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鍼灸治療を受けた骨盤位の転帰と胎動の変化

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資  料

日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 30, No. 1, 120-130, 2016

*1聖路加国際大学大学院看護学研究科博士後期課程(St. Luke's International University, Graduate School) *2聖路加国際大学(St. Luke's International University)

2015年7月18日受付 2016年1月22日採用

鍼灸治療を受けた骨盤位の転帰と胎動の変化

Clinical outcomes of breech presentations and changes of fetal

movements after receiving acupuncture and moxibustion

東 原 亜希子(Akiko HIGASHIHARA)

*1

堀 内 成 子(Shigeko HORIUCHI)

*2 抄  録 目 的  胎児が骨盤位である妊婦が鍼灸治療を受けた際の治療経過を追跡し,特に治療に伴う胎動の変化を把 握し,鍼灸治療と胎動との関連を探索した。 対象と方法  妊娠28週から37週の鍼灸治療を希望する骨盤位妊婦を対象とし,治療前後の心身の反応,不定愁訴 の変化,胎動について分析した。胎動の「数」は胎動記録装置(FMAM)を用い客観的指標として把握した。 結 果  初産婦11名,経産婦1名の計12名を分析対象とした。年齢の平均は32.7歳であった。12名全員,治療 延べ24回中毎回「手足がぽかぽかと温かくなる」と答え,「リラックスして眠くなった」妊婦は治療24回 中22回(91.7%)に生じ副作用は認められなかった。「足のつり」「イライラ感」が治療前に比べ治療後有 意に頻度が減少した(「足のつり」z=­2.53, p=.011,「イライラ感」z=­2.00, p=.046,Wilcoxon符号付き順 位和検定)。胎位変換した頭位群は8名(66.7%),骨盤位のままだった骨盤位群は4名(33.3%)であった。 骨盤位診断から治療開始までの日数は,頭位群平均8.6日,骨盤位群27.3日であり,頭位群の方が有意 に短かった(t=­3.7, p=.02)。治療開始時期は,頭位群平均31.5週,骨盤位群34.1週であり,頭位群の方 が統計的に有意に早い週数で始めていた(t=­2.4, p=.04)。客観的な胎動数の変化として,初回治療時の 平均を,「治療前20分」「治療中」「治療後20分」で比較すると,「治療中」に有意差があり,頭位群173.71 回/時,骨盤位群105.63回/時と頭位群の方が有意に多かった(t=2.78, p=.02)。対象毎にみると,頭位 群では「治療前20分」に比べて,「治療中」または「治療後20分」に胎動が増加していた。 結 論  鍼灸治療は,手足が温まり,リラックスして眠くなることが生じ,副作用は認められなかった。「足 のつり」「イライラ感」の頻度が治療後有意に減少した。胎位変換率は66.7%であり,頭位群は診断から 平均8.6日以内に治療を始め,平均妊娠31.5週までに開始していた。胎動の変化として,頭位群は「治療 中」または「治療後20分」に胎動増加が認められた。 キーワード:妊婦,骨盤位,胎動,鍼灸

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Abstract Purpose

The purpose of this study was to follow the treatment of acupuncture combined with moxibustion with the fetus in breech presentation and to explore the correlation between acupuncture, moxibustion and fetal movement. Methods

Participants were pregnant women between 28-37 weeks gestational age, having a normal pregnancy until the diagnosis of fetal breech position, and wanting to receive acupuncture in combination with moxibustion. Mental and physical reactions, common pregnancy complaints, and fetal movements before and after the treatment were ana-lyzed. The number of fetal movements was measured using Fetal Movement Acceleration Measurement (FMAM) as an objective index.

Results

A total of 12 women were eligible for inclusion (11 primiparas and one multipara) and the average age was 32.7 years. There were 24 treatments given to each participant. On each occasion all participants reported an increased warmth in their hands and feet. On 22 out of 24 treatments (91.7%), the participants stated they felt relaxed and sleepy post treatment. Participants felt no adverse effects post-treatment. Frequency of "cramping of feet" and "ir-ritations" before treatments, significantly decreased post-treatment ("cramping of feet" z=−2.53, p=.011, "ir"ir-ritations" z=−2.00, p=.046; Wilcoxon signed-rank test). The cephalic version group comprised eight participants (66.7%); the breech presentation group whose fetus remained in the breech position even after treatment contained four partici-pants (33.3%). The time from a breech presentation diagnosis to the start of treatment was as follows: the cephalic version group was an average of 8.6 days and the breech presentation group was an average of 27.3 days. There-fore, the cephalic version presentation group had a significantly shorter period than the breech presentation group (t =−3.7, p=.02) in seeking treatment. The cephalic version group was at an average of 31.5 weeks gestational age, whereas the breech presentation group was an average of 34.1 weeks gestational age for commencement of treat-ment. The cephalic version group began treatment substantially earlier, than the breech presentation group (t=−2.4, p=.04). The FMAM monitored fetal movements 20 minutes before treatment, again during the treatment and finally 20 minutes after the treatment. During treatment, the cephalic version group moved 173.71 times/hr, compared with the breech presentation group at 105.63 times/hr which was a significant difference (t=2.78, p=.02). Overall, fetal movements increased more "during treatment", or "20 minutes after treatment" in the cephalic version group. Conclusion

