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加熱タンパク質の人工消化率におよぼす食塩の影響について

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4 食 物 学 会 誌 ・第21号

加 熱 タ ン パ ク質 の 人 工 消 化 率 に お よ ぼ す

食 塩 の 影 響 に つ い て

* *

On the influence

of Sodium

Chloride

to the

Artificial

Digestibility

of Heat-processed

Protein.

Kotaro

Adachi

Masako

Yoshiyama

Atsuko

Mizuhara

Kazuko

Nakabo

1 緒 論 一 般 に 獣 肉 は 加 熱 に よ って 風 味 が 増 大 し,消 化 も良 好 に な る と云 わ れ て い る 。 タ ンパ ク質 の加 熱 に よ って うけ る 影 響 は,加 熱 方 法,時 間,温 度 に よ って 異 な る 。 (1ノ (2) (3j (4)

Melnick, Evans, Jones, Riesenら は 加 熱 処 理 に よる 。 大 豆 タ ンパ ク質 の 栄 養 価 の 向 上 を パ ン ク レア チ ンに よ るin vitroの 消 化 試 験 に よ つて 説 明 し,ま た水 の存 在 で大 豆 を 調 理 した 際,そ の 消 化 度 が著 明 に 向上 す る こ とを認 め て い る。 調 理 に お い て 調 味 料 の 使 用 は 不 可 欠 で あ る事 実 よ り タ ンパ ク質 に 食 塩 を添 加 して 加 熱 処 理 を 行 った 際 の 栄 養 価 の 変 化 を 知 る こ とは 意 義 あ る こ と と考 え られ る。 食 塩 添 加 の 目的 は 調 味 以 外 に食 品 の保 存 性 の 向 上 が あ (5) げ られ る が,ス モ ロ ジ ン ツ ェフ は 肉 の塩 漬 に お け る食 塩 の保 存 効 果 に つ い て,食 塩 の 分 子 が タ ンパ ク質 の ペ プチ ド結 合 に 付 加 され て,そ の た め に 微 生 物 の タ ンパ ク分 解 酵 素 が タ ンパ ク質 に 対 して 作 用 す る 力 を 阻 害 す る こ と も一 つ の重 要 な要 素 で な あ ろ う と解 釈 し て い る 。す なわ ち タ ンパ ク質 の 分 解 が お こ る た めY'は,ペ プ チ ド結 合 に 酵 素 が 作 用 しな け れ ば な らな い 。 と ころ が 食 塩 の 添 加 に よ りペ プチ ド結 合 が 食 塩 に よ って ふ さが れ る た め 酵 素 の タ ンパ ク質 に対 す る作 用 が 阻 害 さ れ る (6) の で あ る と して い る 。ま たR.Hammは 低 濃 度 の食 塩 中 で は タ ンパ ク分 解 が 促 進 さ れ る が 高 濃 度 で は 阻 害 され (7) る こ とを 報 告 して い る 。大 高,黒 沢 は 鶏 肉 タ ンパ ク質 の消 化 に 対 す る食 塩 の 影 響 に つ い て,食 塩 濃 度 が 高 く な る と塩 漬 肉 の消 化 性 は 低 下 す る が,塩 漬 時 間 の 長 短 に よ る消 化 性 の 差 異 は な い よ うで あ る との べ て い る。 著 者 等 は 牛 肉 を 水 の存 在 で 加 熱 処 理 しそ の 消 化 率 に お よぼ す 食 塩 添 加 の 影 響 を 知 る た め に 本 実 験 を 行 っ た 。 あ わ せ て 乳 製 カ ゼ イ ンを 用 い食 塩 浸 時 間 お よび 食 塩 濃 度 の変 化 に よ る消 化 率 の変 化 を も追 求 した 。 H 実 験 皿.1牛 肉 に よ る 実 験 Q.1.1試 料 の 調 製 京 都 市 販 牛 肉 の 赤 身 を 用 い 筋 肉 よ り結 締 組 織,脂 肪 を 機 械 的 に 除 去 し た 後,砕 挫 し た 。 これ を13.4gと り エ ル レ ン マ イ ァ フ ラ ス コに 入 れ50m1の 水 を 加 え,食 塩 を 水 と 牛 肉 の 重 量 の 和 に 対 し て0%0,1°o,3°o,5°o,7°o, 9%の 各 濃 度 で 添 加 し た 。 こ れ を10min,10min,20mi n,30minの 各 時 間70。Cに 加 温 し た 後,放 冷 し て 供 試 料 と し た 。 皿.1.H人 工 消 化 試 験 上 記 供 試 料 にpH4.8の0.0075M-」 酸 緩 衝 液15mlを 加 え,さ ら に パ ン ク レ ア チ ン100mg含 有 の 燐 酸 緩 衝 液 *本学食 品化学研 究室

