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遮光による晩期水稲籾の品温低下-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 126 遮光による晩期水稲粗の品温低下

鈴 木

裕 晩期栽培の水稲を登熟期間中遮光すると,成熟後の籾から得られた米搬粉のⅩ繰回折図型がA図型からC図型に.変る ことがあること紅ついては先に報告した.(12) 遮光処理が稲紅及ばす影響には,光合成の制限と籾の品温低下の2点が考えられる.光合成の制限については.,葉身 をすべて切除して登熟させても米激粉のⅩ線図に.変化がみられなかったとの実験(2)から明らかなように,これが直ちに 澱粉の微結晶構造を変化させるものと考え.られないい 従って澱粉のⅩ緑園紅変化を惹起す主要な原因は遮光匡よる初の 品温低下紅よると推測し,この点を確かめるため以下の実験を行なった 実 験 の 部 1い 就 料 高松市仏生山明春川県農業試験場紅おいて昭和41年6月30日に.播種した兎山38号の宙を7月22日紅とり,「く款凱、 硫加燐安」14−14−14各7.5ダを仝層施肥してある1/2000ア−・ルポット紅2本1株として3株づつ,10ポット把移植 した ポット栽培の相は9月6日が出穂始であり,9月10日が穂揃期であった1.各ポット当りの出穂数は34個から46個であ った 9月12日から15日にかけて順次5借のポットをクレモナ寒冷紗314番を張った遮光枠内紅移し,塵熟完了迄遮光処理 を行なった.9月15日紅東芝照度計紅よって測定した遮光枠内の照度は16000】uxであり,枠外の原皮480001uxの一色 であった ポット申の稲は10月31日に刈取り,乾燥後,11月2日に脱穀,4日に籾摺りして精玄米とした 2… 遮光実験 1)圃場での遮光実験 03御の鋼線とコンスタソタン線をより合わせ,ガスバ−サー中七先端を溶接して熱電対を作った一より合もせ部め 強度が弱いので,ガラス管を細く引き延ばした申によ てより合わせ部を溶射した. 虫ピンで代表的な穂の最上部の籾の太陽に当らない側紅中央紅まで適する′トさな穴をあけ,その穴に熟電対を差し込 んだ.熱電対は遮光嘲と対照籾の温度差を測定するように設置したもの2組,両区の籾各1粗の温度を測定するよう忙 したもの各1組である.そのはか気温観測用の熟電対1組も設けた. 9月14,15,20,27,28日紅微少電圧計で各熟亀対の電圧を順次測定し,予め測定した40〃Ⅴの電圧がlOCの温度に 当るとの関係を利用して温度を計算した 自然の形のままで穂が垂れている場合,遮光による温度低下は普通卜20C,最高で2い50Cであったが,籾を日光に 垂直に償いて太陽の放射を十分に受けるよう紅した場合,第1表紅示すように籾の品温ほかなり上昇することが分かる. そこで次に籾を日光に垂直に保持し,手で日光を遮った場合の温度変化を測定した. 第2表から分かるように,日射下の籾品温と日光を遮った場合の籾の品温は叔大で6−70C異なることが明らかとな ったい但し微小電圧計が1台であるため各温度の同時測定ができず,従って風が吹いたり,太陽に薄雲がかからていた りして測定値紅バラツキがあり,確実な数値を示し得ないのは残念であるが,日光の喧射が粗の品温に大きな影響を及 ぼしていることは明らかになったといえよう 2)実験室での遮光実験 圃場実験では一定した数値が得られなかったことから,実験室内での実験によって遮光が籾の品温に及ぼす影響をモ デル実験的に示そうと試みた. 地面に到達する日射ほ太陽常数1.94Cal/Cm2・minの約70%,すなわち1。35Cal/Cm9・min程度といわれているの

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

籍21巻 通巻籍48弓(1970) 127 第1表 自然状旗下申籾の品温と遮光処理 11 12 13 14 15 00 05 10 20 40 55 00 00 00 00 時 刻 遮光放と対礁 籾の品温差 遮光粗品塩 気 温 0.6 1.6 1−2 1.2 1.6 2.1 1.1 0u5 27巾6 28.4 27…3 26巾5 27.8 27‖3 11.5513.0013.4014.0015.0015.30 ‡ ‡ ‡ ‡ i ∼ 12.05 13.10 13.45 14.05 15.05 15.35 時 刻 遮光粗と対照 祝の品温差 遮光粗品温 対照粗品温 気 温 時 刻 遮光粗と対照 籾の品温差 遮光粗品温 対照粗品温 気 温 21.2 1.0 1…8 1.0 1.5 0.3 1.7 1.0 1.5 1.4 1.2 01.8 22.8 23小3 22.8 22.8 23り3 23.8 23.9 23り5 23.8 24.3 23.5 91.15 11 14 33 37 40 50 11 2.2 50 54

