DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.36.11
恒常法における反応カテゴリー数の影響
岡 本 安 晴
日本女子大学
Effect of the number of categories in methods of constant stimuli
Yasuharu Okamoto
Japan Women s University
Simulation of experiments using methods of constant stimuli demonstrated that from a statistical perspective the three- or four-category (3AFC or 4AFC) methods are preferable to the two-category (2AFC) method. Point es-timates of the slope and position parameters, sigma and mu, respectively, of psychometric functions of cumulative normal distributions were calculated using Bayesian analysis of the data generated by simulation experiments using methods of constant stimuli. The root mean square errors (RMSEs) of estimates of sigma for the two-category method were approximately 1.4 times those for the three- or four-category methods. The just noticeable difference is given by a constant time of sigma. RMSEs of estimates of mu corresponding to the point of subjective equality were approximately of the same magnitude in the two- and four-categories methods, but those for the three-category method was about three fourths of those for the two- or four-category methods.
Keywords: Constant stimuli, RMSE, JND, PSE, psychometric function, Bayesian
は じ め に
精神物理学的測定法の1つである恒常法において,2 件法より3件法,4件法の方が統計学的分析における指 標(二乗平均平方根誤差; root mean square (RMS) error (Lunneborg, 2000))において望ましいというシミュレー
ション結果を得たので報告する。ここで,n件法(n cat-egories method)とは,英語文献ではnAFC法(n-alterna-tive forced choice method; n肢強制選択法)と呼ばれて
いるものであるが(村上,2011),日本語文献ではn件
法と呼ばれることが多いので本稿でもn件法と呼ぶこと にする。恒常法は高い評価が与えられてきた方法であり (鳥居,2001),よく知られた方法であり最も正確な方法 である(Kingdom & Prins, 2010)とされている。恒常法
における観察者の判断は
2件法が標準であるが(King-dom & Prins, 2010),参加者(観察者)が2件法での困難 を訴える(池田,2013; 神作,1998)場合は3件法を用 いることができる。しかし,参加者にとっての容易さと は別に,統計分析法の精度を表すRMS誤差が2件法より 3 件法あるいは 4 件法の方が小さいというシミュレー ション結果は,参加者にとっての容易さとは別の基準に よっても2件法より 3件法,4件法の使用が望ましいこ とを示唆するものであると考えられる。2件法に比べて 3 件法はデータ処理が複雑になるという説明があるが (池田,2013; 神作,1998),現代統計学の考え方に基づ いたPCでのデータ処理を行う場合には2件法と3件法/ 4件法とのデータ処理における複雑さの違いは問題にな らない。まず,恒常法実験における強制選択法の選択肢 数の影響を調べるためのシミュレーションで用いたモデ ルと統計分析法について説明する。 シミュレーション モデル 基本になるのはpsychometric function (PF)であり,精 神測定関数(大山,2010)あるいは心理測定関数(木村, 2013)と訳される。PFは精神物理学的課題の遂行成績 と物理刺激の関係を表すものである。恒常法において は,比較刺激Scompが標準刺激Sstdより「重い(モダリティ に応じて,「大きい」などとなる)」などの判断が行われ る確率をScompの関数として表したものであるが,累積正
