Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japar ユese Physlcal Therapy Assoclatlon理 学 療 法 学 第42巻 第
1
号50
〜
57
頁 (2015
年 )研 究 論 文 (
原 著 )
慢性期片麻痺
患
者
に
お
け
る
端
座
位
で の
矢
状
面
骨
盤
傾
斜角度
と
そ
の
関連 因子
の
検
討
*春
山
幸志 郎
D
#川
上
途 行
2
)
要旨
【
目的
】慢
性 期 片 麻痺 患 者
の端
座位
での三平 面 骨 盤
ア ライ メン トの特 徴
を調
査す
ること,
矢 状 面 骨
盤傾 斜 角
度 (
以下
:矢状 面 角 度 )
の標 準値
を示
し、
そ
の関 連 因 子
を明
ら かにす
るこ と を目的
と し た。
【
方 法
】
片 麻痺
患者
47
名
を対象
に安 静 端
座位
で の 三平 面
の骨
盤ア ライメ ン トを計 測
し,
矢状 面 角 度
につ いて麻 痺 側 殿 部荷
重 率
,
Brunnstrom
recovery stage の下肢項 目
,
殿 部 艟
感 覚
,
Pusher
櫞
,
各 基 本 蝣
能力
との関 連
を検
討
した。
【
結 果
】
三平 面
、
ヒの骨
盤ア ライメ ン トはそ
れぞ
れ閧 連
を認
め な かっ た。
矢状 面角 度
の平均 値
は,
麻 痺
側
,
非 麻痺 側
とも
に約
10
°
であ り有 意
差は認
めな
かっ た。骨 盤 前 傾群
で は後 傾 群
と 比較
し て有 意
に麻 痺
側殿
部 荷 重 率
.
殿 部荷 重 感 覚
,
立ち
上 がり
および歩 行 能 力
が良 好
であ
っ た。【
結論 】 片麻 痺 患 者
の端 座 位
で の矢
状 面 角 度 が
,
基 本 動 作 能 力
や殿 部 荷 重
,
感 覚 機 能 を
スク リー
ニ ングす
る方 法
の一
助
とな
る可 能性 が 示 唆 さ
れ た。
キー
ワー
ド片 麻 痺
,
座 位
,
骨 盤
傾斜 角
緒
言
近 年,
脳 卒 中 患 者の体 幹 に 焦 点 を あてた 予 後 予 測の重 要 性 1)2)や介
入 効 果 3−
5)の報
告 に より
,
体 幹 機 能
へ の 関心
が高
まっ ている。
多
く
の先
行
研 究
に より
,
脳 卒 中
患 者の体 幹の姿 勢 制 御 や 筋 力 は 健 常 者 と比 較 して低 下 して い ること が 示 さ れ てい るeg>。
ま た,
体 幹
筋
活 動
は体 幹
ア ライメ ン ト と 関連
す る と さ *L IO )ID,
脳卒
中 患 者では 体 幹ア ライメ ン トの 異 常 を 生 じ る 12)。
これ らの 先 行 研究
に より
.
脳
卒
中
患者
の体 幹
アラ イ メン ト異 常
は機 能 障
害
や能力
低 下 と 関 連 す るこ と が 示 さ れてい る。
一
般 に,
体 幹ア ライメ ン トは 脊 柱 と骨 盤の ア ライメ ン トで表
わ さ れ,
脊
柱ア ラ イ メン トは 骨 盤アラ イ メン トに より影 響 を 受
け ること
が示
さ れ ている 13)。 その た め,
体 幹
ア ラ イメ ン ト を 評価
す る た め に は,
まず
骨盤
ア ラ イ メン トを 評価
す ること が重
要 で あ り,
骨 盤
に焦 点 を
あ て *Pelvic Inclination of the Sagittal Plane in the Sitting Position and Reiated Factors in Patients with Chronic Hemiplegia
l)独立行政法入国立病 院 機構 東埼玉病 院 (〒349
−
e196 埼玉県蓮 田市黒浜4147)Koshiro Haruyama
,
PT:National Hospital Organization Higashisaitama National Hospital2)慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 リハビ リ テ
ー
ショ ン医学教 室Miehiyuki Kawakami
,
MD.
