スポーツと理学療法
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(2) 774. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 医療機関では,リハビリテーションとリコンディショニング. 学療法士の知識や技能を伝えることが求められよう。. の指導,実践が主なものになる。これに加えて,スポーツ現場. スポーツ現場で活動する女性スタッフの不足も課題である。. では,日常的なリハビリテーションの管理,外傷予防に関する. JASA-AT 保有者の男女比率は 8:2 という現状にあり,理学. 指導,外傷の急性期処置などが実施されている。. 療法士においても同様の現状であることが推測される。選手と. スポーツ活動時には,運動器のわずかな変化がパフォーマン. 同程度の比率が望ましいと考え,その育成に注力していく必要. スの低下へとつながり,また外傷の誘因となってしまう。理学. 性を感じる。. 療法士がその働きかけの目標とするのは,施行場所や内容にか. ・教育内容. かわらず,対象者が安全に効率よくスポーツに取り組むことが. スポーツ現場での活動に要する内容は,系統的な教育がなさ. できる身体機能の維持,獲得にある。その取り組みは,有効な. れておらず,必要事項の習得を個々で意識する現状にある。卒. スポーツ外傷予防策になるだけでなく,競技パフォーマンス,. 後教育における,スポーツ理学療法に関する系統的システムを. 実践能力の向上にもつながる。理学療法士の働きかけにより,. 構築していく必要がある。WCPT サブグループに位置づけら. 成果をあげている事例が増えつつある。. れる IFSPT が提唱する「世界基準」を見据えた教育プログラ. 現状からみた課題. 7). の活用も望まれる。. ム. スポーツ現場での活動で習得すべき事項に関して,到達目標. スポーツにおける理学療法士の今後の活動に向けて,課題と. を明確にして,そのために必要な知識や技能を整理し,教育内. 考えられる事項について挙げておきたい。医療機関での活動に. 容に反映させていく必要がある。「なにが,どの程度できれば,. おける制約は,保険診療上の問題からの派生事項と重なること. どうなるか?」という基準が必要であろう。. が多い。ここでは,スポーツ現場における活動内容を意識して, 課題を挙げておきたい 6)。. 今後に向けて. ・活動範囲. 2013 年度より日本スポーツ理学療法学会の活動が開始した。. スポーツ現場における対象者への働きかけでは,明確な目的. 当学会は,スポーツ理学療法に関係する基礎研究,臨床研究を. のもと,必要事項を整備したうえで臨まなければならない。い. 推進し,研究内容に関する包括的検討を加えることで,その効. かなる目的であっても医師との協働は前提であり,リスクマネ. 果と根拠を学術的に探求していくものである。加えて,国内の. ジメント,経過予測について十分な配慮を要する。. みにとどまらず,国際的にも関係分野との学術的交流をはかる. 現行の法制度下では,我々の医療機関外での活動範囲につい. ことで,理学療法とスポーツの発展に寄与することを活動の目. ての法的な見解は,必ずしも明解なものではない。. 的としている。. 「理学療法士の名称の使用等について」(2013 年 11 月医事課. このような学術的事項の推進に加えて,先に挙げた課題の解. 長通知)の見解についても,スポーツ現場での活動全般にわ. 決にもつなげることができるように,活動が進行されていくこ. たって,活動が許容されるものではなく,あくまでも「予防」. とを望みたい。. に関する内容に限定したものと理解すべきである。万が一の事. 今後のスポーツ関連メガイベントへの活動参加を目標に,第. 故発生時には,直接的な法的責任を問われる可能性があること. 50 回学術大会のテーマでもある「我々の新たなる可能性」に挑. を自覚して,活動に取り組む必要がある。. 戦していくためにも,先に記した課題への対応が急務である。. ・他職種との協働 実際の活動において,理学療法士に対する評価の声を聞く一 方で,その専門性のわかりにくさを指摘されることもある。自 らの中核能力を明確にし,スポーツ医療における理学療法士の 役割と任務とあわせて社会に提示すること,それらを教育内容 にも反映していくことが求められる。 スポーツ現場における医療関係のスタッフは,「トレーナー」 という立場で業務にあたることが多い。我が国におけるトレー ナーの公的資格として, (公財)日本体育協会公認アスレティッ クトレーナー(以下,JASA-AT)がある。JASA-AT として 活動する者の多くは,理学療法士のほか,鍼灸師,柔道整復師, 等なんらかの基礎資格を有している。したがって,活動に際し ては,これら他職種との連携,役割分担を強化,推進していく 必要がある。他職種の技能や実践能力を理解するとともに,理. 文 献 1) 遠藤利明,松瀬 学:スポーツの力 東京オリンピック・パラリ ンピック戦略.論創社,東京,2014. 2) 文 部 科 学 省 ホ ー ム ペ ー ジ. ス ポ ー ツ 基 本 法.http://www.mext. go.jp/a_menu/sports/kihonhou/index.htm(2015 年 7 月 15 日引用) 3) 公益財団法人日本体育協会.スポーツドクター・スポーツデンティ スト検索.http://www.japan-sports.or.jp/medicine/DoctorSearch/ tabid/75/Default.aspx(2015 年 7 月 15 日引用) 4) 公益社団法人日本整形外科学会.専門医を探す.https://www.joa. or.jp/jp/public/search doctor/index.asp(2015 年 7 月 15 日引用) 5) 厚生労働省 地方厚生(支)局所在地一覧.http://www.mhlw. go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/chihoukouseikyoku.html (2015 年 7 月 15 日引用) 6) 小林 寛和:スポーツと理学療法のかかわり.理学療法ジャーナ ル.2013; 46: 579–584. 7) The International Federation of Sports Physical Therapy. http:// ifspt.org/education/home-study-courses/(2015 年 7 月 15 日引用).
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