(2)

10mlを 加 え る。よ く混 合 した 後,ト ル オ ー ル5mlを 加 え 強 く振 猛 して370C恒 温 器 中 に24hr,48hr,120hrそ れ ぞ れ 保 存 し た 。 各 測 定 時 に エ ル レン マイ ア フ ラ ス コを 沸 騰 水 浴 中 で15min加 熱 に よ り酵 素 力 を停 正 させ 沸 過 し て沖 液 か ら トル オ ー ル を 除 去 した 。 この 沖 液20m1を 5倍 に 稀 釈 した も の を 用 い,ホ ル モ ー ル 滴定 法 に よ り ア ミノ態 窒 素 量 を 測 定 した 。こ こに得 た をAと す る 。 次 に 前 記 供 試 料 にpH4.8の0.0075M一 燐 酸 緩 衝 液15m1 を 加 え,さ らに 不 活 性 パ ン ク レ ァ チ ン100mg含 有 の 燐 酸 緩 衝 液IOmlを 加 え よ く混 合 した後, トル ナ ー ル5mI を 加 え 強 く振 盤 し37。C恒 温 器 中に24hr,48hr,120hr そ れ ぞ れ 放 置 した 。 各 測 定 時 に エル レ ン マ イ ア フ ラス コを 沸 騰 水 浴 中 で15min加 熱 に よ り酵 素 力 を 停 止 させ 沖 過 して 沸 液 か ら トル エ ンを除 去 した 。この 沖 液20ml を5倍 に稀 釈 した も の を 用 い て ホ ル モ ー ル 滴 定 法 に よ りア ミ ノ態 窒 素 量 を 測 定 した 。 こ こに 得 た 値 をBと す る。 次 に前 記 供 試 料 を源 別 し,残 渣 は6hr真 空 乾 燥 を 行 い,沖 液 は濃 縮 す る。 こ の両 者 を 合 した もの に 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン100mg含 有 の 燐…酸 緩 衝 液10mlお よび 8N一 硫 酸309を 加 え,冷 却 管 を 付 して24hr加 水 分 解 を 行 な う。 こ の 時 を 極 大 値 とみ な して ホ ル モ ー ル 滴 定 法 に よ りア ミノ態 窒 素 量 を 測 定 し た 。 こ こに 得 た 値 をC とす る。以上A,B,Cか ら次 式 に よ り消 化 率 を 算 出 した 。 消 化 率(%)= C-B ・xlQQ 皿.皿 乳 製 カ ゼ イ ン に よ る 実 験 H.皿.1試 料 の 調 製 乳 製 カ ゼ イ ン無 水 物2gを0.05M一 第 二 燐 酸 ナ ト リ ウ ム 液100mlに 溶 解 し こ れ を 供 試 料 と し た 。 皿.皿.H人 工 消 化 試 験 上 記 供 試 料20mlに 水20mlを 加 え,食 塩 を 供 試 料 と 水 の 和 に 対 し て0%,1%,3°o,5°o,7°o,10餌 の 各 濃 度 で 添 加 し,さ ら に 各 々 に トル オ ー ル10mlず つ を 加 え た 。 こ れ を0日,1日,3日,5日,7日 の 各 時 間38QC恒 温 器 中 に 保 存 し た 。 各 時 間 保 存 し た 後,お の お の にpH 1.2ク エ ン酸 塩 塩 酸 緩 衝 液50m1と ペ プ シ ン 500mgを 加 え,さ らに38。C恒 温 器 中 に48hr保 存 の 後,1N一 苛 性 ソ ー ダ でpHを8.7と し た 。 次 に こ れ に ト リ プ シ ン19を 加 え て380C,48hr保 存 後,1N一 塩 酸 に てP且7と し,10%ト リ ク ロ ル 酢 酸80mlを 加 え,水 を 加 え て250ml定 容 と す る 。30min放 置 後,末 消 化 タ ン パ ク 質 を 沸 別 し,沖 液 の 一 定 量 を 採 っ て ケ ル ダ ー ル 法 に よ り窒 素 量 の 測 定 を 行 い,こ こ に 得 た 値 をAと し た 。 次 に 前 記 供 試 料20m1に 水20mlを 加 え,食 塩 を 供 試 料 と 水 の 和 に 対 し て0%,1°o,3°o,5jo,7%, 10°oの 各 濃 度 で 添 加 し, お の お の に トル オ ー ル10mI ず つ を 加 え た 。 こ れ を0日,1日,3日,5日,7日 の 各 時 間38。Cに 保 存 の 後,お の お の に10%ト リ ク ロ ル 酢 酸80m1を 加 え,水 に て250m1定 容 と し た 。 こ れ を 沖 過 し 沸 液 の 一 定 量 を 採 って ケ ル ダ ー ル 法 に よ り消 化 前 可 溶 性 窒 素 量 を 測 定 し,こ こに 得 た 値 をBと し た 。 次 に 前 記 供 試 料 一 定 量 を 採 り ケ ル ダ ー ル 法 に て 総 窒 素 量 の 測 定 を 行 な い,こ こ に 得 た 値 をCと し た 。 次 に pH1.2ク エ ン 酸 塩 塩 酸 緩 衝 液50mlに ペ プ シ ン500mgを 加 え よ く混 合 し た 後,1N一 苛 性 ソ ー一ダ でpH8.7と し, こ れ に さ ら に ト リ プ シ ン1gを 加 え よ く混 合 す る 。 後, 10°oト リ ク ロ ル 酢 酸80m1を 加 え 水 に て250ml定 容 と し,沿 液 の 一 定 量 を 採 り ペ プ シ ン と ト リ プ シ ン の 窒 素 量 を 測 定 し,こ こ に 得 た 値 をDと し た 。 以 上A,B, C,Dか ら 次 式 に よ り消 化 率 を 算 出 し た 。 消 化 率(00)A-(BC 一 吉D)× 皿 実験 結果 および考察 皿.1.A.生 肉 の 消 化 率 に お よぼ す 食 塩 添 加 の 影 響 に つ い て,活 性 パ ン ク レア チ ンお よび 不 活 性 パ ン ク レア チ ンを 用 い て 実 験 した 結 果,そ の ア ミノ態 窒 素 量 の変 表1 生 牛 肉 の ア ミ ノ 態 窒 素 量(mg.°o)

