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Application Note: Simple Charge Variant Profile Comparison of Innovator Monoclonal Antibody and a Biosimilar Candidate

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Academic year: 2021

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APPLICATION NOTE 21777

キーワード NIBRT、バイオ医薬品、バイオ生産、 品質保証/品質管理、バイオ治療薬、 免疫グロブリンG(IgG)、モノクロー ナル抗体(mAb)、重要品質特性、 インタクトタンパク質分析、タンパク 質特性解析、チャージバリアント分 析、セツキシマブ、先行医薬品、バイ オシミラー、カチオン交換クロマトグ ラフィー、CEX、イオン交換クロマト グラフィー、MAbPac SCX-10、pHグ ラジエントバッファー、CX-1 pHバッ ファー、Vanquish Flex UHPLC

著者

Silvia Millán, Anne Trappe, Amy Farrell, and Jonathan Bones

Characterization and Comparability Laboratory, NIBRT – The National Institute for Bioprocessing Research and Training, Dublin, Ireland.

アプリケーションの利点 • バイオシミラーのチャージバリアントを、1回の分析で、高い信頼性で評価可能 • クイックアッセイの最適化、移動相の評価は不要 • メソッドの多様性によるリスクを抑制 目的 先行バイオ医薬品(セツキシマブ)とバイオシミラー候補品分子のチャージバリアントプ ロファイルを特性解析するための、pHグラジエントとイオン交換クロマトグラフィーを 組み合わせたシンプルなワークフローに基づくアプローチの有効性を実証すること。本 アッセイが、簡便かつ再現性があり、容易に最適化でき、バリアントを効果的に分離でき ることを明らかにすること。 はじめに 医薬品用タンパク質は、大きく不均質な分子であるため、発現、精製、長期保存の過程 で種々の酵素修飾や化学修飾を受けます。中でも、酸化や脱アミド化、グリコシル化、凝 集、ミスフォールディング、吸着などの一部のタンパク質修飾は、医薬品の効能低下や好 ましくない免疫反応につながる可能性があります。

モノクローナル抗体の先行医薬品と

バイオシミラー候補品のチャージバリアント

プロファイルの比較の簡便化

Innovator

Biosimilar

(2)

バイオシミラーとは、先行タンパク質医薬品と類似しているも のの、異なるバイオプロセスで作られる医薬品用タンパク質で す。先行品とバイオシミラーは、モノクローナル抗体を発現する 細胞株によって精製過程がわずかに異なったり、最終配合成分 が異なったりすることで、違ったものになることがあります。市 場に投入されるバイオシミラーの数が増えている中で、バイオシ ミラーと先行バイオ医薬品の類似点と相違点を確実に評価でき る、堅牢で信頼性の高い分析手法が求められています。バイオシ ミラーの承認にあたっては、ロット間およびバッチ間の比較、安 定性試験、不純物のプロファイリング、グリコプロファイリング、 関連するタンパク質や賦形剤、タンパク質凝集体の同定など、医 薬品用タンパク質に関する詳細な解析が規制当局から要求され ます1 モノクローナル抗体(mAb)の特性解析では、製品の品質と安定 性に関して有益な情報が得られることから、電荷の不均一性の 評価が極めて重要です。電荷の複雑な不均一性は、C末端リジン 修飾2や脱アミド化といった翻訳後修飾(PTM)などの分子適応 によって生じると考えられます。 タンパク質の電荷は、含まれるイオン性アミノ酸の数と種類に よって決まります。リジン、アルギニン、ヒスチジンの残基は塩 基性です。一方、グルタミン酸やアスパラギン酸の残基は酸性 です。イオン性基にはそれぞれ固有の酸解離定数があるため、イ オン性アミノ基の数と種類を見れば、所定のpHでの特定のタン パク質の総電荷数が分かります。これをタンパク質分子全体で 考えると、表面の正味電荷が0になるpH値、すなわち等電点(pl 値)は、タンパク質によって異なります。 生じうる電荷のバリアント(チャージバリアント)は、タンパク 質の分子量に伴い増加し、電荷はPTMに応じて増減します。電 荷特性を利用してmAbを分離、解析する場合、通常多数のバリ アントが確認されます。これらのバリアントは一般に、タンパク 質のメインのアイソフォームに対して、「酸性」バリアントまたは 「塩基性」バリアントと呼ばれます。 イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、医薬品用タンパク質の 特性解析に広く用いられる有力なリファレンス手法で3,4,5、電荷 の不均一性の定性評価、定量評価に使用されています。IEXは、 電荷担体との相互作用の差異に基づき、チャージバリアントを 分離します。カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)は、チャー ジバリアント分析法のゴールドスタンダードとされていますが、 分析するそれぞれのタンパク質に合わせてカラムの種類や移動 相の組成(pHや塩濃度)などのパラメーターを最適化する必要 があるため、多くの場合メソッド開発が複雑になります6 CEXは、塩グラジエントまたはpHグラジエントを利用してタン パク質を分離します。どちらの手法でも最適化により良好な ピーク形状を得られますが、市販の移動相を使って直線的なグ ラジエントを容易に生成できる簡便さがある点で、pHグラジ エントの方が有利です。実際、塩グラジエント溶出にバッファー を再現性良く調製することは困難です。また、塩グラジエントは HPLCシステムの金属部品の腐食につながるおそれがあるため、 ステンレス鋼の使用を避けるか、定期的に不活性化処理を施し て腐食を防止する必要があります。 HPLCグラジエントの際、直線的にpHが変化する最適なバッ ファーを選択することにより、塩グラジエントバッファーよりも pHグラジエントバッファーの方が再現性の高い移動相を調製 でき、メソッド選択の一貫性と高い保持時間精度を実現できま す7。また、pHグラジエントは容易に最適化できるため、より幅 広いタンパク質のmAbバリアント分析に活用できます。しかしな がら、モノクローナル抗体の酸性および塩基性バリアントを最適 に分離するには、グラジエントによりpHを安定して直線に変化 させることが、選択性と分離能を高めるために重要です。 一般に、モノクローナル抗体は6∼10の等電点(pl値)を有しま す。タンパク質は、等電点と等しいpHでは、IEXの固定相との間 でイオン相互作用が起きません。pHグラジエントを用いてタン パク質と固定相との間で相互作用が起きないようにすれば、カ ラムからタンパク質が溶出します。そのためには、移動相の開始 pHをプロテオフォームの最小pl値よりも低く、最終pHを最大pl 値よりも若干高く設定する必要があります。CEXでチャージバリ アントを分離すると、メインピークよりも先に酸性バリアントが 溶出し、メインピークの後に塩基性バリアントが溶出します。 このアプリケーションノートでは、T h e r m o S c i e nti f i c™ M A bPac™SCX-10カラムを搭載したThermo Scientific Vanquish™ UHPLCシステムと、Thermo Scientific pHグラジ エントバッファープラットフォームを組み合わせたCEXアプロー チによる、生体分子チャージバリアントプロファイルの比較を紹 介します。これは、アッセイ開発が短時間で行え、メソッドの多 様性によるリスクが低いシンプルなソリューションです。

