史専攻。文化史-生活史 の 視 点 か5病 気 ・ 医 療 を 追 究。主な著書に、『病気の社 会史j(NHKプ‘ックス)

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歴 史紀行・死の風農.J (朝白新 聞社)

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臨死のまなざし.J (新 潮社)

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からだの文化誌j(文 護春秋)

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生と死の現在j(岩 波書居)

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日本人の死生観j (筑摩書房)など。 が、じつは、この歌詞の背後には作詞者野口 雨情の長女が生まれてすぐに死んだという、 悲しい思いが秘められている。 屋根まで飛んで、 いのちを全うするしゃぼ 救 急 救 命 第9号 18 ん玉もあるが、生まれてすぐに死んでしまう しゃぼん玉もある。雨情は、しゃぽん玉に託 して、人のいのちを歌ったのである。 だから、最後に﹁風 ちをこわす風が吹かないように)、﹁しゃぼん 風 吹くな﹂(いの 玉 とばそ﹂と祈っているのである。 ところで、よく人のいのちは地球より重い といわれる。たしかに人のいのちの価値は何 物にもかえがたい重さをもっている。 いっぽう、人のいのちは地球のように重た くもなく、固くもなく、長くもない。人のい のちは、じつはしゃほん玉と同じように、軽 くて、こわれやすく、短く、もろくて、あや ういものなのである。九・一一の同時多発テ ロで見たように、いかに強固で安全を誇った ビルの中にいても、何千人のいのちが一瞬の うちにこわれてしまうのである。 いのちの大切さを考えるとき、まず、 しミ の

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ちというものは、しゃぼん玉のように、 し五 か にこわれやすく、短く、あやういものである かを知らなければならないのである。

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( 白 山 ) ﹂ ところで、詩人野口雨情はしゃぼん玉に託 していのちのこわれやすさを歌ったが、ここ ではもう一歩ふみこんで、 いのちをしゃぼん 玉にたとえて考えてみたい。 私たち現代人は、人のからだ(身体)は骨 を中心に内臓や筋肉、血管や神経がつき、皮 膚でおおわれていると考える。近代西洋医学 の解剖生理学的な考え方である。いわば、か らだを国体的・部品的に考える思想である。 それに対し、東洋や日本の伝統的な身体観 は人のからだを液体的・全体的に考える思想 である。たしかに人体は重量比で六五 j 七

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パーセントが水分であり、二

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パーセントの 水分を失うと生命は危険になる。 中国医学でいう経絡(ツボ)、また﹁気﹂ という考えは、からだを液体的(あるいは気 体的)また全体的に考える思想に根ざしてい る。たとえば、近代医学では病気はからだの 局所(細胞や組織)に存在しているが、中国 医学では病気はからだ全体を流れている。西 洋でも近代以前は身体は液体でできており、 いのちは﹁空気﹂であると考えていた。 もし、からだは液体とするなら、しゃぼん 水でできているしゃほん玉は人のからだにた とえることができる。 そして、その液体でできた球形の膜の中に 満ちているのは人の息である。この息によっ て、しゃぼん玉は生きて、屋根まで飛んでい くことができる。さらに、しゃぼん玉を飛ば すのも風つまり空気なのである。 人のいのちは、目に見える液体的なからだ (身体)と自に見えない白川(空気)によって で き て い る 。 医学の父といわれる古代ギリシアのヒポク ラ テ ス は 、 いのちの原因は空気(プネウマ) であるといい、体外の空気は大気(アエール) と呼び、体内の空気は気白川(ヒュ

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サ)と呼 んでいた。ヒポクラテスのい、っプネウマは中 国や日本でいう﹁気﹂の思想に近い。 江戸時代の貝原益軒は﹃養生訓﹄で、﹁人 の身は、気を以て生の源、命の主とす﹂とい いのちの基本は気であるという思 想である。だから養生(健康をたもつ)には て い る 。 なによりも気を養うことであり、そのために はからだを動かじて気を全身にめぐらすこと であり、息こそ人を生かす気であるから、患 を調えることが健康の基本であると説いてい る 。 しゃぼん水の液体と吹き込んだ息(呼吸) とのバランス、そしてしゃほん玉と風(大気) とのバランス、それがうまくとれてこそ、し ゃぼん玉はうまく飛ぶ (生きる)ことができ る 人も、液体的なからだと息に基づく気のバ ランス、それと外界(環境)とのバランスが うまくとれてこそ、 いのちを生ききることが で き る の で あ る 。