Post-treatment, participants with the fetus in breech presentation felt a warmth of their hands and feet, were more relaxed and reported feeling sleepy. "Cramping of feet" and "irritations" felt by participants significantly de-creased after treatment. A fetus position conversion rate was 66.7%. The cephalic version group started treatment an average of 8.6 days from diagnosis of breech presentation, and by an average of 31.5 weeks gestational age. In the cephalic version group, the fetal movement increased "during treatment" and "20 minutes after treatment". There were no adverse effects reported during these treatments.

Keywords: acupuncture, moxibustion, breech presentation, fetal movement, pregnant women

Ⅰ.緒   言

 自然分娩を希望する妊婦にとって,骨盤位の多くは 選択的帝王切開になるため,骨盤位を頭位に治すこと は切実な願いである。胎位異常の骨盤位の頻度は妊娠 22週までは50∼70%認められるが,妊娠36週以降で は3∼5%にまで減少する(住吉,1997, p.1169)。  胎位矯正法には胸膝位・側臥位法(逆子体操),外 回転術や鍼灸治療がある。逆子体操の効果に関して は明白な根拠はないとされている(Hofmeyr & Kulier, 2012, p.6)。また妊娠35週を過ぎてからの外回転術は, 非頭位分娩を減少させる効果が高いことが報告されて いる(Hutton & Hofmeyr, 2006, p.2)が,胎盤早期剥離

や胎児心拍の悪化といった副作用があることから,日 本産婦人科学会の外回転術のガイドラインにより施行 する場合,緊急帝王切開が可能な施設であること等, 条件は厳しく規定されている。  助産所などでは,骨盤位に対して鍼灸を妊婦に勧め ている施設も多い。骨盤位に対しての灸治療の効果と 安全性を検証したCoyle, Smith & Peat(2012, p.2)のシ ステマティック・レビューがある。それによると,灸 と鍼併用治療を施行した群が治療をしない群と比べ 分娩時に非頭位である割合が低いこと(RR 0.73, 95%CI [0.57,0.94]),帝王切開の割合が低いことが示されてい る(RR 0.79, 95%CI [0.64,0.98])。しかし,灸の使用は 骨盤位を矯正するとは言及できず,今後更なるランダ

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ム化比較試験による追試が必要と結論づけている。  同じ介入方法で異なる人種を対象にしたランダム化 比較試験がある。まず1998年に妊娠33週の骨盤位の 中国人女性を対象に灸治療を実施した結果,介入群の ほうが治療中の妊婦の自覚による胎動数の平均が対 照群より有意に多く,また妊娠35週時の頭位の割合 が介入群75.4%,対照群47.7%であり(RR 1.58, 95%CI [1.29, 1.94]),灸治療が有意な成績を示したと報告し て い る(Cardini & Weixin, 1998, pp.1581-1582)。 一 方 2005年にイタリア人初産婦対象に実施した結果,妊娠 35週時の骨盤位の割合は介入群34%,対照群36%(RR 0.05, 95%CI [0.59, 1.5])であり2群間に差は認められな かった(Cardini, Lombardo, Regalia, et al., 2005. p.745)。 また,Neri, Airola, Contu, et al.(2004, pp.248-249)のラ ンダム化比較試験では,妊娠33週から35週の骨盤位 のイタリア人妊婦に鍼灸治療を実施した。その結果, 分娩時の頭位の割合が,介入群53.6%,対照群37.7% であり(RR 1.42, 95%CI [1.06, 1.90]),鍼灸治療群は治 療をしない群に比べ骨盤位から頭位へ変換する割合が 有意に高く,鍼灸治療の効果が認められたと報告し ている。本邦の骨盤位矯正に対する鍼灸治療の効果 を研究した論文を見ると,矯正率89.9%(林田,1987, p.199),83.5%(小林,石本,盆子原他,2010,p.43)と 有効性を示す結果も多いが,施術者本人が調査した研 究であり,第三者の評価はなされていない。鍼灸治療 のねらいは,経穴である至陰・三陰交を刺激し骨盤内 血流に影響を及ぼし,胎動数を増加させ胎児の自己回 転を促すことと言われている。しかし,胎位変換に至 る機序に関しては解明されておらず,胎児の回転を促 進させる数々の要因に関してなお検討する必要がある。 よって,胎児が骨盤位である妊婦(以下「骨盤位妊婦」 と称す)の治療経過やそれに伴う身体的・心理的反応, そして治療前後の胎動の変化を客観的に観察し,母親 からの主観的実態を交え基礎的資料として記述する必 要があると考えた。  本研究の目的は,骨盤位妊婦が,鍼灸治療を受けた 際の治療経過を追跡し,特に治療に伴う胎動の変化を 把握し,鍼灸治療と胎動との関連を探索することであ る。

