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NO.2 平成14年11月30日発行(年2回発行) 第5
巻第2
号(通巻第9
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財団法人救急振興財団
救急救命
第
9
号
2002/November C ONT ENT S グラビア 香芝-広陵消防組合消防本部の応急手当普及啓発活動 救 急 救 命 九 州 研 修 所 研 修 風 景 巻頭のことぱ救急業務の高度化の推進について
3 6 総 務 省 消 防 庁 長 官 石 井 隆 一 7 クローズアップ救急 応急手当普及啓発活動の現状と課題⑤-
香芝-広陵消防組合消防本部を取材して
-
編集室 8 基礎医学講座外傷医療の標準化プログラム
ー包括的な外傷システムの構築に向けて 大 阪 府 立 泉 州 救 命 救 急 セ ン タ ー 所 長 横 田 順 一 朗 14連載読み物
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9回「
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MESSAGE/救急救命士をめざす人たちへ事前学習ノススメ
救急に関する調査研究事業助成完了報告 北 里 大 学 名 誉 教 授 立 川 昭 二 18 救 急 救 命 九 州 研 修 所 教 授 川 波 哲 20予防救急思想普及啓発指導マニュアルの作成及び家庭における
救急事故注意指数の創設
予 防 救 急 研 究 会 代 表 石 川 実(鹿沼地区広域行政事務組合消防本部) 22救急業務の高度化とメディ力ルコントロール体制の基盤作りに
関する研究
日本医科大学付属千葉北総病院救命救急センタ 松本 尚、益子邦洋 26財団法人救急振興財団平成
1
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年度事業報告
30 第11回全国救急隊員シンポジウム開催プログラム 32平成
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年度財団法人救急振興財団調査研究事業の募集
34 インフォメーション/編集後記 35特集「応急手当普及啓発活動の現状と課題⑥
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(詳細p.8)園
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羽 目
ユ ニ ー ク な 講 習 実 施 一 覧 表
番号│ 実 施 日 受 講 団 体 名 1 I平成9年9月11日│関屋むつみ会 2 I 10年3月3日│特別養護老人ホーム 大和国白鳳 3 I 10年6月27日│西真美A子供会 種 別 救急 防火 防火 受講者数 30 40 80 4 I 10年9月21日│香芝市女性・家庭教育学級長会 │ 救急 100 5 I 10年11月18日│特別養護老人ホーム 大和国 │ 防火 40 6 I 11年2月19日│香芝高齢者学級生 │救急・防火 80 7 I 11年6月18日│子育て講座生 │ 救急 30 8 I 11年11月21日│三和小学校・幼稚園PTA 救急 30 9 I 11年11月23日│下回地区自治会 │ 救急 180 10I 11年11月29日│五位堂・香福高齢者学級生 │ 救急 150 11 I 12年 1月21日│香芝高齢者学級生 │ 救急 100 12I 12年2月18日│香芝高齢者学級生 │ 防火 100 13I 12年8月3日│香芝市婦人会員 │ 救急 35 14I 12年10月24日│香福・五位堂高齢者学級生 │ 防火 120 15I 12年10月25日│香芝市防火委員会 │ 防火 50 16I 12年10月26日│磯壁みつわ会 │救急・防火 30 17I 12年11月26日│畑之浦北住宅自治会 │ 救急 30 18I 13年 5月24日│近住仲良し会 │救急・防火 50 19I 13年7月13日│子育て講座生 │ 救急 20 20I 13年10月25日│香芝市防火委員会 │ 防火 50 21 I 13年11月15日│真美ヶ正ふれあいの会 22I 14年1月21日│鎌田幼小家庭教育学級 23I 14年2月8日│関屋家庭教育学級 24I 14年5月12日│逢坂自治会役員及び自警団 救急・防火 70 救急・防火 20 救急 20 救急・防火 50 25I 14年6月4日│ディサービス利用者及びスタッフ│ 救急 30 26I 14年6月10日│ディサービス利用者及びスタッフ│ 救急 30 27I 14年 6月14日│特別養護老人ホーム 大和国白鳳│ 救急 60 28I 14年6月25日│香福・五位堂高齢者学級生 │ 救急 120 29I 14年7月8日│香芝市婦人会員 │ 救急 50 30I 14年 7月26日│関屋第一寿光会 │ 救急 60 31 I 14年 8月27目│旭ヶE小学校家庭教育学級 │ 救急 100 合 計 31回 受講者数 1,955人回目固固因
図目白目
企司会・進行の仲西課長 企 「旭ヶE
小学校家庭教育学級jの皆さん 企大きな声で歌おうよ! 4企防災クイズの様子
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主示a圏7
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研 修 風 景
目指(より、救急行政の推進にあた り、ご理解とご尽力をいただき感謝 申し上げます。 さて、本年は救急業務、救急救命 士制度にとって新たな飛躍の年にな ろうとしています。既にご案内のと おり、去る七月一一一一日に開催され た、消防庁と厚生労働省との共催に よる第二回目の﹁救急救命士の業務 のあり方等に関する検討会﹂におい て、救急救命士の処置範囲拡大に関 する中間報告が取りまとめられまし た。同報告書では救急救命士の処置 範囲の拡大についての基本的方向や 当面の検討課題が示されています。 その骨子をご紹介しますと、救急救 命士の行う特定行為のうち、①除細 動については包括的な医師の指示の 下(同時進行性の指示なし)での除 細動を認める、②気管挿管について
襲
は限定的に-認める場合の諸条件につ いて早急に具体化を図る、③薬剤投 与についてはその適否や一認めるとし た場合の諸条件について慎重な議論 をさらに継続する、こととされまし た。現在、検討会の各委員をはじめ 関係者の方々に、同報告において指 摘された諸条件を具体化し、今年中 に最終的な報告を取りまとめていた だくようお願いするなど、消防庁と し て 鋭 意 努 力 を し て い る と こ ろ で す 。 また、同報告でも指摘されている とおり、救急救命士の処置範囲の拡 大を行うにあたってはメディカルコ ントロール体制の整備が必要です。 消防庁としても従来その体制整備を 積 権 的 に 推 進 し て き た と こ ろ で す が、今回、あらためて、厚生労働省 とともに、各都道府県知事に対して 争巻頭のごとぱ隆