PhD :Keio University School ofMedicine
#E
−
ma 止pt@nhs.
hosp.
gojp(受 付 日 2014年6月16口/受理目 2014年1 月16日)
た 報 告 も
多
く な さ れ てい る14 〕15 )。
骨 盤
ア ラ イ メン トの 測定
は,
X
線 撮 影 手 法
を 利 用 し たPelvic
lncidence
,
Pelvic
Tilt
,
Sacral
Slope
な ど がゴー
ル ドス タンダー
ド と して利
用 さ れてい る 14)16−
18)が,
理学 療 法 領
域 に お け る 臨床
的 な評価
では非 侵 襲
的で,
短
時 間で の簡便
な方 法
が 求 め ら れ る。
ま た,
臨 床 的 に 静 的 姿 勢 を 評 価 す る に あ たっ て は,
三 次 元 的 なア ラ イ メン ト評価
が ク リニ カル リー
ズニ ングにおい て各 機 能
障 害 や能 力 低
下 との関連性
を 評価
す るうえ
で 重 要 で あ る。
具体
的 に は,
触 診
など の徒 手
的 な方法
に より前 額
面 傾斜
,
矢
状 面 傾斜
,
水
平 面 回旋
を含
め た 三 平 面で の評 価
が行
わ れ ること
が多 く
19),
矢 状 面のみ で は な く前 額 面 や 水 平 面の アラ イメ ン ト評価
も 同 時 に行
わ れ る 必 要 が あ る20)。ま た
,
体 幹 機 能
は座 位
バ ラン ス能 力 を も
っ て評価 さ
れ るこ とも多 く
,
端 座 位
に おい て静 的 あ
るい は動 的
に評 価
さ れ る2P。
端 座 位
で は骨 盤
は支 持 基 底 面 を形 成 す
る土
台
の役 割 を もち
22)23),
端 座 位
での骨 盤
ア ライ
メ ント
は 立 位 と は 傾向
が 異 な ること が 明 ら かとさ れてい る 24−
2の。
し か し体 幹
や骨
盤ア ラ イ メン トにつ い て の多
く
の先 行研
究 は 立 位にお ける検
討 が多
く,
座 位
に おい ての研 究
は少
ない。
し た がっ て,
端座 位
に おける骨 盤
ア ライメ ン トの基 本
デー
タ は詳細
に検 討
さ れて いな
い。脳 卒 中 患 者
の端座 位
で の骨 盤
ア ラ イメ ン ト に関 す
る先
行
研 究 で は,
脳卒
中患 者
の矢 状 面
の骨 盤
ア ラ イメ ン トに N工 工一
Electronlc Llbrary焦 点 を あ
て てい る報 告
が多 く
28}29),
矢状 面 骨 盤 傾 斜 角
度 (
以 ド,
矢 状 面 角 度 )
は.
身体 能 力
や機 能
レベ ル で相
関 関係
があ
ること
が示
さ れ てい る23}29)。 し か し,
具 体
的 に矢 状
面角 度
が前額
面角 度
や水 平 面角 度
,
機 能 障 害
,
能 力 低 下
な どの諸 因子
と どのよう
な関 係
があ
る か を分 析
し た報 告
は,
我
々が渉 猟
し え た中
では見 あ
た ら ない。 そ こ で本 研
究で は,
脳 卒 中
を中
心 とした片麻 痺
患者
に おけ
る端 座 位
の三平 面
で の骨 盤
アライ
メ ント
の特 徴 を調 査 す
るこ と と,
端 座 位
で の矢 状 面 角 度
と骨 盤
の側 方 傾 斜
や回
旋 角 度
,
殿 部 荷 重 率
,
基 本動 作 自
立度 な
どの各 変 数
間 と の 関連 を比 較 す
ること
で片麻 痺 患 者
の骨 盤
ア ラ イメ ン ト の特 性 を 明
ら か にす
ることを
目的 と
し た。
図 1HORIZON
外 観
方
法
1
.
対 象
対 象
は当 院
リハ ビリ テー
シ ョン病 棟 入 院 中
の慢 性 期 片
麻 痺 患 者
とし
.
片麻 痺 患 者
の特 徴 を 広 く反 映 す
る よう
に次
の条 件 を満
たす も
の とし た :端 座 位 保
持 が介
助 な しで30
秒
以 上可能
である こ と,
指
示の理解
が卩f
能
で あ ること
,
検 査
・
測定
や歩 行
に影 響 を
及 ぼす
よう
な 運動
器疾 患
や 内 部 障 害 等の合 併 症 が ない こと。
以一
ヒの条
件 を満
た し た片 麻 痺 患 者
は47
名
であ
っ た。対 象 者
の内 訳
は,
平 均
年 齢
は68,
9
±10.