Ⅱ.研究方法

1.研究デザイン  骨盤位における鍼灸治療中の胎児行動の客観的観察 と骨盤位妊婦の生理的変化および治療経過を追跡した 観察研究である。 2.研究の対象と期間  対象は,妊娠28週から37週の骨盤位で鍼灸矯正治 療を希望する者,胎児は単胎で妊娠経過が正常な者と した。また今回の妊娠中に鍼灸治療を受けたことがあ る者は除外した。データ収集期間は2012年6月上旬か ら2013年5月2日までであった。 3.調査場所と治療内容  都市部の鍼灸院1カ所で実施した。基本的治療のサ イクルは,1週間に1∼2回治療を行い,その他の日は 自宅で至陰(第5足趾の爪基部外縁に位置する経穴)と 三陰交(脛骨内踝より上4横指で脛骨後縁に位置する 経穴)(宮地直丸・宮地慧子・鈴木他,1994,p.331)に ワンタッチ灸(セネファ(株)のせんねん灸,または (株)山正の長生灸)で行う間接灸を1日2回行うよう に勧めている。治療内容は,東洋医学における一般的 な全身診断と胎位確認後,妊婦にシムス位になっても らい鍼と灸を併用する。三陰交に置鍼と遠赤外線によ る温熱療法約10分,至陰に半米粒大の直接灸6∼10壮 程度を左右交互に施術する。刺激量は患者がチクと熱 感を感じる程度とする。鍼はセイリン社製のディス ポーザブル鍼,長さ40mm太さ0.12mmを使用し,3∼ 5mm程度刺入し,10分程度置鍼する。 4.測定用具 1 ) 客観的データ  客観的胎動記録を胎動記録装置(FMAM recorder: fetal movement acceleration measurement recorder)を 用いて記録した。 (1)測定内容  鍼灸「治療前20分」「治療中」「治療後20分」の胎動数 を測定した。 (2)胎動記録装置のしくみ  加速度センサーを妊婦の腹部に貼り,一種のマイク ロホンで胎動を受動的に記録するしくみである(発明 者:西原・堀内,胎動監視システムおよび胎動監視方 法,国際出願:特願2007-501673)。この装置によって 収集できるデータは胎動の数である。解析時にプログ ラムによって胎動と母親の動きを閾値で自動的にピッ クアップし,母親の体動は除外される。