19 22 39 42 46

2‖5 1小5 25.0 24.5 29.0* 25い0 *太陽光紅垂直に置いた粗の品温 1.1 2…0 9。.20 24.0 25l0 24.0 葦2表 太陽光に.垂直に償いた籾の品温と遮光処理 11 13_ ___ 13 14 56 10 22 23

労菅】時 刻

25..0 28い8 26.8 27い3 31…3 30−8 26.0 26・・8 日射時品温 日陰時品温 気 温 時 刻 日射時品温 日陰時品温 遮光粗品温 気 温 23い3 23.8 22小8 24.3 24.3 22小3 22..8 23.5 231・3 9 10 12 23 36 55 28.5 27巾3 27小0 28−5 25.0 25小0 24.0 25.3 19..3 23.3 193 19、3 9.28 22い3 22.0 22,6

で,実僚漉.粗に当る日射崖はこれ以下の値となるりそこで113から0・6cal/Cm2・minまでの日射昆に相当する放射を

受けている籾の品温が,遮光によってこどのように麿化するかを測定した1・ 松下電器産業製の100W赤外線電球ビオライトを日光の代りの熱源とし,ゴルチンスキーー・の日射計を韮準紅して一億

の放射を籾籠与えうる場合の籾と電球との間隔を求めた所,その間隔が22…2−15l1cmの場合紅0パ6−11・3cal′′cm20min

の放射が得られることが明らかとなったり10月5,7,12,13日に熟電対を挿入した粗をこの間隔で照射し,木板に・よ

って虜全に.遮光した場合と,クレモナ寒冷紗314番を光線に垂直に張って遮光した場合の粉の品温を微少電圧計の数値

から求めた。

第3表の結果から,赤外線照射による籾の品温上昇は木板や寒冷紗による遮光によって抑えられることが分かる・寒

冷紗面に重患に光線を当でて光の透過率が1番犬きい場合でも,遮光に・よる品温低下は0い8−1・50C紅及ぶ・従って寒

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(3)

香川大学農学部学術報望 128 舘3表 乳熟期の赤外線照射粗の品温と遮光処理 室温放愚粗品温 照射強度Cal/Cm2。min 照 射 粗 品 温 木板遮光粗品温 遮光紅よる品温低下 8 只︶ .4 0 4 0 〇.4 1 3 2 2 2 1 7 8 1 7 1 0 3 1 2 2 2 2 8 6 5 2 3 0 0 3 1 2 2 2 2 20.8 20.8 20り8 0.9 1..0 1..1 24け8 24.6 24.4 21.4 20り8 20..6 3.4 3.8 3..8 10、5 6 9 2∼2 2 2 4 8 2∼2 2 2 6 1 2∼3 2 ウ︼ 22い4 22い4 22.5 ‡ i ‡ 22.6 22.6 22.6 21.5 21.8 21.0 0.9 1..0 1.1 24.3 24.4 24.4 23‖2 23い3 23い3 1.1 1…1 1..1 測 定 暗 室 温 室温放置粗品温 周射強度Cal/Cm9・皿in 照 射 粗 品 混 寒冷紗遮光粗品温 遮光による品温低 ̄F 7 6 1 3 8 0 0 3 2 0 2 2 2

﹂。二二■ ∵

2 2 2 1 0 4 2 1

8 8 0 8 2”9 5

2∼3 10ノ7 0 5 3、︵3 2 2 22い8 22.7 22.2 ? ! ‡ 23.1 23..1 22…4 2 2 測 定 暗 室 温 算4表黄熟期の赤外線照射粗の品温と遮光処理 室温放置粗品温 照射強度Cal/Cm2・min 照 射 粗 品 温 木坂遮光粗品混 迷光に.よる品温低下 23小0 22.8 22。3 22”8 0.5 0..6 0。7 0‖9 24、6 24,8 24.6 24√ノ9 23.2 23.2 22.、8 22い6 1.4 1.6 1…8 2.3 鋸川24・8別空離∼射 2 2 2 3 1 ︻∂ 3 2 3 1 8 4 4 22.3 1.3 26,2 2313 2,9 10 12 測 定 時 室 温 9 2 3∼4 2 2 23‖7 24り3 23.7 23/7 ‡ ∼ ‡ ∼ 25、0 25.1 24い6 241 室温放置粗品温 照射強度cal/cm2・min 照 射 粗 品 温 寒冷紗遮光粗品温 遮光による品温低下 測 定 時 室 温 21」5 22い5 22.8 23.3 23.0 24.0 0‖6 0.7 0、8 0、.9 1.0 1..1 24.2 25.4 26い0 26.4 27“0 27い3 234 24.2 24い5 25.2 25.5 26.0 0.8 1.2 1..5 1.2 1小5 1.3 22り4 23.2 23.5 23,,6 23.6 24り2 ‡ ? ‡ i ‡ ? 231 23.5 23∩9 23.9 24−1 24.7 10=13