Copyright 2017. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. Corresponding address: Department of Psychology, Faculty
of Integrated Arts and Social Sciences, Japan Women’s University, 1–1–1 Nishi-ikuta, Tama-ku, Kawasaki-shi 214– 8565, Japan, E-mail: [email protected]
規分布関数,ロジスティック関数,ワイブル関数,ギュ ンベル関数,双曲正割関数などが用いられる(Kingdom & Prins, 2010)。ここでのシミュレーションでは,理論的 に最も正当化される関数である(Kingdom & Prins, 2010) とされている累積正規分布関数を用いるが,PFが累積 正規分布関数で表されるという仮定は phi–gamma hy-pothesisと呼ばれている(Guilford, 1954)。このとき,比 較刺激が標準刺激より「重い」という判断をSstdÁScompで 表すと, ( std comp) = ((comp )/ ) P S S Φ S −μ σ となる。Φ(z)は累積標準正規分布関数である。位置パ ラメータμは,Scomp=μのとき,
( std comp) = (0) = 0.5, for comp=
P S S Φ S μ
となるので,主観的等価点(point of subjective equality; PSE)を表す。いま, = ( )p p Φ z となる値zpに対して,Scomp=μ+σ×zpとおくと std comp p comp p P S( S ) = ( ) = , for Φ z p S = + ×μ σ z (1) となるので,σ×zpは弁別確率 p に対する弁別閾(just noticeable difference; JND)である。弁別確率をp=0.75に 設 定 し た JND は Fechner に よ る も の で あ る が(Link, 1992),今日では測定法に依存した値が用いられ,上下 法では p= 0.5 0.707≈ などに対応する JNDが求められ ている(Levitt, 1971)。 2件法では,判断は比較刺激Scompの方が標準刺激Sstdよ り「重い(SstdÁScomp)」と「軽い(SstdÂScomp)」の2カテゴ リであるので,
std comp std comp comp
P S( S ) =1−P S( S ) 1= −Φ((S −μ σ)/ ) となる。 3 件法,すなわち判断が比較刺激 Scompの方が「重い (SstdÁÁScomp)」,「わからない/同じ(Sstd≈Scomp)」と「軽 い(SstdÂÂScomp)」の3カテゴリのときは,隣接カテゴリ をまとめて考え(大山,1971),
std comp std comp comp
P S( ≈S orS S ) = ((Φ S −C1)/ )σ とおく。C1は,「SstdÂÂScomp」判断と「Sstd≈Scomp」判断の境 界に対応するものである。「Sstd≈Scomp」判断と「SstdÁÁScomp」 判断の境界に対応する値をC2とおけば, ( std comp) = ((comp 2)/ ) P S S Φ S −C σ となる。3件法のPFは,サーストンモデル(Torgerson, 1958)と信号検出理論(Green & Swets, 1966)に基づい
て導くことができる(岡本,1994)。 4 件法,すなわち判断が比較刺激 Scompの方が「重い (SstdÁÁScomp)」,「どちらかといえば重い(SstdÁ?Scomp)」, 「ど ち ら か と い え ば 軽 い(SstdÂ?Scomp)」 と「軽 い(Sstd ÂÂScomp)」の 4カテゴリのときは,3件法のときと同様 に隣 接 カ テ ゴ リ を ま と め て,「SstdÁÁScomp」 と
「SstdÁ?Scomp」,および「SstdÂ?Scomp」と「SstdÂÂScomp」にま
とめて境界の値(PSE)をμとおけば,
std comp std comp comp
P S( ?S or S S ) = ((Φ S −μ σ)/ ) を得る。同様に考えて,
std comp std comp std comp
comp std comp comp P S S S S S S S C P S S S C ( ? or ? or ) = (( 1)/ ) ( ) = (( 2)/ ) Φ σ Φ σ − − を得る。 以上をまとめると以下のようになる。 2件法: std comp comp std comp comp P S S S P S S S ( ) = (( )/ ) ( ) =1 (( )/ ) Φ μ σ Φ μ σ − − − (2) 3件法: std comp comp