消 化 時 間(hr) \\] 24 48 120 A 189.14 lss. zs B 53.90 65.66 A B A 289.10 78.40 243.04 81.34 411.60 335.16 B .. 88.20 一1 174 .44189.14 ,;・. 139.19 67.69 75.46 .1 213.64 219.52

88.20 168.56 49.00 :1 313.60 73.54 70.56 164.64 70.56 316.54 88.20

272.72 272.72

i 86.24 .:.1

(3)

6 化 を 表1,図1に 示 す 。 但 しAは 活 性 パ ン ク レア チ ン を,Bは 不 活 性 パ ン ク レ アチ ンを 用 い た 値 であ る 。 食 物 学 会 誌 ・第21号 酸 で24hr完 全 加 水 分 解 した 際 の ア ミノ態 窒 素 量 の変 化 を 表2,図2に 示 す 。 図2 生 肉 の ア ミノ態 窒 素 量 の 変 化 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン と8N-H ≧SO4で24hr水 解 し た も の 図1 生 肉 の ア ミ ノ 態 窒 素 量 の 変 化 (A.活 性 パ ン ク レ ア チ ン使 用,B.不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン 使 用) 皿.1.B.生 肉 に 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン を 加 え,8N一 硫 図1,2に 示 す 如 く生 肉 の 場 合,24hr,48hr,120hr 各 消 化 時 間 の い ず れ に お い て も食 塩 濃 度 が 増 大 す る に つ れ て ア ミ ノ態 窒 素 量 は 減 少 し て い る。 皿.1.C.生 肉 の 食 塩 添 加Yrよ る 消 化 率 の変 化 を 表3, 図3に 示 す 。 消 化 率 は食 塩 濃 度 が 増 大 す る に した が って,24hr,48 hr,120hr各 消 化 時 間 の いず れ に お い て も減 少 して い る。 (1)24hr消 化 に お け る 消 化 率 の減 少 は0.6∼2°oで あ り,食 塩 濃 度0%の 場 合 と9°oの 場 合 の 消 化 率 表2 生 肉 の ア ミ ノ 態 窒 素 量(mg%) \\ 塩 濃 又(%) 消 化 時 間(hr)\ 0 1 3 5 7 9 24 91.0.91