石
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総務省消防庁長官 メディカルコントロール協議会の設 置 促 進 に つ い て 要 請 し た と こ ろ で す 。 メ デ ィ カ ル コ ン ト ロ ー ル 体 制 は、救急救命士の処置範囲拡大に関 してのみならず、将来にわたり、救 急業務の更なる高度化を図っていく 上で重要な役割を担うものです。治 初と医療関係者との連携の下で、メ ディカルコントロール体制が全国的 に整備され機能することにより、救 急救命士への国民の期待に十分応え ることが可能となると考えておりま す 。 一方で救急救命士の養成と運用の 促進も重要な課題です。平成一四年 四月一呂現在の救急救命士運用隊は 二、八八四隊、全救急隊の約六三% となっています。消防庁としては、 早期に全ての救急隊において救急救 命士が運用されるよう、引き続き、 救急救命士の養成や高規格救急自動 車をはじめとする資機材の整備に努 めてまいります。 以上のとおり、消防庁としては、 国民の信頼と期待に応え傷病者の救 命率の一層の向上を図るため、厚生 労働省とも連携を図りつつ、今後と も、救急業務の一層の充実と高度化 に積極的に取り組んでまいります。 全国の消防本部、救急救命士を含む 救急隊員の皆様におかれでも知識・ 技能の維持向上にこれまで以上に積 極的に取り組んでいただくようお願 いする次第です。 終わりに、わが国の救急業務、救 急救命士制度の新たな飛躍と、関係 各位のご健勝、ご発展を心から祈念 して、私のご挨拶といたします。ク ロ ー ズ ア ッ プ
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香芝@匹醸消防組合消防本部を取材して││
文 l l 編集室 奈良県の北西部、奈良盆地の西端に位置し、大阪と奈良を結ぶ交通の要衝として発展してきた 香 芝 市 。 今回訪れた香芝・広陵消防組合消防本部では、子供かうお年寄りまで市民に幅広く救急業務や 応急手当を理解してもううために﹁ユニークな救急講習﹂と題した講習会を実施している。落語 あり、クイズあり、ギター演奏ありと一風変わったこの講習会は、応急手当の普及雷発を目指す 消防側から市民へのアプローチの方策として全国的にも大変珍しい取組みである。﹁ユニークな 救急講習﹂開催の経緯、その効果、今後の展望などについてお話をうかがった。盟ユニークな救急講習輔
1 1 最初区、この﹁ユ一丁クな救急講習﹂を 始めるようになっだきっかけ巴ついてお聞か せ < 、 だ さ い 。 仲西五年前の平成九年の秋ごろから、福祉 で消防をやろうという話が出ました。しかし、 自治会などに救急や防火の話をしに行っても 参加者が少なくて、一、000
世帯もある大 きな団地に出向いて行っても、役員さんも入 れ て こO
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三O
人しか集まらないなんてこと もあったんですね。そこで、何か面白いもの を取り入れることによって一人でも多くの人 に足を運んでもらいたい、という願いからこ の講習会を始めました。 ー l l 参加者はどのよう巴募っているのです か 。 仲西最初は広報誌に載せたこともあるんで すが、去年の秋ごろからは口コミで、﹁そん なに面白いものならうちでもやってもらえな いか﹂ということで依頼の数が増えまして、 8 救:患救命第9号 飯敦則田 員井敬夫仲
西
正
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一 か 月 に 四1
五回という月も出てきました。 今日は救急を中心にやりましたが、防火を 中心に行うときもありますし、防火と救急を 両方行うときもあります。どういう内容にす るかということは依頼される方に決めてもら いますが、どちらかというと救急をテl
マ に した方が希望が多いですね。 -i 回数、か多くなると出し物のネタを老えだ りするのち大変、だと思うのです、か、練習など はいつやられているのですか。仲西それが一番問題なんですよ。クイズに しても落語にしても、二回三回と受けてもら っているところもありますので、これは前に やったから新しいネタを考えないといけない な と 。 るものをやるという方法で行っています。
普通救命講習会への橋渡しとして
1 1 2 この講習会を開催して、どんな効果、かあ り ま し だ か 。 飯田やはり救急の講習会は難しいイメージ を持たれているんですね。話の中身をできる だけ分かりゃすくするようには努めているん ですが、どうしても医学的な話などはお経を 聞いているような感じで聞いておられると思 うんです。特にお年寄りは消防というところ に行くだけでも抵抗を示される場合がありま すので、その部分を除いてあげて、和 やかな雰囲気の中で落ち着いた気持ち で話を開いていた、だいて、﹁あのとき そういえば落語と一緒に救急の話を聞 いたな﹂と少しは印象に残ってもらえ ればいいかなと思ってます。 仲西ある自治体でこの講習会をやら せてもらった時に、最後に﹁どうでし た﹂と聞いたら﹁今日は寝ておる人お らんかったな﹂と言われて、それが印 象に残っているんです。いつも寝てい る ん だ な と 。 防火の講習会ではビデオを写した り、はしご車を持っていったり工夫を 凝らしてはいるんですが、はしご車を 持っていっても乗せてくれないと分か ったら参加者が集まって来ないんで 今日は防災ヘリのクイズを出しましたが、 県に一機あるということも皆さん知らないん ですよ。そういう消防のP