2
歳
,
性 別
は男 性
33
名
・
女 性
14
名
,
身 長154
.
9
±15
.
8cm ,
体 重52
,
8
±10
.
4
kg
,
診断 名
の 内 訳 は脳 梗
塞28
名
・
脳
出 血14
名
・
く も膜 下 出
血4
名
,
脳
腫 瘍 術 後1
名
,
発 症 か らの 凵 数 (以 下,
罹 病 期 間 )
は98.
6
±62,
4
日,
麻 痺 側 は 右24
名・
左23
名
.
SIAS
−
motor 合計
ス コ アは平 均
14,
4
±5
,
6
点
,
FIM
は平均
76
,
9
±26.
9
点 で あっ た。
な お本 研 究
は,
国
立病 院 機 構 東 埼
玉 病 院 倫 理委 員
会の承 認
を受
け,
対 象 者
には研 究 内 容
を十 分
に説 明
し同 意
を得
て実 施 し
た(
承 認 番 号
12
−
4
)
。2
,
方法
1
) 測 定 姿勢
測
定 場 所
は治 療 台 (
40
〜
45cm
高 )
と し た。
対 象 者
には 端 座位
で「楽
に座っ てい てく
だ さい」
と指 示
を統
一
し た。足 底
は床
に全面 接 地 さ
せ,
できな
い場 合
は対 象 者
に合
わ せて個 別
に全面 接 地
でき
る高 さ ま
で足 底 を 補 高
し,
上肢
は大 腿
.
ヒに自然
下 垂 させ,
測 定
中 必 要 が あ れば検 者
が操 作 し
た。両 膝 窩
と治 療 台 と
の間 隙
は25 〜
5cm
,
股 関 節
お よ び膝 関節 角 度
が90°
とな
るよう
に対 象
者
の違和 感
のな
い こと を確
認 し な が ら必 要 によ り他
動 的 に調 整 し
た。2
) 測 定 機 器
と測 定 手 順
骨 盤ア ライメ ン トの
評 価
は,
デ ジ タ ル式 座 位 姿 勢
測定
器
で あ るHORIZON
(
ユー
キ
・
トレー
デ ィ ング社 製
,
KSO80101
図
1
)
を用
い た。HORIZON
は,
任 意
の ラ ン ドマー
ク2
点 を触 診
を 基に直接 測 定 器
の アー
ム で接
触 さ せ る ことで角 度
を測 定 す
る ことが でき
る デ ジタ ル式 傾 斜
角 度 計
であ
る30−
32〕。角 度
は1D
単位
で デ ジタ ル表 示
さ れt
前
後左
右の 傾 斜 角 度のみ で な く キャ リ ブレー
シ ョ ンを 行っ た基準 線
か らの水
平 面 回旋 角
度 も測定
可 能 で あ り,
前
額 面,
矢
状 面,
水
平 面の三平
面 での傾斜
回旋
角
度
が 測定
可 能 と なっ ている。
測定
は,
端 座位
と なっ てい る対 象
者
の骨 盤 傾斜 回 旋 角 度 を
1
°
単 位
で1
同 ず
つ測 定 し
た 33)。骨 盤 傾 斜 回 旋 角 度
は,
前 額 面 傾 斜
,
矢 状 面傾 斜
,
水 平 面
回旋
の 三平
面 上で測定
し た 「g)。
先 行 研 究
30)と同 等
の定 義
に従
い,
前 額 面 骨 盤 傾 斜 角 度 (
以 ド
,
前 額 面 角 度 )
は両 側
のE
前 腸 骨 棘 (
以下
,
ASIS
)
をラ ン ドマー
クと し,
両 側のASIS
を結
んだ線 分
と水 平 面
の なす 角 度
を読
み取
っ た。矢 状 面 角 度
は左 右 各
々 のASIS
と上後 腸 骨 棘
(
以下
,
PSIS
)
をラ ン ドマー
クと し,
ASIS
とPSIS
を結
んだ線 分
と水 平 面
のな
る角 度
を左 右 別
々 に読
み取
っ た。
水 平 面 骨 盤
回旋 角 度 (
以 下,
水 平 面 角 度 )
は両 側
のASIS
を
ラン ドマー
ク と し,
両 側
のASIS
を結
んだ 線 分
と治 療 台
の前 縁
が なす 角 度
を読
み 取っ た。
傾 斜 回旋 角
度 の定 義
は先 行 文 献
19>を 参 考
に,
前額 面 角 度
で は麻 痺
側傾 斜 を
+,
非 麻 痺 側 傾 斜 を
一
と
し,
矢 状 面 角 度
で は後 方
傾 斜
を +,
前 方
傾斜 を
一
とし,
水
平 面角 度
は麻痺
側 回旋
を
+,
非 麻 痺 側
同旋 を
一
と
し た(
図
2
)
。
検 者
は各
ラン ドマー
クを 触 診
に より
同定
し,
ラ ン ドマー
クへ のHORIZON
の アー
ム先端
の接 触 は触
診 と同時
に行
い,
そ の状 態
で数値
を読
み 取っ た。
検
者 は臨
床
経
験5
年
凵の理学 療 法士
1
名 と
し,
こ の 測定 機
器 を 用い た 測定
の 十 分 な 練 習 を行
っ た。
3
> 各
関 連 因 子の評価
基 本情 報
と して,
対
象
者
の年 齢
,
性
別,
麻痺
側.