std comp comp comp
std comp comp P S S S C P S S S C S C P S S S C ( ) = (( 2)/ ) ( ) = (( 1)/ ) (( 2)/ ) ( ) =1 (( 1)/ ) Φ σ Φ σ Φ σ Φ σ − ≈ − − − − − (3) 4件法: std comp comp
std comp comp comp
std comp comp comp
std comp comp P S S S C P S S S S C P S S S C S P S S S C ( ) = (( 2)/ ) ( ? ) = (( )/ ) (( 2)/ ) ( ? ) = (( 1)/ ) (( )/ ) ( ) =1 (( 1)/ ) Φ σ Φ μ σ Φ σ Φ σ Φ μ σ Φ σ − − − − − − − − − (4) 3件法の場合,主観的等価点PSEをC1とC2の中央 C C PSE = ( 1+ 2)/2 (5) とおく考え方(岡本,1994; 大山,1971)があるが, 仮定(5)を否定するデータが4件法データで報告され ている(Okamoto, 2012)。しかし,本シミュレーション では,参考として仮定(5)を前提としたときのμ=PSE を求めた。 弁別閾JNDは,PFの傾きパラメータσにより,弁別確 率pに対応して
p JND= ×σ z (6) により算出する(式(1)参照)。カテゴリ判断の境界値 パラメータC1とC2は判断の基準に関するものであって 感覚の弁別力とは区別されるものである。判断過程と感 覚過程を区別する理論として信号検出理論(Green & Swets, 1966)がある。3件法データは,全系列法の不適 切な分析法の場合,判断の基準と感覚の弁別力を区別し た分析ができないが,確率モデルに基づいた分析を行え ば判断過程と感覚過程を区別することができる(岡本, 1995)。 3件法あるいは4件法におけるPFの傾きパラメータは JNDに対応しているので,PFによって異なる値である ことが無視できないことがありうると考えられる。この ときは,例えばモデル(3)は 3件法(傾きパラメータが異なる場合):
std comp min comp
std comp max comp min comp
std comp max comp
P S S F S P S S F S F S P S S F S ( ) = ( ( ) ( ) ) = ( =1 ( ) ) ( ) ≈ − − (7) where
min comp comp comp
max comp comp comp
F S min S C S C F S max S C S C 1 2 1 2 = { (( 1)/ ), (( 2)/ )} = { (( 1)/ ), (( 2 ( ) )/ )} ( ) Φ σ Φ σ Φ σ Φ σ − − − − と置くことができる。傾きパラメータが異なるPFは分 布の裾で交わり,差が負になることがあるので,これを 避けるためminとmaxによる調整を行っている。 4件法の場合,モデル(4)は 4件法(傾きパラメータが異なる場合):
std comp min comp
std comp comp min comp
std comp max comp comp
std comp max comp
P S S G S P S S S G S P S S G S S P S S G S ( ) = ( ? ) = (( )/ ) ( ? ) = (( )/ ) ( ) =1 ( ) ( ) ( ) ( ) Φ μ σ Φ μ σ − − − − − (8) where min comp
comp comp comp
max comp
comp comp comp
G S min S C S S C G S max S C S S C 1 2 1 2 = { (( 1)/ ), (( )/ ), (( 2)/ )} = { (( 1)/ ), (( )/ ), (( 2)/ )} ( ) ( ) Φ σ Φ μ σ Φ σ Φ σ Φ μ σ Φ σ − − − − − − と置くことができる。 本シミュレーションの目的である 2件法と3件法,4 件法の比較において想定されている実験状況では,PSE の近傍ではσは一定であるとするモデルによる比較で問 題ないと思われる。筆者の経験では,統計的に有意な 「σ1≠σ2」であることを示す実験データを得ることは特に 意図したデザインでない限り難しいと思われる。 分析法 社会科学における現代の標準的分析法はベイズ統計分 析法であると説明されている(Gill, 2015)。Psychonomic Societyは,伝統的な帰無仮説検定法に替わる方法とし てベイズ統計分析法を挙げている(Psychonomic Society, 2012)。PCのソフトウェアを利用すればベイズ統計分析 は簡単である。本シミュレーションにおけるデータ分析 法としてベイズ統計分析法を採用する。精神物理学実験 データ分析の場合のベイズ統計分析法が,岡本(2011) で簡潔に説明されている。 第i試行において提示された比較刺激をScomp-iとおく。 標準刺激 SstdとScomp-iの比較判断の結果を Riで表す。2件 法のときは,Riは「SstdÁScomp」と「SstdÂScomp」のいずれ かであり,3件法では「SstdÁÁScomp」,「Sstd≈Scomp」と「Sstd ÂÂScomp」 の い ず れ か,4 件 法 で は「SstdÁÁScomp」,