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も兼ねながら、 マンネリ化しないように考えてやっています。 練習は、ほとんど個人のレベルです。この 講官会も仕事ですが、日常の業務を放ってお いて練菅するわけにもいきませんので、みん なで集まってやるというよりは、個人ででき ~Á. ユニークな 救急講習の様子 す。応急手当の講習会では人形を相手にして くださいと言ったらみんな引いてしま、つんで すね。だから我々はおもしろおかしくやって 多くの人たちに足を運んでもらって、救急の 実情とか消防の実態を地域の方々に分かって いただくことが大切だと思、つんです。 飯田この講習会に参加した方が家庭に帰っ て、おもしろかったから隣の人に教えてあげ ようとか、今日こんなことをしてきたよとい う話をされる中で、﹁救命講習会﹂というも のがあるということを多くの人たちに分かっ てもらう、それが僕らの目的ですね。 広報誌でお知らせしてもどうしてもカタい A笑いあふれる会場内実施日 団 体 名 受講者数 1月 8日 健康運動普及推進員養成講座 24 1月18日 香芝市婦人会磯壁支部 10 1月25自 香芝市婦人会瓦口支部 10 2月 58 健康運動普及推進員養成講座 19 2月 9自 香芝市婦人会別所支部 12 2月26日 香芝市婦人会鎌田支部 6 3月16日 香芝市婦人会平野支部 8 4月 7日 香芝すみれ塾 36 4月29白 六道山自警団及び婦人会 16 5月 7日 香芝市中地区民生児童委員協議会 26 5月17日 香芝市学童指導員 24 6月 2日 馬見中1丁呂自治会 9 6月 7日 特別養護老人ホーム大和圏白鳳 25 6丹市白 香芝西中学校生徒 102 6月20日 香芝北中学校生徒 118 6月30日 タイガー警備保障株式会社 89 実施国体 16団体 修了者数 534名 平成14年上半期普通救命講習実施状況 表現になってしま、つんですよ。こういう場を 設けて、やわらかい雰囲気で聞いていただい て、救命講習もひょっとして面白いんじゃな いかな、良いこと教えてくれるんじゃないか なと、そう思っていただくことが大切なんで あって、ここで手技や医学的な説明をするの が目的ではないんですね。
応急手当の普及啓発に向けて
ーーユ一丁クな救急講習のほか区、応急手当 の普及に向けて取り組まれていることは何で す か 。 仲西香芝市には四つの中学校があるのです が、市の教育委員会からの依頼もありまし て、三年生全員に普通救命講習を受けてもら っています。授業時間内に講習を入れ るのは学校の方も難しいようですが、実 際にやってみると覚えが早いんですよ。 飯田僕らもあまり中学生って興味を 持っていないかなと思っていたんです が、これが熱心で手技の飲み込みも早 いんです。一、二回指導すれば僕らよ りもうまくやれる子もいますからね。 仲西学校によってはクラスごとに行 うところもあれば、三年生全クラス一 斉に行うところもあるんですよ。一斉 に行うときは訓練人形が足りませんの で、消防学校に借りに行ったりするん で す ね 。 そういった意味で、当組合としても 力を入れていますので、中学生に命の大切さ を理解してもらって、応急手当を覚えてもら えたらありがたいです。 ー ー ー 学 校 以 外C
も企業などからの依頼はあり ま す か 。 去年、数は少なかったんですが、ガソ リンスタンドに声をかけて、従業員の方に普 通救命講習を受けてもらい、普及啓発用のパ ンフレットを給油に来る人に渡してもらった ことがありました。 員井現在の取組みとしては、小さい事業所 や庖舗のなかで一人からでもバイスタンダー を育てようということで、各庖舗、事業所か ら参加者を募って消防署で日を設定して講習 イ 中 西 会を聞いています。 一O
名ぐらいの会社で一気に一O
名という のは大変ですが、銀行とか庖舗関係とか、全 員は無理だけど一人ずつだったら出せますよ ということで、毎年五01
六O
名ずつ来てい ただいています。 これは管内の広陵町の方で始めたのですが 結構好評で、これと同じように香芝市の方で も今後実施しようかなと考えています。 救 怠 救 命 第9号 10 ーl
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応急手当の普及巳向けて熱心巴取り組ま れているようです、か、実際巴救命講習受講者 の万の奏功事例などはありますか。 飯田先日、心肺停止の患者さんの現場に出 動したんですが、実際に講習を受けてバイス タンダICPR
をやられていた方がいまし た。しかし、全体としてみれば、実際にやっ ていただいている現場は少ないのが実態です。 私たちが出動してバイスタンダI
に出くわ すのも年間二O
件あればいい方で、その中で 講習会を通じて手技を習ったと言われるのは 五1
六件の数ではないかと思います。倒れて いる人を発見したら応急処置とはいかないま でも、せめて一一九番に通報してあげると か、観察をしてあげるとか、そこまででもい いからやってもらおうと普及啓発をしている ん で す が ・ ・ ・ 。 翼井その段階に応じて、ある程度の効果は 望めたであろうという事例は何件かあるので すが、いわゆる社会復帰とか、退院されて歩いて自宅までという奏功事例は今までないで すね。パイスタンダ
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の数は若干でも右上が りに増えていますので、徐々に効果は上がっ ていくのだと思いますが、今のところはまだ 大きな効果が出ていません。 1 1 普通救命講習受講者の数は増えているの に実際巴バイスタツダi
の 奏 功 事 例 、 か 少 な い のは、どのあだり巴問題があるとお考えですか。 仲西今日の救急講習会の事前質問にもあっ たのですが、テレビや新聞で感染についての 特集なんかを見ると、やっぱり見知らぬ人に 応急処置をして、感染したらどうしようと不 安に思ってしまうようです。 飯田住民の方は確かに興味はあると思、つん ですよ。ただ、いざ講習会に足を向けようか という段階になると、なかなか向けにくいら しく、特に官庁関係に行くというのは抵抗感 があるみたいなんですね。そこを和らげてい かない限り普及率は上がっていかないだろう し、いくらそれを紙面で訴えたところで、そ れだけの効果は期待できない。だからこうい う場を生かして、できるだけ身近な感覚とい うか、住民の方と分け隔てのない密接な関わ りの中で救命の重要性を訴えることができる ならばそれに越したことはないと思いますね。救急医療体制の現状と課題
││次に、香芝市の地域特性や、救急の特徴 な ど 巴 つ い て お 聞 か せ < 、 だ さ い 。 由民井周辺には幹線道路が結構走っているの で、香芝市の場合は交通量がかなり多いです ね。ですから交通事故の割合が高いんです。 それに伴う死亡事故の発生率も高くなってい ますから、当然重症事案が多いということに な り ま す 。 仲西それともう一つ、香芝市は大阪府のベ ットタウンとして栄えていますので、大阪か ら越されて来る方が多いんですよ。ですから かかりつけが大阪の病院という方が結構いら っしゃって、大阪の病院に運ぶことが多いの も特徴ですね。 1 1 1 大阪の病院まで運ぶとなると、 の問題はありませんか。 搬送時間 飯田専門的な病気をもたれていて、その病 院しか手段がないという場合は搬送していま す。ただ、患者さんの状態によってはそこま でもたないという方もいますので、そういう 方には説得を試みて、できるだけ近くの病院 に搬送するようにしています。それが救急の 原則ですから。 仲西香芝の西にある高速道路を通って、五 j 一O