840.84[82a83

1

770.56 700.56 756.70 表3生 肉 の 消 化 率(%) \ \,塩 濃 (°o)I I 消化時 間(hr)\ 0 24 48 12U 15.78 26.15 41.54 1 15.17 21.29 sz. si 3 5 7 16.00 17.85 31.87 14.24 19,25 33.46 13.79 15.32 30.36 9 12.74 13.71 29.66

(4)

図3 生 肉 の消 化率の変 化 の差 は3.04%で あ る。 (2)48hr消 化 に お け る 消 化 率 の減 少 は2∼5%で あ り 食 塩 濃 度0%の 場 合 と9°oの 場 合 の 消 化 率 の差 は12.94°°で あ る。 (3)120hr消 化 に お け る 消 化 率 の 減 少 は1∼9°oで あ り,食 塩 濃 度0%の 場 合 と9%の 場 合 の 消 化 率 の 差 は21...で あ る 皿.皿.A.10rnin水 煮 した 牛 肉に そ れ ぞ れ 活 性 パ ン ク レァ チ ンお よび 不 活 性 パ ン ク レア チ ンを 加 え,24hr,48 hr,120hrの 各 時 間 消 化 を 行 な った際 の ア ミノ態 窒 素 量 の変 化 を 表4,図4に 示 す 。但 しAは 活 性 パ ン ク レ ア チ ンを,Bは 不 活 性 パ ン ク レア チ ンを 用 い た 値 で あ る 。 皿.皿.B.10min水 煮 肉 に 不 活性 パ ン ク レア チ ンを 加 え,8N一 硫 酸 で完 全 加 水 分 解 を行 な った 際 の ア ミ ノ態 窒 素 量 の変 化 を 表5,図5に 示 す 。 図4 10min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量 の 変 化 A.活 性 パ ン ク レ ア チ ン使 用 B。 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン 使 用 120hr各 時 間 消 化 の い ず れ に お い て も, 大 につ れ て ア ミ ノ態 窒 素 量 は 減 少 して い る。 皿.皿.C.10min水 煮 肉 の食 塩 添 加 に よ る消 化 率 の 変 化 を表6,図6に 示 す 。 消 化 率 は 食 塩 濃 度 が 増 大 す るに つ れ て24hr,48hr, 120hr各 消 化 時 間 の いず れ に お い て も減 少 し てい る。 図4,5に 示 す 如 く10min水 煮 肉 の 場 合24hr,48hr, 食 塩 濃 度 の 増 表4 10min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量(rng%) \ 一鱗 巌(00)1 消化 時間(hr)\i 0 24 A B 48 A B 124

A

B 163.66 55.86 257.74 46.06 324.80 65.66 1 127.40 46.06 1$9.IA 42.14 273.00 50.96 3 5 137.20 50.96 .. 53.90 279.30 53.90 119.56 36.26 158.76 50.96 2'37.16 39.20 7 107.80 39.20 ,・ 50.96 205.80 50.96 9 107.80 46.06 ....i 46.20 202.86 44.10

(5)

一8 食 物 学 会 誌 ・第21号 表5 10min水 煮 肉 の ア ミ ノ態 窒 素 量(mg%) \ \ 傘 塩 濃 度(oa) \ \._ 消 化 時 間(hr)\ \ 24 a 1 350.493・380 3 5 7 1