罹 病
期間
を診 療 録
より収 集
した。ま
た,
身 体 機 能 評 価 と
し て 麻痺
側 殿部 荷
重率 (
以下
,
麻 痺 側 荷 重 率 )
,
Brunnstrom
recovery stage の ド肢 項
目(
以 下,
ド肢
BRS
−
t
)
,
殿 部荷
重感 覚 (
以下
,
殿 部 感 覚 )
,
Pusher
現 象
の程 度
,
基本
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japar ユese Physlcal Therapy Assoclatlon52
理学 療 法 学 第42
巻 第1
号A
前 額 面 傾 斜 角 度
B
矢 状 面 傾 斜 角 度
図2 骨 盤 傾斜 回 旋 角 度の定 義C
水 平 面
回旋 角 度
動 作 能
力
が各
担 当
理学 療 法
十に より評 価
さ れ た。
麻 痺
側荷
重率
は,
2
台
の市 販 体
重計
を用
い て1
回 測 定
に より求
め た。端 座 位 時
の左 右 殿 部 下
に体 重 計 を左 右 そ
れ ぞ れ1
台ず
つ設 債 し,
左
右の荷 重 量 を 数値
が 安定
し た と こ ろ で 目 視 にて荷 重 量 を 読 みとっ た。
測定
姿勢
はアラ イ メン ト測 定 姿 勢 と
同様
の条 件 と
し た。
体 重 計
は左 右
そ れ ぞ れの 体 重 計 に 坐 骨 が 接 す る 状 態で,
体 重 計の 間 に は 仙 骨 尾 骨 部 を 除 圧 す るよう
に3 〜4cm
離 し て 設 置 し た。
得
ら れ た荷
重 量 か ら,
「麻 痺
側荷
重 量 /(
麻 痺
側荷
重 量+非
麻痺
側 荷 重 量)
x100」
の数 式 にて麻 痺 側 荷 重 率(
%)
を算
出 し た。
つ まり
,
麻 痺
側荷
重率
が50
% を超
え る と麻 痺
側優 位
の荷
重,
50
% を 下 回 る と非 麻 痺
側優 位
の荷
重 を 示 す。
殿 部 感 覚
は,
端
座位
を静 的
に保 持
している際
の殿 部荷
重感 覚
を 評価
し た。
骨 盤ア ラ イ メン ト測定
時 に 同 環 境 に おい て,
非 麻 痺 側 を10
と し た と きの麻痺
側の荷 重 感 覚 の比率
を0 〜10
の尺度
を 用いた10
点 法
34
)で対 象 者
よ り聴
取
し た。
感
覚
の比率
につ い て,
わ か ら ない との返答
が あっ た場
合 は0
と して換 算 し た。
Pusher
現 象
は,
網 本 ら35
)に よ るPusher
現 象
重 症 度 分 類 に より
ス コア リング し た。
これ はPusher
の程 度
を 常 に 押 す (2
点 ),
時々押 す (1
点 ),
押 さ ない(
0
点)
の3
段
階 で 評価 す
るも
ので あ り,
本
研究
に おいて は座 位
の項
目のみ につ い て 評価
を行
っ た。
基 本 動 作 能 力 は
,
起 き 上 が り(
背 臥 位〜
端
座 位)
,
端
座位 保 持
,
立 ち 上 がり
,
立位 保 持
,
移 乗
.
歩
行
につ い て 評 価 し た。
これ らの基 本 動作 能 力
の評価
は,
Functional
Movement
Scale
36 )に 基づ い て.