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pHバッファープラットフォームは、pH 5.6の低pHバッファーAと pH 10.2の高バッファーBで構成されます。100%バッファーAか ら100%バッファーBまで、pH 5.6からpH 10.2の範囲でリニアグ ラジエントを実行することで、幅広いmAbに対して堅牢で再現 性のあるグラジエントを適用できます。既存のLCカラムや装置 にそのまま使用でき、煩雑な移動相の調製も不要です。移動相 のグラジエントを変えると分離を調節でき、最適なメソッドが得 られます。 MAbPac SCX-10 LCカラムとpHバッファープラットフォームを 組み合わせると、mAbと関連するバリアントの高分解能、高効 率分析が可能です。独自のノンポーラスペリキュラー充塡剤によ り、一つだけ荷電残基が異なるmAbバリアントも分離できる優 れた分解能が実現します。ポリマービーズ表面に親水性層が形 成されており、この親水性層により、樹脂との疎水性相互作用が 抑制され、高効率なピークが得られます。また、当社独自の表面 のグラフト化陽イオン交換基によりpH選択性の制御が得られ、 高分離能を実現できます。 Vanquish Flexクォータナリシステムは、最新のクォータナリ低 圧混合ポンプを搭載し、正確性、精度、感度の新たなベンチマー クを確立するバイオコンパチブルUHPLCシステムです。Thermo Scientific Viper™フィンガータイトフィッティングをシステム全 体の接続を簡単に設定できます。 本アプリケーションノートでは、CHO細胞株(Thermo Scientific ExpiCHO™発現システム)で産生したバイオシミラー候補品の 比較対象モデルとして、哺乳類細胞株(Sp2/0細胞)で産生した IgG1キメラ型モノクローナル抗体であるセツキシマブ先行医薬 品を選びました。両者のプロファイルの違いがよく分かる複雑 さのチャージバリアントを有するものとしました。 バイオシミラー候補品mAbと市販のIgG1キメラ型抗体先行品 のチャージバリアントプロファイルの比較は、MAbPac SCX-10 HPLCカラムと、UV検出器を搭載したVanquish Flexクォータナ リUHPLCシステムを使用して、pHグラジエントモードで行いま した。 実験 薬品・試薬 • イオン交換水、比抵抗18.2 MΩ・cm