9

335.30 32'5.50 306.10 297.5a 図510min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量 の変 化 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン と8N-H2SO4で 24hr水 解 し た も の (1)24hr消 化 に お け る 消 化 率 の減 少 は1∼5%で あ り,食 塩 濃 度0%と9%の 消 化 率 の差 は11.70 %で あ る。 (2)48hr消 化 に お け る消 化 率 の 減 少 は6∼14%で あ り,食 塩 濃 度0%とgoOの 消 化 率 の 差 は34.35 %と 大 きい 差 異 が み られ る。 (3)120hr消 化 に お け る消 化 率 の 減 少 は7∼11%で あ り,食 塩 濃 度0%と9°oの 消 化 率 の 差 は23,26 %と 大 きい 差 異 が み られ る 。 生 肉 の場 合 と比 較 して10min水 煮 肉 では,消 化 率 は 全 体 的 に15∼40°o高 くな って い る。 皿.皿.A.20min水 煮 肉 に そ れ ぞ れ 活 性 パ ン ク レ ア チ ンお よび 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ンを 加 え,24hr,48hr,120 図6 10min水 煮 肉 の 消 化 率 の 変 化 hr各 消 化 時 間 に お け る ア ミノ態 窒 素 量 の 変 化 を 表7 図7に 示 す 。 但 しAは 活 性 パ ン ク レア チ ンを,Bは 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ンを 用 い た 値 で あ る。 表6 10min水 煮 肉 の 消 化 率(OO)

繍 響 四i

a 1 3 24 48 36.30 31.57 120

56.1567.22 1 86.04 :. 26.90 47.71 :1L・ 5 .. ..1 33.93 69.14 7 z5.7a 38.36 9 24.60 60.60 32.87 62.66

(6)

表7 20min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量(mg%) '\ \ 塩 濃 度(00) __;_ ヘへ 消 化 時 間(hr)\ \ 24 A B 48 A 0 176.40 53.90 aao.90 B 53.90 120

A

357.00

B 56.84 1 3 5 7 149.80 i-一 一 49.・ ・1

127.40 124.60

51.94 49.00 ・:11 190.26 176.40 161.70 51.94 55.86 39.20 53.90 120.54 49.00 9 96.04 44.10 120.54 43.40 31i.06 65.66 267.40 252.70 60.76 190.40 63.70 58.80 201.60 61.60 皿.皿.B.20min水 煮 肉 に 不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン を 加 え,8N一 硫 酸 で24hr完 全 加 水 分 解 を 行 な っ た 際 の ア ミ ノ 態 窒 素 量 を 表8,図8に 示 す 。 図8 20min水 煮 肉 の ア ミ ノ態 窒 素 量 の 変 化 (不 活 性 パ ン ク レ ア チ ン と8N-H2SO4で水 解 した もの) 図7 20min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量 の 変 化

(AB:雑 ㌫ 多霧

拶 橿角)

図7,8に 示 す 如 く20min水 煮 肉 の 場 合,24hr,48 hr,120hr各 消 化 時 間 の い ず れ に お い て も,食 塩 濃 度 の 増 大 に つ れ て ア ミ ノ 態 窒 素 量 は 減 少 し て い る 。 皿 。皿.C.20min水 煮 肉 の 食 塩 添 加 に よ る 消 化 率 の 化 を 表 変9,図9に 示 す 。 表8 20min水 煮 煮 肉 の ア ミ ノ態 窒 素 量(mg%) \ \ _食 塩 濃 度(%) 、\ 一 消 化 時 間(hr)\ 24 0 438.90 1 406.00 3 418.60 5 436.10 7 367.50 9 348.60

(7)

一10一 食 物 学 会 誌 ・第21号 表9 20min水 煮 肉 の 消 化 率(%) 「一 \ 食 塩 濃 度(%)