不 可,
介
助,
監 視,
修
正自
立,
自
立 を そ れ ぞ れ0 〜4
の ス コア として順序
尺 度 と し て算
出 し た。
散性
検
定
を経
て対
応のないt検
定
に よ り比較
し た。
ま た,
各 骨
盤角 度
に加
え,
矢
状 面角
度につ い て は 左 右 平 均 値を
,
前 額 面 角 度
と水 平 面角 度
につ い ては方 向性
のみでな
く,
正 中 か らの偏倚
の度合
い を み るた めに各 変 数
の絶 対
値
を含
め て基
本統 計
量の算 出
を行
っ た。
さら に各
アライ メン ト問 の 関連 を
み る た め に,
pearson
の積 率 相 関係 数
を用いて分 析 し た。
さ ら に 矢 状 面
角 度
を前
傾群
,
中 間群
,
後
傾群
の3
群
に分
類 し各
関 連 因 子 につ い て 比 較 し た。
年
齢
,
性
別,
麻 痺
側,
罹 病 期 間,
麻 痺 側 荷重 率
,
下 肢BRS
−
t
殿部 感 覚
,
Pusher
現
象
,
基本 動
作 能力
の各
関 連
因 子のう
ち
,
連 続
尺度
につ いて はShapiro
−Wilk
の正 規性 検 定
で有 意 差
が 認 め ら れ な かっ た 場 合 は,
Levene
の等 分散
性検 定
を 経 て の一
元 配貴
分散
分 析,
連 続 尺 度の う ちShapiro
−
Wilk
の正 規 性検 定
で有
意差
を 認 め た 項 目 と順 序
尺度
につ い て はKruskal
−
Wallis
のH
検 定,
名 義 尺 度 につ い て はZ2
検
定
を実
施 し,
有
意 差の あっ た項
H
につ いて は多
重 比 較検
定
に て 比 較検
討 し た。
統 計
処 理 に はJMP10
.
0
(
SAS
Institute
Inc
,
) を 用い て,
有 意 水 準 は5
%とし た。
結
果
1
.
骨 盤ア ライメ ン トの比 較 と関連 性
の検 討 (
表
1
)
矢 状 面 角 度
の平 均 値
は,
麻 痺 側
で10
,
0
±8
.
3D
,
非 麻
痺 側
で10.
6
±8.
6°
,
左 右 平 均
は10
,
3
±8,
0°
であ
っ た。 麻痺
側 と非 麻 痺
側を
比較 す
る と有 意 差
は認
めな
か っ た(
p≡0.
720
)
。
前
額 面角
度,
水
平 面角 度
はそれ ぞ れ一
〇,
8
±2,
6°,−0.
7
±3.
9°
であ
っ た。絶 対 値
で み る と前 額 面 角
度
は1
.
9
±1
,
9°
,
水 平 面 角 度
は3
,
0
±2
,
7
°
で あっ た。
そ れ ぞ れの相
関につ いて は,
各 平 面 内
のパ ラ メー
タ 以 外 はど
れも有 意差 を認
めなか
っ た。3.
統 計 学 的解 析
矢 状 面 角 度
の麻 痺 側
,
非 麻 痺 側
に差
があ
る か を検 討 す
る た め に
,
Shapiro
−
Wilk
の正 規性 検
定.
Levene
の 等 分2.
骨盤 前 後
傾タイプ別
で の比較
本 研 究 か ら
得
ら れ た矢 状 面 角 度 を 群 分 け す
る にあ
た り,
分 散の大 き さ を考慮
し単
に平 均 値
に よっ て二 分化 す
表
1
骨 盤
ア ライ
メ ント測 定
の結 果
と相 関
骨
盤ア ラ イメ ント(
°
〉
乎
均値
標準
偏 差標
準
誤 差95
%信 頼 区問 相 関係 数 (r)A
B
C
D
E
F
G
A 前 額 面角 度一
〇.
8
B
前 額 面 角 度 (絶 対 値 ) 1.
9C
矢 状 面 角 度 (麻 痺 側 )「
10,
0
D
矢
状 面角
度(
非 麻痺
側)
10
.
6
E矢 状 面 角 度
(
左右 平 均>
10
.
3F
水 平 面 角 度一
〇.
7
G
水 平面角度
(
絶 対値)
3
.
0
瓜)
∩『
36097
ワ臼
1800839溜
4323 ワθ
だ
U40011100
一
1.
6
−
0
.
11.
4−
2
.
57.
6
−
12.
58 ユー
13
.
28D
−
13.
2
−
19−
0
.
42 ユー
3
.