「SstdÁ?Scomp」,「SstdÂ?Scomp」と「SstdÂÂScomp」のいずれかで
ある。Scomp-iに対するRiの確率を
i comp i
P R S( −)
で表す。例えば,2件法においてRi=SstdÁScompのとき,
i comp i std comp comp
P R S( −) = (P S S ) = ((Φ S −μ σ)/ ) である(式(2)参照)。 試行総数が全部で N試行であるとき,N試行全体の データ N D R= { , ,1 R } の確率を次式 N i comp i i P D P R S =1 ( θ) =
∏
( −) (9)で与える(Kingdom & Prins, 2010)。ここで,θはPFのパ ラメータを表す。2件法のときはθ=(μ, σ), 3件法のとき はθ=(C1, C2, σ), 4件法のときはθ=(C1, μ, C2, σ)である。 このとき,θの事後分布は P D(θ ) ∝P0( )θ P D( θ) (10) で与えられる。P(θ) はθの事前分布である。特に理由0 がない場合は,無情報事前分布を用いればよいので,本 シミュレーションでは十分に広い範囲での一様分布を採 用する(Kingdom & Prins, 2010)。データ数が多くなると 事前分布が事後分布に与える影響は小さくなる。事前分 布が一様分布,すなわちθによらず定数のとき,式(10)
は
P D(θ )∝P D( θ) (11)
となる。すなわち,事後分布は尤度関数 L(θ|D)=P(D| θ)に比例する。
式(11)に基づいて事後分布のモード(maximum a posterior: MAP; McElreath, 2016)を求め,点推定値θ̂と
した。式(11)のもとで事後分布のモードは尤度関数を
最大にする値でもあるので最尤法における最尤推定値 (maximum likelihood estimator: MLE; Hogg, McKean &
Craig, 2005)でもある。 デザイン
PF を求める方法として恒常法を取り上げる。PF の 2 つのパラメータを求めるのに必要なデータ数の目安は 400個とされている(Kingdom & Prins, 2010)。恒常法に おける比較刺激の個数は5∼9個(苧阪,1994)とされ, 各比較刺激値の提示回数は20∼100回(大山,1971)と されている。比較刺激値は,標準刺激値より「重い」と 判断される確率が0から1までの範囲にわたる方がパラ メータの推定が安定する。データを生成するときの PF のパラメータ値として = 200, =15 μ σ を用いるが,これに対応して標準刺激値を std S = 200 とする。JNDは式(6)より JND= σ ×z0.75≈15 × 0.67449 10.1≈ である。モデル(3)および(4)における判断の基準値 C1およびC2をJNDに合わせて C C1= 2 =10 μ− −μ であるように設定する。すなわち, C1=190, 2 = 210C である。比較刺激値は,刺激値の間隔を 10として,次 の9個を設定する。 comp S =160,170,180,190, 200, 210, 220, 230, 240 この刺激値の間隔 10はJNDに合わせたものである。ま た,比較刺激値の最小値および最大値と標準刺激値との 差40は,ほぼJNDの4倍である。このとき弁別確率は JND z0.75 (4 × ) = (4 × σ × / ) (4 × 0.674490) 0.9965 Φ Φ σ Φ≈ ≈ であるので,比較刺激の両端の値は標準刺激に対してほ ぼ確実に弁別できるものである。 各比較刺激の提示回数 n_stを40回とすると,比較判 断の総試行数Nは N n st= _ × 9 = 40 × 9 = 360 となり,ほぼ400試行である。 以上の設定のもとで,2件法,3件法および4件法の データをそれぞれモデル(2),(3)および(4)に基づ いて各々 360試行分生成した。これらの各360試行分の シミュレーション実験を1回の実験として1000回繰り返 した。2 件法,3 件法および 4 件法の実験回数 n_exp は 各々1000回である。これら9個の比較刺激Scompを用いる シミュレーション実験の他に,比較刺激値の間隔の影響 を調べるために,刺激値間隔を倍の20とした次の5個の 比較刺激値 comp S =160,180, 200, 220, 240 を用いるシミュレーション実験も,2件法,3件法およ び4件法の条件でそれぞれ n_exp=1000回行った。