靴 輔 命 一 一

0 1

3

5 7 24 31.38 28.23

1

37.07 18.67i 19.53 14.06 9 48 { 3&18 _ _一 一一_L-_ __1 120 78.53 72.14 30.53 54.67 32'.45 31.69 51.16 17.08 47.30 26.74 47.11 消 化 率 は 食 塩 濃 度 の増 大 に した が って24hr,48hr, 120hr各 消 化 時 間 い ず れ に お い て も減 少 して い る。 (1)24hr消 化 に お け る 消 化 率 の 減 少 は3∼10%で あ り,食 塩 濃 度0%と9°oの 消 化 率 の誰 は14.73 %で あ る 。 (2)48hr消 化 に お け る消 化 率 の減 少 は1∼7°oで あ り 食 塩 濃 度0%と9%の 消 化 率 の差 は11.4%で あ る。 (3)120hr消 化 消 化 に お け る消 化 率 の 減 少 は3∼18% と大 きい 差 異 を み,特 に 食 塩 濃 度1%と3%と の 消 化率 の 差 は 大 で あ る。 食 塩 濃 度0%と9% との 消 化 率 の差 は31.42°oと 大 きい 差 異 を 示 し た 。 皿.W.A.30min水 煮 肉 に そ れ ぞ れ 活 性 パ ン ク レ ア チ ンお よび 不 活 性 パ ン ク レ アチ ンを 加 え,24hr,48hr, 12unrの 各 消 化 時 間 に お け るア ミノ態 窒 素 量 の変 化 を 表10,図10に 示 す 。 但 しAは 活 性 パ ン ク レア チ ン,Bは 不 活1生パ ン ク レ ア チ ンを 用 い た値 で あ る 。 皿.W. B.30min水 煮 肉 に8N一 硫 酸 で24hr完 全 加 水 分 解 を 行 な った 際 の ア ミノ態 窒 素 量 の変 化 を 表11,図11 に 示 す 。 図920min水 煮 肉 の 消 化率 の 変 化 表10 30min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量(mg%) \ _ 塩 濃 又(%)

消化醐 面 \1

0 1 3 5 24 A B 154.84 49.00 124.46 119.56 114.66 一 一 一 一一一44.1046.06i 44.10 7 9 48 120 A B 196.00 42.16 184.24 『r 63.70

A

344.96 264.60

B へ

58.80 51.94

161.7Q 60.76 227.36 53.90 142.10 42.14 210.70 ・:1/ 42.14 119.00 42.14 207.76 .. ..1「55.86 f 47.04 113.40 44.10 197.96 55.86

(8)

図10,11に 示 す 如 く30min水 煮 肉 の 場 合,24hr,48hr 120hr各 消 化 時 間 の い ず れ に お い て も,食 塩 濃 度 の 増 大 に し た が っ て ア ミ ノ 態 窒 素 量 は 減 少 し て い る 。 表 10,11よ り 算 出 し た 消 化 率 の 変 化 を 表12,図12に 示 す 。 図1030min水 煮 肉 の ア ミ ノ 態 窒 素 量 の 変 化 (A.活 性Ofーン ク レ ァ チ ン使 用B.不活 性 パ ン ク レ ア チ ン使 用) 図1230min水 煮 肉 の 消 化 率 の 変 化 図1130min水 煮 肉 の ア ミノ態 窒 素 量 の 変 化

(毯 蘇 観 濡

ンと8N-H2SO4)

消 化 率 は24hr,48hr,120hr各 消 化 時 間 い ず れ に お い て も,食 塩 濃 度 の増 大 に した が い,減 少 して い る。 (1)24hr消 化 に お け る消 化 率 の 減 少 は1∼5%で あ り,食 塩 濃 度0%と9°oの 差 は9.05%で あ る 。 (2)48hr消 化に お け る消 化率 の 減 少 は0.2∼6%で あ り,食 塩 濃 度O°oと90aの 差 は14.6%で あ る。 (3)120hr消 化 に お け る 消 化 率 の 減 少 は1∼15%と 大 きい 差 異 を み,食 塩 濃0%と1°oの 差 は14.49 %,食 塩 濃 度0%と9°oの 差 は28.48%と い ず れ も大 きい 差 異 が み られ る。 表11 30min水 煮 肉 の ア ミ ノ 態 窒 素 量(mg'Oo)

24 5。9.6。997.。 。5。4.。 。1481.6。i46a9。462.。 。

(9)