7
一
〇.
39
* *0
.
13
0
、
01
0
、
07
−
0
.
10
−
0
ユ3
−
0
,
02
−
0,
08−
0,
04 0.
80
* * 0.
95* * 0、
160
.
95
**O
.
11
0
ユ4
0
.
16
−
0,
060,
250.
17022
−
0.
34* * * p <O.
05.
* *p く0,
01
表
2
本研 究
にお け
る矢状 面 角 度
の分類
定 義 分 類 矢状 面 角 度 (例 数 つ平 均値±標
準
偏 差 前 傾 群 く 6.
3
°
中 間 群6
,
3
°
≦,
≦14.
6
°
後傾群14
.
6
°
く 中 間群より前
傾位
:平 均 値±0
.
5
標準 偏 差 範 囲 中 間群より後 傾 位4
∩
34ユ
ー 110
.
2
±4
ユ 11.
6 ± 2.
418
.
8
±3
.
7
る の で はな く中 問群
を設 定 す
る ことで3
群 と した。
その際
例 数
がな
るべく均 等 とな
る よう
に中 間 群 を 平 均 値
±0
.
5
標準
偏 差の範 囲 を と る 対象
者 と位 置づ け,
中 間 群 よりも前 傾
してい る群
を前 傾
群,
後 傾
し てい る 群 を後
傾群
と定 義
し た(
表
2
)
、
その分 類
に 基づい て各
関
連因 子
を比較
し た 結 果 を表
3
に示 す。
多
重 比 較 検 定の結 果 よ り,
骨
盤 後 傾 群 に比べ て前
傾 群で は 有 意 に 麻痺
側荷 重 率
,
殿部 感覚
が良好
であ り
.
立 ち上
がり
お よび歩 行 自立 度
が高
かっ た。
反 対 に 有 意差
を 認 め な かっ た 項 目 は,
基 本 情 報
では年 齢
,
性 別
,
罹 病 期 間
,
麻 痺
側,
骨
盤 傾斜
回旋角
度
で は前 額
面角
度,
水 平
面角
度,
機
能 障
害
で は 下 肢BRS
−
t,
Pusher
現 象
基 本 動 作 能 力で は 起 き 上 が り,
端 座位 保 持
,
立位 保
持,
移 乗の 項 目で あっ た。
考
察
1
.
姿 勢 測 定 器
によ る骨 盤
アラ イメ ン ト測 定
につ い てこれ
ま
で臨床
に おいて簡便
に使
用 可能 な骨 盤傾 斜 角 度
測定
法 が 報 告 さ れてい る37−
43〕。
そ れ らの妥 当 性
や 信 頼性
を検 討
し た結 果
,
臨床使
用 可能
で あ る と結 論
づけ ら れ てい る。
た だ し,
骨盤
の前
額 面 や水
平 面の測定
につ い て は考 慮
さ れてい ない た め,
骨 盤
ア ラ イメン トを総合 的
か つ定 量 的
に評 価 す
る こ とは困 難
iであ
る の が現状
であ
る。今
回使 用
し たHORIZON
の妥 当 性
,
信 頼 性 を含
め た有
用性
はす
でに報 告
さ れ てい る19)30)31) 44)。
ま た,
同様
の測 定
器は脳卒
中患 者
に おいても信 頼 性
が報 告
され てい る33)。 し か し,
今 ま
で脳 卒 中 を中 心 と
した片 麻 痺 患 者
に対
し て,
定 量
的に骨 盤
三平 面の ア ラ イメ ン ト を測定
し た研 究
は依
然 と して少
なく
,
本 研
究で得
られ た値
は片 麻
痺 患 者
にお
いて指 標 とな
る デー
タ とな る
と考 え
る。2.
片 麻
痺
患 者
の骨盤
ア ラ イメ ン ト本研 究
の結 果
より
,
慢 性
期片 麻 痺 患 者
の矢
状 面角
度
は 左 右 平 均で10
°
後 傾 してお り,
麻 痺 側 と 非 麻 痺 側との 間 に差
はな かっ た。前 額 面 角 度
と水 平 面 角 度
は.