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(3)信頼性と妥当性

 この装置を使用した研究として,妊婦の胎動自覚と レコーダーに記録される母体腹壁の振動とがよく一致 するという報告(Nishihara, Horiuchi, Eto, et al., 2008, p.597)がある。一致度はprevalence-adjusted bias-ad-justed kappa (PABAK) testにて算出し,妊婦の胎動自 覚と加速度センサーの母体腹壁振動とのPABAKの平 均値は0.75 0.10であったと示している。また,躯幹 の移動や回転を伴う大きな運動が,レコーダーに記録 される振動と超音波断層法でよく一致することを見出 した研究(松本,2011, p.41)がある。結果,超音波断 層法によるgross fetal movementに対するセンサーA (妊婦が最も胎動を感じる部分),B(その対側の腹部), 胎動自覚のPABAK値はそれぞれ0.790 0.116,0.760 0.150,0.623 0.249であり,センサーA,Bともに,胎 動自覚に比べ高かった(p<0.0001)と報告している。こ れらの基礎研究によって測定用具の信頼性,妥当性は 確保されている。 (4)安全性  超音波断層法では超音波を当てている箇所の胎児行 動のみが観察でき,それ以外の箇所で胎児が動いてい ても把握できないが,加速度センサーは妊婦腹壁の振 動を高感度に感知できるため,胎児の位置にかかわら ず,胎動の有無を測定できる,超音波を照射しないと いった超音波断層法にはないメリットがある。また, 本装置を用いた先行研究において母子の有害事象の報 告は今までない。 2 ) 主観的データ (1)鍼灸治療直後の身体症状  治療後の変化について「おなかの張りが強くなった」 「おなかがぽかぽか温かくなった」「手足がぽかぽか温 かくなった」「リラックスして眠くなった」の質問に 「大変そう思う」から「全くそう思わない」の4段階リッ カート尺度を用いた。質問項目については釜付・金倉 ・野村他(1995)のものを参考にした。 (2)不定愁訴の変化  自作質問紙を用い,初回鍼灸治療前後で調査を行っ た。項目に関しては,林田・平川(1993),上原・大 谷・坂元他(2005),小安・内野・乾他(2009)の妊婦 の不定愁訴を調査した研究の上位に上がっている項 目,共通している項目を参考に,計19項目を選択した。 解答紙は,不定愁訴の有無・頻度に関して「よくある」 「時々ある」「ほとんどない」の3段階リッカート尺度を 用いた。 3 ) 調査項目  デモグラフィックデータとして,妊婦の年齢,妊娠 週数,分娩歴,今回の妊娠経過である。また骨盤位と 鍼灸治療経過として骨盤位診断妊娠週数,鍼灸治療開 始妊娠週数,治療回数,胎位変換の有無の4項目である。 5.調査方法と手順 1 ) リクルートの手順  鍼灸院に骨盤位矯正治療を希望している対象妊婦が 治療予約をした際,鍼灸師から妊婦へ本研究の協力依 頼を行ってもらい,同意が得られた妊婦を紹介しても らった。研究者から研究協力者に電話連絡をし,家庭 または研究協力者の希望の場所へ赴き,本研究の説明 書,同意書,質問紙を配布し,説明をした上で承諾書 のサインをもらい同意を得た。 2 ) 調査手順 (1)鍼灸治療日までに妊娠経過・不定愁訴に関する質 問紙に答え,治療当日に持参してもらった。 (2)鍼灸治療日,治療前20分・治療中・治療後20分, 研究者が研究協力者に胎動センサーを装着し測定した。 治療後,鍼灸治療直後の身体症状の質問紙に答えても らった。  1回の治療で胎位変換できた場合は,頭位が確定し た妊婦健診時に不定愁訴に関する質問紙に答えてもら い,1回の治療で胎位変換できず,2回目以降の治療が ある場合は(2)を継続し,治療前に不定愁訴に関する 質問紙に答えてもらった。追跡期間は鍼灸治療が終了 するまでとした。頭位に変換されなかった場合,最終 胎位を研究協力者とメールにて連絡を取り合い確認し た。最終追跡期間を妊娠37週とした。 6.分析の方法  胎動記録装置のデータ分析を行うソフトである胎動 解析プログラム:Fetal Movement Analysis(NoruPro Light Systems, Inc)の分析については,開発者の西原 京子氏(東京都医学総合研究所)と共に行うことで波 形判定の信頼性を保った。質問紙と胎動解析プログ ラムで検出した胎動数の分析には,統計解析ソフト SPSS version19.0を使用し,基本統計の算出し,χ2検定, t検定,治療前後の比較にはWilcoxonの符号付き順位 和検定を用いた。有意水準は5%で両側検定とした。 7.倫理的配慮  研究協力の依頼にあたっては,研究協力は自由意思

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であること,匿名性の保証,途中辞退の保証,不利益 が生じないこと,論文公表後3年間はデータを保存し その後破棄することを口頭と文書で説明した。本研究 は聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認を得た (承認番号:12-013)。なお,治療院及び施術用具の業 者,ならびに胎動記録装置の企業との利益相反はない。

Ⅲ.結   果

1.対象者全体の属性  研究協力施設から紹介のあった妊婦13名のうち, 同意が得られた12名を分析対象とした。分析対象の 年齢は,23歳から42歳の範囲で平均32.7歳(SD=5.2) であった。産歴は初産婦11名(91.7%),経産婦1名 (8.3%)であり,ほぼ初産婦が占めていた。骨盤位の 診断時期は,平均30.3週(SD=2.1)であった。鍼灸治 療開始までの日数は,4日から36日の範囲で平均14.8 日(SD=11.1),鍼灸開始妊娠週数は,29.1週から36.0 週の範囲で平均32.4週(SD=2.1)であった。鍼灸治療 回数は1回のみが6名,2回が2名,3回が2名,4回以上 が2名であった。 2.鍼灸治療直後の身体症状  12名全員が,治療延べ回数24回中毎回「手足がぽか ぽか温かくなった」と答え,24回中22回(91.7%)「お 腹がぽかぽか温かくなった」と答えていた。治療直後 に「お腹の張りが強くなったか」聞いたところ,24回中, 20回(86.7%),「そう思わない」と答えていた。また,「リ ラックスして眠くなった」と感じた妊婦が24回中22回 (91.7%)いた。 3.初回治療前後の不定愁訴の変化(図1)  初回治療前後で19項目の不定愁訴の有無を聞いた ところ,12名全員に認められた症状は「頻尿」であり, 次いで「お腹の張り」(10人,83.3%)であった。次に, 初回治療前後で不定愁訴有症者の変化をみたところ, 有症者の人数が治療後に減少している項目は19項目 中11項目であり,増加している項目は認められなか った。治療前後で,症状の頻度に差があるか検討した 結果,「足のつり」と「イライラ感」で治療後有意に頻 度が減少していた(「足のつり」z=­2.53, p=.011,「イラ イラ感」z=­2.00, p=.046,Wilcoxon符号付き順位和検 定)。 4.鍼灸治療後の最終胎位別対象の属性と胎位変換の 経緯(表1・図2)  頭位に胎位変換できた妊婦は8名,骨盤位のままで あった妊婦は4名であり,胎位変換した確率は66.7% であった。頭位の確定診断は,治療後直近の妊婦健診 時の超音波断層法の結果を用いた。ただし,胎位変換 した妊婦8名のうち5名は,次回妊婦健診以前に,研 究者の触診とドップラーでの胎児心音の位置確認によ り頭位が確認できていたため,早い時期をもって頭位 確定日とした。治療開始妊娠週数ごとに胎位変換した 人数をみると8名中妊娠29週,30週で各2名ずつ変換 し32週に1名,33週に2名,34週に1名であった。  鍼灸治療後,最終的に骨盤位から頭位へ変換でき た群(以下「頭位群」と称す)と骨盤位のままであった 0 1 3 9 9 2 0% 20% 40% 60% 80% 100% 鍼灸後 鍼灸前 足のつり よくある 時々ある ほとんどない 0 1 4 6 8 5 0% 20% 40% 60% 80% 100% 鍼灸後 鍼灸前 イライラ感 よくある 時々ある ほとんどない * * 図1 「足のつり」「イライラ感」の初回治療前後の変化 *:p<.05(wilcoxonの符号付き順位和検定)