一一IZ一 食 物 学 会 誌 ・第21号 表12 30min水 煮 肉 の 消 化 率(00) \ 食 塩 濃IV(%) \ \ 消 化 時 間(hr)\ \ \ 24 48 120 0 22.98 32.90 63.48 1 17.74 28。28 48.53 3 5 16.05 16.12 「 22.78 i 22.74 38.53 35.92 7 9 13.14 1$.41 」.3.93 36.96 18.28 35.00 図3,6,9,12よ り加 熱 時 間 の差 異 に よ る消 化 率 の 変 化 に お よぼ す 食 塩 添 加 の 影 響 を み た の で 次 に 消 化 時 間 の差 異 に よ る消 化 率 の 変 化 に お よぼ す 食 塩 添 加 の 影 響 を 図13,14,15に 示 す 。 図13加 熱時間 の差異 に よる消化率 の変 化 (人工 消化時 間24hr) 24hr,48hr,120hr各 消 化 時 間 の い ず れ に お い て も, 消 化 率 に お よぼ す 加 熱 時 聞 の 差 異 に よ る影 響 は10min 水 煮,20min水 煮,30min水 煮,生 の順 に 消 化 率 は 悪 くな る とい う結 果 を得 た 。30min水 煮 肉 と生 肉 の 消 化 率 の 差 は 食 塩 濃 度3%お よび7%に お い て ほ とん ど差 が み られ ず,食 塩 濃 度9%に お い て,わ ず か に0.8% 30min水 煮 肉 の 消 化 率 が 良 い こ とを 認 め た 。 皿.V. A.ペ プ シ ンお よび ト リプ シ ンに よ り乳 製 カ ゼ イ ン の 人工 消 化 を 行 な った 際 の 可 溶 性 窒 素 量 の 変 化 を 表13,図16に 示 す 。 表13,図16に 示 す 如 く食 塩 浸 漬 日 a,1,3,5, 7日 の い ず れ に お い て も人 工 消 化 を行 った 後 の 可 溶 性 窒 素 量 は 食 塩 の添 加 に よ って 減 少 して い る。 皿.V. B.食 塩 濃 度 お よび 浸 漬 日数 の 差 異 に よ る カ ゼ イ ンの 可 溶 性 窒 素 量 の変 化 を表14に 示 す 。 図14加 熱 時 間 の差 異 に よ る消 化 率 の変 化 (人 工 消 化 時 間48hr) 表11に 示 す 如 く食 塩 浸 漬 日数1,3,5,7日 の い ず れ に お い て も,消 化 前 の カゼ イ ンの 可 溶 性 窒 素 量 は 食 塩 添 加 に よ って 減 少 の傾 向 を 示 して お り,食 塩 濃 度7 %に お い て そ の傾 向 は い ち じる しい 。 また 食 塩 浸 漬 日 数 が 長 くな る に した が い,消 化 前 の カ ゼ イ ンの可 溶 性 窒 素 量 は 増 加 の傾 向 が み られ る 。 な お カゼ イ ンの 総 窒 素 量 は14.27°oで あ り,ペ プシ ン,ト リプ シ ン の窒 素 量 は105.Smg°oで あ った 。 以 上 よ り算 出 した カ ゼ イ ン の 消 化 率 の 変 化 を 表15,図17に 示 す 。 表15>図17に 示 す 如 く カゼ イ ンの 消 化 率 は,食 塩 浸 漬 日数0,1,3,5,7日 のい ず れ に お い て も食 塩 の

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表13 カ ゼ イ ン の 可 溶 性 窒 素 量(00) \ 一食 塩 。 又,(%) 浸 漬 日 数(日)\ \ \ 0 1 3 5 7 0 12.98 12.73 12.75 12.75 lz. sz 1 12.57 12.44 iz.70 1a 40 12.22 3 12.71 12.40 12.45 iz. i9 11.96 5 iz.75 12.6& 12.73 12.49 iz.5s 7 12'.67 12.49 12.57 12.49 12.04 is 12.93 12.66 12.54 12.57 12.49 表14 カ ゼ イ ン の 可 溶 性 窒 素 量(mg%)

度(%)

浸漬 日数(日)\ 0 1 3 a 1 196.z sz.4 95.3 80.3 266.7 145.9 5

.-1

267.5 1&9.4 3 .. .. 166.7 178.4 5 133.8 .・ 166.7 187.2 7 35.7 44.6 130.9 144.6 10 44.6 53.5 145.9 7 335.9 178.4 267.5 300.4 178.4 189.2 221.0 図15加 熱 時 間 の差 異 に よる 消 化 率 の 変 化 (人 工 消 化120hr) 図16食 塩 濃 度 お よび 浸 漬 日数 の 差 異1,rよ る ヵ ゼ イ ン の可 溶 性 窒 素 量 の 変 化 (ペ プ シ ン,ト リ プ シ ン各48hr消 化)