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救急救命士をめざす人たちへ

MESSAGE

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平成三年八月一五日に﹁救急救命士法﹂が施行 され、平成一三年四月一日までに消防機関の運用 救急救命士の数は九、四六一人、配置率は全国平 均で約六割となりました。この運用救急救命士の 数や配置率は、地域格差もあっていまだ充分では ないともいわれていますが、最近﹁病院前救護体 制のあり方﹂や﹁救急救命士の業務のあり方﹂が 盛んに議論され、病院前医療の質を確保するとい う視点から、メディカルコントロール体制の充実 強化が求められるようになっています。メディカ ルコントロールは、直接メディカルコントロール と間接メディカルコントロールの二つに分けられ ますが、私のように救急救命士の養成に関わるも のは、間接メディカルコントロールに含まれる﹁救 急救命士に医療人としての自覚を芽生えさせるよ うな教育﹂を、今まで以上に理解し、実践しなけ ればならないようです。 平成二二年三月の教育カリキュラムの変更にあ わせて、先日、大幅に改訂された救急救命士標準 テキスト改訂六版が発行されました。改訂五版 は、基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学 各論(臓器器官加、病態別、特殊病態)という構 成でしたが、改訂六版は、基礎分野、専門基礎分 野(人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の 過程、健康と社会保障)、専門分野(救急医学概 論、救急症候・病態生理学、疾病救急医学、外傷 救急医学、環境障害・急性中毒学)という構成に な り 、 A 4 サイズ八二二ページと大きく厚くなっ たものの、より救急救命士の教育に生かしゃすく なったように思います。私が気づいた範囲で改訂 六版の優れているところをもう少し詳しくあげま 守斤 Eコ 救急救命九州、│研修所教授

文 川 波

すと、臓器器官別という枠組みにとらわれずに病 態や症候からのアプローチが明確化されて救急救 命士の現場活動の実践により役立つものになった ところ、基礎医学系のパ﹀

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学 H という表記が減 ったことからも推察されるように救急救命士が搬 送途上に遭遇する問題と比べて詳細に過ぎていた 記述が幾分削除されたところ、基礎分野に科学的 思考の基礎や人間と人間の生活という教養学的な 記載が追加されたところ、救急医学概論に救命士 の役割と責任及び生命倫理がより明確に記載され たところなどでしょうか。 救急救命九州研修所(愛称一エルスタ九州)に は、半年毎に関東以西の自治体から二、 000 時 間若しくは五年間の救急業務経験者二 O O 名が集 まり、研修生として専門的な医療知識や高度な救 急救命処置を学んでいます。研修生には、事前に 救急救命士標準テキストを熟読し、救急救命処置 の基本ともいえるバッグバルブマスク手技や心肺 脳 蘇 生 法 行 宍 U M N ) をある程度マスターしておく ことが期待されるわけですが、現実にはその期待 が裏切られる場合があります。この理由は様々に 考えられますが、たった半年の研修期間を有音山義 なものとするには、まず救急救命士をめざす本人 救:意救命第9号 20

(21)

自身が、事前の学習が必須であること、基本的な 救急救命処置は入所前に修得しておく必要がある ことをしっかりと'自覚しておかなければならない ということです。このことは大いに強調したいと 思いますし、準備不足の研修生が、充分な準備を してきた研修生に対して、迷惑をかける可能性が あることも知っていただきたいと思います。 最近、医学や医療の流れにも変化がみられ、﹁ E B M 一根拠(エピデンス)に基づいた霞療﹂とい う言葉をよく見開きするようになりました。この 概念を提唱した一人とされる∞

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江口戸らの言 葉を借りると﹁ EBM とは、現時点で最良の根拠 を、一貫性、明示性、妥当性をもって患者さん個々 人への臨床判断に使用すること﹂ということだそ うです。利用する立場からの EBM とは、コンピ ュータで容易にアクセスできるようになった膨大 な医学データベースを使用して、疑問に対して適 当な記載のある文献を検索し、その根拠の傾向分 析や適応性判断をするという作業を、従来からの 身近にある文献や教科書を参考にする、という作 業に追加するだけといえなくもないのですが、多 忙な医療従事者が、日々発生する多様な問題に対 して、いちいちこのような時間を個人的に確保す ることはなかなか難しく、限界もあります。この ため、社会的あるいは臨床的に特に重要とされる 問題に対しては、専門家と呼ばれる人が委員会を 設置し、その各委員が分担して EBM の実務的な 作業にあたるという方法がとられ、こうして作成 されたものが﹁ガイドライン﹂と呼ばれています。 ﹁心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイド ライン二 000 ﹂もその一つですが、このガイド ラインの形式では、根拠の強さと勧告の強さが重 要とされます。根拠の強さは、科学的作法に従っ て、ランダム化比較試験が最も質の高いものに、 専門家の個人的経験や意見は最も質の低いものに みなされます。勧告の強さは、根拠の強さに加え て、便益とリスクのバランス、治療群と非治療群 のアウトカムの差、社会的あるいは経済的な負担 の程度、社会的に適応する際の効率や教育しやす さなどを総合的に判断して分類されます。このガ イドラインは、現在多くの医療分野で、ほぼ確実 に有効性があると考えられるようになりました が、気をつけていただきたいのは、我が国におけ る、現実的な臨床の場面では、経験のある専門家 の意見を重視することが、まだまだ数多く存在す ること、ガイドラインの示す科学的な﹁根拠﹂と 社会の﹁現実﹂との間には、二疋の距離が存在す ることであります。当たり前ですが、医療には理 論化できない部分がたくさんありますし、日常の 診療において、言葉にならない経験的直感が役に 立つことも稀ではありません。また、根拠と現実 にある一定の差が生じることは、何も我が国の疾一 療の世界に限られた話でもないでしょう。 私自身、冒頭で紹介した救急救命士にとっての ﹁医療人としての自覚﹂なるものを正確に定義す ることはできませんが、この一言葉には例えば一般 の 世 間 で 俗 に 一 一 言 う ﹁