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群(以下「骨盤位群」と称す)の比較を行った。年齢は, 頭位群は33.4歳(SD=5.2),骨盤位群は31.3歳(SD=5.6) であり,両群に年齢差は認められなかった。骨盤位 診断時期は頭位群が30.3週(SD=2.0),骨盤位は30.2 週(SD=2.7)であり,統計的な差は認められなかった。 骨盤位診断時期から鍼灸治療までの日数の平均は,頭 位群は8.6日(SD=4.8)で,骨盤位群は27.3日(SD=9.4) であり,頭位群の方が有意に短かった(t=­3.7, p=.02)。  また,鍼灸開始妊娠週数の平均は,頭位群は31.5週 (SD=1.9)で,骨盤位群は34.1週(SD=1.4)であり,頭 位群の方が有意に早い妊娠週数で治療を開始していた (t=­2.4, p=.04)。治療回数の平均は,頭位群は1.5回 (SD=0.8)で,骨盤位群は3.5回(SD=2.1)であり,頭位 群の方が有意に少なかった(t=­2.5, p=.03)。特に頭位 群の中で,1回の治療で頭位へ変換できた妊婦は5名, 2回以上の治療で3名であった。 5.「治療前20分」「治療中」「治療後20分」の胎動数の 変化(表2・図3)  「治療前20分」「治療中」「治療後20分」の各時期にお ける胎動数について,頭位群・骨盤位群の群間で平 均値の差がみられるか検討した。胎動数は1時間あた りの胎動数(Index n/h)で算出した。1回施術を受けた 者は12名,2回施術を受けた者は6人,3回施術を受け た者は4人,4回施術を受けた者は2人,6回施術を受け た者は1名であった。対象毎に治療回数が異なるため, 鍼灸治療という曝露回数が異なった状況での比較を避 けるために,初めて鍼灸治療を受けた際の胎動の反応 に限定して分析を行った。  まず,胎位別でみると,頭位群8名の「治療前20分」 の平均胎動数は121.22回,「治療中」173.71回,「治療後 20分」は150.05回であり,「治療中」が多かった。骨盤 位群4名の「治療前20分」の平均胎動数は138.18回,「治 療中」105.63回,「治療後20分」は54.59回であり,徐々 表1 鍼灸治療後の最終胎位別対象の属性 頭位群(n=8) 骨盤位群(n=4) t値 p値 平均±SD 年齢(歳) 33.4 5.2 31.3 5.6 .65 .53 骨盤位診断時期(週) 30.3 2.0 30.2 2.7 .053 .96 骨盤位診断から鍼灸治療までの日数(日) 8.6 4.8 27.3 9.4 -3.7 .02* 鍼灸開始妊娠週数(週) 31.5 1.9 34.1 1.4 -2.4 .04* 治療回数(回) 1.5 0.8 3.5 2.1 -2.5 .03* *p<.05(独立2群のt検定) ↑ ↑ ↑ 初回鍼灸治療 頭位確定 骨盤位診断 頭   位   群 骨 盤 位 群 妊娠週数 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 図2 骨盤位診断から初回治療までの経過及びその転帰

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に下降していた。しかし,統計的な差は認められなか った。  次に,時期別でみると,「治療中」に有意差があり, 頭位群173.71回,骨盤位群105.63回と頭位群の方が骨 盤位群よりも有意に胎動数が多かった(t=2.78, p=.02)。 「治療前20分」「治療後20分」には有意な差はなかった。  対象毎に胎動数の変化をみると,頭位群では,1例 (図3,妊婦F)を除く全員が,治療前に比べて,治療中, または治療後に上昇していた。一方,骨盤位群は,胎 動数の上昇は認められなかった。