絶 対 値
で2
〜3°
の軽 度
の逸 脱
が認
めら
れ た。今
回我
々が測 定
し た矢 状 面 角 度
は,
ASIS
とPSIS
を結
ん だ線
と水 平 線
のな
す
角
度
と定 義
さ れ,
これ は 理学 療 法 場
面で妥 当 性
があ
り,一
般
的 に 利 用 さ れ る方 法
であ
る37)42)45)。 し か し,
先 行 研 究 に お け る 安 静 座 位 での矢 状 面 角 度の報 告 は 健 常 者,
脳卒
中 者とも に 限 られてい るのが 現 状である。
原 田ら
28),
大
田尾 ら
29),
塩 本 ら
46)の報 告
で は,
安 静 座 位
につ い て の傾斜 角 度
の算 出
が行
わ れ てい ない.
あ
るい は測 定 手 法
が異 な
るため に比較
は できな
い 。Herrington
45) は,
健 常 成 人
での基 本
デー
タと
して立 位
での矢 状 面 角 度
を 提 示 してい るが,
座 位
につ い て は確 認 さ れ てい ない。
上條
ら23〕の報 告
で は 脳卒
中片 麻
痺
患 者
8
例の矢
状 面角
度
は 平teJ
5.
7“
で あ り本 研 究 との差
を 認 め る が,
これ は 本 研究
が歩 行
不 可の片 麻 痺 患 者
を含
むよ り広い動 作 能 力 レ ベ ル の者 を対
象
と してい るという
こ とを
反映
してい る かも
し れな
い 。 いず
れ に しても先 行研 究
で は少 数
例の報 告
が多
く,
片 麻 痺患 者
を集
団 と捉 え て端
座 位 に お け る 骨 盤角 度
の基
準
値
を 示 した もの は限 ら れ てい る。
し た がっ て,
本研 究 結 果
か ら明
ら かと
なっ た矢 状
面角
度
の10°
後
傾 位 は,
臨 床 場 面 に お け る 片 麻痺
患 者の端 座 位 姿勢
評 価Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japar ユese Physlcal Therapy Assoclatlon54
理 学 療 法 学 第42
巻 第1
号表
3
骨 盤 前 後 傾
タイ プ別
での各 関連 因子
の比 較
評 価 項 目 前 傾 群 (n=
14) 平均 値±標 準偏 差 (中 央 値 ) 中 問 群 〔n=
19) 平 均 値±標 準 偏 差 (中 央値 ) 後 傾 群 〔n=
14) 多重 比較 検 定 平 均値±標 準 偏 差P値
前傾 VS
中 問 VS
前傾 VS (中央 値 ) 中 間 後 傾 後 傾 基 本 情 報 年 齢 性別 罹 病 期 間 麻 痺 側 (歳 ) (M〆F) (日) (R/L) (
°
) 麻痺側 非 麻 痺 側 左 右 平 均 71.
7 ± 9.
4 10 〆 497.
9 ± 33.
0 7 / 7 66.
7 ± ll.
3 14 / 597.
7 土 93.
D IO 〆 9 68.
9 土 949 ! 5 100.
5 ± 26.
6 7 〜 7 D.
4350.
83801810.
984 骨 盤 傾斜回旋 角 度 矢状面角度 前額 面 角 度 水 平面 角 度 絶 対 値 絶 対 値0
.
4 よ 4.
6
−
0.
】 土 4.
3 0.
2 土 4.
1−
1.
5 土 3.
0 2.
1 ± 2.
6
1、
1 ± 2.
8 2.
2 ± 2.
D 10.
9
士3
、
7
12.
3 ± 3.
6 11.
6 ± 2.
4 0.
1 土 2、
7 2、
0
± 1.
7−
1.
8 ± 4.
1 3.
2 ± 3、
1 18、
4 ±5
、
5
19.
1 ± 4.
5 18.
8 ± 3.
7−
1.
4 ± /.
8 /.
7 土 1.
5 1.
1 ± 4.
2 3.
2 土 2.
8 〈0
.
001
く0
.
001
く0
.
001
〈0
.
001
〈0.
001 <0.
001 <0.
001 <0.
001 〈O.
OOI 〈0.
001 〈0.
001 〈0.
001 0.
1300.
8830
.
1070、
712 機 能 障 害 麻 痺側 荷 重率 (%) 下 肢BRSt (1.
6) 殿 部 感 覚 (0.
10) Pusher現象 (0/1) 43,
8
± 11.
1 〔43、
2)53
.
8
±12
.
0
4.
6 ± 1.
2 {5) 生5 ± 1.
6 89 ± 2、
0 {10) 63 ± 3.
8 13 〆 l l8 / 1 (48
.
7} (5} (7} 55.
6
± 13.
3
{57.
9
) 4.
3 士 1.
5 (5} 4.
2 ± 4.
2 (5} 12 〆 20
.
0310
.