00

人﹂という単語が連想さ せる、儒教的な倫理観や伝統的な道徳観以外に、 自然科学的な思考という概念が含まれているから かもしれません。客観性、再現性、普遍性、論理 性を旨とする自然科学的な思考をするには、まず 前提として個人の確固たる自立心と自由な探求心 が必要であるという考え方がありますが、振り返 って皆さんはこのような自立心と探求心をもって 日々の生活に取り組んでいるでしょうか。実は、 たいそう偉ぶって皆さんへ問いかけている私自身 にも、このような心構えを持っているかどうかは 余り自信がありません。ただ、まずは自分の目前 にある仕事に対してできる限りのことをし、﹁最 良の根拠﹂が必要と思える場合には、それを自ら 探索・発信し、仕事の仲間と共有できるように努 力したいとは考えております。皆さんも、まずは 目の前のこと、そうです、救急救命士標準テキス トを自ら学ぶことから始めてみてください。この ような態度を身につけることこそ、根拠に基づい た医療へ近づく最初の一歩、と思われるからであ り ま す 。 { 参 考 文 献 ︼ 1 . ﹃救急救命士標準テキスト﹄改訂五版 す出版

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2 . ﹃救急救命士標準テキスト﹂改訂六版 す出版 N C C N 3 . ﹃AHA 心肺蘇生と救急心血管治療のための 国際ガイドライン NCCE 日 本 語 版 へ る す 出版 N C C H 4 . ∞ 阿 古 } 日 江 口 H k m u 門 巳 一 同 i 門 目 。 ロ の め す m w ω め ( 日 目 。 ( 日 付

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救急に関する調査研究事業助成完了報告

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消防機関は、自治体消防発足以来、予防行 政の中で火災予防思想の普及啓発については 積極的に展開してきたが、救急の分野におい ても、近年の多種多様な事故の増加や高齢化 社会の到来による急病の増加など、全国で年 間四

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万件以上発生し増加の一途をたどる 救急事故を一件でも少なくするために、﹁予 防救急﹂の観点を明確に持ち、この分野を発 展、確立し、積極的に推進を図る必要がある。 これは、火災予防と火災防御活動が一線上で 事務の整合性を持つことと同様の効果を、救 急活動の分野においても期待することができ る 。 そのためには、普及啓発を容易にする予防 救急思想普及啓発指導マニュアルの作成は、 全国的な展開を目指す上で是非とも必要な作 業であり、本報告書では、その指導マニユア 実(鹿沼地区広域行政事務組合消防本部) 救 急 救 命 第9号

22

事 事

。予防救急研究会代表

石川

ル作成に向けての一事例を提示した。また、 予防救急の基本的な考え方や概念、経緯、最 近の動向なども内容に盛り込み、現時点まで の予防救急をまとめたものとした。報告書は 七章で構成され、総ページ数四一一ページ(四

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字詰原稿用紙一、一五

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枚 ) と な っ た が 、 本紙面においては、以下報告書の概要を記す こ と と す る 。

調査研究の方法

予防救急マニュアルとなる事例や資料の収 集と分析、救急隊員、教職員、保育園保護者 に対するアンケート調査や講演会の実施、資 料の配布等を通じ、どのような項目が普及啓 発すべき項目かを選定し、予防救急事項の一 元化を図った。結果、﹁予防救急思想普及啓 発指導マニュアル﹂案として四三六項目を提 示した。その作業にあたり、主な参考文献は 九六文献、関係資料は八千点を超えた。そし て、調査結果を基に﹁家庭における救急事故 注意指数﹂を市民の事故予防に対する意識づ けのために創設した。

予防救急普及啓発項目及び指導ポイント 関係資料や参考文献の分析を基本とし て、アンケート諦査結果、予防救急講演会 の実施、水泳教室での普及啓発活動、予防 救急普及啓発資料の配布、予防救急フェア の実施、子供事故予防センターでの調査な どを参考に表ーのようなポイント項目を選 出し、それに沿った具体的項目をマニュア ルとして組み入れた。なお、統計数値は、 全項目に共通のポイント項目とする。 2 予防救急に関しての救急隊員アンケート 調査結果(救急産学会等への来場者対象)

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救急出場を通じ、一般負傷事故で多い と思われる事故について(一

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二 回 答 )

参照

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それから 3

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

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