Ⅳ.考   察

1.鍼灸治療による骨盤位妊婦の反応  本研究結果では,12名の対象者全員が,毎回の治療 で「手足がぽかぽかと温かくなった」と回答し,リラ ックスして眠くなった妊婦が,91.7%認められた。同 様に灸の景況について,釜付・金倉・野村他(1995) の報告によれば,施灸により腹部および全身の温かさ を感じ,2時間後まで継続していた。また丹羽・金倉 ・松原他(1994, p.349)の報告では,施灸により症例の 多くは治療中に軽い眠気を感じ,体の温まる感じを受 けたと報告している。本研究結果も,灸により体が温 まるという従来の研究結果と同様の結果であった。  また,初回治療前後の不定愁訴の変化をみると,治 療後に有症者数が減少した項目は,19項目中11項目あ り,増加した項目はなく,全体で改善傾向がみられた。 特に1回の治療で,「足のつり」「イライラ感」の頻度が 有意に減少していたことは注目すべき点であると考え る。  「足のつり」の原因は,腹部の増大により,重心の 変化が起き,それに伴い無理な姿勢をとることで筋肉 が疲労することと,血液循環の悪化およびカルシウム 不足により起こると言われている(村本・石原,2006, p.119)。骨盤位妊婦の下肢の血流状態と,鍼灸との関 係を調査した林田(1987)の研究では,鍼灸治療中に サーモグラフィーを使って下肢の温度変化を測定した ところ,大腿部までの温度の上昇がみられ,鍼灸は下 肢血流量の改善を促していると報告している。本研究 においても,鍼灸治療により,下肢の血流状態が改善, 筋肉が弛緩し,筋肉の痙攣が改善されたと考えられる。  また「イライラ感」は,鍼灸治療によりリラックス し,精神的ストレスが緩和したと推論できる。鍼灸治 療は妊婦の自律神経に働きかけ,副交感神経を優位に し,精神状態を安定させる可能性があると推察する。  次に,子宮収縮の観点から鍼灸治療をみると,高橋 0 50 100 150 200 250 300 350 400 In de x n/ h I J K L 0 50 100 150 200 250 300 350 400 治療前20分 治療中 治療後20分 治療前20分 治療中 治療後20分 In de x n/ h A B C D E F G H ※ ※ ※ ※ ※ 頭位群 骨盤位群 図3 対象毎の「治療前20分」「治療中」「治療後20分」の胎動数の変化(初回治療時) ※初回治療の1回で胎位変換できた妊婦 表2 初回鍼灸治療前後の胎動数の2群の比較(独立2群のt検定) 頭位群(n=8) 骨盤位群(n=4) t値 自由度 p値 95%CI 平均値(SD) 平均値(SD) 下限 上限 治療前20分 121.22( 67.85) 138.18(32.21) -0.47 10 0.65 -98.06 64.16 治療中 173.71( 37.64) 105.63(45.20) 2.78 10 0.02 13.43 122.75 治療後20分 150.05(107.59) 54.59(39.57) 1.68 10 0.12 -30.87 221.79 *:p<.05 *