刺激 値間隔20はJNDの約2倍である。刺激値間隔がJNDの2 倍である刺激の弁別確率は JND z0.75 (2 × ) = (2 × × / ) (2 × 0.674490) 0.91 Φ Φ σ σ Φ≈ ≈ であるので,かなり明瞭に区別できる差である。 PFの2つのパラメータを求めるときのデータ数の目安 は400個とされているので,各比較刺激値の提示回数を n_st=80としてシミュレーション実験を行った。このと き, N n st= _ × 5 = 80 × 5 = 400 である。 結果 総回数n_exp=1000回のシミュレーション実験におけ るi回目の実験におけるパラメータσおよびμの点推定値 をσ̂(i) およびμ̂(i) と表す。これらの点推定値の統計学的 特性としての平均(Mean),バイアス(Bias),標準誤差 (standard error: SE), 二 乗 平 均 平 方 根 誤 差(root mean
square error: RMSE) を 次 式 で 算 出 し た(Lunneborg, 2000)。
n exp i i n exp i i n exp i i Mean n exp Bias SE n exp RMSE n exp _ ( ) =1 1/2 _ 2 ( ) =1 1/2 _ 2 ( ) =1 1 = = _ = 1 = _ ( ) 1 = ( ) _ ˆ ˆ ˆ σ σ σ σ σ σ σ σ − − −
Biasは推定値の平均Meanとパラメータの真値との差 を表す。SEは,平均値を中心とする推定値の散らばり 具合を表している。RMSEは,パラメータの真値と推定 値との差の二乗和平均の平方根であり,この値が小さい ほど,よい推定値であると考えられる。パラメータμに ついても同様に Mean、Bias、SE および RMSE を算出し た。ただし,3件法の場合はパラメータμがないので, 式(5)の仮定のもとで次式 C C = ( 1+ 2)/2 μ によりμを与えた。 比較刺激値Scompが刺激値間隔10の9個の場合の結果を Table 1に示す。パラメータの点推定値の平均Meanは真 値に近い値であり,バイアス Biasは標準誤差SEの1⁄10 ぐらいであるので,バイアスはないと見なすことができ Table 1.Results of the Simulation of 1000 Experiments of Constant Stimuli Methods with Nine Comparison Stimuli, 160, 170, 180, 190, 200, 210, 220, 230, and 240, Each of Which Was Presented 40 Times with 200, the Stan-dard Stimulus.
Two categories Three categories Four categories
σ̂Mp Mean 14.88 14.89 14.90 Bias −0.12 −0.11 −0.10 SE 1.39 1.02 0.99 RMSE 1.40 1.02 1.00 Prop. of 95%CIs 0.933 0.939 0.938 μ̂Mp Mean 200.09 200.07 200.10 Bias 0.09 0.07 0.10 SE 1.47 1.11 1.41 RMSE 1.47 1.11 1.42 Prop. of 95%CIs 0.940 0.957 0.949
Note. To generate data, models (2),(3), and (4) of methods of two, three and four categories, respec-tively, were used with parameter values μ=200, σ=15, C1=190, C2=210. σ̂Mp and μ̂Mp denote MAP/MLE
estimators of σ and μ, respectively. For the method of three categories, estimate μ̂ is given by μ̂=(Ĉ1+Ĉ2) /2. Prop. of 95%CIs denotes proportion of the 95%CIs that include the true value for 1000 experiments.
Table 2.
Results of the Simulation of 1000 Experiments of Constant Stimuli Methods with Five Comparison Stimuli, 160, 180, 200, 220, and 240, Each of Which Was Presented 80 Times with 200, the Standard Stimulus.