冷紗が光線に対して傾斜している場合に・ほ遮光の程度は更に大きくなり,遮光による粉の品温低下は木板による遮光の

値,1.6−3.80Cに近ずくものと推測される・ 3.遮光米とその澱粉の性状

栢玄米の千粒魔は遮光区20・65ダ,対照区21リ05ダであり,千粒塵は遮光処理により低下した小

白米完全粒1哨をソヤ−レにとり,1m7%の苛性カリ溶液15CCを加え250Cに17時間放記してアルカリ検定を行なっ

た所,第1図に示すように遮光区米の方がアルカリで余計紅膨潤,溶解しているのが認められた・以上の2点紅ついて

ほ前報(−2)の結果と同様であった1・

界面活性剤法で桁製した米救粉のⅩ繰回折図型ほ遮光区,対照区ともA図型を示した・これほ登熱中の平均気温が

19.60Cと比較的高かったためであろう.

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(4)

弟21巻 通巻第48弓(1970) 129 前報(1)で遮光によって−澱粉のⅩ線図がA型からC塾に 変った時の登熟平均気温ほ17..60Cであり,登熟平均気温 が20.30Cの時は遮光しても澱粉のⅩ線図ほA型にとど まった∴すなわら遮光による澱粉のⅩ線図の変化は登熟 平均気温が19…60C未満の時にみられるものと考えられ る また前報(2)によると,2lOCの温度調節ガラス室内で遮 光下に.登熟した米澱粉のⅩ線図はC型を示し,今回の実 験との間に食い違いがみられる.温度調節室内の籾は昼 夜とも登熟期を通じて21◇C付近の品温であったと推定 されるのに,屋外栽培の場合ほ平均気温ほ19l60Cであ っても,昼間の気温や籾の品温は平均値よりも,そ・して 策1図 白米のアルカリ検定 2lOCよりも高いと考えられるい その上登熟期前半の気 温と粗の品温ほ,平均気温の19…60Cよりも相当高く250Cから300Cにも及んでいた一. 前報での実験によると,澱粉の微結晶構造は夜間気温よりも昼間気温によって∴大きく影響されている(3).そして登熟 期前半の気温の方が登熟期後半の気温よりも,澱粉の敬治晶構造に大きな彫響を与えるとの報告(4)があるが,これらの 点を考え.あわせれほ,平均気温ほ19.60Cと21〇C以下であっても,遮光をして得た米澱粉のⅩ線図がA型であったこと ほ首肯されよう. 以上検討の結果,遮光処理により晩期米澱粉のⅩ繰回折図型がA図型からC図塑に変化するこ.とがあるのは,遮光に. よる祝の品温低下によるものと結論しても良いものと考える. 戚後に当り,熟電対の製作を御教授下さった農地工学講座松田助教授,気象関係計器の使用に御援助いただいた上原 教授,河野元助手,有益な御指示を賜わた生物化学講座川村教授に深く感謝致します.. なおこの報告は日本栄養食粒学会籍2回中国・四国支部総会において講演した. 摘 要 晩期水稲籾の品温は寒冷妙による遮光によって1−20C低下した.実験室内で赤外線電球を使用するモデル実験の姑 果,寒冷紗遮光の場合0.8−1..50C,完全遮光の場合1.6−3”80Cの枚の品温低下をみた.遮光による米澱粉の微結晶 構造の変化と登熟平均気温について論じた. 引 用 文 献 (1)鈴木 裕,森 高明:香川農試研究報告,15,13(1964) (2)鈴木 裕,川原崎裕司,村山 登:農化,48,1(1966) (31鈴木 裕,上原妙子:香川農試研究報告,13,1(1963) (4)村山 登,大島正男,吉野 実,塚原貞雄,川原崎裕司:昭和36年度試験成絞書,農業技術研究所化学部作物栄 養科作物栄養第2研究室

EFFECT OF SHADING ON THE TEMPERATURE OF PADDY RICE GRAINS CULTURED BY THE LATE SEASON GROWING

HiroshiSuzuⅨI Summary

The temperature of paddy rice gr’ainscultured by thelate season growing was measured by ther. mocoupleinsertedin the grains.Itdecreased byl−20C by the shadingwith a kind of cheese−Cloth When the grains were hold atI・ight angles to solar radiation,the temperature of the grains was kept 6−70Chigher than the atmospheric temperature.Temperature change of the grainsirradiated from a infraIIedlamp was measured with or without shading as a modelexperiment.Theeffect oftemperature

decrease on the X−ray diffraction pattern of rice starch was discussed. (1969年12月23日受理)

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