分で大阪に入ってしまうので、距離は 長いけれど時間的には高速道路を行けば結構 早いんです。近くには奈良県立医科大学病院 があるんですが、信号があって、交通量も多 いですから、実際近くにあるようでも昼間走 っ た ら 二O
分ぐらいかかるんです。それなら 高速で行った方が距離は長いけれど、時間的 A救急救助課仲西課長 にはそんなにかからないという事情があるん で す 。 ーl
重症事案が多いということですが、こち らでは搬送先病院の選定基準として重症度・ 緊急度の判断はどうなさっていますか。マニ ュアルを作成されているのでしょうか。 民井当組合では細かな基準は定めずに、す べて救急隊長の判断に委ねられています。今 は救急車内から救急隊員が病院選定するとい う流れですが、特別な依頼がない限り、病院 選定は救急救命士の判断ということで進めて い ま す 。 飯田マニュアルを作ってしまえばマニュア ルに縛られてしまうんです。重症度とか緊急 度は現場の救急隊長の判断、それに勝るものはないと思います。 実際現場で見ている状態から判断して病院 を選定するのがベストであり、それをマニュ アルで縛ってしまうと、その順番でしか運べ なくなってしまいます。日で見えないところ に隠されている部分は疾病にしでもあると思 うんですよね。それは実際現場でしか体験で きないものですし、現場の直感ですよ。 異井医療機関の数とか地域性もいろいろあ りますからね。二次医療機関へ搬送したら転 送になった場合なんかも実際ありますが、そ ういった時には内部で事後検証したときに注 意しあって、経験的に若い隊長には次回の救 急事案から気をつけるよう指導しています。 飯 田 病 院 側 に は 悪 い で す が 、 で き る だ け オーバートリア
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ジで連絡させていただいて いるんです。実際に救急隊長の判断で三次医 療機関に運んでもっこ次対応ではない﹂と言 われることもありますが、可能性としてある 以上は最善の手配をするのは当然ですし、そ ういう形で隊長に任せています。 ーーー管内の医療機関の状況はどうなっている の で す か 。 A救 急 救 助 課 飯 田 主 任 員井三次医療機関は、近くにある奈良県立 医科大学の救命救急センターと奈良市にある 奈良県の救命救急センターがあります。しか し、この管内には二次医療機関が一筒所しか ないんです。人口は一O
万人ですが一箇所し かない。それも三 j 四年前にできて、それま では一切なかったんです。ですから、管外に 搬送する患者さんが圧倒的に多かったんです。 飯 田 管 内 に 一O
万人近くも人口があって、 二次医療機関が一箇所しかないというのは全 国的にみてもめずらしいと思、つんですよ。で も、残念ながらそういう病院がなかなかでき ないんです。 員井一筒所しかないわけですから、当然そ の病院に集中するわけですね。 そこで幸い管内ではないんですが、近隣で 四 j 五箇所の二次医療機関がありますので、 そちらに搬送するようにしています。搬送時 間等は特別に長くはないです。全国平均より は逆に短いんじゃないでしょうか。 救 急 救 命 第9号 12 A救 急 救 助 課 員 井 係 長 ーーーいろいろと救急医療巴関する問題も多い ようです、か、指示体制など、実際巴活動され ている中で何か問題はありますか。 虞井ここでは奈良県立医科大学病院の救命 救急センターとタイアップして指示をもらっ ています。それだけで支障があるかという と、今まで五 j 六年間やってきましたが、ま ったく支障はないですね。常に二四時間医師 が座っておられるので、私たちが今までやっ てきた中で指示体制に困ったことは全くない で す 。 一般病院の医師の中には救急に理解が乏し い方もいらっしゃいますが、救命救急センタ ーの医師たちは救急隊員の活動にかなり理解 を示していただいています。││それはいわゆる顔の見える関係というこ と で す か 。 員井特別顔の見える関係ということじゃな いんでしょうが、当然名前の分からない先生 もいますし、研修医が電話に出る時もありま す。指示をもらうときには逆に世間話もでき ないので、組合の名前と救急救命士の名前が はっきりしていれば、ある程度了解は得られ るようにはなっています。 顔の見える関係作りという点では、私たち が開催するいろいろな研修会で救命救急セン ターの先生方にご協力していた、だいています し、逆に先生方が開催される学会には消防側 からも参加するようにしています。また、ど V通信指令室の様子 この地域でもやっていると思いますが、奈良 県でも三年前から救急救命士等の勉強会を開 催していまして、県内二箇所の救命救急セン ターの医師に幹事になっていただいていろい ろとご指導いただいています。
覇救急救命士を
目指す職員巴対する教育瞳
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最近、研修所巴入所してくる研修生のレ ベルガ話題C
なっていろいろ議論されていま すが、救急救命士を自指す職員の方む対し て、先輩救命士として何か取り組まれている ことはありますか。 飯田私は救急救命士になる前は通信指令室 の中にいたんですよ。署に異動してから救急 に配属になって救急救命士って面白そうだな と。しかし、いざ研修所に入ってみると、私 は全く現場経験がなく、医学的な知識のかけ らもないような状態から行っていますので、 スタートラインから全く違、つんですよね。い ざ研修所に入った時点で差があるなと私自身 十分身をもって感じましたし、現場経験があ る人や入所前から勉強してきている人たちと 同じレベルまでいこうとするには、相当な苦 労がありましたね。 真井私が一番最初だったんですが、その時 は全く何も分からなかったんで大変な状態で した。でも今は救急救命士が十数名いますの で、先輩としてどういうところを勉強してお いた方がいいよとかいろいろなアドバイスも 行っています。また、入所前には、一年 j 一 年半の準備期間をとって事前学習に当ててい ま す 。 そういった意味では、正式な育成計画とい ったものはありませんが、先輩から後輩への 指導という点ではうまくいっていると思います。 飯田最近の若い人の中には救急に興味を持 ってくれる人も結構いますんで、ありがたい なと思っているんですよ。 仲西救急救命士を目指す若者が消防学校を 出て戻ってきて、必ずしもすぐに救急に配属 されるとは限らないんですね。こういった組 織ですから、ポンプ車にも乗らなければいけ ないし、何でも屋的な働きが求められるんで す。しかし、年数が経って研修所に行けるよ うになるまで、その者が救急救命士になりた いという気持ちを持ち続けられるようにする のが自分たちの責任であると思っているんです。 111 最後に、合後の展望をお聞かせくださ ー し 仲西将来的にはもっと多くの救急救命士を 養成して、指令室はもとより、救急救命士の 資格を持った救助隊員を配属して事故現場に 一緒に出動するというような体制を整えて、 救命率の向上を図っていきたいと考えています。 ーー今後のますますのご活躍巳期待していま す。本日は長時間巳わだりあり、かとうござい ま し だ 。覇基礎医学講瞳