Two categories Three categories Four categories
σ̂Mp Mean 14.89 14.94 14.93 Bias −0.11 −0.06 −0.07 SE 1.31 1.00 0.96 RMSE 1.32 1.00 0.96 Prop. of 95%CIs 0.944 0.937 0.945 μ̂Mp Mean 199.99 200.03 199.99 Bias −0.01 0.03 −0.01 SE 1.46 1.09 1.40 RMSE 1.46 1.09 1.40 Prop. of 95%CIs 0.948 0.961 0.954
る。RMSEは,位置パラメータμに対しては2件法と4件 法とで違いは認められないが,3件法は2件法および4 件法の約 3/4倍である。3件法のμの推定値は,2つのパ ラメータC1とC2の平均として与えられているので,よ り安定した推定値になっていると考えられる。傾きパラ メータσについては,2件法は3件法および4件法の約1.4 倍である。すなわち,主観的等価点(PSE=μ)の推定 においては2件法と4件法の間に違いは認められないが, 3 件 法 の RMSE は こ れ ら の 約 3/4 倍 と 小 さ く, 弁 別 閾 (JND=σ·z0.75)の推定値の場合は,2件法のRMSEは3件 法および4件法の約1.4倍と大きい。同じデータ数(N= 360)であっても,3件法のPSEの推定は2件法および4 件法より安定しており,また2件法のJNDの推定は3件 法および4件法より不安定である。 比較刺激値の間隔を20に広げ,各比較刺激の提示回 数をTable 1の場合の2倍の80回にしてデータ数を1実験 当 た り N=400 個としたときの結果を Table 2 に示す。 Bias, SE, RMSE の値は Table 1 の場合とほぼ同じである。 比較刺激値の間隔を10 (JNDとほぼ同じ)から20 (JND のほぼ2倍)に広げても,データ数が同じであれば推定 値の精度は同じと考えてよいようである。 なお,真値を含む95%確信区間(credible interval)の 比率は,Table 1 および Table 2 ともにほぼ 0.95=95%に なっている。 ま と め 恒常法によりPFのパラメータ値を求めるとき,2件法 より3件法あるいは4件法の方が統計的分析の観点から 望ましいことを示唆するシミュレーション結果が得られ た。統計分析法は,現在推奨されている分析法であるベ イズ分析法を用い,点推定値として事後分布の MAPを 採用した。MAPは,無情報事前分布に対しては最尤推 定値MLEと一致する。ベイズ統計における点推定値と しては他に事後分布の中央値あるいは平均値があるが, これらを用いた場合もTable 1およびTable 2とほぼ同じ 結果が得られている。事後分布は,データ数が多くなる と正規分布に近づくという性質があるが(Gelman et al., 2014),正規分布においてはMAP,中央値,平均値が一致 する。2件法を3件法および4件法と比べたとき,位置 パラメータμの推定では4件法と差は認められないが,3 件法よりは不安定である。ただし,3件法におけるμの 推定は式(5)の仮定のもとで行われていることに注意。 傾きパラメータσの推定においては,RMSEが小さいと いう意味で3件法および4件法の方が2件法より統計学 的に優れているという結果は,判断カテゴリ数を2から 3以上にすることによりPFの傾きに関する情報が増える と解釈できる。したがって,累積正規分布以外の PFに おいても,傾きに関わるパラメータの推定は,2件法よ り3件法あるいは4件法の方が統計学的に望ましいと考 えられる。 本研究では恒常法についてシミュレーションを行った が,測定の効率を考えて上下法,best PEST, QUEST, Psi 法など種々の適応的方法が提案されている。これらで は,2件法が前提とされている。また,Psi法を除いて, 推定される値は主観的等価点あるいは上(下)弁別閾に あたる値であり1つである(Kingdom & Prins, 2010)。Psi 法(Kontsevich & Tyler, 1999)は位置パラメータと傾きパ ラメータの2つを求めることができ,2つのパラメータ を同時に求める方法として最も優れた方法とされている (Kingdom & Prins, 2010)。Psi法も2件法を前提として提 案されたものであるが,3件法に拡張適用したもの(岡 本,2004), 4件法に拡張適用したもの(Okamoto, 2012)
がある。Psi法も含めて,適応的方法における2件法,3
件法および4件法の比較は今後の課題としたい。 引用文献
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