8590.
Ol70.
8910
.
087
0
、
872
0
.
043
D.
087 0、
餽4 D.
Ol7 基本 動作 能 力 起き 上 が り 端 座位 保 持 立 ち 上がり 立 位保 持 移乗 歩行 (0.
4) (04) (四 ) (04) (胆 ) (04
) 3.
9 ± 0.
3 {4} 4.
0 土 OD 3.
9 土 0.
4 〔4) 3.
9 ± O.
4 〔4) 3.
6 ± 0.
9 〔42
.
8
±1
.
0
〔3
) 3.
4 士 1.
2 (4} 3.
8 土 0.
2 (4) 3.
4 ± 1.
0 (4[ 3.
2 ± 1.
2 (41 3ユ 土 1.
2 (4)2
.
6
± 1.
4 (3} 3.
4 土 0.
9 (4} 3.
6 ± 0.
2 (4エ 2.
8 ± 1.
1 (3) 2.
8 ± 1.
3 (4) 2.
7 ± 1.
1 (3) 1.
7 ± 0.
9 (2) 0.
2080.
1920.
Ol20.
0670.
1030.
038 0、
283 0.
228 0、
OlO 0.
984 0.
132 0.
029 で の平 均 角 度
の一
指標
と して利 用 可 能
と思
われ る。一
方
では,
依 然
と して健 常 者
と比較
して片麻 痺 患 者
にお け
る骨
盤ア ライメ ン トの特 徴
につ い て は明
らか にな
っ ていな
いのが現
状である。一
般
に,
脳 卒 中 片麻 痺 者
の安 静
座位
では健 常 者
と比較 し
て後 傾 し
て い る といわれ
て い るが
,
エ ビ デン ス は少
ないe健 常 者
と脳卒
中者
間の矢状
面角 度
に差
はな
か っ た とす
る報 告
28)もあ り
,
安 静 座 位
の矢 状
面 骨 盤
ア ライ
メ ントが
どれ
だけ脳 卒 中 等 片麻 痺 患 者
の障
害 特 性
を反 映
し ている か につ い て は今後
さ らな
る検 討
が 必要
と考
え ら れる。3
.
骨 盤
アライ メン トの左 右 差
と各 平 面
問の関連
本 研 究
で は矢 状 面 角 度
につ い て左 右 差 を検 討 す
る 目的
で麻 痺 側
,
非麻 痺 側
の矢状 面角 度 を 比 較
し た が,
有 意 な
差
は検 出
さ れ な かっ た。
麻 痺側 と非 麻 痺側
で差
が みられ
な かっ たこ とにつ い て は先行
研究
でも
同様
の結
果が報 告
さ れ ている28 )。
本
研究
の結 果
から
は,
片 麻 痺 患 者
にお
いて麻痺
側,
非 麻 痺 側 につ い て 有 意 な左
右差
を 認 め ない こ とが示
され た。骨 盤
の 三平 面
ア ラ イメ ン トにつ い て は,
矢 状 面
,
前 額
面
,
水 平 面
に お ける相
互 の関連
は み ら れなか っ た。 こ れ は骨
盤の前 後 傾
にか か わ らず
,
前 額 面 傾 斜
や水 平
回旋
が生 じ
て いるこ とを表 し
て い る。 つま り片 麻 痺 患 者
の三平
面 ア ラ イメ ン トに は一
定
の傾向
が み ら れず
,
多 様 性
に富
ん で いる こ とが示 唆
され た。
前 額 面 傾 斜
や水 平 面
回旋
は矢 状 面 角 度
に関 係 な く
,
そ
の他
の因子
によっ て規 定 され
て い る こ とが推 測
さ れ る。
解 剖 標 本
を 用 い たBoulay
ら47)の報 告
におい て骨
盤の形 態 学 的 非 対 称 性
が示
さ れ てい る こと,
健 常 高 齢 者
と脳 卒 中者
と年 齢
をマ ッ チ させ た健 常 高 齢 者 間
に おけ
る差 異
が示
さ れ な かっ た28)こと か ら,
脳 卒 中発 症
以外
の要 素 も片 麻 痺 患 者
の骨
盤ア ライ メ ント
を規 定 す
るうえ
で交 絡 因子
とな
っ て いる可 能 性
が考 え
ら れる。4、
矢 状 面 角 度
と関 連 因子
の関連
矢 状 面 角 度
を3
群
に分 け 各 関
連因 子
を 比 較 し た 結 果,
N工 工一
Electronlc Llbrary下