• Thermo Scientific CX-1 pHグラジエントバッファーA、pH 5.6 (P/N 085346)

• CX-1 pHグラジエントバッファーB、pH 10.2(P/N 085348) • Thermo Scientific Chromacol™バイアル(1.2-UHRSV) • Chromacolキャップおよびセプタム(9-SCX(B)-ST1X) • カルボキシペプチダーゼ B(150ユニット/m g、R o c h e

Diagnostics™ P/N 10103233001)

バッファー調製

• 移動相Aまたは溶離液A:Thermo Scientific CX-1バッファーA (pH 5.6)をイオン交換水で10倍希釈 • 移動相Bまたは溶離液B:CX-1バッファーB(pH 10.2)をイ オン交換水で10倍希釈 サンプル調製 サンプルをイオン交換水で5 mg/mLに希釈しました。C末端リ ジンの有無を検証するため、サンプルとカルボキシペプチダー ゼBを37℃で2時間、500 rpmでインキュベーションして消化さ せました。 分離条件 装置 以下で構成されるVanquish FlexクォータナリUHPLCシステムを 使用しました。 • クォータナリポンプF(P/N VF-P20-A) • カラムコンパートメントH(P/N VH-C10-A) • スプリットサンプラーFT(P/N VF-A10-A)、25 µLサンプル ループ付き • ダイオードアレイ検出器HT(P/N VH-D10-A)、Thermo S c i e nti f i c L i g htPi p e™ 標準フローセル10 mm(P/N 6083.0100)付き

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結果と考察 セツキシマブ先行医薬品とバイオシミラー候補品の分離結果を それぞれ図1、図2に示します。図1a、図2aは、MAbPac SCX-10 HPLCカラムを用いてグラジエントA、pH 5.6∼10.2の範囲で分離 した結果です。図1b、図2bは、これより勾配が低く、狭い範囲の pHグラジエントでの分離結果です。いずれの条件でも予想どおり 短時間でチャージバリアントを分離できましたが、勾配が低い方 が高い分解能が得られ、バリアントを良好に同定できました。 分離条件 流量: 1.0 mL/min カラム温度: 30℃ オートサンプラー温度: 10℃ 注入量: 10 µL ダイオードアレイ検出器設定: 280 nm pHグラジエント: 表1 時間(分) 溶離液B% グラジエントA グラジエントB 0.0 0 10 30.0 100 40 30.1 0 10 40.0 0 10 表1:pHグラジエント条件 データ処理ソフトウェア

Thermo Scientific Dionex™ Chromeleon™ クロマトグラ フィーデータシステム(CDS)7.2.4 図1:MAbPac SCX-10、10 µm、4×250 mmカラムを用いた市販のIgG1キメラ型mAbバリアント(セツキシマブ)のクロマトグラム ―a)pHグラジエントA、b)pHグラジエントB 吸光度( mAU ) 2.0 4.0 TIme(min) 40.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 32.6 -0.4 5.0 10.0 15.0 20.0 30.0 25.0 b) 92.5 -1.8 5.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 a) 40.0 10.0 100.0 0.0 吸光度( mAU ) 24.4 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 22.5 b) 57.1 -0.85.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 54.0 50.0 a) 40.0 10.0 100.0 0.0 a)

(5)

図3は、最適化されたpHグラジエントBを用いて、セツキシマブ 先行品(黒線)と自社生産したセツキシマブバイオシミラー候補 品(青線)のチャージバリアントプロファイルを比較した結果で す。C末端リジンがトランケーションしたバリアントと、その他 の酸性、塩基性バリアントが良好に分離されています。両サン プルで10のバリアントを示すピークが確認できました。ピーク6 とピークFをメインのアイソフォームとしました。特に市販医薬 品のピーク3、4、9は、アナライト間でのチャージバリアントプロ ファイルの相違が目立ちます。 図3:MAbPac SCX-10カラム(4.0×250 mm、10 µm)を用いてpHグラジエントモードで市販のIgG1キメラ型mAb(黒線)とセツキ シマブバイオシミラー候補品(青線)を分析し、チャージバリアントプロファイルを比較。各ピークの番号はクロマトグラムのピーク数 に応じたもので、ピークの識別番号ではない 12 3 H IJ 吸光度 ( mAU ) Time (min) 2.5 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.4 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 2.0 0.0 -4.1 セツキシマブ(市販) 4 5 6 7 8 9 10 セツキシマブバイオシミラー候補品 A B D C E F G チャージバリアント分析で一貫してピークを同定するには、保持 時間精度(RSD)が重要です。セツキシマブ先行品とバイオシミ ラー候補品をそれぞれ連続注入して、保持時間精度を測定しまし た(図4、図5)。10個のピークの精度を評価した結果を表2、表3 に示します。全ピークの保持時間のばらつきを表す平均相対標準 偏差(RSD)は0.14%でした。ピーク別に見ると、もっともばらつ きが大きかったのは早期に溶出した少量成分で、0.65%でした。 図4:セツキシマブ先行品を6回連続注入した、クロマトグラムの重ね書き 1 2 吸光度( mAU ) Time (min) 2.0 0.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 28.0 13.0 12.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0 20.0 21.0 22.0 23.0 24.0 25.0 26.0 27.0 3 4 5 6 7 8 9 10 セツキシマブ市販医薬品 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 Time [min] -4.1 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.4 min mAU 16.0 18.0 20.0