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一14一 食 物 学 会 誌 ・第21号 表15 カ ゼ イ ン の 消 化 率(%) ミ= \_食 塩 濃 度(%) __ 浸 漬 日数(日)\ \\ 0 ]. 3 5 7 0 90.1 88.4 ・ ・1 .., .. 1 87.3 86.5 .. :.i ・1 3 .. :.t 86.4 ., 82.7 5 .. 87.9 .. 86.8 87.2 7 88.0 86.7 87.2 :.. 83.3 1Q 89.9 88.0 1 $7.2 86.5 N 総 括 タ ンパ ク質 を 加 熱 処 理 しそ の 消 化 率 に お よぼ す 食 塩 添 加 の 影 響 を知 る 目的 で,あ わ せ て 乳 製 カゼ イ ンを 用 い て食 塩 濃 度 お よび 食 塩 浸 漬 時 間 の 変 化 に よる消 化 率 に お よぼ され る 影 響 を 追 求 した 。 結 果 を 要 約 す る と 1.試 料 牛 肉 の 場 合,加 熱 時 間10min,20min,30 minの 順 に ア ミ ノ態 窒 素 量 は 減 少 し,食 塩 濃 度 の 増 大 に した が っ て ア ミ ノ態 窒 素 量 は 減 少,消 化 率 は 低 下 す る。 2.試 料 牛 肉 の場 合,消 化 時 間24hr,48hr,120hr の順 に ア ミ ノ態 窒 素 量 は 増 加 し,消 化 率 は 良 好 とな る 。 図17食 塩濃度 お よび浸 漬 日数 の差異 に よるカゼイ ンの消化率 の変 化 添 加 に よ って 減 少 して い る 。従 って ス モ ロ ジ ン ツ ェ フ の タ ンパ ク質 の ペ プチ ド結 合 に 食 塩 分 子 が 付 加 さ れ て タ ン パ ク分 解 酵 素 の 作 用 が 阻 害 さ れ る と い う説 と矛 盾 しな い こ とを 認 め た 。 食 塩 濃 度3%に お い て 浸 漬 日数 1,3,5,7日 の い ず れ に お い て も消 化 率 が 最 も低 く,食 塩 濃 度5%で は 消 化 率 が 向 上 し,7°oに お い て 再 び 低 下 し て い る。 こ の こ とは タ ン パ ク質 の ペ プ チ ド 結 合 に 対 す る食 塩 分 子 の付 加 反 応 に 相 互 的 な量 的 関 係 が あ る こ と も考 慮 す る必 要 が あ る と考 え られ る 。 消 化 率 は 食 塩 濃 度3°o,7°oY`一 お い て は 浸 漬 時 間 を 長 くす る こ とに よ って 減 少 して い る。 しか し食 塩 濃 度1%, 5%,10%に お い て は 不 規 則 な変 化 を 示 し て お り,消 化 率 が 浸 漬 時 間 の長 短 に よ って影 響 を うけ る とい う こ とは な い よ うで あ る 。 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 3. 4. 5. 試 料 牛 肉 の 場 合,食 塩 濃 度1°o,3%,5%に お い て消 化 率 の減 少 率 が い ち じ る しい。 試 料 カゼ イ ン の 場 合,消 化 率 は 食 塩 浸 漬 日数 0,1,3,5,7日 の い ず れ に お い て も食 塩 添 加 に よる 消 化 率 減 少 の 傾 向 を 示 して い る 。 試 料 カゼ イ ンの 場 合,消 化 率 が 食 塩 浸 漬 時 間 の 長 短 に よ り影 響 さ れ る こ と は な い よ うで あ る 。

参 考 文 献

Melnick, D. et al.:Science,'{03,326(1946) Evans, R. J.: Arch. Biochem.,11,15(1946) Janes, D. B.:Federation Proc.,3,116(1944)

Riesen, W.H.et al.,:Biol. Chem.,167,143(19 47)

ク ル イ ロ ワ,リ ヤ ス コ フ ス カ ヤ(清 水,清 水 訳) :食 肉 の 化 学,183(1964)

Hamm, R.:Die Fleischwirtschaft,7,504 (19 55)

参照

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