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・相羽・武田(1995)は,至陰へ灸刺激を行い,超音 波ドップラー血流計で子宮動脈と臍帯動脈の血流状態 を測定した。結果,灸刺激により両動脈ともに血管抵 抗が有意に低下すること,すなわち,両動脈の血流が 有意に増加して,その結果子宮血流量が増加し,子宮 筋のトーヌスが低下するのではないかと考察している。 本研究においても,治療直後に腹部が張る自覚がない ものが8割以上を占めており,また,副作用を訴える 妊婦もいなかった。対象者全員が正常な妊娠経過を辿 り,正期産で分娩に至った。  以上のように,今回の対象となった12名の妊婦に おいては,副作用等の有害事象は認められず,むしろ 心地よさの報告であった。 2.鍼灸治療による胎位変換 1 ) 胎位変換率と胎位変換しやすい時期の特徴  本結果では,66.7%の妊婦において,骨盤位から頭 位へと胎位変換が起こった。これまでの変換率の成績 をみると,妊娠33週の妊婦に灸(妊婦自身が至陰の経 穴に棒灸を7∼14日行う)を実施したランダム化比較 試験であるCardini & Weixin(1998, p.1582)の研究で は,介入群130名中98名(胎位変換率75.4%),対照群 130名中62名(47.4%)であった。妊娠33週から35週の 妊婦に鍼灸(至陰に置鍼と棒灸をする鍼灸治療)を実 施したランダム化比較試験であるNeri, Airola, Contu, et al.(2004, p.249)の研究では,介入群112名中60名 (53.6%),対照群114名中43名(37.7%)であった。ま た本研究と同じ治療方法をとっている,妊娠28週か ら38週が対象の林田(1987, p.199)の研究では89.9% (584名中525名)の胎位変換率であった。本研究結果 とこれらの先行研究を比較すると,いずれも半数以上 頭位へ変換が起こっていることが判明した。  骨盤位から頭位への変換を阻害する要因として,子 宮筋腫・双角子宮・羊水過少・臍帯巻絡・臍帯長が 短い・腹部緊満感が挙げられるが,これらを認めな い場合も多く,多くは原因が不明である(形井,2009, p.45)。本研究では,各妊婦の解剖生理学的な身体情 報を得ていないため限界があり,胎位変換できない要 因にまで言及はできなかった。  次に治療開始妊娠週数をみると,本研究では,胎位 変換した頭位群で31.5週,変換しなかった骨盤位群で 34.1週であり,頭位群の方が早い妊娠週数で治療を開 始していた。胎位変換率64.8%(244名中158名)の辻 内(2009)の調査では,妊娠32週以前の矯正率(90.2%) と33週の矯正率(68.6%)で有意差がみられ,32週を境 に,週数が進むにつれて矯正率は減少する傾向がみら れると報告している。また,胎位変換率72.2%(115名 中83名)の向井・印牧・三宅他(1993, p.25)の調査に おいても,治療開始妊娠週数が34週未満では77.3%と 高い成功率を示し,矯正不成功の第一原因は治療開始 時期の遅れを挙げている。  骨盤位に対する鍼灸治療の効果を検討する際に は,胎児の自然変換を考慮する必要がある。妊娠32 週以降の骨盤位の頭位自然変換を調査したWestgren, Edvall, Nordstrom, et al.(1985, p.20)は,骨盤位310人 の妊娠週数ごとの自然変換確率を示した。妊娠32週 時骨盤位であったものが頭位自然変換した確率は,初 産婦46%・経産婦32%,妊娠37週時では,初産婦7% ・経産婦8%であった。本邦では,横山・高橋直樹・ 高橋秀身他(1994, pp.917-918)の骨盤位自然推移の調 査では,妊娠28週時点で骨盤位であった449人のうち 妊娠28週時,骨盤位であったものが分娩までに頭位 に自然変換した割合は86%,32週時では54%,36週時 では5%であったと報告している。本研究の変換率を みると,妊娠29週から32週で83.3%(5/6),33週から 36週で50%(3/6)であった。  よって,胎位変換しやすい時期は,鍼灸治療を受け る場合においても自然変換を期待し待機する場合にお いても,妊娠32週より前であることが示された。 2 ) 骨盤位診断から治療開始までの日数との関係  本研究では,頭位へ変換できた頭位群では,骨盤 位診断から治療開始までの日数が平均8.6日,胎位変 換できなかった骨盤位群では平均27.3日であり,頭位 群が有意に短い日数であった。酒井(2009, p.89)は骨 盤位の期間が28日未満の矯正率は76.1%,28日以上が 39.4%と,期間が長くなると矯正率が低下する傾向が みられたと報告していており,本研究でも同様の結果 であった。青木・鈴木(2009, p.96)は,骨盤位の状態 が長く続くと,子宮の形状が胎児にとって楽な形状に なるとも考えられ,矯正が難しくなると推測している。  以上のことから,代替医療の一環として,鍼灸治療 を選択する妊婦に対しては,「診断から時間をおかず に治療を開始すること」の情報提供をすることが重要 であるとの示唆を得た。 3.初回治療時の胎動の変化  「治療前20分」「治療中」「治療後20分」の加速度セン サーによる初回治療時胎動数で,頭位群・骨盤位群の

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2群に特徴の違いがみえた。まず,頭位群は骨盤位群 に比べ,「治療中」の胎動数が有意に多かった。また対 象毎にみると,特徴として,頭位群は,「治療前20分」 に比べて,「治療中」または「治療後20分」に胎動数が 増加する反応があったが,骨盤位群は,胎動数の増加 は認めなかった。このことから,治療中および治療後 の胎動増加が,鍼灸の反応性であると仮定するならば, 鍼灸刺激の反応性のある骨盤位の胎児は,結果として 頭位へ回転することが考えられる。しかし,今回の調 査は,治療開始妊娠週数,産歴といった,結果に影響 を及ぼす可能性がある条件を揃えることができなかっ たため,今後条件を整え,サンプル数を増やし,デー タの蓄積をすることが必要である。  林田(2003, p.28)は,骨盤位妊婦50名に対し,至陰 に灸,三陰交に鍼という本研究と同様の治療法で「治 療前20分」「治療中20分」「治療後20分」の胎動数を超 音波ドップラー法にて調査した。結果,数例を除き「治 療中」に著明な胎動増加が認められたと報告しており, 本結果と同様であった。一方,Neri, Pace, Venturini, et al.(2007, p.30)は,至陰に,「鍼灸」「灸」「鍼」の3つ 異なる治療方法別に胎動数の変化を調査した。観察時 間は林田と同様「治療前20分」「治療中20分」「治療後 20分」である。結果「鍼灸」と「灸」では,「治療後20分」 に有意に胎動が減少し,「鍼」では認められなかったと 報告している。