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チャージバリアントピーク 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 保持時間(分) 14.50 14.75 15.64 16.94 18.33 19.89 20.42 21.72 23.48 24.89 保持時間精度(%RSD) 0.44 0.13 0.05 0.08 0.08 0.07 0.28 0.08 0.19 0.05 表2:セツキシマブ先行品のチャージバリアント分析(図4)におけるピーク保持時間精度(n=6) 図5:セツキシマブバイオシミラー候補品をMAbPac SCX-10カラム(4.0×250 mm、10 µm)に連続注入し実施したpHグラジエント 分離 G H I J E D A B 吸光度 ( mAU ) Time (min) 0.00 1.25 2.55 3.75 5.00 6.25 7.50 8.75 10.00 11.25 12.50 13.75 15.00 16.25 17.50 18.75 20.00 21.25 -1.40 28.0 13.0 12.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0 20.0 21.0 22.0 23.0 24.0 25.0 26.0 27.0 C F セツキシマブバイオシミラー候補品 mAU 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 Time [min] -4.1 -2.00.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.4 18.0 20.0 22.0 Absorbance (mAU) チャージバリアントピーク A B C D E F G H I J 保持時間(分) 15.38 16.18 16.65 17.51 18.19 19.97 21.91 22.94 24.52 25.17 保持時間精度(%RSD) 0.10 0.65 0.08 0.13 0.04 0.03 0.01 0.20 0.11 0.04 表3:セツキシマブバイオシミラー候補品のチャージバリアント分析(図5)におけるピーク保持時間精度(n=6) いずれのmAbも、ピーク7∼10(G∼J)は、メインピーク(図4、 図5)のC末端リジンがトランケーションしたバリアントであると 仮定しました。各ピークの保持時間のばらつきの原因が重鎖の C末端リジン含有量の相違であることを検証するため、C末端リ ジン残基を切断するエキソペプチダーゼであるカルボキシペプ チダーゼB(CPB)でmAbを処理しました。すると、両サンプルで ピーク7∼10(G∼J)が定量的に消失しました(図6、図7)。セツ キシマブ先行品は、ピーク8に1個、ピーク10に2個の末端リジン 残基があります。リジンがトランケーションしたその他のマイ ナーバリアントはピーク7と9です。一方、バイオシミラー候補品 は、ピークGに1個、ピークJに2個の末端リジン残基があります。 リジンがトランケーションしたマイナーバリアントは、明らかに ピークHとIです。

(7)

図6:セツキシマブ先行品のC末端リジンがトランケーションしたバリアントの特性解析。MAbPac SCX-10カラム(4.0×250mm、 10 µm)、pHグラジエントモードを使用 2 1 3 4 5 6 7 8 9 10 12 3 4 5 6 吸光度 ( mAU ) Time (min) 2.5 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.4 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 2.0 0.0 -4.1 セツキシマブ市販医薬品 カルボキシペプチダーゼBで処理したセツキシマブ市販医薬品 KK K 図7:セツキシマブバイオシミラー候補品のC末端リジンがトランケーションしたバリアントの特性解析。MAbPac SCX-10カラム(4.0 ×250mm、10 µm)、pHグラジエントモードを使用 B A B I J H 吸光度 ( mAU ) Time (min) 28.1 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 2.0 0.0 -2.4 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 セツキシマブバイオシミラー候補品 カルボキシペプチダーゼBで処理したセツキシマブバイオシミラー候補品 C D E F G A C D E F KK K

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まとめ • この方法により、先行医薬品とバイオシミラーのモノクローナ ル抗体における電荷の不均一性の違いを評価することができ ました。 • pHグラジエントは、チャージバリアントのイオン交換分析 を簡易化できる有用な手法です。CX-1 pHグラジエントバッ ファーは、迅速化や再現性のニーズに応えるプラットフォーム で、メソッドの開発と最適化も容易になります。 • CX-1 pHグラジエントバッファーとMAbPac SCX-10カラム、 Vanquish Flex UHPLCシステムを組み合わせると、バイオ医 薬品のチャージバリアントを最高レベルで分離でき、優れた 保持時間精度が実現します。

参考文献

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