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川 阪 急 日 大 救 f J 救 j i 外傷患者に対する診療の質向上には、ごく 早 期 の 対 応 が 重 要 な こ と は 一 一 一 日 う ま で も な い 。 診療の質の保証は、司5
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丘 町 ( 救 命が可能であるはずの死亡)や失わずに済ん だ機能不全を無くすことで達成される。これ には受け手となる医療機関の診療機能に大き く依存するが、同時に、 発症から病院到着までの 病院前救護のあり方と医 療機関選定が鍵を握って いる。外傷患者特有の病 態と治療の特殊性を考慮 すれば、必然的に救急現 場から手術室までの包括 的な外傷医療システムの 構築が急務である。その ためには病院前救護から 急性期診療に至る標準化 されたプログラムの存在 が必要である。最近、こ ういったプログラムを普 及させるために行われて いる各種研修コl
スがあ る 。 はじめに 今回、包括的な外傷システムの構築に不可 欠である標準化プログラムに言及しながら、 外傷救急の本質に迫ってみよう。 生命の仕組みと外傷患者の救命 図 1 に示すように、生命は大気中の酸素を 体内に取り込み、全身に酸素を供給する一連 の作業によって維持されている。ことに中枢ヒ づ グ
酸素の取り込み 生命の仕組み 園1 (病態) 神経への酸素供給が維持されることで、呼吸 の命令(自発呼吸)が発せられ、呼吸、循環 を介する生命の輪が形成されている。この輪 のいずれの部位が障害を受けても、生命維持 は直ちに困難になる。 外傷後、呼吸や循環が損なわれると命を落 とす。そこで最初に呼吸や循環の回復が急務 となる。呼吸を維持するには酸素投与、気道 の確保と補助人工換気が中心をなすが、とき に頚部・胸部に対する手術が必要となる。循 環異常の大半は出血によってもたらされる。 迅速な止血と輸液・輸血療法が必要で、マン パワl
と設備の整った手術室等が必要とな る。鑑別すべきショックとして心タンポナl
デと緊張性気胸のあることは言うまでもな い。この場合、的確になされた心嚢穿刺や胸 頭蓋外二次損傷 “ABCの因子" +低酸素血症 +高・低炭酸ガス血症 + ショック 呼吸管理:気道の開放、酸 素投与、適切な換気。 循環管理:止血、輸液療法、 閉塞性ショック*の解除。 → 病 院 前 か ら 可 能 な 処 置 が多い。 手術療法 →唯一、医療機関内でしか 処i置できない。 →病院選定と時間が重要 救:宗救命第9号 14 図2 頭蓋内損傷の病態と救命処置 脳組織は初田の外傷で回復不可能な損傷を受けるが、血腫の存 在による周囲の圧迫(頭蓋内二次損傷)や低酸素血症などによ って著しく障害される(頭蓋外二次損傷)。前者は医療機関で しか治療できないが、後者は病院前救護から適切な処置が可能 である。外傷といえどもiji&~ま「呼吸と循環の維持j で救われる O (* :緊張性気胸や心タンポナーデを指す。)腔ドレナ I ジが命を救う。脳が直接損傷を受 け、生命維持を図難にすることもまれではな い。血腫を形成する損傷なら手術療法を必要 とするが、脳組織の一次損傷に対しては決定 的な治療はなく、唯一、呼吸と循環を維持す ることが治療の基本となる(図 2 ) 。 観察と処置(治療)の話離 医師はもちろん、各職域の医療従事者は外 傷患者の観察と処置の教育は受けている。救 急救命士を含む救急隊員も例外ではない。例 えば、救急隊員は気道閉塞、フレイルチェス ト、緊張性気胸、心タンポナ
1
デ、腹腔内出 医療従事者の資格と観察の場所が救命処置を限定する 救命に必要な処置・手術 救急隊員 現場の医師 医療機関の医師 酸素投与O
O
O
気管挿管 ×O
O
補助換気 。*1O
O
外出血の止血 。本2 0*2O
手術等での止血術 × ×O
輸液療法 ×本3O
O
輸血療法 × ×O
胸腔穿刺・ドレナージ ×O
O
心嚢穿刺 × 。本4O
関頭血腫除去術 × ×O
表1 *1 マスク換気。 *2:圧迫止血が中心で本格的な止血は困難。 *3:救急救命士 より心肺停止時にしか行えない。 *4:ポータブル超音波診舗装置を有している 場合のみ診断が可能。 血など致命的な外傷の病態や損傷に関して十 分な知識を持っている。観察からそれらの存 在を疑うことが可能であっても、ほとんど満 足な救命処置ができない。また、たとえ医師 といえども現場では諸検査や医療資器材に限 界があり、手術を含めて大がかりな処置がで きない。せいぜい米国間云、 H J H ) R m w B 包片のレ ベルに留まる(表 1 ) 。最終的に、外傷患者の 救命には医師と十分な医療設備の存在が不可 欠 と な る 。 急性呼吸不全なら一刻も早い現場での酸素 投与が救命を可能にする。ここに、重度外傷 患者には急性疾病とは異なる医療上の特殊性 がある。したがって、病院前救護においても 次に述べる相違点が生じる。 病院前救護における外傷の特殊性 病院前救護のあり方には、蘇生を優先し現 場に留まることを許容する E 望 者 侍 立 ミ 3 の 理論と、現場では最小限の処置に留め搬送時 間の短縮を優先する E∞
80uhrE ロ コ の 理 論 と が存在する。例えば、循環器の急性症では早 期の心調律の回復を最優先し、同)己紹- o
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︿ 吋 ¥ ︿ 喝 な ら 現 場 で 除 細 動 を 行 、 っ 。 E ∞ 片 山 可 h r H Lミ
3 の代表例である。急性疾患の中には現場や院 外での診療行為を前倒しにする方が救命率の 向上を期待できる例が多いからである。しか し、内出血の止血など院外で根治的な処置の できない例では、迅速に医療機関に搬送するふ
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妥採用しなければならない。そ の代表が外傷である。ただし、外傷患者を一律 に E∞
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ロ 3 で規定することはできな い。そこで、生命危機の状態を把握し、直ち に搬送開始の決断を下すように、二疋の基準 を設けるのが理想的である。また、時間を短 縮するために省いてよい処置と逆に行わなけ ればならない最小限の処置を指導する必要が ある。こうして生まれた搬送決断の基準を近 年 、 E -。 包 弘 仲 間 。 3 ( 以 下 、 E F 除。 3 と表記)と称 して隊員に指導している。特に、我が国では 同 玄 吋1