 Neri, Pace, Venturini, et al.(2007)の研究と本研究を 比較すると,Neri, Pace, Venturini, et al.(2007)は至陰 のみに「鍼灸」「灸」「鍼」と異なる刺激を与え,本研究 は,至陰には灸,三陰交には置鍼をするといったよう に,2つの研究では治療方法が異なっていた。よって 今後,治療方法を統一した上で治療前後の胎動数を調 査する必要があると思われる。  以上のように,鍼灸治療の作用機序,また胎動への 影響は研究段階である。しかし,「胎動」は骨盤位に対 する鍼灸治療の指標になると考えられる。 4.助産ケアへの適用  本研究において,助産師が骨盤位妊婦に対して情報 提供の一つとして以下の4点の情報を与え,意思決定 で迷う妊婦を支えることが重要であるとの示唆が得ら れた。 1 ) 鍼灸治療は手足が温かくなり,リラックスして眠 くなる。また副作用等の有害事象はほとんど認めな い。 2 ) 「足のつり」「イライラ感」が治療前に比べ治療後 に有意に頻度が減少する。 3 ) 妊娠28週以降の骨盤位妊婦に対し,「遅くとも妊 娠32週までに鍼灸治療を開始すること」「なるべく 時間をおかずに鍼灸治療を開始すること」が頭位へ 変換する可能性を高める。 4 ) 胎位変換した頭位群において,鍼灸刺激を開始す ると,刺激している間,または刺激し終えて20分 間に胎動数が増える。 5.研究の限界と今後の課題  本研究は,サンプル数が少ないということ,胎位確 定診断に超音波断層法が必要であるということ,対象 の産歴を揃えていないことが課題である。  今回は,鍼灸治療中の胎動の総数を,加速度セン サーを用いて観察した初めての基礎研究であった。加 速度センサーの測定値は総胎動数であるため,今後は, 胎動の大きさや特徴といった質を測定するための機械 の改良が望まれる。

Ⅴ.結   論

1 .12名全員,治療延べ24回中毎回「手足がぽかぽか と温かくなる」と答え,「リラックスして眠くなっ た」妊婦は治療24回中22回(91.7%)に生じたが,副 作用は認められなかった。 2 .「足のつり」「イライラ感」が治療前に比べ治療 後に有意に頻度が減少した。(「足のつり」z=­2.53, p=.011,「イ ラ イ ラ 感 」z=­2.00,p=.046,Wilcoxon 符号付き順位和検定) 3 .鍼灸治療を受けた結果,頭位に変換した妊婦8 名(66.7%,頭位群),骨盤位のままだった妊婦4名 (33.3%,骨盤位群)であった。 骨盤位診断から治療開始までの日数は,頭位群は 平均8.6日(SD=4.8),骨盤位群は27.3日(SD=9.4)で あり,頭位群の方が有意に短かった(t=­3.7, p=.02)。 治療開始時期は,頭位群が平均31.5週(SD=1.9),骨 盤位群は,34.1週(SD=1.4)であり,頭位群の方が統 計的に有意に早い週数で始めていた(t=­2.4, p=.04)。 4 .治療に伴う胎動の変化として 初回治療時の胎動数の平均を,「治療前20分」「治療 中」「治療後20分」の時期別でみると,「治療中」に有 意差があり,頭位群173.71回/時,骨盤位群105.63 回/時と頭位群の方が骨盤位群よりも有意に多か

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った(t=2.78, p=.02)。また,対象毎にみると,頭位 群では「治療前20分」に比べて,「治療中」または「治 療後20分」に胎動が増加していた。一方骨盤位群は, 胎動数の増加は認められなかった。 謝 辞  本研究にご協力くださった妊婦の皆様,せりえ鍼灸 室の小井土善彦先生,辻内敬子先生、よしかた産婦人 科の善方裕美先生に心より感謝申し上げます。また胎 動分析においては東京都医学総合研究所の西原京子先 生にお世話になり感謝しております。本研究は2013 年度聖路加看護大学大学院修士論文の一部を加筆,修 正したものである。本研究は平成24年度聖路加看護 大学青木奨学金,ウパウパ奨学金の援助を受けて実施 した。なお,本研究の一部は第28回日本助産学会に おいて発表した。 文 献 青木美鈴,鈴木裕明(2009).骨盤位に対する鍼灸治療. 形井秀一(編), イラストと写真で学ぶ逆子の鍼灸治 療.pp. 91-96, 東京: 医歯薬出版.

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