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包片ほども処置範囲が多くない ことから、より厳しい条件となる。 注意すべき点は、 EFF のゆが次の三原則を守 ることで支えられることである。 川病態を的確に判断する、とくに生命危 機 を -評 価 す る こ と 。 同適正な医療機関を選定すること。 同迅速に救急搬送すること。 ここで重要なのは適正な医療機関の存在で ある。我が国では救命救急センターを中心に その任を果たしているが、・本来、米国のよう な階層化された外傷センターが存在してしか るべきである。今後の課題の一つである。 病院前救護と医療機関に共通の考え方とこ れを制度化した体制ができてこそ質の保証さ れた外傷医療となる。このため、医師、医療機 関と救急隊員、消防機関の双方に対して、整合 性のとれた共通プロトコ I ルが必要となる。 外傷患者を観察する共通性 患者観察には隊員、医師にとって共通の理 論がある。その要点は生理学的徴候の異常か ら生命危機を評価、これを迅速に回避し、加 えて二次損傷を引き起こさないことである。 この原則は当然、最初に傷病者に接する救急 隊員にも当てはまる。しかし、院外であるた め医療資器材には制約があり、さらに、医療 行為が行えず、処置にも限界がある。このような厳しい条件があるからこそ、様々な工夫 を凝らし、最良の方法を探る努力がなされて い る 。 例えば、生命危機のチェックを医療機関で は
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と 呼 び 、 気 道 川 問 、 換 気 回 、 循環例、中枢神経倒、脱衣と体温保護側を短 時 間 に 行 、 っ 。 こ れ を ﹁ ﹀ 切 の り 開 ω ア プ ロ ー チ ﹂ ともいう。生命危機を把握すれば医師は直ち に蘇生に取りかかる。現場での初期の観察も 同様であり﹁初期観察(初期評価)﹂と呼ば れる。気道の異常、ショック症状などを認め れば、余計な観察は省き直ちに搬送を開始す る ( 図 3 ) 。なぜなら、隊員が行える処置は簡 便な方法による気道確保、補助換気、酸素投 与、開放性気胸の処置、プレイルチェストの 生命危機のチェック (Primary survey) 生命危機のチェック (一次検索) -ABCDEsアプローチ →蘇生に必要な損傷検索 (身体、 X線、 FAS T) @初期評価 (DABC) @致命的損傷の検索 (簡易な身体所見) │ 蘇 生 │ 1L&G │三次医療機関│ 圧迫固定法、外出血の止血などに限られてい るからである。したがって、 E F 除 。 リ リ と な る わ けである。医療機関では﹁﹀切のり開 ω アプロー チ﹂の異常から、胸部X
線、骨盤X
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腹腔内出血、心タンポナl
デ、血胸を 検索する超音波検査)を駆使して致命的な損 傷を見つけ出し、直ちに蘇生に結びつける。 しかし、現場ではたとえ致命的な損傷が存在 していても、バイタルサインと意識レベルの みでは危険を察知できないことがある。その ため、二疋の重篤な損傷を体表から観察する よう教育している。これを簡易全身観察(迅 速全身観察)と呼ぶことが多い。これは後に 述べる病院選別基準の∞Z
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の損傷を見つ け、生命危機を先んじて予測する作業である。 治療を必要とする全身の損 傷検索 (Secondary survey) 生命危機に関連しない全身 の損傷検索 (二次検索) @受傷機転、病歴 @受傷機転、病歴 @身体所見、検査 @身体所見 @継続した観察 ;転送の判断│ │損傷に応じた本格的治療│ @継続した観察 │損傷に応じた病院選定│ 図3 病院前救護と診療の共通点と相違 外傷観察の流れはほぼ向様である。最初のステップ(一次検索またPri -mary survey)はいずれも生命危機をチェックする作業であるが、生命 危機に対して現場では搬送開始を、医療機関では蘇生を開始するO 現場 では初期評価で生命危機を認知できなくても、生命危機を予測させる致 命的な損傷を検索する手順を追加させているo (詳細は本文参照) 生命に危険がないことを確認すれば、全身 のどこにどのような損傷が存在するかを検索 する。これを医療機関ではω
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と呼ぴ、詳細な病歴や受傷機転の聴取と系統 だった身体所見からなる。種々の諸検査を利 用することも可能である。最終の目的はどの ような治療が必要かを判断し、処置すること にある。一方、現場では諸検査以外の手順は 同じであるが、その目的は医療機関の選定に ある。不明な場合は、助言や指導を受けるべ きであろう(メディカルコントロール)。 病院前では救命的な処置に限界があるた め、搬送開始の判断と迅速な搬送そのものに 期待することになる。この際、最も強調すべ き点が二次損傷の回避である。二次損傷には 酸素化や循環を悪化させることで中枢神経を 一層障害する生理学的な要素と、患者を愛護 的に扱わないために生じる解剖的な要素とが ある。気道確保、酸素投与、外出血の止血な どは、救命的処置であると同時に二次的脳損 傷回避の目的がある。また、頚椎外傷の否定 できない症例に対し、一頚髄損傷の増悪をきた さぬよう頚椎カラーを装着するのは当然であ る。背面を観察する際でも、脊椎外傷が潜在 する可能性を考慮して、円。悶1 5
-法を行う点 も院内診察と同様である。さらに、脊椎全体、 四肢の安定化と搬送時の二次的身体損傷を回 避する工夫として、ロングパックボl
ドの使 用が推奨されている。ただし、ロングバック ボl
ド使用に際し、頭頚部の固定が気道の確 保よりも決して優先しないことを十分認識す べ き で あ る 。 救 怠 救 命 第9号 16病
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院外で行う重症度評価は、初期診療で医師 が行う理論と同様である。評価に用いる指標 とその優先順位も同じであり、川生理学的徴 候の評価、同身体所見からの損傷評価、同受 傷機転、同傷病者の弱点(高齢、妊婦、病歴な ど)の順である。この評価基準をもとに、対 応可能な医療機関が選定される(図 4 ) 。この 選定基準は基本的には三次救急医療施設への 搬送適応を規定するためのものであるが、先 に述べたように地域によっては、これに匹敵 する機能を有する病院へ搬送してもよい。こ の基準を遵守するとオーバートリア
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ジとな り、収容側の医療機関に過分な負担を強いる が、オーバートリア I ジでないと救命できる 機会が少なくなる。逆に、アンダートリア I ジ では確実にP
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﹃庶民﹃が増加する。 迅速な搬送 迅速な搬送は、収容依頼に対する医療機関 の対応と搬送手段の選択などに大きく依存す る。収容依頼を迅速にするには、隊長自らが 医師と直接交信し、簡潔に重要な情報を伝え ることである。継続した交信も重要で、必要 なら助言、指導を受ける。搬送手段をうまく 選ぶことも時間の短縮化につながる。地域に よりヘリコプターの活用も考慮する。医療行 為を前倒しする方法としてドクターヵーやド クターヘリも活用すべきである。 標準化プE
グラムと研修コース 前記のような内容を整理し、標準化プログ ラムとして普及させるために、研修コl
ス が 存在する。米国では外傷救護の標準化教育プ ログラムとして救急隊員向けに出叶戸ω25
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ピ 向 。 ∞ 己 円 ) ℃ 。 丘 ⑧ ) があるが、我が国では諸般の事情から導入が できず独自のコ1
スがある。日本外傷学会と 日本救急医学会とで開発中の標準化プログラ ム で し ﹁ ﹀ 寸 開 。( Y H
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同 ︿ 山 宮 内 拝 芯 ロ 自 己 ! の 向 。 ) と 称 し て い る 。 我 が 国の隊員向け研修コl
ス に は 、 回 同 J H k m w を参考に実状に適合させた司寸(リ﹄(
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式に日本に導入された出寸戸∞があ る。現在、各組織の連携を図り、医学 的根拠に基づくプロセスの確立、用語 の統一、啓発活動の推進などを調整す る場として日本救急医学会に司寸宍 U9 5
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何 ︿ 丘 ロ 巳 芯 ロ 俸 の向。)委員会が設けられ、我が国の 病院前外傷救護標準化プログラムとし て進化、発展させる努力を行ってい る 。 さ ら に 、y r
吋開。との整合性を図 る努力も重ねている。 おわりに 救急医療に占める外傷の頻度は決し て少なくない。ようやく最近になっ て、外傷医療に関して病院前救護や初 期診療の手順を標準化する動きが見え 始めた。標準化プログラムとは推奨す べき一つのお手本を示すものであっ て、他の方法を除外するものではな い。状況に応じた多くのオプションを 許容してこそ広く受け入れられる。そ の目標は日本中どこでも外傷患者に対 して良質の医療を提供できるようにすること である。とくに、P
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を防ぐ ことである。医学や医療制度は変化するもの であり、したがって標準化プログラムも日々 更新されることは一言うまでもない。 将来、外傷に特化した救急医療体制、包括 的な外傷システムを構築するには標準化プロ グラムと研修コl
スの展開は急務であろう。 (なし) 注釈・
St巴p1では、傷病者の観察開始 時に「気道閉塞、呼阪の異常、シ ョック、窓識低下」のみで“L& G 観察では、示した数値が基準とな る。 .St巴P3,4で該当し、病院選定に 苦応する場合、医師の助言、指導 を受けるのがよい(MC:メデイ カルコントロール) 5歳以下の小児 高齢者 妊 婦 'l).呼吸器疾患を治療中 インシユリン投与の患者 肝硬変 極度の肥満 由友病など出血傾向 (口の何れか一つに チェックあり) し) (口の何れか 一つにチェックあり) (なし) 口 以 下 の 歩 行 者 ・ 自 転 車 事 故 8km/時の事故 はね飛ばされ、蝶週 日 以 下 の バ イ ク に よ る 事 故 32km/時以上の事故 バイクか5投げ出され 6m以 上 か5の 墜 落 口 口 口 口 口 自 口 口 増大する頭部の腫張 奇異呼吸(フレイルチェスト) 開放性気胸 増大する頚胸部の皮下気腫 骨盤の動揺(骨盤骨折) 上腕・大腿に2本以上の骨折 四肢の蝶断 四肢麻痩 遠位四肢を除く鋭的損傷 外傷と熱傷の合併 開放性頭蓋陥没骨折 にチェックあり) 口 同乗者の死亡した自動車事故 救 出 に20分以上要した自動車事故 車外に放出された自動車事故 車の横転事故 64km/時以上の衝突事故 50cm以上の車体変形がある事故 30cm以上のコックピットの凹み 口 口 口 口 口 口 口 口 口 口 口盟
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ロ 重症度評価と病院選別の基準の参考例 図4輔
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一 一 授 閉 口 均 一- U U
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ト プロフィール たっかわ しょうじ 医療史専攻。文化史-生活史 の 視 点 か5病 気 ・ 医 療 を 追 究。主な著書に、『病気の社 会史j(NHKプ‘ックス)r
歴 史紀行・死の風農.J (朝白新 聞社)r
臨死のまなざし.J (新 潮社)r
からだの文化誌j(文 護春秋)r
生と死の現在j(岩 波書居)r
日本人の死生観j (筑摩書房)など。 が、じつは、この歌詞の背後には作詞者野口 雨情の長女が生まれてすぐに死んだという、 悲しい思いが秘められている。 屋根まで飛んで、 いのちを全うするしゃぼ 救 急 救 命 第9号 18 ん玉もあるが、生まれてすぐに死んでしまう しゃぼん玉もある。雨情は、しゃぽん玉に託 して、人のいのちを歌ったのである。 だから、最後に﹁風 ちをこわす風が吹かないように)、﹁しゃぼん 風 吹くな﹂(いの 玉 とばそ﹂と祈っているのである。 ところで、よく人のいのちは地球より重い といわれる。たしかに人のいのちの価値は何 物にもかえがたい重さをもっている。 いっぽう、人のいのちは地球のように重た くもなく、固くもなく、長くもない。人のい のちは、じつはしゃほん玉と同じように、軽 くて、こわれやすく、短く、もろくて、あや ういものなのである。九・一一の同時多発テ ロで見たように、いかに強固で安全を誇った ビルの中にいても、何千人のいのちが一瞬の うちにこわれてしまうのである。 いのちの大切さを考えるとき、まず、 しミ のちというものは、しゃぼん玉のように、 し五 か にこわれやすく、短く、あやういものである かを知らなければならないのである。
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( 白 山 ) ﹂ ところで、詩人野口雨情はしゃぼん玉に託 していのちのこわれやすさを歌ったが、ここ ではもう一歩ふみこんで、 いのちをしゃぼん 玉にたとえて考えてみたい。 私たち現代人は、人のからだ(身体)は骨 を中心に内臓や筋肉、血管や神経がつき、皮 膚でおおわれていると考える。近代西洋医学 の解剖生理学的な考え方である。いわば、か らだを国体的・部品的に考える思想である。 それに対し、東洋や日本の伝統的な身体観 は人のからだを液体的・全体的に考える思想 である。たしかに人体は重量比で六五 j 七O
パーセントが水分であり、二O
パーセントの 水分を失うと生命は危険になる。 中国医学でいう経絡(ツボ)、また﹁気﹂ という考えは、からだを液体的(あるいは気 体的)また全体的に考える思想に根ざしてい る。たとえば、近代医学では病気はからだの 局所(細胞や組織)に存在しているが、中国 医学では病気はからだ全体を流れている。西 洋でも近代以前は身体は液体でできており、 いのちは﹁空気﹂であると考えていた。 もし、からだは液体とするなら、しゃぼん 水でできているしゃほん玉は人のからだにた とえることができる。 そして、その液体でできた球形の膜の中に 満ちているのは人の息である。この息によっ て、しゃぼん玉は生きて、屋根まで飛んでい くことができる。さらに、しゃぼん玉を飛ば すのも風つまり空気なのである。 人のいのちは、目に見える液体的なからだ (身体)と自に見えない白川(空気)によって で き て い る 。 医学の父といわれる古代ギリシアのヒポク ラ テ ス は 、 いのちの原因は空気(プネウマ) であるといい、体外の空気は大気(アエール) と呼び、体内の空気は気白川(ヒュl
サ)と呼 んでいた。ヒポクラテスのい、っプネウマは中 国や日本でいう﹁気﹂の思想に近い。 江戸時代の貝原益軒は﹃養生訓﹄で、﹁人 の身は、気を以て生の源、命の主とす﹂とい いのちの基本は気であるという思 想である。だから養生(健康をたもつ)には っ て い る 。 なによりも気を養うことであり、そのために はからだを動かじて気を全身にめぐらすこと であり、息こそ人を生かす気であるから、患 を調えることが健康の基本であると説いてい る 。 しゃぼん水の液体と吹き込んだ息(呼吸) とのバランス、そしてしゃほん玉と風(大気) とのバランス、それがうまくとれてこそ、し ゃぼん玉はうまく飛ぶ (生きる)ことができ る 人も、液体的なからだと息に基づく気のバ ランス、それと外界(環境)とのバランスが うまくとれてこそ、 いのちを生ききることが で き る の で あ る 。救急救命士をめざす人たちへ
MESSAGE
一
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平成三年八月一五日に﹁救急救命士法﹂が施行 され、平成一三年四月一日までに消防機関の運用 救急救命士の数は九、四六一人、配置率は全国平 均で約六割となりました。この運用救急救命士の 数や配置率は、地域格差もあっていまだ充分では ないともいわれていますが、最近﹁病院前救護体 制のあり方﹂や﹁救急救命士の業務のあり方﹂が 盛んに議論され、病院前医療の質を確保するとい う視点から、メディカルコントロール体制の充実 強化が求められるようになっています。メディカ ルコントロールは、直接メディカルコントロール と間接メディカルコントロールの二つに分けられ ますが、私のように救急救命士の養成に関わるも のは、間接メディカルコントロールに含まれる﹁救 急救命士に医療人としての自覚を芽生えさせるよ うな教育﹂を、今まで以上に理解し、実践しなけ ればならないようです。 平成二二年三月の教育カリキュラムの変更にあ わせて、先日、大幅に改訂された救急救命士標準 テキスト改訂六版が発行されました。改訂五版 は、基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学 各論(臓器器官加、病態別、特殊病態)という構 成でしたが、改訂六版は、基礎分野、専門基礎分 野(人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の 過程、健康と社会保障)、専門分野(救急医学概 論、救急症候・病態生理学、疾病救急医学、外傷 救急医学、環境障害・急性中毒学)という構成に な り 、 A 4 サイズ八二二ページと大きく厚くなっ たものの、より救急救命士の教育に生かしゃすく なったように思います。私が気づいた範囲で改訂 六版の優れているところをもう少し詳しくあげま 守斤 Eコ 救急救命九州、│研修所教授文 川 波
すと、臓器器官別という枠組みにとらわれずに病 態や症候からのアプローチが明確化されて救急救 命士の現場活動の実践により役立つものになった ところ、基礎医学系のパ﹀O
学 H という表記が減 ったことからも推察されるように救急救命士が搬 送途上に遭遇する問題と比べて詳細に過ぎていた 記述が幾分削除されたところ、基礎分野に科学的 思考の基礎や人間と人間の生活という教養学的な 記載が追加されたところ、救急医学概論に救命士 の役割と責任及び生命倫理がより明確に記載され たところなどでしょうか。 救急救命九州研修所(愛称一エルスタ九州)に は、半年毎に関東以西の自治体から二、 000 時 間若しくは五年間の救急業務経験者二 O O 名が集 まり、研修生として専門的な医療知識や高度な救 急救命処置を学んでいます。研修生には、事前に 救急救命士標準テキストを熟読し、救急救命処置 の基本ともいえるバッグバルブマスク手技や心肺 脳 蘇 生 法 行 宍 U M N ) をある程度マスターしておく ことが期待されるわけですが、現実にはその期待 が裏切られる場合があります。この理由は様々に 考えられますが、たった半年の研修期間を有音山義 なものとするには、まず救急救命士をめざす本人 救:意救命第9号 20自身が、事前の学習が必須であること、基本的な 救急救命処置は入所前に修得しておく必要がある ことをしっかりと'自覚しておかなければならない ということです。このことは大いに強調したいと 思いますし、準備不足の研修生が、充分な準備を してきた研修生に対して、迷惑をかける可能性が あることも知っていただきたいと思います。 最近、医学や医療の流れにも変化がみられ、﹁ E B M 一根拠(エピデンス)に基づいた霞療﹂とい う言葉をよく見開きするようになりました。この 概念を提唱した一人とされる∞